1/28(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年1月29日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

みなさんこんにちは。佐々木あかりです。

今回のワークショップでついに『唐版 滝の白糸』も最終回となりました。

それではレポートをお送りします!


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(2013年にKAATの大スタジオで上演した際の写真)


突然ですが、皆様は「水芸」を見た事はありますか?

「水芸」というのは、演者の持つ扇子から突然水がでたり、

何もない(ように見える)ところで扇を開いたりしたりすると、

その場から水が飛び出し、

あたかも水を操っている様に見えるという日本の伝統芸能です。

参加者の皆様の中でも、実際に見たことがあるのは4人の方のみでした。

(私も機会があれば是非見に行きたい!)


そんな「水芸」ですが、『唐版 滝の白糸』ではお金をもらうために、

ヒロインのお甲さんがこの「水芸」を

廃屋と化したゴーストタウンで披露するシーンがあります。

この芝居の見せ所の一つですが、唐ゼミの上演の際には、

老朽化した雨樋(あまどい)や水道をたたくことで、

水が飛び出し、それを水芸とするという演出を行いました。

ゴーストタウンならではの「水芸」、ということですね。


中野さんは、『水芸』について

どうしたら上手くいくのかとずっと考えていたある日、

駐車場の車止めに、

錆び付いた原付バイクの排気筒をぶつけ穴を開けてしまい、

そこから漏れる排気ガスをみて、思いついたそうです。

この話を聞いた時本当にすごいなと思いました。

私ならきっと落ち込んで終わりです。。

日常から何かを吸収しようとアンテナを貼ってみようと思います。


そうしてゴーストタウン版『滝の白糸』を披露していると、

この戯曲の悪役で、

先週出てきた《ツルリズム》こと工事人夫達がやって来て

無言でゴーストタウンの取り壊しを始めます。


彼らの衣装を〈白〉でツルハシを〈赤〉にして

《ツル》の様な見た目にする演出をしたそうです。

彼らにゴムホースを切られ

『滝の白糸』が舞えなくなってしまったお甲さんですが、

芸を続けるべく、自らの手首を切り水道管に血を垂らします。

すると赤い滝がのぼり、

流しが空飛ぶ流しとなって客の頭上を飛び交います。

なぜ赤い滝なのかというと、

水道管は血管の様に全て繋がっているので、

1箇所に垂らすと全ての水道管の水が血で赤く染まり、

血の水が溢れ出すというからくりです。


お金という生活のためのものを奪いあう戦いは、

赤い『滝の白糸』芸で大スペクタクルを迎えます。

10万円は一体誰のものになったのか、

ゴーストタウンはどうなってしまったのか

そして彼らの今後は?


気になる事はたくさんありますが、

この戯曲はここで終わりです。


参加者の皆様、2ヶ月間お疲れ様でした!

来週からは1973年に蜷川さん率いる櫻社に向けて書かれた

『盲導犬』を読んでいきます!

ちなみに、この作品は『唐版 滝の白糸』に雰囲気が似ているらしいです。

(私も今読んでいます。)


次回もよろしくお願いします!

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1/21(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年1月22日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

みなさんこんにちは。佐々木です。

本日は120日のワークショップの

レポートをお送りします。


ついに『唐版 滝の白糸』も終盤。

主人公アリダ君の持つ10万円を巡って

ヒロインお甲さんとタカリ男の銀メガネの戦いもヒートアップ。

そこにお甲さんを心配して(本当はお金をもらえたか確認しに・・。)

小人症のプロレスラーたちが登場するシーンから

始まりました。


今回は台詞の言い回しについて2つほどとりあげたいと思います。

まずは一つ目。


アトム『そは永劫の敵、鶴だ!空という空に鶴!鶴、鶴、鶴だ!』

(中略)

小人4『ミニタリズムにキャピタリズム、ナチズムにシオニズム。

アラヴィズムにツルリズム。』

アトム『すると何だ、おれたちの闘っている鶴とは皆、カタカナの化物か!』


小人たちの戦いについて、上記のようなセリフがあります。

このセリフ、私は歯が立たなかったのですが、解説しますと、

そもそも〈イズム〉つまり〈主義〉を持つことができるのはお金持ちであり、

貧乏な彼らにとっては全てが敵に見えます。

そして彼らの永劫の敵は「鶴」なので、(これは中国の小人伝説がモチーフ?)

最大の敵は《ツルリズム》。というロジックです。(もちろんそんな主義ありません)


ですから、小人4のセリフに出てくる〈イズム〉を全て同じに言ってしまっては駄目で

《ツルリズム》という言葉だけが単独で立ち、またその面白さを伝える必要があります。

意味がわからないと、セリフを正しく発声できない。

細かい様で大切な事なので今後も何度も出てくるポイントになりそうですね。

(しかし、《ツルリズム》って・・・)




そして、もう一つ。

甲さんの台詞で


誰かが手首を切ってその血をたらしたら、月は赤い月。

流しのセンを抜けば、それがとぐろをまいてジョウゴに流れ込むでしょう。


という部分があります。


この台詞のポイントは、ずばり速度にあります。

血がポタポタと垂れる速度。とぐろをまいてジョウゴに流れ込む速度。

この速度に合わせてセリフを言う事で情景がより伝わります。


今回私もこの部分を読ませて頂いたのですが、ついつい早く読んでしまいました。

アドバイスいただき、セリフの速度をイメージに合わせて読んでみると

セリフの中に「体感している」というリアリティが出てきたのを実感しました。

速度一つでここまで差があるとは...

大変勉強になりました。


来週のワークショップはついに『唐版 滝の白糸』最終回。

10万円の争奪戦はいよいよクライマックス。

自分の『芸』を見せて、お代をもらおうと思いつくお甲さん。

その芸こそが『滝の白糸』芸。

しかしそこに、真の敵《ツルリズム》が姿を現します。

来週もよろしくお願いします!


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1/15(金)ワークショップレポート(中野)

2021年1月16日 Posted in 中野note Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』
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↑佐々木あかりの劇団員デビュー。『唐版 風の又三郎』三幕冒頭の看護婦

いやあ、参りました。
一昨日のワークショップでのことです。

昨日、このゼミログで劇団員の佐々木あかりが書いた通り、
私は彼女をワークショップに参加させました。

一昨日はたまたま男性ばかりの参加。
女性参加者も一人はいらっしゃったんですが、
その方は少し遅刻して入られた。
そこで、佐々木に入るように言いました。

目下取り組んでいる『唐版 滝の白糸』という演目の中で
紅一点のヒロイン・お甲(こう)が登場して2度目に当たる回でしたが、
このお甲を男性がやったのでは感じが出ない。
そこで、佐々木に振ったわけです。

佐々木は、21歳の若者です。
劇団に入ってちょうど一年が経ったところ。
2019年、彼女がまだ桐朋学園の演劇科に在籍していた頃、
唐ゼミ☆の募集に応じて『ジョン・シルバー三部作一挙上演』に
出てくれた。それが面白かったらしく、学校を卒業して
劇団員になりました。
ですから、前回の『唐版 風の又三郎』が団員として過ごした
初めての公演だったわけです。

で、彼女がせりふを読み始めると、内心、私は焦りました。
何箇所か、漢字の読み方におぼつかないところがある。
あと、現代っ子の故からか、それともいきなり振られて緊張しているからか、
イントネーションがちょっと変だ。

(ところで、今の20代は「えもん掛け」「物干し台」と言っても通じません。
「『ハンガー』のことだよ」「『ベランダ』や『バルコニー』のことだよ」と、
写真を見せながら説明する必要がある。
人間って、不思議と実感していないことばを発語すると、実感している人に
とっては変な響きを帯びる。古いことば、硬い物言いもそうですが、
こういった言い慣れなさや実感の無さを克服するのも、俳優の仕事です)

そういうわけで、
台本を読み込むという以前に、漢字の読みなどですから、
これは地道な予習が足りないなと思い、急に振った自分を恨みました。

白状すれば、そこにはつまらない自意識もあり、
そういう佐々木を看過すれば、WSに参加されている皆さんに
「ははん。劇団員なのに唐ゼミ☆はこの程度か!」
と思われるのではないかとも思いました。だから、正さないわけにいかない。

ところが、佐々木も緊張しているから、平常時よりさらに修正が効かない。
すると、こっちも時間を割かざるを得なくなり、
せっかく1,000円を払って参加してくださっている参加者の皆さんを前に
劇団員ばかりがせりふを言って、それを修正している事態になってしまった。
さらに慌てました。

焦っているのがバレてはいけないし、お客さんの前だから、
劇団の稽古みたいに「おい、お前なあ」と口汚くなってもいけない。
「あかりちゃんねえ・・」とかえってソフトに言いたくもありますが、
客人の前でだらしないから、「佐々木さんねえ・・」と私も堅くなる。
私たちは、不自然の渦に飲み込まれて必死になりました。

・・・ところが、終わってみたら、
皆さんにはどうもこれが面白かったらしい。
お客さん相手のワークショップとしては失敗だったはずなのに、
そのあたりも含めて面白かったらしいのです。

ことに、たまりかねた私が、ちょっとキツい口調になりながらも、
お客さんの前なので、無理にオブラートに包もうとしているところまでを
含めて、皆さんは楽しかったようでした。

よく考えてみると、ワークショップで伝えたかったことって、
まさにこういうことなんですね。

私と佐々木あかりの会話は、立ち会っているお客さんに影響されます。
「銀メガネ」による「お甲さん」への対し方は、
「アリダくん」に影響されるし、「アリダくん」への意識なしに成り立たない。
と、こういうところを捉えながら会話のアヤをつくりたかった。
その上で、そういう心の揺らぎが観客に見て取れるように演じると、
単なる会話がとっても面白くなる。

図らずも、私は課題を体現してしまいました。
バレないようにしたつもりが、完全に、すべてバレていた。

「泰然自若」からは程遠い自分の感じ、
度胸の無さや、目下の者に対する日頃のぞんざいさ、
世間体を気にして右往左往する感じまでもが露見してしまったわけですが、
皆さんの優しさに救われました。

申し訳なく、情けなくもありますが、
何だか評判が良いし、佐々木を育てたいので、来週以降も参加させようと思います。
(漢字の読みだけは、予習して来いよ!)

それにしても、例え大勢の人の前でも焦らず、
さりげなく人をフォローできるようになりたいと改めて思いました。
「教えることは学ぶこと」
ここ数日、たまたま読んでいた二代目神田山陽の伝記の一節が痛感せられます。
参加の皆様と、佐々木あかりにも、ただただ感謝です。

1/14(木)ワークショップレポート(佐々木あかり)

2021年1月15日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

こんにちは。佐々木あかりです。

本日も13日に行われたワークショップレポートをお送りします!


昨年から読み始めた『唐版 滝の白糸』も物語の中盤。

『唐版 滝の白糸』の登場人物は主に3人。

主人公アリダくんとヒロインのお甲さん、そして"タカリ男"の銀メガネ。

ようやく三人が揃ったシーンに差し掛かり、

お甲さんの本性がチラチラ見えてきます。


今までは二人での対話がメインでしたがここからは三人になり、

一人増える事で当然会話が複雑になります。

その中で『第三者をどう扱うのか』が本日のポイントでした。


例えば、会話に混ざっていない人に対して、

聴こえないようにセリフを言うのか、わざと聞こえるように言うのか。

内緒話なのか、嫌味を言っているのか、

きちんと読み解いていく必要があります。


これ、私も良く間違えて読んでしまうので大変耳が痛かったです。

正しく読むには色々な文章を読む必要がありそうです。

読書量を増やさないと!


また、会話の中になんとも陰険な部分が出てきたのが面白かったです。

アリダ君の持つ10万円を巡って銀メガネとお甲さんはライバル関係にありますが、

お甲さんを責めすぎれば、銀メガネはアリダくんに嫌われてしまう。

これが弱みになって適度にバランスを取るのがおもしろい。



アリダ君に嫌われたくない銀メガネは、ソフトに、ソフトに

お甲さんが水商売の女であり、ふしだらで自己中心的な人間であることを

あらわにし、アリダ君が彼女を嫌うように仕向けます。


お甲さんはお甲さんで、

女性経験の少ないアリダ君の前で泣いて見せることで、

自分が被害者であることを強調します。


こう言う場面のやり取りは、

アリダ君のリアクションが上手くできると

グッと上演に深み出るのだなと思いました。


ところで、

今まではアシスタントとしてワークショップに参加していましたが、

実は今回、初めてせりふを読みました。


とても楽しかったですが、まだまだ未熟だなあと痛感しました。

次回も皆様と一緒に楽しみながら、唐十郎戯曲を読み、学びたいと思います。

暖かく見守って頂ければ幸いです!


『唐版 滝の白糸』のワークショップも残り2回。

三人の会話に小人プロレスラーたちが加わり、

物語はいよいよ終盤へとなだれ込みます。


来週もアシスタント兼参加者の一人として

よろしくお願い致します!


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(ワークショップ中のデスクはこの配置で落ち着きました。

いつも似た写真なので、来週は面白いものを・・!)

1/7(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年1月 7日 Posted in ワークショップ Posted in 劇団員note Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

あけましておめでとうございます。

劇団員の佐々木あかりです。

今日はワークショップのレポートです!


今日のワークショップは物語の中盤、4人目の登場人物である

「羊水屋」という男が出てくる所から始まりました。

それでは、ワークショップの見どころを紹介していきます!


まずはカタカナの単語について。

端的にいえば

「カタカナの難しい言葉はなんかすごそうだな」という話です。

実際に羊水屋のセリフで、

『フランチャイズ』『テリトリー』『プレミア』

という単語がまとめて出てくる所があります。

しかしよく読むとこれは特に意味はなく、実は小難しくて凄そうに聞こえるように言っているだけです。

確かにカタカナが羅列していると複雑な事を言っているように感じますね。


そして小人プロレスについて。

『唐版 滝の白糸』では、ヒロインのお甲さんの住むアパートに

小人プロレスのレスラーが7人住んでいて、

お甲さんが彼らの巡業についていくほど仲良く暮らしています。


私は知らなかったのですが、皆様は小人プロレスをご存知でしょうか。

小人プロレスとは、正称がミゼットプロレスと言って、

女子プロレスの前座として行われていた

低身長症の人が試合をするプロレスの事です。

なぜ急にこの作品に小人が出てくるのかと言うと、

『オズの魔法使い』にはマンチキン(小人)という小人が出てきます。

『唐版 滝の白糸』は『オズの魔法使い』からインスピレーションを受けている部分が多数ありますが、

小人の登場も『オズの魔法使い』から繋がっているとは。

新たな発見でした。


そして、ようやく登場するヒロイン。

「お甲」さんのアリダくんへの巧みな感情の揺さぶり。

女性経験の少ないアリダくんに対して

女の涙や愛情を上手く使い

どうにかお金を引き出そうするお甲さん。

何という作戦でしょう。

女として学びたい技術です。


今回のワークショップは比較的ゆっくり進んでいきました。

次週は物語もいよいよ終盤に向かっていき、複数の登場人物が出てくる面白いシーンになっていきます。

来週もよろしくお願い致します!


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12/28(月)ワークショップレポート(佐々木)

2020年12月28日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

こんにちは。劇団員の佐々木です。

今日はワークショップのレポートです。

今回から毎回ワークショップのレポートを私とちろさんで

ゼミログにアップします!お楽しみに!


今月のワークショップの題材は唐版滝の白糸。

昨日は4回目でした。

中野さん曰く先週までのテーマをまとめると

オズの魔法使いを見ておいた方がいいよ。

だそうです。

あれ、そんなに簡単な話でしたっけ...

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(久しぶりに読み直しました。なかなか面白い。)


今回のワークショップは、いつもよりだいぶ

実践的で

内容の読解はもちろんですが、台詞として言葉にする事への

アドバイスが多かった様に思います。


時間の流れの整合制が取れているか確認する。

唐さんの戯曲はどうしても現実的ではない様に思えてしまうので、

時間とか時代とか存在しない気がしてしまいます。

私も時々その罠に引っかかりかけて

よくないぞ!と思いながら読み直すことがあります。

この作品の日は55日と銀メガネが言っている。

ヒロインお甲さんとアリダくんのお兄さんの心中未遂があって、

お甲さんが去年の暮れに子供を産んで

5ヶ月の子供がいる。

アリダくんに会うのがアリダくんの兄の1回忌。

これは台本に書いてある事実だけなので、

ちゃんと筋が通っている。

当たり前だけどそういうちょっとしたことが

読んでてわけわからない事態を防いでくれる。大事ですね。


そして私が実践的だなと思った部分で

言葉のどこに句読点がつくか

どの言葉を立ててしゃべるかで

言葉がどこにかかるかが変わる事について。

これ、難しくはないはずなのに間違えた使い方をすると

意味や立場がガラッと変わってしまうから本当に厄介です。

でも逆に、句読点と言葉を立てるのが上手くいくと

本当にスッキリとわかりやすい文になるので

役者としては問題なく使いこなしたいと日々感じます。

そして言葉のアクセント。

アクセントって本当難しいですよね。

でも正しく伝えるためには大事です。

『製品』のアクセントについて話しましたが

私は間違って覚えていました。直します。



年明けも引き続き題材は『唐版 滝の白糸』です。

アシスタントは佐々木あかりが務めさせて頂きます。

よろしくお願いします!

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(年末の金欠の原因はきっとこれですが勉強になるので良しとします)