7/18(月)『蛇姫様 わが心の奈蛇』本読みWS 第12回レポート(中野)

2022年7月18日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『蛇姫様 わが心の奈蛇』

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↑兄貴と慕う小林と泣く泣く闘うタチション(左:重村大介)

今は唐組で頑張っている重村の当たり役のひとつだった。

『海の牙 黒髪海峡篇』の番頭、『ジョン・シルバー』の小男も良かった。

(撮影:伏見行介)



昨日は3幕の中盤から終盤に差しかかるところをやりました。

これまでの登場人物が集まり、舞台上がどんどん賑やかになります。


帰化にあたり、あけびの母親役を担うのは、薮野一家か小林か、

これをめぐって敵役が増えていく。


まずは、小林VS薮野文化+青色申告

敵役たちは腕力に任せて余裕を見せます。

青色申告が擬音で迫るところがおもしろい。

無意味、ナンセンス、こういうところに唐さんの筆が冴え渡る。


さらに、権八(伝治)一家が入ってくる。

伝治に歯向かうも、あっという間にヤキを入れられ、

指を詰められた姉妹が猛省しています。

他方、言葉巧みな伝治の上をいくタチションの口八丁が炸裂し、

改めて、後継ぎはタチションでいこうとまとまる。


あけびは、どちらのハンコで帰化しようか迷います。

気持ちとしては小林でいきたい。しかし、彼のハンコを押すためには

小林の腕を傷つけなければならない。そのことに気後れする。


そうこうする間に、伝治にけしかけられたタチションと小林の

対決が始まる。不本意だったタチションも、あけびの方ばかり向く

小林に渡されたパン切り包丁を向けます。


兄貴分である小林のため、伝治の跡継ぎになって店の権利書を

手に入れ、それを小林にプレゼントしようと思っているのに、

当の兄貴はあけびに首ったけで全然こちらを相手にしてくれない。

その不満が、タチションを小林との対決に向かわせます。


が、そのさ中にタチションが放った「転換」という言葉が

偶然にも、小林を傷つけまいとするあけびの躊躇を振り払います。


転換=テンカン=癲癇と聞こえたあけびは、

思わず小林の腕を傷つけてしまう。結果的に、帰化の申請書類は

小林の捺印でまとまり、伝治一家・薮野たちは敗北します。


そして、更なる攻勢をかけろと命じる伝治を、タチションが裏切る。

自分の初回の攻撃に傷ついた小林の姿を見たタチションは

やはり兄貴についていこうと思い直します。


これで、小林とタチションの同士討ちは終わります。

次回は、あけびと伝治の頂上決戦に進みます。

姫であるあけびが、暗黒の父親に挑むという格好です。


激しく悲痛で、バカバカしい闘いが巻き起こります。


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