11/15(月)ワークショップレポート(佐々木)

2021年11月15日 Posted in 唐十郎戯曲を読む『少女仮面』

こんにちは。佐々木です。

今週もワークショップレポートです。

ついに今回から第三場!


春日野八千代に見染められた少女・貝。

貝は春日野から直々に稽古をしてもらいます。

しかし、春日野のいる「喫茶肉体」は、防空壕の跡にそのまま喫茶店を作ってしまった様な場所。

地下鉄工事で天井から土が落ちてきます。


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(奈良県に防空壕の跡地のカフェが本当にある!)


どうにか工事をやめさせろという春日野。

そして主任が取った手段は"火をつける事"でした。

しかし、1人に火をつける事を見られてしまいます。その人はずっと水を飲み続けていた水飲み男。

彼は、みんなは戦争から24年経って水道の水のありがたみを忘れていて、あの時の精神状態を忘れずに生きている。と言います。

なので、周りに言いふらすどころか、あの時と同じ火にまみれた風景を作ってくれたと喜びます。

そして今は何も働いていないという男。

主任にどうやって食っているのかと聞かれ、彼は強がり、主食は水と答えます。


唐さんが若松孝二さんとの対談で

劇団員はどう食べているのかと聞かれた時に

本当はアルバイトをしていますが、

唐さん流の強がりで

「みんな食べてねえよ」

と言ったとか。

(なんという強がり!)


今週はここまでです。

来週は主任の気持ちが明らかに。

来週もよろしくお願いします!

11/8(月)ワークショップレポート(佐々木)

2021年11月 8日 Posted in 唐十郎戯曲を読む『少女仮面』
こんにちは。佐々木です。
本日はワークショップレポートです。
今週は『少女仮面』三回目!

伝説の大スター・春日野を求め、喫茶『肉体』についにたどり着いた少女・貝。
しかし、春日野に会うことはできず、喫茶店の主任に馬鹿にされる始末。
相手にされず帰らされそうになるも、どうにか踏ん張る貝。
そこへサラリーマンがまたまた水道の水を飲みに来ます。
呆れてサラリーマンには何も言わない主任。貝は春日野の入浴時間だから帰れと言われ一蹴されそうになっているも、決して帰らぬ貝。
そこへついに春日野がやって来ます。
『嵐が丘』のヒースクリッフを演じている春日野。
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入浴しつつ、貝を一目見るとなぜか感動的に

あ......キャサリン!

と一言。
ここで一場が終了します。
ちなみに、李麗仙さんが春日野を演じた時には、『嵐が丘』を全てきちんと勉強したとか。
(すごく真面目な方だなぁ)

第二場、舞台には腹話術師と人形。
この腹話術師と人形、二人の役者が演じても良いし、腹話術師が二人を喋っていつしか人形が人になっていても良いし、演出の仕方が複数ある場面です。
この場面では腹話術師の過去が語られます。腹話術師は昔逃げられた妻がいました。
彼女は、誰かの子供を妊娠し、五ヶ月を迎えた頃にその子を堕すも
「ゴミ箱のかげで死んだ子が呼んでるよ」と狂ってしまいます。
そうして腹話術師の元を去った元妻。
それでも腹話術師は妻ではなく孕ませた奴を憎んでいます。
しかし彼は咽頭癌で吐血してしまいます。
ボロボロの腹話術師を見て「今度は俺が喋ってやる」と自ら喋り出す人形。
そして元妻を孕ませたのは自分だと言います。

俺の体は義手義足、義心、義脳に義歯、義糞。
おまけにチンポも義コーガン
それでも、女をだますには、あの手この手でしびれさせ、
胎内回帰で孕ませる

全てが作り物であっても、子供を孕ませる事はできるんだ!
と歌います。

そこへ、さっきの人形とそっくりの男と、さっきの男とそっくりの人形が現れ、二場の初めと同じ台詞を始めます。
嫌な予感を感じさせ、終わっていく二場。
能の影響を受けた鈴木忠志さんに向けて書いた作品というだけあって
"序破急"の"破"を感じるシーンでした。

来週は第三場"急"の、貝と春日野のシーンに突入していきます。
来週もよろしくお願い致します!

11/2(火)ワークショップレポート(佐々木)

2021年11月 3日 Posted in 唐十郎戯曲を読む『少女仮面』

こんにちは。佐々木です。

大変お待たせ致しました。

今週からワークショップレポートは私が担当致します!

今月の作品は『少女仮面』

本日は二回目でした。


先週ラストに触れた劇中歌『あの人に会ったら』からスタート。


あの人にあったら、そっと言ってほしいの

乙女の花が枯れたって

月経帯に千代紙はったって

女が一人うたったって

でも、あの人はもう来ない、きっと来やしないのよ

だって、あたしゃ皆既日蝕


この曲はかなり曲調が明るい。タップダンスまでしています。

楽しい曲かと思いきや歌詞の内容は初老の女が

私は貴方を想って一人でいるよ。

と歌っている切ない歌です。


唐さんは若い頃の方が意識が老いていたとご本人もおっしゃっていたそう。


さて、舞台である喫茶〈肉体〉

喫茶店に就職したはずなのにタップダンスを踊らされる

というパワーハラスメントがあります。

よく考えたら絶対におかしい!


その喫茶店へ寄る

ここが大スターのいるお店

ここで気に入られて芸能界デビューするんだ!

と、緊張しているヒロイン貝と老婆。

東京の箱入り娘と古い記憶の老婆の2人が必死に宝塚を求めて、やっと見つけた肉体。


そして、この戯曲には演劇用語がいくつか飛び交います。

それは、鈴木忠志さんに向けて書いた作品であるからからです!

唐さんの洒落でもあり、茶化しているようでもある。


貝と老婆は春日野に会うことはできるのでしょうか?

来週もよろしくお願い致します!

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(のどかなベンチで読みました。楽しい本だなぁ!)

10/26(火)唐さんが文化功労者に!&『少女仮面』WSレポート

2021年10月26日 Posted in 中野note Posted in 唐十郎戯曲を読む『少女仮面』
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↑2003年末の唐さんと私。当時は『鉛の心臓』に取り組んでいました

今日のゼミログ、カーテンコールは一旦お休み、
一昨日から始まった『少女仮面』ワークショップをレポートをします。

が、その前におめでたいことが!
師である唐さんが文化功労者になりました!!!
シャイな唐さんはきっと照れていると想像しますが、
私はすごく嬉しい。おめでとうございます!!!

唐さんと賞といえば、2003年の演劇賞ラッシュが印象深いです。
今度、シアターコクーンで金守珍さんが演出する『泥人魚』は
その年の演劇賞を総ナメにしました。

2003年末から2004年のお正月にかけ、
続々と受賞の報が届くたび、唐さんを囲んでお祝いしたものですが、
皆の真ん中でご機嫌な唐さんはビールの王冠を集めて喜ぶ子どものよう。
持ち前のチャームを全開にされて、とても幸せな時間でした。

そういえば、一昨日からWSで取り組んでいる『少女仮面』こそ、
唐さんに岸田國士戯曲賞をもたらした作品です。
いまや半世紀を超える唐十郎のキャリアの中で、それが賞のはじまり。


ワークショップではまず、執筆や初演の時の様子から話を始めました。
新たな戯曲に向き合う時はいつもこうです。

さまざまな資料や証言を読み解いて総合すると、

・1969年4月-6月にかけて鈴木忠志さんから執筆依頼があった
・同年7月中旬までには書き上げている
・執筆にかかった時間はなんと二日間!
・執筆の最中は、劇中にかかるメリー・ホプキンの『悲しき天使』
 レコードを、劇団員である十貫寺梅軒さんが延々リピートし続けた
・早稲田小劇場の中心俳優として台頭していた白石加代子さんへの
 宛て書きにより、唐十郎流の「春日野八千代」が誕生した
・舞台は地下喫茶店〈肉体〉。早稲田小劇場は喫茶店〈モンシュリ〉の2階
・内容的には、前年に唐さんが上演した『続ジョン・シルバー』に酷似
・1969年10月14日には初日を迎えている

と、こんな具合です。
『少女仮面』初回なのでだいぶ私の説明が長く続きましたが、
それから、冒頭シーンの読みに入りました。
「すてたパンツに聞いてごらん」というパンチの効いた
せりふで有名な、少女と老婆の場面です。

あの場面は、端的に言って、これから芸能界に羽ばたくための
オーディションを受けようという少女と、少女に自らの願望を託す
PTAとのやり取りなんですね。

少女「貝」が持ち前の純粋さで、
例え宝塚スターといえども、実は恋愛願望もあれば肉欲もある
人間であることを見破ると、老婆はそれをはぐらかす。
しかし、現実をはぐらかしたまま、生き馬の目を抜く芸能界で
少女に間違いがあってはいけないから、スターの裏側を
忠告しようともする。貝をスターにしたいと願う一方で、
なんとも切実な老婆の親心。

で、有名な劇中歌『時はゆくゆく』に入ります。
まったく『少女仮面』の劇中歌はいずれも小室等さんの才能全開で、
すべてが愉しい傑作ぞろい。
しかし、歌い飛ばすことなかれ。
『時はゆくゆく』には、本当は自分が若返ってスターになりたいという
老婆の乙女チックな願望や、老婆と貝の間の世代に位置する、
老婆の息子=貝のお父さんが描かれてる。そういう話をしました。

ニーチェを茶化した「ツァラツストラ」とは、
傷痍軍人となって帰ってきた貝の父親ではないのか。
そこには、ジョン・シルバーの影響があるのではないか。
若さを失った老婆と、片足を失った息子は、
だから「何よりも肉体を」求めるのではないか。
一方で少女の貝は、若かりし「肉体」を謳歌している真っ最中。
「何よりも肉体を!」という叫ぶ老婆と少女のニュアンスの違いこそ、
役者と演出家の勝負のかけどころです。

続いて、場面は喫茶〈肉体〉の内部へ。
この店に君臨するボーイ主任を中心に登場人物が入り乱れます。
腹話術師と人形、そして、ボーイたち。
彼らに対するボーイ主任の態度には、一貫した共通点がある。
生身よりもモノ優先。生理的なものを嫌悪する潔癖症と、
「宝塚スター」の非人間性のつながりについて話をしました。

2番目の劇中歌『あの人に会ったら』にも触れて、一昨日は終了。
あの歌も一聴するとコミカルですが、初老の女性の哀しみを
切実に描写しきっている。執筆時の唐さんが29歳であることを
想像すると、よくあんな心情を思い描けたものだと思います。

あと、ありがたいことに増えてきた受講の皆さんの多さに
こちらの進行が追いつかず、終わったあとはかなり反省しました。
皆さんに唐さんの言葉を声に出す面白さを少しでも味わってもらうべく、
来週からやり方を工夫します。