5/20(水)謎めく小説『丑女』

先日にYahooオークションで競り落とした品物が届きました。
競り落としたと言っても、別の競合相手はいなかったそれは、
角川書店より出ていた「野生時代」です。
今回、入手したのは1974年5月に刊行された創刊号で、
ここには唐さんが寄せた短篇小説『丑女(うしおんな)』が
乗っているのです。
セールスマンの「田口」が墨田区を訪れたところ、
肉屋の和子に遭遇する、という話でした。
1974年5月の唐さんといえば、『唐版 風の又三郎』初演の
真っ最中です。小説を書いた時期自体はもっと前に違いありませんが、
ヒロイン・エリカに人肉食をさせる、その肉食に関する生々しさへの接近。
さらに同じ年の秋公演には『夜叉綺想』が控えているのですから、
『丑女』には確実に、信州出身のヒロイン「牛乃京子」に影響を
与えているのは明白です。
『ベンガルの虎』にフォーカスしながらも、またひとつ、
唐さん全体に対する理解が進みました。
ちなみに、「野生時代」はその後、新「野生時代」となり、
現在では「小説 野生時代」となっています。
「野生時代」創刊による寄稿を編集者から持ちかけられた際、
唐さんは、「野生」だから肉食、を扱ったのかもしれません。
このあたりのシンプルさも、唐十郎の魅力のひとつです。

