5/25(月)『愛の乞食』本読みWS 第3回

↑一幕ラストの憲兵に扮した「シルバー」の登場シーン。
唐ゼミ☆では、2011年に日出町の小さなスタジオで実験的に
上演しました

昨晩のオンライン本読みについてレポートします。
読んだのは、『愛の乞食』一幕後半。
コンパクトな台本なので、目まぐるしく場面が展開します。

まず、先週の最後に朝鮮キャバレー「豆満江(ずまんこう)」
となった公衆トイレに、続々と海賊たちが集まってきます。
刑事になっていた「馬田」「大谷」が「ガードマン」に連れられて
やってきて、すでにその場にいた元海賊の「尼蔵」や
イザリの「チェ・チェ・チェ・オケラ」に再会していくのです。

主人公の青年「田口」や「ガードマン」は目を白黒させて
海賊たちの邂逅に巻き込まれていきます。

その中で、特に面白いのが、「田口」が母親について語るくだりです。
母子家庭を造花の内職で支えた母。苦労して亡くなった母の名が
「小春」だと告げられた時、海賊の「尼蔵」や「チェ」は鋭く
反応します。特に「チェ」は、表情を悟られないように慟哭します。

ここには、『ジョン・シルバー』『続ジョン・シルバー』と
続いてきたシリーズの軌跡が活きています。
家出した「シルバー」を探し続けた恋女房の「小春」は、
海賊たちにとって憧れの存在でした。

その「小春」が亡くなった。
さらに、「田口」が「小春」の遺児であるということは、
「シルバー」と「田口」の血縁すら、想像させる。
そのことに海賊たちは鋭く反応します。

一幕ラストは先ほど書いたように、
『ジョン・シルバー』シリーズ定番の、
鳴り響くシルバーの歌→足音→シルバーの予感、と展開し、
この『愛の乞食』の場合は、トイレのドアを開け放って
一本足のシルバー(今回の場合は「憲兵」の格好)が
現れたところで一幕は終わります。

この「シルバー」は「田口」の早着替えによって演じられます。
二人の間に血縁を予感させ、「小春」との物語をも想像させる。

厳密に整合性がとれているわけではありませんが、
こうして、シリーズの要素が散りばめられているところに
読者や観客の想像力が刺激されます。

一幕の公衆トイレは、二幕、日本領時代の朝鮮半島へと
舞台を移します。続きは、5/31(日)です。