6/3(水)母はミステリアス

↑『吸血姫』のなかでも特にインパクトのある二幕の風呂板わたり。
さすがに事実とは思いませんが、ではどこからが虚構なのか。
難題です!(唐ゼミ☆2012年秋公演より 撮影:伏見行介)
唐さんのお母さんについて考えています。
唐さんは、自分のお母さんのことを、台東区の風呂屋の娘さんだと
言っていました。だからこそ、『ジョン・シルバー』の「小春」は
お風呂屋さんの番台にいます。だからこそ、『吸血姫』の「さと子」
は関東大震災の夜に風呂にかかる板の上で産み落とされるのです。
まさか、『吸血姫』のエピソードが実話だとは思いません。
が、風呂屋の娘というのは本当だと受け取ってきました。
唐さんは小さい頃、お母さんが体験した関東大震災の下町の風景を
寝物語りに聴いたといいます。地震が火事を呼ぶ。火事は熱波により
竜巻を発生させ、大八車が宙に浮かび上がった。
そういう話です。
それから『風のほこり』。
あれこそ、ストレートに母を描いた作品です。
彼女は若い頃に作家志望で、自作のシナリオを浅草の劇団に持ち込んだ
こともあった、という話です。
しかし、実際はそうではないらしいのです。
唐さんのお母さんは福島出身で、東京生まれではない。
では、関東大震災は? 作家志望は?
大分出身のお父さん、福島出身のお母さんが出会い、結婚して、
どのような経緯で万年町に住むようになったのか。
それから、お母さんの弟である叔父さんは復員したあと、
国鉄田町駅で働くわけですが、なぜ福島には帰らなかったのか。
唐さんが語るお母さんは、どこまでが真実で、どこが創作なのか。
謎でいっぱいです。


