【あらすじ】

初夏の日ざしを浴びた雑居病棟に、一人の女が現れる。彼女の名前は江ノ島カイ。

玉ノ井の女郎に育てられたというカイは、育ての親の愛用品だった鉄製のベッドを追いかけるうちに事故に遭い、

偶然居合わせた探偵の金田（かねだ）によって病院に運び込まれたのだ。

そしてそのベッドは偶然にも同じ病院にあった。

そのベッドが置かれた病室には、見舞いに訪れた盲人の姿が。

盲人達はカイの養母の話から、国鉄職員として働いていたこと、

玉ノ井の女郎による慰安を受けられなかったことをまじまじと思い出してしまう。

そして受けられなかった慰安を改めて受けるため、トロッコへと姿を変えたベッドにのり、

かつてのお化け煙突の跡地へカイを攫っていってしまう。

連れ去られたカイを追い、金田は盲人達のたまり場「蝙蝠ホテル」へと辿り着く。

そこで再会したカイから、昔の話を聞かされる。

かつて同じダイカスト・メッキ工場で働いていたこと、

そして事故によって互いの手の肉を分け合ったこと・・・。

二人は動かなくなった手の肉をつけ合い、手の肉の再会を喜び、そして慰め合う。

が、それに嫉妬した盲人達は二人の手を粉々にたたき潰してしまう。

傷ついたカイに、養母の形見の市松人形が語りかけ、胸には玉ノ井の女郎の証、「女郎蜘蛛」の入れ墨が浮かび上がる。

それを見た金田は、その入れ墨にこうもり傘を突き刺してしまう。

女郎の柵から解放されたカイは、トロッコに乗って旅立っていく・・。

【キャスト／スタッフ】 

作・監修＝唐十郎 

演出＝中野敦之 

江ノ島カイ＝椎野裕美子

探偵・金田＝渡辺幸作

玲子＝禿恵

玲子の姉＝古川望

大塚＝前田裕己

大塚の母＝関緑

蝉丸＝杉山雄樹

蜂丸＝安達俊信

とかげ丸＝伊吹卓光

マン丸＝小川尊

日の丸＝堀内大助

二重丸＝土岐泰章

看護婦＝水野香苗

美術＝関緑

編曲＝サトウユウスケ　寺坂裕治

音響＝禿恵　土岐泰章

照明＝斉藤亮介

チラシ作成＝k.徳鎮

HP作成＝五十嵐靖也 安達俊信