6/9(金)小田原での二日間

2023年6月 9日 Posted in 中野note
IMG_3588.jpg
↑有名な鈴廣や籠生のほかにも蒲鉾ブランドがいっぱい。
今回買ったのは「山一」というお店

昨日と今日の二日間は小田原で過ごしました。
神奈川県民ホールの仕事で、まだ新しい三の丸ホールを中心に
ある企画が進行中のため、街の皆さんに挨拶まわりをしたのです。

車で小田原に行くには二つの方法があり、
横浜新道から西湘バイパスへと繋ぐ道、
東名に乗って小田原厚木道路を往く道がありますが、
大磯から海沿いを走ることのできる西湘バイパス方面の
朝はたいがい激混みです。

そこで小田原厚木道路を進むことになるが、
なかなかどうしてこの道も素敵です。
制限時速70キロという高速道路にしては低めの
スピード設定に加え、この道は覆面の警察車両が常に
回遊しているのだと、神奈川の仕事を開始したばかりの頃に
小田原の知り合いに教わりました。

だから、感覚的には極めて低速で直線的な道を進むが、
まず、途中にある平塚がなぜ「平塚」という名前なのかがよくわかります。
本当に、まあ平らなのです。

そして、二宮を超えて風祭トンネルを抜けた先に広がる
小田原の景色はいつも素晴らしいと思います。
一気に視界が開けて、JRや小田急の線路が結集する線路を中心に
右は緑濃い山が広がり、左手に海が見え、何より空が広い。

小田原に行く時はいつも朝の渋滞を恐れて早朝に行き、
小田原東のインターでうどんを食べるのがずっと日課になりました。
昨日も今朝もこの調子です。

コロナやイギリスを挟んだので久しぶりの感がありますが、
こうして日常的に各地に行っていると、ああ、神奈川の仕事をしている、
そういう気分と高揚感が高まってきます。


6/8(木)室井先生追悼の会の準備

2023年6月 8日 Posted in 中野note
top_yokohama__.jpeg

気づけばすでに3週間を切っているので、
室井先生追悼の会への準備について、尻に火がついてきました。

https://muroilabo.wixsite.com/2023yokohama


空間をどうつくるかは齋藤を呼び出して相談に乗ってもらい、
進行を考えて、出席してもらえる人の中からエピソードを披露して
もらえそうな人たちに電話をかけまくっています。

どうも、参加を申し込んできた卒業生の中には、
「何か喋らされるのではないか・・・」と恐れて申し込みを
躊躇した人もいると聞きましたが、さすがに私も大人です。
そんな無理強いはしませんから、安心して下さい。

というわけで、事前の丁寧な申し入れを行なっています。
ケータイ電話番号を知らない人にも、
facebookのメッセンジャー通話でかけられるから便利です。

あの、着信する時の♩ドロロロロロロ、ドロロロロロロ
という音はなんだか気持ちが悪いですが。

電話で話す人の中には、当然ながらかなり久しぶりの人が多く、
隔世の感に打たれまくっています。

あとは、腕利きのK山くんに頼んで煽り映像を作ってもらいます。
彼には、こちらがストーリーを組むのが遅くなりすぎて、
負担をかけすぎないようにしなければと思っています。

あと16日後。

申し込みにはまだ10名強の余裕があり、フォームはこちらです。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe8TFtwqQ_3CIG1PPdznwfvUqeUIhwFOWohh9WWE0DH2iDVhQ/viewform

6/7(水)ちょっと弱っているので勇気の出る一言

2023年6月 7日 Posted in 中野note
51TSSTSRTVL._AC_UL800_FMwebp_QL65_.jpeg
↑前は中公文庫ビブリオでお手軽に買えました。
今は中古のみだけど・・・


なにかむずむずと調子が悪い。
特段、熱を出したり風邪をひいたりというのでは無いのですが、
舌の付け根がなんだか痛い。

これは、22歳の時に『動物園が消える日』金沢公演を
終えた後にかかった急性扁桃炎以来の症状です。

あの頃は体力も、ペース配分の知恵もなかったし、
すぐに次の予定もなかったので公演後は緊張感がなくなり、
芝居を終えるたびにガクッときてしまっていました。

そのなかでも金沢公演のあとはビッグウェーブで、
初めて舌の付け根を痛いと感じました。
あの時以来、舌の付け根は喘息と並んで自分の体の「弱い部分」
となり、危険を察知するセンサーの役割を果たしてくれるように
なった、とも言えます。(前向きに言って元気を出そう!)

致命傷ではないがちょっと調子が出ないな。
現在はそういう感じです。

こういう時に思い出すのは、皆さんも好きな
エルネスト・チェ・ゲバラのこの言葉。
「打撃は絶え間なく与えなければならない」。

これは有名な『ゲバラ日記』でなく、
それよりは読む人の少ない『ゲリラ戦争』という本の一説です。

自分はこれを、こう捉えています。
「調子の悪い時は悪い時なりに、
ほんの小さな軽石を投げるくらいでも良いから打撃を続けよ、
そうでなければ、敵が安心してしまう。安心は相手の回復を
増長を生み出してしまう。そうなれば不利だ」と。

まあ、自分の場合は創作や生活上の目標があるのみで、
「敵」というほど大げさなもんではありませんが。
それにゲバラに対して私が捧げている敬意は
偉大な革命家としてよりも、喘息持ちなのにゲリラ戦の過酷を
やってのけた人、という意味合いが圧倒的に強い。

というわけで、今日は軽めの小石としてのゼミログでした。

6/6(火)ピーターからのメッセージ

2023年6月 6日 Posted in 中野note
351475861_1369684620242752_2041329925146856668_n.jpg
↑立体駐車場での演奏会のリハーサル。曲目は惑星組曲だったらしい


イギリスのピーター・フィッシャーからメッセージが来ました。
それによると、彼の参加するフィルハーモニア管弦楽団は、
今年もペッカムというガラの悪い地域の立体駐車場での
コンサートを行ったらしい。

去年、さまざまなライブを観ましたが、
あの場所は特に気に入りの会場のひとつでした。
何せクラシックのコンサートを、屋根こそあれ半野外の、
国鉄を往き来する電車の軋みが響き渡る場所で行うのです。

日本では考えられませんが、
英国トップクラスのオケであるフィルハーモニアは嬉々として
この場所でコンサートを行っていました。

自分はひとつも見逃すまいと、去年ここで行われたすべての
ライブを聴きました。

スクリャービンの『神聖な詩』
グレツキの交響曲3番
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番

が、それぞれメイン、という具合でした。

当時、ピーターは「来年もあるかどうか分からない」
と言っていましたが、今年も同じように実施されて、
曲目はホルストの惑星組曲だったらしい。

空に近いあの場所で、遊び心のあるナイスな選曲だと思いました。
今年に入って、仕事や友人がらみ以外の演奏会に行くことは絶えて
ありませんが、フィルハーモニア管弦楽団がそのうちに来日したら
必ず駆けつけようと思っています。

ピーター、ツアーメンバーに入ってくれると良いけれど。

6/5(月)『二都物語』本読みWS 第5回レポート

2023年6月 5日 Posted in 中野WS『二都物語』
ダウスンの墓.jpg
"The Days of Wine and Roses"というフレーズを生んだ英国詩人
アーネスト・ダウスンのお墓(2022.12.25に撮影)


昨晩は『二都物語』の本読みを参加者の皆さんとしました。
場所は幕間の後半から2幕の冒頭。
物語の進行にとっては、内田一徹をめぐってリーランと光子が対立した
1幕の終わりが、物語の後半に向けて盛り上がる下地を整えるような
箇所です。

まず、幕間。
幕間は全体を通じて、光子のその後を追うものです。
一徹と光子が暮らすアパートは、今では光子と同じく工場を焼け出され
家族をも失った包帯の少女たちの溜まり場になっています。

造花の内職に励む彼女らは、体を売って生きるしかないのではないか。
そういう不安に慄いている。光子も熱病に罹っています。

そこへ、1幕で犬殺しから転職した猫とりがやってきてコミカルな
掛け合いをしますが、その中で、包帯少女たちが化け猫のように
なってしまうのが面白いところです。

リーランが戦中以来、何年生きているのか知れない朝鮮の少女なら、
光子たちもまた、処女のお化けめいている。
一徹、どちらも災難、そんな感じもします。

変わって2幕。
「酒とバラの日々」というネーミングについて私は熱弁を振いました。
これは唐さんが1962年に封切られたハリウッド映画のタイトルを
転用したものですが、そのおおもとは、私の好む英国のマイナー詩人、
アーネスト・ダウスンの一節によるからです。

去年、ダウスンのお墓参りに二度行った。そんな話も披露し。

『二都物語』の二幕は、明確に『吸血姫』3幕を思わせます。
あっちはバー「お世話好き」で繰り広げられるやり取りでしたが、
こちらもなかなか珍妙。偽の役人や刑事がマスターやバーテンを担い、
猫とりがくだを巻いている。面白いのは、オンザロックの氷の輝きを
1幕に少しだけ登場した陽向ボッコの群れが注視していることです。

彼らの異様なまでののどかさは、この劇において場違いであり、
だからこそ笑いを呼びます。東北に伝わる太陽の光を求めて彷徨う
座敷童子が陽向ボッコたちの原型ですが、日本の田舎が誇る
純国産という感じがする。

彼らがなぜ重要なのかといえば、
この劇のベースには、朝鮮半島から渡ってきた朝鮮の人々、
戦前戦中に日本から半島に渡り、日本国籍を失って向こうで年月を
過ごした後、失った国籍や故郷を偲んで帰ってくる元日本人が
登場するからです。そこへ唐さんは、日本の田舎が誇る
純日本人を持ち出した。突飛なのですが、そういう構造になっている。

ともあれ、場末にくすぶるバーにリーランが登場し、
あとは一徹が登場すれば物語はクライマックスに向かって動き始めます。

猫とりが自らに染みついた体臭を嫌って香水を丸ごとかぶる、
しかもその香水の名前が、リーランがかつての恋人と交わした名
「ジャスミン」であることが、唐さんの巧みさです。

道具立てが整いました。
あと3回。6月を通して『二都物語』を完結させます。

6/4(日)演出部(米澤)

2023年6月 5日
米澤です。
今日はこれから家を出ます。
このゼミログを書くのを忘れておりましたので短くなります。
忙しくはあるのですが、役者ではない立場から演劇を眺めるのは
とっても面白いです!
座・高円寺です!

KIMG2090.JPG

6/3(土)劇中歌WSレポート

2023年6月 4日
1F624368-AB58-44B0-9824-CAF15A1CF844.jpeg
(「鐵假面」で1番人が集まるのがこの裁判のシーン)


今日も引き続き、スイ子のせりふを取り上げました。

夏休みの日記帳から、今度は、

スイ子が行った森の話に内容が変わっていく場面です。


まずは「鳥も飛ばない」を今回は

一曲全て通して歌いました。

同じテンポで、意外と音程が変わる歌なので

あまりぶれないように、しっかりと声を出しながら歌います。


さて、本編に入り、スイ子のせりふ。


暗い森の中で、高い木に登ると言い出した男の描写を

もう一度ゆっくり読み直してみました。


スイ子が迷い込んでしまった森はどのくらい暗かったのか?

男を背負った時間はどのくらいだったのか。

男はどのくらい重たかったのか。


などなど、参加してくださってる方と

話しながら一緒に読んでいきました。


さて、次週は検事としてスイ子に質問を続けていた

タタミ屋との二人のやりとりが出てきます。


裁判シーンは登場人物が多かったのですが、

二人になった時にどんな会話が行われるのでしょうか。


また来週!!


6/2(金)本棚のホフマン全集

2023年6月 2日 Posted in 中野note

IMG_1248.jpg

↑唐さんが持っていた創土社の全集。インパクト大の装丁!



昨日の夜、ホフマンについてお話しする機会がありました。

ドイツ文学における後期ロマン派の作家として活躍した、

あのE.T.A.ホフマンのことです。


自分は本当の専門家では無いのですが、

集まっている人間の中ではよく読んでいる方だったので、

10分でホフマンについて説明して欲しい、

というオーダーに応えることにしました。


18世紀の後半に起こったロマン派のムーヴメントについて、

ナポレオンやベートーヴェンや絵画の印象派や

もちろん、ドイツ文学史上の先輩であるゲーテやシラーを紹介しつつ、

ちょっと変わり者の後輩としてのホフマンを紹介しました。


私がホフマンをよく読んでいたのは20代半ばのひどく暇だった頃です。

あの頃、バルザックやドストエフスキーとともに、よく読みました。

そして、その背後には、確実に唐さんの影響がありました。


大学に入ったばかりの頃に緊張しながら唐さんの研究室を

訪ねると、そこにはまだ、後にできる小さな木組みの

ステージや暗幕はなく。タイル床とじゅうたん敷きの

スペースが半々になっていました。


壁一面の本棚に本はなく、ただそこにぽつんと、

創土社のホフマン全集のみが置かれてありました。

きっと唐さんが、室井先生にリクエストして

慣れない研究費の活用で古本屋から買ったのかも知れません。


大学1年の頃の自分に、ホフマンは未知の作家でした。

ただその装丁のサイケデリックなことと、

唐さんが好きなのだから必修課題であることだけが

インプットされました。


後から考えたら、2000年春、

唐組がホフマンの『黄金の壺』『砂男』に想を得た

『夜壺』を初演した背景には、あの全集が一役買っていたのだと

思います。あの全集は当時から貴重品で、自分は文庫本や

国書刊行会のものを掛け合わせて一作一作を読んでいきました。


皆さんの前でホフマンを語ることができたのも

そういうわけで、唐さんのおかげなのです。

6/1(木)車の6ヶ月点検と唐十郎

2023年6月 1日 Posted in 中野note
download.jpg
↑私の想像する唐さんの過去車。こんな風だったのだろうか?


今日のお昼は仕事を一旦置き、車の点検に行きました。
自分がまだロンドンにいた頃、12月半ばに納車されたホンダ フリードが
半年点検を迎えたのです。

つい先日、釘3本によりパンクしたタイヤを交換してもらった
ばかりだったので、今日はオフィスにいた担当の店員さんに
慰められました。劇団をやり、劇場に出入りしていると、
どうしても釘との遭遇率は高くなる。
自分ではそんな風に自らを納得させています。。

劇団をやっていると、20代の頃は自家用車を持つことなど
思いもしませんでした。しかし、神奈川県や財団の仕事で県内を
行き来するようになり、日産ラフェスタから自分のキャリアが
スタートしました。まだ小さな子どもが病気になった時など、
車があるのが本当にありがたく感じられます。

駐車場、保険、車検、修理、固定資産税、まれに違反の罰金・・・
多分に漏れず維持費はかかるけれど、助かっています。
2代目のフリードはどこまで走ってくれるだろうかと案じながら
すでに14,000km走行。これはなかなかの数字だと言われました。
よくメンテナンスしていきます。

点検の待ち時間に唐さんと車のことを考えてみると、

『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』・・・海辺をひとっ走りの車
『続ジョン・シルバー』・・・小春の愛車ムスタング
『吸血姫』・・・人力車と救急車
『虹屋敷』・・・岸信介が乗りつけたキャデラック
『赤い靴』・・・少女の誘拐に使われたハイラックスサーフ

などが連想されます。きっとまだまだあるでしょう。

唐さんご自身は大学に来る時、辻孝彦さんの運転する
ブルーのBMWに乗ってやってきました。
私が知り合う前の唐さんは、ピンク色の車に乗っていたとも聞きます。
ちょっと想像がつきませんが、いかにもファンシーな唐さんらしい。

自分は車にこれ以上の贅沢を望みませんが、どうか長生きして欲しい。
初めて乗ったラフェスタのことも思い出しつつ、そういう気持ちを
現在のフリードに託しています。

5/31(水)『二都物語』本読みWS 第4回レポート 〜幕間について〜

2023年5月31日 Posted in 中野WS『二都物語』
image001.jpg
↑コメディアン・清水金一(シミキン)の写真
他に唐さんが影響を受けたミトキンの写真は無い


昨日は読売新聞新聞の掲載に興奮してしまったので、
一昨日の『二都物語』本読みの続きです。

1幕終わりはリーランの悲運を描いていかにも可哀想でしたが、
幕間になると一転、舞台はコミカルになります。
こういう転換、気分を真逆に振っていくところが唐さんの巧みかつ
おもしろいところです。

この幕間には「猫とり御殿」という楽しい名がついています。

舞台は光子の住む長屋。
しかし、今はそこに包帯を巻いた少女たちが押し寄せて
造花の内職工場と化しています。

また、この長屋には三味線教室がたくさんあるらしく、
三味線の音と、お師匠さんたちの「あんたはカンが悪いねえ」の
叱責がひっきりなしに聞こえます。多分にコント的です。

そして、そのコントに乗っかって、
障子の後ろに隠れたクリーニング屋がやってくる。
障子に隠れて影しか見えないこの男こそ、1幕序盤で
犬殺し→猫殺しに転職した男です。

猫殺しがハントする猫の革→三味線という連想により成立している
全体の設定ですが、彼は我が身に染み付いた獣の匂いを気にして
クリーニング屋になったというわけです。

・・・という幕間の下地が敷かれたところまで、
一昨日はやりました。その上にどんなやり取りが展開するのか。
それはまた今度の日曜日に進めます。

学生時代、浅草軽演劇に通った唐さんのセンスが光る幕間です。