9/20(日)ハンディラボでの一日

2020年9月21日 Posted in 中野note
DSC_0164.JPG
安保さんが作曲した唐さんの歌を、今日も元気に歌っています!

今日、劇団員たちは朝から大道具・小道具づくりを
ハンディラボで行いました。
昨日に行った衣装合わせといい、
8月から9月中旬までをかけて
稽古が一通り最後のシーンまで進行したことで、
一旦、作業に重点を置いて活動するのが、
ここから約三週間の目標です。


一方、私は津内口と
神奈川芸術劇場の仕事で行っている
綾瀬シニア劇団のワークショップのため、
現場をお任せしている劇団山の手事情社の
倉品淳子さん、佐々木啓さんと綾瀬市オーエンス文化会館に。
お二人のワークショップの進行をサポートして帰って来ました。

それにしても「GO TO キャンペーン」のためか、各地で超渋滞。
丈夫か、感染拡大!?

帰りにお二人がハンディラボに寄ってくだったので、
そこで記念撮影!
IMG_8869.jpg

ちなみに、以前には、
同じ神奈川芸術劇の企画で仕事をしている
安藤洋子さんもハンディラボに来てくださり、
こんな動画製作にも発展しました。
00:17からの映像に、『木馬の鼻』の木馬「マチュピチュ」が
出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=1SD9btrM0-M


そのあとは唐ゼミ☆ワークショップに突入し、
熊野とともに10人の参加者を巻き込み、
『ジョン・シルバー』の要所を押さえていきました。
メインは1幕後半を当たることでしたが、
話は2幕を通じた「小春」のその後や、
続編における完結篇『あれからのジョン・シルバー』の
集結部分にも話が及び、終わってみれば、あっという間の22:00。

来週からは『下谷万年町物語』をやります!

9/19(土)安保さんに捧ぐ⑥

2020年9月20日 Posted in 中野note
6DFFD93E-44EB-459E-A2D9-8C9F08774D9F_0.jpg
↑ちょうど日付が変わる頃、禿とNADJA(ナジャ )に伺ってきました。
最後はやっぱりここ!!

『唐版 風の又三郎』に挑む者にとっての大いなる味方、
劇中歌作曲の安保由夫さんとの思い出をつづる日記も今夜が最終回。
御命日の前夜は、安保さんご自身に関する私の大好きなエピソードから。

後に状況劇場を支える一人になった安保さんですが、
劇団の入団試験には落ちてしまったのだそうです。
しかし、試験翌日に安保さんの姿は劇団の稽古場にあった。
自分が入ると決めたからここにいる。そういう理屈であったようです。

試験の当落に関わらず安保さんが貫いた姿勢は
やがて認められるところとなり、晴れて劇団に加わることができた。

私はこの挿話がとにかく好きで、安保さんから幾度となく伺いました。

紅テントとか、70年代とか、
どちらかといえばマッチョなイメージが強く、
大声で怒鳴り合う闘争の雰囲気が漂いがちですが、
この姿勢こそが安保さんの真骨頂だと、私は常々思ってきました。

安保さん独特の強さ。それは、静かな、決然とした強さです。

これは私の想像ですが、
きっと安保さんは声を荒げることなく稽古場の隅にいたに違いない。
いぶかる先輩たちに何と言われようとそこに居つづけたに違いない。

第一夜目に書いたように、
安保さんはいつでも、静かに私たちを助けてくださった印象があります。
この静けさと、震えるような神経の細やかさこそが、私たちの安保さん。

あるいは、紅テントの宴会で、唐さんが開く稽古場での集まりで、
安保さんが曲を付けた中原中也の『サーカスの唄』を聴き続けてきた
からかも知れません。静かで震えるような、安保さんの歌声。

実は、私はかつて一度だけ、
自分には唐さんの劇をつくる資格が無いのではないかと思ったことがありました。
その頃は少しの力も湧かず、ただ呆然としていたものです。

そのような時にお電話したところ、安保さんはこう言われました。
「やりたい人が、ただやればいい。
 中野が唐さんの芝居をやりたいならば、やれば良いと思う。
 ボクの劇中歌も、歌いたいなら歌って良いよ。」

じわりとこみ上げてきました。
大声を上げて他人と渡り合うような闘争心や元気は無かったけれど、
当時の自分にも、ただしがみつくつくことならできそうでした。
そして実際、ただしがみつくことにしました。

安保さんには多くの恩を受けてきました。
その中でもとりわけ大きな恩は、『蛇姫様-わが心の奈蛇』の後と、
そして、静かに励ましてもらったこの時でした。

きっと、11月に臨む『唐版 風の又三郎』は3番目の大恩になります。
さらにこれからも、自分で力が湧かないような時には、
安保さんに教わった静かなやり方で自分を貫くと思います。

それにしても、自分には何故か、
見られたはずもない状況劇場入団1日目の安保さんの姿が目に浮かびます。
きっと梃子でも動かない意志のこもった眼差しで、
安保さんは静かに、そこに座っていたと思います。

DSC_0129.JPG

9/18(金)安保さんに捧ぐ⑤

2020年9月18日 Posted in 中野note
DSC_0130.JPG
↑向島ゆり子さん(左)と張紅陽さん(中央)をバックに歌う安保さん
「21世紀リサイタル」より


第五夜です。明後日が御命日。

自分の腕に少し自信が持てるようになると、
徐々に緊張も解け、安保さんの話はますます面白くなりました。
私は酒が飲めないので、NADJA(ナジャ )では
ほとんど「ウィスキーの香り付け水」のような水割りをつくってもらって、
これを舐めながら過ごします。ナポリタンもよく食べさせてもらいました。

状況劇場の稽古や唐さんの創作がどんな風に行われていたか
いつも興味を持っていた私は、まさに生き字引きである安保さんに
様々なエピソードを伺いました。

その中で判明したのは、
勢いや暴力性に任せて語られることの多い紅テントが、
実は徹底した稽古量を土台に展開していた事実でした。

例えば、唐さんや大久保さんは、
どちらかといえば、稽古の積み重ねよりも本番でハジけるタイプです。
稽古をしていると、すぐに飲み会に突入したくて仕方がない。
一方、李さんや根津さんを中心に、膨大な稽古が実践されていたらしい。

このあたりの遠心力と求心力、双方の激しさやぶつかり合いに、
当時の状況劇場の秘密がありそうな気がします。
だいたい、当時の劇団の様子を伺うと、
年末年始の他はとにかく稽古場に集まっていたそうで、
上演台本があってもなくても、例え公演本番が遠くても、関係がない。
過去の唐戯曲や、時には唐さんではない台本も引っ張り出しては、
稽古していたと聴きました。

そう言われてみると、1980年初演の『女シラノ』の映像には、
李礼仙さんと十貫寺梅軒さんが、バレエのテクニックである「リフト」を
駆使して縦横無尽に動きながら、矢継ぎ早に喋りまくる場面があり、
あのタイミングとスピード、安定感は、
緻密な段取り、繰り返しの修練なしには不可能です。

そんな風に、私は安保さんの話の中から、
いつも自分の芝居づくりに応用できそうな要素を探っていました。
もちろん、従来のイメージ通り、
かなり破天荒な唐さんたちの伝説も伺いながら。

そうして過ごしていた2011年度の初め、
当時の上司だった室井先生が、横浜国大のサテライト「北仲スクール」の
予算を使って唐さんのイベントを構想するべしと言ってくださったことが、
「大唐十郎展」や、目玉の「21世紀リサイタル」に結実していきました。

勿論、早期に私が安保さんに協力を仰いだことは言うまでもありません。

土台、このイベントの下地には、
安保さんが2005年春に下北沢シネマアートンで行った
『追跡・汚れた天使』上映と弾き語りが大きく影響していました。
『ベンガルの虎』の名劇中歌『鬼と閻魔』を初めて聴いたあの夜を経て、
『汚れた天使』も上映した「大唐十郎展」がありました。

DSC_0179.JPG
↑即興で歌って下さった石橋蓮司さんを完璧にサポートする安保さん

安保さんのご紹介により、伴奏に「めいな CO.」の張紅陽さんや
向島ゆり子さんら豪華メンバーもお迎えでき、
自分ではなし得ない幸福な一人歩きをこのイベントはしていきました。

このリサイタルのために、安保さんは私がお支払いした謝礼以上を
使ってスーツを新調したのだと、後に伺いました。
飛び入りで歌って下さった石橋蓮司さんに対し、
圧倒的な経験値と対応力で伴奏を付けて下さった安保さん。

『蛇姫様』を経た私は、以前より堂々と安保さんに会い、
胸を借りることができるようになっていました。

9/17(木)安保さんに捧ぐ④

2020年9月17日 Posted in 中野note
DSC_0136.JPG
↑21世紀リサイタルでは『ユニコン物語』より、思い出の『八房の唄』を
リクエスト。バックコーラスを唐ゼミ☆メンバーが担当しました。

安保さんに捧げる第四夜。
ちなみにこのシリーズは9/19(土)、御命日の前夜を以って完結する予定です。

2006年秋の唐ゼミ☆『ユニコン物語 溶ける角篇』以来、
安保さんと交流が生まれて判ってきたことは、
安保さんをはじめ唐さんの周りの恐そうな方々が、
実はみな優しい、ということでした。

それはそうです。
唐さんの芝居は荒っぽくておどろおどろしいと思われがちですが、
その中心にはいつも繊細さ、傷付きやすさが潜んでいます。
そういうものをキャッチして惚れ込んでいる面々ですから、
やっぱり温かいのです。

しかし、そういう優しさを頼りに安保さんと交流しながら、
自分には大きな課題がありました。
『ユニコン物語(06)』『鐵假面(07)』『ガラスの少尉(08)』と、
唐ゼミ☆で安保さん作曲の劇中歌の力を借りながら、
未だ肝心の芝居を認められていなかったのです。

私が礼を正して接していれば、安保さんは相手をしてくださいました。
でも、劇は認められていない。そういう自覚がはっきりとありました。
口惜しく、避けては通れない大問題です。
人間的には優しいけれど、こと芝居には厳しい。当然です。
これもまた唐さんの周囲で出会う全ての方々との、どうしようもない真実でした。

この間、唐ゼミ☆にも初期メンバーの離脱など様々な変遷がありましたが、
09年の大作『下谷万年町物語(劇中歌作曲は猪俣公章さん)』を経て、
2010年春、四たび安保さんの劇中歌の力をお借りする日がやってきました。

演目は『蛇姫様 わが心の奈蛇』。

以前にこの「ゼミログ」でも書いたことがありましたが、
この公演をきっかけに、自分は劇のつくり手として一定の感覚を掴んだように思います。

稽古の頃からその予感はありました。
唐さんの芝居が、もっと言えば、劇のつくり方そのものについて、
自分が一定の基準を体得できつつある感覚があったのです。

例えば、1幕の序盤。
青年「山手線」と仲間の「タチション」、
ヒロイン「あけび」はいずれもスリ同士、商売敵として出会います。
そのうち、悪役による罠から「タチション」は毒サソリに手を噛まれてしまう。
すると、「あけび」は咄嗟に自らの口で毒を吸い取ることで、「タチション」助けます。
身を挺してを「タチション」を救う姿を目撃した「山手線」は、
その瞬間に信頼と恋心を「あけび」に寄せ始めて主人公チームが完成、
ドラマは大きく動き始めます。

ですから、この場面はせりふやト書きが与えられた「あけび」や「タチション」に加え、
「あけび」の行動に心打たれる青年「山手線」の変化をこそ、
観客に見せ、感情移入してもらうことが重要になってくる。

・・・とまあ、こんな具合に登場人物たちの有りようや見せるべきポイントが
たちどころに判り始め、劇として立ち上げられるようになったのです。

10-07-10_133.JPG
↑思い出深い『蛇姫様 わが心の奈蛇』の1幕

観客にも唐さんにも本当に申し訳ないことなのですが、
以降に比べれば、それまでの唐ゼミ☆はせりふや場面の羅列に終わっていました。
唐さんに教わって約10年、何か判ったぞ!掴んだぞ! そういう感覚でした。

以来、台本を読むことが、劇をつくることが、いよいよ愉しくなりました。
さらに嬉しかったことは、『蛇姫様』を観に来てくださった安保さんが、
終演後に初めてきちんとした感想を下さったことでした。

「泣いちゃったよ。3幕(終幕)には、
 ただ『あけび』がんばれ、『山手線』がんばれっ、て観たよ。」

嬉しかった。あの安保さんに認めてもらえたことが心底うれしく、感動しました。

『蛇姫様』の時点から、自分の考えには変化がありました。
中途半端な自己主張を戒め、自分を透明にして唐さんを押し出そう、
唐さんの登場人物たち、唐さんのせりふ、唐さんの物語を、
出来るだけさり気なく、そっと押し出そう。そう思えるようになったのです。
台本を読み、劇のつくり方が判るとは、つまりそういうことでした。

そこへきて安保さんは、
ご自身が自然に物語の中に入ることができたと伝えてくださったのです。
自分の実感をずばり汲み取ってもらうことができました。
この感想は、これまでに私が体験してきたお客さんからのご意見すべての中で、
最も大切なものの一つです。

自分が安保さんに演劇人としても認められたと思えた、それが最初でした。

9/16(水)安保さんに捧ぐ③

2020年9月16日 Posted in 中野note
IMG_8837.jpg
↑昨日と同じ『唐版 風の又三郎』パレスチナ公演より、サングラスの安保さん

昨日の続き、唐ゼミ☆で『鐵假面』を上演した時の思い出です。
主題歌『ヒドラの髪油』の話。

この名曲、1幕に2回、2幕に2回、要所で歌われることになっています。
うち3回はヒロインが歌い、1幕の終盤には鉄仮面の群れによる合唱もある。
何度も繰り返し披露され、印象に残ります。

その歌詞はこんな具合。

『♪ヒドラの髪油』
細長い指でぬりたくる ヒドラの髪油
それが頬をかすめると 肌はうろこだつ
冷たい下等な血を秘めて あの女がゆく
手には生臭い ボストン・バッグ

燃えあがる息でからめとる ヒドラの髪油
それが胸を流れると 肌はにおいだつ
ホロリとあつい風をまき あの女がゆく
手にはきな臭い ボストン・バック


これにはおかしなことがあって、唐さんの台本にはどう見ても1番しか無い。
ところが、安保さんが私に託してくださったテープには2番がある!

気になって伺ったところ、この2番は大胆にも、
安保さんご自身が作詞してしまったのだそうです。
「ボクは作曲だけでなく、唐さんが作りそうな詞を書くことも得意なんだよね」
と笑いながらおっしゃっていました。

実に良い2番だと思いました。
そこで私は、唐ゼミ☆での通し稽古、唐さんによる稽古総見で、
2幕にヒロインが歌ううちの1回を、2番に替えて椎野に歌わせました。
安保さんに応えたかったし、何より劇終盤に2番の詞がすごくマッチしたのです。

↓2幕でボストン・バックを手に『ヒドラの髪油』2番を歌う椎野
_MG_9468.JPG

通し稽古後に唐さんに事情をお話しすると、
「あの歌詞も良いね」とたいへん満足されていました。
さすがは安保さん。

この歌詞には2幕の内容が実に色濃く反映されています。
実際、安保さんは自己主張をしたのではなく、
唐さんを追いかけ、唐さんの内部に入って、唐さんならどう考えるのだろうと
思案したのだろうと思います。もちろん、遊びゴコロとともに。

どんなに追いかけても唐さんご自身にはなり得ないわけですが、
その安保さんの姿勢には、自分も大いに共感しました。
同じように唐さんを追いかける者として、私もまた今日に至ります。

追加キャスト決定!!

2020年9月16日 Posted in 30_唐版 風の又三郎
『唐版 風の又三郎』の追加キャストを発表します。

こちらのお二人です!!


 keta_high.jpg
気田 睦田んぼのシャーマン


 higashi_higi.jpg
ヒガシナオキgekidanU

唐ゼミにとって兄貴のような存在、気田睦さん
元・劇団員で弟のような存在、ヒガシナオキくん

二人の参加でますます熱量を帯びてくる、『唐版 風の又三郎』
お楽しみに!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

劇団唐ゼミ☆ 第30回特別公演 
作=唐十郎  演出=中野敦之

【公演日程/場所】
2020年 
11月17日(火)〜22日(日)

開演14:00(開場13:40)
場所:新宿中央公園 水の広場 特設劇場

【料金】
前売/3,600円 当日/4,000円

 [割引] 割引の併用不可
 1.新宿区民割引......各料金の半額でご覧頂けます。
  ※区民であることを証明できるもの(免許証、住民票、保険証等)をご提示ください。 
 2.学割......各500円引き(要学生証)

※ 受付、当日券の販売は開演1時間前から。
(事前に満席になった場合は、当日券を発売しない可能性もございます)
※ 全席自由。チケットに記載されている番号順でのご入場となります。
  (番号は開場時間を過ぎると無効)
※ 予約は前日の18時まで。

============================================
【チケット予約】 <9/5(土)10時 発売開始>
劇団唐ゼミ☆(10時~18時)
●TEL:070-1467-9274 
●チケット予約フォーム:

ご予約の際はお名前・ご住所・電話番号をお知らせください。
============================================

============================================
【新型コロナウイルス感染予防対策】
マスク着用、入場前の体温測定、アルコール除菌のご協力をお願いします。
事前の体温測定で37.5℃以上のお客様はご入場をお断りさせていただきます。
上演中、テント内にて換気を行います。暖かい格好でお越しください。
対策の詳細についてはこちらをご覧下さい。
============================================

omote_A3_kazemata_flame.jpg

nakamiA3_kazemata_200830_web.jpg

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

9/15(火)安保さんに捧ぐ②

2020年9月15日 Posted in 中野note
IMG_8838.jpg
↑『唐版 風の又三郎』パレスチナ公演の写真に映る安保さん(真ん中)
ずいぶん物騒なものが手前に写っていますね。

初めは恐かった安保さんのお店「NADJA(ナジャ)」に、
私は時々行くようになりました。

唐ゼミ☆が2007年に『鐵假面』、2008年に『ガラスの少尉』を上演し、
その都度、劇中歌のテープを頂きに通ったことがきっかけとなり、
安保さんのお話がいよいよ貴重で面白いことが判ってきたのです。

『鐵假面』は1972年秋に状況劇場が初演した作品で、
『ガラスの少尉』は1973年に放送されたラジオドラマ
『ギヤマンのオルゴール』をもとにした舞台、という変わりダネでした。

お店をやっていらっしゃるためか、
安保さんは紅テントを生きて来られた他の方より記憶が鮮明で具体的です。
折に触れてお客さんを相手にお話しされ、思い出すことがあったからでしょう。

唐さんや大久保さんによる虚実入り乱れたエピソードもすこぶる面白いのですが、
これから具体的に劇を作り込む自分には、安保さんによるお話しの
ちょっとしたディティールが宝物でした。

それに安保さんは役者だけでなく作曲も担当されていたためか、
資料を実にきちんと整理されていたようで、
先に挙げた『ギヤマンのオルゴール』も、
カセットテープにダビングして安保さんが私にプレゼントしてくださいました。
若かりし日のすまけいさんと常田富士男さんが主演するこのドラマを、
自分は今でも車の中で聴いています。

ご本人によれば、
作曲などしたことがなかった安保さんが紅テントの劇中歌を手掛ける上で、
『鐵假面』は特に印象深かったそうです。

それ以前には、
1971年秋『あれからのジョン・シルバー』3幕の『♪風が吹きます〜』や、
1972年春『二都物語』の『ジャスミンの唄』をすでに作っておられたのですが、
まだまだ小室等さん作曲の色が濃い頃です。
あるいは、初めて劇中歌の全てを唐さんに任せられたことが、
安保さんの心象に影響したのかも知れません。

翌73年の『ベンガルの虎』と『海の牙 黒髪海峡篇』を経て、
1974年春の『唐版 風の又三郎』までもう一息です。

ちなみに『♪風が吹きます〜』については、
亡くなった後に出たこのCDで聴くことができます。
唐ゼミ☆で『あれから〜』上演を決意した矢先にこれが発売になったので、
安保さんからのメッセージを感じました!↓
51-lhuj4icL._AC_.jpg


『鐵假面』と安保さんについては私も思い入れがあります。
明日はこの芝居に出てくる名曲『ヒドラの髪油』の話をしましょう。

9/14(月)安保さんに捧ぐ①

2020年9月14日 Posted in 中野note
DSC_0153.JPG
↑2011年に行った『唐十郎 21世紀リサイタル』に出てくださった、
一番右側が安保さん。真ん中に唐さんと、左にセコンドの私。

今週末、9月20日は、
『唐版 風の又三郎』の劇中歌を作曲された安保由夫さんの御命日です。
そこで、今日から何日間かは安保さんに思いを馳せながら弔意を新たにし、
現在の稽古への活力にしたいと思います。


安保さんは恩人の一人です。
それも困った時に、いつも静かに手を差し伸べ、
知恵を授けて下さった恩人でした。

唐十郎門下となった20歳前後の自分にとって、
唐さんの周りに集まっている面々はかなり恐ろし気に見えました。

遠巻きに眺めていた大久保鷹さん、四谷シモンさん、緑魔子さん、
石橋蓮司さんは言うに及ばず、金守珍さんも渡辺えりさんも
おっかなくて仕方がない。

後に親しくなる唐組や新宿梁山泊の面々も
押し並べて強面に見えたくらいでしたから、先にあげたような、
状況劇場時代から唐さんと付き合いのある方々ともなれば尚更です。
当然、安保さんもその中のお一人でした。

そんな安保さんと初めて本格的な関わりが生じたのは、
2006年秋に『ユニコン物語 溶ける角篇』に挑んだ時です。

それまでに手掛けた作品の劇中歌は、安保さん作曲ではありませんでした。

『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』『ジョン・シルバー』
『少女都市からの呼び声』は小室等さん。
『鉛の心臓』『黒いチューリップ』『お化け煙突物語』は猪俣公章さん。
『盲導犬』は田山雅充さん。
『動物園が消える日』と『錬夢術』はオリジナルをこちらで作曲。
という具合です。

それはただの偶然だったのですが、
同時に、安保さんが唐さんに深く関わった70年代の状況劇場作品に
唐ゼミが挑むようになったことを意味します。

そのようなわけで、私は安保さんのお店を訪ねることになったのです。
新宿にある「NADJA(ナジャ)」というバー。

今にして思えば、背後に唐さんもいらっしゃる私の平身低頭を
安保さんが受けないわけはないのですが、緊張しながら電話でお願いをし、
後日、安保さんが用意してくださった劇中歌のテープを受け取りに、
いかにも重そうな扉の前に立ちました。

土台、酒の飲めない私はバーや居酒屋に慣れていません。
呑めないので、テープを受け取るのがやっと。
就職試験でも受けるようにドアのノックし、挨拶し、御礼を伝える。
テープを頂戴して辞するまでの時間はだいたい2分そこそこ。
"いたたまれない"とはこのことでした。

飛んで帰るなり再生したコミックソング『八房(やつふさ)の唄』。
安保さんの歌う前奏の ♪ブンガチャカ ブンガチャカ〜 が
緊張の余韻でまったく笑えなかったことを、よく覚えています。

9/13(日)お茶の水実地見聞の旅(津内口)

2020年9月13日 Posted in 劇団員note

先日、禿さんに誘ってもらい、お茶の水に行きました。


『唐版風の又三郎』の三幕の舞台はお茶の水です。

唐さんは明治大学出身なので、とても身近な場所だったそうです。

私にとっての和田町みたいなものかなあ。

そう思うと、細部まで詳細に書かれた町の描写も納得です。


劇中のエリカの台詞にこんな記述があります。


「今日、お茶の水に行ってまいりました。陸橋の冷たい石に顎のせて暗い運河を見下ろし、あんたのために手を叩いたのよ。」


ということで、聖橋に到着した私たちも、エリカよろしく陸橋の石に顎をのせてみたのですが、

酷暑の夏、灼熱の太陽に照りつけられた欄干の期待を裏切る熱さに笑ってしまいました。

時期的にも正解のはずですが、真昼間だったのが敗因でしょうか。。。


IMG_5359.jpgのサムネイル画像



でも、思ったより緑が多いなあとか、確かに電車はエンコしそうだよねとか、

台詞に登場する町を思い浮かべながら過ごすのはとても楽しい時間でした。




他にも行ってよかったのは、ニコライ堂!


IMG_5356.jpg

(↑ニコライ堂。高台部分がわかる写真を撮り忘れる痛恨のミス)



美しい外観を見られたことはもちろんですが、特筆すべきはその立地。

というのも、こんな台詞があるのです。


「ニコライ堂が陥没したそうです。地面の奥にどんどん陥没してゆくそうです。」


インターネットで事前に見ていた写真ではわからなかったのですが、ニコライ堂は結構な高台に建てられていました。

これは確かに陥没する余地があるなあ!と納得。


充実の実地見聞の旅でしたが、後日中野さんのブログを読んで、

ジロー訪問の絶好のチャンスを逃してしまったことに気づき、悔しい思いをしました。

今も虎視眈々とジローチャンスを狙っています。


津内口

9/12(土)若葉町での稽古と明日のワークショップ

2020年9月12日 Posted in 中野note
IMG_8814.jpg
写真は休憩中の稽古場。
シャッターを開けて換気中、米澤と重村の姿が外からも見えます。

今日と明日は若葉町WHARFで稽古しています。
場面は3幕(最終幕)。明日には一通りの場面を終えて、
以降はその向こう側のレベルを追究する稽古を始めます。

先日、佐藤信さんとお話しした時、面白い意見を伺いました。
コロナ禍での公演は、目の前の観客と、観に来られずに
応援して下さっている遠くの観客めがけて行うべし。

そして、遠く離れた人にも届くために、
劇自体のレベルをこれまでの二周り上に鍛えなければならない、と。
至言です。当然、二回り以上をいきましょう!

ところで、明日の戯曲読解ワークショップですが。

ご参加いただいている方からのご要望に応えて、
テーマに掲げている『ジョン・シルバー』1幕の他に、
この演目のエピソード・ゼロである
『絵巻講談 ジョン・シルバー』や、
『ジョン・シルバー』冒頭に書かれているエピグラフについても
追いかけてみます。

リクエストしてくださった方は大変に鋭い!
この二つ、実は『ジョン・シルバー』を読み解く上で、
欠かすことの出来ない前段なのです。

唐さんから教わったこの演目にまつわるエピソードや、
唐ゼミ☆上演時の思い出話も、繰り広げてみたい。

ご期待ください。