9/6(月)ワークショップレポート(佐々木)

2021年9月 6日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』

こんにちは。佐々木あかりです。

本日はワークショップレポートです!


ヒロインの小春は相変わらずシルバーに恋焦がれており、

ボーイが『ムーン・リバー』や『下町育ち』を流して気を引こうとしても、全く相手にしません。


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(それにしてもこの戯曲にはよく音楽が出て来ますね)



苛立つボーイに、少女ミノミの格好をした小春は



小春  あんた、あたし、まるで女学生みたいに見えなくて?

ボーイ 海辺の少女さ。

小春  もう一度いってよ。

ボーイ 海辺の少女!



ボーイにこんなことをいわせる始末。(完全に言わせてますね。。。)



シルバーへの想いを断ち切ってもらいたいボーイは、小春のためにと鳩を緑に塗りだします。

鳩が緑のオウムへと変化させ、シルバーが現れないことを証明しようとするのです。

しかし、その時店の外からシルバーの歌が聞こえてきます。。。



そこにやって来たのは!




ザ・ヤングホルモンズ。




小春はシルバーを迎えに行くといい、去っていきます。


そこへ、突然トイレから物音が。

銀ヤンマに取り憑かれ兄を探し求める少女の姿が。

頼りにしていた緑のおばさんがあてにならなくなり、ボーイによっていたずらされ、

現実に希望を持てなくなった少女は、ただ兄を求めおかしくなってしまっていた。


ボーイは、小春に振られ、

ヤングホルモンズには使用人扱いされ、

かつて自分が誘拐した少女にも相手にされない転落ぶり。




その時、ムスタングの轟音と母と父の叫び声。そして響く衝突音。

部屋の中は夕日で真っ赤に染まると、外から松葉杖の音が響いてきます。


少女は兄を、ボーイはシルバーだと怯えながらドアが開くと、

そこには杖をついた片足の俊ちゃんが。


小春のムスタングに飛び込み、足を失っていたのです。


そこには、小春とシルバーを思わせるような二人の姿が描かれ、

エピローグへとなだれ込んでいきます。


シルバー人形を打つボーイ。




魔が、魔が射てんっ!




そしてザ・ヤングホルモンズが

シルバーの姿となり幕が終わります。




以上、『ジョン・シルバー(続)』でした!


来週はおまけ回として、

『あれからのジョン・シルバー』をダイジェストでお送りし、

『特権的肉体論』も取り上げたいと思っています。



そして20日以降はこれから公演を控える

『唐版 風の又三郎』を一幕ごとにダイジェストでお送りします!



よろしくお願いします!


8/30(月)ワークショップレポート(佐々木)

2021年8月30日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』
みなさんこんにちは。佐々木です。
本日もワークショップレポートです!

今回は第二幕から。作品冒頭に登場した緑のおばさんの
再登場するシーンから読みをはじめました。
再登場した緑のおばさんはなんと、10冊近くの本を万引きしていました!
しかも全て『人魚姫』。なぜそんなことになったかと言うと、
44ページの所からみんな破かれていたからです!本を破いた犯人は後ほど。
そんな緑のおばさんを問い詰める刑事...の格好をしたボーイです。
彼は刑事になったわけではありません。先週のラスト、
小春のシルバーとの夫婦ごっこのストレスから、
刑事"ごっこ"としてマンモス交番の鬼刑事のイトー万助になっているのです。

唐ゼミ☆で上演した時は、緑のおばさんの造形を
伊丹十三さんの『タンポポ』で原泉さんが演じている老婆をヒントに作ったそうです。
(作品が作られた時代的には唐さんの方が先です)
そしてまた余談ですが、昔岩波文庫の定価は,
約100ページを黒星★1つとして、星の個数で値段が決まっていたそうです。

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(流石に人魚姫はありませんでしたが、前に買った本で発見!)

そして第二場に入っていきます。
窓の横の鳥カゴの中にはハク製のハトが一羽。
テーブルの上に古くなった義足が立っています。
『ジョン・シルバー』のラストで海に捨てるとあるのですが、
実は取っておいてありました。
そして今度はボーイが小春に『人魚姫』を読み聞かせします。
しかし破かれている本。そこに書かれていたのは血の話。

ボーイ
するもしないも、ここから先は(本を見せて)ほれ、
ひっちゃぶけているから......(おずおずとしている)

少女(小春)
ひっちゃぶいたのはあんたでしょ?

ボーイ
おまえが言ったとおり湘南地方の本屋という本屋は
かたっぱしからやってきたよお

と台詞があります。そう、破いたのはボーイで、支持したのは小春でした。

いつまでもシルバーを想う小春。
その裏でじわりじわりと準備を進めるバンドのザ・ヤングホルモンズの3人。
特にそれから動きのない(と思われる)当たり屋一家。
どこに行ったかはわからない少女。
これからクライマックスに向け、どうなっていくのでしょうね。
来週でこの戯曲はおそらく最後になります。お楽しみに!

8/17(火)ワークショップレポート(佐々木)

2021年8月17日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』
 皆様こんにちは。佐々木です。
本日はワークショップのレポートです
今日は『ジョン・シルバー(続)』3回目。

妻の小春が昔の男シルバーをまだ追い求めている事により、抑圧された喫茶店のボーイ。
喫茶店には彼が唾をつけているアルバイトの少女、みのみがいますが、彼からの激しいセクハラに耐えかね、
アルバイトの少女「みのみ」にも帰られてしまいそうになります。
そこにやってきたのが、町内会バンド『ヤング・ホルモンズ』
メンバーは、
竹屋、赤ん坊をおぶった小男、キセル屋
の三人。
最初は彼らを追い払うボーイだったが、彼らはなんと小春から雇われてやってきたと言います。
最初三人は別々の所で小春に声をかけられ、この喫茶店で集まり、名前も決まる前に方向性の違いで竹屋と小男が大喧嘩をします。
喧嘩の内容は段々と竹屋の逃げられた妻の話へ。
喧嘩をしている間に勢いを取り戻したボーイは、彼らに『ザ・百姓ズ』という名前を授けますが、
ボーイの馬鹿にした発言に気に食わない彼らはいつの間にか喧嘩もやめ、『ヤング・ホルモンズ』という名前を掲げ、
小男は大正琴を風呂敷から取り出します。

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(大正琴。琴を簡易的に使える様にと発明された楽器だそう。)

しかし、気づけばまた竹屋の妻の話。聞いていられないボーイは"バッハのヴァイオリン"こと無伴奏ヴァイオリン・パルティータ2番をレコードでかけます。
そこに少女が戻ってきます。少女は開口一番、帰ると言います。なんとか言いくるめ、帰るのを長引かせ、彼らは2人で奥に去ります。

今週はここまで。
来週のおさらい、1960年代の世間を震わせた当たり屋一家の事件をご存知でしょうか。
その事件を元に大島渚さんが監督で撮った映画『少年』の予告編を観ました。

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(まさか現実の話だとは。驚きの内容!!)
来週もお楽しみに!

8/9(月)ワークショップレポート(禿)

2021年8月 9日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』
【唐十郎戯曲を読むWS】

公演本番中の佐々木に代わって、臨時アシスタント禿からレポートします。
今日は『ジョン・シルバー(続)』に入って2回目。
前回は、話の前段として『ジョン・シルバー』の理解を深め、
いよいよ本格的に本編に突入しました。

1969年、状況劇場初演時、
東京⇄京都を往復したり
新宿ピット・インで深夜0時30分に公演したエピソードなど、
当時の勢いを想像するだにワクワクします。


作品の根底にあるイメージとして
ラシーヌの戯曲『フェードル』を原作とした映画、
『Phaedra(邦題:死んでもいい)』があります。
青年が義理の母との許されざる恋をして、
バッハの音楽をかけながら海沿いを車をすっ飛ばし、
叫びながら海に突っ込んで死んでしまうという悲劇です。
これは、先日、中野がゼミログにも書いた
私たちが初めて取り組んだ唐作品
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』にも関係していますが
この作品では、より直接的に使われています。
(当時ずっと探していたのですがレンタルVHSでも見つからず、
ずいぶん後になってネットで見つけ、字幕なくても感動しました。)

バッハの曲もさることながら
ミキス・テオドラキス作曲のテーマソングがかっこいい。
後に『吸血姫』の劇中歌にも変貌します。
ぜひ聴いてみてください。
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さて、内容に関して
前段の『ジョン・シルバー』からぐっと内容が具体的で大人になり、
実生活に入っていきます。

『ジョン・シルバー』では勝気で不気味に登場した海の男・紳士が、
一変、喫茶店のボーイとして
不平不満を溜め込む抑圧された男として登場します。

・客によって態度を変える。(客も客だけど・・)
・アルバイトの少女にも自分の切ない過去を聞かせたり、セクハラまがいなことをする。

なんだか無茶苦茶な男のようですが、
というのも、やっと手に入れた愛すべき小春が、
昔の男シルバーを相も変わらず想っていて、しかもそれを叱咤できず、
紳士の描いていた理想的夫婦生活とはかけ離れて抑圧され続けている。
という状況を理解すると、情けないような可哀想なような、同情的な気持ちになります。

一方、こそこそと紳士に唾をつけられている少女「みのみ」も、
( ↑ 妹といえばみのみ。『ガラスの少尉』でも登場!)
『人魚姫』の話をせがむ少女性からスタートしながらも
蓋を開けてみれば複雑な過去を持っていて、やんわりと死を匂わせます。


突き詰めれば苦しくなるエピソードばかりではありますが
ブガルーダンスやグループサウンズなど当時のはやりを含め、 
「ムーン・リバー」「スカッチピンドン」など音楽がたくさん登場し、
コミカルで楽しいテイストで進行していきます。
このあと、あの町内会バンド「ヤング・ホルモンズ」も登場しますからね!
(実にバカバカしく愛らしいシーン!)

今日は、話を読んでいると突如現れて不思議に感じる言葉、
「銀ヤンマ」を
あるときは「空襲」のイメージ、ある時は「シルバー」と繋げるなど、
イメージを具体的に皆さんと共有することができました。
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また次回以降、展開をお楽しみに〜〜〜。
禿


【お知らせ】
来週は15日(日)→16日(月)に振替です。


8/2(月)ワークショップレポート(佐々木)

2021年8月 2日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』
みなさんこんばんは。佐々木です。
今週からワークショップは『ジョン・シルバー(続)』になりました!

『ジョン・シルバー(続)』は、天声出版から出されている
横尾忠則さん装丁の本『ジョン・シルバー』におさめられています。
『ジョン・シルバー』『ジョン・シルバー(続)』
『あれからのジョン・シルバー』『愛の乞食』と、
シリーズもののひとつとして書かれた戯曲です。

『ジョン・シルバー(続)』をよく理解するために、
『絵巻巷談 ジョン・シルバー』と『ジョン・シルバー』の
解説と重要ポイントを抜粋で読んでいきました。

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『絵巻巷談 ジョン・シルバー』
ヒロイン小春と彼女が惚れ抜いた男、シルバーの話です。
ジョン・シルバーというと『宝島』の悪役の海賊を思い出しますね。
唐さんは「昔小説は『宝島』しか読んだことなかった」とか言っていたそうですが。
そんなことありませんよね...。

かつては海賊だったシルバーも今や庶民として燻った生活をしています。
しかし、本当は冒険がしたい。
風呂屋の番台におさまってしまったシルバーは
これでいいのかと夜中に思うのです。
そんなシルバーには誘惑がありました。
それは風呂屋の銭湯にあるこんなアイテム。

・タイル画の海の絵
・鏡

海の絵の向こうから歌が聞こえてくるよう。

死人箱にゃ七四人
それからラムが一びんと
よいこらさあ

シルバーは「おいらもう海賊ではねぇ」と海の絵を拒みます。
すると「やばいぞシルバー!」とハク製のオウムの船長が叫びます。
鏡の中には一本足のもう一人の海賊が立っている。
彼は言う「シルバー、もう一つの"宝島"を探せって」
シルバーは平々凡々な日常に耐えかね、ついに家出をするのです!!!

『ジョン・シルバー』
この作品の基本プロットは
シルバーを探すために女房の小春はさまざまな所へ旅をし、
そこで一風変わった人たちに出会う。といったもの。
出会った変な人代表は、"紳士"。
小春に惚れ込み自分のものにならないかとずっと狙っています。
紳士と小春がはじめて出会う場面では、
小春がかごかきに襲われそうになった時長い長いふんどしをつけて、現れます。
そうして彼は一目惚れ。

そして二幕、彼は小春が訪ねてきてくれるとウキウキして待っている。
しかし小春はこの辺でシルバーらしき男を見ないかと聞きにきている。
彼は巧みな話術で彼女を不安にさせ、諦めさせようとする。
小春も諦めかける。

そこへびっこを引いた松葉杖の音が...
やって来たのは...

小男。
残念ながらジョン・シルバーではありませんでした。


そしてついに、『ジョン・シルバー(続)』の本読みに入っていきました。

『続ジョン・シルバー』
この作品は、小春と紳士の近況からスタートします。
ついに男と小春は結婚。新婚生活を送っているにもかかわらず、
満たされぬ思いを抱え、小春はムスタングをかっ飛ばしてる。
そう、シルバーを全然諦めていない!!
さぁ、小春はジョン・シルバーに会うことができるのか、
はたまた男の思惑通りになってしまうのか。非常に楽しみですね。
来週もよろしくお願い致します!

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小春はこんな車を乗り回していたなんて。なんて自由な人だ!