1/23(木)あのせりふのネタもと

2025年1月23日 Posted in 中野note
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「おもしろいよ!」と勧められて、ミッキー吉野さんの本を読んでいます。
あの、「ゴダイゴ」のミッキーさんが半生を語ったものです。
気分転換に、と思って読み始めたのですが、早速に発見がありました。

子どもの頃の好きな歌に『デビイ・クロケットの唄』があったそうです。
1955年ににアーニー・フォードらの歌でヒットしたC&W、つまり
カントリー&ウエスタンの曲、とあります。小坂一也のカヴァーもある。
という説明です。

ピンと来ました。
『唐版 風の又三郎』1幕にこんなせりふがあります。
「デイビー・クロケットは、三つで熊退治したことを覚えていたよ」
あのせりふのネタもとはこれだったのです。

ある世代の皆さんにとっては当然知っている歌だったかもしれませんが、
私は知りませんでした。またひとつ、台本についての豆知識が増えました。

1/22(水)日本の響き、すげえ

2025年1月22日 Posted in 中野note
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↑チャイコフスキーの『イタリア奇想曲』『ピアノ協奏曲1番』
バルトークの『管弦楽のための協奏曲』というプログラム。
アンコールはブラームスの『ハンガリー舞曲1番』でした

昨夜はコンサートは行けずピーターとの食事だけだったので、
今日は改めて、サントリーホールにフィルハーモニア管弦楽団を聴きに
行きました。

一音鳴って驚いたのは、フルートとかクラリネットとか、
やたら上手く感じたことです。そりゃ一流オーケストラなのですが、
ロンドンで月に2回も3回も聴いていた時にはそこまで感じませんでした。

たまに聴けるありがたみかとも思いましたが、これは要するに、
サントリーホールとロイヤル・フェスティバル・ホールの違い、
加えて、日本の聴衆の集中度の違いだということがよくわかりました。

そういえば、イギリスに一年いたなかで最も感激したコンサートは、
Herefordという田舎の街の大聖堂で聴いたものだったし。
かなり安く聴けたウィグモアホールにもよく行きましたが、
あれも日本で聴いたらもっと素晴らしかったかも知れません。

そのようなわけで、昨晩は日本の凄みが分かる面白い体験でした。

1/21(火)ピーターとの再会

2025年1月21日 Posted in 中野note
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先週末からフィルハーモニア管弦楽団の来日ツアーが行われています。
今日はみなとみらいホールでの、平日なのになぜか昼公演の日でした。
仕事で演奏会には行けないので椎野に聴いてもらい、
自分は終演後に楽屋口に乗り付けました。

ロンドンでかなりお世話になったヴァイオリニストのピーターに
会うためです。二年ちょっとぶりに彼が向こうからやってくるのを
見た時、あの一年間は実在したのだと不思議な感慨に打たれました。

車に呼び込むと、少し街を案内して、椎野や子どもたちと合流、
家の近所のイタリアンに行って5人で夕食をとりました。
食後は都内のホテルに送り、部屋で話し込みました。

明日の夜は、サントリーホールでの演奏会を聴きます。
バルトークが愉しみ。あと二日間は夕食をともにできそうです。
英国で、知り合ったばかりの自分にさまざまな扉を開いてくれた
恩人です。明日も明後日も予定を夕方までにやっつけ、
できる限りのことをしておきたい。そう思っています。

1/19(日)ここは安倍川のほとり

2025年1月19日 Posted in 中野note
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↑ホントに川の目前のお店でした。さすがに美味しい

今日は朝から静岡に出かけました。
親しい友人のご実家に伺ったのですが、早朝に横浜を出たのでお土産を
買うことができず、静岡に着いてからお菓子を買おうと思ったのです。

おはぎが良いな、そう思っていたのです。
ネットで和菓子屋を検索すると、かなりたくさんのお店がヒット
しましたが、が、どの店舗もお休み。日曜日を定休日にしている
ところが圧倒的に多いらしいのです。

探しに探し、オープンしているお店がありました。
写真に立派なおはぎが載っている。ここだと思いました。
が、たどりついて注文すると、中身はお餅だと言われました。

そう。気づけばここは安倍川のほとり。
名高い安倍川餅ゾーンのど真ん中に来ていたのです。
言うだけあって、出来立ての安倍川餅はかなり美味しそうです。

注文を受けてから、その場でお餅を捻り出してきなこや餡で包む手際も
見事です。せっかくなので子どもたちへのお土産用に買うことが
できました。安倍川餅の名付け親が徳川家康だということも
初めて知りました。

結局、おはぎは駅前の商用ビルで買い、友人宅へ。
夕方には自宅に戻り、お餅を食べた後に先ほどまで『御注意あそばせ』
のオンライン本読みでした。そのレポートはまた明日。

1/18(土)ついつい期待に応えてしまう

2025年1月18日 Posted in 中野note
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先週は『唐版 風の又三郎』WSで中座していたオンラインWSを明日から
また再開します。明日と来週で、12月から読んできた『御注意あそばせ』
が終わる。

『唐版 風の又三郎』と『御注意あそばせ』が並んだことは偶然です。
偶然ですが、この二作には大いに関わりがあって、『唐版 風の又三郎』
二幕でヒロイン・エリカが恋人の肉を食べるシーンを描いたために、
唐さんはカニバリズムに関心を持つ作家ということになり、例の
佐川一政さんから自身の体験を映画化するよう白羽の矢がたった
という流れなのです。

カニバリズム。確かにエリカの行動はそうに違いありませんが、
私には、唐さんがさほど大きな構えでエリカの食人を描いたように
思われません。しかし、それを大仰に捉える人がいて、こうなると
唐十郎は、多少なりとも無理矢理に、期待に応えていったのでは
ないかと思うのです。

同じように、『吸血姫(1971)』を発表した時、
ヒロインに川島芳子の扮装をさせたために、唐さんは右翼では
ないかと言われたのだそうです。そして、今度は自分から
『少女と右翼』を書いたりする。面白い応え方だな、と思います。

どちからといえば唐さんご本人の日常や行動様式は保守的で、
確かに面白いことへの追究には少年のように余念がないですが、
一方で、激しい猟奇性や極端な主義主張とは無縁であるように
自分には思われます。

が、この、ついつい皆さんの期待に応えてしまうところが、
唐さんという存在を大きくしたのだとも受け止めています。

1/17(金)1月26日(日)はオープン稽古

2025年1月17日 Posted in 中野note
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ここ数日、劇団に何通ものメールを頂いています。
先週末の『唐版 風の又三郎』WSに関する感想を寄せてくださる方が
何人もいて、ありがたく拝読しています。

1/26(日)13:00-17:00は唐ゼミ⭐︎稽古をオープンにしますので、
誰でも気軽に拠点ハンディラボに来てもらえたら、歓迎します。
題材には『恋と蒲団』か『電子親友』を取り上げます。
この日は、米澤しか稽古に来られないので、ひとつ米澤くんに
少人数でできる唐作品を仕込んでみようと思い立ったのです。

その中には、15年前に上演した『恋と蒲団』に今では不足を感じる
ようになり、これぞ完成系!を思い描いているので実際に追究したい。

『電子親友』を通して、唐十郎が描くゲームプログラマーの
一人芝居を唐ゼミ⭐︎のレパートリーにしたい。

など、さまざまな欲望が渦巻いています。
どなたか来てくださったら、『恋と蒲団』をやります。
良かったら参加してください。

1/16(木)「万年町」の痕跡

2025年1月16日 Posted in 中野note
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昨日は「月光町」にかかわるレポートでしたが、
唐さんが戦後に暮らした上野周辺を歩くと、唐十郎作品の
インスピレーションの源をそこかしこに見出すことができます。

現在は地下鉄銀座線の車庫になっている北上野〜東上野界隈が
かつてのいわゆる「万年町」で、すっかり変わってしまった
あの街にも、やはりかつての痕跡はあります。

それは、電信柱。
「S.54」とありますから、昭和54年にナンバリングされた
表記によると、そこには「万年」の文字がちゃんと昨日もありました。

「万年」と記された電柱は150本ほどありますが、
せっかくなので6番の電信柱です。もちろん「6」は6本指の6。
『下谷万年町物語』にとって、もっと重要な数です!


1/15(水)「月光町」について(『唐版 風の又三郎』WSでの質問より)

2025年1月15日 Posted in 中野note
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↑「東」の右上に「光月町」の文字アリ

1/11(土)-13(祝月)の『唐版 風の又三郎』ワークショップで
参加の方から質問を受けました。あれから調べてわかったことが
あったので、それをレポートします。

質問は次の内容でした。

Q.『唐版 風の又三郎』に出てくる「月光町」とアニメ『おじゃる丸』
の「月光町」には関係があるのか?

その場で私が答えることができたのは、

・唐さんはすでに2作目『月光町月光丁目三日月番地(1964)』で
「月光町」という地名を出している。
・唐さんの創作で、むしろ『おじゃる丸』が唐さんの影響を
受けたのではないか?
・唐さん、『おじゃる丸』 で猫の「はさまりさん」役の声優を
やっていたし 

ということでした。
『おじゃる丸』は1998年放映なので、唐十郎の方が先であるわけです。

では、唐さんのなかで「月光町」はどこから生じたのか。
これは、昔の台東区の地図を見ると、ヒントがありました。

台東区には「光月町(こうげつちょう)」というのが、ある。

浅草と上野・入谷界隈の間の千束のあたりに今も通りの名前となって
生きています。唐さんは現在の東上野・北上野の交わる地域=
「下谷万年町」で幼少期を過ごし、浅草を遊び場としていたわけですから
当然、光月町も行動範囲のうちにあったはずです。

↓打合せで都内に行ったので寄りました。「光月通り」!
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そのようなわけで、唐さんは光月町を転じて月光町を描いたのではないか、
というのが、現在の私の見解です。この発見もまた、ワークショップの効能。

皆さん、どうもありがとうございます!


1/14(火)『唐版 風の又三郎』リーディングWS 3日目+全体

2025年1月14日 Posted in 中野note
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↑参加の皆さんに紹介したロダンの『地獄の門』。上野の西洋美術館の
前にあり、唐さんが幼少期に見た地獄とはこれのことと思われます。
帝国探偵社の扉をつくるのに参考になります。上野に行くことが
あれば、ぜひ見てください。屋外にあるので無料で覗けます


昨日で1/11(土)-13(祝月)の3日間をかけて行った
『唐版 風の又三郎』リーディングWSが終わりました。

3日目は、まずは読み残したp.64-80を読んでいきました。

エリカと織部がどのように協力関係を結び、エリカが片想いする相手
=乗り逃げで亡くなった高田三郎に会いに行くため、死者の国へと
通じていそうな織部の傷ついた耳の中に入る。

耳の中に入ると、帝国探偵社の内部が見え、
そこで繰り広げられている幻燈会を見る人の中に、件の高田がいる、
けれど、高田のとなりには親密そうな少年もおり、エリカはフラれて
しまう。一方、織部は、スケバン姉妹の妹・梅子の顔を傷つけた
濡れ衣を着せられ、ヒロイックな冒険やその結果を期待していた
エリカ&織部は現実の厳しさに愕然とする、という終末を迎えます。

・・・というところまでを一時間ほどで読み、
それから休憩を挟んで、通し稽古に備えた練習をしました。
ここでは音響を入れますよ、とか、劇中歌の練習とか。

この短期間で劇中歌を歌うことは難しかったと思うのですが、
皆さん、休憩時間に練習したりして、最後の通し読みに備えて
緊張感が高まっていきました。

15:20からは通し読み。
70分強かけて、3日間の読み込みを反映した本読みが展開できました。
聞いていると、皆さんがこの作品の基本設定、つまり、人物の背景や
行われている駆け引きをよく理解してくださっていることがわかり
ました。わかるから、次に表現につながります。
今はつっかえてしまったとしても、言い淀みがあっても、
まずは内容把握しているかどうかが大切です。
せりふは、分かるところから。その意味で、よく理解されている
メンバーによる本読みでした。

終わった後は、良かったところ、直すともっと良くなるところに
ついてお話をしました。つまり、これは実に普通の稽古です。
劇団でもまったく同じようにやりますよ、ということも
お伝えしました。

最後に、皆さんにも少しずつお話ししてもらいました。
中には質問される方もいて、「物語に出てくる『月光町』とは何か?」
という問いも頂きました。これについては、その後に良い仮説が
浮かんだので、明日に書きます。

皆さんのおかげで、私の頭の中も『唐版 風の又三郎』でいっぱい
です。1幕のみだと、当然ながら物語的には解決せず、問題を多く
残して2幕に続きます。ムズムズするので、4月下旬に2幕もやって
みようと考えています。GWのうち、唐組とかぶらない3日間を
使ったら良いのではないかと構想中です。

こうした開催は初めての試みでしたが、今後も行っていきます。
唐十郎作品についてよく知っている人が増えるのが、とても嬉しい。
もちろん、いつか3幕もやって、『唐版 風の又三郎』を完結させたい
とも思います。

ご参加の皆さん、どうもありがとうございました。

1/13(祝月)乱腐(らんぷ)たちの出自(『唐版 風の又三郎』WSより)

2025年1月13日 Posted in 中野note
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今日で3日間に渡る『唐版 風の又三郎』リーディングWSを終えました。
が、そのレポートは明日に回します。
というのも、帰りの車のなかで「あ!」と気づいたことがあったからです。

それは、自分たちの御神体ともいえる鶏を殺されてしまい、
乱腐(らんぷ)をはじめ、珍腐(ちんぷ)、淫腐(いんぷ)の
元軍人、元自衛官、現在はしがない私立探偵の3人が、
主人公の織部(おりべ)を犯人と決めてかかるシーンについて、
もうひとつ発見があったのです。

リーダー乱腐は、
「パックリ・チョンガー」と言って織部を脅します。
これは朝鮮語で、独身男の筒という意味。
要するに、お前の肛門を犯すぞ!と織部に言っています。

さらに、「ソーニー・ピータン!」とも織部に言い放ちます。
今度は北清地方の言葉で、「お前の尻を犯しくるるぞ(犯してしまうぞ)」
と迫っているわけです

私が気づいたのは、この「朝鮮語」「北清地方の言葉」という
羅列が、そのまま乱腐、あるいは教授という元軍人がたどってきた
軍歴を示しているのではないか、ということです。
彼らは朝鮮半島、満州に従軍した兵士たちだった。
そう捉えることができるように思うのです。

乱腐をはじめとして、帝国探偵社の面々が尊敬する
「片翼帰還の英雄」=樫村禎一は上海・南京と転戦していますから、
この点からも彼らが南方でなく、大陸に赴任していたことに理が通ります。

唐十郎の戯曲が描いた軍人たちとしては、

1969年『少女仮面』『少女都市』→満州の軍人
1970年『愛の乞食』→満州・朝鮮半島の軍人
1971年『吸血姫』→満州の軍人
1972年『二都物語』→朝鮮半島の軍人
1973年『ベンガルの虎』→ビルマ・インパール(南方系)の軍人
1973年『ガラスの少尉(ラジオドラマ:ギヤマンのオルゴール)』
           →ジャワ(南方系の)軍人
1974年『唐版 風の又三郎』→満州・朝鮮半島の軍人

という流れで描かれています。

こうして、また一つ乱腐のちょっとした発言を頼りに、
帝国探偵社の面々の人格、キャラクターが像を結んだように思います。
そう考えると、ふざけたような上の写真のページのやり取りの中にも、
男たちの奮闘や苦労がにじんでいるように思えてなりません。

・・・と、このような発見の積み重ねが、俳優の役づくりを
克明にさせ、やがては作品全体を大きく磨くのだと自分は考えます。
小さな発見ですが、大きな前進。

ワークショップを通じ、皆さんと実地に台本を読むことができて
私はほんとうに良かったと、この一事だけでも痛感します。
そして、このような発見のよろこびを理解し、共有してくださる
皆さんがいることに、感謝が尽きません。
(事後で申し訳ないですが、これを読んだら皆さん「なるほど!」
と思ってくださるはず!)

皆さんとの本読みを通じて、またひとつ唐さんと会話することが
できた、3日間が終わって一息つきながら、そういう思いでいます。

1/11(土)『唐版 風の又三郎』リーディングWS 1日目

2025年1月11日 Posted in 中野note
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全3日間行うワークショップの初日です。
定員15名を謳っていましたが、それを超える18名の皆様に
ご参加いただいています。風邪やインフルエンザが流行する時期ですが、
全員が参加、ありがたいことです。

今日は初日でしたので自己紹介から入り、
唐さんが『唐版 風の又三郎』を書いた時代の話などもして全体の
入り口にしました。唐さんを好きな方も、初めてという方もいて、
そのどちらにも、入門編としてやさしい窓口でありたいと思います。

やってみたい役を募り、配役も決めました。
1幕では16人の登場人物がせいふを言いますが、
一言だけしかないや役は兼ねてもらい、
反対に「エリカ」「織部」「教授」の3役はべらぼうに喋るので、
二人の方に演じてもらうことにしました。これで、18人全員が
活躍できるという計算です。

ハンディラボは誇るべき拠点ですが、トイレが一室しかないのが
こうなると難点ですが、それでも、温かな皆さんに支えられて
読み進めています。今日は全80ページ中の20ページまでいきました。
明日で最後の方までいき、明後日に通しまでもっていくのが目標です。

第2幕に挑む続きも構想しています。
希望の持てる滑り出しでした。皆様に感謝!

1/10(金)リーディングWSの会場が完成!

2025年1月10日 Posted in 中野note
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今日は夕方から米澤とハンディラボに集合し、
明日から始まる『唐版 風の又三郎』WSの会場づくりをしました。
そんなに広くない空間ですが、工夫して全参加者が座れるようにして、
音響や進行のチェックもしました。

寒波が押し寄せているので、部屋の中を暖かくしてお迎えしたいと
思います。あとは、はっきり言って秘密のアジト的な立地なので、
皆さんが迷わないかが心配です。

その辺りのご案内も、明日は行います。
風邪やインフルエンザなどにならず、皆さんが全員集まれることを
強く希望します。

明日から三日間で、めくるめく『唐版 風の又三郎』第一幕の世界が
現れます!

1/9(木)多指症

2025年1月 9日 Posted in 中野note
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『下谷万年町物語』を戯曲版と小説版で読んで、気になるのは、
件の6本指が、親指の付け根なのか、小指の付け根なのか、
ということです。

小説の描写はより鮮明で、小指から順に拷問して行って
見えない指に至る、という記述があるので、やっぱり親指の
内側にさらにもう一本あるという状態らしい。

今まで、歴史上の人物として豊臣秀吉がこれに該当することを
知っていましたが、前田利家も同様だったらしい。
二人の交流がどんなだっただろうと思うと、唐さんが生み出した
堀口洋一と田口文ちゃんの交流を見るようで面白いです。

1/8(水)この本を探しています

2025年1月 8日 Posted in 中野note
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「アジャパー」ということば。『怪傑ゾロリ』の主題歌にも
出てきます。なかなか良いことばです

お正月には久々に台本を読んだので、
今は小説版の『下谷万年町物語』を読んでいます。
小説版だと、戯曲版では省かれてしまった登場人物の背景とか、
姿形とか、散文のなかで描写してあって、これがサブテキスト的に
役に立つのです。

物語のなかに出てくる大劇団「軽喜座」の座長はBさんと戯曲版の
あとがきにあり、これは伴淳三郎さんのことだとされています。

そこで、亡き伴淳の芸に触れたいと思って著作を探ったら、
上の本が出てきました。ただし、品切れ。

時間をかけて探してみようと思います。
なにか、ヒントがあるかも知れませんから。

1/7(火)戒めのことば

2025年1月 7日 Posted in 中野note
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最近、見かけてグッときたフレーズです。

あるお寺さんの前に貼ってあったのですが、実に現代的な言い回し。

しかし、よくよく考えてみると、これでは厳しすぎる。


常に没頭できれば良いのですが、雑念はいつも湧いてきて

集中しきれないこともまちまちです。

「つもり」かどうか、自分を疑い出したらキリがありません。

 

それに、『徒然草』の第85段にはこんなことばもあります。

 

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。

悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。

驥を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。

偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。

 

このくらいで自分を許しても良いのではないかと思います。


つもりであれ、一応やってるんだし。

1/6(月)『御注意あそばせ』本読みWS 第6回

2025年1月 6日 Posted in 中野note

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↑火を消した時に煙がたち、覗き窓から赤熱も見える

こういったストーブが実に巧みに使われています



昨晩は年始1回目のオンライン本読みでした。

年をまたいで、『御注意あそばせ』という知られざる作品に取り組む

私たち。翌月曜日から始業!という方も多いなか、皆さんにご参加

頂きました。


昨日の主眼は、トランプによる賭けゲーム「ファラオン」を

通して現れる、主人公「僕」と「奈美さん」の対話です。

プーシキン『スペードの女王』にちなむ3番勝負を重ねるうちに

かつて「佐川くん」と「奈美さん」がパリの「トロワバレ」にて

行った「ファラオン」の再現となり、特に2番目の勝負では

「奈美さん」の可愛がっていた猫が賭けの対象となり、

これに勝利した「佐川くん」はあやうくその猫を池に沈めようと

します。「佐川くん」という人格の一徹すぎるところ、

思い込みの強さ、相手を組み敷こうとする嗜虐性、

猟奇性があらわれ、その恐ろしさがトランプを挟んだ会話劇に

より充満します。


4人の客、「トロワバレ」の店員「由美」が行き来し、

オカマの「キヨ」と、その正体を突き止めるためにキヨの妹らしき

「竹子」まで動員した「看守」が傾れ込むシーンになると、

それはホッとする笑いにもなりますが、基本的には集中度の高い、

目が離さないやり取りの応酬になりました。


暗いお店にあるストーブの火が、感興を高めるために大きな

演出効果を果たしています。


そして物語は、「佐川くんvs奈美さん」の3番勝負から、

いよいよ「奈美さんvs僕」の闘いの入り口に立ったところで

昨日は21:30を迎えました。


「K.オハラ=奈美さん」の正体を追い、突き止めようとする

「僕」と、決して尻尾を掴ませず、正体を見極めさせず、

「謎の女」でありつづけたまま消えてゆこうとする「奈美さん」

の勝負です。


次週は『唐版 風の又三郎』WS開催によりお休みにして、

1/19(日)26(日)で『御注意あそばせ』を完結します。


2月からは『ジャガーの眼』。盛りだくさんで飛ばしていきます。

1/4(土)初めて大文字山にのぼる

2025年1月 4日 Posted in 中野note
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今日は早朝から京都に行きました。
2023年3月に亡くなった室井先生のお参りをするためです。
何人かで集まって大文字山に登りました。
頂上でなく、送り火のところまで。

3日間、集中的に『ドラクエ3』に浸ったので、
音楽がチラつくし、山に登る行為自体もダンジョンに感じられて
仕方ありません。今日でヴァーチャルを卒業して現世に帰れるのか。

片道40分ほどの登山?でしたが、良い運動になりました。
帰りにお土産を買おうと思って寄った四条河原町はごったがえしており、
しかも帰りの新幹線が混み合いすぎていたので、初めてこだまの
自由席に座って、横浜を目指しています。

車内でやるべきことはたくさんあり、
結果的にけっこう豊かな時間です。

結局、今回の移動は全て自由席で通しました。
最近はのぞみにばかり乗ってきましたが、ひかりもこだまも
使いでがあります。

1/3(金)バラモスを倒すまで

2025年1月 3日 Posted in 中野note
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↑音楽もとても良かったです

今日まで実家で、明日には移動します。
今日の名古屋はさすがに冷え込み、お昼に雨が何度か降り始め、
それが雪っぽい表情を見せ始めたところで晴れるのを繰り返しました。

この3日間、年末に買っておいたリメイク版の『ドラクエ3』を
やりました。息子も隣で覗きこんでいましたが、オルジナルの
ファミコン版や、第一弾リメイクされたスーパーファミコン版より
はるかにイベントも多く、魔王バラモスを倒すところまでで
精一杯でした。大魔王ゾーマを倒し、やり込み要素に踏み込むのは
いつになるのかわからない次回に持ち越しです。

名古屋ではよく散歩もして、台本を読み、資料も読むことが
できました。初めて味仙の台湾ラーメンを食べたりもしました。
よく考えたら、山本山の味噌煮込みうどんを、自分は一度も
食べたことがありません。これも今度に持ち越しです。

ドラクエをやったので、唐さんの『電子城』『電子城Ⅱ』を
読んでみたいところです。それに、確か堀井雄二さんと唐さんの
対談があったはずです。昔、大里俊晴先生が存命だった頃に
そういうものがあると教わりました。
探してみなければなりません。

明日は京都に行き、それから横浜に戻ります!

1/2(木)初詣は城山八幡宮

2025年1月 2日 Posted in 中野note
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名古屋にいます。
椎野と子どもたち、姉の5人で初詣に出かけました。
場所は城山八幡宮です。

ここは、織田信長の父である織田信秀の居城だった城跡で、
その後にできた神社です。織田氏は確か平氏系と思いますが、
なぜか源氏系の八幡宮なのです。

ここに立派な神社のあることがわかったのは、2014年のことでした。
唐さんが書き下ろしてくださった『木馬の鼻』をトラック演劇に
仕立てて何箇所か回りたいと考えた時に、名古屋での受け入れが
可能と聞きつけたのがこの会場でした。

山の上の神社という景観も生かしたなかなか面白い公演に
仕上がりましたが、以来、大きな恩義を感じて、
お正月に名古屋にいる時は初詣にここに来るようになりました。

一家でおみくじをやり、私は「吉」でした。
商売は「できる限り地味に」だそうです。

1/1(水)2025年もよろしくお願いします!

2025年1月 1日 Posted in 中野note
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あけましておめでとうございます。

昨晩は眠くなったので21:00過ぎに寝ました。
家族が名古屋にいるために、横浜で一人暮らしだったのです。

自然に3:00には目が覚めて、それから、
『唐版 風の又三郎』WSの準備のために矢川澄子さん訳の
『不思議の国のアリス』を読んだり、5:30頃には家を出て、
電車の中で来月に県民ホールで担当する公演の台本に目を通したり
しています。

そうそう。先ほど、年始一発目の会話は英語でした。
横浜駅西口駅前のラーメン一蘭の前で外国人男性に話しかけられている
店員さんが困っていたのを、うまく間に入ることができました。
「ゴミ箱はどこだよ〜?」と困っていたという状況でした。

確かに、外国の街はコンビニもトイレもポストも少なかったけれど、
ゴミ箱だけは充実していたのを思い出しました。
まだ英語を聞き取ることができてホッとしました。

現在、新幹線ひかりの中にいて、名古屋に移動中です。
今年も富士山を拝むことができました。
雪少なめの、遠くに感じる富士山です。

これから三日間は、
久しぶりに唐作品の中でいちばん好きな『下谷万年町物語』、
2024年に面白かったトキュディデスの『戦史』の別翻訳
テオ・アンゲロプロスの『旅芸人の記録』、
そして『ドラクエ3』に取り組むのがこの数日間の目標です!

2025年もよろしくお願いします!

12/31(火)2024年が終わります

2024年12月31日 Posted in 中野note
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↑3月の半野外公演『鐵假面』

大晦日です。
2024年はなんといっても、唐ゼミ☆公演を2度達成できたことが
私たちのいちばんのよろこびでした。

劇団員が減って、苦労もありましたが、それでも多くの新しい仲間にも
恵まれて、『鐵假面』のリニューアル版と『少女仮面』を新しく
つくることができました。

『鐵假面』では、ロンドン滞在時にずっと考えてきたアイディアを
投入して、新しいテント&野外公演のかたちを模索しました。
『少女仮面』では、やり尽くされた名作であっても、
唐十郎に根差した自分達のオリジナルを展開できたと実感しています。

『鐵假面』津内口が主役を務めて大役を果たしたこと、
一時は出演が無いと思われていた米澤が合流し、気を吐いたこと、
椎野が6年ぶりに舞台になったこと、たくさんの仕事を抱えた
齋藤がそれでも、唐ゼミ☆のものづくりの中心を担って縁の下の力持ち
であり続けてくれていることに、今年は大いに支えられました。

来年からは、もっと劇団員を増やすべく、小さくともできることから
日々の唐ゼミ☆の活動を盛んにしていきます。創作を日常的に、
こまめにやるのが目標です。唐十郎がいなくなった実感はまだなく、
日々、唐さんとのおしゃべりをしています。

他の仕事では、初めてオペラ制作に関わったことが大きな体験でした。
それから、トゥキュディデスとヘロドトスの『ヒストリカ』を読んだ
ことは内面的に大きな体験でした。

特にトゥキュディデスの『戦史』は、それ自体の面白さもさること
ながら、今後の自分の唐作品上演に一つの指針を与えてくれるように
思います。克明であること、事実と真実を突き止めようとすること、
それらの限界を特に自覚しつつ、それでも探究し続けること。

願わくばまたギリシャに行きたい、そう思いながら年が暮れていきます。
みなさま、2024年もどうもありがとうございました。

↓すばらしいメンバーで上演できた7月末の『少女仮面』
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12/30(月)『御注意あそばせ』本読みWS 第5回

2024年12月30日 Posted in 中野note
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↑2002年に閉店した文壇バー「火の子」の写真。文化人類学者の
山口昌男先生がいます

一昨日、12/28(土)は2024年内最後の本読みワークショップでした。
本来は日曜夜の開催ですが、12/29に私にイベントの仕事があったので
一日前倒して行わせてもらいました。

実は、その前に実際にスキヤキをやってみた。
その経過と結果は12/28のゼミログに書きました。
で、その勢いを駆ってワークショップを始めたのです。

取り上げたのは二幕です。
前回で二幕のさわりをやり、今回は中盤です。

その中でわかってくるのは、「文壇バー」の雰囲気です。
現在はそういうものがあるか、よくわからないのですが、
1980年代当時はもっと文壇・論壇が華やかで、作家・思想家・編集者
といった人たちが入り浸るバーが新宿界隈にあったのだそうです。
唐さんは芥川賞をとっていますから、そういう付き合いが多かった
でしょう。それを色濃く反映して、この「トロワバレ」というバーには
河出書房新社の編集者でもあった詩人の平出隆さん、双葉者の編集者・
仁村さんが出入りしているのです。

そこで唐さんは、平出さんの初期代表作である詩『花嫁』を遊ぶ
誦じ方をさせたり、二村さんにはプーシキン『スペードの女王』論を
語らせます。特に二村さんはパリ時代に佐川一政さんと語学学校の
友人だったという設定で、二村さん・佐川さんで『スペードの女王』
について語り合ったのを思い起こしながらお話しします。

その上で、「トロワバレ」のマダムである「奈美」さんの登場を
待ちます。この「奈美」さんの造形、後に始まる「僕」と「奈美」さん
のやり取りに、『スペードの女王』は影響するという進行です。

すなわち、奈美さんは、『スペードの女王』に出てくる老婆よろしく
銀のメッシュを髪に入れています。そして、トランプをあやつる。
トランプを使ったギャンブル「フェロー(ファラオン、ファロ)」を
展開し、やがてタロット占いへと至ります。

物語のキモは、この「奈美」さんを演じる女優は、一幕でシャワー室に
現れた「K.オハラ」と同じであるということです。1978年『ふたりの女』
1982年『秘密の花園』を応用して、唐さんは一人の女優に二役を
演じさせることで、主人公の「僕」を魅了し、翻弄するヒロインを
形成します。この構造がちょうど、アンドレ・ブルトンがパリで
発見した『ナジャ』と重なります。「K.オハラ」「奈美」は、唐十郎が
パリと東京で発見した「ナジャ」なのです。

物語に話を戻せば、「奈美」さんはパリでも「トロワバレ」という
バーをやっていた過去を持ち、そこに佐川君が来ていたという設定から
「僕」を占うタロットの世界へと入っていきます。

一幕で「オハラ」が傷つけたカカトはしっかりとブーツで覆われ、
「僕」にとって一幕の「オハラ」が、実際にいたのか、幻視だったのか
わざと曖昧にする仕掛けも愉しませます。

・・・というわけで年内はこれでおしまい。
来月は1/5(日)19(日)26(日)と三回開催し、『ご注意あそばせ』を
完結、2月からは『ジャガーの眼』に進みます。

12/28(土)焼き豆腐やってない

2024年12月28日 Posted in 中野note
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↑あの黒い鉄鍋はうちには無いので、フライパンでやりました

今日は年内最後のワークショップでした。
でも、そのレポートは明後日に書きます。

子どもたちは実家に預けてあるので、
今朝に椎野と話して、晩御飯にスキヤキをつくることにしました。
スキヤキで気勢を上げて、それから、カニバリズムを題材にした
『御注意あそばせ』に突入しようと考えたのです。

そう思い、朝から肉屋に行ってお肉を買いました。
さらに豆腐屋に行って、できれば焼き豆腐と白滝を買いたかった。
けれども、順調に肉を手に入れたものの、豆腐屋には焼き豆腐も
白滝もありませんでした。

特に焼き豆腐が無かったのは意外でしたが、
聞けば、焼き豆腐を求めて豆腐屋さんにくるお客は、
年に一人か二人になってしまったのだそうです。

焼き豆腐、といって思いつくのはスキヤキだけだし、
そのスキヤキを、日本人は家庭でつくらなくなってきているのです。
美味しかったけど、次にうちでスキヤキするのはいつだろうと
思うと、焼き豆腐をお豆腐屋さんに要求するのは酷だと思いました。

胡麻豆腐は置いてあり、ということは、胡麻豆腐には
焼き豆腐を遥かに超えた人気があるということです。

12/27(金)『風のほこり』を観てきた

2024年12月27日 Posted in 中野note
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↑一緒に『風のほこり』を観に向かう車から椎野が撮影してくれました

今日はなかなかのハードスケジュールで、
朝6:00には家を出て小田原に行き、いくつか打ち合わせを経て、
ついでに混み合う蒲鉾店で買い物をして午後には横浜に戻り、
それから東京まで二往復しました。

なかなかの走行距離でしたが、そのなかで、
実に久しぶりに『風のほこり』を観ました。
2006年の初演依頼、新宿梁山泊が再演を重ねてきたものです。

唐十郎のお母さんの青春時代を題材にした物語です。
作家志望であった田口加代が浅草の軽演劇の文芸部員、
水守三郎に試作した台本を持ち込みながら、作家としての師弟関係や
恋愛感情が入り乱れる、という設定です。

唐さんが、自分の原点であるお母さんを題材に、
軽演劇や新派などさまざまな芸能が割拠した浅草のベル・エポックを
描き、それらが終焉、急速に殺伐としていく世相を打ち出した
金さんの演出により、何度も上演されてきました。

今回は、5月以来、企画されて、
大久保鷹さんのほかは新キャストにリニューアルしての上演でした。

秋に観た『ジャガーの眼』と並べて観ると、唐さんが金さんに何を
託してきたのかよりよくわかってきました。
『ジャガーの眼』は田口の、『風のほこり』は田口加代の、左目を
めぐる物語です。いわば、親子二代にわたる眼球譚です。

さらに、唐さんが幼い頃にお母さんから聴いた下町エピソードを
集めて作られた台本『吸血姫』を2000年に金さんが復活させたことを
考え合わせる時、ドクター弁で名を馳せた金さん、『吸血姫』を
新演出してくれた金さんに、唐さんがアンサーしたのが『風のほこり』
だったと、伝わってくる上演でした。

作家として大成できなかった田口加代さんは、捨てられていく
あこや貝になぞらえられ、とすると、その貝が生み出した真珠こそ
自分だ!と唐さんが自賛しているようで微笑ましくもありました。
一方で、お母さんあっての自分だよ、という謙虚さの証明でも
あります。

田口加代さんは、お父さんが買った梅毒病みの娼婦に、不思議な
母娘の関係を感じるという、実に不思議だけれども、感覚的には
納得できる設定も持っています。"作家"というものの業や恐ろしさを
感じさせる設定です。

新キャストの皆さんが好演してこれからの未来を感じさせており、
大久保さんの嬉々とした熱演に、観客だけではない誰に向けての上演
なのか、という想いを観ました。

唐十郎が自ら原点を描いた作品として、深く考えるべき台本だとも
感じ入りました。今回の上演に感謝!


12/26(木)レゲエと不忍池

2024年12月26日 Posted in 中野note
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↑冬の不忍池

先日、久々にドリームエナジープロジェクトのレッスンに伺いました。
谷川俊太郎さんの詩『クリスマス』をネタに、めいめい今年に
やらかしたことを告白しあい、許しあってケーキをいただく、
というゆるい内容を展開してよろこんでもらいました。

その席で、ドリプロの青年たちは口々に『鐵假面』おもしろかった
というのです。気温10度くらいで、雨や雷におそわれた、あれが
おもしろかったらしいのです。叶わないなと思いました。
あんなのは狙ってできるわけもない。

今日、車のなかで懐かしくなって、『鐵假面』に使った音楽を聞きました。
一番好きなのはレゲエのダブです。2022年に過ごしたロンドンでは、
普段好きなクラシックだけでなく、ジャズとプレグレの面白さに
ひたりました。けれど、もっとも深く自分に刺さったのは、レゲエでした。
特にUKレゲエ。あのゆるさの裏にあるルサンチマンを思うとき、
ストイックとは反対であるがゆえにアメリカを下したベトナム人の
ような強さとしなやかさを体感して、感激しました。
だから、帰国後一発目の劇には、レゲエを使うと決めていたのです。

夜に都内に行ったので、『鐵假面』の舞台となった不忍池にも
行って上の写真を撮影しました。帰りの車中はもちろん爆音のレゲエ。

12/21(土)はじめて多摩に降り立つ

2024年12月21日 Posted in 中野note
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↑夜のパルテノン多摩

本日、初めて多摩に行きました。生まれて初めてです。
きっかけはまず海老名での飲み会に参加したことで、
これが19:30過ぎ、つまり意外に早い時間に終わりました。
そこで、そこから多摩までは割と短時間で行けることに気づいたのです。

私の年末年始の愉しみは、2024年中のクリティカル・ヒットだった
トゥキュディデスの『戦史』を別の翻訳でも読み、
『ドラクエⅢ』のリメイクをやり、唐さんの一人芝居『マラカス』を
研究することです。で、『戦史』の在庫が多摩の本屋に嗅ぎつけて
脚をのばしました。

多摩センター駅の柱にキティーちゃんがいっぱいいて、
ここがサンリオピューロランドの最寄駅なのだと思い出しました。
ついでにパルテノン多摩にも行き、なるほど丘の上の神殿に似ていると、
アテネのアクロポリスを思い出しました。

パルテノン多摩までの坂道は電飾ギラギラで、
クリスマスイベントで燃焼し尽くした大勢の子どもたちが、
お腹すいたと叫びながらウジャウジャと駆け回っていました。
午後9時ですが、彼らはこれから何か食べずには寝ない闘志に
充ちていました。

多摩センター→京王稲田堤→稲田堤→武蔵小杉→横浜
という最安ルートを選んで帰ってきています。

↓こちらはオリジナル
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12/20(金)視力のちがい

2024年12月20日 Posted in 中野note
最近、さるクラシック音楽関係者と二人で食事をしました。
県民ホールに勤めてもうすぐ2年、そんなシチュエーションが
自分にもぼちぼち訪れるようになってきたのです。

クラシックというとハイソな感じがありますが、
その方は実に叩き上げの劇場人という物腰で、百戦錬磨の雰囲気があり
自分にバイロイト音楽祭に行った時の話をしてくれました。
あの、ワーグナーの聖地であるバイロイトに、その方は2度までも
行ったことがあるそうなのです。

私はバイロイトはおろかドイツに行ったこと自体がないのですが、
以前に照明家の吉井澄雄先生から伺った話をしました。
吉井先生によると、先生の照明デザインがあのように陰影に富む
ハイコントラストを志向したのは、1961年に体験したバイロイトが
源なのだそうです。クナッパーツブッシュ指揮の《パルジファル》、
その時の劇場空間の暗さは、それまで体験していた日本の劇場とは
隔絶していたのだそうです。

そういう話をすると、一緒に食事していたSさんは、
「ヨーロッパ人の目が受ける明るさは、日本人と明らかに違う。
彼らは明らかに、日本人より3割増くらいで明るく見えているはずだ」
と言い出すのです。つまり、体質的にみんな夜目が効くようなもの。

そう言われて膝を打ちました。
ロンドンで暮らした家の、あの暗さ、間接照明で本を読み、
パソコンを打っていた日々には、節約以外にそんな体質的な違いが
あったのだと気づきました。そう。あれはきっとそうに違いない。

帰国した時、好きな時間に電気を点け、好きな時間に風呂に入り、
好きな時間に煮炊きでき、出かけられることに自由を感じました。
今も、夜中に電気をつけて、こうして文章を書いています。自由だ。


12/19(木)ぜんぜん一人芝居じゃなかった!

2024年12月19日 Posted in 中野note
U字磁石の図形.png
↑こういうU字磁石が「電子親友」なる存在の重要なアイテムだと
ト書きにあったので、津内口が画像をつくってくれました


今朝、唐さんが1998年に初演した『電子親友』を精読し終わりました。
物語もよく分かったし、唐さんがゲームの世界、ヴァーチャルの世界に
耽溺する人々を、うまく肯定し、ヴァーチャルな出会いにも人肌や
人情を感じていこうとしていることが伝わってきました。
なかなか暖かな、ぬくい芝居なのです。

一方で、この劇は「ひとり芝居」と銘打っていますが、
看板には偽りがあり、ありまくりました。
主人公の田口泥作(たぐち どろさく)が右往左往するなかで、
サッと舞台袖から腕だけ登場したり、人形2体がセットの隙間を
横切ったり、スタッフの人の動きも含めて、主人公のほかに人間の
気配が充分に濃厚なのです。

果ては、ラストシーン。
追い詰められて自殺を試みる田口を、スタッフたちが刑事に扮して
止めにかかるのです。正確には「刑事たちに化けたスタッフが・・」
とありますが、舞台に出てしまえば人はみな出演者であり、
役者なのですから、かなり苦しいエクスキューズです。

唐さんはもともと、一人芝居ぎらいを公言していますし、
唐(もろこし)に十人の強者(つわもの)あり、ということで
唐十郎なのですから、集団性を重んじる人なのです。
結果、思わず一人芝居の枠をはみ出してしまったのでしょう。

こうなると、残る一本の一人芝居『マラカスー消尽』がやたらと
気になります。数日のインターバルを経て、『マラカス』いってみよう!

12/18(水)年賀状お休みします〜郵便とわたし

2024年12月18日 Posted in 中野note
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↑ダイアンに贈ったカード。ぎゅっと詰めて140円。こちらは安い!

先日来、唐ゼミ☆関係者やお客様にメールをお送りしています。
唐さんが亡くなったことで私たちも喪に服する気持ちが強く、
年始のお祝いを失礼させて頂こうと考えてのことです。

毎年、津内口が苦労して舞台写真や劇団員写真を配置して年賀状を
つくってくれていました。特にここ数年は、元旦にしっかり届くよう
みんなで手分けしてメッセージを書き、12/25には投函するように
してきました。クリスマスは私たちにとって、年賀状の〆切で
過ごしてきました。けれど、上記のような理由から
今回は失礼をさせていただきます。

世の中には資源の重要性を気にする向きも強まり、
メールやLINEなどの発達から年賀状をとりやめようという方が
多いようです。加えて、郵便の値上がり。これは私たちにとっても
大ダメージで、考えてしまいます。

ですが、もともとお祝いのおハガキは合理性とは真逆をいくところに
一段深い合理性があると思うので、また来年末になったら、撮り溜めた
写真を組み合わせて作りたい。現在の自分はそう希望しています。

特に、しばらく疎遠にしている方々との交信の良いきっかけになるのが
ありがたいところです。また、歴代の年賀状はどれも気に入って、
本の栞にしているために、本棚から本を取り出した時に
ハラリと落ちたりして、愉しい気持ちになる効能もあります。

現在、ハガキの郵送日は一葉85円。
先日、ロンドンにクリスマスカードを送ったら、
封筒にカードと写真を詰めて140円でした。

後者は飛行機に乗っているのに。ハガキの遠出は割安に感じます。

12/17(火)劇団集合〜年始にむけて

2024年12月17日 Posted in 中野note
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↑発送前の台本です

今日は劇団集合して皆で作業をしました。
先々を考えながら仕込みをしているこの時期ですが、
直近の目標は年明けのリーディングワークショップです。

『唐版 風の又三郎』第1幕が目標の課題ですが、
細部は全体に宿り、全体は細部につながりますので、
断固として全編の台本を作りしました。

これを今から参加の皆さんの元にお送りして、
事前にパラパラと眺めてもらい、それで1/11(土)を迎えようと
いう計算です。製本テープを貼るのはちょっと難しいのですが、
細やかな齋藤が丁寧に貼ってくれました。

唐さんは台本を大切にする人で、ご自身オリジナルの表紙を付けたり、
しおりをはさんだりして意匠を凝らしていました。
皆さんにも大切にしてもらいたいです。

今回が上手くいったら、第2幕をやる会を設けよう、などと
夢は膨らみますが、まずは目の前の1幕です。
2021年以来、久々に『唐版 風の又三郎』に耽溺するのを
愉しみにしています。

12/14(土)このところの成果

2024年12月14日 Posted in 中野note
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↑アルバート・スポルディングの演奏が、ホームズに似合うのではないか
と思ってきました


年明け1/11(土)-13(祝月)に行う『唐版 風の又三郎』WSの募集が
定員に達しました。いくつかの希望が重なって思いついた企画です。

①劇団員を増やしたい
②唐十郎作品への取り組み方をシェアしたい
③傑作『唐版 風の又三郎』の世界を味わいたい

と、考えて、唐ゼミ⭐︎としては初めて一般の方向けの集中講座を
やってみようと考えました。私たちの本拠地Handi Laboというのは
鶴見川の近くにある住宅街・工場街にある拠点でアクセスはあまり
良くないのですが、ここにこんな活動の場があることに親しんで
もらいたいと思って、あえて本拠地にお招きしようとも思いました。
唐ゼミ☆の創作の日常を体験してもらいたいのです。

現在、15名定員に達して、新たにお申し込みくださる方にはキャンセル
待ちを頂いています。上手くいったら数ヶ月に一回、連休のある月を
狙って継続していこうかとも考えています。どうなればありがたいです。

一人芝居『電子親友』を1周目読み終わり、明日から2周目にかかります。
まだちょっと内容が入ってこないので、今度はノートをつけながら
シーンごとのあらすじを整理して読みます。

移動や仕事の合い間には、こつこつヘロドトスを読んでいます。
『歴史』中巻に至って、ずいぶん読みやすくなりました。
この本が、要するにプロレスのプロモーションの仕組みだと
わかってきたからです。頂上決戦は、サラミスの海戦による
ギリシャ側の勝利です。その前にテルモピュライの戦いがあり、
マラトンの戦いがあります。

その前段として、ペルシャ帝国がいかに強大な国なのか、
ペルシャが苦労して制圧したエジプトの歴史も含めて物語るわけです。
強大なヒールの半生を語った後にベビーフェイスが彼を倒した方が
盛り上がるからです。そう考えると、くだくだしい前段が愉しめる
ようになりました。年末までに倒したいです。

それが終わったら、『鏡の国のアリス』を読みます。
『唐版 風の又三郎』に出てくるエリカのせりふのネタ元がアリスに
出てくることを知りながら、これまでどの箇所かはっきりさせて
いなかったので、これを機に突き止めようと思っています。
年明けに自信満々でWSに臨むためです。

年末年始はたのしみです。
息子が『シャーロック・ホームズ』シリーズを読み始めたので、
ジェルミー・ブレット版のドラマを観ながら以前に買っておいた伝記を
読めたらさぞ面白いでしょう。ホームズの弾くヴァイオリンの曲を
イメージすることにも興味があります。

できれば『ドラクエ3』もやりたい。息子の興味を惹きつけることが
できたら一石二鳥です。彼の相手と好きなゲームが同時にできるからです。

望むすべてを達成することは難しいでしょうが、
今から色々と望みを託しています。

12/13(金)あるゲーム・プログラマーの物語

2024年12月13日 Posted in 中野note
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↑初演された時のビジュアルです。演出の「骸馬二(がい うまじ)」
というのは、唐さんの別名で、要するに唐さん本人です


毎朝、唐さんのひとり芝居『電子親友』を読んでいます。
この劇の初演は1998年で、例のポケモン・ショックを受けて
書かれています。ピカチュウの発光により、多くの小学生が
緊急搬送されたという、あの事件です。
事件が起こったのは1997年12月のことでした。

唐さんの『電子城』は1989年、『電子城Ⅱ』は1991年です。
最近リメイクされ、私も年末年始にやりたいと思っている
「ドラゴンクエストⅢ」に影響を受けた台本です。

こうしてみると、ドラクエからポケモンまで10年かかって
いなかったのだという事実に気づいて、10代の数年間というものは
大変に大きな隔絶を生むものだと思わざるを得ません。

あと1週間ほどで読み終わる『電子親友』は、
プログラマーの格闘を描いたもので、唐さんなりにヴァーチャルを
生み出す人の頭の中や皮膚感覚を想像していたことがよくわかる劇です。

一方で、これが一人芝居といえるかどうか、
というのも、チラッと過ぎる人形や、人の気配や、声や、
舞台裏には三人くらいは控えていないとまわりそうにない台本
だからです。そうやって「一人芝居」という、ある種のナルシシズム
を茶化す唐さんが元気です。

どこかで挑戦できる機会をつくってみたいものです。
引き続き読みます。

12/12(木)唐さんの好きなことば

2024年12月12日 Posted in 中野note
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唐十郎を偲ぶ会で頂いたカード。
表面は唐さんのお写真。かえすがえすも優しい表情です。
裏面には唐さんの好きなことば「青春、愛、挫折、希望!」。

このことば、以前は『吸血姫』のせりふだと思っていました。
主人公の青年・肥後守がエンディングで決めぜりふとして言うのが
このフレーズなのです。

「青春、愛、挫折、希望!」と言って、劇中歌に入る。
これが『吸血姫』必殺のエンディングです。実にカッコイイ。

一方で最近、自分で『少女仮面』に取り組んでみて、
その初出が少女・貝のお婆さんのせりふだということに
気がつきました。そのようなわけで、「何よりも肉体を!」
とセットになっているわけです。

めでたく写真たてに入り、我が家のメインどころに飾っています。
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12/9(月)唐さんの会「さすらい」

2024年12月 9日 Posted in 中野note
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昨日は唐さんを慕う人たちの集まりがありました。
新宿の浪曼房というお店が会場でした。

この「〇〇房」というお店は新宿に何軒もあります。
演劇&ダンス公演のチラシやポスターが盛りだくさんの
このお店に伺うのも久しぶりです。

唐さんの舞台、批評、メディア、映像、の関係者といった
趣きの仲間の皆さんが大集結して宴席を張りました。
途中で流れた映像を見て、『ジャガーの眼』初演の頃の唐さんに
自分の年齢が近づいていることに気づいて驚いたりもしました。

唐さんの写真は、状況劇場の初期からの付き合いの皆さんには
馴染みがない唐さんなのだそうです。もっとギラギラしていた、と。
一方、自分にはしっくりきます。それだけ、丸く、優しくなった
唐さんに接してきたということかも知れません。

久保井さんが唐さんに、いいちこを献げました。
愛用していたお茶碗で一升瓶を鳴らします。
チンチンチンと鳴らすと、唐さんもそんなふうに鳴らしながら
良い音だと言っていたのを思い出しました。

記念にいただいたカードを収めるために、
さっそく椎野が写真たてを注文してくれました。

年明け、『唐版 風の又三郎』WSは、まもなく満員です。
唐さんを想って良い会にしたいと、ディープに唐十郎を識る人を
ますます増やしたいと、そう想って準備しています。

12/7(土)綾瀬→戸塚の1日

2024年12月 7日 Posted in 中野note
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↑9月に行なった公演の大入り袋をありがたく受け取りました。
今年は県民ホール公演直前であまりドリプロに行けなかったので、
来年はもっと貢献しようと思います!


最近、『電子親友』という唐さんの台本を読んでいます。
これは珍しい一人芝居で、90年代に初演されたものです。
他にも、『マラカス』という台本がありまして、これも近く研究しようと
思っていますが、まずは『電子親友』から。

本読みを終え、少し運動した後は、綾瀬市に向かいました。
オーエンス文化会館で、綾瀬シニア劇団Haleが公演を行なっている
からです。『少女仮面』で老婆を演じてくれた倉品淳子さんが
創作をリードして、向田邦子さんの『父の詫び状』を基調に
家族を亡くした時に生ずる喪失感と滑稽なできごとを出演の皆さんの
実体験と合わせて描いていました。
落語の『死神』みたいな味わいでした。生き死にを描いていますが
不思議にユーモラスなのです。

綾瀬では、お世話になってきたホールの方と話したり、
近隣のお蕎麦屋さんやタウンヒルズに行ったり、少し足を伸ばして
海老名にも寄ったりしました。

夜になると戸塚に移動して、ドリームエナジープロジェクトの
忘年会に参加しました。飲み屋で会うドリプロメンバーは面白く、
みんなで今年を振り返りながらタラチリをつつくのはなかなオツでした。

移動の合間にはヘロドトスの『歴史』を読んでいます。
今年はトゥキュディデスの『戦史』を読んで感激しているので、
それに対抗して読んでいるのですが、冗長でぜんぜん読み進められません。
これをなんとかしないと、年明けの『唐版 風の又三郎』の準備が始め
られん。矢川澄子さんの『不思議の国のアリス』を読み直したいのです。

忘年会を終え、帰りに、ほんとうに久しぶりに横浜国大に寄りました。
別に用があったわけでなく、1日の歩行目標に2キロ足りなかった
からです。母校を1周すると2.5キロほどなのです。
いろいろと思い出しながら1周しました。

12/6(金)Dido and Aeneas の6パターン目

2024年12月 6日 Posted in 中野note
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↑シンガポールで最も大きなドラァグクイーン、ベッカさんがディドーを
演じていました

今日、KAATで "Dido and Aeneas" を観ました。
英国のオルフェウスと呼ばれたヘンリー・パーセルのオペラです。
今後も忘れることは無いであろうインパクトのある上演でした。

自分はヴェルギリウスの『アエネーイス』が好きで、好きで、
その前半の一節をもとに作られたこのオペラは憧れの作品で、
いつか生で観てきたいとずっと思って過ごしてきました。

ですから、イギリスに行った時は嬉しくて、
それはもう観られる限りの上演を観ました。

BBCシンガーズがトラファルガー広場の前の教会で上演したもの。
中堅メゾのアリス・クーテがBBCプロムスのナイトプログラムで
主演したもの。古代の温泉町バースにて、小さな国立劇場が上演した
舞台美術つきの完全上演。音楽大学の学生たちによるスタジオ公演
さへ観に行きました。それくらい好きで、好きで。

白眉は、オランダのアイントホーフェンまで押しかけて観た
デイム・サラ・コノリー主演、Eirly Opera Companyによる上演でした。
この作品について、この上演を超える舞台を観ることは無いな!
と確信させる舞台でした。ブリュッセル、アントワープを
踏破して駆けつけた甲斐に応えて余りある公演でした。

今日の上演は、シンガポールの演出家による換骨奪胎版でした。
思い切り現代化し、観客巻き込み型のファニーな舞台で、愉しみました。
が、それでも、やっぱり一番好きなアリアの部分になると、
そんな風に現代化し、ある意味では茶化するような上演だったとしても
音楽と歌に感動してしまいました。

無条件に好きな作品はあるもので、自分でも驚きました。

そういうわけで、いまは深夜に帰ってきて録音を聴き、
イギリスで覚えた味覚の一つであるベーコンエッグを食べ、
ダイアンにクリスマスカードを書いています。



12/5(木)年始の『唐版 風の又三郎』WS あと4人で満員

2024年12月 5日 Posted in 中野WS『少女都市からの呼び声』 Posted in 中野note
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↑夜の御茶ノ水駅!

今日は文京区に来たので、せっかくだからと御茶ノ水に寄りました。
年明けに『唐版 風の又三郎』1幕のWSをするので、色々と思い出す
ためです。駅の近くにある聖橋やニコライ堂や電話ボックスが第3幕
の舞台になっています。

唐さんの設定によれば、死んでしまった高田三郎三曹を思って
ヒロインのエリカが御茶ノ水をさまよっていると、高田の乗った
飛行機が飛来し、聖橋の欄干の下をくぐってみせる、という
アクロバットな描写があります。

現在、工事中の御茶ノ水駅の周りにその風情はありませんが、
脳内で補正してその光景を想像することは、せりふを言う上で
とても有効です。そう。せりふを言ってやろう、というのでなく、
見ているものや、体験していることを観客に伝えよう、と、
そういう状態になればしめたものだからです。

よく考えたら、今回のWSでは1幕のみを読むので、
ホントは舞台となる代々木に行かなければなりませんが、
いろいろと作品の世界を思い出しました。
唐ゼミ☆で公演した2020〜2021年も同じように、
こんな風に劇をつくっていました。

現在、15人の定員中、11人の方が参加を申し出て下さっています。
あと4名。ありがたいことです。
さらなる参加希望をお待ちしつつ、皆さんに配布する台本を
作り始めています。

12/4(水)小室等さんのCD

2024年12月 4日 Posted in 中野note
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小室等さんからCDが届きました。
"lovesong"と題して、永六輔さん、松岡正剛さん、別役実さん、
そして、唐さんも含めた、小室さんがさまざまに交流してきた
人たちとの創作がリニューアルされて歌われています。

傘寿を記念してつくったアルバムだそうです。
最後には小室さんが通った銀座のヤマハまでもが歌われ、
楽譜や音楽を通じて影響を受けてきた多様な人たちまでもが
網羅されているようです。

亡き人を偲ぶCDであることは間違いありません。
けれど小室さんはそれらを現在を生きる力に変えて歌われている。
そのように受け取りました。lovesongの" l "が小文字であることに
小室さんらしい慎ましさと誠意を感じます。

唐さんとの交流からは『さすらいの歌』が、冒頭の語りまでもが
きっちりと小室さんバージョンで入っています。後奏には、永遠に
続くかのようなギターの演奏が繰り返し繰り返し聴こえてきます。
終わることがないかのようです。

ライナーノートに少しだけ、私の名前を出して下さっています。
光栄なことです。

2/27-28には記念碑的なコンサートが行われるようです。
すぐに2/27のチケットを予約しました。
久しぶりに生の小室さんの演奏と歌を聴きにいきます。


11/30(土)カラスの襲撃

2024年11月30日 Posted in 中野note
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↑最近、こういうマンガも読んでいます

今朝、近所の人気パン屋に息子と娘と3人で買い物に行きました。
ここは、週に木金土曜の3日間しか営業していない人気店で、
それでも充分に成り立つらしいのです。

店内に入ると、全体にパンの焼ける匂いと暖かさが充満しており、
普通の人にはこれは良い香りなのですが、暑いのが苦手で匂いに
敏感な息子は決まって気分が悪くなるらしく、"毒ガスパン屋"という
あだ名を付けています。パン屋さんには悪いですが。

しかし、味は好きなので今日も買いに行きました。
私はランニング、彼らは自転車。
こうしてお互いのエクセサイズを兼ねています。

自分のパンを選ぶために店に入った息子はやはり気分が
悪くなったらしく、公園に寄る私と娘を置いて先に帰ることに
しました。小学2年ともなれば、一人で帰ることができるのです。

10分ほど経って、椎野から連絡が来ました。
聞けば、息子は帰ってきたものの、信号待ちで2羽のカラスに
襲われ、息子が買ったあんパンを奪われたらしいのです。

さらに聞くと、以前にも息子はカラスに頭をこづかれたことが
あるらしいのです。私は43年生きてきて、カラスに襲われたことは
ないのですが、8年間の人生で2度までもやられたそうです。

驚いたのでここに書きました。明日の早朝、現場検証します。

11/29(金)ものの値段

2024年11月29日 Posted in 中野note
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↑2014年に、ここで『木馬の鼻』を上演したことも思い出します

最近、よくよこはまばし商店街に行きます。
お目当ては漬け物屋さんで、ここには「灘屋」さんという専門店があり、
さすがのクオリティなのです。

いま、糠漬けを買えるお店は少なく、実感としては絶無状態です。
昔、大学院生だった頃は近所の八百屋が美味いのを漬けていたの
ですが、最近はそういうサービスをする店が少なくなりました。
一方、灘屋さんのものは、特に息子がきゅうりの糠漬けをよく食べます。

今日は椎野が出かけるので、夕方ごろには家に帰りました。
その途中、ぬか漬けを買って帰ろうとよこはまばし商店街に行ったら
周囲は通行止めをして、酉の市をやっているところでした。

目の前の道路や、大通り公園の中にも屋台が展開して、
少し肌寒いけれど、圧倒的な賑わいでした。

屋台の値段を見ると、大判焼きが200円とか、ビールが390円とか、
お好み焼きや煮込みが500円とか、うちの近所のお祭りより
明らかに勉強した値段でした。

そりゃそうだ。
屋台は商店街の軒先でも連なっており、ここは安く売るので
鳴らしている商店街なので、クオリティ&値段で商店街の店舗に
対抗するには、テキ屋さんたち大変だと思いますが、
訪れる方は嬉しい。昔、親しんだ値段だと思いました。

最近は何もかも高くなっているけれど、
それでも、ロンドン値段に比べれば段違いにマシです。
今日調べてみたら、1ポンド=190円とのことですから、
2年前に165ポンドで悲鳴を上げていた自分はまだまだだった
ようですが、本当に、いま研修に行っている人は大変だと思います。

子守りの日は、彼らに合わせて21:00過ぎに寝ます。

11/28(木)年始は『唐版 風の又三郎』1幕

2024年11月28日 Posted in 中野note
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↑3日間、米澤剛志も参加の皆さんと『唐版 風の又三郎』を探究します!

先日にホームページで参加者募集をスタートしましたが、
2025.1.11(土)-13(祝月)の3日間、『唐版 風の又三郎』を
集中的に稽古する会を開きます。

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<詳細はこちら>

これは、いつも毎週日曜の夜にオンラインで行っている本読みWSの
発展版で、私たちの倉庫&ミーティング場所であるハンディラボに
集まってもらい、実際に対面で行うものです。

この1番の利点は、音響を入れられることです。
劇中歌も短期決戦的に覚えてもらい、
もう実際の上演を目指す勢いと気迫で『唐版 風の又三郎』を
実現するために行います。冬季講習といった様相です。

唐さんが亡くなってから、よく思うのは、
「唐さんの台本がどれだけすごいか、どれだけ面白いか、美しいか」
を世界に向かって証明したいということです。

舞台は一瞬一瞬消えていくものですが、
そうだからこそその凄みを、常に世界のどこかで叫び続けたいと
思うのです。まずは小さな集まりから。真摯に向き合っていけば
必ず素晴らしい劇空間が現れます。

想像の翼を広げ、自分のからだを思い切り使い、
地獄から天国までを駆け巡るような本読みにしましょう。
年明け早々、真冬の、燃える3日間にしましょう。

と思って準備してまーす!
参加希望の方には年内に台本(全幕分)をお送りします!

11/27(水)『ジャガーの眼』台本打ち込み、終わる

2024年11月27日 Posted in 中野note
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昨日、『ジャガーの眼』の打ち込みを終えました。183ページ。
三巻物なので長くはありますが、『 唐版 風の又三郎』や『ベンガルの虎』
に比べると引き締まった作品です。自分で1周は誤字脱字チェックを
しながら読んだので、あとはここに唐ゼミ☆メンバーの力を借りて
打ち損じ箇所を修正していきます。

来週から始まる『ご注意あそばせ』を経て、
『ジャガーの眼』に至るのは2月になる予定です。それまでに、
タイトルのもとになった映画を観て、寺山さんの『臓器交換序説』も
読み直します。

・唐さん自身も割愛して上演してきた冒頭シーンをちゃんとやると
全体にどう影響するのか。
・サラマンダは田口どのように捨てられてしまうのか。
・いかにしんいちが素敵だとはいえ、胸のロケットからしんじの写真を
捨ててしまったくるみは酷いのではないか。
・サラマンダを巡り、扉が田口に対して抱く強烈な対抗意識とは。
・しんいちの心に宿る、ミヨちゃんとは。
・田口はサラマンダとくるみを相手取り、モテ過ぎではないのか。

自分でちゃんと読んでみて、上記の事柄が気になっています。
唐さんが主役を張り、何度も上演が行われ、役者・唐十郎が
もっとも輝いた作品でもあります。

普段とは違い、youtubeに上がっている映像も活用しながら、
唐さんの歌う歌や独特のせりふ回しにも思いを馳せたいと思います。

11/26(火)また『オオカミだ!』の稽古

2024年11月26日 Posted in 中野note
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↑参加してくれる生徒の胸にシールを貼ってあげたいところだが、
収拾つかなくなるのではないか。心配が頭をもたげる・・・


今日は久々に『オオカミだ!』の稽古をしました。

来週頭に、都内にある小学校の体育館で上演することになったのです。
それに備えて思い出し稽古をしようと、杉並区のマンションの
一室にある稽古場をレンタルし、ケッチさん・テツヤさん・ユメさんと
私で久しぶりに集結しました。

今回は体育館のステージでの公演ということで、これまでフラット
もしくは階段客席から見下ろしてもらっていたのとは勝手が違います。
そこで、そういう舞台・客席の位置関係でもよく伝わるように、
立ち位置やアクションを改造しました。

一回の上演で200人以上の小学生たちを相手にするそうです。
これまでで最大規模の観客数、そして一年生から六年生まで揃う
そうですから、かなりのカオスが想像されます。

参加型の部分をいつも通りやることにより、
観客が暴徒化しないか(笑)、想定しながら適切な上演を探って稽古
しながら、結局、最後には「その場の雰囲気でやろうぜ!」という
見解で一致しました。

それにしても、当日は10:30開演であるために、私たちの現地入りは
6:30ということです。こちらも釣りに行く気分で横浜を出ますが、
受け入れ担当の先生もなかなか大変です。

体育館、皆さんが集中して観るために、床が寒くないと良いが・・・

11/23(土)青葉台から浅草、イギリス便り

2024年11月23日 Posted in 中野note
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↑ロンドンのカフェDELI-Xのチョリソー・シチュー
店主のダニエルは通常2枚のトーストにいつもオマケをくれました。
一日1.7食くらいで生活していたので、これには大いに助けられました


今日は朝から青葉台に行き、久々にお目にかかるK先生と
お話しすることができました。コロナと渡英でご無沙汰してしまい
ましたが、また以前のように交流したいものだと思いました。
それはひとえに、話が面白いからです。

食事やお茶を頂きながら「意味」「言語」「貨幣」について考える。
そういう時間から遠ざかって久しいために、なんだかリハビリをして
いるような気になりました。ああ、自分はここ最近、日常の表層を
生きることにあくせくして、その下に底流するものについて考える
ことを怠っていると反省しました。

それが終わると、夕方に家まで娘を迎えに行き、連れ立って
浅草にねぷた祭りを見に行きました。親しい人が運営に関わっている
からです。本場では夏の盛りのものですが、冬に見るのも味わい深い。
2015年に行った東北ツアーを思い出しました。

他方、ヴァイオリニストのピーター・フィッシャーから連絡があり、
彼の友人が経営し、また私たちの溜まり場でもあったDeptfordの
カフェDeli-Xで、ピーターはバッタリ、私の元大家さんのダイアンに
会ったのだそうです。

ピーターは年明けに日本に来ます。
けれど、ダイアンにはなかなか会えないし、そろそろクリスマス
カードの時期であることを思い出しました。
明日、買いに行くか!

11/22(金)人力車を運ぶトラック

2024年11月22日 Posted in 中野note
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今日は熱海に行きました。
旅行などでなく、干物を買いに行ったのです。
明日、久々に会う方がいて、お誕生日なものですから、
その人に前に教わったお店で干物を買ってプレゼントしようと
思い立ちました。そこで、久々に椎野と出かけました。
熱海滞在時間30分の弾丸でしたが、なかなか良い時間でした。

その途中、藤沢の国道1号線で、気になるトラックを追い抜きました。
その軽トラックは人力車を運んでいるのです。蘇る記憶。

かつて私たちも、人力車を運びました。
あれは2012年の秋に『吸血姫』を上演した時のことです。
『吸血姫』に出てくる中道具の王者こそ、人力車です。
あれがカッコよくないと『吸血姫』はキマらない。
だから、奮発してレンタルすることにしました。
幸い、公演場所は浅草、馴染みのある場所ではありましたが。

『吸血姫』。あれはもういっぺんやりたい劇です。
『少女仮面』をやって、『少女都市』をやって、『吸血姫』を
十全に上演できたなら、唐十郎の少女ものを極めたと言えるのでは
ないでしょうか。あ、その前に『腰巻お仙』シリーズもあるか。

『吸血姫』こそ唐さんが描く少女ものの極北。
ゆるぎなくそう思っています。次に人力車を借りる日は・・・

11/21(水)奇跡の邂逅

2024年11月21日 Posted in 中野note
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↑1980年にテレビで『パイク』を歌われた時。不適です。YouTubeより

朝から『唐十郎 襲来!』を読んで過ごしています。
寝起き、仕事の合い間、移動中、一節一節を読んでいます。

ところで、今日は夕方に新宿を歩いていて、びっくりしました。
その数分前、私はYouTubeでヒカシューの『パイク』をたちあげて
聴いていました。あの曲には妙な中毒性があり、
1980年代から現在に至るまで、さまざまな年代の『パイク』を
連続的に聴いたりすることもあるほどです。
『パイク』にはそういう魅力がある。

そして伊勢丹近くの角をまがったところ、巻上さんに遭遇しました。
ヒカシューのボーカル、巻上公一さんです。

巻上さんにはこんな風に、一度会った事があります。
以前は渋谷で会いました。そして今日は新宿。
先ほどまで『パイク』、目の前に巻上公一。
久々だったので、少しおしゃべりして別れました。

うーん。それにしても、まるで『唐版 風の又三郎』の
織部とエリカの出会いのシーンみたいじゃありませんか。
織部の興奮はこんな風だったのではないのか。
さらに、むこうの風の又三郎はニセモノだったが、
こっちの巻上さんはホンモノなので、自分は少し上をいったかも
しれません。

それで思い出したのですが、唐さんが元気な時に車でお迎えに行き、
三軒茶屋のスーパーで買い物をしようと車から降りた瞬間、
唐さんの目の前に麿さんがいたことがありました。

面白かったのは、ふたりが驚くでもなく、毎日いっしょにいるかの
ように事もなげに話し始めたことでした。自分は大笑いしてしまいました。

帰りの電車の中で、麿さんが唐さんのために書いた文章を、
もう一度読み直しました。

11/20(水)『唐十郎 襲来!』

2024年11月20日 Posted in 中野note
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↑『唐十郎 襲来!』。河出書房新社より。2,640円(税込)

明日、発売のこの本を、編集者の樋口良澄さんが直接に
私に渡してくれました。

先ほどまで、横浜駅東口にいましたが、
樋口さんが予約してくれた店では本をネタに喋り続け、
店に入ってから、店員さんに言われるまで30分は注文もせず、
飲み物や食べ物が届いてからも、ページをめくっては喋り、
喋ってはページをめくり、して、あっという間に3時間経ちました。

帰りは、気分が高揚して、冷たい雨が降っていましたが、
歩いて帰ってきました。横浜駅東口は、Kアリーナ終演後に帰途に
ついたお客さんでごった返していましたが、あれだけの人の流れに
逆行して歩くのも良いものでした。

これから、読みます。
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11/19(火)星型の禿

2024年11月19日 Posted in 中野note
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日曜から今朝にかけて、久々にアンドレ・ブルトンの『ナジャ』を
読み直しました。これは、来月から取り組む『佐川君からの手紙』や
『ご注意あそばせ』の読解に備えてのことです。

佐川君からの手紙をもらい、唐さんは困り果てたでしょう。
そして、青春の書である『ナジャ』に逃走したに違いない。
というのが、自分があの有名な芥川賞作品に感じている感慨です。

パリといえば『ナジャ』、そしてブルトンのヒロインを突き抜け、
自分のヒロインであるキクおばあちゃんにまで逃げ切る、
これが実に唐さんのチャーミングなところだと思います。
もちろん、ぜんぜん逃げきれていない感じがありますが。

それにしても、久々にシュルレアリスム関連の本を読むと、
いかにも青春の書という感じがして、くすぐったいような、
それでいて、やっぱり自分もまたこういうものを信じているな、
という再会の気持ちがします。

写真はマルセル・デュシャンの星型の禿。
唐さんが、ふざけながら、真剣にパクって『腰巻お仙』のヒントに
しただろう一枚です。

11/16(土)オルガンとネモ船長

2024年11月16日 Posted in 中野note
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↑ネモ船長のサロンの奥には、立派なパイプオルガンがあります


昨日、県民ホールでは中田恵子さんによるリサイタルを行いました。
全てバッハの作品により構成されたオルガンの演奏会でした。

バッハはオルガンという楽器にとって作曲家の王様であり、
スタンダードでもあります。ファンがたくさんいて、実際に、
中田さんとバッハと広報担当の力でチケットはソールドアウト、
終演後には「バッハのオルガン曲が大好きです」という趣旨の発言を、
多くのお客さんがしていかれました。

公演後は打ち上げとして、中田恵子さんと音楽学者の沼野雄司先生と
ご一緒して食事に行きました。そこでの会話はとても面白く、
今ではスタンダードとされるバッハの楽曲がいかに複雑すぎるか、
作曲当時の人々が理解するのには難しすぎる曲であるかという話でした。

バッハは当時も愛されたはずだ、とある人は言う。
バッハは誰にも理解されなかったのではないか、と別の人は言う。

そのやりとりが、結局はバッハの大きさを改めて示すようで、
面白い時間でした。まだ機関車も自動車も開発されていない時代に、
一人だけステルス戦闘機を作ってしまったようなものかな、
と自分は想像します。

すると、なぜグレン・グールドがバッハを好んだのか、
なぜ何度も繰り返し聴ける録音でしか演奏しないようになったかも、
分かるように思いました。

打ち上げでの話を聴いて、同じリサイタルがあったら、
また違った主観で鑑賞できるでしょう。もういっぺん、
どこかでオール・バッハやらないかな。そう思います。

帰宅後、夜中にここ10日ほど読んできた『海底二万里』を読み終えました。

ネモ船長も、大事な場面でオルガンを演奏します。ラストシーン間際、
主人公のアロナクス教授がノーチラス号を脱出する時にも、ネモ船長は
演奏をしています。どんな作曲家の、何と言う曲かは書かれていません。

唐さんにとって、『煉夢術』『行商人ネモ』『ガラスの使徒』に影響を
与えたネモ船長。『煉夢術』と『ガラスの使徒』にはそのままオルガンが
出て来ます。『宝島』とか『白鯨』とか、唐さんが好んだ名作中の名作を
読み直すと、その時に応じた発見があるものだと実感し、良い時間でした。


11/15(金)『ジャガーの眼』より〜老婦長の活躍

2024年11月15日 Posted in 中野note
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↑こういう紐がわざとらしく降りてきて、老婦長がこれを引っ張る
すると、巨大な牛乳びんがおりてくる、という仕掛けです


『ジャガーの眼』を初めて真剣に精読していると、
二幕の各シーンで「老婦長」という役が決定的な役割を果たしている
ことに気付かされます。

まず、老婦長のDr.弁にへの忠誠心はハンパではなく、
弁のために処女を守り通してきたらしいのです。

そして、何と言っても圧巻は、二幕の最後でヒロイン・くるみを
閉じ込めるあの牛乳びん、あの仕掛けを作動させるのがくだんの
老婦長なのです。ト書きによれば、昔の水洗トイレの大きい方に
立て下がる紐のような仕掛けが垂れてきて、それを老婦長が引っ張る、
そう書いてあります。

これまで、『吸血姫』に出てくる婦長の魅力には気付いても、
『ジャガーの眼』のなかにこのような秀逸なキャラクターが
配されていることには気づきませんでした。

2月頃から『ジャガーの眼』をオンラインWSで読みます。
最新の発見を、ひとつひとつ開陳していきます。

近く、どこかの劇団が『ジャガーの眼』を上演してくれたなら
相当に楽しめる内容を展開する予定です。

11/14(木)申請書作成しながら、まちがい探し

2024年11月14日 Posted in 中野note
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↑右と左はどこがどう違うのか?


きっと、全国の舞台人・劇場関係者が今日は書類を書いているのだと
想像します。そう。明日は文化庁や芸術文化振興基金による助成の
申請〆切日。コロナ前のように郵送の手間こそ無くなりましたが、
電子申請には電子申請の緊張があります。

ここ数週間の劇団集合は、そのようなわけで、次年度以降の構想立てに
拍車がかかり、いろいろな演目が私たちの間を飛び交っています。

で、ここ数日は直前の執筆作業。
椎野とパソコンに向き合っていると、娘が横ヤリを入れてきます。
それが上の紙。どうやらこれは間違い探しらしい。

違うといえばぜんぶ違うし、どこを同じつもりでどこを違う風に
描いたつもりなのか、彼女の意思を忖度しながら間違いの数を
数える必要があります。このようなことに中断されながら、
なおも申請書作成は続きます。

嗚呼、この娘よ、早く寝てくれないだろうか。

11/13(水)もうすぐあの古典作品が発売される

2024年11月14日 Posted in 中野note

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↑これを読み解くためにも必要なのではないか?


今朝、ランニングがてら横浜駅のビッグカメラを横切ったところ、

体に刻み込まれたあの音楽に打たれました。

「ドラクエⅢのエンディング曲!」


週末11/16にリメイク版が発売であることは以前から気にかけて

きましたが、そうか、もうすぐか!と気付かされました。


どうしたものか。

ゲームを離れて15年ほど経ちます。


しかし、これはかつて自分がゲームに染まった原点でもあります

見逃せない。


そう思い、実家においてある息子のNintendo Switchを密かに

取り寄せようとしたところ、あっさり息子にばれ、

「お父さんはゲームをするが、あなたはできませんよ」と伝えたら、

彼は布団に突っ伏して泣きはじめました。


ああ、あの『少女仮面』2場で腹話術師の言う「さめざめと泣いた」

というのはこういうことだなと思いましたが、さすがに無体だと悟り、

とりあえず実家からは取り寄せないことにしました。


齋藤に借りられないかとも思いましたが、彼のスイッチはけっこう

稼働しているらしいのです。


どうしようか。


ゲームは遊びではありますが、

今や『ドラクエⅢ』は唐さんの『電子城』シリーズに繋がってもいる。


年末年始に帰省して、息子の睡眠時間→私のゲーム時間という

昼夜逆転生活を送るか。用意されているであろうリメイク版の

裏設定まで、自分に許された3〜4日でクリアできるのか。


ああ、11/16の発売まであと3日。

11/12(火)『少女都市からの呼び声』本読みWS 第4回 その②

2024年11月12日 Posted in 中野note
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↑兄の中指・薬指・小指を切って自分に移植するシーンです


昨日に引き続き、『少女都市からの呼び声』本読みWSのレポートです。

今日ご説明する「指切りの場面」こそは、この演目最大の見せ場です。
これまでにさまざまな上演に接してきましたが、このシーンになると
決まってお客さんが集中して舞台を観ます。
突出して吸引力の高いシーンですが、それでいて難しい場面でも
あります。

要点はこうです。
雪子は、フランケと兄・田口の間で逡巡します。
自らをガラス化してフランケとともに永遠の世界に生きようとするのか、
田口と現実世界に帰ってもう一度、世間に揉まれて生きる道を選ぶのか、
悩んだ末に、雪子は後者を選択します。

今度は、「肉」が必要になる。
硬質な「ガラス」でなく、常に呼吸し、老廃物を生み出しながら
自らを更新していく「肉」を得て、現実と渡り合う。
そのために、雪子は3本指を必要とします。
かつて工場で吹き飛ばした3本指が消滅してしまっているとしたら
今度は肉親である田口の指をもらい受けようと決意します。

ここから、メスを取り出して、任侠映画さながらに指切りの場面が
始まります。「指切りげんまん」をリアルにしたかの如く、実際に
指を斬り始めるわけです。

上演によってはかなり血糊も使い、ともすれば陰惨になります。
勇気・情熱・約束と、3本の指を徐々に切り落としてゆく。

この場面を成立させるにはコツが2つあって、
ひとつには雪子の現実世界に対する不安をしっかり描くこと、
だから指が必要なんだ、とお客さんに共感を呼ぶだけの
心理の流れを押さえることです。
不安に慄くからこそ、仕方なく指を切る。

もう一つは、コミカルな場面を活かすことです。
指を切断する緊張感マックスの瞬間ど真ん中に、
雪子は視界に入った虫が気になって右往左往します。
この場面は、張り詰めた兄妹が一気に緩む効能があります。
なにしろ、指づめ途中の相手をほったらかす、早くやってくれと
催促する、という流れがコミカルです。

そして、コミカルに一度振るから、また指切りに戻った時の
二人の真剣さが生きるわけです。そうするなかで、妹・雪子は
もういちど現実と渡り合う決意をし、兄・田口もまた、劇冒頭の
ダメ人間ぶりを克服していきます。この場面は、田口の成長譚
でもあるのです。

私たちの本読みでは、これらのコツをよく押さえて
この名シーンを終えました。次回、11/17(日)はここに
フランケが乗り込んできます。

12/9(土)星座のはなし

2024年11月 9日 Posted in 中野note
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初夏以来、週に一冊マンガを買ってきました。

『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION』シリーズです。
きっかけは、息子がやたらとマンガを読みたがり、
しかも近所のイオンの本屋を覗きに行ったところ、大きな本屋でも
売っていないこのシリーズが全巻揃っていたことでした。

以来、だいたい週に一冊のペースで息子と二人で読み進めてきました。
ちょうど11/8に最終巻が発売される予告だったので、
逆算してタイミングが合うようにしつつ、昨日を以って最終話まで
見届けました。伏線回収の畳み掛けがすばらしい最終盤でした。

同時に、よく8歳の息子が内容についていくことができているものだと
感心もしました。

よく占いに用いられる黄道十二星座のなかに蛇遣い座も入るのでは
ないかと取り沙汰されたのは、1990年代半ばのことです。
この話題が今回のシリーズの大きなネタになっていました。

それで調べてみると、今まで水瓶座だと思っていた自分は、
新ルールでは山羊座になるのだそうです。
オーロラエクスキューションでなく、エクスカリバーか・・・。
悪くない。そういう感覚です。

何よりも、血液型とか、星座とか、占いを楽しむ観点からすると、
それがスレるのはなかなかの痛快事です。過去に遡ってみれば
一生懸命に自分の星座の運勢を気にしていたことが無効化されて
なんだかスッキリする感じがします。

唐十郎作品でもっとも天体の運行を取り上げたのは、
最大の長編『腰巻おぼろ』です。ロンドン滞在時に時間があったので
一度は研究したことがありましたが、あの作品に向き合う日も
いずれやってくるはずです。久々に台本データを立ち上げたところ
311ページあります。『少女都市からの呼び声』の2.6倍です。

・・・恐ろしい分量。

11/8(金)「少年世界」ってなんだ!?

2024年11月 8日 Posted in 中野note
昨日にご紹介した「新劇1985年7月号」ですが、気になる記述があります。

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「新劇」というタイトルの右上につけられたキャッチコピーが
「少年世界」となっている。

気になって他の号を見てみると、「すべての劇的なるもののために」
と見慣れたコピー。
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↑これは1980年秋公演で上演された『鉛の心臓』が掲載された号

私は唐十郎はじめ気になる戯曲が載っているもののみ「新劇」を
持っているので正確なところはわからない。でも、どうも
「少年世界」という文字は1985年7月号の他には見当たらない。

気になる。どなたかわかる方がいたら教えて下さい。


11/7(木)これが『ジャガーの眼』

2024年11月 7日 Posted in 中野note
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↑まずは初めて活字化された「新劇1985年7月号」を頼りに読んでいる


『ジャガーの眼』を読み始めて6日間。1幕が終わりました。
読むというのは、台本を作るということです。

これは、毎週日曜日の本読みWSに参加している方のリクエストにより
始めたことで、1月には俎上に上げて読むための準備をしている
というわけです。

1日に4頁のペースで打ち込みをし、あと10日ちょっと経つと
すべて終わりますが、改めて精読すると、冒頭から発見の連続です。
まず、台本上は冒頭にくるみの劇中歌があります。
今までに観たどの上演にも無い趣向で、これが自分を興奮させました。
トップから、移植された角膜を追うヒロインを前面に出して、
劇を動機付けます。今後は、どうして唐さん自身も台本通りに
しなかったのかを考える必要があるでしょう。
そして何より、書かれた通りに行う上演を想像する愉しさが
待っています。

それに、『ジャガーの眼』を精読していて他と違うのは、
圧倒的に唐さんの声が聴こえることです。田口のせりふは全て
唐十郎の声で聴こえてくる。

思えば、唐さんがこんな風に徹底的に主役に躍り出る劇は
珍しいのです。その意味で、ザ・役者としての唐十郎という作品だと
痛感します。くるみとサラマンダに、モテすぎな感じもありますが。

明日は2幕に進みます。


11/6(水)今日も劇団集合

2024年11月 6日 Posted in 中野note
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↑『恋と蒲団』公演付きシンポジウムのポスター。最後に上演したのが
2009.7.16-17のこと。今だったらもっと匂い立つように出来るはず!


今日も劇団集合しました。来年度の構想を練るためです。
その中で、米澤に過去の劇団活動について語る機会がありました。
例えば、初期メンバーが20代半ばを過ぎて学生時代からの仲間が
劇団を辞めていった時の話。

あの時には『下谷万年町物語』という超絶的な大作を
取り上げ、1年半後に公演すると大言壮語するなかで
何とか巻き返そうと必死になりました。

必死に出演者募集のチラシを配って歩き、
運良く借りられたスナックの休店日を「唐ゼミ☆の日」として
芝居づくりに興味を持つ人たちとの交流の場にして、
多くの人と会って話すようにしました。
そうする中で、ひとりひとり出演者を募ってピンチを凌ぎました。

今、劇団員が少ないですから、また新たな人との出会いを求めようと
いうことで、そういう話になりました。
チラシにどんな工夫を重ねて、柏手を打つようにして一件一件
劇場に設置してもらって歩いたことを思い出します。

そんな中で、『恋と蒲団』をまたやりたいなあ、という話もしました。
ああいう小品を、いつでも抽出しから出せるようにして持って
おいたら素敵だろうと思うからです。

あれは短いけれどなかなか意味深(いみしん)な作品で、
恋愛の嵐が吹き荒れる若者たちが、実に匂いによってお互いの
相性を嗅ぎ分けるという、なかなか淫靡な物語。
味のある作品なのです。

年明けにちょっと作ってみようかなあ。
新しい人とペアでやってみるってどうだろうか?
なあ、米澤よ。

11/5(火)唐組秋公演の千秋楽に行った!

2024年11月 5日 Posted in 中野note
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昨晩は雑司ヶ谷鬼子母神様に行きました。
最近は花園初日は別格として、中日に予定をやりくりして駆けつけるのが
常になってきているので、セレモクックな最終日に立ち会うのは
久し振りでした。

千秋楽ならではの芝居でした。
明治大学で観た時より荒っぽくなっているとこころもありましたが、
観客の反応をくぐり抜けて来た演者の皆さんがよく渡り合って、
あるいはざっくりやるところの緩急を心得て、自在感がありました。
あ、生を見ている! そういう楽しさの観劇体験でした。

『動物園が消える日』は集団戦の劇です。
初演時は唐組を結成して間もなくの唐さんが若手をデビューさせる
ためにこれを展開し、今また唐組には新たなチームが息づき始めて
いるのを感じさせる。未来を切り拓く演目なのだと思いました。

打ち上げも楽しく、皆さんの労をねぎらいながら、
ご馳走を頂いて、この秋公演の感想だけでなく、次は何を
やるんですか?という話もしました。

観たことのない90年代唐組作品や、一度も再演されていなくて、
それでいて自分には思い出深い演目をリクエストして、久保井さんが
苦笑いする。若手は、私も興味持っていたんですよ、と言う。
『動物園が消える日』が培ってくれた集団のエネルギーの中に
混ぜてもらっていることが幸せな時間でした。

今年春公演の紅テントはどうしたって特別な雰囲気に包まれていました。
そして、秋公演には日常的な紅テントが早くも戻って来ていました。
当たり前に公演している紅テント。このさりげなさを、自分は
ありがたく感じます。唐組の皆さんに感謝!

11/2(土)もっと読もうぜ!本の世界

2024年11月 2日 Posted in 中野note
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↑ドキュメンタリー映画『editor.O』のパンフレットです

今日は朝から『ジャガーの眼』の台本作りをし、
買い物がてら散歩もして、それから『佐川君からの手紙』を読みました。
『佐川君からの手紙』を読むのは、来月から始まる『ご注意あそばせ』
ワークショップに備えるためにです。

息子と喫茶店に行き、彼は星座の本を、私は小説を読むという経験も
初めてしました。息子もまたよく本を読むようになったのです。

夕方には、南万騎が原に出かけました。
駅前のアートスペース〈みなまきラボ〉で、ずっと劇団を見て
下さってきた川口ひろ子さんの映画監督デビュー作『edhitor.O』を
拝見するためです。

おもしろい映画でした。すでに、今月末に2回目の鑑賞をしようと
決意していますが、それほどに良いドキュメンタリー映画でした。
この映画の魅力は、被写体となった文藝編集者・長田洋一さんと
長田さんを取り巻く方々の凄みです。

長田洋一さん本人に加え、福島泰樹(歌人)、正津勉(詩人)、
山口泉(作家)、佐藤直子(東京新聞論説委員)、
塩尻市立図書館館長・図書館員(上條史生、中野友美)、
高橋博(穂高ひつじ屋店主)、窪島誠一郎(戦没画学生慰霊美術館 無言館)
が被写体として登場します。

話題の中には、中上健次、立松和平、松本亮一、辻井喬らが
伝説的な編集者である長田洋一さんを媒介にして登場します。
長田さんを通して、私はこれから彼らの本を読もうと考えています。
窪島さんの無言館にも行ってみたい。

何より、長田さんが塩尻市立図書館でコーディネートされている
「本の寺子屋」に伺おうとも思っています。謦咳に接しておくなら
今のうちだ!川口監督が全霊でそう叫んでいる映画です。
触発され、もっともっと読みたくなりました。

11/1(金)祠(ほこら)の季節

2024年11月 1日 Posted in 中野note
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↑1985年7月号に掲載

気づけば11月です。
一昨日、昨日と車で渋谷を通る機会がありましたが、
それはそれは厳戒態勢でした。メインの道路の路肩にはすべて赤い
カラーコーンが一定間隔で置かれ、警察官も大量に立ち、
「絶対に暴れさせないぞ!」という意志に街全体が充ちていたために、
路上のコインパーキングに駐車してタワーレコードに行きたいのを
諦めざるを得ませんでした。
早く終われハロウィーン。早く終われ10月。と思ったものです。

で、11月になりました。
11月といえば唐さんが新作の執筆に入る月です。
ご自身で「祠(ほこら)の季節」と呼ばれていました。
要は内にこもり、気を練る期間ということでしょう。
この時期の唐十郎は新作の妄想にとらわれているために
目はギラギラして怖く、話しかけるのも憚られる雰囲気になります。

そういうわけですから、11月になると自分も背筋が伸びます。
何かしなければということで、少しずつ『ジャガーの眼』の台本を
作りながら読んでいくことにします。

まずは、あの沖積社の金ピカの単行本でなく、雑誌「新劇」に
掲載されたものから。これまで、自分が上演することは無いだろうと
本当に真剣には読んでこなかったので、改めて登場人物表に向き合う
だけでも発見があります。

これから、どうなるか・・・




10/31(木)『御注意あそばせ』とは

2024年10月31日 Posted in 中野note
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↑河出文庫『佐川君からの手紙』
この中に小説版の『御注意あそばせ』も収録されています


昨日書いたように、『少女都市からの呼び声』本読みが終わったら
『御注意あそばせ』という台本を読みます。

それは、唐さんのなかでは単行本化もされていないし、
かつてあった『新劇』という月刊誌に掲載されたのみの
甚だマイナーな作品です。

そういうわけで、皆さんには事前に予習をすることが難しい作品
なのですが、まずは『佐川君のの手紙』を読むことが
『御注意あそばせ』への窓口になります。

『佐川君からの手紙』を書く→芥川賞をとる→
『佐川君からの手紙』の後日談として小説版の『御注意あそばせ』を
発表→戯曲版『御注意あそばせ』を書く→1985年9-10月に吉祥寺の
劇場で公演

という流れだからです。

そういうわけで、『佐川君からの手紙』がいかなる小説だったかも
振り返ることにしましょう。幸い、河出書房新社から出版されている
文庫本には『佐川君からの手紙』と小説版『御注意あそばせ』が
セットになって入っています。

『佐川君からの手紙』、小説版『御注意あそばせ』
『少女都市からの呼び声』、戯曲版『御注意あそばせ』、
そして『ジャガーの眼』と読み進め、1983-1985年頃の唐さんが
何を考えてみたのか、その頭の中を覗いてみましょう。

10/29(火)WS予告!次と次の次

2024年10月29日 Posted in 中野note
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↑1985年。こちらが発売された年です。私は4歳でした

毎週日曜に行っている本読みWSですが、
参加者の中から嬉しいリクエストが寄せられました。

次は『ジャガーの眼』をやってほしい、とおっしゃるのです。
しかも、単にこの作品が好きだから、というだけではなく、
現在読んでいる『少女都市からの呼び声』との関連の中で
『ジャガーの眼』を読みたい。というご希望でした。

これは嬉しいですね。
唐さんは1984年に状況劇場の若手用に『少女都市』を改訂します。
結果、『少女都市からの呼び声』が上手くいったので翌1985年に初演する
『ジャガーの眼』が誕生しました。

つまり、1984-1985年の唐さんについて考えよう!
とこのような趣向を提案してくださったのです。
もう5年以上も本読みWSをやってきて、良かったと思いました。
唐さんに対する理解を、こうして複数人で蓄積していくことが
できるからです。やはり大変に嬉しい。

ところが、ここには一つ問題があって、それは自分がまだ
『ジャガーの眼』を研究していないということです。
ですから、まずは同じ1985年作品である『ご注意あそばせ』を
先に読んで、その間に『ジャガーの眼』を研究し、皆さんとの
本読みを展開しようということになりました。

今後のスケジュールはだいたい次のような感じです。

2024.12上旬〜2025.1中旬 『ご注意あそばせ』
2025.1下旬〜2025.3上旬 『ジャガーの眼』

今後は1980年代作品を追いかけるのも良いと考え始めています。

10/26(土)知らずにお世話になった人

2024年10月26日 Posted in 中野note
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↑この方にお世話になっていたんだとわかりました

2年前に惜しくも閉店した名古屋のちくさ正文館。
この本屋さんの名物店長だった古田一晴さんが亡くなったと
ネットニュースで読みました。
一人の書店員の他界が報道される、
それだけ古田さんが偉大な存在であったということです。

私はこの報に接するまで、古田さんの存在もお名前も知りませんでした。
ただ、高校時代に演劇に興味を持った時、自分をリードしてくれたのは
古田さんが構成してくださっていた書棚であり、その後に様々な分野に
関心を寄せるようになった時も、次なる一手を古田さんに教わっていた
のだと思います。

実際、大学生になってからも、帰省するたびに自分はこの本屋に行き、
時には名古屋駅から直行して本を買ってから実家に帰ることも
あったくらいでした。ずっと名古屋にいれば古田さんとお知り合いに
なれたかも知れません。せめて一言、御礼は言いたかったと思わずには
いられません。

唐さんの本も買いました。
それこそ、沖積社から出ている金ピカの『ジャガーの眼』を高校時代に
買って、大学入学後に初めて受けた唐さんの授業が終わると、教壇に
立つ唐さんのもとに行き、サインしてもらいました。
初めて唐さんと直接お話ししたのが、その時でした。

2015年1月に名古屋で結婚式をした時、その前夜にちくさ正文館に
寄ると、なぜか、それまでには置いていなかった『水の廊下』と
『さすらいのジェニー』が忽然と現れ、しかも金文字で「唐十郎」と
サインが入っていたのには驚きました。

両方とも、出版から四半世紀ほど経ち、新刊で置いてある店は
東京のどこにもないはずでした。それが、突然に書棚に現れ、
しかもサイン本というのもおかしな出来事でした。
ずっと倉庫に眠っていたのか。
古田さんなら真相を聞けたのに、と今にして思います。

最近、よく丸の内にある丸善本店に行きます。
大きな本屋だけど、やはり自分のナンバーワンはちくさ正文館であり
ネット販売が進行する時世柄その地位が揺らぐことは無いでしょう。

古田さん、お目にかかったことはありませんが、お世話になりました。
ありがとうございました。

10/25(金)赤坂の『ジャガーの眼』にて

2024年10月25日 Posted in 中野note
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↑豪華パンフレットの中にあった、あの人物相関図。あれを描いて
レイアウトした人たちは相当に偉いと思いました。これだけ整理した
ものが共有させていれば、芝居づくりに良い設計図になったでしょう


この前の火曜のことですが、新宿梁山泊の『ジャガーの眼』を
観に行きました。赤坂というのはあまり馴染みのない土地ですが
赤坂サカス周辺が舞台版『ハリー・ポッター』に染まるなかに
見慣れた紫テントがあって、威勢の良いテント芝居の声が
聞こえるというのはなかなかの痛快事でした。

『ジャガーの眼』には、さらに言えば金守珍さんの演じる
ドクター弁には圧倒的な思い入れがあり、1998年に深夜放送で
流れた状況劇場初演のこの演目こそ、自分にとって横浜国大で
教えているという唐十郎を目指すきっかけでした。

やっぱり、あの東京音頭の替え歌とか、
「論争、論争」という歌は何度聴いても笑えます。

それに、今回は光栄なことにご用命が来て、
当日パンフレットに文章を書かせてもらいました。
きっと他にも大勢の人たちが書いているんだろうと思って当日を
迎えてみたら、座組の外から寄稿しているのは自分だけで、
金さんに何か託されたような気がしてありがたさが増しました。

終演後は金さんから、状況劇場在籍時に唯一、唐さんから金さんに
向けて当て書きされた役柄が「ドクター弁」であることを聴き、
驚きました。もっともっと金さん用の役があるのだと思っていました
から。でも、唯一が『ジャガーの眼』というのはすごいことです。

同じ回の観客には親しくしている眼医者さんがいて、
その先生に「角膜移植の話だから、リアル・ドクター弁ですね」
と話を振ったら、「移植した角膜を再移植するなんてあり得ないよ!」
と答えが返ってきて、大笑いしました。

芝居の内容に引っ掛けて、こういう話をするのは至福の時間です。
唐さん本人も「おかしいよね」と言って笑うだろうと想像します。
おかしくて、真剣。真剣だけど可笑しい。そういう箇所にツッコミ
ながら芝居づくりするのは、唐十郎作品の醍醐味といえます。

10/24(木)今日は劇団集合

2024年10月24日 Posted in 中野note
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↑2001年唐組春公演『闇の左手』の写真と思われます
確か、役名は微笑小路(ほほえみこうじ)、良い名前!

今日は久々に劇団集合をして、これから何をしようかと話をしました。
来年の、再来年の公演をどうしようかという話題を中心に、
テントのメンテナンスや、11月に出版される唐十郎特集の本に
寄稿することができた話もしました。

Amazonで『唐十郎 襲来!』と検索すると出てくる本で、
今これを書きながら、以前は出ていなかった表紙のビジュアルが
出ています。8-10月まで、かなり必死にこの本への原稿書きに
取り組んだので、自分自身とても愉しみにしています。

そうそう、劇団集合。
これからは週に1回のペースで集まって、
台本を読んだり、ワークショップの準備をしたり、
スタジオ公演や本公演や、そういったものを組んでいこう、
新たな劇団員も募っていこう、という話をしました。

一方で、最近は唐組の設営を手伝いに行ったり、
みなとみらいで一緒にイベント設営や運営の仕事をしている
見たいです。また個々人の仕事についてはゼミログに
書くことでしょう。そういったものも応援してやってください。

10/19(土)就寝は午後8時

2024年10月20日 Posted in 中野note
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↑こうした長屋では、雨戸を閉めても外の喧騒は耳に入らざるを
得なかったでしょう


今日は翌日未明の投稿です。
というのも、昨晩は椎野が唐組を観に行ったので私は子守りを担当し、
一旦、午後8時には寝てしまったからです。

昨日は土曜日でしたが、お昼に齋藤亮介が舞台監督をしている
ダンス公演を椎野と二人で観に行くことにしました。
それで、子どもらを学童や保育園に預けることにしたのです。

夕方、椎野は都内に行き、私は子どもたちを迎えに行きました。
その後、17:00には夕食。小雨が降っていたので3人で洗濯物を
取り込んだりしながら18:30には風呂に入り、
19:30には家の中を真っ暗にしてしまいました。

息子は疲れていたらしく、すぐに寝ました。
娘は「早すぎる」と抵抗していましたが、暗くしていると
あっという間に寝ました。自分も一緒に寝てしまったので
夜中の2時くらいに目覚めて、こうしてゼミログを書いています。
午前2:00ですが、6時間くらい寝たのでスッキリです。

唐さんの小さい頃、
お父さんである大鶴日出英(おおつる ひでえ)さんの生活習慣は
こんな風だったと聞いたことがあります。
午後8時くらいには、雨戸を閉めて寝てしまったと。

当時の大鶴家には事情があって、住まいが下谷万年町であった
ために、子どもたちに夜の万年町の喧騒を見せまい、感じさせまい
としたのだということです。

うちはうちで商店街沿いなので、酒を飲んだ若者たちが
大声で話しながら通ってゆく様子が聞こえます。
これから、明日から始まる『少女都市からの呼び声』本読みの
準備をします。

10/18(金)『太平記』の音楽

2024年10月18日 Posted in 中野note
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↑内容は耽美的でもありますが、ジャケットはバブリー

最近、大河ドラマ『太平記』の音楽を聴いています。
先日、明治大学で行われている唐組を観に行った時、
行きがけに寄ったティスクユニオンで安く売っているのを発見しました。

ずっと欲しかったのですが、90年代初頭の発売ですからすでに
中古しかなく、しかも高価なのです。それがやっと手に入りました。
小学校の頃はずっと大河ドラマを観ていましたが、『太平記』が
もっとも好きでした。特に第一話。若き日の足利高氏が
満座の席の闘犬の場に引き出され、乱暴な犬を相手に散々に
打ち据えられて引き上げる場面の屈辱感。

小学生ながらに、青春とはこういうものだと直感しました。
挫折とか蹉跌とかいう言葉を知るのはもっと後のことですが、
今をときめく真田広之さんが何とも言えず気づまりで。
思うに任せない様子は切なさに満ちていました。

後に唐さんの友人であり、総合プロディースをされた高橋康夫さんに
お目にかかった時には、その時の感動を何度もお伝えしたものです。
作曲は三枝成彰さんですが、弟の三枝建起さんには横浜国大で
映像制作講座を教えて頂き、たいへん良くして頂きました。

建起さんに「お兄さんが大河ドラマのために書かれた曲が好きなん
です」とお伝えすると、「『花の乱』もいいよね」と仰っていました。
思えば、両方とも日本の中世、室町幕府時代を描いたものです。

網野善彦さんが展開されたこの時代は悪党が跋扈し、
人間のすぐそばに鬼や天狗がいて、異世界が広がっている。
そういう感じがします。三枝成彰さんの作曲はそういった世相を
和楽器によって表現しながら、燎原の火のように広がる反鎌倉幕府の
蜂起を、後に続く観応の擾乱の地で血を洗う果てしなさと混沌を
如実に感じさせます。

おっとりした日本人が、トゥキュディデス『戦史』や司馬遷『史記』
の容赦の無さ、仁義なき闘いぶりに最も接近したのが観応の擾乱の
激しさだったと自分は考えます。そういうわけで、『戦史』を読み、
『太平記』CDを聴くのです。荒ぶっています。

10/17(木)冷めやらぬ興奮

2024年10月17日 Posted in 中野note
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一晩たったあとも読後感の興奮が止まらず。

さっそくに中公クラシックス版を読みはじめ、
東大名誉教授の桜井万里子先生の書く冒頭解説文に唸っています。

昨日まで読み続けた岩波文庫版には心打たれる場面がいくつもあり。
例えば、

1.紀元前430年に起こったアテナイでの疫病大流行
病苦に喘ぐ近親者の世話をも恐れざるを得なくなった市民たちの
様子は、まるで『はだしのゲン』を思わせます。感染が怖いために
汚物まみれの家族のいる部屋に最低限の食べ物を投げ込み、
愛するものを放っておかざるを得ない人間の苦しみ。

2.アテナイによるシチリア征伐が大失敗し撤退戦を余儀なくされる
本国から大挙して攻め寄せた戦いに惨敗したアテナイ兵たちの撤退の
様子は、インパール作戦のそれと同じだけの悲惨に充ちています。
動けなくなった同胞を捨てて行軍する兵士たち、それとても
何とか味方のいそうな領地に駆け込むだけがせいぜいの慰めで、
祖国が遠するぎるという絶望感が胸に迫ります。
一方で、一定数帰り着いてしまう者がいる状況も現在を生きる
人間と同じなのです。


3.捕虜となった兵士たち7,000人が狭い石切場に押し込められる
中国の春秋戦国時代末期に秦の将軍・白起が趙を攻めた「長平の戦い」
における亢殺20万人や、明治維新前夜に天狗党の面々が福井県の鰊倉
に閉じ込められて過ごした幽閉期間を思わせます。

こういったシーンのトゥキュディデスの描写は、淡々としているから
こそ真に迫ったものがあり、つい昨日に起きた苦しみ、今日も人類を
苛む事件と同じだけの力を以って自分を圧倒します。

あるいは、昭和40年前後にこれを訳した久保正彰先生の筆力が
そうさせたのかも知れませんが、まるで「映像の世紀」のように
魅せます。

10/16(水)ゆらぐ。好きな本ランキング

2024年10月16日 Posted in 中野note
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ここ3週間とちょっと没頭してきた本をついに読み終わりました。
トゥキュディデスの『戦史』全3巻です。
これはおもしろかった。県民ホールで大きな公演を抱えていたので
日に20ページしか進まない日もあったけれど、克明に描かれている
ペロポネソス戦争が白熱すると、ノートを取って固有名詞を書き留め、
地図とにらめっこしながら1日に100ページちょっと進む日もありました。

この本の驚くべき点は、リアリズムへのこだわりです。
2,450年前の戦争を通じて、そこに生きる人々の足掻きや駆け引きを
克明に描いてみせる。これを読むと、人類はちっとも進化していないと
いうより、この時点で人がある完成度に達していたことが体感できます。
頭の良い奴、キャラ立ちの良い奴。次々と登場して、同時代を
生きていたら全く敵わないと思わせる英雄がいくらも登場します。

アテナイからは雄弁家ペリクレス、交戦的で道化的なクレオン、
現代人にも愛されそうな穏健で慎重なルキアスらが活躍します。
スパルタには名称ブラジダスがおり、シュライクサイには
ヘルモクラテスがいて、相手にとって不足なしという闘いを
見せます。中でも最も面白いのは、アテナイに生まれながら、
最終的にはスパルタ、ペルシャをも手玉にとるアルキビアデスです。
彼こそ、この戦争を通じて随一のトリックスターです。
色男にして賢い彼の誘惑に屈しなかったので師であるソクラテスのみで、
当時の世界のすべてを引き摺り回し、翻弄させる魅了に彼は充ちています。

ヘロドトスのように伝説化するのでなく、克明に細部を集積させていく
作者のやり方が私は好きです。伝聞を頼りに想像して描いた箇所の多さを
考えれば、ここで展開するリアリズムもフィクションの一種に違い
ありません。けれども、努めて冷静であろうとする意志が細部に宿す
説得力が半端ないのです。自分もまた、このような姿勢で、物事に、
唐十郎作品に臨みたいと、範を示してくれます。

これまで好きな翻訳物は
1位 ヴェルギリウス・マロー『アエネーイス』
2位 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
3位 ダンテ・アエギエーリ『神曲』
という順番だったのですが、いきなりトップに躍り出るくらいに
面白い本でした。嬉しい混乱と興奮です。

おさらいに、これから中公クラシックから出ているダイジェスト版も
読むつもりです。小さい頃に大河ドラマを観て、最後に総集編を観た
感覚が甦ってきます。

例えば、ソポクレスの『オイディプス王』に出てくる登場人物たちが、
神話的人物たちに想をとりながら同時代の誰を描こうとしていたか、
いかに当時の現代演劇だったのか。この『戦史』は教えてくれます。

10/15(火)唐さんを追悼する会

2024年10月15日 Posted in 中野note
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↑終了後に重村くんが写真を撮ってくれました。最初期の学生である
自分と、唐さんの最後の学生である皆さんです。唐さんは15年間も
大学に勤めたのだと、改めて感じ入りました


今日は先週末に引き続き、明治大学内の紅テントに行ってきました。
唐十郎アーカイヴによる「唐十郎さんを追悼する会」が行われたのです。

前半は、唐さんが最後に教えた「紅団子」の皆さんによる座談、
後半は、唐組の稲荷さん・久保井さん・藤井さんのお話を
樋口良澄さんが聞き出すというクロストークでした。

唐組幹部の皆さんが初々しかった頃の唐さんとの関わりや
入団の経緯、いま思っていることに加え、藤井さんが20年後の
野望について語ってくれたことには喝采しました。

また、明治大学のOBである紅団子の皆さんがすっかり立派な社会人に
なりながら、それでも緊張の面持ちでトークされた内容を面白く
聞きました。唐さんは就任2ヶ月足らずでケガをしてしまったので、
ごく短期間の関わりだったにも関わらず、初めて伺うエピソードが
たくさんあって、学生も、唐さんも、激しく緊張しながら切り結んで
いた当時の状況がよく分かりました。

自分も『少女仮面』を上演してみて、皆さんが経た工夫が切実に
わかるようになりましたので、いきなり唐さんの指導に接しつつ
あの上演をやりこなした皆さんに、12年前に立ち会った内容を
思い出してもう一度拍手したくなりました。

「せりふは2日で覚えるんだ」と唐さんは豪語、熱血指導したそう
です。そういう言葉を初めて聞かせてもらって、またひとつ
知らなかった唐さんに出会うことができました。

それに、唐さんが倒れた後に名代を務めた辻孝彦さんが
怒りながら俳優を指導したことを知って、胸が熱くなりました。
唐さんが先生であったように、辻さんもまた同じく師範代だったのです。

アーカイブの公開も待たれます。
何かお手伝いしたいと思わずにはいられません。良い会でした。

10/12(土)紅テントに行ってきた

2024年10月12日 Posted in 中野note
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今日は盛りだくさんでした。
朝から息子の運動会があり、実家から私の母と姉もやってきて
家族で観戦しました。といっても、私は娘とともにあちこちを
さまよいました。補助輪付きの自転車を乗り回すようになったために
彼女の移動スピードは格段に上がり、ランニングにちょうど良い
ことが分かりました。

家族で昼食をとった後、私は都内に向かいました。
目黒不動尊の近くにある蟠龍寺(ばんりゅうじ)の本堂で、
『少女仮面』の時に谷洋介さんと小島ことりさんにタップダンスを
仕込んでくださった米澤一平さんが行う定例の即興ライブが
あったのです。それほど広くはないながらも、水底に雌伏する
とぐろを巻いた龍の描かれた天井絵を戴く本堂にて、
ミュージシャン2人+ダンサー3人+一平さんの6人による
豪華インプロが行われました。

特にゲストであるダンサーさんたちが三様に蟠龍から霊感を受ける
様子を面白く見ました。それぞれの感受性と関係性が見えてくると
即興は訳のわからない動作でなく、そこに通う条理が見えてきます。
そういうものが生まれやすい場であることが成功のポイントだと
思いました。力、あったなあ。

それからお茶の水に移動し、ディスクユニオンにも少し寄りつつ
紅テントに辿り着きました。『動物園が消える日』。細部の魅力まで
丹念に突き詰められた、大好きな上演でした。良い芝居だと
改めて感じ入りました。それ以上に、この台本は初演の時から
新人育成用の群像劇であるパワーをいかんなく発揮し、
若手の皆さんも含めて一人一人が輝いていました。

そして何より、丹念につくられた紅テントの芝居が日常的に
上演されていることに幸せを感じました。春公演はお祭り騒ぎ
でしたが、夏を超えて、いつもの唐組が還ってきました。
この「いつもの」という点について、当たり前に紅テントが
あるのは生半のことではないと感じ入りました。
自然と感謝が湧きます。

10/11(金)寄稿しました

2024年10月11日 Posted in 中野note
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↑日本劇団協議会の媒体 JOIN 109号です

今日は湯河原まで行ってきました。
行きは2時間という大渋滞で、横浜新道の出口付近ですでにノロノロ
運転というかつてない混みようでした。たまりかねて抜け道を
使ったために、原因は突き止められず。

湯河原そのものは充実の愉しさでした。
まず、みかん製品が美味かった。
他にも、堀口捨己さんの建築に接して興味を持ったので、
これからは他の建物にも注目していくことにします。

さて、冒頭に写真を載せた日本劇団協議会の団体誌「JOIN」に
ロンドンでの研修について寄稿しました。
半年に一度出版されるもので、一般の書店ではなかなか手に入らない
ものとも思いますが、見かけたら読んでください。
見開き2ページの分量です。

これを書いていたのは5〜6月頃だったはずですが、
今ではほとんどその記憶が曖昧です。今年は唐さんのことがあり、
文章の依頼が多いので、いつも心のどこかに〆切があり、
何とか書き終えると、はい、次を!という生活です。

が、しばしロンドンのことを思い出し、
レゲエやフォークソングを聴いています。

10/8(火)水野英子先生の個展に行ってきた

2024年10月 8日 Posted in 中野note
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↑ギャラリーの入り口で

今日から急に冷えました。
日曜日まで30度近くいってTシャツで過ごしていましたが、
今日は車の中の温度計を見ると17℃ということで驚きました。
一日のうちでいちばん気温が高い14:00台のことでした。

現在はお茶の水に唐組の紅テントがあり、赤坂に新宿梁山泊の
紫テントが立ち、という状況ですから、急に冷え込むと現場がさぞ
大変だろうと心配になります。
もっとも、今年3月末に私たちの『鐡假面』を見舞ったあの寒さ。
最高気温がやっと10℃を超える程度だったという、
あれは何だったのかといまだに思います。

どこかにテント劇場が立っているかと思うと、こんな風に
ハッと気になって、身につまされ、心配になります。
いつも、誰より唐さんががそういう感じで、特に朝起きて風の強い
日は電話を「大丈夫か?」と下さったものです。

さて、今日は有明のギャラリーに行ってきました。
お台場とか、有明とか、あまり行きつけない地域に車で行き、
平日ですから閑散として、大型車両が行き交い、小雨まで降ってきた
ものですから上記のように余計に寒さが際立ちました。

目的は、8月に神奈川県民ホールにお迎えしたマンガ家
水野英子先生の個展を観るためで、これは見応えがありました。
画業70年だそうですが、内容においても、技術においても、
水野先生が男女の別を超えて時代を画する存在であったことが
立ちどころにわかる展覧会で、とにかく感嘆しきりでした。

一点一点のコマに捧げられた画が、それぞれに独立した作品としての
強度を持っており、星が描かれた背景、ドレスのドレープ一本が
圧倒的情熱に充ちていました。10/14(祝月)まで開催中です。

水野英子個展「薔薇の舞踏会」
2024.9.28(土)〜10/14(祝月)12:00-18:00
ART SPACE SKY GALLERY
入場無料

10/4(金)嘘と文学性

2024年10月 4日 Posted in 中野note
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↑唐さんが読んだのは、改訂版であるこちらの翻訳かも

昨日、『若きウェルテルの悩み』の話を書いて思い出したのは
唐さんが横浜国大を退官するときに行ったスピーチです。

講座の最後、唐教授は木馬に乗って登場、
壇上でスピーチ、『少女仮面』の劇中歌『時はゆくゆく』を歌い
窓から去る、という趣向でした。

そのスピーチで、唐さんはこんな話をしました。

「授業を終え、校舎を後にしようとして振り返ると、
3階の窓辺に夕陽を浴びた中野くん、椎野ちゃん、禿ちゃんの
影が見えます。あれこそ、現代の若きウェルテルなんだと思いました!
さようなら、横浜国大。さようなら、7年半!」

と言ってい生バンドによる伴奏は開始されました。
続く歌も見事だったのですが、気になったことが。

・・・僕らがいた唐十郎研究室は5階なのです。
唐さんは明らかに百も承知で「3階」と言っていました。
おそらく、語呂が良いから。

世の中にはついて良い嘘、ついた方が良い嘘のあることを知りました。
私が23歳の時のことです。

10/3(木)アーキタイプの魅力

2024年10月 3日 Posted in 中野note
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↑これまで流布してきた多くの翻訳はゲーテによる改訂版をもとにして
いるそうです。これはオリジナルを翻訳したとのこと

無骨で荒削りな原型か、洗練された改訂か。
自分はどちらかといえば前者が好きで、しかも改訂の過程で作者が
何を考えたのか、オリジナルはどこが上手くいっていないと思ったのか、
そういう思考の痕跡に思いを巡らせるのは尚好きです。
その上で、上演するのだったら原型を選ぶのを基本としています。
原型=アーキタイプにはそれだけの面白さがあります。

『少女都市』『少女都市からの呼び声』を併せて研究したいと
考えるのも、そんな好みが底流にあるからです。

今年の初めに出版された光文社新訳文庫の『若きウェルテルの悩み』
は、そのような荒削りな力に満ちて、青春期に起こる空回りの極北を
見せてくれました。主人公ウェルテルの暴発ぶりは痛快なほどで、
被害者感がゼロなところが魅力でした。
勝手に惚れて勝手に死ぬ。ウェルテルのパワーは嵐を思わせます。
繊細で青白い青年でなく、すっかりのぼせ上がって大ナタを
振り回す感じがとても良いのです。

唐さんは『若きウェルテルの悩み』も好きだし、
あほロマンチックな青春を愛するところがあります。
ローリング・ストーンかつ、どうにも止まらない勢い。
訳者の酒寄進一さんが、またひとつ良い仕事をされています。


9/28(土)ドリームエナジープロジェクト本番!

2024年9月28日 Posted in 中野note
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今日は、2017年から関わるようになったドリプロの公演本番でした。
と言っても、ここ数回がそうであったように創作に関わることは
ありませんでした。現在、県民ホールが主催する『ローエングリン』
という公演に関わっていることもあり、参加できなかったのです。

その分、お客さんとしてたのしめました。
純粋お客さんであったのは、2017年に初めて公演を観た時と、
それから、ロンドンから帰ってすぐのタイミングと、
3回目だと思います。

久々にみんなに会うためにリハーサル会場を覗くと、
メンバーもお母さんたちもこれ以上ないくらいに歓待してくれて
感激しました。

舞台本番を、自分が関わっていないからこそ気楽に愉しみました。
みんな堂々としていて、即興でする脱線に行け行け!と応援しながら
観ました。最後の歌と踊りはなし崩しにステージ上に行って、
やっぱりこうなってしまうところにドリプロのおもしろさを
満喫しました。今日も自由の風が吹いていた!
ありがとう、みんな!

9/27(金)韓国の美空ひばり

2024年9月27日 Posted in 中野note
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↑さりげなく貼ってありました

私の父の姉、つまりおばさんは美空ひばりが大好きで、
名古屋でひばりさんのコンサートがある時にはよく行っていたそうです。
うらやましい。もしも自分がもっと早く生まれていたら、
あの伝説的な歌唱力を録音やテレビでなく、生で聴いてみたかった。
ほんとうにそう思います。

ところで、伊勢佐木モール近くによく行く韓国食材屋があります。
その名も「マンナ食堂」。ここのチャンジャは他の店のと全然
ちがって、夜遅くに家に帰ってもおかずがなく、さりとて
外食をする気にならない時に買って帰ると、数日、ぜいたくな
食事ができます。他に、海苔や参鶏湯なんかも買います。

今日はその軒先に気になるポスターを見つけました。
ディナーショー46,000円というのは、そのジャンルでは突出して
高いとは言えませんが、出演者に驚きました。

娘のチュウニさんの方が大きく写っていますが、
韓国の美空ひばりと言われる李美子さんも来るらしい。
気になります。

向こうにすれば、美空ひばりが日本の李美子だ!と言われるかも
知れませんが、あの低音域の響きと、そこから高音域に抜ける
歌い方は、ひばりさんを彷彿とさせます。

ちょっと手がでないかな、と思いながら、一期一会という言葉が
自分を駆り立てます。12/8(日)は本読みWSだから確実に無理として、
これは12/9(月)のスケジュールが仕事で埋まらなかった場合、
悩むぞ!

9/26(木)研究の途上では

2024年9月26日 Posted in 中野note
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日々、ヤフオク→唐十郎の検索を怠りません。
特にこれまでに見たことのない雑誌が出たときには色めきだちます。
一方で先日は、唐さんの学生時代の公演記録が出品されていましたが、
あまりに高額で手が出ず、口惜しい思いをしました。

ところで、最近は上記の文庫本が出品されているのを発見して
期待しました。こんなの初めて。きっと田中小実昌さんと唐さんが
対談したのだろうと思って注文しました。

ところが、届いてみれば、
これはそれぞれの著名人と歴史上の人物とが空想対談したのを
集めた本であり、唐さんの単著『乞食稼業』に収録されている
シェイクスピアとの対談の再掲載だったのです。

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一字一句同じかどうかチェックするほどの気力も起きず、
それでも、唐十郎の名が出てくる一冊として本棚に収まりました。

発見の歓びもあれば、こういうこともあります。
不都合でも、新たに事実がはっきりするのは前進です。
こうして、このネタでまたひとつブログが書けたわけですし。

9/25(水)8年前の今日は

2024年9月25日 Posted in 中野note
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↑『腰巻お仙 振袖火事の巻』より堕胎児たち扮する明智小五郎の
シーン。寂しさと恨みでいっぱいの場面でした。子どもが生まれるときに
こんな芝居をしていたのです。唐さん自身も、ちょうど義丹さん誕生の後、
1968年後半にこれを書いたはずです。「女性」「母」「少女」について、
唐さんと一緒に考えている感覚でした


今日は息子の誕生日でした。
8年前の早朝に産気づいたという連絡がありました。
椎野は私の実家である名古屋で彼を産んだので、あの時、
自分は横浜でひとり暮らし状態で、禿(恵)さんを主演にした
『腰巻お仙 振袖火事の巻』の通し稽古を予定している日でした。
だから、名古屋に駆けつけることはできませんでした。

朝5時くらいにいよいよだと母親から電話があり、
気が動転して、横浜駅西口のドンキホーテまで何か買い物に行こうと
走ったのを覚えています。それでも、どうにも落ち着かず、
早朝に齋藤に電話して迷惑をかけたことも。

大好きな漫画『子連れ狼』では、将軍がお正月のお祝いの席で
大名たちに餅を配るシーンがあり、それの影響で、当時の座組の
みんなに、馴染みの和菓子屋さんで名物のあんこ入りのお餅を買って
差し入れました。とにかく空回っていました。

椎野が13時間格闘して息子は生まれました。
午後に通し稽古をして、それから修正作業をした後に名古屋に
向かい、それからまたすぐに横浜に戻って新宿中央公園に入る日に
備えました。

あの時は、室井先生のおかげで横浜国大で稽古させてもらっていた
最後の方だと思います。それから、息子がうちに来て、唐ゼミ☆の
拠点をハンディラボに移して、維持費もバカにならないけれど、
みんなの協力でなんとか芝居にしがみついてきたな、と思います。

大きくなった息子を眺めつつ、来年の演目について考えています。

9/24(火)自転車を買う

2024年9月24日 Posted in 中野note
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子どもたちに自転車を買いました。
息子の8歳の誕生日のプレゼントです。
彼の自転車デビューが遅くなったのは、妹のためです。
妹はとても暴れん坊なので、兄の自転車を羨ましがって暴れる、
奪いだすことは目に見えていました。それで、下の子の成長を待った
のです。娘も5歳になり、自転車デビューするに充分な歳になりました。

これから練習です。
自分が初めて自転車を乗りこなせるようになった時の記憶が自分には
ありますが、思い出しつつ教えるつもりです。
難しければ、さまざまなところでやっている自転車教室に入れる
つもりです。

唐さんは、よく自転車に乗っていましたし、自転車が活躍する
台本をいくつも書きました。『ユニコン物語 台東区篇』と
『秘密の花園』はその双璧です。

自転車にユニコンの角を付けてユニコーンだと言い切る。
森のかじかの49段式、というアレです。

他にも、この前に私たちが上演した『鐵假面』の紙芝居屋、
『腰巻お仙 振袖火事の巻』のうどん屋なんかも自転車屋台です。
そうそう。私が初めて観た紅テントの芝居『眠り草』でも
活躍していました。
『腰巻お仙 忘却篇』では、人力の照明機材にもなったと聞きます。

最近は車ばかり運転してきましたが、
唐十郎の愛する自転車の世界に、これから子どもたちと再入門します。

9/21(土)年始にピーター来日!

2024年9月21日 Posted in 中野note
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↑初対面の時のピーター。コンウェイホール、かつてカール・マルクスが
講演会もした劇場で彼のアンサンブルがユニークな演奏会をしたのを
当日券飛び込みで聴いて、面白かったので話し掛けました


ロンドンの友人ピーター・フィッシャーが年明けに来日します。
フィルハーモニア管弦楽団の日本ツアーのメンバーになったらしいのです。
これはいい。あの時に受けた恩の一端を返す機会となりそうです。
一方、どこでコンサートを聴こうかなと考えています。

ロンドンにいた時には、いつもピーター割引価格で1,500円も
かからずに良い席に座って聴いてきました。
しかし、日本ツアーでは安くても20,000円程度はします。
やっぱり、みんなで飛行機に乗ってやってきて、一流楽団だけに
良いホテルに泊まるわけですから、値段も跳ね上がる。

みなとみらいホールでの公演がなぜか火曜日のお昼で、
しかしも翌日は東京で夜の公演なので、行くならここかなと
思っています。コンサートが終わった後に、
どこかに連れ出すことができるでしょうし。

メインプログラムがシベリウス5番の日と、
別の『中国の不思議な役人』の日という具合に、2回聴けたら
言うことありません。イギリスの文化支援が年々縮小されていく
なかでいつまで演奏できるだろうか、とピーターは言っていましたが
こうして立派にツアーが組まれて久々に会えるのですから、
ありがたいことです。

9/20(金)安保さんの命日

2024年9月20日 Posted in 中野note
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↑CD『1999年サマーの安保ちゃん』

今日は安保由夫さんの命日です。
いつもは、できるだけ今日に、でなければその前日に新宿2丁目の
ナジャにお花を届けていたのに。今年からはそのナジャも無いなんて。
車の中でこのCDをかけて移動しました。

また、安保さんのつくった劇中歌の入った芝居を演らないと!
今日は短めに。合掌。

最後にナジャに行った時に頂いたコースター
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9/19(木)ヴェルディの片手落ち

2024年9月19日 Posted in 中野note
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今日は仕事を終えて夜に時間ができたので、
思い立ってオペラシティに行きました。目的は『マクベス』です。
といっても芝居ではなく、オペラ版の『マクベス』をコンサート形式で
上演するので勇んで行ったのです。この演目の初見でした。

マエストロ・チョン・ミュンフンの指揮のもと、
歌手も東京フィルハーモニーの演奏も演出も素晴らしかった。
必要最小限の道具立てで、スピーディに展開するドラマが最大限に
浮き彫りになるよう、道具の出し入れも照明も衣裳も計算され尽くして
いました。上演としては申し分ありません。

他方、自分はヴェルディの作曲に不満を感じました。
マクベス夫婦が王位を奪った後に張る宴会の軽妙さと、
マクベスがバンクォーの亡霊に苛まれるコントラスト、
特に前者の明るさはさすがだと思いましたし、マクダフとの最後の
決戦、あの「女の腹から生まれていないゾ」と言い張るところの
バカバカしさに当てている曲がとても良かったのですが、
終盤の見せ場である、マクベス婦人の狂乱とマクベスのモノローグの
扱いは、はっきり言って失敗ではないかと思いました。

ヴェルディは稀代のヒットメーカーであり、言うまでもなく
巨匠なのですが、肝心なところで原作の活かし方に不足が
あるように受け止めました、それにしても、上演は素晴らしかった。
作品の不足を補ってあまりある、生きている人間が試行錯誤している
活力を味わいました。

9/13(金)宝塚のはじまり

2024年9月13日 Posted in 中野note
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↑確かに水が冷たそう。そして、劇場に向いていそうな内装

『宝塚歌劇110年史』というど迫力の本を見る機会があって、
そこにはもちろん、この歌劇団のはじまりも書かれています。

まず、1911年5月に「宝塚新温泉」という浴場がつくられてヒットした
こと。これを受けて翌1912年7月に大浴場に隣接した2階建洋館建築
「パラダイス」を建てたこと。しかし、この「パラダイス」の中央部に
つくった室内プールは上手くいかなかったようで、それは、男女共泳を
禁じたことと、水を温める設備がなかったことが原因と書いてある。

そこで、この室内プールの脱衣所を舞台に、プール部分を客席にして
余興を始めたのが「宝塚唱歌隊」であり、歌劇団の礎である、とも。

・・・そう。
『少女仮面』で春日野八千代が語るせりふとはだいぶ違います。
唐さんのせりふでは、風呂に蓋をしてステージに見立てたのが
宝塚歌劇の始まりとなっていますが、だいぶ事実に反するようで。

情報がゴッチャになっていますが、自分にとっては、
唐さんがなぜプールを風呂にしたかったのか、なぜ蓋をして
そこをステージにしたかったのか、という部分の方が大切です。

こういうところに、唐さんの「こうであって欲しい!」という
願望があるからです。


9/12(木)思い出す食事の数々

2024年9月12日 Posted in 中野note

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今日は県民ホール企画の稽古でしたが、

テーブルを囲んでお昼ご飯を食べながら

海外経験豊富なメンバーとお喋りしました。

やはりクラシック音楽畑には、海外で勉強と

仕事をしてきた人がたくさんいます。

 

イタリアに6年、イタリアに5年、

ドイツに2年、イスラエルに10年といった具合。

 

自分のイギリスに1年などというのは

吹けば飛ぶような将棋の駒ですが、食事の話になり、

晩ご飯をフライドチキン、ピーナッツ、プリングルス、

キットカット、生ハム、チーズで回していた

あの頃を思い出しました。

 

特にキットカットは食べると頭痛がするように

なってしまったため、ある時期にやめてからは

その後は一度も食べていません。そろそろ、

抹茶味であればいけるかな、とも思いますが。


一風堂が2,000円を超え、赤いきつねが700円するあの頃。

うなぎのぶつ切りを煮て冷やし、

煮こごりとともに食べるジェリード・イールは、

また食べたいと思っています。

9/11(水)『少女都市』掲載本について

2024年9月11日 Posted in 中野note
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今度の日曜日から『少女都市』本読みを始めますが、
自分なりに活字化されたものが欲しい方は古本で角川文庫の
『少女仮面』が比較的手に入りやすいです。
これは1973年11月30日初版。何度も再版を重ねています。

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他方、私が台本づくりに際して用いたのは、
『季刊同時代演劇 創刊号』です。こちらは1970年2月10日発行。
やはり初めて活字化されたもので読みたいというのがいつもの
基本スタンスですので、これと角川文庫を照らし合わせ、違いを
見つけられたら儲け物です。

もしも違いがあったなら、そこには実上演に関わる現場の事情、
それを書き換えた唐さんの思考があるはずです。
そうものの有無を見極めるのも、本読みのたのしみです。

9/10(火)『煉夢術』本読みWS 第6回(最終回)

2024年9月10日 Posted in 中野note
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↑唐さんの大学生時代。こういう時代の集大成として『煉夢術』を
捉えています


昨日のネモ船長の話を経て、
今日は一昨日に行った『煉夢術』本読みの最終回レポートです。

主人公の青年が岐路に立たされています。
番号をもらってバスに乗れば、すなわち制度に飲まれた人間となります。
それを拒む青年。これまでの登場人物たちがよってたかって青年を
説得にかかり、なんとかバスに乗せようとします。

塔のある町に着いたばかりの頃に出会った老人、
バスの車掌となった町の男など、青年にバスに乗るよう促す。
特に町の男はどっぷりと体制側に組み込まれており、
後述する妻の状況と合わせて、悲哀に満ちています。
(唐さんの父への思いか?)

なんといってもいちばん哀れを誘うのは町の女=母親で、
青年がオルガンを弾いたことにより命を落としたと思われた彼女は、
実は一命をとりとめ、しかし、目の光を失っていたことがわかります。
彼女に迫られると、さすがに青年も弱い。

が、結局、青年は母親をも退けます。
この辺りは実に非情で、ハードボイルドです。
後に唐さんが書くことになる『さすらいの唄』にも似て、
肉親を斬って捨てるような思い切り見せます。

こうした別離を経て、青年は町を出、新たな歩みを決意します。

この辺りはスタンダードな青春譚です。

が、よく読むと、やたらと歩を進める際の膝が震えていたり、
「またこの町に帰ってくる」というせりふがあったり。
後ろ髪を引かれまくり、これから歩む道にビビりまくっているのが
魅力です。こういう箇所が、唐さんのチャーミングなところです。

こうして『煉夢術』は終幕します。
青春期の習作、まだまだ後の唐さんらしいポリフォニー、喜劇性、
ダイナミズムには遠い作品ですが、参加者の中にはこのナイーブさを
気に入ってくださった方もいました。

二十歳すぎの唐さんの足掻きを再確認し、原点に触れようとした
今回の目標は達成されました。すべての作品は、紛れもなくここから
こういうセンスから生まれてきたのです。

来週から、1969年に書かれた『少女都市』を読みます。
『少女都市からの呼び声』に対してあまり顧みられることのない
『少女都市』を改めて考え直そうと、皆さんと読んでいきます。

9/7(土)今日は子守りの一日

2024年9月 7日 Posted in 中野note
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↑娘のリクエストによりプッチンプリンを買い、プッチン機能を活用
するのも人生で初めての経験でした。あまりにブルブルで驚く

本日、椎野が埼玉の実家に帰省したため、自分が子守りをしました。
とはいえ、やるべきことはあるので、資料を求めるために、
椎野を送りがてら子どもたちと池袋のジュンク堂に行き、
そこでしか売っていない本を買いました。
子どもたちは子どもたちで、『藤子不二雄大全集』や『おしりたんてい』
を購入。その後、湯島にあるラーメン屋に行って3人で食事し、
県民ホールで少し荷積み、日本大通りでやっているベトナム・フェスタ
を覗いて、象の鼻テラスの行われた友人・チャンさんの講演会を
聴きました。この間、子どもたちはひたすらマンガを読んでいます。

チャンさんの語りのトーンは明るいのですが、
彼女は、お父様がベトナム戦争に敗れた旧政府の軍人であったことから
難民として日本にやってきて、暮らしてきた方です。

ベトナムを出る時の体験、その後の日本での暮らしについての
レクチャーは自分に、初めて生々しく「難民」という存在の実際を
教えてくれました。ベトナムからヌーボーシルクの団体を招聘した
時に通訳をお願いして以来、チャンさんとは7年間のお付き合いが
ありますが、こうして、改めて彼女の半生を伺ったのは初めてであり
自分にとってかなり強烈な体験でした。

その後は、買い物をしながら帰宅し、夕食を作って、子どもたちと
アニメを観ながら過ごしました。もう寝よう、と言われながら今日の
このゼミログを書いています。少し寝て、夜中に仕事をするのが
目標です。目覚ましの時間は24:00にセット。

9/6(金)九州はアジアの地

2024年9月 6日 Posted in 中野note
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↑なつかしい『海の牙 黒神海峡篇』。第一幕はかつら屋という設定でした


昨日に紹介した『アニオー姫』が終わりました。
約400年前に軽々とベトナムに渡り、現地の言葉を操り、
しかも王族の娘と国際結婚してしまう主人公は、現在を生きる
自分より遥かに軽快だと思わざるを得ません。

一方で、物語の中で後半の舞台になった長崎に限らず、
九州という土地は私の育った名古屋より、いま暮らしている関東より、
遥かにアジアをビビットに感じられる土地なのだろうと思わずに
いられません。思えば、唐十郎作品の中で、1973年秋に初演
された『海の牙 黒神海峡篇』はそういう世界観を謳った台本でした。

唐ゼミ☆では2011年に上演して、けっこう上手くつくることが
できたと自信を持っている作品ですが、九州・朝鮮半島・沖縄を
行き来する円環運動と鉄棒技の大車輪の重なるという、壮大にして
強引なせりふ・物語の展開がおもしろい劇です。

あれもまた九州人の国際性を実感できるお話しです。
思えば、自分はまだ福岡と佐賀にしか行ったことがなく、
いずれはもっと、南下してみたいものだと思わずにいられません。
何か、上手く仕事を作ることができないものか!




9/5(木)明日からベトナム・フェスタ

2024年9月 5日 Posted in 中野note
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今日からこの公演に関わっています。
タイトルは『アニオー姫』

約400年前にあった実話がもとになっており、
日本の商人とベトナムのお姫様が国際結婚した史実を
オペラにした物語だそうです。

明日は、お昼に去年に上演したオペラの映像上映会があり、
夜に音楽朗読劇版が上演されるので、お手伝いをしています。
2017-2018年頃に特にベトナム企画をたくさん経験したので、
よく大和市のレストラン・タンハーに通いました。

思えば、ロンドンでアジア系の麺類が食べたくなった時に
お世話になったのが、The Albanyの周りに2軒あったベトナム
料理屋さんでした。ロンドンではお金が無くて食べ物に不自由
しましたが、たまに、何か公演を観て、夜遅くにフォーが
食べられると、日本での暮らしを思い出して嬉しくなったものです。

↓ロンドンでよく食べていたフォー!
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土日は日本大通りでベトナム・フェスタがあるので、
子どもたちを連れて行ってみようと思います。
知り合いのチャンさんが、象の鼻テラスで講演会もするそうで、
お話も聞きに行くつもりです。

9/4(水)ここにも唐さん!

2024年9月 4日 Posted in 中野note
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↑なかなかの装丁です。男の色気がほとばしっています

本屋に寄ったら、『安藤昇』という文庫が新刊で出ていました。
著者は木下英治さん。ピンと来てパラパラめくってみたら、
693ページに唐さんが出てきた。有名な『任侠外伝玄界灘』について。
プロデューサーの富沢さんと言うのは、朝倉摂さんの旦那さんのこと。

たった数ページだけれど、例の実弾発射事件がどのように起こったのか
知らなかったことが書かれていました。これだけで、買います。
発砲時の取材はスポニチの一社だけにあえて絞ったとか、
ボートで漕ぎ出してから安藤昇さんと唐さん、それぞれが
何発打ったとか、やたらと克明に書かれていて、笑ってしまいます。

唐さんが少しでも出てくるものは手元に置いておきます。
雑誌など、次から次へと出てきて際限がないけれど・・・

9/3(火)ミミからの心配

2024年9月 3日 Posted in 中野note
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↑ミミは今ではブッシュ・シアターのエグゼクティブ・ティレクター
として活躍中


ロンドンでお世話になりっぱなしだったミミから久々に連絡が来ました。
なんだろう? と思って WhatsApp を開くと、台風のことをやたらと
心配しています。確かに今回の10号はひどかったし、今も影響が
続いているけれど、自分の周りだけは大丈夫だと伝えました。

ともかくも、ひどく心配しています。
彼女はすごく細やかな神経の持ち主で、そのことにずいぶん
助けられましたが、地震や台風ばかりが起こる日本がミミからは
どう見えているのだろうと考えました。

ロンドンで過ごしたダイアンの家には、来客用のお皿が
棚に立てかけてあり、ショーウィンドウのように飾ってありました。
が、あのような置き方は地震の多い日本ではあり得ません。
日本には築何百年の建物はごくわずかの例外を除いてほとんどなく、
ロンドンには数百年越しに使われている建物がゴロゴロあるが
渡英当初は驚かれてなりませんでした。地震が無い国というのは
こういうものかと実感しました。

そのかわり、私たちには無常感というものが身についていて、
『方丈記』なんかを生み出し、読み継いできているわけです。

ミミは、大学時代に学んだ舞踏に憧れて、パートナーと一緒に
日本に来てみたいと言っています。
そのうち、仕事でお招きすることができれば良いのだけれど。

9/2(月)『煉夢術』本読みWS 第5回

2024年9月 2日 Posted in 中野note
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↑こういう文庫本があって、多くの著名人が無名時代について書いた
短編を収めたアンソロジーです。唐さんも「試行錯誤のぐにゃぐにゃ」
というタイトルで、駆け出しの頃のアルバイト生活について触れており
『煉夢術』の参考になります


昨日は『煉夢術』2部中盤を読みました。
前回で面白かった受付人と偏執狂の会話による復習から始め、
物語の主人公である地図売り(時計修繕)の青年と受付人との会話
に進みました。

昨日に読んだ箇所から、2部の設定であるバス停が、
1部で男が探検した塔のある街の入り口にある十字路だということが
わかりました。正確にいうと入り口を出たところ。
この、街から一歩出た、街の外にあるところ、というのは
青年にとって重要な設定です。

偏執狂と受付人の会話が終わると、今度は青年と受付人との
やり取りが始まり、受付人は青年が街に忘れたトランクを示します。
中に時計修理の道具が入っていた、アレです。

しかし、塔の内部でオルガンを弾き、それが母殺しにもつながって
しまった青年は、そのトラウマから、このトランクは自分の
ものでないと言い張ります。

受付人がトランクを開けると、中から青年そっくりの人形が現れ、
ギターを弾き、歌を歌い、青年の罪の意識を苛みます。
罪に囚われ、この街に囚われる者として、青年をバスに乗せて
裁きの場に送り込もうと受付人が企んできたことも露わになります。

が、青年は逆襲に出ます。
自分に瓜二つの人形の登場に慄きつつも、受付人の主張を退け、
自らの母殺しによる罪の意識にも開き直り、これを突っぱねます。
こうして、彼が自立への道のきっかけを掴むところで、
昨日は終わりました。

唐さんにとっては、この塔のある街は、
自らを育み、父母のいる上野・万年町界隈のメタファーです。
愛着と束縛感がないまぜになる街からの脱出を図ったものに
違いありません。

とはいっても、何度も書きますが、
自立した唐さんが住んだ先は吉祥寺の近辺です。
冷めた目で見れば吉祥寺と上野の距離に過ぎないわけですが、
そこに異世界に来たような隔たり、望郷、エクソダス的な大脱出を
見出す大袈裟さが作家的才能といえます。

私たちは、時に大袈裟だなあと笑い、
時に真剣さに心打たれながら読んでいます。

来週で最終回。『煉夢術』を終えたら、『少女都市』へと進みます。

8/31(土)海辺の講座

2024年8月31日 Posted in 中野note
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↑今日はあまりにバタバタしていたので、下見の時に撮影した写真です
でも、講座中もこのくらい絶景でした

今日は、昨日もお伝えしたレクチャーでした。
配信とか、台風の気配とか、さまざま難題はありましたが
なんとか本番にたどりつき、実際の講座中は自分も一緒にお話しを
伺いました。

テーマであるサルヴァトーレ・シャリーノというのは
一聴して変な作曲家で、ヴァイオリンとかフルートとかの演奏で
あるにも関わらず、他ではありえないような音を出します。

また、人の声を使った作品にしても、
せりふや歌というよりも、感嘆符やオノマトペ的な発声ばかり
であるという不思議な素材の使い方をします。

それでいて、ミステリアスなのは、
抽象的な感じはせず、それらがかなり具象的なところが
変わっています。そんな、ノイズに似た音の連続にも関わらず
人物とか、風景とか、不思議に想像しやすい。

その理由を、昨日は指揮者の杉山洋一さんと沼野雄司先生から
聴くことができました。
シャリーノの中の古典性、シャリーノの中のリアリズム、
そういったものを伺って、うんうんと納得しました。
本番の音楽を、自分はもっと味わえるように整ったと思います。

唐さんの作品を、自分は同じように読んでいるな、とも思います。
押し出しが突飛だから、いきなり観聴きするとくらくらしますが、
心を捉えるものには、ちゃんと底の方で、奥の方で響き合うものが
あるのだということです。

翻って、明日の『煉夢術』のことを考えています。
久々に、アンドレ・ブルトンの『ナジャ』も読んでみたくなります。

8/29(木)師匠と弟子と弟子の弟子

2024年8月29日 Posted in 中野note
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ピエトロ・マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』が好きです。
2022年にロンドンに滞在して30本以上観たオペラの中で、
突出して良かったのがこの演目でした。
それはもうよくできていたので2回観に行きました。

最近、マスカーニ本人が指揮したCDの存在を知り、移動の時などに
聴いています。1938年と1940年のもの2通りあり、どちらも録音は
良くありませんが、すごくメリハリの効いた大胆な演奏です。

この作品は間奏曲が有名です。
これだけ名曲演奏会のプログラムに選出されることの多い曲です。
この間奏曲を、8歳にしてマスカーニのアシスタントになった
ジュゼッペ・パタネさんが演奏した録音があります。

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これは本当にすごいと思う。異常にゆっくりしていて雄大、
他の演奏とあまりに違うので、初めて聴いた時は驚き、
以来、自分にとってこの曲のベスト盤になりました。

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最後に大切なのは、大野和士さんが2007年にフェニーチェ歌劇場の
ニューイヤーコンサートを指揮した時の記録DVDです。
やはり間奏曲が演奏されています。大野さんはパタネさんに
師事しているので、いわばマスカーニの孫弟子ともいえます。

連綿と続くもの、変わってゆくもの、
3つの演奏に時代の変遷を聴く思いがします。


8/28(水)深雪と夜泣丸

2024年8月28日 Posted in 中野note
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↑真ん中の女の子が深雪、右上に夜泣丸。とすると、雪子はけっこう
和のテイストかもしれません。

昨日の続きです。
今日も昨晩にご紹介した『オテナの塔』から目が離せず。

ヒロインの名前は「深雪(みゆき)」といって
『少女都市』の雪子は明らかにここからきています。

他に驚いたのは、主人公の父親が「夜泣丸(よなきまる)」の
異名をとる義賊であることです。唐さんの『秘密の花園』に出てくる
「夕泣丸」と「夜泣丸」の関係はかなり難解で、自分が今も
読み解けていないと思っている題材の一つですが、そのネタもとが
図らずもここにあったわけです。「夜泣丸」。

という具合に、『新諸国物語』は唐さんの大きな源泉であったようです。
早く満州系の調べ物を脱して、豪華本を読まなければ!

8/27(火)とびきりのアンチョコ〜「オテナ」とは何か?

2024年8月27日 Posted in 中野note
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↑こういう可愛らしい本です

今日は上機嫌です。
というのも、なかなか優れた資料を手に入れたからです。

先日にご紹介した『新諸国物語』の豪華本に続き、
今度はの「なかよし三月号」の付録『新諸国物語 オテナの塔』を
ヤフオクで見つけて競り落としました。
「三月号」とあるのみで、それが昭和何年の3月だかは謎です。

始まって1行目で、唐さんがせりふに描き続けてきた「オテナの塔」
の「オテナ」とは何かが判明しました。

唐さんに付き合い、「オテナ」と何度も耳にし、口にしながら、
それが何なのか、よく考えてみたら調べていませんでした。
なんだか分かった気になっていて、疑問にも思わなかったのです。

1行目にこうあります。
「オテナとは、えぞ(むかしの北海道)のことばで、
酋長(しゅうちょう)という、いみです」
つまり、アイヌのことばだということです。

つまり、「オテナの塔」は「酋長の秘宝を隠した塔」という意味
だったのです。

この本には、まだ発見があったのですが、それは、また明日。


8/26(月)『煉夢術』本読みWS 第4回

2024年8月26日 Posted in 中野note
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↑2019年の唐ゼミ☆公演『ジョン・シルバー』2幕より。
重村大介くんの演じた小男の長せりふは、『煉夢術』の偏執狂のせりふ
をそのまま援用したものです。唐さんが気に入っていたのだと思います


昨日、皆さんと読んだ箇所は第1部8場と9場、第2部の序盤でした。
このように『煉夢術』は2部構成になっており、1部は9つの場で
分かれているのに、2部はワンシーンのみという不思議な構成です。

これは私の推量なのですが、
唐さんはまず1部を書き、それからしばらく経って
2部を書いたのではないかと睨んでいます。構成だけでなく
それほどにテイストが異なる。それだけでなく、
1部は1部のみで完結している印象も受けます。

とまあ、色々な感慨がありますが、
まずは第1部の8場と9場をあたってみましょう。

地図を引き裂いて東京の裏側、闇の世界、夜の世界、
時の止まった夢の世界にやってきた青年は、屠殺人に導かれて
彼を惹きつけてやまなかったオルガンのもとにやたどり着きます。
誰がそのオルガンを弾いているのか? 答えは、自分自身でした。

要するに、この物語は自分探しであったわけです。
と同時に、彼は、街を管理する屠殺人たちの罠によって母親を
殺してしまいます。オルガンが鳴る時には誰かが姿を消すというのが
この街のルールです。今回はその対象が母親だった。
彼は期せずして自らの母を殺します。

自分の源に帰りたいという帰巣本能と、外に飛び出していきたいと
いう青年の冒険心を同時を表すシーンといえます。はっきり言ってこの
母殺しには、唐さんが兄貴と慕った寺山修司さんの影響も濃厚です。

一方、自らが罠にかけられたことに気づいた青年は、屠殺人に怒り、
ずっとこの街に居座り続けることを宣言します。
すると、屠殺人たちは戸惑う。このへんは唐さんのユニークさを表す
シーンで、主人公自身はかなり真剣なのですが、読者としては笑えます。
なにせ、オレは自立しないぞ!と謳うわけですから。

このへんの開き直りは唐さんの個性だと思います。
実際、これから上野・台東区をネタにしてどれだけ作品を生んだか。
後の唐さんの業績を知る私たちにとっては、納得の宣言です。
攻めの引きこもり、そういう感じがします。

9場で、青年は夜明けとともに昼の世界、日常に戻りますが
そこでも夢の世界の話ばかりしている、という設定で、
完全に夢遊病者化しています。塔のある街を巡る物語はこれで
完結しているようにも思えますが、先に進み、2部へと続きます。

2部に入ると1部の神妙さや暗さは鳴りをひそめ、一気に喜劇的な
やり取りが展開します。夜の街から昼の街へと帰るためのバス停で、
停留所の受付人とお客の一人である偏執狂がひたすら揉める、
しかもかなりくだらなく揉める、という軽演劇な展開を見せます。

偏執狂は、父親から受け継いだリヤカーと一緒にバスに乗ると
言って聞かず、受付人は当然これを静止して問答に発展します。
このやりとりが珍妙で面白い。

しかも、いつもはやってくるはずのバスは全然やってきません。
こういうシチュエーションの中でナンセンスな対話が延々くりひろげ
られます。よく見れば、1部の青年も、2部の偏執狂も、
過去の思い出にどっぷり浸かっているという共通項もあり、
いかにも唐さんだなあと思わせます。

ただ表れ方は明らかに違って、先ほど書いたように2部のやり取りは
かなり喜劇的で、何より登場人物と舞台が活き活きしています。
ようやく芝居味が出てきたなという印象です。

劇作家としての技量が明らかに上がっている。1部と2部の間に、
唐さんに何があったのかを想像しながら来週も読みます。
次回は、9/1(日)。

8/24(土)現在の作品を聴く

2024年8月24日 Posted in 中野note
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今日も都内に出ました。目的地はサントリーホール。
芥川也寸志賞の選考コンサートを聴くためです。
目当ては、選考のための演奏を指揮する杉山洋一さん。

神奈川県民ホールでは10月5-6日に、イタリア人作曲家のS.シャリーノ
による『ローエングリン』という作品を公演します。その指揮をして
頂くご縁で、自分は杉山さんの世界に親しむようになりました。

杉山さんご自身が作曲家でもあるので、和楽器を使用した
作曲作品を聴いたり、他の現代作曲家の曲を指揮されたものを
ずっと聴いてきました。特に作曲作品は面白く、聴いてるとボンヤリ
してきて、ずっと浸っていることがあります。

1月には、名古屋フィルハーモニーとの共演されるのを名古屋まで
聴きに行きもしました。もはやちょっとした追っかけです。

杉山さんに接していると、自分が20代の終わりに初めて感心した
クラシックの演奏会を指揮したフィンランドの作曲家・指揮者の
エサ=ペッカ・サロネンさんを思い出します。
ご自身が作曲家であることで、同時代の作曲家たちの意志を
くみ取って鮮やかに伝導していく存在。そういう感じがするのです。

2022年にロンドンで過ごしたことで、自分は現代音楽についての
見方が変わりました。オルガン曲やオラトリオのように古風なもの
まで続々と新作が生まれているのを目の当たりにして、自由な感じを
覚えたのです。それがずっと演奏され続けるものかは問題でなく、
新作が生まれること自体が活力の証です。

サッチャーやヒラリー・クリントンが登場するオラトリオを
爆笑しながら聴いて、新作はウキウキしたものだと痛感しました。
同時にそれは、自分の保守性を反省する機会にもなりました。

さらに、そういうムーヴメントがあることで、
古典化した作品の演奏や上演もまた、パワーを帯びるのです。
今はJRの中です。家に帰ったら久々に、唐さんが自分たちのために
書いてくださった『木馬の鼻』の台本をめくってみようと思います。

8/23(金)『時代』と唐さん

2024年8月23日 Posted in 中野note
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唐さんについての文章を書いています。
どう世に出るのかよくわからないのですが、勧めてくれる方がいて
朝と夜に書いています。

今日の午前中は、10年前に禿恵の紹介で行き始めて以来、
ずっとお世話になっている整体に行き、午後は観劇を2本しました。

1本目は、ずっと唐ゼミ☆を支えてくれている役者・
丸山正吾さんの出演する舞台で、六行会ホールでの公演でした。
タイトルは『Missing ドラゴンズ・バックへの歩調』です。

イーター(人喰いゾンビ)に侵食されていく世界で、残された人類が
家族や友人との情を育む話でした。丸山さんはゾンビの代表として
活躍していました。普段、あまり感激しないタイプの舞台なので、
移動の電車の中は当日パンフレットを熟読して異文化交流しています。

夜の2本目は、齊藤亮介が熱心に取り組んでいるケダゴロの
『代が君・ベロベロ・ケルベロス』をシアタートラムで観ました。
代表の下島さんは遊び心に充ちていて、舞台を通して色々なことを
教えてくれます。

前回に観た『ビコーズカズコーズ』では林あさ美さんの
『ジパング』という歌が印象的でしたが、今回は中島みゆきさんの
『時代』でした。・・・『時代』。昨晩の鴨リンピックでも唱和されて
不思議な感慨に打たれました。

そういえば、唐さんと三枝健起さんが共同作業の第一作である
ドラマ『安寿子の靴』をつくる時、居酒屋に流れる『時代』に
聴き惚れて、主題歌を中島みゆきさんにお願いすることになった
そうです。そうして、NHKドラマの際は
作詞:唐十郎 作曲・歌:中島みゆき
という流れができていったのだから、面白いものです。

二晩つづけて聴いた『時代』をイヤホンで聴きながら電車の中で
これを書き、横浜に帰っています。

8/22(木)後味さわやか、鴨リンピック!

2024年8月22日 Posted in 中野note
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今日は夕方から新宿に出かけました。
南河内万歳一座のプリマである鴨鈴女さんが主催する「鴨リンピック」に
立ち会うためです。そう。観るというより「立ち会う」という感覚です。
この、4年に一度、夏季オリンピックイヤーに鴨さんが続けてきた
祭典の大切さと味わいが、自分はよくわかるようになりました。

8年前か、12年前か、同じく名作『青木さん家の奥さん』を以前にも
観たことがあったのですが、それよりもずっと味わい深く、
尊ささえ孕んでいるように今の自分には感じられました。

コメディとして上演されているものにこんな言い方は変かも
しれませんが、自分には、終演後の舞台全体がまさしく爽やかな
汗をかいて、清々しい空気に充ちているように感じられました。
やれるだけやりきったものの余韻。快い余韻がありました。

久々に赤松由美さんを観て、彼女がひたむきに突進しながら、
共演者の皆さんの起爆剤になっているのも頼もしく思いました。
彼女が唐組に入った年、私も大学に入学して唐さんに出会ったのです。
同級生的な感慨がどうしてもあります。

良い気持ちで、各駅停車の副都心線〜東横線に乗って帰ってきました。
明日から東京で4回。大阪で5回。
鴨さんたちの先の読めない激闘が続きます。
がんばれ、鴨リンピック!

8/21(水)新諸国物語へ!

2024年8月21日 Posted in 中野note
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↑力の入った装丁の豪華本を手に入れました。タイトル文字に魅了される!

このところ、7歳の息子はとにかく「最強」という言葉に痺れています。
日夜、質問攻めにあいます。それというのも、私が子供の頃に親しんだ
『聖闘士星矢』がどんな物語であるのかを彼に説明したためです。

以来、ポケモンのミュウツーと獅子座のアイオリアが闘った場合に
どちらが勝つのかをしつこく訊いてくるのです。
アイオリアの必殺技、ライトニングプラズマは1秒間に1億発の
パンチを繰り出すのですから、私がポケモンに詳しくないとはいえ、
そりゃケタが違ってどんなヤツでもかなわないだろうと教えたの
ですが、息子は納得せず、どんなポケモンなら聖闘士をノックアウト
できるのか、日夜知恵をひねっています。

こうして、私と息子の幼少期(一方は現役ですが)が闘う毎日です。

さて、同じく幼少期の唐さんの心をとらえて離さなかったのが
『新諸国物語』です。ラジオドラマに始まり、ドラマや映画へと
派生したこのシリーズと自分は向き合ってこなかったことに
ハタと気づきました。なんとなしに唐さんの歌う『オテナの塔』
を聴いてわかった気になってきたことに気づいたのです。

そこで、よく調べてみることにしました。
まだ、馬賊・小日向白朗に関する本を制覇するのに時間がかかり
そうなのですが、間に挟むのも一興かも知れません。

日本国内に心ときめかす怪異があるという筋立てのようで、
いくつもの作品が収められている分厚い本です。
唐十郎の源泉のひとつに、また一つ迫ってゆきます。

8/20(火)横須賀に行ってきた

2024年8月20日 Posted in 中野note
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↑配られた当日パンフレット

今日は朝から家族4人で出かけました。
行き先は横須賀芸術劇場。この劇場で毎年行われている
「子どものための劇場裏側探検ツアー」に参加するためです。

このツアーは90分になんなんとする熱の入ったプログラムで、
子どもたちに劇場のバックヤードを案内しながら、
音響・照明・舞台部をくまなく体験させるという充実ぶりでした。

今回は、その最後の方に上演される朗読劇の台本を書いたので、
たのしみに伺いました。ちょうど良いメルヘンチックな家のセットが
あるので、それを活かした短編を書いてほしいというオーダーで、
その制約がある分、発想しやすい仕事でした。

あとは、オペラに力を入れてきたこの劇場の特性をはじめ、
劇場で働く多様な人たちをできるだけ紹介できる内容にしました。

演者・スタッフの皆様が台本を補って余りある上演で、
頭の下がる催しでした。向かいの商用施設での買い物や食事、
軍艦を眺めるところまで、お昼過ぎまででしたが、
満喫して帰ってきました。さすが横須賀、フードコートには
外国人が多くてロンドンを思い出しました。



8/17(土)講座がひとつ終わる

2024年8月17日 Posted in 中野note
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↑昨日、入手できたものです。細部の完成度がすごい

今日は、県民ホールで担当している青島広志先生と水野英子先生による
講座本番の日でした。昨日が台風だったので予定されていた準備ができず、
早朝から同僚とバタバタと会場を整え、受付には大量の物販その他を
並べ、リハーサルが進むのと並行して水野先生をお迎えに行き、
という慌ただしい一日でした。

本番は、機材トラブルも多かったけれど、なんとか終わることができて
終演後のロビーで水野先生が長年のファンの皆さんに囲まれているのを
見ていると、皆さんの尊敬が伝わってきて、「生きる支え」という
言葉が大袈裟でなく支えられてきた方々、突き詰めた創作がそのような
役割を果たしてきた水野先生との関係の厚さを体感できました。

まさに、水野英子という作家は革新者だということが、
事前にマンガを読み、さらにお話を聴いて実感させられる会でした。
10代半ばから仕事をして、いまや画業70周年だそうです。

今後は、来月末から始まる個展があるそうですから、
これを必ず見に行きたいと思っています。あの、試行錯誤され
計算された画の凄みを体感できる結晶のような展覧会になるようです。

昨日、特別に物販されたマンガを買いました。
子育て中に長期連載ができず、短編を世に送る中でご自身が良いと
思うものを集めた小品集とのことです。そのことを知ると、
それぞれがまた違った輝きを帯びるように思います。

たくさんお話しできて、燃焼した一日でした。

8/16(土)スコット・ウォーカーを聴く

2024年8月16日 Posted in 中野note
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↑これをよく聴いています

明日、水野英子先生をお迎えして講座が行われます。
水野先生とは去年の夏に電話をしてお話し、決然とした物言いに
さすが女手塚と異名をとる女傑だと感じ入りました。

オファーをかけたのは3月頃で、ちょうど読売新聞の連載で
水野先生が半生を語った記事が毎日載っていた時期です。
門外漢として、先生の世界に入ってゆくのに、あの記事には大いに
助けられ、また貴重な資料ともなりました。

読売新聞を販売店まで買いに行き、毎日ハサミでチョキチョキと
切るのは、唐さんの『朝顔男』が連載されて以来だと感じ入ったり
もしました。

水野先生は10代半ばから活躍を始めたので、すでに画業70周年が
迫っています。初期の手塚治虫影響化のもの、続く大きな瞳の
少女たちを経て、80年代に迫ると、ドレスのドレープも星も、
圧倒的な画力を持つ繊細な線の連なりに惚れ惚れします。

しかし、若い頃はマンガ業と並行して、ガレージで
ドラムセットを叩き、モダンバレエに挑戦し、アフロな髪型に
してジーンズを履きこなす女性でもありました。

先日に少しだけご自宅をお訪ねしてお話ししましたが、
本格的な会話をするのは明日が初めてです。
そして、こういった機会はなかなか無いでしょうから、
どうしても最後になってしまうだろうとも思います。

明日の話題はワーグナーを中心としたオペラ作品ですが、
水野先生を通じて、自分はスコット・ウォーカーを聴くように
なりました。車の中でずっと聴いていると、水野先生の作品を
貫く透明感も見えてきます。

8/15(木)盆と台風と明後日の準備

2024年8月15日 Posted in 中野note
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↑8/17(土)15:00開演です。きっと台風一過。当日券出ます

今日はお盆の最終日でした。今日まで道がすいていて運転がしやすい。

方や、関東地方は台風の準備に追われています。
イベントの中止や延期がどんどん発表されています。
こういう事前準備の発表はずいぶん早くなりました。

現在は劇場やホールでの公演をやっていても主催者が
多くの責任を取らなければならない世の中になってきています。
催しがあることで観客は会場を目指す。そのことによって事故を
誘発する危険性がある、というような。
テント演劇をやっているとなおさら、身につまされます。

2012年に足柄で行ったテント公演の『木馬の鼻』は中止にし、
2014年に行ったトラック演劇での『木馬の鼻』は決行しました。
お客が一人でも来るならやる、というかつての意気込みや美学は、
今や違ったものになってきています。

あと、自分は神奈川県民ホールで明後日に行う公演の担当を
しているので、明日の動きが封じられることを予見し、
今日のうちに多くの準備を行いました。

音楽家の青島広志先生とマンガ家の水野英子先生の共演による
音楽&歌唱付き対談です。担当になったことで、この半年
ほどは水野先生の作品にずいぶん触れてきましたが、1980年代に
創作された『ルートヴィヒ2世』は一番の気に入りです。
物語も良く、絵を一枚切り取っただけでも見ごたえがあります。

一方で、青島先生と水野先生は毒舌だからなあ。
世間の台風対策とは違い、かなり反時代的なトークになりそうです。





8/14(水)『少女都市』打ち込みを終わる

2024年8月14日 Posted in 中野note
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↑先日、『少女都市』はどうしたら読むことができるのか?と問い合わせ
を受けました。この角川文庫に収録されています

7月30日に始めた『少女都市』研究ですが、
先週末に台本の打ち込みを終わり、その後、誤字脱字チェックも
今朝を以って終わることができました。
学生時代以来、久々に、じっくりと読んでみて、
改訂作『少女都市からの呼び声』とは違った魅力がわかってきました。

『少女都市からの呼び声』は完成度の作品です。
病室に始まり病室に終わって、主人公・田口の幻の妹・雪子がいわば
夢の世界にいる。その雪子が田口と入れ替わりに現世に現れることに
成功するも、程なくして挫折し、また元の世界に封じられていくという
明確な構造を持った劇です。あちらとこちらが明確に書かれている
ために、たいへんにわかりやすい。

一方、オリジナルの『少女都市』は明晰さでは劣るものの、
満州や大陸的なものが噴き出すような勢いに満ちています。
特に終盤などはかなりカオスなのですが、荒削りな魅力がある。
台本を製本し、さらに探求してみようと思います。

現在、毎週日曜のオンラインWSは『煉夢術』を扱っていますが、
これが終わったら『少女都市』を始め、次に『少女都市からの呼び声』
に進むことにしました。それらが終わったら、かつて一度やったことの
ある『吸血姫』をもう一度やるのも面白いかもしれません。

しばらく、唐さんが仕掛けた「少女もの」を追いかけています。

8/13(火)ここにきて手に入った『少女仮面』

2024年8月13日 Posted in 中野note
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↑当時は定価200円とのことです


2日前、ヤフオクに出ていた出物を競り落としました。
競り落としたといっても、入札したのは私だけ。
新劇1969年11月号、創刊以来200号記念でもあったものとのことです。
お目当てはもちろん、活字化初掲載の『少女仮面』。
これが世に出回った最初でした。

実は、半年ほど前にはこの雑誌の存在に気づいてはいました。
しかし、手に入れることができなかったのです。
当時の古本市場では、雑誌「新劇」の他の号、約5年分も含めた
50冊強で2万円という価格がついていました。
どうしても手が届かない金額でないだけに悩みましたが、
他の号がうちに押し寄せた場合、貴重なものだけに処分できないし、
かといって全部を抱えるほど私の家は広くないし、という具合に
決心がつかなかったのです。結果、その時は桜木町の青少年センター
にある演劇資料室の同号をコピーさせてもらうことで凌ぎました。

『少女仮面』の稽古中に出てきた言い回しへの疑問を2箇所、
この新劇掲載版に解決してもらいました。
『鐵假面』や『蛇姫様 わが心の奈蛇』のように大きな違いはなくとも、
この進撃のほかは全部誤植している、という箇所を発見できたのです。

そのようなわけで、今回の一冊ポッキリ安価での入手は、
これからも『少女仮面』をやりなさいよ、という天からのエールとして
受け取っておきます。本棚の良い位置を燦然と占めています。

8/10(土)本日は空振り読書

2024年8月 9日 Posted in 中野note
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↑これを読みました

『少女仮面』公演が終わって以来のぜんそくはなかなかしぶとく、
どうも咳が治りません。そこで、今日はお医者さんに行ってより強めの
薬を出してもらいました。あとは、できる限り大人しくしていることが
大切なので、仕事も家でし、前から約束していた観劇のほかは出かけ
ないようにしました。

すると、必然的に本が読めます。
昨日、小日向白朗の関連書を探しに行ったところ、
どうも近隣本屋にはなく、これはネットで注文することにしました。
一方、「慶安太平記」のタイトルを戴く上記の本を手に入れました。

慶安太平記とは、慶安の変、要するに徳川家光没後の由比正雪に
よるクーデター失敗事件を描いたもので、講談の連続もので有名です。
唐さんが1968年に上演した『由比正雪』が気になる私は、
これまで断片的にではありますが、神田松之丞さんや立川談志さんの
CDを聴いてきました。加えて、全体を本で読みたいと思ってきたの
ですが、かなり以前の古本になってしまい手に入れるのが難しいのです。

だから、この『真・慶安太平記』というのが並んでいるのを
知って小躍りしました。『少女都市』は1969年。『由比正雪』は1968年。
お隣さんみたいなものだから、小日向白朗の本を待つのにちょうどいい、
そう思ったのです。

今日、一日かけて読みました。家で、喫茶店で、病院の待合室で。
そして大いに空振りました。この『真・慶安太平記』は由比正雪の
正体について新説を打ち出すのが妙味で、スタンダード由比正雪の
素性や物語はまったく描かれていないのです。

それにしても、由比正雪がいつ出てくるんだろう?
いつ出てくるんだろう?と思いながらページをめくり続けました。
そう思わせながら300ページ強読ませてしまうのだから、
大した筆力、読みやすく出来ているレイアウト(改行や文字の大きさ)
に感心しました。関係なかったけど、関係ない時間は贅沢なものです。
新たな薬で、咳もおさまってきました。

8/9(金)甘粕大尉から小日向白朗へ

2024年8月 9日 Posted in 中野note
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↑甘粕正彦さんとは違い、戦後も生きて活躍した小日向白朗さん


毎朝、『少女都市』を読んでいると、これがひどく報われなかった
作品だということがわかります。

一つには、例の状況劇場vs天井桟敷のケンカ騒ぎによって、
ただでさえ少なかった公演回数がさらに縮小してしまったこと。
当時の観客はスキャランダラスな事件に熱狂するばかりで
劇の中身など吹き飛んでしまっただろうことは簡単に想像がつきます。

それに、『少女仮面』の向こうを張って書かれ過ぎています。

例えば、3部構成の真ん中は『少女仮面』の腹話術劇ならぬ
人形劇が展開するのですが、これが『少女仮面』ほどには上手く
いっておらず、なんだかカオスなパペットショーといった具合。

『少女仮面』で登場した甘粕大尉を意識して、『少女都市』には
馬賊王と言われた小日向白朗の名前が何度も登場しますが、
これも、そこまで効果をあげているかといえばいくつも
クエスチョンが浮かんでしまいます。
(唐さんは「朗」の字を「郎」と改めて書いている)

でも、これらはあくまでも現段階での感じなので、
何か活路はないかと、さらに読み深めています。

早朝に『少女都市』を読んだ後、昼間の自分の頭の中は
くだんの小日向白朗や満州でいっぱいです。
お盆周辺、日本全体が「戦争」を考えるこの時期に取り組む課題
としても適切なように思います。「満州」「馬賊」「建国大学」・・・

本を読み、ドキュメントを見ていると戦前と戦後が地続きである
という当たり前のこともわかってきます。

8/8(木)「悲劇喜劇」9月号に書きました

2024年8月 8日 Posted in 中野note
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昨日発売の「悲劇喜劇」9月号に書きました。
唐さんについての特集のうち2ページです。
7月末に読み始めた『少女都市』は3幕に差し掛かり、あと3日ほどで
一周目を読み終えます。『少女仮面』を終えたからわかることが沢山
あります。来年のテント公演の演目、どうしよう?

8/6(火)力を借りた人々

2024年8月 6日 Posted in 中野note
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↑彼らを持ち運ぶときは顔にタオルや手ぬぐいをかけるべし。
丸山雄也くんが腹話術を習った先生を通じて、こうした作法も学びました


本来なら、今日は昨日の『煉夢術』レポートの続編の予定でしたが、
それは明日に繰り延べます。現在、23:31分。先週はじめの片付け以来
ハンディラボにやってきたところ、さまざまな思いが去来したからです。

今、1日の仕事を終えてここにいるのは、齋藤と津内口が
唐組からお借りした2体の腹話術人形をケアしてくれたからです。
「お返しする準備が整いましたよ」といういう連絡をくれたので、
一旦、自宅に持って帰ろうと、上の写真の2体を取りに来たわけです。

左はイトくんといいます。右はタカシくんといいます。
これは、お借りする時に唐組の久保井さんと藤井さん、福原さんに
教わりました。タカシくんはみんなに愛されて、『少女仮面』の
出演を重ねてきたベテランです。イトくんは、唐組の『ビニールの城』
で活躍してきた気鋭です。

はじめて2体を見た時、イトくんのビジュアルが気に入りました。
しかし、可動性の高いタカシくんにはやはりそれだけの実力があり、
唐組事務所で悩んだ自分は、2体お借りして良いかお願いをしました。
唐組の皆様は、それを快く受けてくださいました。

2体を眺めながら、どちらにも愛着が湧き、私たちの『少女仮面』には
2体とも出演してもらおうということになりました。タカシくんを
操る丸山雄也くんをイトくんに似せ、イトくんを操る赤松怜音さんを
タカシくんに似せました。4人で鏡合わせ。私たちの『少女仮面』には
もうひと組、鏡合わせの2人がいて、それは老婆と少女・貝です。

「鏡」がキーアイテムである『ジョン・シルバー』は唐ゼミ☆の原点であり、
その続編たる『続ジョン・シルバー』こそ『少女仮面』の原型である
というのが私の考えです。風呂・山の絵・水道とくれば、唐さんの頭の
中は「銭湯」でいっぱいに違いない。だから、唐ゼミ☆の『少女仮面』
には「鏡」が登場します。自分の工夫というより、この芝居は
潜在的に「鏡」を望んでいる。そう思うからです。

イトくんとタカシくんが来てくれたのは、唐組のご厚情による偶然です。
自分はあまり運命論者ではありませんが、懸命に考えていると、
巡り合わせが自分を運んでくれるような感覚に陥る時があります。

イトくんとタカシくんによって鏡合わせが補完された時にそれを
感じましたし、山手事情社の谷洋介さんが座組に加わった時にも
同じ感覚を覚えました。長身であることを除けば、谷さんの
ビジュアルはまさしく「甘粕大尉」だからです。

私たちの『少女仮面』では、春日野が最後に『時はゆくゆく』を
歌います。原点主義の私としては、思いつきながら怖れや抵抗が
ありました。

正直に言えば今も、「これで良いのだろうか」
「唐さんは許してくださるだろうか」という自問自答があります。
「あたしは、何でもないんだ!」という従来の締めのせりふのなかに
逆説的な希望を語る行き方があるのではないか、という問いを現在も
問い続ける日々です。

しかし、どう考えても、この主題歌は春日野八千代を騙る女にこそ
ふさわしいと自分には思われるのです。。
そう思ってサトウユウスケさんに発注したところ、素晴らしいアレンジ
がきました。このプランはユウスケさんの伴奏によって支えられたのです。

加えて、詩人の新井高子さんの依頼で椎野が雑誌「ミて!」に執筆した
文章も自分を動かしました。あの中には、私たちが『ジョン・シルバー』
を初めて上演した時のご褒美として唐さんが、『時はゆくゆく』を
歌ってくださったエピソードがあります。

歌うべきか・歌わざるべきか悩んでいるときに
あれを読み、これは歌うべきだと思うに至ったのです。

正直に言って、私は自分たちの『少女仮面』が上手くいったと
思っています。数限りなく上演されてきた台本ですから、
唐ゼミ☆が公演して邪道ではいけないし、かといって過去の踏襲する
安全パイも良くないと思ってきました。

それなりにプレッシャーもありましたが、いつも通り
「唐さんは何を考えただろう?」と思案し続けるうちに、
自然とあの上演に行きついたのです。
結果的に、自然体でやることができました。

それは、自分のアイディアがどうこういうよりも、
上記のようにたくさんの偶然に支えられ、座組内外の人々に補完されてきた
結果でもあります。ありがたいことだと思います。

これから上演する時には、終盤部分に施したい工夫や課題もすでにあります。
その時に、またイトくんとタカシくんの力も借りて上演したいと思います。
しばしのお別れですが、再会を期して。
唐組の皆様だけでなく、二人にも感謝します。ありがとう。

8/3(土)足の甲とオルガン

2024年8月 3日 Posted in 中野note

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↑カーテンコールは撮影OKだった


今日は昼夜でクラシック・バレエに関する公演を観ました。

お昼は、新国立劇場にて "BALLET The New Classic" を、

夜は、職場である神奈川県民ホールで横浜バレエフェスティバルの

前夜祭を。縁遠かった自分が自然にバレエを観ている。

関わっている方々に知り合いもできてきている。

これは英国での研修を終えて以来、 県民ホールで働き始めたことの

効能のひとつです。初めは、場違いなだあ、なんて思っていたけれど、

ある時、同じ劇場で働くバレエ通の大先輩に「バレエファンは

足の甲を見るんですよ」と教わって、それからは少し親近感を

感じました。確かに、足の甲がすごい人はすごい。

 

オルガンを身近に感じるようになったのも県民ホールの効能で

この1年半でずいぶんいろんな作曲家と曲を知り、何より

各地のホールや教会にあるパイプオルガンを聴いてきました。

 

これには、その前の1年、ロンドンで過ごしたことも

聴いていて、そこここの教会に行って演奏やミサに接した

おかげで親しんできたという前段もありました。

 

明日から始まるオンラインWSのお題『煉夢術』に接していると

20代前半の唐さんが抱いたヨーロッパへの憧れを強烈に感じます。

そしてそれは、唐さん特有のものではなくて、当時の若者全般が

持つ知的関心だったように思います。ベルイマンの映画とか、

回顧展があったらたっぷり時間をとって映画館に通ってみたいと、

『煉夢術』を読みながら自分も学生時代的なことを夢想します。

8/2(金)ぜんそくとフランケ醜態博士

2024年8月 2日 Posted in 中野note

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↑1回に2発、朝晩吸入します!


『少女仮面』公演以来、咳がでます。

そんなに激しくはないけれど、静かな場でムセると目立つので

早く病院に行ってクスリをもらいたいと思いながら

今日まで来てしまったのを、ようやく病院に行ってきました。


考えてみれば、目下研究中の『少女都市』に出てくる

フランケ醜態博士もぜんそく持ちで、そのために満州行軍からの

離脱を余儀なくされたことを心の傷として持ってます。


身体に障害を持って戦後を生き延びながら、

仲間たちと死にきれなかったことを悔いる。

そして、同じく身体障害を持つヒロインの雪子に安らぎを覚える。

自分にとってフランケというキャラクターには、純朴なものとか、

仲間たちへの想い、コンプレックスを持つ者のシンパシーを感じます。

もちろん、押し出しは不気味だったり、コミカルですが。


クスリをもらったので、数日で咳もおさまるはずです。

咳がおさまったら、なるべく薬は使わないようにして。


20代の頃は公演が終わるごとにひどい発作を起こして

自分にはどうしても埃っぽい劇場や芝居が向いていないのではないか

と考えたこともありました。


今では付き合い方を覚えて軽度で抑えながら、

そろそろ休めという身体からのサインを感じながら、

すぐにまた劇がやりたいと思っています。


ああ、愛すべきフランケ。

8/1(木)写真を一枚

2024年8月 1日 Posted in 中野note
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↑正面から撮るとどうしても光の反射が入るので、斜め撮り


『下谷万年町物語』カーテンコールの写真を家に飾りました。

『少女仮面』片付けの際に、今年の初めに四ツ谷で行った写真展の
パネルも一緒に整理しましたが、60枚以上あるうちのこれだけは
取り出して、飾ろうと思ったのです。

うちはまだまだ子どもたちが暴れ回っていますが、
それでも、以前に比べれば話がわかるようになってきました。
それに、椎野が復帰する前はいかにも昔の思い出という感じが
したと思いますが、今では、これからもやろうという余裕が
出てきました。

これからもやろう!という気持ちで、
写真家の伏見行介さんが贅沢につくってくださったパネルを
朝晩、眺めています。

7/31(水)日曜から初期唐十郎〜『煉夢術』の世界へ

2024年7月31日 Posted in 中野note
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↑1971年に中央公論社から出版された箱入り単行本です。
執筆から時間が経ってからの出版に、唐さんがこの台本を大切にして
いたことが伺えます


『少女仮面』公演のためにここ2週間お休みしていましたが、
今度の日曜日から、恒例のオンラインWSを再開します。

新たなお題は『煉夢術』。唐さんが24-25歳の時に書いた台本で
冬樹社の作品集に3本目の作品として載っています。
それまでの2本は短編だったのですが、かなり分量が増え、
初めは劇団に誰も書く人がいないから、という理由で始めた劇作も
馴染み、野心的に書こうとした青年・唐十郎を感じることができます。

一方で、1967年に紅テントを発明する前の唐さんの、
本来持っている内向性がいかんなく発揮された作品で、
青年期独特の暗さと共に全体が進行するなかで、
唐さんの原点を見極めていきたいと考えています。

一見、抽象的な設定の中に具体性を発見するとぐっと読みやすく、
内容が身近なものになるでしょう。そういう読みをするつもりです。

・唐さんが描く「塔」とは何なのか
・唐さんはなぜ地図売りを描き、そこに何を託したのか
・唐さんの描くオルガンの響き

こういったところを読み解きながら、初期唐十郎のスタティックな
世界を味わいましょう。暑苦しい夏には、静謐な台本を!

7/30(火)今日から『少女都市』

2024年7月30日 Posted in 中野note
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『少女仮面』片付けから一夜明け、次の目標を定めました。
とりあえず、『少女都市』を研究します。

改作『少女都市からの呼び声』の影に隠れて上演されることのない
『少女都市』ですが、早稲田小劇場のために書かれた『少女仮面』に
対抗して唐さんが自らの状況劇場のために書いた作品ですから、
自分の体に『少女仮面』が入っている今こそ、読み時だと思うのです。

文庫本や単行本、いろいろなバージョンがありますが、ここはやはり
『季刊 同時代演劇』創刊号に掲載された初出版と向き合います。
3週間ほどで読み込むのが目標です。

いずれ本読みWSで、『少女都市』と『少女都市からの呼び声』の
読み比べをしてみたい。狙っていきます。

7/29(月)『少女仮面』片付けも終わる

2024年7月29日 Posted in 中野note
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↑昨晩の打ち上げの様子。こんな風な呑み会は唐ゼミ☆としては珍しい

公演終了から一夜明け。
今日は午後からハンディラボに集まって積み下ろしと片付けを行い
ました。今回の舞台装置は特に荷軽く済むことを意識してデザイン
されているので、あっという間にトラックは空になり、道具の収納や
衣裳・小道具のケアに進みます。

昔懐かしい二層式の洗濯機をフル稼働させて、
黒、白、カラーに分けて衣装を洗濯しました。
新たに購入した衣類が多いので色落ちによって他の衣裳が染まるのを
避けるためですが、それもこれも再演を目指してのことです。

洗えないような衣裳は滅菌剤を振りかけてよく干し、
靴もケアしました。『少女仮面』は革靴・ブーツの類でいっぱい、
暑いのは私たちの体には堪えますが、他方、殺菌作用としては
絶大な感じがします。脱水後の衣類もあっという間に乾きました。

差し入れで頂いたお酒やお菓子を皆で分け、ハンディラボをよく
掃除して今回の公演も一区切りです。あとは、これから経理処理や
報告書づくりに向かいます。これには数週間かかるので気長にやります。
座組のみなさま、おつかれさまでした。

↓たくさんの靴にお世話になりました
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7/28(日)エコー劇場6日目〜公演5回目(千秋楽)

2024年7月28日 Posted in 中野note
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今日も10:00に横浜を出て、渋谷の氷屋さんでドライアイスを買いつつ、
11:00に劇場入りしました。30分で片付けとセッティングをして、
11:30から稽古。最終日になっても、少しずつ修正します。

今日も酷暑かつ大勢のお客さんに来ていただけたので、
あらかじめ通知をして開場を10分早めさせてもらいました。
13:20に客席が開き(冷房強め)、14:03に開演。

最後まで客席お一番後ろで観ました。
目の前で起きる役者たちの本番を経た工夫やお客さんへの対し方が
面白かったし、今後に向けた目標を見出したくて観ました。
最後まで観て、いくつか次回の上演に向けて期するものがあります。

15:45に終演してロビーでお客さんとお話ししながら、
劇場内はすでに解体作業に入り、自分は音響機材を返しに行ったりも
しながら19:00にはエコー劇場をあとにしました。
空間とそれを支えるスタッフの皆さん、ほんとうにありがたい方たち
でした。私たちの劇に相応しい(広すぎない)客席を持ちつつ、
あれだけ舞台空間が高さも含めて豊かな空間はなかなか無いと
思います。それにスクエアな空間だと人の気で埋まっていない気がして
演者は不安になるものですが、エコーさんはそういう余分がない分
ステージ上にいて居心地が良いのです。去年末に劇場巡りをして
ここが発見できて、それは本当に幸せなことでした。

19:00から駅前に移動して打ち上げをしました。
劇場の方に教わった「でですけ」というお店です。
恵比寿という街ににも愛着が湧きます。これまではガーデンプレイスや
写真美術館、つまり南口の街だと思っていましたが、反対の北口には
これだけ繁華街があって馴染みが良いことを初めて知りました。
昼間の駐車場代は高いけれど良い街です。

最初は21:00までと思っていたけれど、みんなで22:00近くまで
飲み食いしながら語り合って、来年はどうしようかも語り合って、
散会しました。明日は午後からハンディラボで片付けです。
テント公演とは違い、みんなと別れを惜しむ余裕があることも、
すごくありがたいことと感じています。

頭の中が劇中歌でいっぱいです。
次のことも考えつつ、でも、片付けと荷返しが終わるまでは
『少女仮面』と座組のみんな、『少女仮面』にまつわる唐さんの
余韻を感じていようと思います。

7/27(土)エコー劇場5日目〜公演3・4回目

2024年7月27日 Posted in 中野note
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↑カーテンコールの様子

今日は2回公演でした。これは何年ぶりか。
何しろいつものテント公演では1日1回公演が当たり前なので、
世間の演劇人が当たり前にこなしている2回公演に戸惑いを覚えながらの
上演でした。体力的にどう、というのもさることながら、
1回目が終わった後に2回目に向けて仕掛けや段取りを整える、
こういうことに漏れがないかどうかという心配がありました。

10:00前に横浜を出発して氷屋さんに寄りながら、
11:00より劇場入りしました。掃除や舞台復旧をして、
少し稽古、歌練習をしながら、あまりの酷暑に開場待ちのお客さんが
熱中症になってしまわないよう、急遽、連絡を回して開場時間を
10分早めました。これは、明日の千秋楽も同じ対応をとるつもりです。
午後1時過ぎは暑すぎて・・・

結果、13:20に開場し、14:00開演。
15:45に終演してさらに稽古し、夜の公演に備えます。
この間、舞台セットの水まわりに漏水があって復旧に時間が
かかりました。開場ギリギリまで作業にかかりましたが、
なんとか間に合わせて開場〜開演。

18:30の回は客席に余裕があったことと演者も2回目で、
リラックスした公演でした。よく笑いが起きて、良いものでした。
終演後は21:00過ぎに流れ解散。

韓国食材屋に寄り、参鶏湯を買って帰りました。
明日は千秋楽。次に公演する時への目標もたてています。


7/26(金)エコー劇場4日目〜公演2回目

2024年7月27日 Posted in 中野note
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↑本番前の楽屋はこんな感じ

今日はみんな15:30に集合しました。
エコー劇場には、開演前3時間前から入館できるルールがあり、
これは劇場側にとっても利用者にとってもとても良いものだと感じました。

若葉町WHARFでの最終稽古以来、ぶっ続けで動き続けてきたので、
夜公演のみの2日目に昼過ぎまでの休息を与えられたことは、
体力の回復や身辺を整理する意味でも、とてもありがたい時間でした。

その間、私は数日ぶりに県民ホールに行って仕事し、
昼は所沢に行きました。照明の山崎佳子さんの所属する会社が
所沢にあり、照明機材の追加をご相談する中で、自分でお訪ねする
ことになったのです。とても洗練されたオフィスに感心しました。

特に行きはかなり渋滞しましたは、帰りに渋谷の氷屋さんで
ドライアイスも調達し、15:45には自分もエコー劇場に入りました。

皆が掃除やセッティングを終えてくれていたので、
16:10から稽古、16:30から劇中歌シーンの練習をして本番に
備えていきます。初日の入場時は、この劇場の構造に慣れておらず
お客様にご迷惑をおかけしてしまったので、できる限りの対策も
とって、開場がスムーズにいくよう工夫もしました。

18:00開場とともに席が埋まっていき、今日は満席でした。
自分は最後列で観ましたが、初日より緊張がほぐれて滑らかになり
笑いもよく起きて、嬉しい本番でした。終演後は少しお客さんと
おしゃべりして、明日への修正点を伝え、21:00過ぎに流れ解散して
いきました。明日のお昼も満席ですが、なぜか夜は半分ちょっと
というところです。ここから申し込んでくださる方がたくさんいると
良いのですが・・・

7/25(木)エコー劇場3日目〜ゲネプロ・初日

2024年7月25日 Posted in 中野note
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↑本番直前に調整中。肝心のゲネプロ・本番の写真は後日!

今日は私たちの『少女仮面』初日でした。
朝10:00に集まり、それぞれに準備しながら13:00のゲネプロを
目指します。私はいつもの氷屋へ。

お風呂の湯気用のドライアイスを買って戻り、
皆の掃除やセッティングを終えると、ゲネプロ体制へ。
この頃には、当日受付を手伝ってくださる助っ人の皆さんも
集まり始め、受付も作り始めました。

13:00-14:45にゲネプロをしてそれから修正作業。
スタッフに変更点を伝えたら齋藤が場内をつくり、
俳優たちとは楽屋で演技の直しを行いました。

16:45から劇中歌の確認をして、17:30から受付開始。
18:00に開場して、少し押した18:32に開演。

20:45に終演し、お客さんの送り出し、初日でしたから
多くの方に祝福された初日を過ごすことができました。
皆と少し話をして、21:45頃に劇場を後にして横浜に
戻ってきました。

客席最後列で観ていて、静かで集中度の高い公演でした。
緊張のために会話がゆっくりな部分もあったけれど、
ユーモラスな部分で笑ってもらえたし、それぞれの語りや
場面転換は慣れのために速まり、当初予定していた上演時間は
101分から99分に縮まっています。

一方で、エコー劇場の構造上、
階段のみの2階が劇場入り口、ロビースペースの小ささによって
早く集まってくださるお客さんに一度外に出て並んで頂く対応を
取らざるを得ず、いつもの地上一階、待ち合いスペースが潤沢にある
テント公演との違った入場に難しさを感じつつ、工夫を重ねています。

明日は夕方から劇場入りして、2日目に備えます。

7/24(水)エコー劇場2日目〜場当たり

2024年7月24日 Posted in 中野note
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今日はエコー劇場で過ごす2日目。
昨日の残り作業を片付けて、午後から場当たりをしました。

一番大変なのは照明の山崎佳子さんで、初めて参加して頂き
苦労をかけていますが、その人柄に惹かれて役者たちが合わせを
厭わずにやっているのを見て、お願いして本当に良かったと
感じています。

ずっと唐さんと私たちの劇団を好きでいてくださっていた方なので、
粘り強く一緒にやり遂げたい思いが強く、

1幕ものなのではやく済むことを期待していましたが、
結局、13:30から始めて終わったのは21:00過ぎ。
公演作りにおいては、やはりやさしい創作は無いものだと
痛感しました。現在も横浜に戻って明日に向けての作戦会議を
しています。

一方で、早くもこの劇場で過ごすルーティンが生まれ、
恵比寿というこれまで馴染みのなかった土地にも愛着が
湧いてきました。

仕掛けのためにドライアイスを買いに行った渋谷の氷屋さんも
おもしろく、これから日曜まで毎日通う旨を挨拶しました。
こうして馴染んでいます。

これを書いている今も課題山積ですが、明日までに何とかして
初日にこぎつけます。

7/23(火)劇場入り〜セットがたつ

2024年7月23日 Posted in 中野note
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↑風呂と火山

本日、10:00より恵比寿・エコー劇場に入りました。
外は酷暑ですが劇場の中は涼しく、音響・照明・美術の増員さんと
ともにキビキビと搬入から始め、『少女仮面』空間をつくりました。

エコー劇場はさすが劇団付きの空間として、
舞台・客席だけでなく楽屋やロビーに至るまで、
30年以上ここで公演してきた方々の工夫が詰まっており、
生きている劇場という感じがします。

150人の客席で、これだけ自由度のある舞台構造で、
天井も高くて、それでいて無駄に隅々に人間味がある空間というのは
なかなか珍しいのではないのでしょうか。
場面転換ありの劇には不向きかも知れませんが、
『少女仮面』の空間にここを選んで本当に良かったと思っています。

現場で初めて完成したヴェスビアス火山の絵とお風呂のセットを
並べると、実にしっくりきました。ああ、20代の唐さんの頭の中は
お母さんの実家である銭湯によって出来ていたのだなあ、と
みんなで納得しました。

こうして、これまで齋藤を中心に腐心してきたスタッフワークが
結集するのは感動的です。音響の平井さんはすでに欠かせない方
ですが、初めての美術家・中根聡子さん、照明家・山崎佳子さんを
力づよく感じます。岡島哲也さんがユーティリティ的にみんなを
支え、元劇団員のワダ タワーさんと重村大介さんも応援に来てくれて
います。手練の舞台人であるエコー劇場の皆さんも温かで、
12時間を劇場で過ごすうちにすっかり馴染んで帰ってきました。

明日もまた10:00から。場当たりを行い、
エコー劇場での『少女仮面』がはじまります!




7/22(月)積み込み〜明日から劇場入り

2024年7月22日 Posted in 中野note
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↑今日は作業に没頭しすぎて撮影を忘れたので、昨日の通し稽古より

今日はまず、昼過ぎに劇団員のみでハンディラボに集まりました。
大道具や小道具の残り作業を刈り取っていきます。

津内口は、昨晩は徹夜で当日パンフレットの仕上げをしてくれました。
彼女の誕生日を祝って、皆でケーキを食べたりして。
こんな真夏に公演をすることは野外劇を仕立てて東北ツアーを
した時以来なので、珍しいお祝いでした。

16:00になると他の出演者も集まり、汗をかきながら作業の仕上げと
片付け。19:30には運送業者さんが来て、1時間弱で積み込みを
終えました。

自分は別働で、当日パンフレットを印刷したり、
都内に出て音響の平井さんの倉庫に機材を積みに行きました。

酷暑と雷雨と、最後は大雨の一日でした。
けれども、首都高に乗って横浜に戻ると、都内であれだけ降っていた
ゲリラ豪雨はなりを潜め、地面が乾いています。

明日から毎日、恵比寿で過ごします。
あっという間の6日間になりそうです。

そうだ。開場寺、終演後に劇場内にかける音楽を編集しないと!

7/21(日)若葉町WHARFから撤収!

2024年7月21日 Posted in 中野note
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↑メイクもバッチリしています

6日間お世話になった若葉町WHARFでの稽古が終わりました。

今朝は10:00前には集まってそれぞれに衣裳・メイクをフルに装着し、
音響の平井さん、照明の山崎さん、岡島哲也さんも結集して
11:10から通し稽古。水道や風呂の水、天井からふる工事の砂ぼこりなど
できるだけの仕掛けも行い、この1幕ものを進行させました。

私たちの『少女仮面』はカーテンコールまで含め、
休憩なし101分であるという上演時間に落ち着きました。
歴代のこの作品の上演の中では少し長めと思いますが、
唐ゼミ☆版として工夫を重ねた結果です。

13:00前に通しを終え、休憩時間も挟みながら16:00まで修正稽古、
その後は稽古用のセットをバラし、トラックを寄せて積み込みを行い、
お世話になった若葉町WHARFのスタジオを掃除して退出、
ホームであるハンディラボに帰りました。

明日の積み込みに備えつつ、全ての荷物を整えました。
ちょっと信じ難いですが、すでに1週間後には全ての公演を終えている
時間です。世間で流行っているコロナに足元をすくわれないように
しながら、火曜の劇場入り、木曜の初日と、ゴールを目指して
じりじりと全員で押し上げていきます。

7/20(土)最後の調整日

2024年7月20日 Posted in 中野note
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↑ラスト数ページでなだれを打って登場する人たちが準備不足や
粗雑にならぬよう、丁寧に稽古しています


今日は明日の最終通し稽古に備え、コツコツ手直しを行いました。
演技の細かなところ、立ち位置の調整、道具の出し入れの簡略化、
こういった細部を詰めることで、全体の底上げを図りました。

そもそものせりふ術の向上や、役柄の見直しも行います。
もっとお客さんに共感してもらえるように情けないヤツにしよう
情けないヤツにするには、ここのせりふの言い方をこう変えよう、
あ、ここにも工夫の余地がある、といった具合です。

こういう修正を一日かけてできるのは、まことに贅沢なことです。
来週の今頃は土曜の2回公演を終えてヘトヘトになっているだろう。
そんなことを考えると不思議な感じがします。

いつもはテント劇場を建てるところからなので、
急にくる本番に戸惑うところもありますが、
ここで詰めきっておかないとと思ってやっています。

どこかに取りこぼしはないか。
どこかに工夫の余地はないか。
どこかに根本的なやり口はないか。

合い間も『少女仮面』の話題一色になっています。


7/19(金)さらに通し稽古

2024年7月19日 Posted in 中野note
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今日も通し稽古でした。
今日から音響の平井さんが合流し、全体に効果音が入り始めました。
自分の音響はお役御免で、劇を見ることに集中し始めています。

こうなると、立ち位置によって見えずらいところはないか、
移動しながらチェックし、座席によって演者の挙動が伝わないことが
無いようより厳格に調整が可能です。

演技にせよ、セットや衣裳にせよ、ディティールを詰める
ところもあれば、大局的に観て、キャラクターを刷新するような
アイディアも出てきます。ここまできたからこそ、
根本と向かい合い、全体を見つめ直すことが人によっては必要です。

といった修正を、明日に時間をかけてやる予定です。

明日、直して、明後日に最終の通し稽古をして、
という具合に若葉町WHARFでの追い込み稽古が収斂していきます。
上演時間は100分強の見込みです。


7/18(木)今日も通し稽古

2024年7月18日 Posted in 中野note
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↑セットや衣裳も揃ってきている

週末までに3回の通し稽古をする予定です。
今日はそのうちの1回をやりました。
序盤にもたついたところもありましたが、
1場のボーイ主任のスパルタと粘着質ぶりがよく効き、
それがコミカルになる流れができてきました。

2場の腹話術師の残酷ショーには、別れた女を未練たらしく思う
要素がもうひと伸び必要で、しかし、人形の下剋上はかなり
うまくいきました。

3場の中間部は今回の上演の大きな課題で、これをいかに条理として
まとめ上げるかをずっと考えてきましたが、ある心理的なルートを
発見して、それが自然な流れの中に実現しつつあります。

感じた違和感を素直に問題視し、解決策を講じて明日に臨むのが
目標です。全編にわたる力の配分は、この通し稽古の中でしか
育まれませんから、明日にはさらに決まってくるはずです。

真剣ななかに余裕があり、余裕が笑いに結びつく、
顔つきがシリアスすぎて、かえってふざけているのかどうか
読みずらい。そんな上演を目指しています。もうひと超えも
ふた超えも! また明日も通し稽古です!

7/17(水)追い込み稽古、はじまる

2024年7月17日 Posted in 中野note
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↑人の心に届き、響くように


今日から本格的に若葉町WHARFでの集中稽古です。
今まで練ってきた改善点を全体に行き渡らせ、劇を土台から
パワーアップさせる5日間の始まりです。

この1週間で考えてきたアイディア、
『少女仮面』についての根本的な読みを役者たちと実際のものに
しながら、しっくりくるポイントを探ります。

ハマると「あ、これだな!」と皆で腑に落ちていく。
今日は全編にわたってさまざまな箇所を工夫しました。
明日はそれをこなれさせ、全体の通しの中で検証していきます。
最後には思い切り力を振り絞り、リミッターを外して
120%の燃焼で観る人の心を掴まなければならない

必然、負荷がかかる。
なので、喉を潰してしまわないように加減しながら
よく体を温め、一瞬で全力を出し、翌日までの回復量も計算して
日々を過ごします。まずは、明日にどんな結果を出せるか。
勝負の日々、細部を成形して全体のプロポーションを磨き、
正しいと思える流れの中に魂を込める毎日です。

7/16(火)若葉町WHARFへ

2024年7月16日 Posted in 中野note
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↑工房の片付け中の米澤。最近はハキハキとよくしゃべるようになった

今日はハンディラボでの作業を打ち上げ、
明日から週末までの集中的な稽古のために若葉町ウォーフに乗り込む
日でした。私は朝からトラックを借りて調布まで中道具の借り出しに行き、
皆は舞台の床の紋様を完成させ、『少女仮面』の重要な道具である
お風呂の着色などをしました。

床に凝るということは通常のテント公演だとあまりないことですが、
今回はタップダンスもあり、階段状の客席で上からご覧になる
お客さんもたくさんいらっしゃいますので、そういうことにも
凝っています。

この1週間というもの、最後に行った通し稽古を思い出しつつ、
『少女仮面』の各パートがどんなものかをもう一度考え直して
きました。曖昧に、何となく過ごしてしまっているシーンが
あるのではないか。そういう自問自答のなかで、何ヶ所か
新たな展開、あるべき劇の姿が見えてきました。

明日から早急に内容を更新しつつ、皆が『少女仮面』という
道具立てを縦横に使いこなせるよう、稽古を重ねていきます。
合間に佐藤信さんとおしゃべりするのも、若葉町の醍醐味です。

今日も「あの劇はおもしろいでしょう」と『少女仮面』演出の
先輩である信さんはおっしゃっていました。

本質を捉えた、新しい、私たちの『少女仮面』を探っていきます。

7/13(土)グラン・ギニョールの2場

2024年7月13日 Posted in 中野note
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↑Wikipediaより

今日も作業は進行中です。
喫茶店の柱や、床を構成するペンキ塗りをみんなで協力して行いました。
その間、稽古も行いました。

総計88ページの『少女仮面』において、
そのうち11ページは2場に当てられています。
「腹話術師」役はそれををほとんど一人でこなします。
正確には、人形もいますから、一人と一体で。

これまでの稽古では、滞りなく行っていたものの、
ずっと不足を感じていました。演者の丸山雄也くんの不足でなく、
全体の構成的に、自分にはこの場に対する理解が足りないように
思えてきたのです。

この、人形と人間の立場が入れ替わるという仕掛けを持った場は、
果たしてどこからどこまでがフィクションで、ノンフィクションか
という区分けに、モゾモゾとした違和感を感じてきました。

そこで、今日はこの部分について整理を行いながら細部を
理解し直しました。唐さんは1967年に出版した『特権的肉体論』で
「グラン・ギニョール」という言葉を書いています。

とすれば、この場を、19世紀末から20世紀初頭にかけて
フランスで流行った残酷人形劇を意識しながら、
自分流にアレンジしたことは間違いありません。

昨日はこの唐版グラン・ギニョールをだいぶ整理できました。
日々の稽古にあくせくし過ぎず、少し引いた目で全体を眺めて
部分を工夫する。そしてまた全体を見る。こういう作業ができると
かなり劇全体が底上げします。贅沢な時間です。

7/12(金)結局、雷鳥の里!

2024年7月12日 Posted in 中野note

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いますでに、帰りの新幹線のなかです。

昨晩23:12に着いて翌日19:08に発つということは20時間の富山滞在で

あったということです。その間、いくつかの文化施設に行き、

運転もよくしつつ、かなり富山を満喫しました。


まず、昨晩は26:00までやっている店で食事しました。

白エビ、ウニ、ホタテの焼いたのを醤油をつけずに食べてくれと

店主に言われ、隣にいたおじさんが色々とツマミをご馳走して

くれました。


早朝から起き出し、周辺を歩いてまわりました。

例のオーバードホールのそばに行くと、記憶が蘇りました。

そして朝食。泊まったホテルに恵まれ、なかなか豪華でした。

そこで、ます寿司、ほたるいか沖漬け、焼き鯖。


その後、あらかじめ通達されたスケジュールによれば

昼食抜きとされていましたが、思ったよりも移動に

時間がかからないことがわかり、訪ねた先でアジフライを

ご馳走になりました。


・・・というなわけで、

振り返ってみればなかなかの豪遊な出張でした。

帰り道、なんとかお土産をと思いましたが、食傷気味のせいか

富山ものにはまったく食指が動かず、大好きな「雷鳥の里」を発見。


これは長野のものだけれど、

かつて何度も行った長野公演の際は、スーパーで小さいのを

買って常食するほど私はこれが好きなのです。

名物よりも美味いもの、というわけで劇団へのお土産は雷鳥の里です。


富山、良いところでした。

7/11(木)富山の思い出

2024年7月11日 Posted in 中野note
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↑開演時に鈴を鳴らし、終演時にスピーチしたエレン・スチュワートさん
率直にそこにいる、という感じに強い印象を受けました

今日はなかなかの強行軍でした。
早朝から車で都内に行き、その後、相模原市の橋本に行きました。
お昼過ぎにハンディラボに移動して衣裳や小道具の確認をしながら
みんなと話をし、夕方に鶴見に移動して、それからは電車。

東京駅に移動してビルの隙間のベンチでオンライン会議をやり、
その後に北陸新幹線に乗って富山に向かっています。

富山か・・・。
富山市は一度だけ行ったことがあり、あれは2006年に
ラ・ママ実験劇場が来日、『トロイアの女』を上演した時です。

私たちは何人かで連れ立って高速バスに乗り、
夜の公演を観たら即座に夜行バスで帰るという弾丸ツアーを
敢行しました。

劇場の中を立って移動しながら観風変わりな上演でした。
外国人の筋骨隆々とした役者たちが、いかにも古代ギリシャ人の
装いで目と鼻の先を通りながら芝居を繰り広げることは驚きであり
また、コミカルなことでもありました。

演出はルーマニア人のアンドレイ・シェルバンで、
19歳でピーター・ブルックに入門したというレジェンドです。
みんなで観に行こうかどうしようか迷っていたところ、
唐さんに、「シェルバンさんは知り合いだよ」と背中を押された
のを思い出します。

ことに感動したのは終演後に夜行バスの時間まで街をぶらぶら
していた時に、さっきまで古代の戦争を演じていた役者たちが
ラママのゴッドマザーであるエレン・スチュアートに連れられ
吉野家の牛丼を食べているのを発見した時でした。

あの時ほど吉野屋が輝いて見えたことはなかったし、
世界的なカンパニーの面々がちっとも飾らず、
地に足をつけて語らいながら食事しているのに感激しました。
あの、エレンが牛丼を頬張る時の表情は素晴らしかった。

あと1時間ほどで、富山駅に着きます!

7/10(水)今日の作業と残り時間

2024年7月10日 Posted in 中野note
今日も作業日でした。
劇団員のみハンディラボに集まり、工房スペースで道具作りが進みます。
自分はといえば、各所に案内状やリリースを送り、当日パンフレットの
文章を練りました。

作業としては、『少女仮面』の舞台である喫茶〈肉体〉に飾られた
ヴェスビオ火山の絵のデザインのチェックをしたり、風呂の仕掛けの
問題点を齋藤や椎野とともに解決したり、緩やかにコツコツと前進した
1日でした。

昼食に出たり、スーパーに寄って買い物をしたりもできました。
来週の集中稽古までに、音響プランを練り直し、稽古の改良箇所も
整理していきます。集中的な詰めの作業が始まってしまうと
たった五日で『少女仮面』が決まってしまいます。

いつもならテントたてという段階があって、
ここでも頭を整理することができましたが、
今回は間髪入れずに劇場入りから本番が押し寄せる感じです。
世の中の劇団の大半がこのスリルを生きているのだと実感します。
あと2週間で本番です。

7/9(火)ハンディで作業中

2024年7月 9日 Posted in 中野note
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今週の月曜日から、本拠地のハンディハウスに入り、
美術・小道具・衣裳の製作作業に入っています。

この1週間をここで確保するため、
6月上旬から7月頭までに前倒して稽古を進めてきましたが、
『少女仮面』の短さに助けられ、エンディングまできちんとつくり、
カーテンコールも目算がたっています。

同じ作業をしていても、皆が劇やそれぞれの役柄の進行をよく
心得ているので、工夫するにしても方針を共有しやすく、
『少女仮面』を中心にした相談が各所でなされます。

例えばそれは、防空頭巾の柄や、ボーイが歌って踊る際に
左手に持つトレーの上ものを考える際に、皆の理解が的確な
工夫に結びついていくということです。

自分はといえば、
昨日は皆が作業を終えた帰りに駅まで車で送ったのですが、
そのまま新宿に向かいました。

劇中にハープシコードのレコードを流す場面があるので、
LPを買いに行ったのです。LPは大きいので、ネットで買うと
やたら送料がかかるし、どだい、ネットで流通する商品は
おおかたが貴重なプレミアものであるわけです。

直接に中古屋に行って、狙い通り480円で買えました。
交通費はかかったけれど、気分転換になるし、新宿方面に
帰る演者を送りながら話すのも楽しい。

具体物が揃ってくると、いよいよ劇場入りが近いのだという
実感が湧いてきます。その前に、来週は若葉町ウォーフでの
集中稽古をします。

7/6(土)読売新聞で紹介されました

2024年7月 6日 Posted in 中野note
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↑3月の『鐵假面』ゲネプロより。あの時は寒かった・・・

読売新聞に今年3月に公演した『鐵假面』が紹介されました。
https://www.yomiuri.co.jp/column/spotlight/20240702-OYT8T50048/

全体に唐さんについての特集記事で、6月に新宿梁山泊が公演した
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』、唐組が春公演で上演した
『泥人魚』と並ぶ振り返りです。

もうすぐ読者限定になってしまうとのことですので、
今のうちに読んでください。

ところで、3月末はあんなに寒かったのに、今日は暑さの上に
都内に出たらゲリラ豪雨、まだ7月なのに、これから8月はどれだけ
酷暑なんだろうとおののいています。

たった3ヶ月しか経っていないのに、機構の移ろいが凄まじすぎる。
しかし、昨日はカミナリ、稲光りを見て『鐵假面』初日を
まざまざと思い出しました。

7/5(金)再び全編を通す!

2024年7月 5日 Posted in 中野note
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↑最後の3ページでやっと登場の少女たち


昨日の稽古休みを挟みながら、今日も全編を通しました。
各シーンを構成する中で、ここのせりふを、ト書きを
こう活かそう、とセットしてきた工夫が一昨日より機能して、
そこにめいめいの個性が発揮されてきています。

一方で、すでにして慣れが出て、細部の目が立たなくなった
ところもあり、そういう箇所を課題として話をしました。

けれども、最も重要なのは、全編を通して
唐さんの筆が全体に仕掛けているテーマを発見することです。
また、お互いのシーンの関連を、演者同士が実感として理解し、
今後にそれを自らドライブしようとするのを促すことです。

全体に、『少女仮面』のコンパクトさに助けられて、
皆でそれぞれの場面について語り合うような余裕があります。
3幕3時間だと追い込まれてカオスなまま直前になってしまう。
けれど、『少女仮面』は恵まれています。

嬉しかったので、みんなでカーテンコールの段取りも早々に
決めました。結果、本編&カーテンコールで100分弱という全体が、
ほぼ定まりつつあります。

今日でお世話になってきた急な坂スタジオを退出して、
来週からは本拠地ハンディラボでの作業、
再来週に行う若葉町ウォーフでの集中稽古へとつないでいきます。

7/4(木)今日は稽古休み

2024年7月 4日 Posted in 中野note
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↑とにかくオシャレで洗練された人です。あんなに美しい環境で自分が
生活することは二度とないでしょう、という暮らしでした


久々にイギリスで過ごしている夢を見て飛び起きました。
驚くべきことに、ちゃんと英語を喋っていました。
不思議です。英語を喋れるようになっていた実感は一度として
なかったのに。どうやってコミュニケーションをとっていたのか
実感が湧きませんでしたが、パーティらしきところでなんとか
笑い合っていました。

こんな夢を見たのには明確な理由があって、昨日7/3がダイアンの
誕生日だったからです。ダイアンというのは、部屋を借りていた
大家さんのこと。2年前、彼女の誕生日にはムンク展を見に行き、
彼女の友だちが営業している老舗のパブ、インド料理屋に連れて行って
もらいました。

私が起きたのが午前6時なので、英国は前日の22時。
ということは、今もダイアンはバースデーの最中なのです。
きっと大好きなシャンパンを飲んでいるはずです。

1週間ほど前に、バースデーカードを送っておきました。
多くの人々から寄せられたカードを暖炉の上に並べて
酒を飲むのが彼女の特徴です。きっとその中に私のもあるはずです。

高齢ですから、遠くないうちにまた会いたいものだと思いました。
次に英国に行ったら、ヨークシャーの荒野に行ってみないと。
『少女仮面』はこれからも続けていきたいので、嵐が丘のもとに
なった土地を訪れて、さらに磨きをかけたいと思います。

明日の通し稽古に向けてさらに作戦を練ります。
短い芝居ですが、込めたいことは山ほどあります。

7/3(水)ぜんぶ通した

2024年7月 3日 Posted in 中野note
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↑丸山雄也くんの喜ばしい復帰でした。人形のタカシくんは唐組から
お借りしました。いくつもの『少女仮面』、『ビニールの城』にも出演
してきたベテランです


初めて全編を通しました。

当初、1場と3場のみを通す予定でした。
なぜなら、2場のほとんどを一人で演ずる丸山雄也くんが
久々の稽古参加だったからです。

彼は日曜日まで別の舞台に出演していて、
前回の稽古は、公演本番の合間に行っていたのでした。
まずは疲れを抜いてから事にあたって欲しいと、
徐々にアクセルを入れる予定だったのです。

が、1場から2場に入ったら、なんとなく止めるのが
不粋な雰囲気になり、皆で面白がりながらいているうちに
「開眼」の場の最後までいってしまいました。

少し、腹話術師と人形の下克上が起こるところに不具合はあった
けれど、彼の雄也くんのおかげで途切れることなく3場にバトンが
つながり、初めて、私たちの『少女仮面』が姿を現しました。

これまで、20種類ほどの上演を観てきたように思います。
けれど、初めて『少女仮面』を観たような感覚におそわれました。
自分たちで上演するということは、観流のとはぜんぜん違う
体験なのだということがよくわかりました。

最後の方が未完成なので、明日の稽古休みを経て、
明後日に詰めて、2度目の全編通しに向かいます。

7/2(火)3場を通す

2024年7月 2日 Posted in 中野note
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↑手前で繰り広げられるせりふの応酬。後ろに控えて耳をそばだてている
彼らの面白さが、実際に上演を目指すとよく分かってきます

今日は初めて3場を通しました。
なんとか最後までいき、手直しし、それからもう一度。
まだつながっていないところ、不具合もありますが、
これで、みんながせりふや段取りを憶えるという苦労から
解放されていくのを見るのは快いものです。

こうして一通り最後までいけば、あとは考えること、
工夫すること、やってみることの繰り返しとなります。
それぞれの登場人物が役者ひとりひとりのことになって
親近感が湧き、合い間にする話も面白くなります。

明日は、1場と3場をやってみるつもりです。
こうして、だんだん全体のなかで部分を見つめるようになるのも
愉しい作業です。今も、音響の細部を整えたりして、
少し良くなる。その少しを溜めて、全体を変えてゆきます。

6/29(土)衣装を探しに

2024年6月30日 Posted in 中野note
今日は稽古休みにつき、衣裳を探して浅草・アメ横をめぐりました。
やはり、この地域には芸能関係者がたくさんいて、それなりの需要が
常にあるのでしょう。
店員さんの対応も手慣れたもので、資料やコンセプトを伝えると、
スタイリスト的な役割を的確に果たしてくれます。

1930年代にローレンス・オリヴィエが主演した映画『嵐が丘』
の画像を一緒に観ながら、考えてくれました。

下谷万年町は言うまでもなく、喫茶「丘」、不忍池など、
唐さんゆかりの地で溢れています。

浅草に長らくお世話になった私たちにとっても横羽線〜首都高は
通い慣れた道。

頼りになる台東区に支えられて、たくさんの成果を得て
横浜に戻りました。

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6/28(金)共働きについて

2024年6月28日 Posted in 中野note
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現在のように、シーンを汲み上げていく立ち稽古の時。

『唐版 風の又三郎』まで、稽古場には先に俳優が来ていて、
自分も加わる稽古は3時間くらい。私が去った後にも俳優たちが
復習をして、トータルで5〜6時間という感じでした。

『鐡假面』は久々だったので、ぜんぶ稽古場にいるようにしました。
すると、今度は俳優同士の稽古時間が失われて緊密さが失われ、
これではかえって良くないと思い、ひと足さきに帰るようにしました。

今回の場合も、私は先に帰ります。
特に現在のように3場に差し掛かると、ずっと出番のある椎野が
稽古場に残った方が良いので、それで、先に帰るわけです。

今日は大雨だったので自転車は使えず、歩いて帰りました。
帰りに保育園に寄り、娘をピックアップして、
息子が小学校から帰ってくる前に家に滑り込みます。

少し遅いなと思っていたら、大雨を心配してキッズクラブの先生が
何人かをまとめて送ってくださっていました。頭の下がることです。

俳優同士の稽古を終えた椎野が帰ってくると、
そこからまた自分は仕事を再開します。

という具合に、私たちの『少女仮面』は成り立っています。

6/27(木)難問が解けつつある

2024年6月27日 Posted in 中野note
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今日は少人数での稽古でした。
対象になるシーンに関わる出演者が少ないからです。
ちょうど難しいところに来ていますから、時に間を置いて考えたり、
とっかかりを掴んだところだけでも繰り返して消化したり、
人数が少ないだけ落ち着いて稽古できました。

春日野八千代が貝に、自らも人間であること、
老いや衰えを告白して、それでも自分を慕ってくれているかを
確認する場面です。言葉が直接的でないところを一つ一つ消化して、
自然な所作やせりふに消化して思いが出るよう工夫しています。

これまで20本を超える『少女仮面』を観てきましたが、
皆さん、この難しさと対峙してきたのだと思うと、
改めて頭が下がります。雰囲気で処理することは一切するまいと
決めています。唐さんが何をどう考え、感じていたかを知り
体現することに私たちの劇団の醍醐味はあるからです。

昨日に感じた難しさを、今日すでに克服する糸口を掴んだように
思います。3場は難しい。難しい面白さです。
観る人には易しく感じられるよう、ウンウン言いながら稽古しています。

6/26(水)3番序盤の難しさ

2024年6月26日 Posted in 中野note
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↑セットも入り組むために、狭いアクティングエリアを活かし切る
必要もあり、工夫、工夫です。何人かでかかる箇所は協力が必要!


やはり3場の序盤は難しい。ちょっと夢に見そうなくらいです。
1場終盤の春日野と貝のめぐりあいを経て、3場は舞台の稽古に入る
わけですが、最初こそ舞台『嵐が丘』を題材にした練習が上手く
いったものの、それは喫茶肉体にいるパフォーマーの非力から
すぐに行き詰まりを見せます。

土台、喫茶店の外では工事が始まって、あっという間に、
大スター・春日野八千代の舞台稽古はお粗末なものになり、
弱気になった春日野が新人である貝に身の上相談をする様相を
呈します。と、書くのは簡単なのですが、やるのは難しい。

というわけで、これを整理しながら日付が変わっていくそうです。
明日にはなんとかしたい。3場前半はやはり難しい。

6/25(火)当時の春日野八千代さんを誰に例えよう?

2024年6月25日 Posted in 中野note
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春日野八千代さんというのは、それはそれは大スターであったようです。
白薔薇のプリンス、というニックネームは伊達ではありません。

私たちは現在にあってYouTubeをタダで見ることができますが、
その中には春日野八千代さんが踊りを披露しておられる動画があって、
1992年時点で70代半ばであった春日野さんがかくしゃくとして
踊っている姿を見ることができます。

スラリとして、背筋の伸び方といい、
やはり往年のスターがスターである所以を感じさせます。

現在において、とりわけ私のように唐十郎を追いかける者にとって
「春日野八千代」という存在はとりもなおさず『少女仮面』の
主人公を指すわけですが、本来、これは違うことを
私たちは忘れてはなりません。

唐さんの作品はあくまでパロディであり、
初演時には本家あっての偽物ヒロインだったわけです。

自分は、その感覚をどうにか追いかけたくて、
現在だったら誰に例えられるだろうと考え込んだりします。

・・・天海祐希さんかな、と思いつきました。
ちょうど宝塚の男役だし、美しいし、皆さんから寄せられる
敬意も似ているのではないかと思います。

現在、天海さんは56歳だそうです。『少女仮面』が初演された
1969年当時にオリジナルの春日野さんは54歳でした。
いよいよ例えとしてちょうど良いように思えてきます。

例えば、「天海祐希」という主人公が出てくる新進作家の台本が
あったなら。そう考えてみると、『少女仮面』の設定ににぐっと
実感が湧いてきそうです。

6/22(土)1場の目処がたつ

2024年6月22日 Posted in 中野note
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今日で1場について大方の段取りをつけました。
まだまだ役者が自分のものにしていくための入り口の段階ですが、
これまで頭の中にあったものをみんなに渡して、少しスッキリすること
ができました。

2場もある程度、先に進行してあるので来週には3場に進みます。
早く最後まで段取りを伝えきり、曖昧なところは具体的な所作や
せりふの言い方に変えて解決をしたいものだと思います。
音楽も、これまでにストックしてきたものを適切に配し、
劇の構造を露わにするよう仕掛けて行きます。
その中で、足りない曲があれば、見つけなさなければなりません。

衣裳についての創作や捜索も進めています。
ひとりひとり定まるとホッとして演技に集中できるようになるので
これも早めに対処していっています。

少ない登場人物、全体の分量なので、
落ち着いて話をしながら稽古を進めています。



6/21(金)「劇空間を再考せよ」を再考せよ

2024年6月21日 Posted in 中野note
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「伊東塾」というイベントにお呼ばれしてきました。
劇場建築のコンサルタントやホールの指定管理、その他、
劇場に関する様々な事業を展開するTheatre Workshop代表の
伊東正示さんが行っている連続講座です。

講座の中で、私たち唐ゼミ☆も参加した2009年7月のイベントが
紹介されました。「劇空間を再考せよ」というタイトルを掲げ、
三田の建築会館中庭で行った催しです。

私たちはそこで、簡易の青テントをたてて『恋と蒲団』
という唐さんの短編戯曲を上演し、そのまま、当の唐さんを
メインのゲストにしたシンポジウムを行ったのです。
伊東さんの司会、一緒に、室井先生や、新宿梁山泊の美術を
手掛ける建築家の大塚聡さんも登壇し、たのしくおしゃべりしました。

映像を見ながら、あれから15年経ったこと、
今だったら『恋と蒲団』をもっと上手く活かした上演ができると
当時を振り返りながら思いました。
唐さんがテーマにした「匂い」を現在ならもっと上手く嗅ぎ取り
表現に変えられるようになっていると思います。
もういっぺん、あれをやるチャンスはないものか。

今日も同じように「劇空間」について話しながら、
そういう欲が湧いてきました。
忘れかけていた当時のポスターに再会して、記念撮影もしました。
呼んでくださったみなさんに感謝!

6/20(木)現代の古典

2024年6月20日 Posted in 中野note
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↑かつてスーパファミコン版もやった記憶があり、もはや古典作品化
している。モーツァルトやシェイクスピアみたい

秋に『ドラクエⅢ』のリメイクが発売になるらしい。
ゲームから遠ざかって20年近くになるが、これは聞き捨てなりません。
自分がロールプレイングゲームをやり始めたのは小学校2年生の
頃でした。それこそ『ドラクエⅢ』。

うちは土日しかファミコンをすることが許されていなかったので、
特に日曜日は早起きをしました。口うるさい親が起きる前、
5時台には起床して小音で挑んでいた覚えがあります。
あの単純な戦闘画面の向こうに、壮大な闘いを造像していました。
音楽も好きで、CDを買ってそれだけ聞いたりもしました。

高校時代に演劇を始めた時、唐さんの『電子城』に出会いました。
ドラクエをモチーフにした台本ということで、親しみを覚えて
手に取りましたが、すぐに弾き飛ばされました。

2004年秋には『カーテン』と改題して『電子城Ⅱ』が上演され、
この頃になるとなんとかついてゆくことができるようになっていました。

唐組初期を賑わせた『電子城』という芝居は、
ドラクエをつくった堀井雄二さんが状況劇場のファンで、
雑誌「ユリイカ」の対談がもとになって着想されたのだそうです。

モンスターを倒すとゴールド(ドラクエ世界のお金)になる。
その経済原理とは何なのか。バブルに浮かれる世相を背景に
唐さんはそんな風に考えたのです。

どうしようかな。『少女仮面』を精いっぱい乗り切って、
秋は久しぶりに少しだけゲーマーに戻ってみようかな。
とも考えています。息子に何か言える感じじゃなくなるリスクも
ありますが。どうしよう?

6/19(水)華麗なる罵倒語

2024年6月19日 Posted in 中野note
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↑豪華キャストによる完売公演ですから、パンフレットを買って帰り、
「こんな公演だったよ」と稽古場で話しました。演者の魅力も
素晴らしいですが、やはりテーマになっている森進一さんが半世紀を
超えてスターであり続けていることの凄みを感じます


何を隠そう、唐さんの書く悪口が好きです。
コンプライアンス全盛の世の中で、いよいよこういった言葉が
慎まれるべき時代ではありますが、罵り言葉にもやはりセンスがあり、
優劣があると自分は思います。

月曜日、新宿梁山泊による大人気公演
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』を観劇して、
突き刺さる言葉がありました。

「下関の片田舎では、まだ土葬のところが残っています」

・・・実にさりげなくこの言葉が吐かれるのですが、
なんだかジワジワくるせりふで、思わず帰宅後に単行本を引っ張り
出して正確なことばを調べてしまいました。

もちろん、初演された1976年に日本国内はすべて火葬です。
山口県の人、下関の方には申し訳ないと思いつつ、
やっぱりいまだにクスリときて、思い出し笑いしてしまいます。

幼少期、唐さんは台東区民でした。
山の手の文京区民にはコンプレックスを感じ、
墨田区民には優越意識を持つ、その墨田区民は足立区民を、
足立区民は埼玉・千葉県人を・・・という具合に、
心情的な連鎖は続いていくわけです。

あんまり良いことではないですが、これも人間の業。
わかっちゃいるけどやめられない。
こういうものも土壌にして唐さんの世界は成り立っています。

6/15(土)先生の幼なじみ

2024年6月15日 Posted in 中野note
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↑佐藤信演出、結城座の公演は1981年1だったようです

今日は全体の稽古は休みでしたが、
谷洋介さんが夕方に稽古場にやってきてタップの練習に明け暮れました。
また、倉品淳子さんと繋い口がその後に合流し、名高き劇中歌
『時はゆくゆく』を繰り返し繰り返し歌いながら、少しずつ解釈と
動きを盛り込んでゆく作業をしました。

こういうことは反復練習が必要ですし、
タップも、大声で歌って初めてほんとうの練習になる劇中歌も、
どうしても稽古場を必要とします。
全体の稽古が休みの日にこういうことに時間をかけて、
リラックスして取り組むことができるのはなかなか幸せなことです。
これは1ヶ月単位で借りることのできた稽古場、
急な坂スタジオの効能です。歩いて麓から登ってくるのは大変ですが、
それだけの効果があります。

一方、7月中旬、劇場入り前の直前には若葉町ウォーフで
仕上げを行います。昨日はそのための打合せに行きました。
ウォーフで佐藤信さんと話していると、現在の芝居づくりに様々な
ヒントを得ることがあります。まして信さんは『少女仮面』経験者。
1981年に信さんがあやつり人形の結城座で演出した舞台は、
初演の早稲田小劇場と並ぶ成功上演だったと、唐さんから伺った
ことがありました。

昨日も、これまでの自分の創作に抜けていた大事な視点に気づきました。
こういうヒントがありますので、やはりウォーフには単なる空間を超えて
信さんという人格を帯びているというスペシャリティがあります。

佐藤信さんが初めて唐さんに会ったのは、信さんが10歳、
唐さんが中学2年の頃、お互いに児童劇団員としての初対面だった
そうです。成長して紅と黒のテントを背負うようになったふたり。
その関係の効能に助けられています。

6/14(金)稽古は1場の終わり

2024年6月14日 Posted in 中野note
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↑短い芝居なので、あっという間に1場の終わりです
キャスト合流がこれからで、代役を立てながらでもありますので
油断はできませんが


昨日に受けたタップダンス指導を経て、
今日からメインの稽古の前後にタップ練習の音が響くようになりました。
カタカタカタカタカタ。
これはもう反復練習なので、時には音響をリピートして踊ってもらい、
周囲もその練習をニヤニヤしながら眺めたりします。

そう。要するに芝居の中身がリンクするわけです。
なにせ、この『少女仮面』の設定は喫茶店。
そこに就職したボーイふたりが、コーヒー入りのカップを乗せたお盆を
歌って踊りながら運ばされる、有無を言わさずそれを強要されている
という状況だからです。

谷洋介さんと小島ことりさんという二人の俳優が同じ目に
遭っています。『少女仮面』に出ることが決まり、キャスティング
されてみたら、有無を言わさず、経験も関係なく、タップ練習に突入。
稽古場にストイックな雰囲気が漂い始めました。

メインの練習では、1場の終わりを稽古しました。
少女・貝と老婆がボーイ主任に煙たがられながらも喫茶店に居座り、
その甲斐あって、春日野八千代に遭遇するシーンです。

主任と貝の会話劇、せりふのやり取りにより交わされる闘いを
細かく成立させながら、途中で登場する水道飲みの男がどう
それまでの言葉に関連するのかも追いかけていきます。

椎野が7年ぶりに稽古場にいて、ト書きに指定された搭乗を
実現するために歩く練習をしてもいます。

そういう稽古場です。

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6/13(木)今日はタップダンスに挑戦!

2024年6月13日 Posted in 中野note
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『少女仮面』にはいくつか芸能の技術を必要する台本です。。
ひとつは腹話術、ひとつはタップダンス。他にも宝塚的だったり、
明らかに能を意識したシーンもあります。

幼少期に浅草で馴染んだのか、唐さんはタップダンスが好きで、
80年代には『あるタップダンサーの物語』という芝居まで書いています。
これを見たある人は、今は新宿梁山泊の主宰になった金守珍さんが
ヤカンの上でタップを踊って見事だったと教えてくれました。

ヤカンの上でタップ・・・
ほんとうにそんなことができるのか?
しかし、金さんならやってしまいそうな気がします。

肝心の唐ゼミ☆の話に戻します。
そういうわけで、今日はタップダンサーの米澤一平さんをお迎えし、
ボーイを演じる小島ことりさんと谷洋介さんが初めての
タップダンスに挑戦しました。

基礎からみっちり仕込まれて5時間。
一平さんの説明はとてもとても明快でわかりやすく、
まだ板につかないなりに振付まで仕込んでもらいました。
登場シーンのちょっとしたステップまで含めて、抜かりありません。

これから延々1ヶ月ちょっと、
二人は稽古の合間にこれに没頭するはずです。

もう一人、今は『鋼の錬金術師』に出演している丸山雄也くんは
その裏でコツコツと腹話術を学んでいます。これまで見てきた
幾多の『少女仮面』が同じ苦労を経たものであると実感して
まことに頭が下がる午後でした。米澤一平さんに感謝!

6/12(水)元劇団員・重村の活躍

2024年6月12日 Posted in 中野note
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↑終演後に写真を撮ってもらいました。
荒谷清水さん(左)と重村大介くん(右)という新旧の魚主です

先週末は、唐組『泥人魚』の東京公演千秋楽でした。
この週末が私たち唐ゼミ☆メンバーにとって重要だったのは、
元劇団員の重村大介くんが最後の4日間に限り重要な役柄を
務めたからです。

『泥人魚』には終盤に畳み掛けるように登場する大物ふたりがいて、
いずれもが主人公たちの故郷からやってくる漁業関係者という
設定です。一人目は船長の魚魚(うおにし)、二人目、最後に
登場するのは眼(ガン)さん。

それまで眼(ガン)さんを演じていた南河内万歳一座の内藤裕敬さん
が劇団公演により離脱したので、もともと魚西を務めていた
荒谷清水さんが眼(ガン)さんに、清水さんが抜けた魚魚の役を
重村くんが戴きました。

初めてこの計画を聞いたときには、天を仰ぎました。
魚魚といえば、かつて辻孝彦さんが初演で演じた大役です。
それを、重村が演じる。劇団メンバーは一様に緊張し、
そして、必ず立ち会わなければと思ったのです。

結果的にちゃんと務めていて安心しました。
もっと余裕を持てれば良いには違いありませんが、
ちゃんとせりふを置いて、なんとか成立させようと必死である
ことが伝わってきました。ああ、大きな声を出すときに目を
つぶらずに言えれば良いのに。そうも思いましたが、
気弱なアル中という設定にも助けられて、なかなか良い味を
出していました。良かった。そして、やれやれです。

6/11(火)音楽を探して

2024年6月11日 Posted in 中野note
今日から立ち稽古でした。
桜木町と日の出町の近く、急な坂スタジオで初めて稽古し始めました。
滑り出しは、老婆と貝の冒頭シーン。
次に、ボーイたち、水道飲みの男らが登場する場面。
腹話術師役の丸山雄也くんが現在は舞台『鋼の錬金術師』出演中なので
腹話術師の場面は飛ばして進行します。

他にも、別の劇に出演していたメンバーもいるので、
本読みのフォローを入れ、場合によっては補習の時間も設けながら、
休みを使って入れていきます。唐さんの劇はここを怠ると、
ちんぷんかんぷんのまま強引にせりふを言わせることになって、
俳優に負担をかけてしまいます。やはり事前の理解が大切です。

また、事前の準備といえば、音楽をたくさん用意して立ち稽古に
臨んでいます。劇でどんな音楽を使うのかは、全体に大変大きな
ウェイトを占めます。『少女仮面』にはもともと、唐さんが指定した
メリー・ホプキンの『悲しき天使』が絶大に良い味を出しており、
これがこの劇のクオリティ保証に大きく貢献しています。

ただ一方、この曲がかなりインパクトがあり、かつ何度も劇中に
かかるために、さまざまな上演の印象が画一的になることも
事実です。唐さんの選曲力を借りながらも、これをどこまで
バリエーションさせられるかというのが、現場の腕の見せどころです。

そういうわけで、日曜は久々に大量にCDを買い込んで音楽三昧
しました。ちょうど渋谷のタワーレコードに行ったところ、
好きなジャンルが丸ごとクリアランスで売っているのを発見して
狂喜しました。最近はネットで音源を買うことが増えましたが、
初期にしていたように、CDの中に未知の曲との出会いを求めるのも
楽しいものです。そこで揃えた粒揃いの曲をストックしながら、
稽古場で展開するシーンやせりふに宛てていきます。

まずは順調に滑り出しています。


6/8(土)新潟の『唐版 風の又三郎』

2024年6月 8日 Posted in 中野note
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↑早津さん自身は風の商人・伝説の樫村少尉・宮沢先生を演じました!

今日は『少女仮面』のチケット発売日でした。
午前10時よりたくさんの方にご連絡をいただき、
応援の会話とともに受付をしました。今回はいつものテントと違い、
劇場での公演です。(恵比寿のエコー劇場)

ですから、テントと違い、"満員"がはっきりとある。
テントだと集客状況に合わせての拡張ができ融通無碍なのですが
(もちろん限度はありますが)、劇場ではそうもいきませんので、
正確を期してお迎えしたいと思っています。

上演時間は90分前後の想定で、休憩はありません。
『少女仮面』は唐十郎作品の中でも屈指の凝縮度を誇る劇ですから
コンパクトで見やすく、内容充実でおもしろい公演を目指して
企画しました。体調的にテントはハードルが高く、それでいて
唐作品がどんなものか興味のある人に観ていただけたら冥利です。

さて、特に午前中はチケット発売開始に対応しながら、
午後から新潟にやってきました。唐ゼミ☆の恩人の一人である
新潟の早津博美さんが、有志の皆さんを集めて『唐版 風の又三郎』を
上演したからです。

信濃川沿いにある劇場りゅーとぴあの庭園にテント劇場を設え、
公演する企画です。同じプロジェクトは三年前にも行われ、
その時の演目『少女仮面』を自分は観ることができませんでした。
当時、メンバーだった禿恵に代理で行ってもらったところ、
たいそう感激して帰ってきた。それで、今回はなんとしてもと思い
繰り出しました。

20〜73歳のキャスト、経験問わないメンバー19人による上演でした。
公演を支えるスタッフも多く、早津さんの絶大な人徳を感じます。

一年もの時間をかけて稽古を積み上げてきたそうですが、
それだけの内容でした。俳優のからだとせりふを前面に押し出して
台本の中身を重んじ、セットも最小限で済むよう工夫されていました。
出演する人が活躍できるよう、時には危険な仕掛けが丁寧に除かれており、
それでいて物語を伝える。唐十郎作品への愛着と、芝居やテント演劇を通じて
多くの人と繋がっていこうという早津さんの信念を体現した3時間でした。

単に良い芝居をつくれば良い、というのではなくて、
早津さんには、この新潟で、こういう人たちと出会い、芝居をつくって
みたい、という信念があるのです。実際に新たな出会いもあったそうです。
初めは、やはりいつもの仲間が中心になるかも知れないけれど、
そのうちに、ひとりふたり、新たな出会いがあってそれを膨らませてゆく、
そういう志と展望を強く感じました。

終演後の交流会で、出演された皆さんと劇についてお話しするのも
たのしかった。何か一緒にできたら。自分も役に立てたら。
それから、もう一度、自分もまた『唐版 風の又三郎』をやってみたい。
そう思わずにはいられない夜でした。

明日の午後には、横浜に戻ります。

6/7(金)明日はチケット発売開始!

2024年6月 7日 Posted in 中野note
明日は10:00から『少女仮面』のチケット発売を開始します。
今回も早割をやりまして、6/23(日)までに申し込んで頂くと
割引料金で買うことができます。早めの申し込みを宜しくお願いします!

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劇団唐ゼミ☆第32回公演
『少女仮面』
作:唐十郎 演出:中野敦之

http://karazemi.com/perform/cat24/20247.html

【日程】
7月
25日(木)18:30
26日(金)18:30
27日(土)14:00/18:30
28日(日)14:00

【会場】
恵比寿・エコー劇場
JR恵比寿駅西口 徒歩5分
東京メトロ日比谷線恵比寿駅 1、2番出口 徒歩5分

【料金】
早割4,000円(事前振込) 
※6/23までの限定販売!
当日精算4,500円
当日5,000円
子ども1,000円(当日精算)
※中学生まで

※受付開始は開演1時間前、開場は開演の30分前。
※ 全席自由。チケットに記載されている番号順でのご入場となります。
(チケット番号は開場時間を過ぎると無効です)
※ 未就学児のご入場はご遠慮いただいております。

【出演】
椎野裕美子、津内口淑香、米澤剛志
赤松玲音、かくたなみ、小島ことり、谷洋介、丸山雄也、三木香
倉品淳子、丸山正吾

【チケット予約】
<6月8日(土)10時開始>
チケット予約ページ
https://ticket.corich.jp/apply/318116/
劇団唐ゼミ☆
080-7602-9727(10時〜18時)
※ご予約は前日の18時まで。

《早割チケットのお求め方法》
「早割チケット」は「事前振込」のみの販売になります。
下記ご購入方法および注意事項を必ずご確認の上、ご購入ください。

1,ご観劇日時が決まりましたら、お電話、お申し込みフォームのいずれかでご予約ください。
2,お申し込み完了後3日以内を目安に、チケット代金を所定の口座にお振込ください。

<お振込先>
ゆうちょ銀行 
〇ニ八(ゼロ二ハチ)支店 
普通 7420793
(記号10210ー74207931)

※振込み名義はご予約者様と同じお名前でお願いします。
※恐れ入りますが振込手数料はお客様のご負担となります。
※ご入金後のキャンセル・未観劇によるご返金はできませんのでご了承ください。
※観劇日時のご変更は、可能な限り対応させていただきます。ただし、ご予約日前日までに限ります。

6/6(木)本読みを終了、来週から立ち稽古

2024年6月 6日 Posted in 中野note
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↑私たちが2019年にも上演した『続ジョン・シルバー』は『少女仮面』の
前年に書かれており、喫茶店・ボーイ主任・少女といった設定が見事に
重なっていることも、今回の上演に活かしたいところです


今日で本読みを終えました。
終盤の約30ページを3時間半かけて読みました。

昨日も書いたように、第三場の中間部は難所で、
今までに観てきた多くの『少女仮面』上演を、
自分が何となくやり過ごして観劇してきたことに気付かされました。
そして、こういう箇所と甘く入らずに向き合い、完全に得心するまで
読み切るところに自分たちで上演する意味があります。

よく向き合って、手応えを得ました。
考えてみれば「今までに観てきた多くの『少女仮面』」という
思案の仕方自体が新鮮です。もう何パターン観たのか忘れてしまうほど
観てきました。そういう台本は初めてです。

『少女仮面』のエンディングは台本そのままにすると
かなりアイロニカルな終幕を迎えますが、それを、
唐さんの意志を汲み取りながらどう描くかというところにも
上演の肝があります。今日はずっと考えてきたアイディアを
皆に聞いてもらって、なぜそうなるのかを説明しつつ反応を
探りました。皆がどう感じるかの向こうに、観客の反応もあります。

劇中歌の伴奏づくりや、タップダンスを稽古するための準備も
進んでいます。来週から、桜木町近くの急な坂スタジオに場所を
移して、立ち稽古をはじめます。

6/5(水)三場は難所

2024年6月 5日 Posted in 中野note
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『少女仮面』の本読み中。
今日は二日目で、あと一回行ったら来週から立ち稽古に進む。
そのために目下、三場と睨み合っている。

『少女仮面』は難解で知られる唐さんにしては、
もっともとっつきやすく、そのためか上演頻度の高い作品です。
他にも、上演時間の短さや座組を小さく収められるのも
人気の原因と思われますが、やっぱりわかりやすい。

けれども、三場の中盤以降はかなり難しく感じます。
特に少女と春日野八千代が二人きりになってからは、
春日野の心情吐白がどうのようにして起こり、
ウソのヴェールを一枚一枚ぬいでいく過程を克明に捉えて描きたい。
そう思ってやっています。

この部分を知ったかぶりして飛ばしてしまっては上演の意味なく、
自分が初めて全てを解き明かすのだ、という目標を掲げて
臨んでいます。それには、わからなさに素直に、厳しくあることです。

ちょっとでも不自然だと思ったら、足を止めてその不自然さと
向き合い、せりふの切り方や受け答えに間違いはないか、
一人のせりふの間にも、物言わぬ駆け引きがあるのではないかと思案し、
とにかく受け応えが無理せず自然体になる方法を探ります。

そのために、牛歩の歩みを以って細部に向き合うことが肝心。
明日は後半25ページのために4時間を費やそうと考えています。

6/4(火)集合して公演準備がはじまる

2024年6月 4日 Posted in 中野note
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↑講談社文庫より『満州裏史』

6月に入り、唐ゼミ☆の拠点であるハンディラボでの集合を開始しました。
昨日は本読み、今日は美術の打ち合わせの作業。
チラシ作りも進み、全体を押し上げています。

その合い間に、甘粕正彦大尉についての評伝を読んでいます。
これがなかなか読ませる。60年安保、昭和の妖怪として有名な
岸信介元首相と甘粕大尉が立ち回った戦前・戦中の満州の様子を
知るについて、唐さんが多くの作品で"憧れと冒険の地"として
彼の地を描いた理由がわかってきました。

もちろん、『少女仮面』に出てくる甘粕大尉と実在の人物には
多くの違いがありますが、それにしても、何を真似ようと
していたのかがよくわかり、参考になります。

車の中で聴く音楽も劇中の使用曲や劇中歌の伴奏となり、
こうして、徐々に日常が『少女仮面』に染め上げられつつあります。

6/1(土)久々に見つけたことば

2024年6月 1日 Posted in 中野note
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県民ホールの部屋の隅に積み上げてあった箱を開いたら、
ロンドンに行く前に見つけた雑誌のコピーがありました。

そのページだけを印刷したために、これがどんな雑誌の何年何月号だか
すぐにはわかりませんが、調べてみたら「演劇ぶっく1993年6月号」で、
唐さんが『桃太郎の母』を初演していた頃のようです。

唐さんはこの中で50の質問に答えるQ&Aをしていて、
久々に読んでいるうちにいくつか愉しいものがありました。

Q5:健康のためになにかしていますか
つまんないテレビドラマを見ながらボーッとしていること

Q22:小さいころになりたかったもの
医者

Q23:得意だった科目
物理

Q41:実体験を書いたことは
新聞の三面記事を応用することはあるけど、実体験はありません。
全部ウソです。

Q44:書くのが好きなシーンは?
場違いな独白

Q45:アドリブをどう思うか?
座長しか許しません。


・・・などなど。
いいなあ。唐さんは生きているなあ。
しかし「全部ウソです」って!
自分はむしろ、唐さんは唐さんにとってホントのことばっかり
書いてきたと思っています。

5/31(金)ひとつ原稿を提出

2024年5月31日 Posted in 中野note
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↑『少女仮面』3場のヒントがここに。つげさんもまた、
唐さんに影響を与えたひとりです

今日はひとつ原稿の締め切りがあって、
午前中のうちにこれを提出することができました。
ここ2ヶ月くらい、どうしようかといつも案じていた作業だったので、
ずいぶん心持ちがすっきりしました。

オーダーを受けたのは1月で、
瞬間に箱書きは考えてメモしてあったのですが、
ひたひたと締め切りが迫りながら、まずは『鐵假面』が終わってから
と考えてあっという間に4月。
それからは『少女仮面』の準備を急いでやって、
5月に入った時にはいよいよ締め切りの月だと覚悟を決めました。

あんまり追い込まれるのも嫌だし、
『少女仮面』の本読みがスタートするまでに心を軽くして
おきたかったので、GWに入った瞬間着手して書き始めましたが、
そこからまた、唐さんの訃報に接して吹き飛んでしまいました。
それで、ギリギリの提出になったのです。提出してみれば、
イベントの台本を書くのは愉しい作業ですし充実しました。

内容は、親しくしている劇場のバックステージツアーの台本
です。夏休みに公開。上手く気に入ってもらえて、
何年もご愛顧いただくことを願ってメール送信しました。

5月末と同時にひとつ重荷をおろして、いっそう『少女仮面』への
視界が開けました。明日は、ホームページでの情報公開です。

『少女仮面』『少女仮面』しょうじょかめん・・・・

5/30(木)朝からとんかつをペロリ

2024年5月30日 Posted in 中野note
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↑別冊新評『鈴木忠志の世界』

最近、演劇界の先輩に連れられて夜にとんかつ屋に行きました。
横浜の関内周辺はとんかつ激戦区で、そのなかでも人気のお店です。
先輩は美味い美味いと言ってとんかつを食べ、私にご馳走してくれ、
勢いづいてお弁当をふたつ注文してくれました。

私の家族に、ということなのだそうです。
が、この時点で夜8時。帰宅は22時頃の予定です。
ということは、すでに家族は夕食を終えているわけで、
この二つの豪華お弁当は翌朝に持ち越されました。
朝からとんかつ弁当!

このことで思い出すのは、鈴木忠志さんのことです。
私は鈴木さんとお話ししたことはありませんが、
本や関連資料だけなら学生時代からうんと読んできました。

そのなかで印象深かったのは、
新評社の『鈴木忠志の世界』のなかで、当時のプリマだった
白石佳代子さんが鈴木忠志さんに寄せた文章の中に
「忠さんは朝から牛肉やとんかつをぺろりと食べる人」
という一文があったことです。

こういった人格をもとにして、ボーイ主任は書かれているわけです。
かくいう自分も、朝からとんかつは平気でイケるクチです。。

5/29(水)懐かしすぎる下井草

2024年5月29日 Posted in 中野note
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↑このなんでもない道路には、思い出がいっぱい

今日、用事があって唐組の事務所に伺いました。
コロナ以来、自分が1年海外に行っていたこともあって
久々にお邪魔しましたが、ネットに記された住所を頼りに到着して
驚きました。下井草・・・・

そう。唐組は2004年以来、唐十郎アトリエを拠点にしていましたが、
2021年にここに引っ越したのです。そしてそれは、1999年、
私が大学入学寺に初めて伺った唐組事務所とまったく同じ建物、
同じ部屋でした。

久々に訪問して、初めて事務所での飲み会にお呼ばれした緊張や、
午後3時から10時頃まで続く長い長い宴会が終わった時の安堵感。
2002年に、私たちの『ジョン・シルバー』の配役を決するために、
この事務所に皆でお邪魔してオーディションをしたことまで
記憶が蘇ってきました。

上の写真の道路に寝そべり、酔っ払った唐さんにプロレス技を
かけられたこともあります。西武新宿線・JR・東横・相鉄。
乗り継いで帰った日々を思い出します。

5/28(火)初夏のあらし

2024年5月28日 Posted in 中野note
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↑今よりも地味だった池袋西口公園

いまだ5月末なので"初夏"というには早いけれど、
気候的には夏はもう目前、という日々を過ごしています。
何しろ、毎日が暑くて暑くて。

今日はあらし。台風1号の影響らしいのですが、
夕方に都内まで行き、帰りの首都高速は法定速度で
ゆっくりゆっくり帰ってきました。

初夏のあらしで思い出すのは、
初めて『鐵假面』を上演した2007年のことです。

あの時、7月に池袋西口公園に青テントを張った私たちを
同じように初夏の台風が襲いました。
確か公演2日目か3日目のお昼に再接近したあらしでしたが、
幸いにも直撃は避け、私たちは胸を撫で下ろしたのです。

が、開演時間よりはるかに早い16:00頃に唐さんはやってきました。
長靴を履いて、"中野、大丈夫か?"と言いながら駅から近づいてきた
唐さんは、明らかに台風のほとぼりがさめて残念そうでした。

あの日は公演を観にくる日ではなかったのに、
唐さんは台風との闘いはこうしてするのだと、
まだ駆け出しだった私たちに示したくて乗り込んできたのです。

せっかく来たのだからと喫茶店にいき、
それからもちろん、芝居を観ていかれました。

あの、ウキウキと近づいてきた唐さん、
私は台風をやり過ごしてゆるんだ頭のネジを巻き直したものです。

5/24(金)今日は美術打ち合わせでした

2024年5月24日 Posted in 中野note
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↑こういう銭湯の風景のなかにヒントがあります

今朝は東京駅近くの喫茶店で美術打ち合わせをしました。
舞台美術家の中根聡子さんと仕事させていただくのは初めてですが、
とてもありがたいアイディアをいただいています。

前回に行った初回の打ち合わせを受けて作ってもらったデザインを
間に置いてお話ししながら、『少女仮面』もまた、初期の唐さんの
作品らしく、『ジョン・シルバー』の残響のなかにあることが
見えてきました。

『ジョン・シルバー』の世界とは、お風呂屋さんの世界です。
唐さんのお母さんの実家は台東区でお風呂屋さんを
三軒経営していたといいます。当時の家庭には家風呂が
ありませんから、お風呂屋はインフラです。
当時のお風呂屋さんは、現在と比べてはるかに地域の名士で
あったと想像します。きっと唐さんのお母さんは、
ちょっとしたお嬢様だったかもしれません。

水道、山の絵画、お風呂。
とくれば、あとは欲しいものが一つありますので、
中根さんにそれをお願いしました。

私たちが追いかけてきた60年代唐十郎を、目の前の美術にも
託すべく工夫を重ねてします!

5/23(木)本読み2回目!

2024年5月23日 Posted in 中野note
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↑そろそろ二人の男性キャストにタップシューズも買わなければ!

今日は『少女仮面』公演本読みの2回目でした。
劇団メンバーに加えて、赤松怜音さん、三木香さん、
唐ゼミ☆初参加の小島ことりさん、倉品淳子さんも入って
1場・2場・3場の途中まで読むことができました。

この役をやるんだ、と決まっている人が参加していると
それだけ本腰を入れて立ち稽古に備えてもらうつもりで
内容を渡していくことになり、力が入ります。
読みながら、考える材料を受け取ってもらう感じです。

多くの上演でドSなだけだった「ボーイ主任」の弱点を発見したり、
彼の指に結ばれた包帯の謎を解こうと思います。

また、今日は3場にも進みましたが、
子守唄からボーイたちがタップを踏みながら歌う『あの人にあったら』
という流れがいかに喜劇的であるかも実践したい。

今までに幾多の上演を観て因果関係がよく分からなかったところが
実に自然につながっていく上演を目指しています。

初演の演出家である鈴木忠志さんに想を得て書かれたところは
実際に鈴木さんを知る人の話を聴いて納得したりしています。
愉しい稽古です。あっという間に4時間が過ぎます。


5/22(水)『風に毒舌』

2024年5月22日 Posted in 中野note
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↑このさりげない書影にも、大上段でなく軽く読める魅力が表れています

唐さんが書く平易な文章に打たれることがあります。

現在は『少女仮面』に本腰入れて取り組みはじめてまだ数日なので
別の物語は読みにくくなっています。小説などを読むより、
頭の中を『少女仮面』に支配されたいからです。

そういう時にも、エッセイなどは簡単に読めて愉しめます。
現在は、『風の毒舌』を文庫で読んでいます。
通常は、少し肩に力の入った難解な文章を書かれることの多い
唐さんが、ここでは、実に読みやすいコラム風の短文を書かれています。
一節一節も短い。文庫にして2ページずつとか、そんな按配で、
疲れていてもサッと読んで頭の中に入ってきます。

あの唐さんが、こういう平易な文を書かれるととりわけ新鮮です。
他にも、初めて出した単行本『腰巻お仙』のあとがき。
それから、エージー出版から出した『水の廊下』。
あれは文章というよりインタビューですが、
内容もかなり大事ですし、スタイルが読みやすくて秀逸です。
『風に毒舌』と並んで、ぜひお勧めします。

5/20(月)今日は『少女仮面』本読み初日

2024年5月20日 Posted in 中野note
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↑仮チラシのカラー版です!

今日は『少女仮面』の本読み初日でした。
なんだか興奮してしまって、本読み後にさまざまな案件が生じたけれど、
どれにも臆せず立ち向かうことができました。

唐さんが亡くなってかなりしょぼくれていましたが、
また躁状態が始まって、ガツガツと生きていくことができそうです。
これまで上演してきた多くの唐十郎作品に比べて、
シンプルに研ぎ澄まされたせりふとト書きが押収します。

無駄やくだらなさも好きですが、こんな風に結晶のような芝居に
対してはそのまま身を任せるに限ります。
これまでにあった幾多の上演を思い出しながら、
オレはこうやる、というのを蓄積させてきました。
唐さんの意図だけでなく、唐さんの無意識にも活かした上演をして
決定版をつくるつもりです。

力が入るあまり、昨日の本読みWSレポートは明日にします!

5/16(木)LP版の『四角いジャングルで唄う』

2024年5月17日 Posted in 中野note
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できる限り唐さんに関するものを集めてきましたが、
もちろん全てを持っているわけではありません。

特に状況劇場のポスターの類などは貴重品です。。
一点、結婚した時にお祝いで『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
沖縄公演のポスターを頂いたので、それだけは大事に持っています。

そんななか、今日、お世話になっているご近所さんに、
所持していなかった逸品を頂きました。
『四角いジャングルで唄う』のLP。

自分の家にレコードを再生する機器はないし、
2021年にライナーノートを書かせてもらって復刊したCDがあるので
内容自体はパソコンやケータイにだって入っているのだけど、
これは嬉しい。やっぱりレコードにはモノとしてのオーラがあります。

さっそく、本棚に飾ることにしました。
大事に保管して、いつか針を落とすことを目標にします。

5/15(水)原因は唐さんのあの歌い方ではないか!

2024年5月15日 Posted in 中野note

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↑このなかで唐さんが楽しく唄っています


『少女仮面』の劇中歌について考えています。

その中でどうも謎めいているのは、

喫茶《肉体》のボーイたちがタップダンスしながら歌う

『あの人にあったら』。


〽あの人にあったら、

そっと云ってほしいの

〝乙女の花が枯れたって

月経帯に千代紙はったって

女が一人うたってたって〟

でも、あのひとはもう来ない、

きっと来やしないのよ

だって、あたしゃ皆既日蝕〽


適齢期の女性にとってかなりキツい歌です。

閉経したのに好きな男に振り向いて欲しくて、

千代紙を貼って生理に見立てるなんて。

なかなか淋しい歌なのです。


問題はふたつあり。

①なぜか楽しげなメロディがついて嬉々として歌う例が多い

②初老の女性をオーナーに頂く店の店員たちがなぜこんな歌を


①はひとえに『四角いジャングルで唄う』で唐さんが

ものすごく楽しげに歌ったことに原因があると思います。

作者が歌うやり方を思わず正当と思い込みがちですが

しかしあれは、あくまでリサイタルですからね。


②の答えは稽古を通じて解決します。

実はもう、こうではないか、というアイディアを思いつきましたが、

稽古しながら検証するつもりです。


という具合に、唐さんが亡くなったショックで

止まっていた時間を動かそうと思います!

5/14(火)告別式でした

2024年5月14日 Posted in 中野note
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唐さんの告別式が終わりました。
お通夜は雨が降りどおしでしたが、今日は爽やかに晴れました。

実に多くの人たちが集まりました。
普段はそれぞれの美学を持ってものをつくり続けている人ばかり、
時には凌ぎを削ることもありますが、誰もが唐さんを好きで、
その影響力や吸引力に惹かれて集まったのです。

唐さんを中心にできた大きな輪でした。
普段は絶対に冠婚葬祭には参加しないと宣言してきた方までもが
出席されているのには胸がつまりましたが、それもまた、
唐十郎という存在の大きさです。

2012年5月に倒れられるまでに唐さんの生活圏にいて、
親しく接していた皆さんにも久々に再会できました。
10年以上が経ってもすぐにお互いがそれとわかって、
嬉しく挨拶することができました。

それぞれのタイミングで散会となりました。
『ジョン・シルバーの唄』がかかった出棺後、火葬後・・・

仕事に向かう人、連れ立って飲みに行く人、さまざまでしたが、
自分は椎野と横浜に帰って子どもたちと合流し、
お世話になった喪服をクリーニングに出したり、食事や掃除をして、
特に写真立てを飾る棚をキレイにして、明日に備えました。

整理はつきませんが、多くの人と接した際に、
自分の知らなかった唐さんのエピソードがあちこちで
噴出したのが面白く、これからの目標を感じます。
これまでへの感謝と、唐十郎に関わることを一つでも多くかき集め、
芝居でも表現したいという衝動が湧き上がってきます。

5/13(月)お通夜でした

2024年5月13日 Posted in 中野note
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↑2011.11.4に行った「21世紀リサイタル」冒頭の唐十郎の肉態!

今日は唐さんのお通夜でした。
こうなると、さすがに唐十郎の強靭な生命力を信じてきた自分も、
まもなくその肉体とのお別れが迫っているのを実感せざるを得ません。
人間のバカバカしさと美しさを惜しげもなく見せつけて、
私を沸かせ、憧れさせてきた唐さんのからだ。

と、同時に、行き帰りの駅のホームでも、
唐さんがかつて熱弁振るっていた教えを思い出します。

曰く。
電車を待つ時は線路ぎわに立ってはならない。
そして、いつなんどきおかしな奴に背中を押されても
線路に落とされることがないよう、両足をひろげて踏ん張って
立っていなければならない。

用心深く細心な唐さん。それでいて、酔って電車に乗り、
大事なお弁当箱を置き去りにしていたのを思い出します。

今日は特に、両足をひろげて踏ん張って立ちます。

5/11(土)超渋滞の2時間

2024年5月12日 Posted in 中野note
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↑映画化された『暗い日曜日』

1日を終えて都内から戻ろうとしたのが22:00手前。
そこから横浜まで帰るのに通常は40分ほどというところです。
ところが、先ほどまで混みに混み、羽田空港周辺の
数キロを進むのに1時間以上かかりました。
痛ましい事故が連続した結果でした。

こんな日もある、と覚悟を決めてからは、
これはもうどうしようもないと腹を括って音楽を聴き始めました。
昨日出たばかりの Jordi Savall の The Four Seasons。
誰もが知る曲を巨匠が初めて録音する意味をまざまざと
感じさせられました。

それから『暗い日曜日』。
『少女仮面』のなかに指定のある曲のひとつですが、
聴いたのはオリジナルのDamiaが歌うものではなく、
この曲をテーマに作られた映画のサウンドトラックでした。

目当ては『暗い日曜日』の様々なアレンジを発見することでしたが、
期せずして、2004年秋に唐組が上演した『眠オルゴール』の
エンディングで響いていた曲が流れ始めて懐かしくなりました。

初日、台風に襲われた西新宿の原っぱで、唐さんが開演あいさつに
立って「眠れ、オルゴール!」と叫んだのをと思い出しました。
あまりの気迫に周りはみんな震えました。

が、あとからよく考えてみると、あの芝居は人を眠らせるオルゴールが
主題であって、肝心のオルゴールが眠っちゃいけないよな、と思った
ものです。あまりの本気が後から可笑しみを帯びてくる、
「唐さんておもしろいなあ」と周囲と言い合ったものです。

5/10(金)知らなかった写真

2024年5月10日 Posted in 中野note
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これは確か、2004年にペーター・ゲスナーさんが代表を務める
うづめ劇場が『夜壺(唐組が2000年春に初演)』を上演した時の
写真です。公演終了後の宴会の風景。ヒロインの歌う劇中歌
『アンクレットの唄』が素晴らしくて、2回観に行ったを憶えています。
室井先生もいます。

唐さんが亡くなってから1週間が経とうとしています。

この間、いろいろな人がいろいろな投稿を行っていて、
それぞれに出会ってきた唐さん、それぞれの人が体験してきた
世界があるものだと感じ入っています。
SNSの世界がありがたく感じられます。

自分が写っているもの、貴重な資料はこっそりダウンロードさせて
もらい、今後に活かしていきます。たくさんの新聞を読みながら、
唐さんの大きさを実感する日々。新しく分かったことも沢山あります。
貴重な資料、情報です。

5/9(木)『化粧論』の情報届く!

2024年5月 9日 Posted in 中野note
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↑このなかに『化粧論』アリ!

昨日に投稿した、ふたつの唐さんのエッセイについての探索依頼。
さっそくに情報が寄せられました。
『化粧論』が『日本列島南下運動の黙示録』に掲載されているとのこと。

唐十郎といえば新宿花園神社での紅テント興行ですが。
初期においてこの会場での活動期間は長くありません。
1967年に『月笛お仙=(腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇)』で
初めての紅テント公演を行い、その後は『アリババ』『由比正雪』を
上演しますが、すぐに新宿という街全体の風紀取り締まりの
機運が高まり、花園さんでの公演ができなくなってしまう。

その結果起きたのが、『腰巻お仙 振袖火事の巻』を機動隊に
囲まれながら強行上演する、いわゆる新宿西口中央公園事件です。

そして、『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』を持って沖縄まで旅し、
今度は北上しながら『腰巻お仙 振袖火事の巻』を公演しながら
東京に戻る巡業へとつながっていきます。

それらの様子を収めたエッセイ集の中に、
私の探す『化粧論』があるということがわかりました。
情報を寄せてくださったSさん、ありがとうございます!
これでまたひとつ、唐さんと劇を理解することができます!

残るは、『按配師に会うまで』です。

5/8(水)唐十郎のエッセイについて情報求ム!

2024年5月 8日 Posted in 中野note
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↑1970年3月に出版

唐さんが1970年頃に書いたエッセイ2編を探しています。
『按配士に会うまで』『化粧論』のふたつです。
どうやら『少女仮面』につながる内容が込めれれているらしい。
気になります。気になって1970年前後に出版された単行本を
引っ張り出して見てみましたが、どうにも見つからず。

心当たりのある方は、どこに掲載されているか教えてください。
かつて読んだような記憶があるのですが、判然とせず。
よろしくお願いします!

5/7(火)今日の一歩

2024年5月 7日 Posted in 中野note
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↑このレコードをヘビー・ローテーションしながら書かれたそうです

今日は『少女仮面』の美術打合せをすることができました。
それから、劇中歌の検討をし、伴奏をつくるための依頼を出しました。
公演当日に助っ人に来てもらう受付係をお願いし、
まだ埋まっていない役柄をイメージしながら出演交渉をしました。
こういう具合に、一歩、一歩です。
稽古に備えて、音響で使用する音楽の選定にも入り始めました。
稽古はじめを、チラシの完成とご案内の発送を、
公演初日を目指しながら、執筆当時28〜29歳だった作者を追います。
こうして、徐々に準備を押し上げています。

あ、タップダンスの練習の手配をしないと!

5/6(祝月)皆、紅テントを目指す

2024年5月 6日 Posted in 中野note
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昨日は紅テントに行きました。
たどり着くと、同じような思いを抱えて、
遠く岡山からやってきた人もいて、信じられないという思いを
抱きながら、それぞれに耐えて初日を見守る公演でした。
禿さんや、唐十郎ゼミナール同級生で、今はテレビの世界で活躍する
石井永二くんと語り合いながら、去り難く、新宿を後にしました。

今日は、自分は子守りをして、椎野が紅テントに行きました。
きっと同じようなやり場のない思いで駆けつけた大勢の人たちとの
交流を持てたのだと思います。

家にいて、子どもたちに「何を食べたい?」と訊くと、
「唐揚げ!」とふたりそろって言います。
「唐揚げ」いいな、と思って、近所の中華料理屋で3人で頂きました。

5/5(日)今日は沈黙

2024年5月 5日 Posted in 中野note
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自分が唐さんを大好きなのは、
暮らしとものづくりが一体になっているからです。
カッコつけて創作モードにならずとも、唐さんの往くところ
不思議が起きます。

今朝起きて、
掃除機のスイッチを入れれば、唐さんの掃除の得意なことを思います。
冷蔵庫からヨーグルトドリンクを取り出せば、「人間は腸である!」
と言ってタマネギとともに口にし、腸を健やかにしてやまないのを
思い出します。スーパーの新生姜やアシタバや豚肉にも
絶大に唐十郎がいます。もちろん本日5月5日という端午の節句にも。
銭湯の湯船に投げ込まれる菖蒲の葉にも。

本棚にある様々な本、写真、耳に焼きついたせりふと声。
これをあげる、と言われて受け取った100円均一のボールペンや時計。

唐さんはなんでもないものを黄金に変える錬金術師です。

毎週日曜は本読みワークショップですが、
今日はお休みにして、ただ目を凝らし、耳を傾け、
五感を研ぎ澄ませて唐十郎を感じることにします。
(ご参加予定だった皆さん、ほんとうにごめんさない)

来週以降、倍の力で唐十郎について語り合い、芝居づくりしましょう!

5/4(祝土)健気な野草

2024年5月 4日 Posted in 中野note
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↑エントランスに飾られた巨大な倒木。巨木は倒れれば終わり、
小さな野草の生命力を標榜していこう、というメッセージを受け取る


トリエンナーレに行ってきました。
家から歩いて50分で横浜美術館に着きます。
こうして歩いて行かれるところは休日という感じで贅沢です。

到着しな、ビビりました。
美術館の前にそれはそれはたくさんの入場待ちができていたからです。
と思いきや、それは"スターウォーズの日"を記念して行うイベントへの
行列でした。今日はスターウォーズの日でもあったのです。

それよりは少ないながら、横浜美術館の前にもちゃんと入場待ちの
列が出来ていて、盛況でした。
エントランスののびのびとした展示に始まり、
富山妙子さん、丹羽良徳さんのコーナーなど見応えがありましたが、
全体を貫通する"野草"というテーマには、何かはかないものを
感じました。英語訳して "Wild Grass"というと文字通りワイルドな
感じがしますが、"やそう"という響きのか弱さが影響しているのかも
知れません。

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↑無料で見られるゾーンの充実ぶりよ!

人間存在がいかに健気な抵抗を試みつつ、しかし、
大きな流れのなかに押しつぶされてしまうか弱き存在であるように
感じられました。テーマのもとになった魯迅の『野草』も
パラパラと読んでみましたが、なるほど同様の印象です。

そんななかにあって、先ほど挙げたお二人の作品は
生きているパワーが感じられました。

トリエンナーレといえば、自分が関わった巨大バッタは別にして、
2017年に赤レンガ倉庫でみたクリスチャン・ヤンコフスキーの
『重量級の歴史』が最高だったな、と。また思い出して笑ってしまい
ました。帰りも外は『スターウォーズ』で大賑わい。

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↑"MAY THE 4TH"ということで5/4らしい

5/3(祝金)いつもと違う!

2024年5月 3日 Posted in 中野note
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GWがやってくると、いよいよ唐組春公演の東京初日が
近づいてくるのを実感します。5月初めの土曜は連休に浮かれる
人たちを掻き分け花園神社に行く、これが長年の習慣でした。

ところが、今年は違うんですね・・・

すっかり土曜日だと思ってスケジュールしていましたが、
今年は日曜日が初日で、そうすると日曜夜は本読みWSが恒例、
だから私は二日目の5/6(祝月)に伺うことにしました。
これに気づいたのも、今朝早くに知り合いから紅テントの予約を
頼まれたからで、おかげで助かりました。

そういうボンヤリした連休の始まりです。

今朝は運動がてら久々に黄金町のシネマ・ジャック&ベティに行き
サイレント映画にピアノの即興伴奏を入れて上映するプログラムを
拝見しました。キッズプログラムと謳いながらかなり大人の笑いに
満ちたサイレント映画4本、音を鳴らす参加型企画あり、
映写室のバックステージ・ツアーあり、と、単に映画を観る体験
だけではなくて、映画館の楽しさがいっぱいでした。
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3455/

学生時代にあれだけ行っていた映画館から、ここ数年は足が遠のく
ばかりなので、スクリーンで作品を観られたことに充実しました。
なかなか良い連休の滑り出しでした。

それからは、人に会いに行ったり、あとは原稿書き。

少し遊んで、静かに働く。そういう連休が始まりました。
明日の朝は、ようやく横浜トリエンナーレに行く予定です。

5/2(木)週末は『振袖火事の巻』!

2024年5月 2日 Posted in 中野note
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↑2016年10月の唐ゼミ☆公演@新宿中央公園

今度の日曜日から『腰巻お仙 振袖火事の巻』の本読みWSを始めます。
お申し込みはコチラ→
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html

これで、2月半ばにスタートした『腰巻お仙』シリーズが完結。
『忘却篇』『義理人情いろはにほへと篇』そして『振袖火事の巻』
ということです。第三作の主題は、親を恨んで成長した少女・お仙が
いかに恋愛をするか、ということです。
恋愛の先には結婚があり、その先には出産がある。
とはいかにも古風な図式ですが、親を恨んだ少女自身がやがて親に
なる時が来る、そういう台本を最後にしてこのシリーズは幕を閉じます。

唐十郎29歳の戯曲です。唐さんも父親になりたてで、
期するものがあったに違いありません。

この作品はとにかく初演時のエピソードが絶大で、
新宿西口公園にて機動隊に囲まれて上演した、という演目こそが
この『振袖火事の巻』です。同時に、公演自体がスキャンダラスで
あればあるほど、作品の内実を味わうことが少なかった芝居で
あるともいえます。

私の本読みでは、せっかくなので往事を振り返りながらも、
ほんとうには何が書かれていたのかを追います
唐さんは何を書き込めたのか。

2016年に、私たち唐ゼミ☆は同じ新宿西口公園でこの演目を
上演してもいます。ここでやらねば、どこでやる!
というエンディングのひと言のために、新宿で上演した演目です。
エピソードをまじえて本を深く読み解きながら、
唐ゼミ☆公演の様子もまた、振り返ってみるWSにします。

5/1(水)『少女仮面』の美術

2024年5月 1日 Posted in 中野note
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Joseph Mallord William Turner《Vesuvius in Eruption(1817)》

現在23:00過ぎ。
家の近くの駐車場に辿り着きましたが、
ボタボタ降る雨のために車から出る気になれません。
そこで、これを書き始めました。

今は『少女仮面』の舞台美術について考えています。
舞台となる喫茶店には、唐さんのト書きによればベスビアス火山の
絵画が飾ってある、と指定があります。
ベスビアスとは、あのポンペイを一夜にして廃墟にした火山で
ヴェスヴィオと言ったりもします。

このインスピレーションのもとになったのはおそらく、
英国の画家ターナーの『噴火のヴェスヴィオ(Vesuvius in Eruption)』
1817年の絵画です。

英国滞在中に、ターナーの絵をたくさん見ました。
テイト・ブリテンというイギリスの作家の作品ばかりを集めた
美術館があって、そこにはターナー・コレクションという一角が
設られ、まとめて見ることができたのです。

残念ながら『噴火のヴェスヴィオ』はありませんでしたが
ネットで見ると、唐さんが魅了されたのがよくわかります。

他方、ローレンス・オリヴィエが主演した映画版の『嵐が丘』を
見ると、冒頭はヨークシャの荒野が雪で覆われ、やがて、
主人公の二人が逢い引きをするペニストン岩が切り立った岩山で
あることが明らかになります。

ヴェスヴィオ→ヨークシャの岩山→冬の満州
と、唐さんのインスピレーションがつながっていったのではないかと、
20代後半の作者の頭のなかを想像します。

あ、雨が止んできました。家に帰ります。

4/30(火)どうしようもない人間への讃歌

2024年4月30日 Posted in 中野note
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→カーテンコール中、恒例の望月監督スピーチ

昨日は浅草に行きました。
劇団ドガドガプラスを観るためです。
ドガドガはずいぶんコロナに苦しみ、はたから見ていても
あの時の中止続きは辛く、身につまされるものがありました。

けれど、ここ数年に展開している「セクシー女優事変」シリーズは
絶好調で、ちょうど自分が海外研修を終えた頃に始まって、
ずっと逃さず追いかけられている幸せを感じます。

今回の第三弾「人妻死闘編」はセクシー女優の2世がテーマに
なっていて、2世問題は宗教だけではないという切り口が
さすがは望月さんと思わずにいられません。

セクシー女優の息子が中学生となり、
母親の出ているアダルト映像に興奮してしまうという彼の悩みに
ギリシャ悲劇の『オイディプス王』が重なり、可笑しくも切実な
物語が展開します。そしてまた、オイディプス王と言えば
劇の前段にあるスフィンクスの謎かけが有名ですが、
その謎の答えを通じて、母親出演のAVに反応してしまう自分こそが
「人間なんだ!」と少年が宣言するラストシーンは感動的でした。

ほんとうに、このシーンに自分は目からウロコが落ちました。

というのも、フロイトの「エディプス・コンプレックス」は
人間の罪深さを喝破したものと思ってきましたが、
これが望月さんの手にかかると、なんだかそういう衝動を抱えて
しまう人間への激烈な讃歌に思えるのです。

「コンプレックス」という言葉はネガティブな感じがしますが、
望月さんの繰り出す劇には、ひょっとしたらフロイトは、
ついつい母親とセックスしたくなるオレたちこそが人間なのだ!
それはちっともダメじゃないんだ!だから人間なのだ!
と言いたかったのではないかとすら、思わせる強烈なパンチが
ありました。なかなかのアクロバットにして、本家すらも揺り動かす
説得力に満ちていました。

フロイト=人間の豪の肯定=立川談志という構図すら浮かんでくるのは
東洋館という劇場のなせる技です。

ともかくも、望月さんだから描ける、真率なストレートパンチでした。
全編にわたって、大勢の出演者を望月さんが均等に愛しすぎたために
的が絞りきれないところもありましたが、やはり上演が2時間を
すぎてからの力わざ、ラストシーンには「いいぞ!いいぞ!」と
エールを送らずにいられません。無骨な望月監督の剥き出しの魂を
感じました。

4/27(土)綾瀬に行く

2024年4月27日 Posted in 中野note
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↑フォーを食べたのはロンドン滞在以来でした。The Albanyの
周辺にはベトナム料理屋が2軒あり、主要な麺類としてほんとうに
よく食べていました。向こうでは高かったな・・・


今日は久々に綾瀬市に行きました。
スマートインターができてすっかりアクセスの良くなった綾瀬ですが、
市の中央にあるタウンヒルズに行き、オーエンス文化会館に行くうちに
旧知の方々に多数お目にかかり、偶然の再会も重なってかなり
充実した1日になりました。

帰りは大和のタンハーというベトナム料理屋&食材店に寄り、
食事とコーヒーの買い物をしたりして。

合間に、樺山紘一さんという歴史学者の本を読んで興奮しています。
書かれている内容と文章が同時に自分の興味やセンスに押し寄せてくる。
久々にそういう著作者に出会い、これは連続的に読みまくるだろうと
予感しています。『少女仮面』の準備に支障が出ないように!

自分がもっとも好きな一冊を挙げろと言われたら、
それはヴェルギリウスの『アエネーアス』です。
今日はそれが、カエサルの『ガリア戦記』にどう影響されたか
という発想に、樺山さんの記述を通じて思い至りました。

ヴェルギリウスにとって、伝説上の戦争を描くに参考にしたのは
目前で起きていた同時代の戦争、すなわちカエサルと、
ケルト最後の英雄・ウィルキンゲトリクスによるアリシアの戦い
だったようです。そのことを通じて、ヴェルギリウスをまた一つ
人間として感じられたことは大きなよろこびです。

逃避にならない程度に、読書もします。

4/26(金)川口成彦さんのショパンの一生

2024年4月26日 Posted in 中野note
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↑終演後はちょっとだけお邪魔して失礼した

川口成彦くんのリサイタルを聴いてきた。
彼が3年間レジデント・アーティストを務めてきた紀尾井ホールとの
プログラムの集大成で、それはそれは欲張りなプログラムでした。

内容は、ショパンの一生を追ったもので、
ショパンの先生たち、ポーランドやフランスでの友人たち、弟子たち
という風に、ピアノの詩人を取り巻いた人々の作品を編年体で追いながら
もちろん、ショパン本人の作曲も入る。

傑出した人の一生分を生きて、川口くんが燃焼していった。
それが伝播して、序盤は日頃の雑事が聴く自分にも残っていて散漫だった
けれど、徐々に演奏の世界に導かれていって、最後にはピアノの
音だけになって、完全にショパンと川口くんだけの世界だった。

お世辞にもコンディションが良いとはいえない自分を
ここまで引きずり込むなんて、まったくすごい演奏家だと思う。

同時に、終演後は、3年間をやり遂げた万感がこちらにも
伝わってきて熱くなった。7月の相模湖にも行けたらと思う。
都心の華々しさとは違う世界があの会場にはあって、
川口くんの演奏にも違った趣きでステキに違いない。

4/25(木)夜の公園にて

2024年4月25日 Posted in 中野note
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↑夜の公園にやってきた米澤と私

今日の夜は米澤と落ち合い、お互いにお腹を空かせていたので
ラーメンを食べた後、うちの近くの公園でミーティングを行いました。
昼間は子ども用のままごとテーブルですが、夜は私たちの会議机。

『少女仮面』をどうしていこうか。米澤の事情や希望も聴きながら、
こちらが最近ハマっている『嵐が丘』の話なんかもしました。
面白かったのが、米澤が、車の中で私がかけていたヴィソツキーの
歌声に鋭く反応したことです。

初め小さな音でかけていたのを気にしていたので、
もっとも私が好きな『狼狩り』を爆音でリピートしながら
横浜駅まで米澤を送りしました。同じ歌声に二人で痺れる。
良い時間でした。

もう一つ。今日は劇団として哀しい報せがあり、
それは、金沢在住でずっと唐ゼミ☆を応援してくださったKさんが
亡くなったということでした。

2002年夏に『動物園が消える日』を公演して以来、
ずっとファンでいてくれたKさん。唐十郎ファン同士としても
私たちは大いに盛り上がってきました。

Kさんが見せてくれた蔵書の『犬狼都市』に唐さんがこう署名されて
いたことが忘れられません。「金沢、この小さな中世」
聞けば、状況劇場が金沢で公演した『犬狼都市』を見て以来、
Kさんは唐さんの熱狂的なファンになったのだそうです。

いつも慎ましく、でも唐作品が大好きな気持ちが溢れ出しながら
応援してくださったKさん。ほんとうにありがとうございました。
また、客席のどこかに座られているのだと思って、公演していきます。

4/24(木)『オオカミ狩り』を聴いている

2024年4月24日 Posted in 中野note
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↑ヴィソツキーとマリナ・ブラディ

『少女仮面』の公演準備をしています。
香盤表をつくり、役者に出演依頼をして、稽古スケジュールを組む。
どれも、手間がかかるけれど、ひとつひとつ、これからつくる劇の
輪郭が見えてくる作業です。

舞台美術について考え、劇中に指定されているベスビアス火山の
絵画の元ネタを探り、宣伝美術について考えます。
劇中歌についても、早々に詰めねばなりません。
やること満載だけれど、ひとつひとつゼロから積み上げて
わたしたちの公演は成り立っています。

そんな中で、ちょっと遊びもあります。
例えば、2場にマリナ・ブラディという女優の名前が出てきますが
実在の女優であり大スターだった彼女が選んだ夫こそ、
ソ連体制化で伝説的な抵抗詩人・歌手・俳優だった
ヴラジーミル・ヴィソツキー(Vladimir Vysotsky)でした。

あの独特のしわがれ声、
唐さんはああいう声を"いがらっぽい声"と呼んで
憧れの声のひとつの累計だと言っていたことがあります。
唐さんはつるりとした美声なので、ニュアンスに富んだ、
ある意味では悪声に憧憬を覚えたのだと思います。

反体制であるために1枚のレコード出版も許されず、
けれども、彼の歌をみんなが知っていたヴィソツキー。
代表曲の『オオカミ狩り(La Chasse Aux Loups)』を
ずっと聴いています。身を削って歌うような燃焼が何度聴いても
一回性で、みんなが彼に痺れた理由に共感します。


4/23(火)『オオカミだ!』KAAT公演が終わる

2024年4月23日 Posted in 中野note
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↑すべてを終えて帰宅の途につくケッチさん@羽田空港
今回もありがとうございました!


昨日の本読みWSレポートによりご報告が遅れましたが、
4/18-21に公演した3回の『オオカミだ!』が終わりました。

今回もまた、多くの子どもたちにギャーギャー観劇してもらい、
子どもたちのリアクションを見た大人の方々にゲラゲラ笑ってもらう
ことができました。

一緒に公演した五十嵐あさかさんの『水曜日の夜』、
山﨑薫さんの『はまべのうた』とのショーケースにより、
返す返すもスタッフの皆さんは大変だったはずですが、
ロマンチスト・テツヤが悲願を達成してよろこぶ姿を見て
土曜の夜には賑やかな、すべての苦労を吹き飛ばしたであろう
打ち上げができました。

自分はいつもながら、テツヤさんに空間の使い方と
ケッチさんにはお客さんとの関係をどう上手く運んで
場を牛耳るかを教わって過ごしました。

終演後に食事に行けば感想戦の趣きがあり、
くだらない話の連続の隙間に、幾つもの創作に対するヒントを
発見しました。今はもう『少女仮面』に向けて走り出していますが、
『オオカミだ!』には、これからもまた上演できるだろうという
安心感と希望があります。現在13ステージを終えたところですが、
さらに回数を重ねる時にハッとしたアイディアを閃くところに
芸の面白さがあるのだと、それもまたケッチさんから教わりました。

テツヤからは「セクシー・キッズプログラム『メギツネだ!』
を作るべし」とも言われています。
「ヨルノハテの劇場」はこれからどうなるんだろう!?

観劇してくださった皆様に感謝します。
気にかけてくださった皆様は次の『オオカミだ!』公演で
お目にかかりましょう!

4/20(土)『オオカミだ!』2日目

2024年4月20日 Posted in 中野note
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今日は『オオカミだ!』2日目。14:00からの開演でした。

昨日の『はまべのうた』から一夜あけ、
一昨日からの改善点を活かして、照明エリアの調整が行われている
KAAT大スタジオに11:00に入りました。
それからそれぞれに準備をして、少しだけケッチさんの芸の流れにも
工夫を凝らして、開場、開演を迎えました。

たくさんのお子さんたちが集まってくれて、
彼らのおかげで活力のある劇空間が生まれました。

ケッチさんが即興で観客の反応に応えるところ、
それでいてショー全体がもたつかず次々にシーンを展開していく
スピード感。序盤に披露した基礎的なパントマイムやクラウニングが
『3びきのこぶた』本編に過不足なく結びついて、

これは、去年の2月から、
本多劇場→ザ・スズナリ→青梅第六中学校→母島小学校と
渡り歩いてきたこの演目がひとつの達成を見た手応えがありました。

もちろん、このショーはその場に集まった人たちによって
大きく影響されるように作っているし、KAATのような
ハイスペックな劇場設備があればそれを使うし、何もない
体育館があればそこに適応できるように作った演し物です。

その場その場の本番がありますが、その上で、
ひとつのレベルをクリアできたと思いました。

公演後には、昨日すばらしいパフォーマンスを見せてくれた
山﨑薫さんも加わって座組全体の打ち上げをしました。
五十嵐あさかさんがすでに静岡でふじのくに世界演劇祭出演の
ために不在なのは寂しいけれど、それでも、劇場を打ち出して
仕掛け人であるテツヤさんを囲み、関内バル333で
楽く飲みました

明日が最後のステージです。
9:00入りの11:00開演に備えて自分は帰宅してこれを書いています。
何人かは2次会に行って今も飲んでいるはずです。

当日券も出ますので、見逃さないようにしてください!

4/19(金)『はまべのうた』だった!

2024年4月19日 Posted in 中野note
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↑終演後の薫さんはみんなに引っ張りだこで、ダンサーとしての役割を
終えたゆめさん、ご来場のよし乃さん(青梅と母島での『オオカミだ!』
アシスタント役)、ケッチさんで記念撮影しました。薫さんとの撮影は
次のチャンスを探ります!


今日は「ヨルノハテのショーケース」第3弾『はまべのうた』公演でした。

浦島太郎伝説をもとに岸田國士が映画のために描いたシナリオを
山﨑薫さんの個性を活かしリサイタル形式にして上演するものでした。

自分はこれまで、このような岸田作品があることを知りませんでしたが、
浦島太郎をモチーフにしながら、連綿とつづく人と人との別れを描いた
実に味のある原作だと思いました。

浦島太郎が竜宮城に行ったことで、もともと暮らしていた妻は夫との
別れを体験する。当の太郎もまた、乙姫との贅沢すぎる生活の後に、
残してきた妻を想う。それを察した乙姫は太郎との別れを決意。
地上に還ってきたきた太郎が経験するのは時間の経過による
元の妻との別れであり、新たに得た妻とも睦まじく暮らすが、
やがて自らの老い、相手の若さを悟って諦めたように妻を
手放すことになる。

これまでさんざん別れの原因をつくってきた自分には、
新たな妻を引き留める資格のないことを太郎は知っている。
それ以上に、太郎は、人と人とはいずれ別れてゆくものだ
ということを知り抜いてしまっている。
そういう、無常感のある、苦みばしった作品でした。

しかし、ショーとしてはあくまで甘く仕立てられていて、
人形もあるし、ピアノの豪勢な演奏もあるし、ダンスもあるし、
シンプルだけれどそれぞれの状況を換気する照明・音響・映像の
効果が感興を昂めます。

何より、センターにいる薫さんの歌唱力と演技、
東西から集まった名曲の数々があってバラエティに富み、
ところどころに笑いもあって、目先を変えながら、でもやっぱり
大人だから分かる「別れ」「岐れ」「訣れ」に収斂していくという
演し物でした。いかにも大人っぽい雰囲気だけでなく、
悲嘆の甘やかさ、という風情。
聴衆はみんな酒が飲みたくなったのではないかと思います。

自分は体質的に酒は飲めませんが、そういった意味で
次はノンアルコールドリンクを飲みながら見たい大人の味でした。


終演後は、テツヤ・ケッチ・アツシでビストロに行き、
演出作品を終えて放心するテツヤを激励し、また明日の
『オオカミだ!』の工夫を話し合いました。

ともあれ、すべての出し物が出揃うまでに3作品を支えてきた
スタッフの皆さんは大変だったと思います。お疲れさまでした!

4/18(木)『オオカミだ!』1日目

2024年4月18日 Posted in 中野note
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↑終演後に一息つきながら撮影しました

『オオカミだ!』1回目のステージが終わりました。
朝から灯り合わせをして、16:00からランスルー。
17:30にお弁当を食べて、18:15からお客さんをお迎えしました。

スタッフの皆さんは、午後早い時間には翌日の
『はまべのうた』の照明づくりもあるし、終演後はセットの
飾りかえもあります。それぞれにシンプルな仕込みですが
かなり大変な公演です。

そういう1日を過ごしながら、
2月に母島に行って以来の『オオカミだ!』が幕を明けました。
KAATの大スタジオは、これまででいちばんスペックの高い空間です。
だから、スクリーンや照明も使うし、割と勾配高めの階段席という
構造もあって子どもが騒ぐにはやや危険も伴います。
劇場の案内係さんがよくサポートしてくれました。

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ケッチさんは持ち前の圧倒的な即興対応力をフルに発揮して、
お客さんからのリアクションを拾うこと多めのパフォーマンスでした。
ちょっと上演時間が予定より延びてしまいましたが、
今日には今日の本番があります。

ケッチさんという稀代のパフォーマーの体感のなかで、
あるお客さんに応じて彼らを味方に変えながら、
ほかのお客さんを間延びさせていないか、駆け引きしているのを
観ているのはいつもすごく面白い。そういうすべてを百戦錬磨の
経験と今の直感のなかで判断しながら渡り合っている姿を
自分はいつも感嘆しながら見ています。

ユメさんには持ち前の愛嬌を発揮しつつ(ほんとうに天分だと思う!)、
ケッチさんが考え、感じていることをプラスして大きな演者に
なってくれることを期待しています。みんなに愛されて、
いろいろとチャンスを得て大きくなっていって欲しい。

明日の『はまべのうた』を観客として味わいつつ、
土日の『オオカミだ!』を準備します。まだまだ空席があるので、
お客さん集めもします!もし良かったら来てください!

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4/17(水)ヨルノハテのショーケースがはじまる

2024年4月17日 Posted in 中野note
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↑テツヤさんの野望全開の連続公演がはじまりました!

今日から「ヨルノハテのショーケース」がはじまりました。
今夜はその第1弾、五十嵐あさかさんによる「水曜日の夜」です。

自分は18:00に家に帰って、椎野と子守りを交替しました。
一度、椎野にあさかさんを見せたかったからです。

去年にルーテル市ヶ谷で、あさかさんの自主公演「音みる夜」を
見た時から、これは体験してみなければわからない世界だと思って
きました。だから、せっかく横浜で公演があるこの時に、
椎野に体験しておいてもらいたかった。

米澤や鷲見くんも来ていたそうです。
彼らは普段、あまりクラシック系の演奏会には
行かないだろうけれど、あさかさんは普通のチェリストの枠には
収まらないパフォーマンスを見せる人なので、
きっと良い鑑賞になったに違いありません。

あさかさんのパフォーマンスには、
自分もやりたいことをやれば良いんだ!と強烈に思わせてくれる
ところがありつつ、けれども、決してやりたい放題やっている
わけではない品格があります。現在の表現を獲得するまでに、
これまでどれほどの試行錯誤があったのかも、感じ取れます。
今日も良い舞台だったに違いありません。

自分は子どもたちとワーワー言いながら家で過ごしたので、
今回を観られなかった分は、来月のルーテル市ヶ谷で
今年の「音みる夜」に立ち会うことで取り返したいと思います。

明日はいよいよ自分の番です。
ショーケース第2弾の『オオカミだ!』。
朝から照明合わせ。午後からゲネプロをして
夜19:00からの公演に臨みます。

本番になってしまえば、演出をしている自分でさえも
次に何を仕掛けてくるだろうと観客と一緒にこれから
起こることを楽しみにさせてくれるところがケッチさんの
凄みです。長く、盛りだくさんの一日になりそうです。

4/16(火)『横浜ローザ』を観てきた!

2024年4月16日 Posted in 中野note
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↑終演直後の五大さんの隣にいるのは、中華街でよく行く「馬さんの店」
の馬さん。お二人とも、自分にとってヨコハマの顔です

今日は朝からKAATに集まり、4/17-21「ヨルノハテのショーケース」に
向けた大スタジオでの仕込みが始まりました。

劇場技術課の皆さんとの朝礼をして、テツヤさんが集めたスタッフさん
たちが動き始めます。テツヤさんは『鐵假面』公演を支えてくれたので、
劇団から齋藤と米澤が応援に駆けつけてくれました。

特に齋藤、2013年に『唐版 滝の白糸』を一緒にやって以来、
いまや多くの仕事を経てKAATの仕組みを知り尽くしており、
強い味方です。

自分は楽屋の制作まわりづくりをお手伝いして現場を抜けました。
それから県民ホールで打ち合わせです。

夕方には、津内口と協力して『少女仮面』の制作を進めました。
キャスティングや広報の準備。劇場入りした後のスケジュール想定、
各所への連絡などです。普段は、公私に渡るさまざま用事が押し寄せ
いつも劇団の進行が遅れがちなことが気がかりです。
津内口と頭を突き合わせて作業しているとそれらが次々にクリアされ、
不安が解消されて、7月のことを想像するのが愉しくなります。


そうそう。
午後には椎野も合流して、五大路子さんのライフワークである
『横浜ローザ』千秋楽を観に行きました。初めて観劇して以来、
これは年に一度観たい、立ち会うべきお芝居だと思ってきました。

五大さんの精力的なこと、劇とお客さんに対する突き抜けた誠実さ、
さすがの技術、いつも全力を尽くしきる姿を仰ぎ見ました。

近年は特にシンプルな演出になっていて、
それは究極的に、パイプ椅子2個に集約される世界です。
実際のメリーさんを写した写真のなかでも
特に印象深いものの中に、ビルの廊下にイス2台を並べて休む
メリーさんの姿があり、五大さんのお芝居もこれに始まり、
これに終わります。そのなかに、昭和21年から平成に至る
時代の変遷と横浜ローザの人生がめいっぱいに込められている。

ところどころ力の抜けた笑いもまじえながら、五大さんの
くっきりとしたせりふがこちらの胸に刺さってきます。
そして、最後に再び、ローザはパイプ椅子に還る。

あの、万感迫ってうつむいている姿に、ローザの上演75分と、
メリーさんの生きた何十年という時間が収斂されて、
物言わぬ姿、佇まいが、ことば以上の多くを語りかけてきます。
最後の瞬間、どうしてああいうことが達成できるのか、不思議です。
ライフワークだからこそ可能な、それこそ"境地"なのだと思います。

そして、お芝居の最後ではローザの姿に込み上げて仕方ないけれど、
アフタートークではいつも五大さん自身が元気な姿を見せて観客を
安心させてくれることも、このショーの素晴らしさです。
来年は30周年だそう。よし、来年も観よう!

自分も舞台やるぞ!と思いながら赤レンガ倉庫から強風のなかを
歩きました。明日から『オオカミだ!』を含む「ヨルノハテの
ショーケース」が始まり、その向こうに県民ホールの様々な企画が
あり、7月末に挑む『少女仮面』が見えてきます。

4/15(月)『嵐が丘』にて!

2024年4月15日 Posted in 中野note
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『鐵假面』公演が終わってから、
『少女仮面』に備えて『嵐が丘』を読んでいます。

ヨークシャーの荒野を背景に繰り広げられる過剰な男女の恋愛は
否応なく周囲を不幸にするばかりで、まさに嵐が丘。
小説としても面白いし、何より『少女仮面』に引用された箇所を
特定するためにも、なかなか愉しい読書です。

『少女仮面』の劇中歌を歌うためには
『少女仮面』全体を学び直さなければならない。
『少女仮面』全体を学び直すためには
『少女仮面』の中に出てくる『嵐が丘』のせりふ引用が
どのシーンにあたるのかを突き止め、研究しなければならない。

そういう意味のことばを、状況劇場のプリマだった
李麗仙さんが言ったと、自分はある音楽プロデューサーに
伺ったことがあります。

果たして、『少女仮面』1場終盤で
春日野八千代が演じる『嵐が丘』の場面は、
原作小説では第15章にあたり、キャサリンとヒースクリフが
最後に愛憎をぶつけ合うシーンに由来します。

ただし、自分は2010年に出た新訳で読んでいますので、
当然、唐さんが1968年にこれを書いた時に引いた翻訳とは異なります。
そこで、当時に手に入った翻訳本3パターンをAmazonで注文しました。

かなり古い本なので、3冊求めても送料込みで約1,200円。
懐にやさしい資料集めで助かりました。

数日したら、一冊ずつ届くはずです。目指すは第15章!
どうか三つのうちのどれかに当たりますように。
その向こうに、『少女仮面』のワンシーンが視えてくるはずです。




4/13(土)『オオカミだ!』稽古2日目

2024年4月13日 Posted in 中野note

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『オオカミだ!』の稽古はいつも短期決戦。

今回も4日間で仕上げるので、集中して稽古しています。


稽古2日目にあたる今日は、これまでにつくってきた段取りを

確認しつつ、今回の環境に合わせたやり方に変えていきました。

 

何しろ、初演からたった1年の間に4ヶ所で公演し、

その度にそれぞれの場所に合わせてバージョン・チェンジしてきた

演目です。アシスタントの黒子役も、SATOCOさん、

月岡ゆめさん、よし乃さんと、3人ものパフォーマーが

参加してくれました。今回は2代目のゆめさん。

 

必然、各バージョンの動きの違いは、

それぞれの黒子役の個性を活かすためのものでもあり、

だからこそ、今回の月岡ゆめさんには彼女ならではのやり方がある。

そういう稽古をしています。

 

KAAT公演にあわせ、

今回はテツヤさんがスクリーンを導入してくれました。

新たに加わった音響の大久保友紀さん、

舞台監督の吉成生子(よしなり たかこ)さんが、

こちらがお願いする変更にたちまちに応えてくれます。


そういうなかで、普遍的に『オオカミだ!』を良くする工夫を

盛り込んで、少しずつ少しずつ向上させていかれるところが

いつもの演劇とは違う幸せなところです。


ケッチさんをはじめとして、身ひとつで様々な環境で仕事を

続けながら芸を披露するパフォーマーの皆さんは、そうして

技や演目を磨いていくのだそうです。


何百回と本番を重ねるうちに

「なぜ、これを初めから思いつかなかったんだろう?」

というように、根本的パワーアップを果たすアイディアが

出ることさえあるそうです。


その時も待ちつつ、明日も稽古を続けます。

4/12(金)『オオカミだ!』稽古はじまる

2024年4月12日 Posted in 中野note
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↑手前味噌もありますが、すごく粒揃いの3本だてです!

【ご予約はこちら】

今日から『オオカミだ!』の稽古が始まりました。

全体としてはプロデューサーのテツヤさんが組んだ
3本のショーケースの1本なので、山崎薫さんとの『はまべのうた』、
五十嵐あさかさんのリサイタル『水曜日の夜』もセットにした公演です。

試しに他の2本のリハーサルにも潜入しましたが、
特に、初めてみた山崎薫さんのショーには驚きました。
何か牧歌的な人形劇を想像していたのですが、
まるで高級ホテルのラウンジのような大人の雰囲気です。
思わず「これは看板に偽りありますよ!」と言ってしまいました。
女優である薫さんの歌唱力にすっかり舌を巻き、
良い気持ちになってスタジオを後にしました。

五十嵐あさかさんの実力とユニークさはもともと確信しています。
去年にルーテル市ヶ谷でのシリーズ「音みる夜」を
見に行ってから完全にファンになりました。
既存のチェリストのイメージを抱いていくと完全に裏切られます。

あさかさんはマラカスを振って歌も歌うし、
小さなギターをつま弾きながら日本の古典である『八百屋お七』を
見事に唸ったりします。こういう人は他に見たことありません。
見たことない表現だから宣伝が難しいのですが、
とにかく「自分のセンスにはビンビンくるから見てみてよ!」
といういう他ありません。

3本もやるなんてテツヤさんは欲張りだ!
と内心思ってきましたが、リハーサルを覗いていると、
せっかくKAATを使えるのだから欲張りたくなった訳がよくわかります。

スタッフの皆さんは大変そうですが、
あさかさんの会には薫さん・ケッチさんもゲスト出演で入り乱れるし、
『オオカミだ!』で黒子役の月岡ゆめさんは薫さんのショーでも
活躍するし、自分も企画全体でテツヤさんの野望を押し上げていきます。

長くなったので、『オオカミだ!』のことはまた明日!

4/9(火)『鐵假面』の遺産

2024年4月 9日 Posted in 中野note
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↑ずいぶんお世話になりました。味といい値段といい、傑作です

今日は嵐でした。
こんな日は、公演の時にこんな風でなくてほんとうに良かったと
思います。一方で、このところの暖かさを感じるにつけ、
なぜ『鐵假面』の時に少しは春らしい天候になってくれなかったのかと、
恨みがましくなります。

明日、半月ぶりにメンバーで集まって打ち上げをやります。
その準備をしているせいか、まだまだあの公演が身体に残っていて
現在進行形の天気にも一喜一憂しています。

そんな中でイオンに出かけたところ、
レジの隣に上の写真にあげた黒糖かりんとうが大挙して売っていました。
これもまた、『鐵假面』公演準備の最中にどハマりし、さんざんに
食べ続けてしまった一品でした。

持ち込んだのは、現在も『オオカミだ!』を一緒に作っている
テツヤさんで、私がケータリングコーナーの周辺をゴリラのように
うろつきながら何度もつまんでいる姿を目にすると、
この、イオン-まいばすけっとで売っている128円の品物がいかに
他のかりんとうと比べて圧倒的な旨さを誇り、それでいて安価なのかを
力説してきました。実際にこれは感服せざるを得ない逸品であり、
私はあの寒さを、カロリーの塊であるこの黒糖かりんとうによって
凌いだと言っても過言ではありませんでした。

今日、久々につまんでみて、やはり美味いと思いますし、
やはり袋が尽きるまでやめられません。テツヤさんとイオングループに
恩義を感じざるを得ません。

4/6(土)真鶴・湯河原に行ってきた

2024年4月 6日 Posted in 中野note
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神奈川県の仕事で県内各地を巡るなかで、
かなり面白い地域や地元の人たちに出会ってきました。

2017年にこういった活動を始めた当初は
スタンダップコメディアンの清水宏さんと真鶴に注力し、
去年2023年は湯河原町で、古参の舞踏集団とりふね舞踏舎さんによる
シニア向けダンスワークショップのお手伝いをしました。

そういった縁で、せっかく県西部に行くのだとしたら、
自分一人が車に乗って道中を過ごすのも寂しいし、
何人かで温泉にも入ってみたいので、
津内口、米澤、鷲見くん、うちの子どもら二人を連れ立って
二つの町を訪れました。

上の写真は、真鶴で魚を食べて買い物を済ませ、
その後に湯河原に移動して温泉に入った後、
去年、地元の方に勧められてとりわけ美味しく感じた
みかんジュースを飲んでいるところです。
場所は湯河原惣湯という、町営のカフェ&コワーキングスペース
の軒先のテラスです。

実は、昨日は先週に行った水戸のバッタ展示の予備日でした。
3/30(土)が雨だった場合に備えて4/6(土)をフリーにして
おかなければならない日だったのです。そういったわけで、
休日を持つことができました。道中いろいろな話をしたり、
子どもに振り回され続けたり、寝たりするのも良かった。

帰りに海老名SAに寄るところまで休日をやりきりました。

4/5(土)『オオカミだ!』の台本を書いていた時

2024年4月 5日 Posted in 中野note
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↑10か月ちょっとお世話になったグリニッジの丘の家

『オオカミだ!』の台本を書いていた時、
当時暮らしていたグリニッジの丘の上にあるダイアンという女性の家、
そのセキュリティの強さがすごく参考になりました。

そもそも、ロンドンの治安が悪いので仕方のないことですが、
特にダイアンは警戒心が旺盛で、扉には四つの鍵が付いている。
さらに家中の窓にも二つずつ鍵が付き、常に外敵の襲来に備えている
といった趣きがありました。

実際に、比較的安全なグリニッジでさえ、
1年前に女性が襲われたとか、高級腕時計を身につけていた老紳士が
手首ごと切り落とされて時計を奪われたとか、
物騒な話を聞かされました。

それに、あの壁の厚さ。
ダイアンの住んでいる家のレンガ壁の厚みはゆうに30センチはあり、
夏は涼しく、冬に暖かく、何より堅牢でした。

自分は、この辺りのことを体験しながら、
イギリス民話である『3びきのこぶた』の世界に入っていったのです。
それにひょっとしたら、イングランドという島国に押し寄せる
大陸からの外敵にも、大きくは影響されたかもしれません。
そのあたり、元寇を神風によって退けた日本とは違うかも!
などと思いながら過ごし、台本を書きました。

とはいえ、これは作品にとってすごく中核的な、精神的なことなので
実際の技術的なこと、パントマイムとは何か、その特性を活かす方法に
ついては、テツヤさん&ケッチさんにずいぶん鍛えてもらいました。
夏の昼間にロンドンの公園のベンチに座って、夜の日本とzoom会議
したことを、よく覚えています。

4/4(木)『オオカミだ!』の始まり〜ブライトンにて

2024年4月 4日 Posted in 中野note
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↑2022.5.27 英国のブライトンにて

昨日、『オオカミだ!』KAAT公演について書きました。

今回の演出をどうするか考えながら、そもそも、
この企画の始まりについて振り返ってみると、
テツヤさんの引き合いで元が〜まるちょばのケッチさんと出会った
ことからすべてが始まりました。

自分が2022年5月にロンドンに滞在していた時、
ケッチさんは仕事で、ロンドンの南にある観光地ブライトンの
フリンジ・フェスティバルに来ていました。
現在では、サッカー日本代表の三苫選手の活躍により、
ブライトンという名前は日本でも有名です。

自分は初めて噂に聞いていたブライトンを訪れ、
首都との位置関係からしてなんだか江ノ島みたいなところだなと
思いながらドキドキして歩き、待ち合わせ場所の特設テント前に
ケッチさんを探しました。

ケッチさんは質実で飾り気がなく、何よりクレバーな人でした。
芸と僅かな道具類、ご自身のアイディアで世間を渡ってきた凄みを
感じました。あの時、複数のパフォーマーが入り乱れるショーに
参加したケッチさんの芸も面白かったけれど、それ以上に、
ジュリアという女性芸人のショーをケッチさんが絶賛していたのが
印象的でした。

ケッチさんに勧められ、そのジュリアのショーを観て、
自分も、これはすごく面白いと思った。
そういうセンスの重なるところを確認しあって、
私たちはお互いに協力してやっていけそうだと思ったのです。

『オオカミだ!』の始まりはこんな感じでした。

4/3(水)『オオカミだ!』KAAT公演迫る!

2024年4月 3日 Posted in 中野note

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↑日本大通り沿いに大きなポスター!


気づけば、『オオカミだ!』KAAT公演が2週間後に迫っています。


『鐵假面』の片付けがやっと終わり、

『少女仮面』を急いで仕込んでいるところですが、

これも私の勝負どころです!


思えば、2022にロンドンで構想を練り、

帰国後に横浜で創作して2023.2に本多劇場で初演、

その後、9月にザ・スズナリで再演のあと、

青梅の中学校や小笠原諸島のひとつである母島の小学校でも

公演を重ねてきた『オオカミだ!』です。


KAAT神奈川芸術劇場でも上演できるのがいかに幸せなことか!


下記の日時、料金、座組で挑みます。応援を宜しくお願いします。

 

『オオカミだ!』KAAT神奈川芸術劇場公演

418() 19:00開演

420() 14:00開演

421() 11:00開演


料金(全席自由・税込):一般3,500円 小学生以下1,500

*託児サービスは行っておりません。客席でご一緒にお楽しみください。
*乳幼児で席を使用しない場合は無料


出演:ケッチ(元が~まるちょば)

脚本・演出:中野敦之(劇団唐ゼミ
アシスタント:月岡ゆめ
紙芝居原画:井上リエ
音響協力:平井隆史
企画:岡島哲也(ヨルノハテ)

提携:KAAT神奈川芸術劇場

主催:神奈川演劇連盟/ヨルノハテの劇場

4/2(火)弾丸帰省

2024年4月 2日 Posted in 中野note
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↑実家の近くにある陣屋というお店には藤井聡太さんも来るらしい

水戸のバッタ展示を終えて、瞬間的に名古屋に帰りました。
目的は、先週から一人で私の実家に行っていた息子を回収するため。
横浜の家を出ようとしたところ、娘が羨ましがったので、
彼女も連れて行きました。未就学の彼女は、なんと電車代がタダ。
年度がわりで混み合う新幹線の中でも私の膝の上に乗り、
実家でやりたい放題して過ごしていた息子と合流しました。

24時間に満たない滞在の間に、息子とCDや本を買い、
同じラーメン屋に2度行きました。
名古屋には「好来系」という根菜類でとったダシを押し出した
独特の醤油ラーメンがあり、小学生の頃からこれを食べつけてきた
私にとって、これがノスタルジーな味なのです。
息子もよく食べ、帰りは3人で新幹線に乗って横浜に戻りました。
道中、3人で富士山を眺めました。今年はけっこう富士山を見ています。

↓5歳児にも富士山は有名だそうです
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年度の移り変わりで、駅で見かけた人の中には、
これから大学に進学して一人暮らしを始めようという学生さんも
大勢いたように思います。自分が18歳だった頃を思い出しました。
唐十郎教授への弟子入り前夜です。
コンパクトで、良い帰省でした。

↓この数日で一気に雪解けした感あり。『鐵假面』公演中に高速道路から
見た時は真っ白だった
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3/31(日)角(つの)がたったらしい

2024年3月31日 Posted in 中野note
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↑椿昇さんと室井先生の写真

自分は昨晩のうちに横浜に戻り、
今日は朝から都内に行って二件、用事を捌いたあと、
娘を連れて名古屋に移動して、夜にはオンラインWSを行いました。

その間も、水戸では絶好調の晴天のもとでバッタが展示されており、
上手く膨らんでいる様子がLINEやメッセンジャーで送られてきます。

室井先生は生前、どうしても角(つの)をたてたくて仕方なく、
2009年の開国博Y150の時には躍起になってその方法を探っていました。
実際、あの時は頭の部分に特殊な扇風機を別で入れることで、
かなり自在にたてることができるようになりました。

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↑磯崎新さん設計の塔ごしに

ですが、今度のは、角の部分を軽い素材に変えたことで、
それこそ正真正銘、自然なかたちで角がたったそうです。
こうしてたってみると、長い。もうちょっと短くても良かったんじゃ
ないだろうかと思わなくはないですが、せっかくたったんだから
おめでたいことです。

次の展示予定は定かではありませんが、
またきっと水戸芸術館の皆さんが動いてくださり、市民の皆様にも
展示のノウハウが伝えられていく機会が成ることを願っています。

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↑正面。次は汚れをとりたいもの

3/30(土)水戸のバッタ

2024年3月30日 Posted in 中野note
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↑ボランティアスタッフの皆さんと記念撮影。去年、触覚も新たなものに

昨夜は23:30に水戸のホテル入りし、一夜明けました。
早朝から散歩に出かけ、千波湖に足を伸ばすと、大雨に洗われた後の
絶景でした。ジョギングしている人も多い。
それから豪華朝食を食べて9:00に水戸芸術館へ。

去年の3月、そして夏と2回に渡って展示や修復を行ったノウハウが
蓄積されて、水戸芸の皆さんがスムーズに動き、ボランティアが
たくさん集まりました。大人で、ずっとバッタを大切にしてくれている
方々に加え、高校2年生がたくさん。聞けば、ボランディアに
参加すると受験対策的に有利になるようで、4月からの3年生年次に
向けて準備しているということで、いかにもしっかりもの。

懸念されていた6本の足先のツメ部分の交換は、
ハニカムファクトリーの安元さんの職人的名人芸によって
かなりスムーズに行き、新しくなったブロアー(扇風機)5台の
パワーを結集して15:00頃から膨らませました。

結果、最近ではもっとも良い張りを見せましたが、
いかんせん、全体に生地が緩んでいることが明白で、
今後の修復プランは部分でなく全体に効果的な一手を
検討するところから始めなければならない感じがしました。

ともあれ、土曜日には無理かもと想定していた展示を1時間だけ
とはいえ行うことができました。自分はこの日しかいられなかった
ので、事後を託して横浜に戻りました。渋滞があり、ひとつ都内での
会議を経て24:00過ぎに帰宅。明日の展示も上手くいきますように。

3/29(金)お別れがたくさん、そして初台から水戸へ

2024年3月29日 Posted in 中野note
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↑長かったけど、あっという間でした

今日は午前中、春の嵐の中を保育園に娘を送っていき、
それから県民ホールに短い時間出勤しました。
ここ2週間『鐵假面』に集中していたので、浦島太郎的な感じがあり、
それでいて、年度末であることを痛感しました。

保育園の先生には異動を告げられ、
県民ホールでは退職者の皆さんと一通りお話ししたためです。
例年に比べてかなり多くの人たちが職場を変える年になりました。

それから、午後は初台へ。
新国立劇場で、大野和士さんが指揮する『トリスタンとイゾルデ』を
観ました。言わずと知れたワーグナーの人気演目ですし、千秋楽でも
あったので海外からのお客さんも多く賑わっていました。

この上演は初演も観ており、あれは2011.1.4だったと
強烈に覚えています。結果的に波乱の2011年でしたが、
お正月あけて一つ目の鑑賞がこの楽劇で、燃焼し尽くしたのか、
大野さんがその後に体調を悪くされたことをよく憶えています。
そして、震災の年になってしまった。

以前より、多くのものが見えるようになりました。
『トリスタン〜』というと、主人公二人の盛り上がりに目がいって
いましたが、こうして実際の上演を久々に観ると、二幕で盛り上がる
二人を遠巻きに眺めるイゾルデの侍女はなんだかやり手ババアのような
おかしみもあるし、三幕冒頭、息も絶え絶えのトリスタンを励まそうと
する従僕は、なんだか太鼓持ちのようです。

そういった人間の可笑しみ、転じて哀しみが自分の中に入ってくるように
なりました。二幕終盤で、主人公二人のデート現場に踏み込んだ王が
若い嫁を満足させる肉体を失っていること、二人の密会を告げ口した
臣下がイゾルデに対して横恋慕していたことも気になりました。

当人たちにすれば地獄絵図ですが、側から見ていると面白い人間関係です。
それに、二幕終盤の地味な場面で、トリスタンがいかに愛情に欠落して
育ったのかが切々と語られると、彼がある時は異様に王に忠義立てし、
ある時はイゾルデにゾッコンのめり込んでしまう理由がわかる気がしました。

思わず、尊敬する小池一夫先生の『I・餓男(アイウエオボーイ)』を
思い出してしまいました。そういったことがわかるようになったのが
自分の13年間だと教えてくれた、貴重な公演でした。

さて、それから新宿で晩御飯を食べ、『少女仮面』に必要な
文房具を買い、水戸に殺到して今に至ります。
明日は朝からバッタ。土曜の夜には横浜に戻ります。

3/28(木)公演後の仕事

2024年3月28日 Posted in 中野note
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ひたすら事務作業とお礼参りです。
公演が終わって1週間で年度末になってしまうので、
突貫で経理処理と報告書作成を行なっています。
本来だったらひと月の猶予があるのですが、
今回は一気に仕上げていきます。

大変ですが、各所への支払いや手続きなど迅速に行うとスッキリするし
4月になってみたらやって、あっという間に片付いて、良かったと
思えるはずです。今は眠いですが、もう一息。

それから、お世話になった各所に御礼を伝えてまわっています。
今回、横浜市の皆さんにはとりわけ多くのサポートを頂きました。

文化部門も建築部門も、消防も、
以前は役所と人というともっと怖い感じがしましたが、
時代が変わったのか、自分がおっさんになったからか、
対応が柔らかく親身になってくれる手厚い方々ばかりで
ほんとうに助けられました。時に荒れ放題になる公衆トイレに
かわって、ずっとお手洗いを貸して下さった技能文化会館の皆さんにも
救われました。温かい公園場所でした。

明日の夜は水戸に行き、
週末に室井さんと椿さんのバッタを修復するお手伝いをします。
去年、室井先生が亡くなる直前に水戸芸術館に行ってから、
あっという間に1年が経ってしまったことを実感します。

これからは来月に行う『オオカミだ!』について考え、
7月末の『少女仮面』の準備を急いで行います。

3/27(水)『鐵假面』片付けも終了、残るは経理と報告書

2024年3月27日 Posted in 中野note
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今日は晴天のもと、ハンディラボで片付けをしました。
干せる限りのものを干し、できる限りきれいに畳んで収納。
太陽の力は偉大でみるみる乾いてゆく。

『鐵假面』のために製作したものは廃棄処分に。
ぜんぶで9m3の廃棄物を業者さんが持っていってくれました。

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差し入れをみんなで分けて頂きました。

あの、齋藤が作って劇場入り口に掲げた巨大鉄仮面を気に入り、
ハンディラボの唐ゼミ☆コーナーに飾ることにしました。
それまで飾ってあったジョン・シルバー人形とはお別れし、
この鉄仮面が新たなモニュメントです。

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事務処理はまだ終わっていません。
みんなから領収書をかき集め、支払いを行い、報告書を
躍起になって書いていきます。本当に公演のすべてが終わるまでは
まだもう少しかかります。

3/2(土)トイレの数を数える

2024年3月 2日 Posted in 中野note
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↑私では入ることができない

今日は稽古も作業も休みでした。そこで何をするかといえば、
トイレの数を数え、ポスティングをして回ることです。

あらゆる舞台公演の会場にはトイレが必要で、
その数もまた条例によって決められています。
客席〇〇平米につき1台という風に、観客席の大きさによって
その台数が定められているのです。

この所管は保健所で、このところずっと仮設建築に対する
申請作業を行なっていますが、その次は消防・そして保健所の許可を
得て初めて、公演ができるというわけです。

今回の『鐵假面』を行う関内駅近くの大通り公園には
立派な公衆トイレがあって、公演場所は目の前です。
というか、ここに公衆トイレがあるから、私たちは公演場所を
その前と決めたのです。そのくらいトイレは大事。

で、届け出を出すにあたって便器の数をカウントして提出するのですが、
これがなかなか難しい。というのは、自分は女性用トイレに入ることが
できないからです。かといって夜中に行ってこっそり数えるのも
ますます怪しい。

そこで、今日は椎野と大通り公園に行きました。
椎野ということは休みである子ども二人も連れて行かざるを得ず、
息子と娘を連れて4人で行きました。

そして、男性用トイレには小便器2台、大便器1台、
女性用トイレには大便器2台、プラスみんなのトイレ1台、
などと数えて保健所への書類に書き込むわけです。

せっかく来たので、4人で近隣の皆様へのポスティングも
しました。宣伝ではなく、挨拶回りです。

ガス・水道・電気・道路などの工事の際に、
それを告げる通達がポストに入っていることがありますね。
あれと同じです。3/14(木)から設営をして、3/20(祝水)から
本番、24(日)に公演を終えて片付けして26(火)には去ります、
というのを手紙にして、近隣のマンションなどに配って回りました。
焦点や病院や公共施設は、説明をして回ります。

子ども連れでこんなことをしていると、自分を取り巻く状況の変化に
気付かされますが、皆さんの反応も良く、面白い体験でした。
あと10日ちょっとで現場入りです。

3/1(金)ワダ タワーも美術の腕を振るう!

2024年3月 1日 Posted in 中野note
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私たちの美術製作にワダ タワーさんも助太刀に来てくれています。

今回のセットにはデザイナーの鎌田朋子さんが考えた抽象絵画的な
紋様があって、これは美術の領域です。
こういう時に強力なのが美大出身のワダさんです

ちょうど10年前に一緒に上演した『パノラマ』という芝居で
ワダさんは画工の役を演じましたが、それは実際に彼が美術の心得を
持っているからです。今回もその特技を活かしてパネルに画を描き、
さらに鎌田さんが仕上げにやってくるという手順で仕事を
進めてもらっています。心強く、頼りになる男よ!

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他方、今日も米澤はやってきてせっせと働いています。
昨日は齋藤により、牛丼の名店すき家で2,000円の豪遊をしたそう。
どうやったらすき家でそんな金額にいくのか、ちょっと想像できません。

そのうち自分も資金援助して米澤の栄養状態を高めたいと思っています。

2/29(木)米澤も作業中!

2024年3月 1日 Posted in 中野note
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米澤は今回、役者として『鐵假面』に出演しませんが、
以前として劇団員であり、きちんと作業に来てセットを作っています。

私がロンドンに行っている頃から他の団体に出演したり、
ワークショップによく出ているようで、以前は寡黙一辺倒だったのが
最近はよく喋るようになってきました。

米澤はあんこが大好きなので、お世話になっている方から頂いた
もなかをプレゼントしたところ、今日は二つ食べて美味しかったと
言っていました。というくらい彼は元気です。

米澤は面白い役者なので、彼が出演しないことはファンの方には
申し訳ありませんが、私もまた早く復活して欲しいと思い続けています。

米澤の近況はXで見てください。時々、ポストしているようです。
https://twitter.com/buWnhJMp3mczFVU

間を置いて会うたびにちょっと痩せたなと心配していたら、
今日は齋藤がご馳走していたようです。
やっぱり後輩劇団員が食えていないと心配になります。
なんだか共産主義社会みたいですが、劇団には確かにそういう
相互補助の要素があり、慎ましくてお互いさまの、
なかなか良い関係だと思っています。

2/28(水)みんなで作業中!

2024年2月28日 Posted in 中野note
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三木さんや角田さんが衣裳をつくり


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一歩くんや丸山くんや昼寝くんが鉄仮面の頭頂部を量産し

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さらに昼寝くんが、スプレーで鉄の重厚感を出すのを見るにつけ、


みんなでものづくりをする劇団の良さを感じます。
彼らの姿を見ながら全員で叩き上げた衣裳・美術・小道具を
武器にして、どうやって劇を仕上げていこうかと考えています。

とても良い奴らです。最高のコンディション、役やせりふの体現にして
彼らを送り出そう!



2/27(火)ハンディラボで作業中です

2024年2月27日 Posted in 中野note
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↑演技も著作も大好きな金田龍之介さん

昨日からハンディラボでの作業が始まりました。
大道具・小道具・衣裳・制作作業を一気に進めていきます。
こうなると、仕切りは舞台監督の齋藤です。
それぞれの適正に合った作業を割り振って全体を押し上げています。

私はといえば、みんなが作ったりデザインしてくるものを
ジャッジしながら、建築確認申請にいそしんでいます。
横浜市を相手にこれをするのは2019年以来で、
今回の行き来の中で、市庁舎が新しくなったのをまざまざと
感じています。キレイで良いけど、建物に着いてから
各部署に行くまでエレベーターが混んで10分くらいかかる時もある。
働く市役所員はさぞ大変だろうと思います。

また、今日は帰りにとても良いものを見ました。

横浜の若葉町には牛鍋の名店「太田なわのれん」があります。
さすが文明開化の地であるところの象徴の一つです。
自分はまだ行ったことはありませんが、興味は持っています。

若葉町ウォーフの近くでもあり、よく店の前を通りますが、
今日はこの店舗前に、宴会後のお坊さんたちが大挙して喋り合って
いるのを発見しました。ちゃんと坊主が金色の袈裟を着ている
スタイルで、嬉しそうに喋っていました。

なかなかの生臭感ですが、あまりにあっけらかんとして
かえって明るい気持ちになりました。俗っぽさが突き抜けて健康的です。
伊丹十三映画を思い出しました。『あげまん』の金田龍之介さんは
良かったなあ。素晴らしい俳優でした。



2/24(土)明日は『腰巻お仙 忘却篇』第2回

2024年2月24日 Posted in 中野note
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↑これは自分が学生たちとやった『忘却篇』のチラシ

明日から『鐵假面』の座組がハンディラボに集まって作業をします。
舞台美術を作り、小道具を作り、衣裳を作る作業です。
自分はご案内上で至っていないところなどを送りきり、
3/14(木)より劇場を設営するための許可申請やポスティングの
準備などもしようと思っています。
要はやることがたくさんあります。

一方で明日、日曜日は恒例の本読みWSです。
『腰巻お仙』シリーズを『忘却篇』から読んでいくという企画です。
何せ3本もありますから、初期の台本で短いとはいえ、
週に一回やって4ヶ月くらいはかかります。

1作目『忘却篇』は戸山ハイツで公演して警察沙汰、
2作目『義理人情いろはにほへと篇』は初めて紅テントをたてた公演、
3作目『振袖火事の巻』は機動隊に囲まれた新宿西口中央公園事件

とエピソード満載の公演ですから、自然と心が浮き立ちます。
『鐵假面』公演の合間にやっても気分転換になるし、
何より参加者の皆さんの様子を見ていると、初参加の方が何人か
いるのも含めて、期待感が高いように思います。

アンダーグラウンド演劇、として唐さんを唐十郎にしていった演目
と捉えられているのかもしれません。
『鐵假面』の準備の合間に、良い気分転換になっています。

お申し込みはコチラ→
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html

2/23(金)この数日でやりたいこと

2024年2月23日 Posted in 中野note
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↑津内口と麻子の声はよく出ており、安心。が、油断せずいく!

稽古がひと段落して、よく寝ました。
1月下旬に声が枯れ、騙し騙しやってきましたが、
ここらでピッカピカに治したいからです。声が出ないと力が出ない。

けれども、良かったこともあって、
それは、喉を痛めてしまった役者の情けなさがよくわかったことです。
本番の日の朝に不調を感じつつ公演に向かう時の悲壮感も想像が
できます。公演まで1ヶ月を切りました。コロナやインフルエンザは
もちろん、喉を無傷で初日に向かわせることが自分の務めです。

2/25(日)からは集合が再開して、
今度はハンディラボでの道具作りが始まります。
作業が苦手な自分にもできる仕事を齋藤がアレンジしてくれ、
大事な仮面づくりを行おうと思っています。
例え本番中に不具合があっても凌げるよう、予備だって作りたい。
タイトルロールですから。文字通り鉄仮面が主役の芝居です。
そのことを先日の全幕通し稽古でも痛感しました。
個性的な役柄が多いけれど、鉄仮面が主役!

ここから数日かけてやりたいことがあります。

『鐵假面』について、台本を新しくして音響用のものを仕立てる。
案内を送りきれていないお客様に封書をつくる。
仮面を作り、みんなの作業を見守りながら進めたい作業です。
大通り公園の近隣の皆さんへの手紙づくりとポスティングも
大事な作業です。最低でも迷惑をかけないように、できれば、
劇団の味方になってもらい、興味を持ってもらえるように。

それから、『少女仮面』の準備もしたいと考えています。
気づけば、『少女仮面』公演が5ヶ月後に迫っているのです。
せっかく劇場でやりますから、いろんなところに持ち運べる
私たちの財産を築きたい。こういうところにも、『オオカミだ!』
の経験が生きています。面白いのは最低限。フットワークの軽さも
心がけて、レパートリ化も狙っていきます。

そうそう。『オオカミだ!』の4月KAAT公演もある!

2/22(木)伏見行介×唐ゼミ☆写真展 横浜篇がスタート!

2024年2月22日 Posted in 中野note
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↑前回と同じ63点をぎっちり詰め込みました!@ギャラリー写蔵

自分でもビビっています。
四谷で写真展をしてくださった伏見行介さんが
元キャパ編集長の石田立雄さんと急速に話をまとめ、
横浜 大桟橋の近くにあるシルクセンターのギャラリーに
呼び出されたのが先週のこと。
そこから数日で、唐ゼミ☆写真展を再びやることになったのです。

この写真展は、実はもう始まっています。
シルクセンターのギャラリー写蔵にて2/22(木)〜25(日)まで開催。
その後、『鐵假面』公演に合わせ3/18(月)〜24(日)にも実施します。
回廊時間は11:00-18:00です。

伏見さんの会社のブログ
https://mashtokyo.exblog.jp/33690755/

思いつきから打合せ、新たにパネルなどの製作、
展示のための飾り付け作業までのスピード感について
伏見さんと石田さんのスピード感にはほんとうに驚きました。

自分もけっこうせっかちなのですが、
お二人の速さは只事でありませんでした。
しかも、その物腰にはぜんぜん力みが無いのです。

楽しい驚きです。
フッと思いついてパッとやってみせる。
用意周到な計画性も良いですが、まるで学生時代のような勢いに
最近の世の中に廃れがちな積極的ないい加減さを感じました。
まさしくインプロ。『鐵假面』もいや増しに盛り上がります。

2/21(水)なんとか全幕通す!

2024年2月21日 Posted in 中野note
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↑座組のマスコットとなっている鷲見武くんの熱演風景
10年以上の付き合いの中で、ほんとうに面白い役者になった


『鐵假面』なんとか全幕を通しました。
体調不良で一人欠席でしたが、他はフルメンバーです。
今週から加わった宇野雷蔵くん、昨日から加わった角田奈美さんも
加わり、初めて全体をつなげていきました。

今日のタイムでは、休憩込み118分です。
2時間以内に収めようという目標は達成されましたが、
質を高めて3分絞りたいところです。

全体を俯瞰して見ると、この『鐵假面』は実にメリハリの効いた
芝居です。真ん中にいる4〜5人の登場人物が、キャラ立ちの良い
他の人物をゲスト的に迎えては、個人技の応酬を受けていく。
そういうスタイルが実にハッキリしています。

ですから、やはりシーン毎に出てくるワンポイントの
人物たちをいかに面白く仕立てるかが勝負であり、
それを担う役者たちと一役一役、工夫を凝らすのはたのしい作業です。
もちろん、体調にも気を配ります。

ここ2週間はかなり根を詰めましたが、
明日から少し休み、日曜からハンディラボでの作業が始まります。
しばらくセットと衣裳、小道具づくりに邁進し、
再び稽古を立ち上げるのは3/4です。

本番約1ヶ月前に通し稽古が成立するのは私たち独特ですが、
作業をしていたらあっという間に時間は過ぎています。
最近は声が枯れ気味なので、ここで一気に治そうとも思います。

2/9(金)オルガン&バレエ公演の合間に

2024年2月 9日 Posted in 中野note
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今日は〈オルガンavecバレエ〉公演のゲネプロでした。
順調に上手くいっています。何度観てもとても豪華な公演で
明日の一回で終わってしまうのがつくづくもったいない公演です。

演奏される曲はバロックからコンテンポラリーまで多彩で、
すごく愉しめます。しばらく耳に焼きついて離れないでしょう。

一方、行き帰りには日本のSF音楽CDを聴いています。
『ゴジラ』で有名な伊福部昭を筆頭に、昭和の時代には
さまざまな怪奇映画がつくられ、日本の現代音楽家たちが
この分野で腕を振るい、しのぎを削ったことが伺われます。

これらを聴くのは、単に愉しみのためでもあり、
『鐵假面』の劇中にかける音楽を探すためでもあります。
以前はメロディアスな曲が好きだったのですが、
ノイジーで、少し聴いただけではメロディのパターンが
読めない曲がだんだん好きになってきました。

こういった曲が劇にハマると、一段上の魅力を発揮することに
気づいたからです。そういうわけで、音楽漬けの日々です。

いつも各地を移動しながら細かな時間割りで生活しています。
家と劇場を行き来するだけだと負担が少ないし、物事をじっくり
考えられます。事務作業もずいぶん進みました。

明日でひと段落するまで、もう一息です。

2/8(木)昨日からオルガンのことを考えています

2024年2月 8日 Posted in 中野note
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↑県民ホールの同僚がよろこんでくれた舞台写真


一昨日で稽古を一旦切り上げ、昨日からはオルガンのことを考えています。

今週末2/10(土)に神奈川県民ホールの小ホールで行う
〈オルガン avec バレエ〉公演を担当しているので、仕込みをし、
リハーサルをし、本番へと向かっているというわけです。
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/avec_2023

目の前でバッハやメンデルスゾーンの曲がパイプオルガンで
演奏され、ステージで研ぎ澄まされたバレエダンサーたちが舞っている
のを見ていると、前日まで乞食たちのファッションショーを
必死になってつくっていたのとギャップがありすぎて
笑ってしまいます。異世界に紛れ込んだような。

いや、どう考えても普段の唐ゼミ☆の方が異世界だよなあ。
そう思わずにはいられません。実際に、一緒に働いている
クラシック音楽畑の仲間に、来月にオレは12日間、公演のテントで
寝泊まりするんだよね、と言ったら、???マークがいっぱいでした。
仕方がないので、伏見さんの写真展で展示したフォトデータを
見せると、「なんか楽しそうですね」と言われたりして。

そんな具合に異文化交流を2/10までして、
2/11からはもとの世界にズブズブと帰っていきます。
そう。2/11は、唐さんの84回目のお誕生日です!

2/7(水)メガネよ、今までありがとう

2024年2月 7日 Posted in 中野note
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昨夜、『鐵假面』の1幕を初めて通しました。
皆が動き回り、キャラクターが立つようにつくってきましたが、
通して48分、上手くいったところもいかないところも孕みながら
新しい『鐵假面』をやりました。

みんなの運動量を増して攻め抜くやり方は成功していました。
なかなかの変人ショーで、気に入っています。
他方、リアリズム的な詰めがぜんぜん追いついていないので、
ひとりひとり、居残り稽古を重ねることで、全体に重厚な芝居に
なるよう底上げを図る必要を感じました。
早速、通し稽古の後は、昼寝くんが残って2時間ほど稽古しました。

しかし、あんまりせりふのやり取りを徹底しすぎると、
なんだかチマチマした会話劇になってしまうし、役柄は底抜けに
明るく、くだらなく、みんながみんな異様な偏執狂でもあるので、
稽古を始めて以来、一緒になって追求しているスケール感と
独自色を押し出し続けて行きたいと思っています。

基本的すぎることですが、断然みんなが個を持っているわけですから
それを押し出さないと。

そうこう思いながら次の稽古を思い描いて気分よく過ごしていたら、
ドアにぶつかった拍子にメガネが壊れました。
これはここ5年以上、レンズを一年に一度ずつ交換しながら気に入って
使ってきたフレームです。店員さんには3年ほど前から、
「そろそろ老朽化ですよ」と言われてきましたが、鼻あての金具が
ポキンと折れて、お別れすることになりました。

ずっと好きで使ってきたけれど、充分に頑張ってくれたので
惜しくはありません。また新しいフェーズに入るのだと、
そういう感じがします。

ロンドンで壊れた時用に用意してあったスペアが2本あって、
新たにそのうちの1本をかけ始めました。また新しい視点で、
いろんな角度から登場人物を解放していきたい。稽古の時間を
たっぷり確保して、徐々に徐々にやるつもりです。

2/5(月)杉田劇場に溢れたカオスの心地よさよ

2024年2月 5日 Posted in 中野note
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↑ピアノの傍でベストを着て立っているのが山下洋輔さん。その演奏で
みんなが舞台に上がり、踊りました

昨夜は本読みワークショップでした。
それで、いつもなら今日はレポートの日なのですが、
昨日のお昼から夕方の体験が強烈だったので、
先にこちらを書きます。

横浜市磯子区の杉田劇場は私が特に親しくしているホールのひとつです。

ここには、中村牧さんという名物館長がいて、
地域貢献をよくし、シニアやお子さんや障がいを持つ人にも優しい
劇場とはどんなところかを常に実践しています。

自分が5年ほど前から関わっている
ドリームエナジープロジェクトの主な発表の場としても、
杉田劇場はいつも支えになってださっています。

昨日はこの杉田劇場で、「ニコニコ冬まつりライブ」という
イベントが行われました。平和なネーミングの催しですが、
なかなか侮れないどころか、異様な盛り上がりでした。

土日で2日連続で行われたライブ、日曜はダンス編ということで、
山海塾の一員でもある松岡大さんが小田原で展開してする
スクランブル・ダンスプロジェクト、肉態表現家の戸松美貴博さんと
ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんによる肉態即興DUOが出演。

その間に、自分の参加するドリプロが出演し、
AYAKO先生の新作パフォーマンス『2月のおもい 2月のきおく』を
発表し、自分も出演してきました。

終盤の大団円は特にすさまじく、戸松さんの煽りで会場は総立ち、
誰も彼もがステージに上がりたい放題で、山下洋輔さんのピアノに
乗せられて全員が踊り狂うというカオスに突入しました。

最近の体調不良が嘘のように吹き飛んでしまう威力がありました。
久々に自由の風が会場内に充満するのを感じました。

胸のすくような思いをして、本読みWS目掛けて会場を後にしましたが、
かつて『ジョン・シルバー』や『腰巻お仙 義理人情』唐さんと共演した
山下洋輔さんに接することができたのは大きな収穫でした。

そして、やはりそれ以上に、最後にあらわれた狂騒の10分間は
今思い出しても稀有な体験でした。

1/31(水)写真展の終わり

2024年1月31日 Posted in 中野note
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↑建物一階に設置したこの案内も、丸めて持って帰ってきました

今日は写真展の最終日でした。
朝からの登板は津内口にお願いして、自分は横浜での仕事を片付けてから
四谷に向かい、12:30に到着して訪ねてきてくださる方を待ちました。

最後に駆け込みで来るよ、と言っていた伏見さんの言葉通り、
多くの皆さんが訪れてくれました。熊野とちろさんが来てくれた。
一緒につくった舞台の記録がいくらもあります。

他にも、その時々で舞台を見てくださっていたお客さんを
お迎えできて、被写体になっている芝居や場面、キャラクターへの
愛着を伺うことができました。普段、公演で会う時には
こちらは緊張しています。今回は写真のパワーのおかげで、
安心して話を聞くことができました。

15:00になると片付けを始めて、
これが実にスピーディーに、30分ほどで終わってしまって、
当たり前ですが公演の片付けとはずいぶん違うものだと思いました。

伏見さんの発案もあり、今回せっかく作ってくださった
写真のパネルは大事に受け取って帰り、保管することにしました。
劇団の大きな財産です。全てが並ばないまでも、
またご披露する機会をつくりたいと思っています。

1/30(火)写真展6日目&『鐵假面』立ち稽古3日目

2024年1月30日 Posted in 中野note
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↑松本くんは筋肉量が多く、すぐに大汗かいて半袖で動き回っていま

写真展、今日は米澤が登板の予定でしたが、
米澤が風邪をひいてしまって失礼をしました。
横浜で稽古があり、他の唐ゼミ☆メンバーはこちらに注力、
ギャラリー番は伏見さんに任せきりになってしまいました。

今日も新たな登場人物がやってきて、次々とシーンが展開していきます。
顔見世の1幕という効果が如実に出ているので、キャラクターを
立てることに試行錯誤しています。
登場してすぐに強く印象付けたいところ。
公園課職員役の松本一歩くんが登場し、
味の素の若手エリート社員役のヒガシナオキも立ち稽古の出番が
やってきました。
衣裳も考えています。ヒガシは味の素社員なので、
赤と白を基調につくろうかと思いますが、もちろんモデルはこれです。
今は可愛らしいパンダのデザインの容器に入っている味の素ですが、
昔のボトルは今や貴重品なんだそうです。
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1/29(月)写真展5日目&『鐵假面』立ち稽古

2024年1月29日 Posted in 中野note
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↑初演時に流行っていた萬屋錦之介版のドラマ『子連れ狼』に唐さんが
インスパイアされて、現在は鷲見武くんが演じている「中年男」という
キャラクターが生まれました


今日は写真展5日目。

きっと何人かのお客様がお越しになってくださっていると思いますが、
私たちがギャラリーの番を伏見さんにお任せして、
『鐵假面』の立ち稽古を若葉町WHRAFでやっています。

昨日のギャラリートークをしたことで、
今度の公演に期待してくださっている方々の表情を実際に見ることが
できました。浅草で公演してからの2年はイギリス滞在期間も相まって
特別な時間だったことに違いありませんが、自分にとっては、
ずっと続けてきた劇団活動が分断されてしまった時間でも
ありました。勝手をやっているのは自分なのですが、
一つ一つ、糸を結び直している、そういう感じがします。

立ち稽古はまだまだ序盤です。
物語の基礎である稲妻姉妹とタタミ屋の関係ができ始め、
乞食の群れはにぎやかにやっています。

紙芝居屋と中年男は苦労をしていますが、
それも、日常とはかけ離れた、現在の私たちでは想像しにくい
キャラクターを手に入れるために手続きととらえています。

両役を任せた佐藤昼寝くんと鷲見武くんとは時間を尽くし、
一緒になって確信を得た役柄と所作とせりふを獲得していくつもりです。
かたやハンディラボでは、齋藤が一人で作業を続けています。

一回、座組のみんなでお食事会をして、温かいものを食べたい。
そんな気持ちがもたげています。1幕稽古中に。どこかで!

1/28(日)写真展4日目! ギャラリートークの日

2024年1月28日 Posted in 中野note
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今日は写真展が4日目で、ギャラリートークを2回行いました。
それに合わせて来てくださった、伏見さんの仲間の皆様、
劇団のファンの皆様、元唐ゼミ☆メンバーや座組のみんなと
同窓会のようになって、ありがたい時間でした。

14:00の回は伏見さん&椎野と2009-2017年までについて
演目を追いながら話し、16:00の回は伏見さん&津内口&麻子と
2018-2021年の話をしました。

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前半は編年体で劇団の基礎情報や唐さんの話を交えてしましたが、
後半は、2018年頃から舞台写真だけでなく公演準備の撮影しに
来てくださるようになった伏見さんのスタイルの変化に合わせて、
ひとつの公演に関わるドキュメント的な話をしました。

津内口や麻子は、本番中もずっとそういう公演回りを整えながら
舞台に出入りして、唐ゼミ☆の舞台を担って来ました。
そういう彼女らが今度は『鐵假面』で主役をやろうとしている。
主役になれば舞台での居方が変わるので、その大きな第一歩に
なったのが昨日であったとも実感しました。

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それから、カメラ技術や性能的に、
テント演劇の乏しい照明や、小さな空間ですばしこく動き回る
役者たちを捉えるのがいかに難しいか、という話もたくさん
伏見さんから伺いました。

写真に写る舞台は、実際の舞台を超えた写真の中の舞台だと
自分は思って、実際にその通りになっています。
伏見さんは広告写真家なので、作家としてのご自身を出さない
ところに凄みがありますが、私たちにとってはクリエーターであり、
私たちに自分自身が何をしているか見せてくださったのだと
改めて良くわかりました。感謝です。

残すところ3日間。
1/29(月)10:00-18:00
1/30(火)10:00-18:00
1/31(水)10:00-15:00 までやっています!

1/25(木)写真展1日目

2024年1月25日 Posted in 中野note
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↑セブンイレブンを目印に5階に上がるとポートレートギャラリーです

今日は写真展初日でした。
早く起きてしまったので8:00には家を出て、
横浜から新宿三丁目まで電車、そこから歩いて四ツ谷を目指しました。
朝の都内を歩くことがは滅多になく、そう遠くないことがわかりました。

到着して伏見さんと落ち合うと、
スライドショーを仕込んだモニターを付け、
カバンの中にあったフルートのCDをかけてBGMにしました。

目下、『鐵假面』に使っている曲が入っているもので、
ピッタリきました。格調高い感じです。

10:00を過ぎると、
本読みワークショップの常連メンバーや、
学生時代から劇団を応援してくださってきた方、
室井先生のお友だち、出演して写真の被写体になってくれた
パフォーマーのご親族が来てくれました。

伏見さんのお客様として、
カメラや写真の業界の方々とお話しできたのも愉しい経験です。
久しぶりに腰を据えて一つ所で一日を過ごしました。

最後には、Project Nyxの稽古を終えた禿恵が来てくれました。
久々に食事をし、横浜まで一緒に引き上げました。
これはもちろん、彼女の写真展でもあります。
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1/24(水)写真展の準備 整う!

2024年1月24日 Posted in 中野note
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四谷ポートレートギャラリーにやってきました。
夕方から作業開始、伏見さんと進めてきた準備が目の前で次々に
結実し、ようやく実感が湧いてきました。

展示プロパーの皆さんがやってきて、
蛍光色の糸で水平を取り、巧みに釘を打ちつけて写真を壁にかけてゆく
作業はそれは美しいものでした。そこにキャプションが付く。

キャプションは、今週末の土曜日に小田原で安藤洋子さんと
神奈川県のシニアの皆さんによるダンス公演のプロデュースを
している津内口が、夜を徹して仕立ててくれたものでした。
これがピタリとハマる。ギャラリーの方に、ピンではなく、
マジックテープで壁に貼り付けるやり方を教わって、
いちいち感心。

そして、展示順の最終形に合わせて、
椎野が家で当日に配る刷りものを仕上げてくれました。
横浜に戻ってきて、現在は印刷を待ちながらこれを書いています。

現在の自分にとって、とてつもなく贅沢な時間です。
伏見さんが天使に見える。そして、一緒に舞台をつくってきた
メンバーに想いを馳せる時間でもあります。

当番の日は、お客さんとお話ししながら、
誰もいない時間に『鐵假面』の音響プランをつくろうと思います。
そういうもの全てをひっくるめて、これが伏見さんから授かった
足を止めて考える時間だと受け止めています。

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特に年明けから、
これまで関わってくれたメンバーに椎野から許可どりの連絡をして、
その報告を聞くのは楽しい時間でした。唐ゼミ☆の舞台に立ってきた
みんながどんな風にしているか、久しぶりに聞くことができて、
それも大きな収穫です。

いよいよ明日からです。ふらりと来てください!

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1/23(火)『鐵假面』〜立ち稽古をはじめました

2024年1月23日 Posted in 中野note
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私たちの新しい『鐵假面』のために、昨日から立ち稽古を始めています

会場は横浜、若葉町WHARF2階の稽古場。
唐さんの盟友である佐藤信さんがオーナーのアートセンターです。
管理人の須賀さんは自ら世人(せじん)というカンパニーを主催されて
いる方であり、だからこそ、この空間には絶大な安心感があります。

広い半野外ステージのスペースは取れませんが、
それでも、齋藤が工夫して間取りを考え、床にテープを貼りながら
役者たちに今回のセットプランを説明。稽古に入りました。

冒頭に音楽をかけます。
ロンドンでハマったジャズやレゲエが唐作品に合うかどうか、
実験しながら劇に入っていきます。サトウユウスケさんが新たに
作り直してくださった劇中歌の大合唱の伴奏も、みんなが歌いやすいか
初めの音を取りやすいか、検証しながら稽古をします。

何より、実際の野外空間を想定しながら、
どんな動きが想定されるのか、伝えながらのびのび動いて欲しいことを
伝えます。今までより格段に広い舞台を走り回っていこうぜ。
そう伝えています。今回の劇はアスレチック・プログラムだ。
そういう言い方もします。

冒頭から大汗かきながらみんなが演じて、大笑いしました。
さっきまで「寒いねえ」などと言っていたのに、すぐに暑がるように
なり、スタジオの窓は結露せんばかり。

コロナもあったし、海外にいて稽古をしていなかった期間も
たくさんありました。ホームに帰ってきた実感でいっぱいです。
幸先の良い稽古でした。

みんなの様子をよく観察しながら、全員で押し上げていきます。

1/19(金)車にも休暇を

2024年1月19日 Posted in 中野note
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↑1台目はシルバーのラフェスタでしたが、フリードは白。
一番傷が目立ちにくいのが白だということで

今日は朝から横須賀に行き、午後に品川、夜に初台に行きました。

いつもは車で動きますが、駐車場代もかかるし、
何より車を休ませたいので電車で移動することにしました。

車を気遣うということを、私は初めて買った10年落ちの
日産ラフェスタから教わりました。中古であるとはいえ、
購入時に1万キロ強しか走っていなかった彼は、
それはそれは自分に献身してくれました。

4年間で13.5万キロを走り、修理に修理を重ねながらも
『唐版 風の又三郎』浅草公演の仕込み中にどうしようもなく止まって
しまい、廃車にするしかないとわかった時には、涙が出ました。 
それほどに、苦楽をともにした仲だったのです。

それから自分を省みました。
自分はハードに車を動かすことで、悦に入っていたのではないか。
もっと優しく乗って、彼を長持ちさせることはできなかったのか。

いま乗っているホンダ フリードは、自分の車としては2台目です。
ロンドンから帰ってきた時に、奮発してハイブリットの新車を購入した
ものです。戦争は止む気配なく、これからガソリンが高騰すると
見込んでのことです。

1年経ってみて、やはり3万キロ弱走ってしまっています。

乗り始めて21.4km/1Lだった燃費が、徐々に落ちてきているような
気もする。そこで、人間にとっての休肝日のように、できるだけ
彼を休ませたいと思いが募っています。

幸い、1時は21.0km/1Lまで落ちた燃費も21.2km/1Lまで回復しました。
しかしこれは、高速道路に多く乗っているということでもあるので、
要注意ではありますが。


唐さんは昔、新品真っ白のズボンを大事にするあまり、
結局、一度もはかずに終わってしまったことがあったそうです。
自分と車の関係はさすがにそこまではいきませんが、
モノを偏愛し、モノが人格化してこそ、唐作品に取り組む資格が
あるということです。

初台でこれを書いています。
アイツが今ごろ、駐車場でよく休んでくれているといいなあ。

1/16(火)写真展準備と鉄仮面製作と稽古

2024年1月16日 Posted in 中野note
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↑こんな風に実際に試作品を被ってみながらフォルムや質感を調整
何より表情が重要です。装着する役者の身体のサイズによっても
適切な大きさが違う。そのへんを丁寧にやっています


今日は午前中からお昼過ぎにかけて県民ホールの仕事をして、
14:00にはハンディラボに到着、タイトルに掲げた作業に没頭しました。

写真家の伏見さんとzoom会議をしながら、
1/25(水)オープンの写真展に間に合うよう、
残りの作業を割り出しはコツコツと完成させていきます。

一方、工房スペースでは齋藤がオリジナル鉄仮面の
製作に当たっています。プロトタイプを作りながら、
意見を出し合いながらフィッティングをするのは楽しい。
けれども作業量は膨大です。

2007年に上演したときからずいぶん時間が経つ中で、
素材選びも工法も、だいぶ進化したことを思わずにはいられません。

何より、造形に託すコンセプトを確認しながら、それをより
叶える方法がないか、ビジュアル的にしっくりくるか、
検証しながら試行錯誤しています。

初号ができたら量産体制に入りますが、
鉄仮面はタイトルロールですから、まさに最重要アイテムです。
ズラリと並んだ時に思いを馳せながら作っています。

そして夕方からは稽古。
昼間の予定を終えたメンバーが集まってきて、
暖房を入れながら、それでいて乾燥しすぎないように本を読みます
あと一回、本読みを終えたら、キャスティングを全て決め、
1月下旬から立ち稽古に入ります。

↓本読みの様子に耳をそば立てながら作業する齋藤。工房は寒く、
足元にはヒーターを入れています
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1/12(金)ハンディラボ大掃除と美術打合せ

2024年1月12日 Posted in 中野note
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↑キッチンや洗面所周りを入念に掃除、ブリーチとハイターの応酬で
消毒くさい。『吸血姫』の看護婦長のせりふを思い出しました


今日は朝からハンディラボの大掃除。
唐ゼミ☆からは、林麻子と椎野と私の3人で繰り出しました。

そのそも、私たちの拠点であるハンディラボとは、
横浜市鶴見区にある倉庫のことです。
この中には、事務・作業・資材置きができるスペースがあり、
この場をハンディ・ハウス・プロジェクトという建築家集団が
管理に当たっています。

彼らは実に気持ちの良い人たちで、すごくカッコいい集団です。
メンバーの皆さんはいずれも自立した建築家やデザイナーさんたち
ですが、ハンディ・ハウス・プロジェクトとして、
施主も一緒に手を動かして作る家づくり・お店づくりを中心に、
オフィスカーや海の家、廃材を活用したオブジェづくりまで、
その活動はユニークかつ多岐に渡ります。

今日は久々にハンディ・メンバーが揃っているのに接して
少しおしゃべりしたりしながら、一緒に大掃除をしました。
唐ゼミ☆メンバーは事務スペースやお勝手周りを掃除して
実にスッキリしました。

その後は横浜市役所に行き、公園利用の許可証をもらい、
それから建築指導課とのやりとりを開始しました。
仮設建築確認申請。消防署と保健所への届け出。
これらこそ、芝居の準備に並行して自分がこれから闘っていく
なかなかの難題です。しかし、口火は切られたので、
これからガシガシ進めいきます。人間必死になれば、
風が吹いた時の荷重計算や吸排気の計算までできるように
なるのです。

あとは、鎌田朋子さんとの美術打合せ。
公演準備のための環境づくり、各所との手続き、
内容にダイレクトに関わる演技とビジュアルづくり、
これらが勢いよく走り始めています。
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