5/16(木)LP版の『四角いジャングルで唄う』

2024年5月17日 Posted in 中野note
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できる限り唐さんに関するものを集めてきましたが、
もちろん全てを持っているわけではありません。

特に状況劇場のポスターの類などは貴重品です。。
一点、結婚した時にお祝いで『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
沖縄公演のポスターを頂いたので、それだけは大事に持っています。

そんななか、今日、お世話になっているご近所さんに、
所持していなかった逸品を頂きました。
『四角いジャングルで唄う』のLP。

自分の家にレコードを再生する機器はないし、
2021年にライナーノートを書かせてもらって復刊したCDがあるので
内容自体はパソコンやケータイにだって入っているのだけど、
これは嬉しい。やっぱりレコードにはモノとしてのオーラがあります。

さっそく、本棚に飾ることにしました。
大事に保管して、いつか針を落とすことを目標にします。

5/15(水)原因は唐さんのあの歌い方ではないか!

2024年5月15日 Posted in 中野note

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↑このなかで唐さんが楽しく唄っています


『少女仮面』の劇中歌について考えています。

その中でどうも謎めいているのは、

喫茶《肉体》のボーイたちがタップダンスしながら歌う

『あの人にあったら』。


〽あの人にあったら、

そっと云ってほしいの

〝乙女の花が枯れたって

月経帯に千代紙はったって

女が一人うたってたって〟

でも、あのひとはもう来ない、

きっと来やしないのよ

だって、あたしゃ皆既日蝕〽


適齢期の女性にとってかなりキツい歌です。

閉経したのに好きな男に振り向いて欲しくて、

千代紙を貼って生理に見立てるなんて。

なかなか淋しい歌なのです。


問題はふたつあり。

①なぜか楽しげなメロディがついて嬉々として歌う例が多い

②初老の女性をオーナーに頂く店の店員たちがなぜこんな歌を


①はひとえに『四角いジャングルで唄う』で唐さんが

ものすごく楽しげに歌ったことに原因があると思います。

作者が歌うやり方を思わず正当と思い込みがちですが

しかしあれは、あくまでリサイタルですからね。


②の答えは稽古を通じて解決します。

実はもう、こうではないか、というアイディアを思いつきましたが、

稽古しながら検証するつもりです。


という具合に、唐さんが亡くなったショックで

止まっていた時間を動かそうと思います!

5/14(火)告別式でした

2024年5月14日 Posted in 中野note
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唐さんの告別式が終わりました。
お通夜は雨が降りどおしでしたが、今日は爽やかに晴れました。

実に多くの人たちが集まりました。
普段はそれぞれの美学を持ってものをつくり続けている人ばかり、
時には凌ぎを削ることもありますが、誰もが唐さんを好きで、
その影響力や吸引力に惹かれて集まったのです。

唐さんを中心にできた大きな輪でした。
普段は絶対に冠婚葬祭には参加しないと宣言してきた方までもが
出席されているのには胸がつまりましたが、それもまた、
唐十郎という存在の大きさです。

2012年5月に倒れられるまでに唐さんの生活圏にいて、
親しく接していた皆さんにも久々に再会できました。
10年以上が経ってもすぐにお互いがそれとわかって、
嬉しく挨拶することができました。

それぞれのタイミングで散会となりました。
『ジョン・シルバーの唄』がかかった出棺後、火葬後・・・

仕事に向かう人、連れ立って飲みに行く人、さまざまでしたが、
自分は椎野と横浜に帰って子どもたちと合流し、
お世話になった喪服をクリーニングに出したり、食事や掃除をして、
特に写真立てを飾る棚をキレイにして、明日に備えました。

整理はつきませんが、多くの人と接した際に、
自分の知らなかった唐さんのエピソードがあちこちで
噴出したのが面白く、これからの目標を感じます。
これまでへの感謝と、唐十郎に関わることを一つでも多くかき集め、
芝居でも表現したいという衝動が湧き上がってきます。

5/13(月)お通夜でした

2024年5月13日 Posted in 中野note
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↑2011.11.4に行った「21世紀リサイタル」冒頭の唐十郎の肉態!

今日は唐さんのお通夜でした。
こうなると、さすがに唐十郎の強靭な生命力を信じてきた自分も、
まもなくその肉体とのお別れが迫っているのを実感せざるを得ません。
人間のバカバカしさと美しさを惜しげもなく見せつけて、
私を沸かせ、憧れさせてきた唐さんのからだ。

と、同時に、行き帰りの駅のホームでも、
唐さんがかつて熱弁振るっていた教えを思い出します。

曰く。
電車を待つ時は線路ぎわに立ってはならない。
そして、いつなんどきおかしな奴に背中を押されても
線路に落とされることがないよう、両足をひろげて踏ん張って
立っていなければならない。

用心深く細心な唐さん。それでいて、酔って電車に乗り、
大事なお弁当箱を置き去りにしていたのを思い出します。

今日は特に、両足をひろげて踏ん張って立ちます。

5/11(土)超渋滞の2時間

2024年5月12日 Posted in 中野note
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↑映画化された『暗い日曜日』

1日を終えて都内から戻ろうとしたのが22:00手前。
そこから横浜まで帰るのに通常は40分ほどというところです。
ところが、先ほどまで混みに混み、羽田空港周辺の
数キロを進むのに1時間以上かかりました。
痛ましい事故が連続した結果でした。

こんな日もある、と覚悟を決めてからは、
これはもうどうしようもないと腹を括って音楽を聴き始めました。
昨日出たばかりの Jordi Savall の The Four Seasons。
誰もが知る曲を巨匠が初めて録音する意味をまざまざと
感じさせられました。

それから『暗い日曜日』。
『少女仮面』のなかに指定のある曲のひとつですが、
聴いたのはオリジナルのDamiaが歌うものではなく、
この曲をテーマに作られた映画のサウンドトラックでした。

目当ては『暗い日曜日』の様々なアレンジを発見することでしたが、
期せずして、2004年秋に唐組が上演した『眠オルゴール』の
エンディングで響いていた曲が流れ始めて懐かしくなりました。

初日、台風に襲われた西新宿の原っぱで、唐さんが開演あいさつに
立って「眠れ、オルゴール!」と叫んだのをと思い出しました。
あまりの気迫に周りはみんな震えました。

が、あとからよく考えてみると、あの芝居は人を眠らせるオルゴールが
主題であって、肝心のオルゴールが眠っちゃいけないよな、と思った
ものです。あまりの本気が後から可笑しみを帯びてくる、
「唐さんておもしろいなあ」と周囲と言い合ったものです。

5/10(金)知らなかった写真

2024年5月10日 Posted in 中野note
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これは確か、2004年にペーター・ゲスナーさんが代表を務める
うづめ劇場が『夜壺(唐組が2000年春に初演)』を上演した時の
写真です。公演終了後の宴会の風景。ヒロインの歌う劇中歌
『アンクレットの唄』が素晴らしくて、2回観に行ったを憶えています。
室井先生もいます。

唐さんが亡くなってから1週間が経とうとしています。

この間、いろいろな人がいろいろな投稿を行っていて、
それぞれに出会ってきた唐さん、それぞれの人が体験してきた
世界があるものだと感じ入っています。
SNSの世界がありがたく感じられます。

自分が写っているもの、貴重な資料はこっそりダウンロードさせて
もらい、今後に活かしていきます。たくさんの新聞を読みながら、
唐さんの大きさを実感する日々。新しく分かったことも沢山あります。
貴重な資料、情報です。

5/9(木)『化粧論』の情報届く!

2024年5月 9日 Posted in 中野note
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↑このなかに『化粧論』アリ!

昨日に投稿した、ふたつの唐さんのエッセイについての探索依頼。
さっそくに情報が寄せられました。
『化粧論』が『日本列島南下運動の黙示録』に掲載されているとのこと。

唐十郎といえば新宿花園神社での紅テント興行ですが。
初期においてこの会場での活動期間は長くありません。
1967年に『月笛お仙=(腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇)』で
初めての紅テント公演を行い、その後は『アリババ』『由比正雪』を
上演しますが、すぐに新宿という街全体の風紀取り締まりの
機運が高まり、花園さんでの公演ができなくなってしまう。

その結果起きたのが、『腰巻お仙 振袖火事の巻』を機動隊に
囲まれながら強行上演する、いわゆる新宿西口中央公園事件です。

そして、『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』を持って沖縄まで旅し、
今度は北上しながら『腰巻お仙 振袖火事の巻』を公演しながら
東京に戻る巡業へとつながっていきます。

それらの様子を収めたエッセイ集の中に、
私の探す『化粧論』があるということがわかりました。
情報を寄せてくださったSさん、ありがとうございます!
これでまたひとつ、唐さんと劇を理解することができます!

残るは、『按配師に会うまで』です。

5/8(水)唐十郎のエッセイについて情報求ム!

2024年5月 8日 Posted in 中野note
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↑1970年3月に出版

唐さんが1970年頃に書いたエッセイ2編を探しています。
『按配士に会うまで』『化粧論』のふたつです。
どうやら『少女仮面』につながる内容が込めれれているらしい。
気になります。気になって1970年前後に出版された単行本を
引っ張り出して見てみましたが、どうにも見つからず。

心当たりのある方は、どこに掲載されているか教えてください。
かつて読んだような記憶があるのですが、判然とせず。
よろしくお願いします!

5/7(火)今日の一歩

2024年5月 7日 Posted in 中野note
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↑このレコードをヘビー・ローテーションしながら書かれたそうです

今日は『少女仮面』の美術打合せをすることができました。
それから、劇中歌の検討をし、伴奏をつくるための依頼を出しました。
公演当日に助っ人に来てもらう受付係をお願いし、
まだ埋まっていない役柄をイメージしながら出演交渉をしました。
こういう具合に、一歩、一歩です。
稽古に備えて、音響で使用する音楽の選定にも入り始めました。
稽古はじめを、チラシの完成とご案内の発送を、
公演初日を目指しながら、執筆当時28〜29歳だった作者を追います。
こうして、徐々に準備を押し上げています。

あ、タップダンスの練習の手配をしないと!

5/6(祝月)皆、紅テントを目指す

2024年5月 6日 Posted in 中野note
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昨日は紅テントに行きました。
たどり着くと、同じような思いを抱えて、
遠く岡山からやってきた人もいて、信じられないという思いを
抱きながら、それぞれに耐えて初日を見守る公演でした。
禿さんや、唐十郎ゼミナール同級生で、今はテレビの世界で活躍する
石井永二くんと語り合いながら、去り難く、新宿を後にしました。

今日は、自分は子守りをして、椎野が紅テントに行きました。
きっと同じようなやり場のない思いで駆けつけた大勢の人たちとの
交流を持てたのだと思います。

家にいて、子どもたちに「何を食べたい?」と訊くと、
「唐揚げ!」とふたりそろって言います。
「唐揚げ」いいな、と思って、近所の中華料理屋で3人で頂きました。

5/5(日)今日は沈黙

2024年5月 5日 Posted in 中野note
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自分が唐さんを大好きなのは、
暮らしとものづくりが一体になっているからです。
カッコつけて創作モードにならずとも、唐さんの往くところ
不思議が起きます。

今朝起きて、
掃除機のスイッチを入れれば、唐さんの掃除の得意なことを思います。
冷蔵庫からヨーグルトドリンクを取り出せば、「人間は腸である!」
と言ってタマネギとともに口にし、腸を健やかにしてやまないのを
思い出します。スーパーの新生姜やアシタバや豚肉にも
絶大に唐十郎がいます。もちろん本日5月5日という端午の節句にも。
銭湯の湯船に投げ込まれる菖蒲の葉にも。

本棚にある様々な本、写真、耳に焼きついたせりふと声。
これをあげる、と言われて受け取った100円均一のボールペンや時計。

唐さんはなんでもないものを黄金に変える錬金術師です。

毎週日曜は本読みワークショップですが、
今日はお休みにして、ただ目を凝らし、耳を傾け、
五感を研ぎ澄ませて唐十郎を感じることにします。
(ご参加予定だった皆さん、ほんとうにごめんさない)

来週以降、倍の力で唐十郎について語り合い、芝居づくりしましょう!

5/4(祝土)健気な野草

2024年5月 4日 Posted in 中野note
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↑エントランスに飾られた巨大な倒木。巨木は倒れれば終わり、
小さな野草の生命力を標榜していこう、というメッセージを受け取る


トリエンナーレに行ってきました。
家から歩いて50分で横浜美術館に着きます。
こうして歩いて行かれるところは休日という感じで贅沢です。

到着しな、ビビりました。
美術館の前にそれはそれはたくさんの入場待ちができていたからです。
と思いきや、それは"スターウォーズの日"を記念して行うイベントへの
行列でした。今日はスターウォーズの日でもあったのです。

それよりは少ないながら、横浜美術館の前にもちゃんと入場待ちの
列が出来ていて、盛況でした。
エントランスののびのびとした展示に始まり、
富山妙子さん、丹羽良徳さんのコーナーなど見応えがありましたが、
全体を貫通する"野草"というテーマには、何かはかないものを
感じました。英語訳して "Wild Grass"というと文字通りワイルドな
感じがしますが、"やそう"という響きのか弱さが影響しているのかも
知れません。

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↑無料で見られるゾーンの充実ぶりよ!

人間存在がいかに健気な抵抗を試みつつ、しかし、
大きな流れのなかに押しつぶされてしまうか弱き存在であるように
感じられました。テーマのもとになった魯迅の『野草』も
パラパラと読んでみましたが、なるほど同様の印象です。

そんななかにあって、先ほど挙げたお二人の作品は
生きているパワーが感じられました。

トリエンナーレといえば、自分が関わった巨大バッタは別にして、
2017年に赤レンガ倉庫でみたクリスチャン・ヤンコフスキーの
『重量級の歴史』が最高だったな、と。また思い出して笑ってしまい
ました。帰りも外は『スターウォーズ』で大賑わい。

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↑"MAY THE 4TH"ということで5/4らしい

5/3(祝金)いつもと違う!

2024年5月 3日 Posted in 中野note
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GWがやってくると、いよいよ唐組春公演の東京初日が
近づいてくるのを実感します。5月初めの土曜は連休に浮かれる
人たちを掻き分け花園神社に行く、これが長年の習慣でした。

ところが、今年は違うんですね・・・

すっかり土曜日だと思ってスケジュールしていましたが、
今年は日曜日が初日で、そうすると日曜夜は本読みWSが恒例、
だから私は二日目の5/6(祝月)に伺うことにしました。
これに気づいたのも、今朝早くに知り合いから紅テントの予約を
頼まれたからで、おかげで助かりました。

そういうボンヤリした連休の始まりです。

今朝は運動がてら久々に黄金町のシネマ・ジャック&ベティに行き
サイレント映画にピアノの即興伴奏を入れて上映するプログラムを
拝見しました。キッズプログラムと謳いながらかなり大人の笑いに
満ちたサイレント映画4本、音を鳴らす参加型企画あり、
映写室のバックステージ・ツアーあり、と、単に映画を観る体験
だけではなくて、映画館の楽しさがいっぱいでした。
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3455/

学生時代にあれだけ行っていた映画館から、ここ数年は足が遠のく
ばかりなので、スクリーンで作品を観られたことに充実しました。
なかなか良い連休の滑り出しでした。

それからは、人に会いに行ったり、あとは原稿書き。

少し遊んで、静かに働く。そういう連休が始まりました。
明日の朝は、ようやく横浜トリエンナーレに行く予定です。

5/2(木)週末は『振袖火事の巻』!

2024年5月 2日 Posted in 中野note
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↑2016年10月の唐ゼミ☆公演@新宿中央公園

今度の日曜日から『腰巻お仙 振袖火事の巻』の本読みWSを始めます。
お申し込みはコチラ→
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html

これで、2月半ばにスタートした『腰巻お仙』シリーズが完結。
『忘却篇』『義理人情いろはにほへと篇』そして『振袖火事の巻』
ということです。第三作の主題は、親を恨んで成長した少女・お仙が
いかに恋愛をするか、ということです。
恋愛の先には結婚があり、その先には出産がある。
とはいかにも古風な図式ですが、親を恨んだ少女自身がやがて親に
なる時が来る、そういう台本を最後にしてこのシリーズは幕を閉じます。

唐十郎29歳の戯曲です。唐さんも父親になりたてで、
期するものがあったに違いありません。

この作品はとにかく初演時のエピソードが絶大で、
新宿西口公園にて機動隊に囲まれて上演した、という演目こそが
この『振袖火事の巻』です。同時に、公演自体がスキャンダラスで
あればあるほど、作品の内実を味わうことが少なかった芝居で
あるともいえます。

私の本読みでは、せっかくなので往事を振り返りながらも、
ほんとうには何が書かれていたのかを追います
唐さんは何を書き込めたのか。

2016年に、私たち唐ゼミ☆は同じ新宿西口公園でこの演目を
上演してもいます。ここでやらねば、どこでやる!
というエンディングのひと言のために、新宿で上演した演目です。
エピソードをまじえて本を深く読み解きながら、
唐ゼミ☆公演の様子もまた、振り返ってみるWSにします。

5/1(水)『少女仮面』の美術

2024年5月 1日 Posted in 中野note
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Joseph Mallord William Turner《Vesuvius in Eruption(1817)》

現在23:00過ぎ。
家の近くの駐車場に辿り着きましたが、
ボタボタ降る雨のために車から出る気になれません。
そこで、これを書き始めました。

今は『少女仮面』の舞台美術について考えています。
舞台となる喫茶店には、唐さんのト書きによればベスビアス火山の
絵画が飾ってある、と指定があります。
ベスビアスとは、あのポンペイを一夜にして廃墟にした火山で
ヴェスヴィオと言ったりもします。

このインスピレーションのもとになったのはおそらく、
英国の画家ターナーの『噴火のヴェスヴィオ(Vesuvius in Eruption)』
1817年の絵画です。

英国滞在中に、ターナーの絵をたくさん見ました。
テイト・ブリテンというイギリスの作家の作品ばかりを集めた
美術館があって、そこにはターナー・コレクションという一角が
設られ、まとめて見ることができたのです。

残念ながら『噴火のヴェスヴィオ』はありませんでしたが
ネットで見ると、唐さんが魅了されたのがよくわかります。

他方、ローレンス・オリヴィエが主演した映画版の『嵐が丘』を
見ると、冒頭はヨークシャの荒野が雪で覆われ、やがて、
主人公の二人が逢い引きをするペニストン岩が切り立った岩山で
あることが明らかになります。

ヴェスヴィオ→ヨークシャの岩山→冬の満州
と、唐さんのインスピレーションがつながっていったのではないかと、
20代後半の作者の頭のなかを想像します。

あ、雨が止んできました。家に帰ります。

4/30(火)どうしようもない人間への讃歌

2024年4月30日 Posted in 中野note
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→カーテンコール中、恒例の望月監督スピーチ

昨日は浅草に行きました。
劇団ドガドガプラスを観るためです。
ドガドガはずいぶんコロナに苦しみ、はたから見ていても
あの時の中止続きは辛く、身につまされるものがありました。

けれど、ここ数年に展開している「セクシー女優事変」シリーズは
絶好調で、ちょうど自分が海外研修を終えた頃に始まって、
ずっと逃さず追いかけられている幸せを感じます。

今回の第三弾「人妻死闘編」はセクシー女優の2世がテーマに
なっていて、2世問題は宗教だけではないという切り口が
さすがは望月さんと思わずにいられません。

セクシー女優の息子が中学生となり、
母親の出ているアダルト映像に興奮してしまうという彼の悩みに
ギリシャ悲劇の『オイディプス王』が重なり、可笑しくも切実な
物語が展開します。そしてまた、オイディプス王と言えば
劇の前段にあるスフィンクスの謎かけが有名ですが、
その謎の答えを通じて、母親出演のAVに反応してしまう自分こそが
「人間なんだ!」と少年が宣言するラストシーンは感動的でした。

ほんとうに、このシーンに自分は目からウロコが落ちました。

というのも、フロイトの「エディプス・コンプレックス」は
人間の罪深さを喝破したものと思ってきましたが、
これが望月さんの手にかかると、なんだかそういう衝動を抱えて
しまう人間への激烈な讃歌に思えるのです。

「コンプレックス」という言葉はネガティブな感じがしますが、
望月さんの繰り出す劇には、ひょっとしたらフロイトは、
ついつい母親とセックスしたくなるオレたちこそが人間なのだ!
それはちっともダメじゃないんだ!だから人間なのだ!
と言いたかったのではないかとすら、思わせる強烈なパンチが
ありました。なかなかのアクロバットにして、本家すらも揺り動かす
説得力に満ちていました。

フロイト=人間の豪の肯定=立川談志という構図すら浮かんでくるのは
東洋館という劇場のなせる技です。

ともかくも、望月さんだから描ける、真率なストレートパンチでした。
全編にわたって、大勢の出演者を望月さんが均等に愛しすぎたために
的が絞りきれないところもありましたが、やはり上演が2時間を
すぎてからの力わざ、ラストシーンには「いいぞ!いいぞ!」と
エールを送らずにいられません。無骨な望月監督の剥き出しの魂を
感じました。

4/27(土)綾瀬に行く

2024年4月27日 Posted in 中野note
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↑フォーを食べたのはロンドン滞在以来でした。The Albanyの
周辺にはベトナム料理屋が2軒あり、主要な麺類としてほんとうに
よく食べていました。向こうでは高かったな・・・


今日は久々に綾瀬市に行きました。
スマートインターができてすっかりアクセスの良くなった綾瀬ですが、
市の中央にあるタウンヒルズに行き、オーエンス文化会館に行くうちに
旧知の方々に多数お目にかかり、偶然の再会も重なってかなり
充実した1日になりました。

帰りは大和のタンハーというベトナム料理屋&食材店に寄り、
食事とコーヒーの買い物をしたりして。

合間に、樺山紘一さんという歴史学者の本を読んで興奮しています。
書かれている内容と文章が同時に自分の興味やセンスに押し寄せてくる。
久々にそういう著作者に出会い、これは連続的に読みまくるだろうと
予感しています。『少女仮面』の準備に支障が出ないように!

自分がもっとも好きな一冊を挙げろと言われたら、
それはヴェルギリウスの『アエネーアス』です。
今日はそれが、カエサルの『ガリア戦記』にどう影響されたか
という発想に、樺山さんの記述を通じて思い至りました。

ヴェルギリウスにとって、伝説上の戦争を描くに参考にしたのは
目前で起きていた同時代の戦争、すなわちカエサルと、
ケルト最後の英雄・ウィルキンゲトリクスによるアリシアの戦い
だったようです。そのことを通じて、ヴェルギリウスをまた一つ
人間として感じられたことは大きなよろこびです。

逃避にならない程度に、読書もします。

4/26(金)川口成彦さんのショパンの一生

2024年4月26日 Posted in 中野note
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↑終演後はちょっとだけお邪魔して失礼した

川口成彦くんのリサイタルを聴いてきた。
彼が3年間レジデント・アーティストを務めてきた紀尾井ホールとの
プログラムの集大成で、それはそれは欲張りなプログラムでした。

内容は、ショパンの一生を追ったもので、
ショパンの先生たち、ポーランドやフランスでの友人たち、弟子たち
という風に、ピアノの詩人を取り巻いた人々の作品を編年体で追いながら
もちろん、ショパン本人の作曲も入る。

傑出した人の一生分を生きて、川口くんが燃焼していった。
それが伝播して、序盤は日頃の雑事が聴く自分にも残っていて散漫だった
けれど、徐々に演奏の世界に導かれていって、最後にはピアノの
音だけになって、完全にショパンと川口くんだけの世界だった。

お世辞にもコンディションが良いとはいえない自分を
ここまで引きずり込むなんて、まったくすごい演奏家だと思う。

同時に、終演後は、3年間をやり遂げた万感がこちらにも
伝わってきて熱くなった。7月の相模湖にも行けたらと思う。
都心の華々しさとは違う世界があの会場にはあって、
川口くんの演奏にも違った趣きでステキに違いない。

4/25(木)夜の公園にて

2024年4月25日 Posted in 中野note
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↑夜の公園にやってきた米澤と私

今日の夜は米澤と落ち合い、お互いにお腹を空かせていたので
ラーメンを食べた後、うちの近くの公園でミーティングを行いました。
昼間は子ども用のままごとテーブルですが、夜は私たちの会議机。

『少女仮面』をどうしていこうか。米澤の事情や希望も聴きながら、
こちらが最近ハマっている『嵐が丘』の話なんかもしました。
面白かったのが、米澤が、車の中で私がかけていたヴィソツキーの
歌声に鋭く反応したことです。

初め小さな音でかけていたのを気にしていたので、
もっとも私が好きな『狼狩り』を爆音でリピートしながら
横浜駅まで米澤を送りしました。同じ歌声に二人で痺れる。
良い時間でした。

もう一つ。今日は劇団として哀しい報せがあり、
それは、金沢在住でずっと唐ゼミ☆を応援してくださったKさんが
亡くなったということでした。

2002年夏に『動物園が消える日』を公演して以来、
ずっとファンでいてくれたKさん。唐十郎ファン同士としても
私たちは大いに盛り上がってきました。

Kさんが見せてくれた蔵書の『犬狼都市』に唐さんがこう署名されて
いたことが忘れられません。「金沢、この小さな中世」
聞けば、状況劇場が金沢で公演した『犬狼都市』を見て以来、
Kさんは唐さんの熱狂的なファンになったのだそうです。

いつも慎ましく、でも唐作品が大好きな気持ちが溢れ出しながら
応援してくださったKさん。ほんとうにありがとうございました。
また、客席のどこかに座られているのだと思って、公演していきます。

4/24(木)『オオカミ狩り』を聴いている

2024年4月24日 Posted in 中野note
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↑ヴィソツキーとマリナ・ブラディ

『少女仮面』の公演準備をしています。
香盤表をつくり、役者に出演依頼をして、稽古スケジュールを組む。
どれも、手間がかかるけれど、ひとつひとつ、これからつくる劇の
輪郭が見えてくる作業です。

舞台美術について考え、劇中に指定されているベスビアス火山の
絵画の元ネタを探り、宣伝美術について考えます。
劇中歌についても、早々に詰めねばなりません。
やること満載だけれど、ひとつひとつゼロから積み上げて
わたしたちの公演は成り立っています。

そんな中で、ちょっと遊びもあります。
例えば、2場にマリナ・ブラディという女優の名前が出てきますが
実在の女優であり大スターだった彼女が選んだ夫こそ、
ソ連体制化で伝説的な抵抗詩人・歌手・俳優だった
ヴラジーミル・ヴィソツキー(Vladimir Vysotsky)でした。

あの独特のしわがれ声、
唐さんはああいう声を"いがらっぽい声"と呼んで
憧れの声のひとつの累計だと言っていたことがあります。
唐さんはつるりとした美声なので、ニュアンスに富んだ、
ある意味では悪声に憧憬を覚えたのだと思います。

反体制であるために1枚のレコード出版も許されず、
けれども、彼の歌をみんなが知っていたヴィソツキー。
代表曲の『オオカミ狩り(La Chasse Aux Loups)』を
ずっと聴いています。身を削って歌うような燃焼が何度聴いても
一回性で、みんなが彼に痺れた理由に共感します。


4/23(火)『オオカミだ!』KAAT公演が終わる

2024年4月23日 Posted in 中野note
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↑すべてを終えて帰宅の途につくケッチさん@羽田空港
今回もありがとうございました!


昨日の本読みWSレポートによりご報告が遅れましたが、
4/18-21に公演した3回の『オオカミだ!』が終わりました。

今回もまた、多くの子どもたちにギャーギャー観劇してもらい、
子どもたちのリアクションを見た大人の方々にゲラゲラ笑ってもらう
ことができました。

一緒に公演した五十嵐あさかさんの『水曜日の夜』、
山﨑薫さんの『はまべのうた』とのショーケースにより、
返す返すもスタッフの皆さんは大変だったはずですが、
ロマンチスト・テツヤが悲願を達成してよろこぶ姿を見て
土曜の夜には賑やかな、すべての苦労を吹き飛ばしたであろう
打ち上げができました。

自分はいつもながら、テツヤさんに空間の使い方と
ケッチさんにはお客さんとの関係をどう上手く運んで
場を牛耳るかを教わって過ごしました。

終演後に食事に行けば感想戦の趣きがあり、
くだらない話の連続の隙間に、幾つもの創作に対するヒントを
発見しました。今はもう『少女仮面』に向けて走り出していますが、
『オオカミだ!』には、これからもまた上演できるだろうという
安心感と希望があります。現在13ステージを終えたところですが、
さらに回数を重ねる時にハッとしたアイディアを閃くところに
芸の面白さがあるのだと、それもまたケッチさんから教わりました。

テツヤからは「セクシー・キッズプログラム『メギツネだ!』
を作るべし」とも言われています。
「ヨルノハテの劇場」はこれからどうなるんだろう!?

観劇してくださった皆様に感謝します。
気にかけてくださった皆様は次の『オオカミだ!』公演で
お目にかかりましょう!

4/20(土)『オオカミだ!』2日目

2024年4月20日 Posted in 中野note
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今日は『オオカミだ!』2日目。14:00からの開演でした。

昨日の『はまべのうた』から一夜あけ、
一昨日からの改善点を活かして、照明エリアの調整が行われている
KAAT大スタジオに11:00に入りました。
それからそれぞれに準備をして、少しだけケッチさんの芸の流れにも
工夫を凝らして、開場、開演を迎えました。

たくさんのお子さんたちが集まってくれて、
彼らのおかげで活力のある劇空間が生まれました。

ケッチさんが即興で観客の反応に応えるところ、
それでいてショー全体がもたつかず次々にシーンを展開していく
スピード感。序盤に披露した基礎的なパントマイムやクラウニングが
『3びきのこぶた』本編に過不足なく結びついて、

これは、去年の2月から、
本多劇場→ザ・スズナリ→青梅第六中学校→母島小学校と
渡り歩いてきたこの演目がひとつの達成を見た手応えがありました。

もちろん、このショーはその場に集まった人たちによって
大きく影響されるように作っているし、KAATのような
ハイスペックな劇場設備があればそれを使うし、何もない
体育館があればそこに適応できるように作った演し物です。

その場その場の本番がありますが、その上で、
ひとつのレベルをクリアできたと思いました。

公演後には、昨日すばらしいパフォーマンスを見せてくれた
山﨑薫さんも加わって座組全体の打ち上げをしました。
五十嵐あさかさんがすでに静岡でふじのくに世界演劇祭出演の
ために不在なのは寂しいけれど、それでも、劇場を打ち出して
仕掛け人であるテツヤさんを囲み、関内バル333で
楽く飲みました

明日が最後のステージです。
9:00入りの11:00開演に備えて自分は帰宅してこれを書いています。
何人かは2次会に行って今も飲んでいるはずです。

当日券も出ますので、見逃さないようにしてください!

4/19(金)『はまべのうた』だった!

2024年4月19日 Posted in 中野note
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↑終演後の薫さんはみんなに引っ張りだこで、ダンサーとしての役割を
終えたゆめさん、ご来場のよし乃さん(青梅と母島での『オオカミだ!』
アシスタント役)、ケッチさんで記念撮影しました。薫さんとの撮影は
次のチャンスを探ります!


今日は「ヨルノハテのショーケース」第3弾『はまべのうた』公演でした。

浦島太郎伝説をもとに岸田國士が映画のために描いたシナリオを
山﨑薫さんの個性を活かしリサイタル形式にして上演するものでした。

自分はこれまで、このような岸田作品があることを知りませんでしたが、
浦島太郎をモチーフにしながら、連綿とつづく人と人との別れを描いた
実に味のある原作だと思いました。

浦島太郎が竜宮城に行ったことで、もともと暮らしていた妻は夫との
別れを体験する。当の太郎もまた、乙姫との贅沢すぎる生活の後に、
残してきた妻を想う。それを察した乙姫は太郎との別れを決意。
地上に還ってきたきた太郎が経験するのは時間の経過による
元の妻との別れであり、新たに得た妻とも睦まじく暮らすが、
やがて自らの老い、相手の若さを悟って諦めたように妻を
手放すことになる。

これまでさんざん別れの原因をつくってきた自分には、
新たな妻を引き留める資格のないことを太郎は知っている。
それ以上に、太郎は、人と人とはいずれ別れてゆくものだ
ということを知り抜いてしまっている。
そういう、無常感のある、苦みばしった作品でした。

しかし、ショーとしてはあくまで甘く仕立てられていて、
人形もあるし、ピアノの豪勢な演奏もあるし、ダンスもあるし、
シンプルだけれどそれぞれの状況を換気する照明・音響・映像の
効果が感興を昂めます。

何より、センターにいる薫さんの歌唱力と演技、
東西から集まった名曲の数々があってバラエティに富み、
ところどころに笑いもあって、目先を変えながら、でもやっぱり
大人だから分かる「別れ」「岐れ」「訣れ」に収斂していくという
演し物でした。いかにも大人っぽい雰囲気だけでなく、
悲嘆の甘やかさ、という風情。
聴衆はみんな酒が飲みたくなったのではないかと思います。

自分は体質的に酒は飲めませんが、そういった意味で
次はノンアルコールドリンクを飲みながら見たい大人の味でした。


終演後は、テツヤ・ケッチ・アツシでビストロに行き、
演出作品を終えて放心するテツヤを激励し、また明日の
『オオカミだ!』の工夫を話し合いました。

ともあれ、すべての出し物が出揃うまでに3作品を支えてきた
スタッフの皆さんは大変だったと思います。お疲れさまでした!

4/18(木)『オオカミだ!』1日目

2024年4月18日 Posted in 中野note
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↑終演後に一息つきながら撮影しました

『オオカミだ!』1回目のステージが終わりました。
朝から灯り合わせをして、16:00からランスルー。
17:30にお弁当を食べて、18:15からお客さんをお迎えしました。

スタッフの皆さんは、午後早い時間には翌日の
『はまべのうた』の照明づくりもあるし、終演後はセットの
飾りかえもあります。それぞれにシンプルな仕込みですが
かなり大変な公演です。

そういう1日を過ごしながら、
2月に母島に行って以来の『オオカミだ!』が幕を明けました。
KAATの大スタジオは、これまででいちばんスペックの高い空間です。
だから、スクリーンや照明も使うし、割と勾配高めの階段席という
構造もあって子どもが騒ぐにはやや危険も伴います。
劇場の案内係さんがよくサポートしてくれました。

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ケッチさんは持ち前の圧倒的な即興対応力をフルに発揮して、
お客さんからのリアクションを拾うこと多めのパフォーマンスでした。
ちょっと上演時間が予定より延びてしまいましたが、
今日には今日の本番があります。

ケッチさんという稀代のパフォーマーの体感のなかで、
あるお客さんに応じて彼らを味方に変えながら、
ほかのお客さんを間延びさせていないか、駆け引きしているのを
観ているのはいつもすごく面白い。そういうすべてを百戦錬磨の
経験と今の直感のなかで判断しながら渡り合っている姿を
自分はいつも感嘆しながら見ています。

ユメさんには持ち前の愛嬌を発揮しつつ(ほんとうに天分だと思う!)、
ケッチさんが考え、感じていることをプラスして大きな演者に
なってくれることを期待しています。みんなに愛されて、
いろいろとチャンスを得て大きくなっていって欲しい。

明日の『はまべのうた』を観客として味わいつつ、
土日の『オオカミだ!』を準備します。まだまだ空席があるので、
お客さん集めもします!もし良かったら来てください!

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4/17(水)ヨルノハテのショーケースがはじまる

2024年4月17日 Posted in 中野note
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↑テツヤさんの野望全開の連続公演がはじまりました!

今日から「ヨルノハテのショーケース」がはじまりました。
今夜はその第1弾、五十嵐あさかさんによる「水曜日の夜」です。

自分は18:00に家に帰って、椎野と子守りを交替しました。
一度、椎野にあさかさんを見せたかったからです。

去年にルーテル市ヶ谷で、あさかさんの自主公演「音みる夜」を
見た時から、これは体験してみなければわからない世界だと思って
きました。だから、せっかく横浜で公演があるこの時に、
椎野に体験しておいてもらいたかった。

米澤や鷲見くんも来ていたそうです。
彼らは普段、あまりクラシック系の演奏会には
行かないだろうけれど、あさかさんは普通のチェリストの枠には
収まらないパフォーマンスを見せる人なので、
きっと良い鑑賞になったに違いありません。

あさかさんのパフォーマンスには、
自分もやりたいことをやれば良いんだ!と強烈に思わせてくれる
ところがありつつ、けれども、決してやりたい放題やっている
わけではない品格があります。現在の表現を獲得するまでに、
これまでどれほどの試行錯誤があったのかも、感じ取れます。
今日も良い舞台だったに違いありません。

自分は子どもたちとワーワー言いながら家で過ごしたので、
今回を観られなかった分は、来月のルーテル市ヶ谷で
今年の「音みる夜」に立ち会うことで取り返したいと思います。

明日はいよいよ自分の番です。
ショーケース第2弾の『オオカミだ!』。
朝から照明合わせ。午後からゲネプロをして
夜19:00からの公演に臨みます。

本番になってしまえば、演出をしている自分でさえも
次に何を仕掛けてくるだろうと観客と一緒にこれから
起こることを楽しみにさせてくれるところがケッチさんの
凄みです。長く、盛りだくさんの一日になりそうです。

4/16(火)『横浜ローザ』を観てきた!

2024年4月16日 Posted in 中野note
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↑終演直後の五大さんの隣にいるのは、中華街でよく行く「馬さんの店」
の馬さん。お二人とも、自分にとってヨコハマの顔です

今日は朝からKAATに集まり、4/17-21「ヨルノハテのショーケース」に
向けた大スタジオでの仕込みが始まりました。

劇場技術課の皆さんとの朝礼をして、テツヤさんが集めたスタッフさん
たちが動き始めます。テツヤさんは『鐵假面』公演を支えてくれたので、
劇団から齋藤と米澤が応援に駆けつけてくれました。

特に齋藤、2013年に『唐版 滝の白糸』を一緒にやって以来、
いまや多くの仕事を経てKAATの仕組みを知り尽くしており、
強い味方です。

自分は楽屋の制作まわりづくりをお手伝いして現場を抜けました。
それから県民ホールで打ち合わせです。

夕方には、津内口と協力して『少女仮面』の制作を進めました。
キャスティングや広報の準備。劇場入りした後のスケジュール想定、
各所への連絡などです。普段は、公私に渡るさまざま用事が押し寄せ
いつも劇団の進行が遅れがちなことが気がかりです。
津内口と頭を突き合わせて作業しているとそれらが次々にクリアされ、
不安が解消されて、7月のことを想像するのが愉しくなります。


そうそう。
午後には椎野も合流して、五大路子さんのライフワークである
『横浜ローザ』千秋楽を観に行きました。初めて観劇して以来、
これは年に一度観たい、立ち会うべきお芝居だと思ってきました。

五大さんの精力的なこと、劇とお客さんに対する突き抜けた誠実さ、
さすがの技術、いつも全力を尽くしきる姿を仰ぎ見ました。

近年は特にシンプルな演出になっていて、
それは究極的に、パイプ椅子2個に集約される世界です。
実際のメリーさんを写した写真のなかでも
特に印象深いものの中に、ビルの廊下にイス2台を並べて休む
メリーさんの姿があり、五大さんのお芝居もこれに始まり、
これに終わります。そのなかに、昭和21年から平成に至る
時代の変遷と横浜ローザの人生がめいっぱいに込められている。

ところどころ力の抜けた笑いもまじえながら、五大さんの
くっきりとしたせりふがこちらの胸に刺さってきます。
そして、最後に再び、ローザはパイプ椅子に還る。

あの、万感迫ってうつむいている姿に、ローザの上演75分と、
メリーさんの生きた何十年という時間が収斂されて、
物言わぬ姿、佇まいが、ことば以上の多くを語りかけてきます。
最後の瞬間、どうしてああいうことが達成できるのか、不思議です。
ライフワークだからこそ可能な、それこそ"境地"なのだと思います。

そして、お芝居の最後ではローザの姿に込み上げて仕方ないけれど、
アフタートークではいつも五大さん自身が元気な姿を見せて観客を
安心させてくれることも、このショーの素晴らしさです。
来年は30周年だそう。よし、来年も観よう!

自分も舞台やるぞ!と思いながら赤レンガ倉庫から強風のなかを
歩きました。明日から『オオカミだ!』を含む「ヨルノハテの
ショーケース」が始まり、その向こうに県民ホールの様々な企画が
あり、7月末に挑む『少女仮面』が見えてきます。

4/15(月)『嵐が丘』にて!

2024年4月15日 Posted in 中野note
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『鐵假面』公演が終わってから、
『少女仮面』に備えて『嵐が丘』を読んでいます。

ヨークシャーの荒野を背景に繰り広げられる過剰な男女の恋愛は
否応なく周囲を不幸にするばかりで、まさに嵐が丘。
小説としても面白いし、何より『少女仮面』に引用された箇所を
特定するためにも、なかなか愉しい読書です。

『少女仮面』の劇中歌を歌うためには
『少女仮面』全体を学び直さなければならない。
『少女仮面』全体を学び直すためには
『少女仮面』の中に出てくる『嵐が丘』のせりふ引用が
どのシーンにあたるのかを突き止め、研究しなければならない。

そういう意味のことばを、状況劇場のプリマだった
李麗仙さんが言ったと、自分はある音楽プロデューサーに
伺ったことがあります。

果たして、『少女仮面』1場終盤で
春日野八千代が演じる『嵐が丘』の場面は、
原作小説では第15章にあたり、キャサリンとヒースクリフが
最後に愛憎をぶつけ合うシーンに由来します。

ただし、自分は2010年に出た新訳で読んでいますので、
当然、唐さんが1968年にこれを書いた時に引いた翻訳とは異なります。
そこで、当時に手に入った翻訳本3パターンをAmazonで注文しました。

かなり古い本なので、3冊求めても送料込みで約1,200円。
懐にやさしい資料集めで助かりました。

数日したら、一冊ずつ届くはずです。目指すは第15章!
どうか三つのうちのどれかに当たりますように。
その向こうに、『少女仮面』のワンシーンが視えてくるはずです。




4/13(土)『オオカミだ!』稽古2日目

2024年4月13日 Posted in 中野note

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『オオカミだ!』の稽古はいつも短期決戦。

今回も4日間で仕上げるので、集中して稽古しています。


稽古2日目にあたる今日は、これまでにつくってきた段取りを

確認しつつ、今回の環境に合わせたやり方に変えていきました。

 

何しろ、初演からたった1年の間に4ヶ所で公演し、

その度にそれぞれの場所に合わせてバージョン・チェンジしてきた

演目です。アシスタントの黒子役も、SATOCOさん、

月岡ゆめさん、よし乃さんと、3人ものパフォーマーが

参加してくれました。今回は2代目のゆめさん。

 

必然、各バージョンの動きの違いは、

それぞれの黒子役の個性を活かすためのものでもあり、

だからこそ、今回の月岡ゆめさんには彼女ならではのやり方がある。

そういう稽古をしています。

 

KAAT公演にあわせ、

今回はテツヤさんがスクリーンを導入してくれました。

新たに加わった音響の大久保友紀さん、

舞台監督の吉成生子(よしなり たかこ)さんが、

こちらがお願いする変更にたちまちに応えてくれます。


そういうなかで、普遍的に『オオカミだ!』を良くする工夫を

盛り込んで、少しずつ少しずつ向上させていかれるところが

いつもの演劇とは違う幸せなところです。


ケッチさんをはじめとして、身ひとつで様々な環境で仕事を

続けながら芸を披露するパフォーマーの皆さんは、そうして

技や演目を磨いていくのだそうです。


何百回と本番を重ねるうちに

「なぜ、これを初めから思いつかなかったんだろう?」

というように、根本的パワーアップを果たすアイディアが

出ることさえあるそうです。


その時も待ちつつ、明日も稽古を続けます。

4/12(金)『オオカミだ!』稽古はじまる

2024年4月12日 Posted in 中野note
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↑手前味噌もありますが、すごく粒揃いの3本だてです!

【ご予約はこちら】

今日から『オオカミだ!』の稽古が始まりました。

全体としてはプロデューサーのテツヤさんが組んだ
3本のショーケースの1本なので、山崎薫さんとの『はまべのうた』、
五十嵐あさかさんのリサイタル『水曜日の夜』もセットにした公演です。

試しに他の2本のリハーサルにも潜入しましたが、
特に、初めてみた山崎薫さんのショーには驚きました。
何か牧歌的な人形劇を想像していたのですが、
まるで高級ホテルのラウンジのような大人の雰囲気です。
思わず「これは看板に偽りありますよ!」と言ってしまいました。
女優である薫さんの歌唱力にすっかり舌を巻き、
良い気持ちになってスタジオを後にしました。

五十嵐あさかさんの実力とユニークさはもともと確信しています。
去年にルーテル市ヶ谷でのシリーズ「音みる夜」を
見に行ってから完全にファンになりました。
既存のチェリストのイメージを抱いていくと完全に裏切られます。

あさかさんはマラカスを振って歌も歌うし、
小さなギターをつま弾きながら日本の古典である『八百屋お七』を
見事に唸ったりします。こういう人は他に見たことありません。
見たことない表現だから宣伝が難しいのですが、
とにかく「自分のセンスにはビンビンくるから見てみてよ!」
といういう他ありません。

3本もやるなんてテツヤさんは欲張りだ!
と内心思ってきましたが、リハーサルを覗いていると、
せっかくKAATを使えるのだから欲張りたくなった訳がよくわかります。

スタッフの皆さんは大変そうですが、
あさかさんの会には薫さん・ケッチさんもゲスト出演で入り乱れるし、
『オオカミだ!』で黒子役の月岡ゆめさんは薫さんのショーでも
活躍するし、自分も企画全体でテツヤさんの野望を押し上げていきます。

長くなったので、『オオカミだ!』のことはまた明日!

4/9(火)『鐵假面』の遺産

2024年4月 9日 Posted in 中野note
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↑ずいぶんお世話になりました。味といい値段といい、傑作です

今日は嵐でした。
こんな日は、公演の時にこんな風でなくてほんとうに良かったと
思います。一方で、このところの暖かさを感じるにつけ、
なぜ『鐵假面』の時に少しは春らしい天候になってくれなかったのかと、
恨みがましくなります。

明日、半月ぶりにメンバーで集まって打ち上げをやります。
その準備をしているせいか、まだまだあの公演が身体に残っていて
現在進行形の天気にも一喜一憂しています。

そんな中でイオンに出かけたところ、
レジの隣に上の写真にあげた黒糖かりんとうが大挙して売っていました。
これもまた、『鐵假面』公演準備の最中にどハマりし、さんざんに
食べ続けてしまった一品でした。

持ち込んだのは、現在も『オオカミだ!』を一緒に作っている
テツヤさんで、私がケータリングコーナーの周辺をゴリラのように
うろつきながら何度もつまんでいる姿を目にすると、
この、イオン-まいばすけっとで売っている128円の品物がいかに
他のかりんとうと比べて圧倒的な旨さを誇り、それでいて安価なのかを
力説してきました。実際にこれは感服せざるを得ない逸品であり、
私はあの寒さを、カロリーの塊であるこの黒糖かりんとうによって
凌いだと言っても過言ではありませんでした。

今日、久々につまんでみて、やはり美味いと思いますし、
やはり袋が尽きるまでやめられません。テツヤさんとイオングループに
恩義を感じざるを得ません。

4/6(土)真鶴・湯河原に行ってきた

2024年4月 6日 Posted in 中野note
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神奈川県の仕事で県内各地を巡るなかで、
かなり面白い地域や地元の人たちに出会ってきました。

2017年にこういった活動を始めた当初は
スタンダップコメディアンの清水宏さんと真鶴に注力し、
去年2023年は湯河原町で、古参の舞踏集団とりふね舞踏舎さんによる
シニア向けダンスワークショップのお手伝いをしました。

そういった縁で、せっかく県西部に行くのだとしたら、
自分一人が車に乗って道中を過ごすのも寂しいし、
何人かで温泉にも入ってみたいので、
津内口、米澤、鷲見くん、うちの子どもら二人を連れ立って
二つの町を訪れました。

上の写真は、真鶴で魚を食べて買い物を済ませ、
その後に湯河原に移動して温泉に入った後、
去年、地元の方に勧められてとりわけ美味しく感じた
みかんジュースを飲んでいるところです。
場所は湯河原惣湯という、町営のカフェ&コワーキングスペース
の軒先のテラスです。

実は、昨日は先週に行った水戸のバッタ展示の予備日でした。
3/30(土)が雨だった場合に備えて4/6(土)をフリーにして
おかなければならない日だったのです。そういったわけで、
休日を持つことができました。道中いろいろな話をしたり、
子どもに振り回され続けたり、寝たりするのも良かった。

帰りに海老名SAに寄るところまで休日をやりきりました。

4/5(土)『オオカミだ!』の台本を書いていた時

2024年4月 5日 Posted in 中野note
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↑10か月ちょっとお世話になったグリニッジの丘の家

『オオカミだ!』の台本を書いていた時、
当時暮らしていたグリニッジの丘の上にあるダイアンという女性の家、
そのセキュリティの強さがすごく参考になりました。

そもそも、ロンドンの治安が悪いので仕方のないことですが、
特にダイアンは警戒心が旺盛で、扉には四つの鍵が付いている。
さらに家中の窓にも二つずつ鍵が付き、常に外敵の襲来に備えている
といった趣きがありました。

実際に、比較的安全なグリニッジでさえ、
1年前に女性が襲われたとか、高級腕時計を身につけていた老紳士が
手首ごと切り落とされて時計を奪われたとか、
物騒な話を聞かされました。

それに、あの壁の厚さ。
ダイアンの住んでいる家のレンガ壁の厚みはゆうに30センチはあり、
夏は涼しく、冬に暖かく、何より堅牢でした。

自分は、この辺りのことを体験しながら、
イギリス民話である『3びきのこぶた』の世界に入っていったのです。
それにひょっとしたら、イングランドという島国に押し寄せる
大陸からの外敵にも、大きくは影響されたかもしれません。
そのあたり、元寇を神風によって退けた日本とは違うかも!
などと思いながら過ごし、台本を書きました。

とはいえ、これは作品にとってすごく中核的な、精神的なことなので
実際の技術的なこと、パントマイムとは何か、その特性を活かす方法に
ついては、テツヤさん&ケッチさんにずいぶん鍛えてもらいました。
夏の昼間にロンドンの公園のベンチに座って、夜の日本とzoom会議
したことを、よく覚えています。

4/4(木)『オオカミだ!』の始まり〜ブライトンにて

2024年4月 4日 Posted in 中野note
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↑2022.5.27 英国のブライトンにて

昨日、『オオカミだ!』KAAT公演について書きました。

今回の演出をどうするか考えながら、そもそも、
この企画の始まりについて振り返ってみると、
テツヤさんの引き合いで元が〜まるちょばのケッチさんと出会った
ことからすべてが始まりました。

自分が2022年5月にロンドンに滞在していた時、
ケッチさんは仕事で、ロンドンの南にある観光地ブライトンの
フリンジ・フェスティバルに来ていました。
現在では、サッカー日本代表の三苫選手の活躍により、
ブライトンという名前は日本でも有名です。

自分は初めて噂に聞いていたブライトンを訪れ、
首都との位置関係からしてなんだか江ノ島みたいなところだなと
思いながらドキドキして歩き、待ち合わせ場所の特設テント前に
ケッチさんを探しました。

ケッチさんは質実で飾り気がなく、何よりクレバーな人でした。
芸と僅かな道具類、ご自身のアイディアで世間を渡ってきた凄みを
感じました。あの時、複数のパフォーマーが入り乱れるショーに
参加したケッチさんの芸も面白かったけれど、それ以上に、
ジュリアという女性芸人のショーをケッチさんが絶賛していたのが
印象的でした。

ケッチさんに勧められ、そのジュリアのショーを観て、
自分も、これはすごく面白いと思った。
そういうセンスの重なるところを確認しあって、
私たちはお互いに協力してやっていけそうだと思ったのです。

『オオカミだ!』の始まりはこんな感じでした。

4/3(水)『オオカミだ!』KAAT公演迫る!

2024年4月 3日 Posted in 中野note

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↑日本大通り沿いに大きなポスター!


気づけば、『オオカミだ!』KAAT公演が2週間後に迫っています。


『鐵假面』の片付けがやっと終わり、

『少女仮面』を急いで仕込んでいるところですが、

これも私の勝負どころです!


思えば、2022にロンドンで構想を練り、

帰国後に横浜で創作して2023.2に本多劇場で初演、

その後、9月にザ・スズナリで再演のあと、

青梅の中学校や小笠原諸島のひとつである母島の小学校でも

公演を重ねてきた『オオカミだ!』です。


KAAT神奈川芸術劇場でも上演できるのがいかに幸せなことか!


下記の日時、料金、座組で挑みます。応援を宜しくお願いします。

 

『オオカミだ!』KAAT神奈川芸術劇場公演

418() 19:00開演

420() 14:00開演

421() 11:00開演


料金(全席自由・税込):一般3,500円 小学生以下1,500

*託児サービスは行っておりません。客席でご一緒にお楽しみください。
*乳幼児で席を使用しない場合は無料


出演:ケッチ(元が~まるちょば)

脚本・演出:中野敦之(劇団唐ゼミ
アシスタント:月岡ゆめ
紙芝居原画:井上リエ
音響協力:平井隆史
企画:岡島哲也(ヨルノハテ)

提携:KAAT神奈川芸術劇場

主催:神奈川演劇連盟/ヨルノハテの劇場

4/2(火)弾丸帰省

2024年4月 2日 Posted in 中野note
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↑実家の近くにある陣屋というお店には藤井聡太さんも来るらしい

水戸のバッタ展示を終えて、瞬間的に名古屋に帰りました。
目的は、先週から一人で私の実家に行っていた息子を回収するため。
横浜の家を出ようとしたところ、娘が羨ましがったので、
彼女も連れて行きました。未就学の彼女は、なんと電車代がタダ。
年度がわりで混み合う新幹線の中でも私の膝の上に乗り、
実家でやりたい放題して過ごしていた息子と合流しました。

24時間に満たない滞在の間に、息子とCDや本を買い、
同じラーメン屋に2度行きました。
名古屋には「好来系」という根菜類でとったダシを押し出した
独特の醤油ラーメンがあり、小学生の頃からこれを食べつけてきた
私にとって、これがノスタルジーな味なのです。
息子もよく食べ、帰りは3人で新幹線に乗って横浜に戻りました。
道中、3人で富士山を眺めました。今年はけっこう富士山を見ています。

↓5歳児にも富士山は有名だそうです
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年度の移り変わりで、駅で見かけた人の中には、
これから大学に進学して一人暮らしを始めようという学生さんも
大勢いたように思います。自分が18歳だった頃を思い出しました。
唐十郎教授への弟子入り前夜です。
コンパクトで、良い帰省でした。

↓この数日で一気に雪解けした感あり。『鐵假面』公演中に高速道路から
見た時は真っ白だった
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3/31(日)角(つの)がたったらしい

2024年3月31日 Posted in 中野note
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↑椿昇さんと室井先生の写真

自分は昨晩のうちに横浜に戻り、
今日は朝から都内に行って二件、用事を捌いたあと、
娘を連れて名古屋に移動して、夜にはオンラインWSを行いました。

その間も、水戸では絶好調の晴天のもとでバッタが展示されており、
上手く膨らんでいる様子がLINEやメッセンジャーで送られてきます。

室井先生は生前、どうしても角(つの)をたてたくて仕方なく、
2009年の開国博Y150の時には躍起になってその方法を探っていました。
実際、あの時は頭の部分に特殊な扇風機を別で入れることで、
かなり自在にたてることができるようになりました。

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↑磯崎新さん設計の塔ごしに

ですが、今度のは、角の部分を軽い素材に変えたことで、
それこそ正真正銘、自然なかたちで角がたったそうです。
こうしてたってみると、長い。もうちょっと短くても良かったんじゃ
ないだろうかと思わなくはないですが、せっかくたったんだから
おめでたいことです。

次の展示予定は定かではありませんが、
またきっと水戸芸術館の皆さんが動いてくださり、市民の皆様にも
展示のノウハウが伝えられていく機会が成ることを願っています。

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↑正面。次は汚れをとりたいもの

3/30(土)水戸のバッタ

2024年3月30日 Posted in 中野note
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↑ボランティアスタッフの皆さんと記念撮影。去年、触覚も新たなものに

昨夜は23:30に水戸のホテル入りし、一夜明けました。
早朝から散歩に出かけ、千波湖に足を伸ばすと、大雨に洗われた後の
絶景でした。ジョギングしている人も多い。
それから豪華朝食を食べて9:00に水戸芸術館へ。

去年の3月、そして夏と2回に渡って展示や修復を行ったノウハウが
蓄積されて、水戸芸の皆さんがスムーズに動き、ボランティアが
たくさん集まりました。大人で、ずっとバッタを大切にしてくれている
方々に加え、高校2年生がたくさん。聞けば、ボランディアに
参加すると受験対策的に有利になるようで、4月からの3年生年次に
向けて準備しているということで、いかにもしっかりもの。

懸念されていた6本の足先のツメ部分の交換は、
ハニカムファクトリーの安元さんの職人的名人芸によって
かなりスムーズに行き、新しくなったブロアー(扇風機)5台の
パワーを結集して15:00頃から膨らませました。

結果、最近ではもっとも良い張りを見せましたが、
いかんせん、全体に生地が緩んでいることが明白で、
今後の修復プランは部分でなく全体に効果的な一手を
検討するところから始めなければならない感じがしました。

ともあれ、土曜日には無理かもと想定していた展示を1時間だけ
とはいえ行うことができました。自分はこの日しかいられなかった
ので、事後を託して横浜に戻りました。渋滞があり、ひとつ都内での
会議を経て24:00過ぎに帰宅。明日の展示も上手くいきますように。

3/29(金)お別れがたくさん、そして初台から水戸へ

2024年3月29日 Posted in 中野note
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↑長かったけど、あっという間でした

今日は午前中、春の嵐の中を保育園に娘を送っていき、
それから県民ホールに短い時間出勤しました。
ここ2週間『鐵假面』に集中していたので、浦島太郎的な感じがあり、
それでいて、年度末であることを痛感しました。

保育園の先生には異動を告げられ、
県民ホールでは退職者の皆さんと一通りお話ししたためです。
例年に比べてかなり多くの人たちが職場を変える年になりました。

それから、午後は初台へ。
新国立劇場で、大野和士さんが指揮する『トリスタンとイゾルデ』を
観ました。言わずと知れたワーグナーの人気演目ですし、千秋楽でも
あったので海外からのお客さんも多く賑わっていました。

この上演は初演も観ており、あれは2011.1.4だったと
強烈に覚えています。結果的に波乱の2011年でしたが、
お正月あけて一つ目の鑑賞がこの楽劇で、燃焼し尽くしたのか、
大野さんがその後に体調を悪くされたことをよく憶えています。
そして、震災の年になってしまった。

以前より、多くのものが見えるようになりました。
『トリスタン〜』というと、主人公二人の盛り上がりに目がいって
いましたが、こうして実際の上演を久々に観ると、二幕で盛り上がる
二人を遠巻きに眺めるイゾルデの侍女はなんだかやり手ババアのような
おかしみもあるし、三幕冒頭、息も絶え絶えのトリスタンを励まそうと
する従僕は、なんだか太鼓持ちのようです。

そういった人間の可笑しみ、転じて哀しみが自分の中に入ってくるように
なりました。二幕終盤で、主人公二人のデート現場に踏み込んだ王が
若い嫁を満足させる肉体を失っていること、二人の密会を告げ口した
臣下がイゾルデに対して横恋慕していたことも気になりました。

当人たちにすれば地獄絵図ですが、側から見ていると面白い人間関係です。
それに、二幕終盤の地味な場面で、トリスタンがいかに愛情に欠落して
育ったのかが切々と語られると、彼がある時は異様に王に忠義立てし、
ある時はイゾルデにゾッコンのめり込んでしまう理由がわかる気がしました。

思わず、尊敬する小池一夫先生の『I・餓男(アイウエオボーイ)』を
思い出してしまいました。そういったことがわかるようになったのが
自分の13年間だと教えてくれた、貴重な公演でした。

さて、それから新宿で晩御飯を食べ、『少女仮面』に必要な
文房具を買い、水戸に殺到して今に至ります。
明日は朝からバッタ。土曜の夜には横浜に戻ります。

3/28(木)公演後の仕事

2024年3月28日 Posted in 中野note
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ひたすら事務作業とお礼参りです。
公演が終わって1週間で年度末になってしまうので、
突貫で経理処理と報告書作成を行なっています。
本来だったらひと月の猶予があるのですが、
今回は一気に仕上げていきます。

大変ですが、各所への支払いや手続きなど迅速に行うとスッキリするし
4月になってみたらやって、あっという間に片付いて、良かったと
思えるはずです。今は眠いですが、もう一息。

それから、お世話になった各所に御礼を伝えてまわっています。
今回、横浜市の皆さんにはとりわけ多くのサポートを頂きました。

文化部門も建築部門も、消防も、
以前は役所と人というともっと怖い感じがしましたが、
時代が変わったのか、自分がおっさんになったからか、
対応が柔らかく親身になってくれる手厚い方々ばかりで
ほんとうに助けられました。時に荒れ放題になる公衆トイレに
かわって、ずっとお手洗いを貸して下さった技能文化会館の皆さんにも
救われました。温かい公園場所でした。

明日の夜は水戸に行き、
週末に室井さんと椿さんのバッタを修復するお手伝いをします。
去年、室井先生が亡くなる直前に水戸芸術館に行ってから、
あっという間に1年が経ってしまったことを実感します。

これからは来月に行う『オオカミだ!』について考え、
7月末の『少女仮面』の準備を急いで行います。

3/27(水)『鐵假面』片付けも終了、残るは経理と報告書

2024年3月27日 Posted in 中野note
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今日は晴天のもと、ハンディラボで片付けをしました。
干せる限りのものを干し、できる限りきれいに畳んで収納。
太陽の力は偉大でみるみる乾いてゆく。

『鐵假面』のために製作したものは廃棄処分に。
ぜんぶで9m3の廃棄物を業者さんが持っていってくれました。

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差し入れをみんなで分けて頂きました。

あの、齋藤が作って劇場入り口に掲げた巨大鉄仮面を気に入り、
ハンディラボの唐ゼミ☆コーナーに飾ることにしました。
それまで飾ってあったジョン・シルバー人形とはお別れし、
この鉄仮面が新たなモニュメントです。

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事務処理はまだ終わっていません。
みんなから領収書をかき集め、支払いを行い、報告書を
躍起になって書いていきます。本当に公演のすべてが終わるまでは
まだもう少しかかります。

3/2(土)トイレの数を数える

2024年3月 2日 Posted in 中野note
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↑私では入ることができない

今日は稽古も作業も休みでした。そこで何をするかといえば、
トイレの数を数え、ポスティングをして回ることです。

あらゆる舞台公演の会場にはトイレが必要で、
その数もまた条例によって決められています。
客席〇〇平米につき1台という風に、観客席の大きさによって
その台数が定められているのです。

この所管は保健所で、このところずっと仮設建築に対する
申請作業を行なっていますが、その次は消防・そして保健所の許可を
得て初めて、公演ができるというわけです。

今回の『鐵假面』を行う関内駅近くの大通り公園には
立派な公衆トイレがあって、公演場所は目の前です。
というか、ここに公衆トイレがあるから、私たちは公演場所を
その前と決めたのです。そのくらいトイレは大事。

で、届け出を出すにあたって便器の数をカウントして提出するのですが、
これがなかなか難しい。というのは、自分は女性用トイレに入ることが
できないからです。かといって夜中に行ってこっそり数えるのも
ますます怪しい。

そこで、今日は椎野と大通り公園に行きました。
椎野ということは休みである子ども二人も連れて行かざるを得ず、
息子と娘を連れて4人で行きました。

そして、男性用トイレには小便器2台、大便器1台、
女性用トイレには大便器2台、プラスみんなのトイレ1台、
などと数えて保健所への書類に書き込むわけです。

せっかく来たので、4人で近隣の皆様へのポスティングも
しました。宣伝ではなく、挨拶回りです。

ガス・水道・電気・道路などの工事の際に、
それを告げる通達がポストに入っていることがありますね。
あれと同じです。3/14(木)から設営をして、3/20(祝水)から
本番、24(日)に公演を終えて片付けして26(火)には去ります、
というのを手紙にして、近隣のマンションなどに配って回りました。
焦点や病院や公共施設は、説明をして回ります。

子ども連れでこんなことをしていると、自分を取り巻く状況の変化に
気付かされますが、皆さんの反応も良く、面白い体験でした。
あと10日ちょっとで現場入りです。

3/1(金)ワダ タワーも美術の腕を振るう!

2024年3月 1日 Posted in 中野note
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私たちの美術製作にワダ タワーさんも助太刀に来てくれています。

今回のセットにはデザイナーの鎌田朋子さんが考えた抽象絵画的な
紋様があって、これは美術の領域です。
こういう時に強力なのが美大出身のワダさんです

ちょうど10年前に一緒に上演した『パノラマ』という芝居で
ワダさんは画工の役を演じましたが、それは実際に彼が美術の心得を
持っているからです。今回もその特技を活かしてパネルに画を描き、
さらに鎌田さんが仕上げにやってくるという手順で仕事を
進めてもらっています。心強く、頼りになる男よ!

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他方、今日も米澤はやってきてせっせと働いています。
昨日は齋藤により、牛丼の名店すき家で2,000円の豪遊をしたそう。
どうやったらすき家でそんな金額にいくのか、ちょっと想像できません。

そのうち自分も資金援助して米澤の栄養状態を高めたいと思っています。

2/29(木)米澤も作業中!

2024年3月 1日 Posted in 中野note
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米澤は今回、役者として『鐵假面』に出演しませんが、
以前として劇団員であり、きちんと作業に来てセットを作っています。

私がロンドンに行っている頃から他の団体に出演したり、
ワークショップによく出ているようで、以前は寡黙一辺倒だったのが
最近はよく喋るようになってきました。

米澤はあんこが大好きなので、お世話になっている方から頂いた
もなかをプレゼントしたところ、今日は二つ食べて美味しかったと
言っていました。というくらい彼は元気です。

米澤は面白い役者なので、彼が出演しないことはファンの方には
申し訳ありませんが、私もまた早く復活して欲しいと思い続けています。

米澤の近況はXで見てください。時々、ポストしているようです。
https://twitter.com/buWnhJMp3mczFVU

間を置いて会うたびにちょっと痩せたなと心配していたら、
今日は齋藤がご馳走していたようです。
やっぱり後輩劇団員が食えていないと心配になります。
なんだか共産主義社会みたいですが、劇団には確かにそういう
相互補助の要素があり、慎ましくてお互いさまの、
なかなか良い関係だと思っています。

2/28(水)みんなで作業中!

2024年2月28日 Posted in 中野note
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三木さんや角田さんが衣裳をつくり


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一歩くんや丸山くんや昼寝くんが鉄仮面の頭頂部を量産し

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さらに昼寝くんが、スプレーで鉄の重厚感を出すのを見るにつけ、


みんなでものづくりをする劇団の良さを感じます。
彼らの姿を見ながら全員で叩き上げた衣裳・美術・小道具を
武器にして、どうやって劇を仕上げていこうかと考えています。

とても良い奴らです。最高のコンディション、役やせりふの体現にして
彼らを送り出そう!



2/27(火)ハンディラボで作業中です

2024年2月27日 Posted in 中野note
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↑演技も著作も大好きな金田龍之介さん

昨日からハンディラボでの作業が始まりました。
大道具・小道具・衣裳・制作作業を一気に進めていきます。
こうなると、仕切りは舞台監督の齋藤です。
それぞれの適正に合った作業を割り振って全体を押し上げています。

私はといえば、みんなが作ったりデザインしてくるものを
ジャッジしながら、建築確認申請にいそしんでいます。
横浜市を相手にこれをするのは2019年以来で、
今回の行き来の中で、市庁舎が新しくなったのをまざまざと
感じています。キレイで良いけど、建物に着いてから
各部署に行くまでエレベーターが混んで10分くらいかかる時もある。
働く市役所員はさぞ大変だろうと思います。

また、今日は帰りにとても良いものを見ました。

横浜の若葉町には牛鍋の名店「太田なわのれん」があります。
さすが文明開化の地であるところの象徴の一つです。
自分はまだ行ったことはありませんが、興味は持っています。

若葉町ウォーフの近くでもあり、よく店の前を通りますが、
今日はこの店舗前に、宴会後のお坊さんたちが大挙して喋り合って
いるのを発見しました。ちゃんと坊主が金色の袈裟を着ている
スタイルで、嬉しそうに喋っていました。

なかなかの生臭感ですが、あまりにあっけらかんとして
かえって明るい気持ちになりました。俗っぽさが突き抜けて健康的です。
伊丹十三映画を思い出しました。『あげまん』の金田龍之介さんは
良かったなあ。素晴らしい俳優でした。



2/24(土)明日は『腰巻お仙 忘却篇』第2回

2024年2月24日 Posted in 中野note
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↑これは自分が学生たちとやった『忘却篇』のチラシ

明日から『鐵假面』の座組がハンディラボに集まって作業をします。
舞台美術を作り、小道具を作り、衣裳を作る作業です。
自分はご案内上で至っていないところなどを送りきり、
3/14(木)より劇場を設営するための許可申請やポスティングの
準備などもしようと思っています。
要はやることがたくさんあります。

一方で明日、日曜日は恒例の本読みWSです。
『腰巻お仙』シリーズを『忘却篇』から読んでいくという企画です。
何せ3本もありますから、初期の台本で短いとはいえ、
週に一回やって4ヶ月くらいはかかります。

1作目『忘却篇』は戸山ハイツで公演して警察沙汰、
2作目『義理人情いろはにほへと篇』は初めて紅テントをたてた公演、
3作目『振袖火事の巻』は機動隊に囲まれた新宿西口中央公園事件

とエピソード満載の公演ですから、自然と心が浮き立ちます。
『鐵假面』公演の合間にやっても気分転換になるし、
何より参加者の皆さんの様子を見ていると、初参加の方が何人か
いるのも含めて、期待感が高いように思います。

アンダーグラウンド演劇、として唐さんを唐十郎にしていった演目
と捉えられているのかもしれません。
『鐵假面』の準備の合間に、良い気分転換になっています。

お申し込みはコチラ→
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html

2/23(金)この数日でやりたいこと

2024年2月23日 Posted in 中野note
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↑津内口と麻子の声はよく出ており、安心。が、油断せずいく!

稽古がひと段落して、よく寝ました。
1月下旬に声が枯れ、騙し騙しやってきましたが、
ここらでピッカピカに治したいからです。声が出ないと力が出ない。

けれども、良かったこともあって、
それは、喉を痛めてしまった役者の情けなさがよくわかったことです。
本番の日の朝に不調を感じつつ公演に向かう時の悲壮感も想像が
できます。公演まで1ヶ月を切りました。コロナやインフルエンザは
もちろん、喉を無傷で初日に向かわせることが自分の務めです。

2/25(日)からは集合が再開して、
今度はハンディラボでの道具作りが始まります。
作業が苦手な自分にもできる仕事を齋藤がアレンジしてくれ、
大事な仮面づくりを行おうと思っています。
例え本番中に不具合があっても凌げるよう、予備だって作りたい。
タイトルロールですから。文字通り鉄仮面が主役の芝居です。
そのことを先日の全幕通し稽古でも痛感しました。
個性的な役柄が多いけれど、鉄仮面が主役!

ここから数日かけてやりたいことがあります。

『鐵假面』について、台本を新しくして音響用のものを仕立てる。
案内を送りきれていないお客様に封書をつくる。
仮面を作り、みんなの作業を見守りながら進めたい作業です。
大通り公園の近隣の皆さんへの手紙づくりとポスティングも
大事な作業です。最低でも迷惑をかけないように、できれば、
劇団の味方になってもらい、興味を持ってもらえるように。

それから、『少女仮面』の準備もしたいと考えています。
気づけば、『少女仮面』公演が5ヶ月後に迫っているのです。
せっかく劇場でやりますから、いろんなところに持ち運べる
私たちの財産を築きたい。こういうところにも、『オオカミだ!』
の経験が生きています。面白いのは最低限。フットワークの軽さも
心がけて、レパートリ化も狙っていきます。

そうそう。『オオカミだ!』の4月KAAT公演もある!

2/22(木)伏見行介×唐ゼミ☆写真展 横浜篇がスタート!

2024年2月22日 Posted in 中野note
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↑前回と同じ63点をぎっちり詰め込みました!@ギャラリー写蔵

自分でもビビっています。
四谷で写真展をしてくださった伏見行介さんが
元キャパ編集長の石田立雄さんと急速に話をまとめ、
横浜 大桟橋の近くにあるシルクセンターのギャラリーに
呼び出されたのが先週のこと。
そこから数日で、唐ゼミ☆写真展を再びやることになったのです。

この写真展は、実はもう始まっています。
シルクセンターのギャラリー写蔵にて2/22(木)〜25(日)まで開催。
その後、『鐵假面』公演に合わせ3/18(月)〜24(日)にも実施します。
回廊時間は11:00-18:00です。

伏見さんの会社のブログ
https://mashtokyo.exblog.jp/33690755/

思いつきから打合せ、新たにパネルなどの製作、
展示のための飾り付け作業までのスピード感について
伏見さんと石田さんのスピード感にはほんとうに驚きました。

自分もけっこうせっかちなのですが、
お二人の速さは只事でありませんでした。
しかも、その物腰にはぜんぜん力みが無いのです。

楽しい驚きです。
フッと思いついてパッとやってみせる。
用意周到な計画性も良いですが、まるで学生時代のような勢いに
最近の世の中に廃れがちな積極的ないい加減さを感じました。
まさしくインプロ。『鐵假面』もいや増しに盛り上がります。

2/21(水)なんとか全幕通す!

2024年2月21日 Posted in 中野note
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↑座組のマスコットとなっている鷲見武くんの熱演風景
10年以上の付き合いの中で、ほんとうに面白い役者になった


『鐵假面』なんとか全幕を通しました。
体調不良で一人欠席でしたが、他はフルメンバーです。
今週から加わった宇野雷蔵くん、昨日から加わった角田奈美さんも
加わり、初めて全体をつなげていきました。

今日のタイムでは、休憩込み118分です。
2時間以内に収めようという目標は達成されましたが、
質を高めて3分絞りたいところです。

全体を俯瞰して見ると、この『鐵假面』は実にメリハリの効いた
芝居です。真ん中にいる4〜5人の登場人物が、キャラ立ちの良い
他の人物をゲスト的に迎えては、個人技の応酬を受けていく。
そういうスタイルが実にハッキリしています。

ですから、やはりシーン毎に出てくるワンポイントの
人物たちをいかに面白く仕立てるかが勝負であり、
それを担う役者たちと一役一役、工夫を凝らすのはたのしい作業です。
もちろん、体調にも気を配ります。

ここ2週間はかなり根を詰めましたが、
明日から少し休み、日曜からハンディラボでの作業が始まります。
しばらくセットと衣裳、小道具づくりに邁進し、
再び稽古を立ち上げるのは3/4です。

本番約1ヶ月前に通し稽古が成立するのは私たち独特ですが、
作業をしていたらあっという間に時間は過ぎています。
最近は声が枯れ気味なので、ここで一気に治そうとも思います。

2/9(金)オルガン&バレエ公演の合間に

2024年2月 9日 Posted in 中野note
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今日は〈オルガンavecバレエ〉公演のゲネプロでした。
順調に上手くいっています。何度観てもとても豪華な公演で
明日の一回で終わってしまうのがつくづくもったいない公演です。

演奏される曲はバロックからコンテンポラリーまで多彩で、
すごく愉しめます。しばらく耳に焼きついて離れないでしょう。

一方、行き帰りには日本のSF音楽CDを聴いています。
『ゴジラ』で有名な伊福部昭を筆頭に、昭和の時代には
さまざまな怪奇映画がつくられ、日本の現代音楽家たちが
この分野で腕を振るい、しのぎを削ったことが伺われます。

これらを聴くのは、単に愉しみのためでもあり、
『鐵假面』の劇中にかける音楽を探すためでもあります。
以前はメロディアスな曲が好きだったのですが、
ノイジーで、少し聴いただけではメロディのパターンが
読めない曲がだんだん好きになってきました。

こういった曲が劇にハマると、一段上の魅力を発揮することに
気づいたからです。そういうわけで、音楽漬けの日々です。

いつも各地を移動しながら細かな時間割りで生活しています。
家と劇場を行き来するだけだと負担が少ないし、物事をじっくり
考えられます。事務作業もずいぶん進みました。

明日でひと段落するまで、もう一息です。

2/8(木)昨日からオルガンのことを考えています

2024年2月 8日 Posted in 中野note
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↑県民ホールの同僚がよろこんでくれた舞台写真


一昨日で稽古を一旦切り上げ、昨日からはオルガンのことを考えています。

今週末2/10(土)に神奈川県民ホールの小ホールで行う
〈オルガン avec バレエ〉公演を担当しているので、仕込みをし、
リハーサルをし、本番へと向かっているというわけです。
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/avec_2023

目の前でバッハやメンデルスゾーンの曲がパイプオルガンで
演奏され、ステージで研ぎ澄まされたバレエダンサーたちが舞っている
のを見ていると、前日まで乞食たちのファッションショーを
必死になってつくっていたのとギャップがありすぎて
笑ってしまいます。異世界に紛れ込んだような。

いや、どう考えても普段の唐ゼミ☆の方が異世界だよなあ。
そう思わずにはいられません。実際に、一緒に働いている
クラシック音楽畑の仲間に、来月にオレは12日間、公演のテントで
寝泊まりするんだよね、と言ったら、???マークがいっぱいでした。
仕方がないので、伏見さんの写真展で展示したフォトデータを
見せると、「なんか楽しそうですね」と言われたりして。

そんな具合に異文化交流を2/10までして、
2/11からはもとの世界にズブズブと帰っていきます。
そう。2/11は、唐さんの84回目のお誕生日です!

2/7(水)メガネよ、今までありがとう

2024年2月 7日 Posted in 中野note
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昨夜、『鐵假面』の1幕を初めて通しました。
皆が動き回り、キャラクターが立つようにつくってきましたが、
通して48分、上手くいったところもいかないところも孕みながら
新しい『鐵假面』をやりました。

みんなの運動量を増して攻め抜くやり方は成功していました。
なかなかの変人ショーで、気に入っています。
他方、リアリズム的な詰めがぜんぜん追いついていないので、
ひとりひとり、居残り稽古を重ねることで、全体に重厚な芝居に
なるよう底上げを図る必要を感じました。
早速、通し稽古の後は、昼寝くんが残って2時間ほど稽古しました。

しかし、あんまりせりふのやり取りを徹底しすぎると、
なんだかチマチマした会話劇になってしまうし、役柄は底抜けに
明るく、くだらなく、みんながみんな異様な偏執狂でもあるので、
稽古を始めて以来、一緒になって追求しているスケール感と
独自色を押し出し続けて行きたいと思っています。

基本的すぎることですが、断然みんなが個を持っているわけですから
それを押し出さないと。

そうこう思いながら次の稽古を思い描いて気分よく過ごしていたら、
ドアにぶつかった拍子にメガネが壊れました。
これはここ5年以上、レンズを一年に一度ずつ交換しながら気に入って
使ってきたフレームです。店員さんには3年ほど前から、
「そろそろ老朽化ですよ」と言われてきましたが、鼻あての金具が
ポキンと折れて、お別れすることになりました。

ずっと好きで使ってきたけれど、充分に頑張ってくれたので
惜しくはありません。また新しいフェーズに入るのだと、
そういう感じがします。

ロンドンで壊れた時用に用意してあったスペアが2本あって、
新たにそのうちの1本をかけ始めました。また新しい視点で、
いろんな角度から登場人物を解放していきたい。稽古の時間を
たっぷり確保して、徐々に徐々にやるつもりです。

2/5(月)杉田劇場に溢れたカオスの心地よさよ

2024年2月 5日 Posted in 中野note
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↑ピアノの傍でベストを着て立っているのが山下洋輔さん。その演奏で
みんなが舞台に上がり、踊りました

昨夜は本読みワークショップでした。
それで、いつもなら今日はレポートの日なのですが、
昨日のお昼から夕方の体験が強烈だったので、
先にこちらを書きます。

横浜市磯子区の杉田劇場は私が特に親しくしているホールのひとつです。

ここには、中村牧さんという名物館長がいて、
地域貢献をよくし、シニアやお子さんや障がいを持つ人にも優しい
劇場とはどんなところかを常に実践しています。

自分が5年ほど前から関わっている
ドリームエナジープロジェクトの主な発表の場としても、
杉田劇場はいつも支えになってださっています。

昨日はこの杉田劇場で、「ニコニコ冬まつりライブ」という
イベントが行われました。平和なネーミングの催しですが、
なかなか侮れないどころか、異様な盛り上がりでした。

土日で2日連続で行われたライブ、日曜はダンス編ということで、
山海塾の一員でもある松岡大さんが小田原で展開してする
スクランブル・ダンスプロジェクト、肉態表現家の戸松美貴博さんと
ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんによる肉態即興DUOが出演。

その間に、自分の参加するドリプロが出演し、
AYAKO先生の新作パフォーマンス『2月のおもい 2月のきおく』を
発表し、自分も出演してきました。

終盤の大団円は特にすさまじく、戸松さんの煽りで会場は総立ち、
誰も彼もがステージに上がりたい放題で、山下洋輔さんのピアノに
乗せられて全員が踊り狂うというカオスに突入しました。

最近の体調不良が嘘のように吹き飛んでしまう威力がありました。
久々に自由の風が会場内に充満するのを感じました。

胸のすくような思いをして、本読みWS目掛けて会場を後にしましたが、
かつて『ジョン・シルバー』や『腰巻お仙 義理人情』唐さんと共演した
山下洋輔さんに接することができたのは大きな収穫でした。

そして、やはりそれ以上に、最後にあらわれた狂騒の10分間は
今思い出しても稀有な体験でした。

1/31(水)写真展の終わり

2024年1月31日 Posted in 中野note
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↑建物一階に設置したこの案内も、丸めて持って帰ってきました

今日は写真展の最終日でした。
朝からの登板は津内口にお願いして、自分は横浜での仕事を片付けてから
四谷に向かい、12:30に到着して訪ねてきてくださる方を待ちました。

最後に駆け込みで来るよ、と言っていた伏見さんの言葉通り、
多くの皆さんが訪れてくれました。熊野とちろさんが来てくれた。
一緒につくった舞台の記録がいくらもあります。

他にも、その時々で舞台を見てくださっていたお客さんを
お迎えできて、被写体になっている芝居や場面、キャラクターへの
愛着を伺うことができました。普段、公演で会う時には
こちらは緊張しています。今回は写真のパワーのおかげで、
安心して話を聞くことができました。

15:00になると片付けを始めて、
これが実にスピーディーに、30分ほどで終わってしまって、
当たり前ですが公演の片付けとはずいぶん違うものだと思いました。

伏見さんの発案もあり、今回せっかく作ってくださった
写真のパネルは大事に受け取って帰り、保管することにしました。
劇団の大きな財産です。全てが並ばないまでも、
またご披露する機会をつくりたいと思っています。

1/30(火)写真展6日目&『鐵假面』立ち稽古3日目

2024年1月30日 Posted in 中野note
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↑松本くんは筋肉量が多く、すぐに大汗かいて半袖で動き回っていま

写真展、今日は米澤が登板の予定でしたが、
米澤が風邪をひいてしまって失礼をしました。
横浜で稽古があり、他の唐ゼミ☆メンバーはこちらに注力、
ギャラリー番は伏見さんに任せきりになってしまいました。

今日も新たな登場人物がやってきて、次々とシーンが展開していきます。
顔見世の1幕という効果が如実に出ているので、キャラクターを
立てることに試行錯誤しています。
登場してすぐに強く印象付けたいところ。
公園課職員役の松本一歩くんが登場し、
味の素の若手エリート社員役のヒガシナオキも立ち稽古の出番が
やってきました。
衣裳も考えています。ヒガシは味の素社員なので、
赤と白を基調につくろうかと思いますが、もちろんモデルはこれです。
今は可愛らしいパンダのデザインの容器に入っている味の素ですが、
昔のボトルは今や貴重品なんだそうです。
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1/29(月)写真展5日目&『鐵假面』立ち稽古

2024年1月29日 Posted in 中野note
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↑初演時に流行っていた萬屋錦之介版のドラマ『子連れ狼』に唐さんが
インスパイアされて、現在は鷲見武くんが演じている「中年男」という
キャラクターが生まれました


今日は写真展5日目。

きっと何人かのお客様がお越しになってくださっていると思いますが、
私たちがギャラリーの番を伏見さんにお任せして、
『鐵假面』の立ち稽古を若葉町WHRAFでやっています。

昨日のギャラリートークをしたことで、
今度の公演に期待してくださっている方々の表情を実際に見ることが
できました。浅草で公演してからの2年はイギリス滞在期間も相まって
特別な時間だったことに違いありませんが、自分にとっては、
ずっと続けてきた劇団活動が分断されてしまった時間でも
ありました。勝手をやっているのは自分なのですが、
一つ一つ、糸を結び直している、そういう感じがします。

立ち稽古はまだまだ序盤です。
物語の基礎である稲妻姉妹とタタミ屋の関係ができ始め、
乞食の群れはにぎやかにやっています。

紙芝居屋と中年男は苦労をしていますが、
それも、日常とはかけ離れた、現在の私たちでは想像しにくい
キャラクターを手に入れるために手続きととらえています。

両役を任せた佐藤昼寝くんと鷲見武くんとは時間を尽くし、
一緒になって確信を得た役柄と所作とせりふを獲得していくつもりです。
かたやハンディラボでは、齋藤が一人で作業を続けています。

一回、座組のみんなでお食事会をして、温かいものを食べたい。
そんな気持ちがもたげています。1幕稽古中に。どこかで!

1/28(日)写真展4日目! ギャラリートークの日

2024年1月28日 Posted in 中野note
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今日は写真展が4日目で、ギャラリートークを2回行いました。
それに合わせて来てくださった、伏見さんの仲間の皆様、
劇団のファンの皆様、元唐ゼミ☆メンバーや座組のみんなと
同窓会のようになって、ありがたい時間でした。

14:00の回は伏見さん&椎野と2009-2017年までについて
演目を追いながら話し、16:00の回は伏見さん&津内口&麻子と
2018-2021年の話をしました。

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前半は編年体で劇団の基礎情報や唐さんの話を交えてしましたが、
後半は、2018年頃から舞台写真だけでなく公演準備の撮影しに
来てくださるようになった伏見さんのスタイルの変化に合わせて、
ひとつの公演に関わるドキュメント的な話をしました。

津内口や麻子は、本番中もずっとそういう公演回りを整えながら
舞台に出入りして、唐ゼミ☆の舞台を担って来ました。
そういう彼女らが今度は『鐵假面』で主役をやろうとしている。
主役になれば舞台での居方が変わるので、その大きな第一歩に
なったのが昨日であったとも実感しました。

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それから、カメラ技術や性能的に、
テント演劇の乏しい照明や、小さな空間ですばしこく動き回る
役者たちを捉えるのがいかに難しいか、という話もたくさん
伏見さんから伺いました。

写真に写る舞台は、実際の舞台を超えた写真の中の舞台だと
自分は思って、実際にその通りになっています。
伏見さんは広告写真家なので、作家としてのご自身を出さない
ところに凄みがありますが、私たちにとってはクリエーターであり、
私たちに自分自身が何をしているか見せてくださったのだと
改めて良くわかりました。感謝です。

残すところ3日間。
1/29(月)10:00-18:00
1/30(火)10:00-18:00
1/31(水)10:00-15:00 までやっています!

1/25(木)写真展1日目

2024年1月25日 Posted in 中野note
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↑セブンイレブンを目印に5階に上がるとポートレートギャラリーです

今日は写真展初日でした。
早く起きてしまったので8:00には家を出て、
横浜から新宿三丁目まで電車、そこから歩いて四ツ谷を目指しました。
朝の都内を歩くことがは滅多になく、そう遠くないことがわかりました。

到着して伏見さんと落ち合うと、
スライドショーを仕込んだモニターを付け、
カバンの中にあったフルートのCDをかけてBGMにしました。

目下、『鐵假面』に使っている曲が入っているもので、
ピッタリきました。格調高い感じです。

10:00を過ぎると、
本読みワークショップの常連メンバーや、
学生時代から劇団を応援してくださってきた方、
室井先生のお友だち、出演して写真の被写体になってくれた
パフォーマーのご親族が来てくれました。

伏見さんのお客様として、
カメラや写真の業界の方々とお話しできたのも愉しい経験です。
久しぶりに腰を据えて一つ所で一日を過ごしました。

最後には、Project Nyxの稽古を終えた禿恵が来てくれました。
久々に食事をし、横浜まで一緒に引き上げました。
これはもちろん、彼女の写真展でもあります。
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1/24(水)写真展の準備 整う!

2024年1月24日 Posted in 中野note
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四谷ポートレートギャラリーにやってきました。
夕方から作業開始、伏見さんと進めてきた準備が目の前で次々に
結実し、ようやく実感が湧いてきました。

展示プロパーの皆さんがやってきて、
蛍光色の糸で水平を取り、巧みに釘を打ちつけて写真を壁にかけてゆく
作業はそれは美しいものでした。そこにキャプションが付く。

キャプションは、今週末の土曜日に小田原で安藤洋子さんと
神奈川県のシニアの皆さんによるダンス公演のプロデュースを
している津内口が、夜を徹して仕立ててくれたものでした。
これがピタリとハマる。ギャラリーの方に、ピンではなく、
マジックテープで壁に貼り付けるやり方を教わって、
いちいち感心。

そして、展示順の最終形に合わせて、
椎野が家で当日に配る刷りものを仕上げてくれました。
横浜に戻ってきて、現在は印刷を待ちながらこれを書いています。

現在の自分にとって、とてつもなく贅沢な時間です。
伏見さんが天使に見える。そして、一緒に舞台をつくってきた
メンバーに想いを馳せる時間でもあります。

当番の日は、お客さんとお話ししながら、
誰もいない時間に『鐵假面』の音響プランをつくろうと思います。
そういうもの全てをひっくるめて、これが伏見さんから授かった
足を止めて考える時間だと受け止めています。

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特に年明けから、
これまで関わってくれたメンバーに椎野から許可どりの連絡をして、
その報告を聞くのは楽しい時間でした。唐ゼミ☆の舞台に立ってきた
みんながどんな風にしているか、久しぶりに聞くことができて、
それも大きな収穫です。

いよいよ明日からです。ふらりと来てください!

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1/23(火)『鐵假面』〜立ち稽古をはじめました

2024年1月23日 Posted in 中野note
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私たちの新しい『鐵假面』のために、昨日から立ち稽古を始めています

会場は横浜、若葉町WHARF2階の稽古場。
唐さんの盟友である佐藤信さんがオーナーのアートセンターです。
管理人の須賀さんは自ら世人(せじん)というカンパニーを主催されて
いる方であり、だからこそ、この空間には絶大な安心感があります。

広い半野外ステージのスペースは取れませんが、
それでも、齋藤が工夫して間取りを考え、床にテープを貼りながら
役者たちに今回のセットプランを説明。稽古に入りました。

冒頭に音楽をかけます。
ロンドンでハマったジャズやレゲエが唐作品に合うかどうか、
実験しながら劇に入っていきます。サトウユウスケさんが新たに
作り直してくださった劇中歌の大合唱の伴奏も、みんなが歌いやすいか
初めの音を取りやすいか、検証しながら稽古をします。

何より、実際の野外空間を想定しながら、
どんな動きが想定されるのか、伝えながらのびのび動いて欲しいことを
伝えます。今までより格段に広い舞台を走り回っていこうぜ。
そう伝えています。今回の劇はアスレチック・プログラムだ。
そういう言い方もします。

冒頭から大汗かきながらみんなが演じて、大笑いしました。
さっきまで「寒いねえ」などと言っていたのに、すぐに暑がるように
なり、スタジオの窓は結露せんばかり。

コロナもあったし、海外にいて稽古をしていなかった期間も
たくさんありました。ホームに帰ってきた実感でいっぱいです。
幸先の良い稽古でした。

みんなの様子をよく観察しながら、全員で押し上げていきます。

1/19(金)車にも休暇を

2024年1月19日 Posted in 中野note
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↑1台目はシルバーのラフェスタでしたが、フリードは白。
一番傷が目立ちにくいのが白だということで

今日は朝から横須賀に行き、午後に品川、夜に初台に行きました。

いつもは車で動きますが、駐車場代もかかるし、
何より車を休ませたいので電車で移動することにしました。

車を気遣うということを、私は初めて買った10年落ちの
日産ラフェスタから教わりました。中古であるとはいえ、
購入時に1万キロ強しか走っていなかった彼は、
それはそれは自分に献身してくれました。

4年間で13.5万キロを走り、修理に修理を重ねながらも
『唐版 風の又三郎』浅草公演の仕込み中にどうしようもなく止まって
しまい、廃車にするしかないとわかった時には、涙が出ました。 
それほどに、苦楽をともにした仲だったのです。

それから自分を省みました。
自分はハードに車を動かすことで、悦に入っていたのではないか。
もっと優しく乗って、彼を長持ちさせることはできなかったのか。

いま乗っているホンダ フリードは、自分の車としては2台目です。
ロンドンから帰ってきた時に、奮発してハイブリットの新車を購入した
ものです。戦争は止む気配なく、これからガソリンが高騰すると
見込んでのことです。

1年経ってみて、やはり3万キロ弱走ってしまっています。

乗り始めて21.4km/1Lだった燃費が、徐々に落ちてきているような
気もする。そこで、人間にとっての休肝日のように、できるだけ
彼を休ませたいと思いが募っています。

幸い、1時は21.0km/1Lまで落ちた燃費も21.2km/1Lまで回復しました。
しかしこれは、高速道路に多く乗っているということでもあるので、
要注意ではありますが。


唐さんは昔、新品真っ白のズボンを大事にするあまり、
結局、一度もはかずに終わってしまったことがあったそうです。
自分と車の関係はさすがにそこまではいきませんが、
モノを偏愛し、モノが人格化してこそ、唐作品に取り組む資格が
あるということです。

初台でこれを書いています。
アイツが今ごろ、駐車場でよく休んでくれているといいなあ。

1/16(火)写真展準備と鉄仮面製作と稽古

2024年1月16日 Posted in 中野note
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↑こんな風に実際に試作品を被ってみながらフォルムや質感を調整
何より表情が重要です。装着する役者の身体のサイズによっても
適切な大きさが違う。そのへんを丁寧にやっています


今日は午前中からお昼過ぎにかけて県民ホールの仕事をして、
14:00にはハンディラボに到着、タイトルに掲げた作業に没頭しました。

写真家の伏見さんとzoom会議をしながら、
1/25(水)オープンの写真展に間に合うよう、
残りの作業を割り出しはコツコツと完成させていきます。

一方、工房スペースでは齋藤がオリジナル鉄仮面の
製作に当たっています。プロトタイプを作りながら、
意見を出し合いながらフィッティングをするのは楽しい。
けれども作業量は膨大です。

2007年に上演したときからずいぶん時間が経つ中で、
素材選びも工法も、だいぶ進化したことを思わずにはいられません。

何より、造形に託すコンセプトを確認しながら、それをより
叶える方法がないか、ビジュアル的にしっくりくるか、
検証しながら試行錯誤しています。

初号ができたら量産体制に入りますが、
鉄仮面はタイトルロールですから、まさに最重要アイテムです。
ズラリと並んだ時に思いを馳せながら作っています。

そして夕方からは稽古。
昼間の予定を終えたメンバーが集まってきて、
暖房を入れながら、それでいて乾燥しすぎないように本を読みます
あと一回、本読みを終えたら、キャスティングを全て決め、
1月下旬から立ち稽古に入ります。

↓本読みの様子に耳をそば立てながら作業する齋藤。工房は寒く、
足元にはヒーターを入れています
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1/12(金)ハンディラボ大掃除と美術打合せ

2024年1月12日 Posted in 中野note
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↑キッチンや洗面所周りを入念に掃除、ブリーチとハイターの応酬で
消毒くさい。『吸血姫』の看護婦長のせりふを思い出しました


今日は朝からハンディラボの大掃除。
唐ゼミ☆からは、林麻子と椎野と私の3人で繰り出しました。

そのそも、私たちの拠点であるハンディラボとは、
横浜市鶴見区にある倉庫のことです。
この中には、事務・作業・資材置きができるスペースがあり、
この場をハンディ・ハウス・プロジェクトという建築家集団が
管理に当たっています。

彼らは実に気持ちの良い人たちで、すごくカッコいい集団です。
メンバーの皆さんはいずれも自立した建築家やデザイナーさんたち
ですが、ハンディ・ハウス・プロジェクトとして、
施主も一緒に手を動かして作る家づくり・お店づくりを中心に、
オフィスカーや海の家、廃材を活用したオブジェづくりまで、
その活動はユニークかつ多岐に渡ります。

今日は久々にハンディ・メンバーが揃っているのに接して
少しおしゃべりしたりしながら、一緒に大掃除をしました。
唐ゼミ☆メンバーは事務スペースやお勝手周りを掃除して
実にスッキリしました。

その後は横浜市役所に行き、公園利用の許可証をもらい、
それから建築指導課とのやりとりを開始しました。
仮設建築確認申請。消防署と保健所への届け出。
これらこそ、芝居の準備に並行して自分がこれから闘っていく
なかなかの難題です。しかし、口火は切られたので、
これからガシガシ進めいきます。人間必死になれば、
風が吹いた時の荷重計算や吸排気の計算までできるように
なるのです。

あとは、鎌田朋子さんとの美術打合せ。
公演準備のための環境づくり、各所との手続き、
内容にダイレクトに関わる演技とビジュアルづくり、
これらが勢いよく走り始めています。
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1/11(木)よみがえる堺と京都の記憶

2024年1月11日 Posted in 中野note
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↑深夜、堺の食堂に行っていた頃。やなぎさんのおかげで新宮にも
よく行き、あの落合博満記念館も訪ねるという役得に預かりました


今日は日帰りで関西に出張しました。
唐ゼミ☆でなく神奈川県民ホールの仕事です。
堺市と京都市、弾丸で2か所を巡りましたが、
久々に見た街の景色に、過去に関わったプロジェクトの数々が
去来しました。

まず、堺市といえば、2016年に取り組んだやなぎみわさんの
トレーラー演劇。あの時は演出助手で参加しましたが、
名村造船所の倉庫の中で初夏にした格闘がまざまざと甦りました。

あの時は、とある美術教室のソファに寝起きして歩いて稽古場に通い、
よく住吉大社にも散歩に出かけました。深夜作業に煮詰まると、
スタッフの黒飛くんや井尻さんと連れ立って堺の市場まで足を伸ばし、
夜中に食堂であさり汁を食べたのを思い出します。

食べた後のあさり殻を床に捨てるという習慣のある店で、
帰りに貝殻をバキバキと踏みしだく楽しい想い出があります。
まだ長男が生まれる寸前の、おもしろい滞在でした。

京都はもう、圧倒的に唐ゼミ☆公演の思い出です。
立誠小学校のグラウンドや校舎で行った劇の数々、
皆で泊まった修学院の大学宿泊所や、四条と五条の中間にあった
ドミトリーを思い出しました。

移動の合間に、『鐵假面』の美術や衣裳について考え、音響を練り、
写真展に必要な文章を書いたりしています。
もう少しで新横浜。今日はこの辺にしておきます。

1/10(水)大里先生の話とギャラリートークの準備

2024年1月10日 Posted in 中野note

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↑1/28(日は)ライトに楽しめるコミック・ソングをフューチャーします


今日、県民ホールでは週末の公演のリハーサルがスタートしました。

作曲家の夏田昌和さんと生誕150周年のA.シェーンベルクを共演させて

それぞれの作品を演奏するC×Cという企画です。


早朝に、エレクトロニクスを担当する有馬純寿さんの機材搬入をお手伝い。

初めて有馬さんとお話できました。ちょうど2001年に私たちがバッタと

格闘していた頃、有馬さんも横浜トリエンナーレに参加して激しく

プロジェクトにぶつかっていたそうです。


椿昇さんとも多くの仕事をしてきたということで、

これまで遠巻きにスゴい方だ!と思っていた有馬さんが一気に身近に

感じられました。


また、現代音楽雑誌の編集者時代にパリから戻りたての大里先生に

取材されたそうで、苦労した話を聞かせてもらいました。

自分の車になんとか機材を押し込んで、かなり愉しい移動時間でした。


それが終わると、ハンディラボに移動し、

今度の写真展で行うギャラリートークの中の劇中歌の稽古。


椎野と麻子が行うセッションをブラッシュアップしました。

工房では齋藤が鉄仮面の試作品を着々と作っており、

それによって、目指すオリジナルの仮面のかたちが見えてきました。

拘束感があって、シャープで、無表情で、

その無表情の下に演者の表情が渦巻いている。

そういう仮面を目指しています。


麻子と衣裳デザインの構想を練ったり、

サトウユウスケさんから新たな劇中歌伴奏が届いたりすると、

そういう一つ一つを吟味し尽くす時間が、もっともっと欲しい!

1/9(火)稽古しています

2024年1月 9日 Posted in 中野note
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稽古しています。
出演者が集まって、『鐵假面』の稽古が始動しています。
本読みをして、散りばめられたネタを一つ一つ伝えて、
さらにそれぞれの登場人物の変遷を探ってゆきます。

劇の中で一流企業「味の素」がクローズアップされますが、
横浜国大を卒業して食品業界でバリバリ働きながら劇を続け、
今回もこうして唐ゼミ☆に出ている東くんから、
味の素社のエピソードを皆で聞いて唸ったりしました。

うま味調味料だけでなく、アミノバイタルもあるし、
クノールカップスープもあるのです。
やはり業界の雄の座に君臨し続けている。
そういう話が参加者から聞けるのが、稽古の合間の面白い時間であり、
それで一つ稽古場と劇がハネるのです。

と、同時に。劇中歌の練習をしたり、
衣装についてのプランを出したり、肝心の鉄仮面について
今回の劇にふさわしいデザインを編み出しています。
ネットや一昨年にイギリスで買ったカタログを
眺めて鉄仮面を要素に分解し、劇に必要なパートを掛け合わせて
微妙にオリジナルな鉄仮面を作る作業です。

こういう作業をしていると、
『NINAGAWAマクベス』の仏壇を思い出します。
あれは美術家の妹野河童さんが数多の仏壇を見て回りながら
要素を結晶させた、ありそうでない仏壇デザインなんだと聞きました。
僕らがやっているのは、その鉄仮面版です。

これから本番にたどり着くまでに際限の無い作業の連続で
気が遠くなりますが、まずは一歩を踏み出し、踏みしめています。

1/4(木)今年もやります『オオカミだ!』

2024年1月 4日 Posted in 中野note
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↑今年に行う2回の唐ゼミ☆公演の間に、『オオカミだ!』もやります

プロデューサーのテツヤさんが運営するヨルノハテの劇場が
神奈川県演劇連盟に所属していることから、連盟が枠を持っている
KAATでの公演が実現します。

他にも人形と音楽が紡ぐ『はまべのうた』。
異色のチェリスト・五十嵐あさかさんが繰り広げるコンサート
『水曜日の夜』という3本立てのショーケースを行うなかで、
この『オオカミだ!』も3回公演します。

思えば、ロンドンでの滞在中。
異常気象の夏にウンウン言いながらこの台本を書きました。
ちょうどBBCプロムスの頃だったので、当日券でスタンディングの
席を買い、一度ホールの外に出て日陰の階段に腰掛けてZoomで
話したのをよく覚えています。

ロンドンのケータイ・キャリアは押し並べて日本のものより
電波が脆弱で、なかなか難儀した記憶がありますが、そのような
頃から準備して、去年の2月に初演し、9月にもやり、
先日の青梅の中学校や来月の離島の学校公演を経てKAATでも
公演できるというのは、ありがたいことです。

荷軽につくって何度も公演できるように仕立てる。
それは劇団の演目展開にとっても次々に公演の口がかかることは
大きな目標ですから、『少女仮面』こそは少人数、シンプルな
展開からして可能性があるかもしれない。

そういうこともプランを組む材料にしながら、今年の公演を
思い描いていきます。



1/3(水)痛恨の池ポチャ

2024年1月 3日 Posted in 中野note
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↑初めてスイッチのコントローラーに触れました

新年3日目にして色々ありました。

絵に描いたようなベタな失敗なのですが、
息子の期待に応えて動物園の池でボートに乗ったところ、
渡英前より愛用していたiphone13を落としてしまったのです。

あ、と気づいた時にはすでにパーカーのポケットから
滑り落ちていたらしく。皮肉なことに椎野が撮影した映像には
「あ、ここで落としたな」というボチャンという音が入っていました。

が、水深3メートルの深みは如何ともしがたく、おさらばすることに
しました。ケータイショップをすぐに予約し、即座に復旧。
名古屋のヨドバシカメラに殺到して強化ガラスとカバーも新たなものに
しました。現在、iCloudにあるデータを移行中。

とまあ、なかなかの惨事ではありましたが、
朝から快調に写真展の準備を終えていたので、
名古屋の実家から東山動物園に至る途中にはあった城山八幡宮に
初詣に行くことができました。

かつて『木馬の鼻』の野外演劇版を上演した場所です。
あの公演を行ったのももう10年前、
高台にある城山八幡宮はなかなかの賑わいで、混みすぎることなく、
わずか20分の滞在で存分に楽しめました。

ちゃんと横浜へのお土産も買い、
あとはもうヤケクソで息子と一緒にポケモンをやりました。
人生で初めてのポケモンです。

こちらは物語進行がよくわからないので、ひたすらレベル上げ係。
これがけっこうハマって、昔、ドラクエなどでひたすらザコ敵を
倒していたのを思い出しました。

・・・というわけで、スマホが新品になって横浜に帰ります。
明日は肩慣らし程度に働いて、明後日5日から本格始動。

1/2(火)スライドショーづくり

2024年1月 2日 Posted in 中野note
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↑懐かしき2024年夏の野外劇。この状態から10分ちょっとで劇場が
組み上がり、芝居が始まるという趣向でした

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↑10分後にはこんな感じ。音響には拡声器型スピーカーを選びました

作業しています。

1/25(木)からはじまる写真展では、約70点の写真を飾る予定です。
これの選定はあらかた終わって、伏見さんが画質をブラッシュアップ
してくださっています。

それとは別に、モニターを使ったスライドショーも用意しています。
せっかくだから、ダイジェストで公演を一本分観た気になって
もらえたらと思い、約5分ワンサイクルの素材を3本準備しています。

一つは最近作の『唐版 風の又三郎』。
もう一つは唐ゼミ☆唯一の唐十郎書き下ろし作品『木馬の鼻』。
そして、打ち合わせやテント設営の風景を収めたドキュメント。
この3本です。

1点を視認できる5秒×60点=300秒=5分を目安に選んでいます。
伏見さんは一回あたり400〜500カットを撮影して下さっているので、
85%を削る必要があり、この選定がなかなか難しいのですが、
吟醸酒を作る酒蔵の気持ちになって削り込んでいます。
それに、一枚一枚にレビューをつけて物語の進行を紹介します。

5分ワンサイクル。
これは自分の趣味の問題で、美術の展示などで映像作品に
付き合うのが苦手な私は、どうしてもサクッと観られるようにしたい
願望が強いのです。自分が落ち着きが無いので、他人様にも
じっとしている時間は短くあって欲しいという願いを込めています。

これが終わったら、冒頭の挨拶文を書き、
さらにギャラリートークの練習。これはいくつかの劇中歌を
歌うので、歌を練習しようというのです。歌唱自体と、きっかけから
歌への流れだけはあたっておきたい。

年始には『鐵假面』の稽古がスタートして本読みをしますが、
同時進行で写真展の準備も行います。なかなか贅沢な試みなので、
目の前の忙しさにかまけず、この機会を粘りきっていきます。

1/1(月)今年もよろしくお願いします

2024年1月 1日 Posted in 中野note
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新幹線の中から撮影。車内は外国人観光客多めでした。

明けましておめでとうございます。
今年は劇団公演を2本やります。『鐡假面』と『少女仮面』。
奇しくも仮面ばっかりかぶる一年です。

年始は写真展からスタート。
1/25-31に四谷ポートレートギャラリーで展示を行い、
1/28にはギャラリートークをして劇中歌も少しやろうと考えています。

昨日から今日にかけていろいろありました。

仕事自体は12/30に納まったので、大晦日は身辺整理に。
このところ、初期の唐ゼミ☆に関わっていた山崎雄太君が
横浜市による新港地区でのイルミネーションやライトアップ、
プロジェクションマッピングを担当しており、それを見に行きました。

人手が必要ということで、劇団員の齋藤や米澤、
平泳ぎ本店の松本一歩君も関わっており、昨晩は米澤と一歩君に
会えました。冬場の野外プロジェクション運営は大変そうです。
暖冬とはいえ、雨の日もあるでしょう。風邪ひかないと良いけれど。

それから、北野武監督の『首』を観に行き、広い映画館を
他4名の観客と貸し切り状態で観ました。

かつてあれだけ通った映画館から最近は随分と遠のいていて、
2023年に観たのは『ドラえもん』『ハマのドン』『首』の3本のみ
という状態です。2024年はせめて2桁は観られないものか。
遅ればせながらジブリも観たいし。

22:30には倒れ込んで、久しぶりに長いこと寝ました。
朝は展覧会に備えて写真の選定などして、
それから、年始ということで白川静先生の『初期万葉論』より
『呪歌の伝統』を再読しました。柿本人麻呂の詠んだ安騎野冬猟の
情景に、現在の大晦日に野営して父霊と交流し、陽の出とともに
新たな力を得る軽皇子の姿を描いたものです。

3月のテント番は寒くなりそうですが、
よし、自分もそんなつもりでやろうと思いました。
現在にも古代人的なものは生きている。再び野外演劇をやるのだと
思うとそんな感覚が研ぎ澄まされます。気宇壮大です。

その後、ポストに届いていた年賀状をチェックしてから
返信用のハガキと台本をリュックに詰め込み、新幹線で移動。
富士山も見ました。

実家に着いてみたら、先に来ていた家族のうち息子は熱を出しており、
さらにこの地震です。このところ関わってきた北陸の人たちや施設の
ことが気掛かりです。

12/29(金)フルートの神様

2023年12月29日 Posted in 中野note
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↑4枚組を聴いています。至福!

一昨日に唐さんと音楽の話をしましたが、
最近、これが気に入り!という『田園幻想曲』の演奏家を見つけました。
マルセル・モイーズという人です。

きっかけは毎週日曜にやっている本読みWS。
ちょうど本読みをしながら『田園幻想曲』をかけようとiTuneを
立ち上げようとしたところ、何か不具合。
慌ててYouTubeを検索しました。

すると、マルセル・モイーズという人が引っかかりました。
正直、この曲なら誰でもいいやという気持ちで皆さんに紹介しましたが、
一聴して、これまでに聴いた中でも抜きん出た演奏だと思いました。

WS終了後はもうこれの虜で、何度も何度も聴き、
中古で売っていたCDも、ちょっと奮発して買いました。
1930年代の演奏で、時代相応にノイズが多いのですが、
それを貫いて表現が濃く、テクニックが凄まじいのです。

唐さんの好きなランパルはオーケストラによる伴奏ですが、
こちらはピアノ伴奏なのも良い。伴奏がスッキリしている分、
肝心のフルートがより引き立つように自分には感じられます。

県民ホールの同僚にフルートをやっている女性がいるので
このマルセル・モイーズという人がどういう人か訊いたところ、
フルート界において神様と称される存在だそうです。どうりで!

20世紀初めに近代のフルート演奏法を確立した彼は教則本を作り、
その影響力は現在にこれからフルートを習う人もテキストにするほど
現役バリバリだそうです。さすが!

とにかく気に入って聴いています。本番で使うかどうかわかりませんが、
良い音楽を聴いていると、目の前に鮮やかに『鐵假面』の世界が
拡がります。

12/28(木)すべての段差が眩しい!

2023年12月28日 Posted in 中野note
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↑これで痛くてたまらないという情けなさよ・・・


先日、月イチで通っている整体に行ったところ、
ストレッチボードを勧められました。
試しに乗ってみたところ、まずは激しく痛い。
そして急角度で後ろに倒れてしまう。
あるいは、へっぴり腰になってしまう。

70歳の先生は笑いながら自分が乗ってみせて、
そこで見事な立位体前屈を見せました。
さらに笑いながら、「とりあえず三日も乗れば痛くなくなりますよ」
などと言います。

ちょっと心惹かれたけれど、お金もかかるし、
うちに物が増えるのが嫌なので躊躇していたら、
先生は、「こんなのは段差があれば簡単にできる」と
手軽な方法を教えてくれました。

以来、道にあるあらゆる段差が輝いて見えます。

自分の硬い体に優しい低めの段差。
挑戦すると思わずのけぞってしまうスパルタな段差。
いろいろですが、ゆっくり息を吐きながら身体の裏側を2分くらいかけて
伸ばすと、妙にスッキリすることに気づきました。

「とりあえず三日も乗れば痛くなくなる」という予言は叶えられて
いませんが、朝にウロウロするついでに続けてやってみるつもりです。
壁や自販機に向き合って、はたから見たら変な姿ではありますが。

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12/27(水)唐十郎流、音楽と劇作

2023年12月27日 Posted in 中野note
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↑本に掲載された楽譜を見ると『あんたが死んだら』の作曲は李礼仙さんに
なっています。編曲は山下洋輔さん


昨日にも紹介したドップラーの『田園幻想曲』という曲は、
1960年代後半から70年代前半の唐さんの創作意欲を
大いに刺激したようです。

音楽に惹かれて劇作をするというのは、
唐さんの場合、他にも例があって、例えば有名な『少女仮面』は
メリー・ホプキンの『悲しき天使』をヘビーローテーションで流しながら
たった二日で書いたというのを聞いたことがあります。

当時はレコードですし、リピート機能も無いので、
劇団の若手であった十貫寺梅軒さんがレコードに張り付いて
リピート役として延々、針を落とし続けたとも聞きました。
あれなど、音楽の世界に耽溺しながら唐さんが書いた好例です。

他にも思い浮かぶのは、ギリシャの作曲家ミキス・テオドラキスが
映画『フェードラ(邦題:死んでもいい)』のために書いたテーマで、
それを唐さんは『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』から『吸血姫』
にかけて多用し、劇中歌のメロディにも応用しました。

そして『田園幻想曲』。
この曲が『鐵假面』に鳴り響くフリュートの音楽だと私に教えて
くれたのは亡き根津甚八さんのブログによってですが、
そのメロディを初めて聴いた時、私はそれが『鐵假面』だけでなく、
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』三幕で美少年の歌う
『あんたが死んだら』の原曲であることにも気がつきました。

『あんたが死んだら』は単行本に楽譜が付いています。
初めて『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』に取り組んだときには、
だから、この劇中歌は小室等さんの手によるものだと思っていました。

ところが、『鐵假面』をきっかけに『田園幻想曲』に辿り着いて
みると、それがこのフルートの名曲を応用した歌であったことにも
わかってきたのです。他にも、イタリア人歌手ミルバの『リコルダ』
から『ジョン・シルバーの唄』を作ったり。

芝居づくりを通じて、当時の唐さんの音楽的劇作術も見えてきます。

12/22(金)「あっぱれフェスタ」が終わる

2023年12月22日 Posted in 中野note
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↑本日のピンスポット。レトロな機材には「やってる感」が絶大にあり、
なかなかに達成感がありました

夏以来、準備を行ってきた「あっぱれフェスタ」が開催されました。
横浜市旭区にある福祉施設が集まり、展示やマルシェを複数日に渡って
展開するイベントです。コロナでのオンライン開催を挟みながら
今年で第10回を数えます。

自分は、その中で行われるD-1グランプリ。
つまり、演(だ)し物を競い合うステージもののコーナーで、
参加団体のひとつである「空とぶくじら社」のコンテンツづくりを
サポートするために参加してきました。

内容としては、
石川さゆりさんの『天城越え』を歌って演歌歌手デビューしたい女性、
同じ曲にのせて踊りを披露したい女性のショーをつくり、
その上で、坂本九さんの『幸せなら手をたたこう』の合唱を、
施設の皆さんと協力して仕立ててきました。

客席からあらかじめ工作した巨大な歌詞カードを出したり、
みんなで声援を送る練習もしてきました。後半の曲は、
客席通路にひしめき合って振り付けをしながら合唱するたのしさも
追究しました。両楽曲ともにヒットナンバーですから、
大いに支えられながら、人数の多い空とぶくじら社の面々が
協力して10分弱のショーを実現するようリハーサルを重ねました。

本番は、出演者全員がステージライトと多くの視線を浴びることで、
高揚しているのがわかりました。

自分はただ観ているよりも手伝ったほうが面白いので、
劇場機構に不慣れながらも協力して役割を果たしている
各施設選抜の実行委員会の皆さんの列に混ぜてもらい、
全編を通じたピンスポット係をやって充実しました。

北中スクール以来のご縁だった権藤由貴子さん、
現旭区長も自らフルートを手に舞台に立ち、誘わせたトリオで
演奏をしてくれました。賞をめぐる皆さんの闘いはかなりガチンコで、
噂に聞いていたD-1NO仁義なき戦いぶりを目の当たりにしました。

結果、空とぶくじら社は優勝を逃してしまい、
実際に体験するまでは「勝ち負けは関係ない」と言っていたものの、
「勝ちたかった」「勝たせたかった」という思いも芽生えて笑ってしまいました。
正直、勝ちたかった!

その中で、真に立派なのは、
やはりカプカプの鈴木励滋さんと真帆さんのコンビでした。
彼らは支えに徹し、励滋さんは裏を取り仕切り、真帆さんは審査中に行われた
審査対象外の合同演し物で、ひたすらみんなの心が解放されるよう
願いを込めて踊っていました。

この二人がいなければ、
こんな風に年末に集まって、大勢がしのぎを削り、
感情を揺さぶらせて自分を燃焼させることもなかったのです。
大変なことだと思わずにはいられません。

今年に亡くなった室井先生が言っていた通り、
すべての事業は、まずたった一人の頭の中から始まり、
たった一人の頭の中からしか始まらないのです。

二人に対して絶大に敬意を覚えました。
彼らのために何かできることがあったら、またやってみたい、
やらなければならない、そう思わせてくれる集まりでした。
あっぱれフェスタ、第11回に続きます。

12/21(木)浮かびあがる「鐵」の文字

2023年12月21日 Posted in 中野note
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先日、打ち合わせに行った先で、お土産をもらいました。
行ったのは杉田劇場という磯子区の劇場です。

ちょくちょく教えに行っているNPO法人ドリームエナジープロジェクトの面々が
2024.2.4(日)にこの劇場で行われる「にこにこフェスティバル」に
出演できることになったので、舞台打ち合わせに行ったのです。

ここの館長さんは、伺うたびにおやつをくれたり、
お土産をくれたり、地域の敬愛を集める優しい方なのですが、
昨日は「鉄観音茶」の茶葉をもらいました。

ここで、グッときてしまう。
もはやこの、旧字の「鐵」という字を観るだけで、
自分はもう、今度の上演をどんな風にしよう?という考えに
囚われてしまう。そして同時に、このパッケージを宝物のように
感じてしまうのです。当然、実際にお茶を淹れて飲むなんてとんでもない。

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また、北中スクール以来、
よく食事に行く馬車道にはその名も「鐵(くろがね)」という鉄板焼き屋が
あったことも思い出しますし、新横浜駅に行く時に車を停める篠原口の
近くには、同じ「鐵(くろがね)」という焼き肉もあります。

喜ばしいことに、2パターンある「鉄」の旧字のうち、
いずれもが唐さんが選択した、真ん中に「王」がある方です。
焼肉屋には、一回気合い入れに行った方が良いんじゃないかと思っています。

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12/15(金)「あっぱれ・フェスタ」まであと1週間

2023年12月15日 Posted in 中野note

IMG_5803.jpg ↑迫力に満ちた全体チラシ

この秋から、複数回に渡って横浜市旭区の福祉施設 「空とぶくじら社」に通っています。この施設名、実に良い名前。

きっかけは、カプカプひかりが丘の鈴木励滋さん。 旭区内の福祉施設が集まって毎年開かれたきた「あっぱれフェスタ」 の名物コーナーD-1グランプリ(Dは演し物のD!)に挑む 空とぶくじら社のアドバイザーを引き受けることになったのです。

夏に顔合せを行って、 本格的に演し物を構想し始めてから、今日で4回通いました。 その間に、演歌歌手になるのが目標のHさんと踊りを踊りたいYさん のデュオ・ショーを作り、それから皆さんの合唱、という 2つのコンテンツを軸に全体の流れを考え、整えてきました。

今日は施設での最終稽古。 あとは現場でのリハーサルと本番を残すのみでした。

朝に私が到着すると、皆さんはかなり緊張していて、 自分が観にくるのに備えて準備を進め、そうやってドキドキ して待っていてくれたのをひしひしと感じました。

こちらは、皆さんにリラックスしてフルパワーが出せるように なっていて欲しいのに、やっぱり緊張感を与えしまっているなとも 思ったし、それはそれで超えるべきハードルとしてこの場にいれば 良いのかな、とも思いました。

そして、なんだか、私たちの学生時代に 唐さんはこんな気持ちだったのだろうかとも考えました。

大学生時代、 ゼミナールのある木曜日に唐さんがやってくると、 通し稽古に何とか私たちはそうれはもう緊張していました。 今にして思えば、唐さん自身は活き活きと演じてくれよと 願っていたと思いますが、そんなことに気がまわる余裕もなく、 喉をカラカラにしながら通し稽古を見せていたはずです。 空とぶくじら社を通し稽古を通じて、そんな記憶まで蘇りました。

1度通してからはすぐに修正点を出して、それからもう2度、 10分のショーを繰り返しながらブラッシュアップしました。 こうなるとこっちも懸命で、他のことは何にも考えなくなり、 後して、けっこうスパルタだったなと思いました。

次の木曜夜に会場の旭公会堂でリハーサルをして、 12/22(金)に本番です。初参加なのも手伝いすごくたのしみです。 仕上げに客席から、みんなに掛け声をかけたいと思っています。

12/14(木)ザクの声を聴け!

2023年12月14日 Posted in 中野note
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以前、SDガンダムのプラモデルの進化に驚きました。
球体関節が至るところに取り入れられ、とにかく色んなところが
動くのです。プラスチックの質自体も明らかに向上し、
枠から必要パーツが外れやすいのにも驚かされした。

その後、お世話になっている人が息子に
リアルタイプのザクをプレゼントしてくださったので、
これも張り切って組み立てました。が、朝の6時台から二人で
取り組み、結局5時間ほどかかりました。

特に序盤は細かいパーツで溢れかえり、
一つ一つを見つけ出すのに異常に難儀し、目は疲れ、
肩が凝りました。明らかに小学校1年生の手に余るシロモノで
ここはオレがやるしかねえと思い定めて、何度も「明日に回そうかな」
と思いながらも、さらに追い込まれる恐怖が先に立ち、
完成にこぎ着けました。

確かにカッコいい。

しかし、何が驚いたといって、不要パーツが4割ほど
残ったことでした。それらは、初めから必要のないものとして
梱包され、最後まで使用されることのないままにしておかれる
パーツなのです。この方が大量生産上の効率が良いのでしょうが、
自分の小さい頃にはこんなことは無かったので、仰天しました。

それに、息子にザクを買い与えてくださった方には
一つの信念があるようなのです。世の中は、
誰もがガンダムになれるわけじゃない。多数のザクがほとんどなんだ。
だから、ザクを大切にしなくちゃいけないんだ。
そのかたはそのようなことを言いながら息子にザクをプレゼント
してくださいました。ガンダムよりザク、仮面ライダーよりショッカー。
カイジより黒服たち。

ここには、有名性より無名性の美学を押し出した寺山さん的なるものも
宿っているように思われます。

12/13(水)年末年始に向けて

2023年12月13日 Posted in 中野note
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↑Merry Christmas & A Happy New Year from Japan が伝わりやすい
カードを用意しました。セットの封筒に入れて、投函!


今日は劇団集合でした。
3月の公演に向けて準備をしています。
出演者やスタッフに対して、事務的な準備と、作品的な準備と
両方を進めていきます。

それから、来年初夏にも公演したいので、その準備も行っています。
私たちはいつも一つの公演をやっては、その次、その次、
とたいへんに分かりやすく活動してきましたので、
ここでちょっとした計画性を求められて、
二つの公演の準備を整理しながらやっています。

それから、年末の準備。
年明け、1月末には写真展もあるし、年始の挨拶もメールやハガキで
したいし、そのためのデザインや文案作りも躍起になってやっています。
公演準備→写真展→稽古→本番をしながら、同時にずっと本読みWSも
やりたいので、その予定や内容組みもしました。

・・・気が遠くなるような作業ではありますが、
それでも、何人かで頭を突き合わせてやっていると、
その中に楽しさもあるし、食事の時間をとって落ち着いたりもするし、
何より仕事が進みます。

それから、個人的にも、
ロンドンに向けてクリスマスカードを出しました。
向こうでは特に12/24-25がクリスマスというのでなく、
12月全体がクリスマスだと知ったのは去年のことです。

逆に言えば、カードは12/1から受け取りOKなので、
これも遅くなっているのが気にかかっていましたが、
やっと書いて送りました。切手代は一通あたり140円。
この安さは感動的です。数日後にはイギリスに届くのだと思うと
人類は大したものだと思う。

目まぐるしく動いています。
みんなで片っ端からやっつけて年末までには落ち着いていることが
目標です。12/18(月)にはハンディ・ラボの大掃除もします。
嗚呼、やること満載!

12/12(火)フランチェスカよ、先に言え!

2023年12月12日 Posted in 中野note
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↑フランチェスカ・レロイさんに一年ぶりに会いました

去年、ロンドンで出来た外国人の友人に、初めて日本で会いました。
彼女の名はフランチェスカ。研修先だったThe Albanyで行われていた
シニア向けワークショップ "Meet Me"にボランティア・スタッフとして
参加していた女性です。
※"Meet Me"とは、高齢者たちが集まって美術創作や合唱を練習をするもの

研修のかなり終盤に出会ったフランチェスカは、
自分は作曲家であり、2023年に日本で演奏会があることを
教えてくれました。それが12/10(日)に自由学園明日館で
行われたのです。せっかくロンドンから来て、しかも彼女は
演奏会全体の企画者でもある。これは大変なことだと感じましたし、
彼女が事前に丁寧なお誘いメールをくれたこともあり、
本読みWSの日にちを振り替えて出かけることにしました。

結果、その会はすごく良かった。
日本の女流作曲家に焦点をあて、トークを交えながら演奏を聴かせ、
最後にはフランチェスカの新作を初演するという趣向でした。

また、その新作の内容が振るっていて、
大逆事件で殺された伊藤野枝の詩を薩摩琵琶にのせて歌うという
ユニークなものでした。演奏を聴くと、フランチェスカの発想が
よくわかります。

つまり彼女は、平家物語などの軍記物を琵琶法師が語ったように、
伊藤野枝という女性の闘いを琵琶に乗せたかったのです。
社会的な戦争→個人の戦争を琵琶で語るというアイディアが面白い上、
野枝の日常のストレスを琵琶にのせる歌うと、
その大仰さが笑いにもなるのです。

あいつが許せない!キーッ!
みたいな部分をフツフツとした琵琶のノイズと弱音でやられると、
コミカルでもありました。

ああ、フランチェスカはホンモノなのだなと思いました。
当日に配られたパンフレットで経歴を見ると、日本で賞も獲っている。
さらに驚いたことに、谷崎潤一郎の『鍵』をもとに作品をつくっている。

・・・要するに、彼女は谷崎潤一郎や伊藤野枝を読みこなすくらい
日本語ができたのです。日本人でも彼らを読む人は少ないというのに。
必死に英語でやりとりしてたことがバカバカしくなりました。
先に言えよ、フランチェスカ!

次に来日したらまた会おうと伝えました。
文学、自分はけっこう詳しいよ!
少なくとも、葉山の日影茶屋に案内してご馳走するくらいはできるよ!
そう日本語で伝えました。

12/8(金)大野さんに会えた

2023年12月 8日 Posted in 中野note
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↑ブリュッセルに聴きに行ったコンサート。終演後の大野和士さん

今日は初めて、
指揮者の大野和士さんに会ってお話しすることができました。
お話しといっても、ほんのご挨拶程度でしたが。

所属されている事務所の方々や、以前からお世話になっている
神奈川県庁のOBの方、県民ホールの同僚など、
皆さんのおかげで、大野さんに会うことができました。

私が大野さんの仕事に注目するようになったのは
2011.7.24に京都でマーラーの3番を聴いたのがきっかけでした。

あの時、室井先生の主催する北仲スクールという大学の
サテライトで働いていた私は、クシシュトフ・ヴォディチコという
現代美術家の招聘に躍起になっていました。

それがあまりに煮詰まったので、なんだかピンときて、
ほとんどヤケクソで、京都まで行くことにしたのです。
当時、私はクラシック音楽を聴き始めたばかりで、
確か、自分でチケットを買っていくコンサートとしては
3回目だったと思います。

大野さんのマーラー3番は、
第一楽章が終わった瞬間から、今日はすごいことになったと
確信させられる体験でした。その後に第二〜第六楽章が続いて、
生き切った人生の後に、動物になり、植物になり、
この世界をわたり歩いて、天界に召されていく思いがしました。

最終の第六楽章に入ると涙が止まらなくなり、
でも、それは情緒的なものではなく、ひたすら巨大なものに触れている
感触によるものでした。柔よく剛を制す、上善如水、であるべしと
言われているようでした。あまりにすごかったので、
帰りに美味いもんでも食べようという考えすら放棄して、
さっさと京都駅まで行って帰りました。

自分には、あのコンサートだけで充分すぎるほど充分でした。

私がそれまで比べ、
格段に台本を読むようになったのは大野さんの影響です。
量ではなくて、一本の劇を細部に至るまで読み込むということについて。

以来、大野さんが手がけるオーケストラを、オペラを、
レクチャーコンサートを聴いて現在に至ります。
ありったけの御礼を言いたかったけれど、そんな時間はなく、
それはまた今度にしようと思います。

12/7(木)ローエングリンの鳴る床屋

2023年12月 7日 Posted in 中野note
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↑写真集「唐組」より『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』舞台写真
この場面で例の前奏曲がかかっていたと思われます


必要があって『ローエングリン』を聴いています。
ワーグナーの『ローエングリン』。
去年、生まれて初めて実演を観ましたが、それはイースター明けの
4月下旬。なぜ語学学校で出会ったロシア人の女の子と一緒でした。

彼女はオペラというものに一度来てみたかったらしいのです。
こっちは貧乏留学生気分で過ごしていましたが、彼女はエルメスの
バッグなんか持っていたりして、お金持ちそうでした。

『ローエングリン』の話。

自分が初めてあの印象的な前奏曲を聴いたのは、
蜷川さんが三島由紀夫作『弱法師』の最後の長せりふに
あの曲をあてていたからでした。主人公の語り始めに合わせて
あの曲がヒタヒタと流れ始め、最後は大きなうねりになって
空襲の業火を語る描写をいやましに高めました。
実にピタリとハマって感心させたれたものです。

ところが、よくよく様々なことを知るようになると、
蜷川さんが近代能楽集を演出する9年前に劇にこの曲を使って
いる人がいたのです。・・・唐さんです。

唐さんは、初めて紅テントを立てて芝居をした時の演目
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』の二幕冒頭、

「ここは壮大なワーグナーのローエングリン響く床屋」

というト書きを書いています。あの壮大さをギャグにしているような
でも、床屋の趣味として本気だったような、面白いト書きです。

12/6(水)これも唐さんから教わっていた!

2023年12月 6日 Posted in 中野note
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↑これは1998年の放送。58歳の唐さんです

初めて、ジャン・コクトーの『声』を読みました。
渡邊守章先生の翻訳。先生がご自身で主催されていた演劇プロジェクト
「空中庭園」での上演台本が光文社新訳文庫になり、
絶版ではあるものの古本屋で手に入れました。

懐かしいなあ。空中庭園。
大学生の時に青山に『悲劇 フェードル』を観に行き、
糸巻きを持ったタイトルロールのヒロインと、マオカラーで
キラキラした眼鏡をかけた渡邊先生のロビーでの立ち姿が印象的でした。

話を戻して。
『声』に興味を持ったのは、忙しくても短いから電車の中ですぐに
読めるし、最近、車の中で聴いている一人芸ものに、モノオペラとして
『声』をネタに作られたプーランク『人間の声』やメノッティ『電話』
があるからです。(メノッティは全然内容が違いますが)

で、ハタと思い出しました。
確か、コクトーの『声』が初めて自分にインプットされたのは、
唐さんの語りによるものだと。よくよく記憶を辿ってみると、
それは高校時代に観た深夜放送での、扇田昭彦さんによる
唐さんへのインタビューでした。

この放送の影響で自分は横浜国大を受験することになりましたが、
こうして、細かな場面でも、いまだに思い起こすことがあります。
唐さんが語っていた情報の数々、それ以上に、ものの考え方。

最近は便利なことに、YouTubeにこの動画が上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=EkJuulmYkUs
27:00過ぎに、唐さんが一人芝居について語るくだり、
ジャン・コクトー『電話』の話題が出てきます。

12/1(金)祭のあと

2023年12月 1日 Posted in 中野note
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↑なんてことないベランダからの風景も、寒くて空気が澄んできれいに、
少し寂しくも感じられます


先ほど帰宅したら、住んでいるマンションがさっぱりとしていました。
うちの建物は結構古くて、そのために10月半ばから大規模な外装工事が
入っていました。

初め、みるみるうちに足場が組まれ、外観はネットで覆われました。
建物全体に徹底した養生がなされ、ビニールとテープが全体を包む。
ペンキ塗り直しが飛散しなよう、ほんとうに徹底して覆われたために
窓を開けてもビニールで塞がれて外の空気がいっさい入らない。
そもそも、ベランダ修繕中は窓が開けられない日も続きました。

今年は11月上旬まで暑かったので、この密閉感には難儀しましたが、
一方で、工事のする人たちに行き帰り挨拶するのは、なかなか
良いものでした。住民が窮屈な思いをしているのが分かりきって
いるので、皆さん、それはそれは丁寧に接してくれるのです。

やがて、人見知りの子どもたちも、働き者のおじさんたちに
挨拶できるようになりました。それが今朝、いよいよ終了予定日に
なって足場を解体していたのです。

当たり前ですが、先ほど帰宅した時には、
静かでさっぱりとした、それでいて以前より綺麗になったうちの
マンションに戻っていました。駐輪場から自転車を引き出すのに
一苦労させられていた鉄骨も取り除かれ、しんとして、
清潔な感じがします。

賑やかだった工事道具もなくなり、もうあのおじさんたちに
会うことがないのだと思うと感慨がありました。
そして、自分たちのテント劇場を見守ってくれていた周囲の方々も
いつもこんな感慨だったのかも知れないと思うようになりました。

うるさく、わずらわしく始まった工事が、
こんなふうに懐かしさと虚無感を生むのです。ああ、早く芝居小屋を
つくって、早くこういう感慨を届ける側になりたいと強く思います。

次回作『鐵假面(てっかめん)』は3月末に公演予定です。
詳細は近く発表。『オオカミだ!』こそ上演してきましたが、
やっと芝居屋に戻れるな、と。
準備を進めながら実感が強まってきています。

11/30(木)一人芸の世界

2023年11月30日 Posted in 中野note
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↑初めて利用した羽沢横浜国大駅。新宿まで40分。付近に住んでいる
劇団員の米澤は、この駅が出来て良い思いをしているに違いありません


昨日はスコーンの話題に終始してしまったけれど、
浅草に観に行ったドガドガ+の『セクシー女優事変』は面白かった。
帰国して2月に観に行ったのがシリーズの第1弾で、今回は第2弾。
両方とも好きです。

アダルトビデオから出発した望月監督にしか書けない世界を、
座長の丸山正吾さんを中心に、若手からベテランまでのキャストが
素晴らしく支えています。過酷な性の世界を描くから様々に陰鬱
なのだけれど、最後には軽やかに、かつ不条理に暴走し、
それら過酷を突破していくのが痛快でした。

不幸や、一生消えない傷や、トラウマ、
世の中に溢れかえっているけれど、それで人が不幸せなまま
一生を終えて良いわけがないという、望月さんの信念がおふざけの
中に詰まっています。気分良く浅草から引き上げてきて、
昨晩はスコーンを食べました。

それで今日は、
朝から整体に行き、初めて羽沢横浜国大駅を使って新宿に出て、
阿佐ヶ谷スパイダースの『ジャイアンツ』の千秋楽を観て、
それから上野に移動して文化会館で青木涼子さんの能声楽を聴きました。

何かずっと遊んでいるみたいだけれど、合間にちょっとずつ
働いてもいます。しかし、やっぱりそれ以上に遊んでいて、
最近ハマっているのは一人芸の世界です。

落語とか講談の録音も聴きますが、
モノ・オペラというものがあるらしいと知って、
移動時にイヤホンを付けたり、カーステレオで聴いています。

だいたい、舞台ものは録音だと大勢の演者が入り乱れるので
訳が分かりません。しかもオペラは外国語なので、
一回上演を観たことがあるものでないと録音を聴いても
チンプンカンプン。ところが、登場人物が1人だとかなり
愉しめることが分かってきました。

そういえば、小学生の頃にマルセ太郎さんを観て感激したことも
思い出します。唐さんにも一人芝居が2本あって佐野史郎さんが
演じた『マラカス〜消尽』、金井良信さんが初演した『電子親友』
という台本です。録音が残っていたら愉しいだろうなあ。

それ以上に、いつか上演して旅ができたら、
どんなに素敵だろうと思わずにはいられません。

11/29(水)スコーンがやって来た

2023年11月29日 Posted in 中野note
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ロンドンでできた日本人の友達が帰国しました。
彼女と知り合ったのは私の滞在が半ばを過ぎた頃でしたが、
それからは本当にたくさんのサポートとアドバイスをもらいました。
恩人の一人です。

彼女は旅行会社に勤務していましたのでこちらが旅の手続きに困ると
いろいろと教えてもらい、名士たちが集まるジェントルマンズクラブにも
連れて行ってもらいました。

その彼女は帰国にあたって、わざわざ私のために、
私がよく通っていたパン屋Gail'sのスコーンとブラウニーを
買ってきてくれたのです。生ものだから急がねばと思い、
都内で急遽落ち合うことにして、ありがたく品物を頂戴しました。

あまり時間がなかったので、
最近気に入りの醤油ラーメンを一緒に食べたりして。

食べものが美味しくないと言われがちなロンドンですが、
自分は、ベーコンをカラカラに焼く調理法は圧倒的にロンドンが
美味しいと思いました。そして、今回プレゼントしてもらったスコーン。

日本にいたときは、パンとクッキーのあいのこみたいで、
いかにも中途半端なシロモノだと思っていたスコーンが、
こんなに美味しいと初めて実感しました。

パンでもない、クッキーでもない、スコーンでしか得られない
満足感と美味しさがあると思うようになりました。

本式では、ナイフで上下に切り分けて、
生クリームやジャムをたっぷり塗って紅茶とともに頂くものです。
でも自分は、手でパカっと行儀悪く割って、そのまま食べても
充分に美味しいと思う。小麦の充実感。

日本のパン屋で買うスコーンは、たいがいこれには勝てないなと
ずっと思っています。

11/28(火)気になる『少女都市』

2023年11月28日 Posted in 中野note
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↑「季刊同時代演劇」には『鼠小僧次郎吉』と『少女都市』が
収められています


唐十郎作品のうちで、
再演頻度と人気の高いものに『少女都市からの呼び声』があります。

ことこの演目に関して新宿梁山泊の金守珍さんの貢献は絶大で、
かつて状況劇場の若衆公演として新宿ゴールデン街の小さな劇場で
産声を上げたこの作品は、その時にフランケ醜態博士を演じた金さんに
よって何度も何度も上演され、時にはニューヨークでも上演されました。

まさに金さんのライフワーク。
今年だけでも3パターンの上演を金さんは行って、
その粘り強さには頭の下がる思いがします。そうした金さんの展開に
支えられて、ハヤカワの文庫には、『少女仮面』『唐版 風の又三郎』
という代表2作品と並んで、この『少女都市からの呼び声』が
収められたのだと思います。

自分が大学に入ったばかりの時、唐さんは一般教養の授業で
200人からの学部生を相手に、その公演映像を観せていた記憶が
あります。「満州」という要素こそあれ、生まれてこられなかった
妹と兄の織りなすこの物語は普遍的で、お話としての自立度も高く、
初心者にとっても入っていきやすい。
唐さんはきっとそう考えて、あまり自分の芝居に馴染みの無い
学生たちにこれを観せたのだと思います。

一方で、自分は最近、
この『少女都市からの呼び声』のもとになった『少女都市』が
気になるようになりました。唐さんが早稲田小劇場に託した
『少女仮面』の対になる作品として自身の劇団に書いた演目です。

春に比べれば短い秋の公演、
しかも、例の天井桟敷との大立ち回りから唐さんたちが警察に
引っ張られた結果、ただでさえ少ない公演回数をさらに縮小されて
しまったのがこの作品です。

気になるので、来月はこれを研究しようと思います。
せっかくであれば、初めてこの演目が掲載された「季刊同時代演劇」
をもとにやってみようと思います。

11/24(金)健さんの復活!

2023年11月24日 Posted in 中野note
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↑野澤健さんと共演経験もある、新宿梁山泊の渡会久美子さんと一緒に
観ました!

今日は先ほどまでダンスを観ていました。
ちょうど10年前、KAATで上演した『唐版 滝の白糸』に出演してくれた
野澤健さんが、久々に舞台に立つと言って誘ってくれたのです。

去年に自分がロンドンで過ごしていた時、
健さんはfacebookで大病をしたことを投稿していました。
その時はなんと言って良いのか分からずにいましたが、
久々に客席から眺めることのできた健さんは、
以前と同じように自分の表現を果敢に探っていました。

健さんは、もともと横浜国大の学生だった三浦翔くんが紹介してくれた
パフォーマーでした。三浦くん自体もダンスをやっており、
自分が演出した『腰巻お仙 忘却篇』ではドクター袋小路を
演じて私を大笑いさせてくれた良い男でしたが、共演したことのある
健さんを紹介してくれたのでした。

『唐版 滝の白糸』に登場する、小人プロレスラー・アトムが
その時の健さんの役どころでした。世の中のあらゆる大勢に闘いを
挑もうとする闘争心、一転、夕陽に伸びた自分の巨大な影を眺めて
しんみりするリリシズムがアトムの持ち味で、これは健さんに
ピッタリでした。

当時は蜷川さんがシアター・コクーンで同じ演目を上演していて、
同じくアトムを演じていたマメ山田さんが僕らのバージョンを
観にきてくれたのも強烈な思い出です。

マメさんが客席最前列の中央に座ったことから、
健さんは自分のもっとも輝かしいシーンでマメさんとさし向かいに
なることになり、客席後方からその光景を眺めていた自分には、
二人が向き合っている姿に神々しさを感じたものです。
その後、健さんは多くの企画に見出され活躍をしていくことに。

あれだけの個性を持ち、クレバーさを持つ健さんは、
どこまで身体が保つかという闘いを常に生きているはずです。
よく動いていたし、終演後に話したら強気だったし、
また健さんを観られる機会がありそうだと、油断はできないけれど、
やっぱり安心しました。

観る機会だけではなくて、出演も探らないと。
健さん、復活おめでとうございます!

11/23(木)無意味の世界

2023年11月23日 Posted in 中野note
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↑子ども用の絵本を選んでいるうちに見つけました

ガタロー☆マン作の『おだんごとん』。
子ども用の絵本コーナーで娘に合う品物を探るうち、
これを発見して即座に買いました。当然、私用です。

あの『珍遊記』の漫☆画太郎先生がこんな風に絵本作家としても
活躍されていることを、私は初めて知りました。
いそいそと買って帰り愉しみに周囲を覆うセロファンを外すと
久しぶりの画太郎節が待っていました。

単純で呵責ないストーリー。
お馴染みの画風、お馴染みのキャラクターが行き交い、
得意のオナラやウンコが元気いっぱいに跳ね回っています。
そして何より、この圧倒的な無意味性。

子供達も大喜びで「ヤバイ、ヤバイ」と言いながら一緒に読みました。

見事に構築された作品が好きです。張り巡らされた伏線も好きです。
けれども、最終奥義は、脳髄を直接に鷲掴みにされるような
無意味性が上だと思うのです。なんでスゴいと感じるか
まったく説明できないけれど、やっぱりスゴく感じる。
これが最高です。無意味に勝るものなし!
読むと良い気分になります。オススメです!


11/22(水)シュガータウンは恋の町

2023年11月22日 Posted in 中野note
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Nancy CinatraのSugar Town
動画でも簡単に観られます。
https://www.youtube.com/watch?v=CrHyQfptGBI

それにしても、劇中で何度も何度も歌われる
『Sugar Town(邦題:シュガータウンは恋の町)』は面白い。
もともとはナンシー・シナトラが歌った歌詞はこんな具合なのですが、


I got some trouble, but they won't last

I'm gonna lay right down here in the grass

And pretty soon all my troubles will pass 

'Cause I'm in shoo-shoo-shoo, shoo-shoo-shoo, 

shoo-shoo, shoo-shoo, shoo-shoo Sugar Town


唐さんはこんな風に替え歌しています。


〽誰か私に教えて

 かわいいベビーのつくり方

 やさしい母さんになりたいの

 ここはシュシュシュ シュガータウン


現在は30代で結婚、40歳前後で初産も珍しくありませんが、

当時は20代で結婚し子どもを産む時代、今より早く大人になる

時代だったでしょうし、定年も55歳という世の中です。

(今では考えられん!)


それに、同棲ブームによって、妊娠→中絶が若者世代に

溢れた時代でもありました。それが唐さんとその周辺にとっても

生々しい話題であったことは、初期のアリババや『腰巻お仙』

シリーズを読めばすぐに察せられます。


『Sugar Town』はyoutubeでも簡単に聴けますから、

ウキウキと聴いてもらいたい唐さんオススメのポップスです。

同時に、このメロディに少女のアイロニーを混ぜ込んだ

唐さんのブラックユーモアも、歌詞をあてはめて

愉しんでもらいたいところです。

11/21(火)1967年の唐さんの事情

2023年11月21日 Posted in 中野note
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↑唐さんにとっての初めての単行本だった『腰巻お仙(現代思潮社)』
あとがきは当時の唐さんのてらいの無い思いが溢れていて、胸を打ちます



『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』の台本打ちがやっと終わりました。

これは、かねてからの懸案事項で、ずっと気になっていたものでした。
というのは、唐十郎ゼミナールが最初期に上演した演目について、
私たちは上演台本を作らなかった。あるいは、作ってもデータ管理が
いい加減で、それを失くしてしまっているのです。

『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』もそのうちの一つで、
かなり前から心に引っかかっているのですが、
近く『腰巻お仙』シリーズ、すなわち、
『忘却篇』『義理人情いろはにほへと篇』『振袖火事の巻』を
一気に本読みWSの題材にしようと思い立ったので、
これを機に研究し直してみようと考えました。

それで、ここ3週間ほど、
早朝は初掲載の雑誌、単行本、作品集を見比べて読んでいるわけですが、
『映画批評 1967年12月号』に取り組みながら、単行本に掲載するに
際して唐さんが最後の方のシーンを書き足していることに気づきました。

第四幕だけに登場する「看護婦」の出番が終盤に増えている。
これは、稽古の過程で、この役や役を演じた俳優の面白さにより
膨らんだとか、唐さんが役者を慮ったとか、最後の方で別の役の、
例えば「かおる」役にメイクや扮装替えの時間を稼ぐ必要があった、
などの理由が考えられ、いずれにせよ当時の現場感を想像するに
大きなヒントであると感じています。

また、後年は書き換えをほとんどしなくなる唐さんですが、
雑誌から単行本化にあたってずいぶんせりふを書き換えています。
それは、美学的な作業というより整理をした感じで、初々しかった
唐さんが殊勝な感じで初めての単行本に力を入れていた様子も
察せられて、愉しい作業です。単行本に際して唐さんが書かれた
あとがきはあまりにも素直で、ストレートで、胸を打ちます。

機会があったら、ぜひ読んでもらいたい唐さんの文章です。

11/17(金)唐さんのサイン

2023年11月17日 Posted in 中野note
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↑日付は2001.12.7でした

昨日、紹介した本の表紙をめくると、唐さんのこんな署名があります。
公演終了後に頂いたもの。開演前に浮き足立ちすぎて
舞台セットのプリセットを忘れたり、終演後に宴会に至る動きが
鈍すぎて唐組の皆さんの手を煩わせたり。

観劇してくださった大久保鷹さんに、
「1・2幕をわざとつまらなく作っておいて、
3幕から面白く見せる作戦だね」と言われたり、
帰り際に際にダメ押しで、
「もっと絶望した方がいいな」と笑いながら言われて
どう受け止めて良いのがその後もずっと考え続ける公演でしたが、
唐さんがいかに私たちに手加減し、気を遣ってくださっていたか、
分かるサインとコメントです。

今日は一日中、動き回ってヘトヘトなので短めです。
あの、初めての唐十郎ゼミナール公演のあとも、
緊張しすぎて同じような感じでした。

11/16(木)喫茶ヴェロニカ

2023年11月16日 Posted in 中野note
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↑この現代思潮社から出ていた再販版が、私たちの教科書でした


早朝に研究中の『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』が
第3幕に入りました。何とこの芝居は全4幕で構成されており、
そのようなわけで、半分を過ぎたことになります。

第1幕 その人の名は
第2幕 恋づくし
第3幕 喫茶ヴェロニカ
第4幕 月下

という構成です。これが、長いかと思いきや、
各幕がテンポ良く進んで全編で2時間以内に収まるようになっています。

とりわけ第3幕には思い入れがあって、
唐さんが得意とする長せりふの世界がいよいよ始まります。
ギャグとドタバタに溢れ、それまではずっと軽演劇風だったこの芝居が
一転、じっくりとして謎めいた会話劇となり、
主人公・忠太郎の前に立ちはだかる美少年(=腰巻お仙)による
母体論が滔々と展開します。

今から考えれば、内容をよく私たちは、
しかし、だからこそ、せりふを言ううちに身体が熱くなるのを
本能的に感じることができました。まるでブルース・リーのように、
Don't think, feel.を地でいっていたわけです。

それから20年以上経って、同じ言葉に向き合う時、
あの時より遥かに多くの意味が自然と自分に迫ってきます。
けれど、それによって失われたものがあることを、
慎重に思い返すべきだとも思うのです。

稽古中、私たちの下手くそな芝居を観ながら、
この劇が第3幕に差し掛かった時、唐さんが泣いていたのを思い出します。
そうして生まれたのが、ついこの前に唐組で観た『糸女郎』でした。
毎日、少しずつ読み進める台本の探求。
明日は、まさにその長せりふ部分を読み込みます。

11/15(水)写真展やります!

2023年11月15日 Posted in 中野note
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↑これがハガキの表と裏面です

このゼミログの冒頭で、いつも写真を紹介しています。
初め、文章だけを書いていたら、やっぱりビジュアルがあった方が
良いということになり、最低でも一枚は写真をあげるようにしました。

本読みWSのあと、それが唐ゼミ☆公演で上演した台本であれば
舞台写真をあげます。ここ12年は、広告写真家の伏見行介さんが
撮ってくださったもの。伏見さんと知り合って12年ちょっと経ち、
数万枚の写真が溜まったそうです。

そこで、写真展をやろうという話になりました。
2024年1月末に1週間、四谷のギャラリーで行います。
ハガキのフライヤーを作ったので、これから配っていきます。

期間:2024.1.25(木)〜31(水)
会場:ポートレートギャラリー(新宿区四谷1-7-12日本写真会館5階)


ロンドンにいた去年から準備をしてきました。
付き合い自体は10年以上になる伏見さんと時間をとって話し込んだのは、
実はロンドンと日本をつなげたzoomが初めてでした。

まず、伏見さんに追いかけてもらっているこの12年間、
自分が何を考えながら演目の選定や公演組みを行なってきたのかを
話しました。劇団の歴史は、やはり団員の〇〇が入り、〇〇が辞め、
というトピックが重要な位置を占めます。劇団の根本は人。
その時々にいた団員たちに注目したいという主題が立ち上がってきました。

写真の選定は大方済み、
これから元劇団員たちにも連絡をしていきます。
さらに、モニターで見せるスライドショーづくりをし、
1/28(日)にはちょっとしたイベントもやろうと内容を考えています。
まずは第一報でした。

11/10(金)『腰巻お仙 忘却篇』のことも思い出してしまった

2023年11月10日 Posted in 中野note

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↑3月に初演して面白かったので4月にも上演しました



『腰巻お仙』シリーズについて想いを馳せていると、

これが台本としてはなかなか破天荒だけれど、

実際に上演してみると笑いが多く起こって、

稽古の現場までもがとにかく面白かったことが思い出されます。


正確にいうと、

『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』の頃は自分たちがまだ青くて、

余裕がなくて、しゃっちょこばってばかりいたので、どうにも

硬かったのですが、30歳に差し掛かる頃から徐々に余裕を覚え、

ふてぶてしさ、図々しさが身につくようになり、

お客さんもよく笑ってくれるようになりました。


なかでも思い出深いのは学生たちとつくった『腰巻お仙 忘却篇』で、

これはもう、稽古のさなかにも膝から崩れ落ちるほど笑いました。


あの時はなにしろ、集まった学生たちがすこぶる優秀だったと

思わずにはいられません。彼らは地面に埋められたり、

人形を使って屋上から飛び降りたフリをしたり、

チケットがわりの石を投げつけられたり、

照明が壊れたという設定で自転車を漕ぎ続けて

共演者に必死のライトを浴びせたり・・・。


とにかく真面目かつ余裕を持って演じてくれました。

ふざけているのではなく、杓子定規すぎもしない。

要するにそれはユーモアに満ちていたということです。


書いていてさらに思い出しましたが。

1メートル以上の高さのある帽子をかぶったり、

リアカーをくくりつけた自転車を転がして坂道を全力で駆け降りたり、

自分の転がすリアカーに轢かれたり、

バリカンで頭に星型のハゲをつくったり。といったこともしました。


自分が本読みWSで『ジョン・シルバー』シリーズを熱心に

取り上げつつも、『腰巻お仙』シリーズを避けていたのは、

これらの現場感がちゃんと伝えられるか心配していたからだと

思い至りました。でも、本読みだって、実際に声に出しさえすれば

あのウキウキ感がやってくるのではないかと思い、やってみたいと

考えるようになりました。おどろおどろしく受け取られがちな

演目ですが、あれこそ世の中を明るく照らす芝居です。

11/9(木)これが初掲載だ!

2023年11月 9日 Posted in 中野note
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↑映画評論1967年12月号

最近、『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』をデータ化していない
ことに気づきました。あの作品に取り組んだのは大学3年生の時で、
当時はなんと、みんなで買った現代思潮社の単行本をそのまま
台本にして書き込みなどもしていたのです。

そういうわけで、Wordのデータになっていない。
これでは本読みワークショップができません。
何より、気分転換にああいう、リリカルにしてバカバカしい台本を
読めば元気も出ようというもの。そこで、少しずつ読み始めました。

で、ふと気づいたのです。
確かに現代思潮社の旧版は唐さんの初めての単行本ですが、
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』はその前に雑誌に
載っていたはず。そう思って本棚を探したところ、出てきたのが
上記の映画評論でした。

この雑誌では、唐さんが花園神社デビューに際して
「腰巻」という言葉が嫌がられるのではないかと配慮して命名した
別タイトル『月笛お仙』で掲載されています。

何か発見があるかも知れない。そう思いながら少しずつ、
この雑誌版と向き合っています。

11/8(水)文字のチカラ

2023年11月 8日 Posted in 中野note
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降って湧いた仕事に揉まれてヘトヘトなので、今日は短め。
教会とかお寺とか、前を通りかかるとなかなか面白い言葉が書かれて
いることがあって、足を止めることがあります。

これは最近、ルーテル市ヶ谷という素敵な教会兼音楽ホールに
フォーレのレクイエムを聴きに行った時に思わず見入ってしまったもの。

これは書いた人が偉いと思います。
きっと聖書の一説なんでしょうが、その抜き出し方、字の雰囲気。

そういうものが相まって、
神サマがなんだか欲張りな感じがして好感が持てます。
スナック菓子を両手に持って頬張っているような感じ。

だいたい、冒頭の「す」という文字から、
ボケる気満々のコメディアンのような予感が漂っています。
そして「だから」という締め。特に「ら」の曲線の妙。

・・・今日は以上です。

11/7(火)ガンダムの角 始末記

2023年11月 7日 Posted in 中野note
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↑現在はひたいの角のようなパーツ無しで頑張っています


先日の日曜、7歳の息子と良い時間を過ごしました。

最近、彼はプラモデルづくりに目覚めたのです。
ちょっと前、最初はファースト・ガンダムを組み立てました。
ガンダムといってもリアルタイプでなくSDの方です。
これは初回でしたからほとんど私が組み立てましたが、
息子はこれを大いに気に入りました。

続いて一昨日。
今度は手を貸さずに息子自身に組み立てさせようと
ニューガンダムのSDを買いにヨドバシに行きました。

今度は子ども用のニッパーも買って、
一人で組み立て始めました。そばにいると口を出したくなるので
こちらはなるべく見ないようにしました。

シールを逆さまに貼った挙句、貼り直そうと剥がしてダメにする。
ニッパーの使い方がまずくて、部品を傷つけてしまう。
左右反対にくっつけてしまう、など、
見ているとこちらもソワソワしてきて、
手を出さずにいることの難しさと闘いました。

結果、彼はなんとか組み立て終えて、
ファーストとニューを並べて眺め、やがてはそれらをぶつけ合い
始めました。脳内戦争です。
さらに、蕎麦屋に出かけようとしたところ二体を持ち出したのです。

蕎麦を食べ終え、ドラッグストアに寄り、スーパーにも寄りました。
その間、ガンダムたちは道路を飛行する。が、途中で気づいたのです。
気に入りのファースト・ガンダムの角がない・・・

それから90分くらい、もときた道や通り過ぎた店内を3往復しました。
が、結局出てきませんでした。そのトボトボとした歩みは
味わい深いものがあって、しょげかえる息子には悪いのですが、
自分には充実した時間のように思われました。

大げさにいうと映画『自転車泥棒』のような、こうして親子で
連れ立って挫折している体験は、変え難く大切だと思うのです。
これはちょっと唐さんの世界だな。そうも思い、
唐さんにこんな体験をしたと報告したくなりました。

新しいのを買ってやろうか?と訊いても、
あのもともとのパーツとは別モノだと言い張り、
購入を受け入れない息子は、なかなか良いセンスだと思います。
量産されている製品なのですが一点もの。これも唐さん的だな。
そう思います。

11/3(祝金)唐さんの好きな短編

2023年11月 3日 Posted in 中野note
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↑面白かったので、2冊並べて読みました

今日は椎野が唐組に出かけています。
長男が生まれてから、自分たちが揃って芝居を観にいくことは
無くなりました。どちらかが家にいて、子どもの面倒をみます。

大概出かけるのは自分ですが、唐組はやはり特別です。
娘がある大きさになった時から、椎野もひとつの公演につき
1回は立ち会う習慣を復活させました。

で、留守番の間、子どもが自分で遊んだり、
昼寝をしたり、夜になって就寝してしまうと、本を読みます。
今日読んだのはW.フォークナーの『エミリーに薔薇を』。
ここしばらくずっと新潮文庫でしか読めませんでしたが、
昔に福武文庫で出ていた翻訳が中公文庫で復刊されたので、
それも手伝って読みたくなりました。

次に上演する『鐵假面』には、この短編に触れるくだりがある。
『エミリーに薔薇を』、それからゾシマ長老に触れるシーン。
要するに『鐵假面』は、ホステス二人が殺してしまった男の首を
ボストンバッグに詰めて各地を逃げまわる話です。

ですから、彼女たちの荷物から溢れる死臭に引っ掛けて、
エミリーが殺した恋人とゾシマ長老という、死体の匂いが小説世界の
衆目を集める存在をこの芝居で唐さんは引っ張り出しました。

ほんのひと言だけのせりふですが、やっぱり発するからには
読んでおきたいと思って、これまで随分と豊かな世界に出会ってきました。
これも唐さんとずっと付き合ってきたことの効能のひとつです。

試しに唐さんのガイドによって読んだ短・中編をいくつか挙げると、

・モーパッサン『脂肪の塊』
・ホフマン『砂男』
・ゴーゴリ『外套』
・ドストエフスキー『地下生活者の手記』『白夜』
・アンドレ・ブルトン『ナジャ』
・泉鏡花『夜行巡査』
・夏目漱石『夢十夜』
・上田秋成『雨月物語』

なんかがパッと思い浮かびます。
ことに翻訳ものとなると唐さんは、登場人物の自意識が暴走するもの、
事件としては小規模でも個人の内面がひどく痛ましいものが好みです。
そしてそれは、唐さん自身の繊細さの証左でもあります。

『エミリーに薔薇を』、
初めて読んだ2007年より格段に面白く感じました。
自分を捨てた男を殺して、朽ちていく遺体と寝続けた女の話です。

たった20頁に、死んで肖像画になっても威圧的であり続けるエミリーの父、
自分より遥かに身分の低い男に捨てられ、誇りを踏みにじられつつも
同衾をやめられないエミリーの愛、物言わぬ黒人の召使の非人間性などが
いっぱいに詰め込まれています。

この短さ、凝縮度をして、唐さんはよく"珠玉"と言い表します。
自分もそれに倣って、これぞ珠玉と思います。

11/2(木)写真でお届けするここ1週間

2023年11月 2日 Posted in 中野note
ここ一週間、さまざまな催しを行ったり観に行っていますので、
写真とともにダイジェストでお届けします。

トップはこの方!
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10/28(土)のこと。
やっぱり唐さんに会うと自分の芯からエネルギーが湧き上がるのを
感じる。学生時代から疲れ果ててヨレヨレで会いに行っても、
帰りは余力に気付かされる。今もまったく変わらん!

同じ10/28(土)のお昼はJordi Savallの演奏会を最前列で聴きました。
特に後半は、82歳のマエストロが血管ブチ切れそうになりながら
マラン・マレその他のプログラムをガンガン弾いていて、
ぜんぜん枯れていないことにビビる。
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写真は去年の8/17にエジンバラで撮ってもらったもの。

10/31(火)は茅ヶ崎の教会にお邪魔して、中田恵子さんのオルガン演奏を
聴きました。いつものホールとは違い教会だったので、中田さんから
キリスト教の風習や聖書についての説明を受けながら、バッハの小曲集を
聴くことができました。音楽から見える景色がぜんぜん違うし、
レジストレーションや演奏の根拠を識ることができた。特別な体験。
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↑オランダ製のオルガンを横に撮影。タイムボカン的な写真で面白い。
アシスタントを務めた下田さんの連携も見事でした。

11/1(水)はカプカプ×新井一座WS。
受講生の皆さんが2チームに分かれ、オリジナルのアイディアを出し合い
WSをリード。夕方からは振り返りとともに改善点が挙げられました。
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↑サツマイモを松ぼっくりを持ち込み、秋を全開にした着想が卓抜!
風呂敷を縫い合わせた大風呂敷を使って不思議な世界。

本日11/2(木)は米澤が出演するワンツーワークスを観に下北沢へ。
米澤は現在、リアリズムの演技を習得したいと考えて、自分なりに
学びの場を求め、努力を続けています。
自ら依って立つ姿を見て、もっとやれ!と願います。
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↑終演後は会えなかったけれど、仕込みの時に現場が隣り合わせた
岡島哲也さんが記念撮影して送ってくれた。米澤の短髪と笑顔は珍しい。
新鮮だけれど、痩せていることは心配・・・

11/1(水)21年後の新たな『糸女郎』

2023年11月 1日 Posted in 中野note
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↑終演後、唐組の皆さんの撮影にちゃっかり混ぜてもらいました
(撮影:平早勉)

先週の土曜日は鬼子母神に唐組を観に行きました。
前の予定から会場時間を過ぎてやっと紅テントに到着し、
そこにいた美仁音さんに「今回の役は何?」と訊いたら、
「美女丸です」と応えました。

美女丸。乳母川美女丸といって『糸女郎』の敵役です。
もちろんこの役は男性の役なので、当意即妙に冗談を飛ばす
彼女をおもしろく思いながらテントに入りました。

劇が始まると、トイレの中でお腹を露わにする美仁音がいて、
やっぱり美女丸ではなくヒロインなのだと理解しました。

この日のヒロイン・湖村蚕(こむら かいこ)は、
天竜川の崩壊により破壊された養蚕・製糸業の悲劇を
丁寧に、丁寧に伝えていました。

特異なキャラクターが多く登場し、
登場人物たちの魅力で笑っているうちに撹乱されてしまいそうに
なるところを、あの部分が、この『糸女郎』とはどんな物語で
あるのかを伝えてくれます。

主人公の大切な役割を果たしている。
この日は唐さんが来ていたので力が入り過ぎているところも
あったけれど、それも含めて、"背負っている者"の演技だと
受け取りました。

一方、初演でヒロイン・デビューした藤井由紀さんは、
久保井さんが演じたチャン(レディ・チャンドラーのこと)の
元愛人を演じて、笑わせてくれました。

特に、悪役アザミノが藤井さんの右脇にはえた剛毛を
掻き分けてサメの刺青を求めるくだりは、エロス過ぎて
エロス以上の何ものかに到達してしまっており、
唐さんくらいに妄想大爆発でエロいと、
もはや世間でいうセクハラを乗り越えてしまうのだなあ
と感心しました。電車のレールを見ても欲情するのですから。

言いたいことは尽きませんが、とにかく、
自分が大学4年の時に唐さんが初演した芝居がどんなだったか、
その物語も、その面白さも、改めて教えてくれた上演でした。
今週末までやっています!

10/27(金)オルガンのハロウィン・ナイトだった

2023年10月28日 Posted in 中野note
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開場直前に撮った写真です。右の女性は、オルガン・アドバイザーの
中田恵子さん。

今日はハロウィンにちなんだオルガン・コンサートだったので、
週明けから数日かけてかぶりものを作りました。
シルクハットに鉢植えみたいに作った木をはめて、
カボチャでなく柿の実にハロウィンの顔を描いて被りました。
仕上げを津内口が手伝ってくれた。

上がいい加減な分、胴体には久々にネクタイを絞めまして、
考えてみればこれは、去年にロンドンでジェントルマンズ・クラブに
行って以来です。

とまあ、自分はロビーで来場者プレゼントのチョコレートを
配ったりして賑やかしていましたが、県民ホールの同僚・山下さん
という女性は、メインでこの公演をプロデュースし、
さらに仮装しながら演奏の際の譜めくりやアシスタントをして
獅子奮迅の活躍を見せており、実に大したものだと思いました。

明日は、以前から大好きなヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の
ジョルディ・サヴァールを音楽堂に何人かで聴きに行き、
夜には鬼子母神の紅テントに駆け付けます。

肝心の唐ゼミ☆公演のことをまとめにかかってもいます。
さらに来年のことも考え始めており、さまざまな台本を読み直しても
います。気候がよく、疲れにくいので朝から深夜まで
稼働が楽です。『鐵假面』だけでなく、来年の劇は何が良いか・・・

10/26(木)タルコフスキーの音響センス

2023年10月26日 Posted in 中野note
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↑少年が鏡を見つめる有名なシーン。パーセルの音楽がかかります

最近、タルコフスキーの本を読みました。
ちくま学芸文庫から復刊された『映像のポエジア』という本です。
読むうちに、久しぶりに映画そのものも観たくなって、
久々に『鏡』を観ました。
ロンドンで叩き売っていたDVDを買っておいたのです。

初めてこの映画を観たのは大学1年生の時、
それから大好きな作品になりましたが、
久々に観直してみて、その良さがますます深まりました。

タルコフスキーの生きた20世紀のソ連について
時間がたった分だけ詳しくなったこともあります。
そこここに挿入されているドキュメント部分の意味が
判るようになった。

そしてそれ以上に、タルコフスキーの幼少期への想いや、
彼のお母さんに女性としての人生があったという当たり前の事柄に、
自分もまた想像が至るようになったことが大きい。

冒頭、吃音の少年を医者が治します。
模糊としていた彼の語りが治療とともに噴き出す。
タルコフスキーは自らの追憶を、
こうして現在形にしてフィルムに定着させたのだということも、
今では判りやすく感じるようになりました。

逆に時間の経過とともに、
カメラワークや演者の動かし方についてこちらの想像が
及ぶようになり、作為が視え過ぎるようになったきらいもありますが、
やはり『鏡』は素晴らしい。

そして何より、劇中に流れる音楽の選曲センスが拓跋です。
ペルゴレージの『スターバト・マーテル』
バッハの『ヨハネ受難曲』
パーセルの『インディアン・クイーン』
どれもこれしかないという曲が、これしかないタイミングで流れます。

特にヘンリー・パーセルの『インディアン・クイーン』は
もともとが歌入りの曲を楽器演奏のみに編曲して流しています。
この音源、手に入れたいと思わずにはいられません。

10/23(月)ぼくらの500円銀貨

2023年10月23日 Posted in 中野note
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↑よく見てください。昭和59年製の銀色500円硬貨

昨日、湯河原町に行きました。
そこで行われた野外ダンスイベントを観に行くためでしたが、
せっかく海辺の街に来たのだからと、そこでお土産に干物を買いました。
何度か訪れたことのある馴染みの干物屋。

その際に面白かったのは、
会計のお釣りに500円銀貨を渡されたことです。
昭和59年につくられたと刻印してある。珍しい!

500円玉はあれから金貨になり、
最近はそれがさらに二重に色付けされた金貨になって、
街中の自動販売機の中には、新しい500円は使えません、
というものがあって、これに結構イライラさせられます。
そういう時に、先代どころか2代前の銀貨に久々に再会したのです。

この銀貨には思い出があって、
あれは2002年に初めて『ジョン・シルバー』を公演した時のことです。
ぼくらはまだ大学4年生の春、
ようやく唐十郎ゼミナールで芝居を作るペースが定まった頃。
めくら滅法、とりとめもない稽古を延々としては本番に臨んでいました。

その中で、学生演劇といえど料金を取りたい私たちは
500円という入場料を設定しました。それを聞いた唐さんは即座に
「500円銀貨にしよう!」と言ったのです。

当時は、先々代500円玉から先代500円玉への過渡期で、
感覚的にはやや500円銀貨が押されていた時期でした。
そこへ来て、唐さんは観客に「旧の硬貨である銀貨を持ってこい!」
という指令を下したのです。

これはけっこうウケて、受付はちょっとした盛り上がりを見せました。
『ジョン・シルバー』には銀貨1枚!
ぼくらはそうして唐さんの遊び心に触れていたのです。

10/20(金)影破里夫だった財津一郎さん

2023年10月20日 Posted in 中野note
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↑1989年に再演された『盲導犬』の当日パンフレット

最近、『盲導犬』を読み直していたところに財津一郎さんが
亡くなった報に接しました。

財津さんといえば、
タケモトピアノの話題がネットニュースに溢れているし、
やはり圧倒的に『てなもんや三度笠』なのだろうけれど、
唐ゼミ☆的には、財津一郎さんは石橋蓮司さんの次に『盲導犬』の
影破里夫を演じた名優として記憶されています。

上演は1989年12月のこと。会場は日生劇場。
ヒロインの銀杏は桃井かおりさん、フーテンは17歳の木村拓哉さん。

なかでも財津さんは、喜劇人の好きな唐さんにとって敬愛の対象
だったのでしょう。上の写真のパンフレットに唐さんが寄せた文章の
大半が、影破里夫と財津一郎さんに割かれていることに
改めて気づきました。

プロデューサーの中根さんからは、
当日は蜷川さんの停滞期だったこともあり、
この『盲導犬』は上手くいかなかった公演だと伺ったことがあります。
それでもやはり、財津さんによる劇中歌や「ファキイル!」という
叫びを聴いてみたかった。そう思わずにはいられません。

10/19(木)青梅の中学校で公演してきた!

2023年10月19日 Posted in 中野note
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↑青梅第六中学校正門前。5:55にテツヤPと横浜を車で出発し、
8:00前には到着しました。大自然!


2月に初演した『オオカミだ!』が順調に育っています。
もともと、軽量級で上演できる痛快な作品を作って各地に、
それこそ世界に飛び出していけるように組んだプログラムでしたが、
縁あって、青梅第六中学校が招聘してくださいました。
大きな体育館での公演です。

公演には近隣の保育園生も参加して、
5歳前後と13歳前後という組み合わせの観客を前に
ケッチさんがいつもの笑いを巻き起こしました。

保育園生が起爆剤となって、照れ屋な中学生たちの心を開いていく。
そういう状況が後ろから見ていておもしろく、
来て良かったと心から思いました。

一方で、ものすごく巨大な中学校に
全校生徒が30名弱という光景は、いろいろなことを考えさせるものでした。
少子化に過疎化・・・


ところで、今回の公演は自分の人生で初の学校公演と
意気込んでいたのですが、よくよく思い出してみたら、
私たち唐ゼミ☆には学校公演の経験があったのです。

あれは2004年秋のこと。
大学院の先輩が戸塚高校定時制で先生をされていたことから、
私たちは芸能鑑賞会のネタに呼んでいただき、
いつもの青テントを校庭に立てたのです。

演目は『黒いチューリップ』。3幕3時間の大作です。
よくもまあ辛抱強く付き合ってくれたものだと思いますが、
あの時、客席にいた生徒たちもすでに30代半ば。

引きこもりを題材にした台本ですので思春期のみんなに
シンパシーがあるはずだと上演していましたが、
騒がしく盛り上がったテント内の空気と、
上演後に先生方が作ってくださった炊き出しを思い出しました。

というわけで、今日は2度目の学校公演でした。愉しかった!

10/18(水)写真家・伏見行介さんの来訪

2023年10月18日 Posted in 中野note
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↑写真の選定中。15年以上で3万点をこえる写真を撮ってもらいました

今日は唐ゼミ☆の拠点Handi Laboに伏見行介さんが来てくれました。
伏見さんは写真家。ご専門は広告写真なのですが、
2010年頃、カメラ専門誌であるCAPAという雑誌に劇団員だった
禿恵を取り上げてくださったところから縁を得て、
以来、ずっと公演のたびに撮影に訪れて下さっている方です。

そのために、このゼミログに登場する舞台写真のほとんどは
伏見さんの手によるもの。私たちの関係も10年を超えたので、
これまで撮り溜めた写真を整理する作業をしました。

いつも奥ゆかしい伏見さんとは食事を一緒にするのも初めてで、
これもなかなか面白いの体験でした。これまでは大人の距離感を
とりながら撮影にあたってくださってきた伏見さんと、
これからは色々と相談しながら公演を迎えさせて頂きたいと
お願いしました。

10/13(金)唐十郎流、魚のチョイス

2023年10月13日 Posted in 中野note
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今日は午前の仕事を終えて一度、家に戻りました。

途中、近所で買い物ができるのが嬉しく魚屋に寄ります。
いくつかある魚のうち、ワラサを買いました。
1パックで250円。魚屋さんが立派な包丁で良く切り付けて
柵を刺身にしてくれました。見事な切り口です。

ワラサにはつい反応してしまう。

ワラサはブリの一歩手前の状態です。
関東ではワカシ(ワササゴ)→イナダ→ワラサ→ブリ
関西ではモジャコ→ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ(ハマチ)
呼び方が違いますが名前が成長度合いによって変化する
いわゆる出世魚です。

このワラサが重要な役割を果たす唐十郎作品があります。
新宿梁山泊の金守珍さんがライフワークにしている
『少女都市からの呼び声』です。

あの話のなかで、現世に一歩を踏み出そうとする雪子
=本来は生まれてくることができなかった少女は、
世間に出たら美味しいものを食べたいと言います。

それに応えて、兄である田口は「今は、ワラサかな?」と言う。
雪子「そのワラサ、食べたいよお」と続きます。

私はこの選択は実に見事だと思います。

これがブリではいけません。
雪子は現世の荒波を恐れる繊細な少女なので、
ブリでは脂がキツすぎる。それに語感も良くありません。
イナダは野暮ったいし、ワカシでは若すぎる。
やはりここは、程よく成長しつつもサッパリとしたワラサです。
最後は「サ」で終わる音も爽やかな少女の感じを出します。

こういう選択はそれこそセンスです。
そして自分は、唐さんの才気をこういうところに見ています。

「今は、ワラサかな?」
兄・田口のせりふを聴くとき、冬に閉ざされた雪子の世界に
ドウッと暖かな風が吹き込んでくる感覚がします。

10/12(木)三たび『オオカミだ!』

2023年10月12日 Posted in 中野note
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いつものケッチさん、テツヤさん、私に加えて
今回は「黒子」役として新たに よし乃さんが参加してくれました。
右から2番目の女性。
CHAiroiPLINに所属している身体能力抜群の若手俳優です。


今日から『オオカミだ!』3回目の上演に向けて動き出しました。
ありがたいことに、上演して欲しいというオーダーを受けることが
できたのです。前回から1ヶ月ちょっとでの上演ですが、
新しい黒子さんを迎えながら、前回からまた少し工夫。

文筆家でサーカス研究者、プロモーターの大島幹雄さんに
頂いた意見を参考に、ずっと考えてきた改善点を試しながら序盤を
組み立て直します。あとは、会場の特性に合わせた設えを想定。

前回の月岡ゆめさんからよし乃さんに替わったことにより、
黒子さんの造形も変えていきます。これはもう単純に、
それぞれのパフォーマーの特設をいかに演目のなかに
生かせるかという創作のおもしろさです。

稽古場は流山寺事務所の本拠地、space早稲田をお借りしています。
都心での稽古。これもまた気分が一新されてなかなかの贅沢です。
明日も同じ場所で夕方からやります。

10/11(水)床屋自身はセルフカット

2023年10月11日 Posted in 中野note
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↑『愛の床屋』のレコードをいつか買わなければならないと思っているの
ですが、高価で手が出ません。でも、いつかは!


1ヶ月に1回、床屋に行きます。
私の髪型は坊主に見えて、坊主ではありません。
坊主は社会性がない、と20代終わりに言われたので、
それからは頭頂部だけやや長めにするようにしました。
そういうわけで床屋が必要なのです。

今行っている床屋にはずっと通っています。
現在の家に引っ越してきてからなので、
すでに9年近く浮気せずに同じところにお世話になっています。

先日に行った時、その床屋の店主がいつもよりサッパリした
髪型をしているので、ふと気になりました。
床屋は自分の頭をどうやって散髪するのか。
こんなことが気になるのは初めてのことでした。

思い切って訊いたところ、なんと自分でカットしていると言います。
後頭部まで器用にやるのですから、改めてプロの技術に唸りました。

以前は床屋の友人同士で火曜日にやっていたそうですが、
お互いにスケジュールを合わせるのが面倒になり
いつしかセルフカットになったそうです。

他人様の髪型を撮影できなかったので写真はないのですが、
"ホリエモンの後頭部"のような感じです。
あれをどうやってセルフでやるのか、ちょっと想像つきません。

ついでに、有名人の髪型について喋りました。

プロの目から見てアッパレなのは河合俊一さん。
現在、ブームになっている男子バレーボール。
いつの間にか協会の会長になっている河合俊一さんの
髪型が数十年に渡り維持されていることは、プロの目から見ても
すごいのだそうです。あの横分け前髪アリの髪型です。

それから、北朝鮮の金正恩さん。
あれは床屋技術的にはかなり至難の技の賜物で、
特にサイドの部分を剃り上げている精度がすごいそうです。

しかも、相手は一国の最高権力者ですから、
チクリなどと刺激を与えてはいけないでしょうし、
まして流血などもっての他に違いありません。

同じ床屋として、会ったことのない金正恩さんの担当には
頭が下がると言っていました。

唐さんの『愛の床屋』はスウィーニー・トッドの日本版で、
床屋の中には一抹の狂気や恐ろしさが含まれているという歌です。

が、お隣の国ではそれとは逆に、今日も命懸けで
カットにあたっている人がいるかもしれないということでした。
床屋、マンセイ。

10/6(金)ドリプロ発表会の準備をしながら

2023年10月 6日 Posted in 中野note
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↑昔の箱入りのではなく、新装版で読んでいます


明日はドリームエナジープロジェクトの発表会です。
略してドリプロ。藤沢を拠点にさまざまな障害を持つ青少年たちに
多様な学びを提供しているNPO法人です。

藤沢の新堀ライブ館という会場で
いつも行ってきたレッスンの発表会をやります。
絵画や書道の展示、音楽やダンス、英会話などの発表。

自分は一緒に演劇づくりをしていたのですが、コロナでは難しい。
そこで最近はスピーチの練習していて、みんなが好きなものを
写真で紹介しながらアピールするというコーナーをつくりました。
みんな喋るのがメキメキ上手くなるし、お互いに日常的に
何にハマっているかわかって面白い。

怪我の功名的なたのしさがあります。
他にも音響係とリハーサルの進行を担当します。

これと緩やかに関係があるんですが、
最近はコツコツとミシェル・フーコーを読んでいます。
時間はかかるし、分厚い本は重いし、翻訳も難しい。
でも、まるで学生のように少しずつノートを取りながら読んでいます。

きっかけは打合せで、寿町のコミュニティセンターを訪ねたときです。
多くの本が収められた本棚にフーコーの代表作『狂気の歴史』と
『言葉と物』があったのです。ピンときました。

かつては日雇い労働者たちの街、
いまは高齢化と福祉の街になった寿町のスタッフが
フーコーと自分たちの日常をつなげて捉えているのを知り、
感心しました。

自分も、今の方が切実に読めるはずだと思いました。
最近は本当に多様な人たちと付き合うようになったからです。

自分の中に自然にある、
普通の人とそうでない人の線引き。自分はまともだという実感。
特に集団行動をするときなど、遅れをとる人に対する苛立ち。
といった、自分の中にある権力的なものと向き合う必要を
私自身は感じます。

『狂気の歴史』を理解できたら、次は『監獄の誕生』を読みます。
ロンドン以来、久々に硬派な読書に取り組んでいます。

10/3(火)改名の過酷さについて

2023年10月 3日 Posted in 中野note
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↑祝詞を入れた箱の傍らに肉(にくづき)を捧げる様子を示す「名」
「名」とは祈りであると見抜いた白川静先生の言う通り、
名前とは重く、思いのこもったものなのです


今日は一昨日に行った『青頭巾』WSの内容をレポートする予定でしたが、
緊急で別の内容にします。というのも、日ごろ親しくしているある女性の
言動に衝撃を受けたからです。
彼女の名を、Oさんとしておきましょう。

Oさんはジャニーズのファンであり、特に関ジャニを応援しています。
それが、例の記者会見による社名変更、グループ名の消滅に
大きなショックを受けたのです。
昨日の午後に一緒にいたので、それは目の前で起こりました。

私にはどうにも想像できない境地なので、
それがどんなに大事なのか、思い切って彼女に訊いてきました。
すると彼女はこう言うのです。

「中野さんには息子さんがいますね。
これまでずっと呼んできた息子さんの名前を、
今日から変えなさいと決められたようなもんです」

これには驚きました。
只事ではない感じがひしひしと伝わってきます。
そんなバカな!と言いたい気にもなりますが、
それそこ、完璧に主観の世界なのです。

それに、普段は穏やかで大人しい彼女が
こんなに鋭く激しい例えをすること自体、初めてのことでした。

翌日。つまり今日。
Oさんは体調を崩しています。
〇〇〇〇ロスという現象の実例をまざまざと見せつけられるのも
自分には初めての経験です。

アイドルが人々に与える影響力を痛感させられています。

9/29(金)みどりのおばさんに扮する

2023年9月29日 Posted in 中野note
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↑朝8:00前後にこんな感じで交差点に立ちました


ついにこの日がやってきました。
息子が小学校に入学した4月以来、
いつか来ると思って期待してきた児童通学時の横断歩道警備、
要するに「みどりのおばさん」の担当日がやってきたのです。

「みどりのおばさん」は、初期唐作品にとって重要な登場人物です。
唐さんが幼少期に体験したみどりのおばさんの不気味さ。
おばさんなのに男か女か分からない、という感慨に端を発し、
さまざまな作品にこの役は登場します。

例えば『続ジョン・シルバー』に。(演じたのは大久保鷹さん)
例えば『愛の乞食』に。(演じたのは麿赤児さん)
例えばドラマ『追跡・汚れた天使』に。(演じたのは不破万作さん)

いずれも、幼少期の唐さんの印象により男性が演じています。

その実、戦後のみどりのおばさんには、
戦争で夫や息子を亡くした未亡人や母が積極的に登用されたという
歴史があります。子供時代の唐さんは、みどりのおばさんの中に
見た目に面白さだけでなく、そういったシリアスな悲哀を感じて
魅了されていたともいえます。

ともあれ、今朝の私はよろこんで集合場所に行き、旗を振りました。
次に我が家が担当になる時も、仕事がない限り私がやります。

9/28(木)観劇三昧

2023年9月28日 Posted in 中野note
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↑横浜に戻り、テツヤさんとの作戦会議

今週はたくさん劇を観ています。
KAATの『アメリカの時計』。
イエローヘルメッツの『夏の夜の夢』。
流山児事務所の『戦場のピクニック』。
アーサー・ミラー、シェイクスピア、F.アラバールと
なかなかの正統派&ハード路線です。

最近は音楽や、ジャンルにとらわれないイベントにも
アンテナを張っているので、こんな風にストレート・プレイばかり
観るのは久しぶりで、また、そのペースからいっても
ロンドンでの生活を思い出しました。

『アメリカの時計』は、恐慌によって共産主義運動に目覚めていく
青年という設定を面白く観ました、アメリカで共産主義といえば
ずいぶん肩身の狭い思いを余儀なくされるわけですが、
映画監督のエリア・カザンや作曲家のハンス・アイスラーに
ついて書かれたものを読んだ記憶が、劇を観ながら甦ってきました。
アーサー・ミラーが1980年代に追憶を込めて書いているところが
他の代表作と一風ちがうユニークさを生んでいました。

『夏の夜の夢』は、シェイクスピア上演を自家薬籠中のものに
している座組の上演、という説得力がありました。
8人のキャスト、テーブルとイスのみのシンプルな道具立てで
2時間に凝縮して魅せるものです。洗練されてステキでしたが、
一方でブラックボックスでなく、もっと明るく開放的な空間での
同じ上演を観てみたいと思いました。暗い空間だと神秘的で
良いのですが、この上演の大らかな笑いが増幅されるように
思います。

『戦場のピクニック』は、『ゲルニカ』や宮澤賢治『飢餓陣営』との
合作になっていました。そのぶん複雑ですし、複雑さを押し切る
強引さが魅力でした。ところどころ、ユルさもまじえて笑いを
呼びます。が、基本的には流山児さんが三作を通じて強烈に
戦争反対を叫んでいました。シンプルです。
もうとにかく反対なんだ!というストレートさがこの上演の
何よりの力です。超真剣です。

観劇後はテツヤと横浜に引き上げながら、
今後の作戦を練ったりしました。


9/27(水)『秘密の花園』考〜モーツァルト12歳のオペラ

2023年9月27日 Posted in 中野note
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↑つい1ヶ月前に発売になったCDです

ついに聴きました!
モーツァルトのオペラ『バスティアンとバスティエンヌ』。

『秘密の花園』唐組改訂版に新たに登場する野口医師。
彼が語る長ぜりふのなかに、このオペラについて語る箇所があります。
うりふたつの女、いちよともろはに引っ掛けて、
このそっくりな名前の男女の恋愛を題材にしたオペラについて
語るのです。

どマイナーな作品です。
いかに天才モーツァルトとはいえ、
なにしろ彼はこれを12歳の時に作曲したのだそうです。
12歳じゃねえ。

メロディラインはともかく、
オーケストレーションの乏しさは否めません。
しかし、まあ、そのぶん単純で聴きやすくもある。

録音自体が珍しく、いつか聴いてみたいと思い続けてきたので
最近に出たのをすかさず買いました。
唐さんはおそらく聴いていないような気もしますが、
そんなことは関係ありません。

おかげで、なにか『秘密の花園』の新機軸を閃きそうです。

9/26(火)『秘密の花園』を上演するとしたら・・・

2023年9月26日 Posted in 中野note
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↑そういえば、タイトルのもとになったバーネットのこの本を
私は読んだことがありません!読まなければ!


もしも『秘密の花園』を上演するとしたら・・・
ここ二日、そういうことを考えています。

今年のお正月、ロンドンから帰ってきて以来、
何本もの唐十郎作品を本読みWSの題材に取り上げました。
『秘密の花園』もそのうちの一本。

台本には1982年の初演版と1998年の唐組改訂版があり、
WSでは初演版をベースに、最後の回では改訂版との比較を行いました。

台本に向き合うとき、私は次の二つの考え方をします。

(1)なにを物語るか
(2)どう物語るか

唐十郎作品上演にとって重要なのは、圧倒的に(1)です。
上演頻度が少ないからです。

唐作品は凄いけれど、まだまだ一部の人のみが知るもの。
これはシェイクスピアやチェーホフや近松と比べての話です。
だから、 (1) なにを物語るか、が圧倒的に重要です。
要するに、みんなが話を知らないから、お話を伝えなければ!

他方、中には、わずかに上演頻度の高い作品があります。
『少女仮面』『唐版 風の又三郎』『ジャガーの眼』などがそれ。

こうなるとやはり、(2)どう物語るか、という勝負になってくる。
まるで『ハムレット』や『桜の園』、『冥土の飛脚』をやるように。
モーツァルトの『フィガロの結婚』やベートーヴェンの5番をやるように。

自分にとって『秘密の花園』はその部類なのです。

どんな作品だって(1)なにを物語るか、がベースになります。
そのことを忘れちゃいけない。
けれど、現在までに多くのパターンがある『秘密の花園』には
(2)どう物語るか、も必要です!

そう思って、ウンウン言いながら考えています。
上演するなら、どんな上演にしようか。
唐十郎の専門家のはしくれとして、他の上演に遅れをとることは
できないな、なんて俗っぽいことも考えながら、ウンウン言っています。

何か、考えつきそうです。

9/23(土)安保由夫さんが亡くなった日

2023年9月23日 Posted in 中野note
9月21日からホームページの不具合で
ゼミログの更新ができなくなっていました。
お陰様で、9月23日に無事復旧しました。

本日は、9月20日に書いた記事を掲載します。

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↑2011.11.3に行った唐十郎21世紀リサイタルでの安保さん


今年も安保由夫さんの御命日がやってきました。
安保さんが亡くなったのは2015年のことですから、
あれからもう8年が経ちます。

安保さんは状況劇場出身の俳優で歌手で、
私たち唐ゼミ☆劇団員にとっては、1970年代以降の唐十郎作品に
多大な劇中歌を生みだした作曲家としてとりわけ大きな存在でした。

同時に、安保さんはご自身の店、
新宿のナジャに行けばいつでも往時の唐さんの創作エピソードや
劇の成り立ちを聴くことのできる生き字引であり、
私はしばしば話を聴き、また気骨ある安保さんに
励まされもしてきたのです。

8年前に安保さんが亡くなってからも企画が立つたびにナジャに行き、
安保さんの奥さんのクロさん(みんなそう呼びます)とやり取りして
きました。

今度はこの芝居を上演するので安保さんの歌を歌わせてください。

そうお願いして、薄い水割りを飲ませてもらうのが、私が稽古に入って
いく時のセレモニーでした。

が、今年の9/20が例年の違うのは、さらにそのクロさんが
体調を悪くされ、今月上旬を以ってナジャが閉店することになって
しまったことによります。
恒例だった、安保さんにお花を届ける先さえ無くなってしまいました。

これは、かなりやり場のない思いです。
先日の劇団集合では、最近の中心である津内口と麻子に加えて
椎野も入り、過去の劇中歌から気に入りのもの、可笑しかったものを
思い出してみました。

来月から本読みWSを『青頭巾』で行う予定ですが、
『青頭巾』に出てくる『オイチョカブの歌』は面白さにおいて
傑出しています。『ユニコン物語 台東区篇』の『八房の歌』もまた
イントロで「♪ブンガチャカ ♪ブンガチャカ〜」とやっていると
明るい気持ちになります。

あの、生真面目さと悪ふざけが入り混じっていた安保さんの役者姿も
思い出しつつ、今日はコミックソングを歌って自分の中の安保さんと
自分自身を浮上させようと思います。

↓先月末にみんなでナジャに行きました
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9/19(火)ロンドンでできた友人に会う

2023年9月19日 Posted in 中野note
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↑お土産はナショナル・シアターの『フェードラ』
ウィーンのレゾナンツェン音楽祭、BBCプロムス
スリークワイヤーズフェスティバル in グロウスター
の当日プログラムたち!


先日、ロンドンでできた友人に会いました。
彼女、Mさんは日本人で、もう5年以上もロンドンに住んでいる人です。

知り合ったのはまことに単純な理由で、彼女こそ、
私が去年に厄介になっていたダイアンの家に部屋を借りていた、
前の住人だったのです。

ダイアンの家を出た後もMさんは近所に住んでおり、
時どきダイアンの家に遊びにきていました。
それで紹介されて知り合うことができたのです。

長期に渡ってロンドンに住んでいる彼女の英語は素晴らしく、
旅行代理店勤務という職業人としての優秀さも抜きん出ていました。

いつも私が七転八倒しながら旅行の準備をしていると
荷物の大きさに規約があるからこのスーツケースにまとめた方が良い、
などとアドバイスをくれました。
実際のケースまで貸してくれるのです。

飛行機のチェックインをオンラインで済ませる手続きなど、
一緒にやってもらったこともあります。

自分にできたお返しは食事や遊びに案内することくらいでした。
たまたまコンサートや芝居にも興味を持つ人だったので、
私からは、これは凄いぞ!というものを案内して、
多少は役に立つことができたように思います。

しかし、それすらも、
観たものについて語り合う相手ができた私の嬉しさの方が大きく、
まことに大きな恩人でした。

その後、Mさんは弟さんの結婚式があるというので一時帰国し、
なんと羽田に着いた朝に『オオカミだ!』を観に来てくれました。
それから改めて、先日の夜に9ヶ月ぶりに会うことができました。

ロンドンでできた知り合いに日本で会うのは不思議な感じが
しました。今もグリニッジに住む彼女から、あの街が今も
正常機能して変わらずにあるのを聞きました。
(当たり前といえば当たり前ですが)

この9ヶ月間、Mさんは私の勧めた催しを観に各地に行き、
その当日パンフレットを集めてくれていました。
それが冒頭の写真です。観られなかった芝居、行けなかった
音楽祭、それら資料が入っています。

それぞれのページをめくりながらか彼女の冒険譚を聞くのは
愉しく、自分が行かれなかったウィーンやダブリンの話に、
またヨーロッパに行ってみたいと思うようになりました。

次は『オオカミだ!』を持って行きたい!
そういう話もしました。今度は研修生としてではなく、
演じ物を持って英国に行けたらどんなに良いだろうと
思わずにはいられません。ありがとう、Mさん!

9/17(日)我慢のはじまり

2023年9月17日 Posted in 中野note

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↑はじめて奮戦中


息子があと1週間で7歳になります。

7年前、私は横浜国大の丘の上にテントをたて、

『腰巻お仙 振袖火事の巻』の通し稽古に臨んでいました。

朝5時頃に産気づいたと連絡があり、昼に息子は生まれました。


あれから7年。

彼が誕生日プレゼントに望んだものは、

「メザスタ」というポケモン系ゲームのタグでした。

それ自体は600円ほどで、さして高額とはいえない品物です。


誕生日当日に私がフリーである保障がない以上、

与えられるうちにセレモニーは済まさねばなりません。

安いな、と内心思いながら買ってあげると、彼はタグを買った

イオンに入っているゲームセンターへと歩を進めました。


そうです。

このタグはゲームを進めるためのとっかかりに過ぎず、

ほんとうの勝負と予算投下はここから始まったのです。


彼はタグに込められたモンスターを駆って勝負し、

新たなタグを手に入れて嬉々としています。


まるでパチンコ玉や麻雀の点棒が自分の手元に集まって

くるのにホクホクするオッサンのようです。

500円、1,000円、1,500円・・・が

あっという間に吸い込まれ、タグに変わりました。


長い闘いになりそうです。

彼はこれから、手元のタグが誘いかける禁断症状との格闘、

我慢を始めなければなりません。酒であれ、色欲であれ、

ギャンブルであれ、時にはチョコレートやアイスクリームにさえ。

人は必ず何かに依存します。要は程度問題です。


彼はあるところで折り合いをつけられるようになるのか、

自分はあまり偉そうなことは言えないな、と思いながら

これからを見守ることにします。

9/15(金)見えない部分を強化

2023年9月15日 Posted in 中野note
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左足の踵が痛んでから、もう1ヶ月が経とうとしています。

最初は構わずに走り続けていたら痛みは強くなるばかり。
それで朝は、走るのをやめて歩くことにしました。
時間はかかるけれど仕方ありません。
そうするうちに治らないだろうか、そう思ったのです。

時間が経つうち、痛みは徐々に緩んできました。
しかし、ちょっとした時にやっぱり痛む。
そこで月に一度お世話になっている整体の先生に相談したところ、
靴の中にソールを入れてみては、というアドバイスを受けました。

早速、今日は仕事の合間を縫ってスポーツオーソリティに
行くことにしました。オススメのソールを聞いたところ
勧められたのが上の写真です。

履いて行った一足に入れてもらったところ、良い感触です。
特にクッション性も抜群で、少し背が高くなったようで気持ち良い。
家にあるもう一足にも同じものを入れようと二つ目も買いました。

気に入りのスニーカーは捨てがたいものです。
中敷きや底がすり減っても、これだ!というフィット感が
次に買うものによって得られるとは限らないのです。
だから、ひとつ気に入ればできるだけ同じものを買ってきました。
が、やがて型はチェンジしていくもの。泣く泣く次のバージョンに
乗り換える。そういうことを繰り返してきました。

このソールを変える、というのは案外良い方法かもしれません。
全体を使い続け、中身を入れ替えていけば長持ちして安上がりでもある。

同じことはメガネにも言えて、昨日はレンズも交換しに行きました。
キズがついたレンズを交換しながら、同じフレームをずっと使って
います。イギリスに行く前にスペアをひとつ買ったのですが、
そちらの方はいまだに馴染めず、結局は古い方に手が伸びます。

こういう風にリニューアルしながら使い続ける最高峰は
自分にとって畳の張り替えです。あれは一日仕事であるために手間が
かかりますが、張り替えられたばかりの畳は素晴らしい。

『鐵假面』の主人公はタタミ屋なので、実際の仕事を見るためにも
張り替えを行おうかと思います。今はまだ暑いので、涼しくなったら。

外側からは見えずらくとも、見えない部分に気を配ることは
なかなかどうして、贅沢さに溢れています。

9/14(木)萩尾望都の世界に入門中

2023年9月14日 Posted in 中野note
202107|新潮文庫|私の少女マンガ講義|102981|書影.jpg
↑マンガもさることながら、新潮文庫のこの本が自分のガイドになって
くれました。オススメです!


少女マンガを読んでいます。
萩尾望都作品を文庫で買ってきては、代表作から読んでいます。

別に『オオカミだ!』公演を終えてリラックスしているわけではなく、
来週末に担当している公演に萩尾先生をゲストにお招きしているので
せっかくだからこれを機会にその世界に浸ってみようと思ったのです。

☆神奈川県民ホール主催
青島広志&萩尾望都の「少女マンガ音楽史!」
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/aoshima2023


・・・なるほど、これは自分にとって新しい世界です。
『ポーの一族』も『トーマの心臓』も、
これまでタイトルを知りこそすれ触れてきましたでした。

初心者の私なりに萩尾先生をすごいと思うのは
『半神』と『イグアナの娘』を同じ方が描いている点です。
前者はあまりにも無駄なく研ぎ澄まされています。
後者は、一見すると突飛な設定の中に、
やはり母娘関係が研ぎ澄まされて凝縮しています。

同じ肉親の愛憎を描きながら、
これだけの表れ方のバリエーションがあることに、
萩尾先生の凄みを感じます。

が、正直に告白すると、萩尾作品を読みながらちょっと疲れています。
『ポーの一族』を一気に読んでいるせいかも知れませんが、
劇場で机を並べている女性スタッフが「あ、萩尾先生のマンガだ」
と言って嬉々としてページをめくり始め、しばらく後に
「止まらなくなっちゃう」と言って無理やりに手を仕事に戻す光景を
見たとき、ああ、オレは頑張って読んでいるんだな、
自然に萩尾先生の世界に夢中になってはいないんだな、
という疎外感を覚えざるを得ませんでした。

口惜しかったので、帰りに『ポー詩集』を買いました。
これは対訳が載っているもので、おお、さすがに去年の英国生活を
経た後だと、英語でも多少は読めるようになっている!とやや自信を
回復しました。平易な英語で書かれている。これはポーの才能です。

そんな風に脱線しながらも、『ポーの一族』に帰ります。
主人公たち、エドガーとアランを自然体で自分のものとすることが
できるのか、そういう挑戦を続けています。

9/13(水)大島幹雄さんより

2023年9月13日 Posted in 中野note
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大島幹雄さんをご存知でしょうか?
私はここ7年、大島さんのファンです。

大島さんはサーカスや大道芸の研究者であり、
また実際のイベントを取り仕切るプロデューサーでもあります。
その探究の深さ、著書のおもしろさ、それでいて現場を切り分ける
処し方の温かさは、あんな風でありたい、と思わせる大人ものに
して本格派の方、という印象です。

この7年と、まことにはっきりした期間であるのには理由があって、
神奈川の財団からの仕事を受けるようになってすぐにお目に
かかった方のひとりが、大島さんだったからです。

少し話を聞いてすぐに興味を持った私は、
伝説の道化師ラザレンコの著した『サーカスと革命』や
康芳夫さんと並んで私が仰ぎ見る「呼び屋」のひとりである神彰さんを
描いた『虚業成れり』を皮切りにして、大島さんの世界に入門して
いきました。

大島さんの本の中で読んだ「サーカスの熊の仕込み方」
についての一節は、現在社会では許されない残酷さに満ちていますが、
人類が行き着いた芸能のあり方として、自分の好きなエピソードです。
いったいどれだけの人に、私は大島さんから学んだ挿話をしたことか。

大島さんの本を読むと、人に喋りたくなる。
そういう魅力に満ちた本を書き、同時にプロモーターとして、
あの伝説の「段ボール箱に一万円札を蹴り込む」を経験されている
ところが大島さんの凄みです。チケット発券システムが行き届き、
果てはQRコードチケットの導入によって忘れ去られた世界の
たのしさが、大島さんのキャリアにはあります。

前段が長くなりましたが、そのように敬愛する大島幹雄さんが
『オオカミだ!』を観にきてくださり、文章を書いてくださいました。
大島幹雄さん「デラシネ」日誌

所帯の大きな演劇公演とは違い、ケッチさんのような
フィジカル・コメディやソロパフォーマンスには、演し物を育てていく
という文化があることに改めて気付かされます。

ほんとうは演劇公演だって育てたいけど、どんなに面白くとも
100回、1,000回と公演できる作品はごく一部です。
そういう意味でも、自分は留学をしているのだなと思います。
そして留学をしたからには、その力を自分のメインの演劇づくりに
活かしてもうひとつ上の芝居づくりをしようと考えています。

9/12(火)『オオカミだ!』をやりながら行ったこと

2023年9月12日 Posted in 中野note
ナジャで.jpg
↑さよなら、ナジャ!

最近は『オオカミだ!』の現場レポートをしてきましたが、
同時進行で行っていたことがありました。それをいくつか。

上の写真は、安保由夫さん・クロさんのお店
新宿二丁目のナジャが閉店すると聞いて駆けつけたものです。
よく一緒に来ていた禿恵もいます。

安保さんが亡くなってからもクロさんお一人で続けて来られましたが、
クロさんが体調を悪くされたということで、クローズすることになった
そうです。寂しいです。
沢山のことを聞き、劇中歌を教わり、励まされてきました。
改めて、お二人に感謝します。

カプカプWS_230906.jpg

9/6(水)のカプカプWSです。
これから月に一回ペースで行っていきます。
この日が初回だったので受講生の皆さんも緊張していましたが、
それぞれに専門領域を持った面白いメンバーが集まり、
私は主催者としてうれしいです。

戸田真くんと_230909.jpg

9/9(土)に水戸で行われた室井先生を偲ぶ会です。
基本的には、中学・高校時代を水戸で過ごした室井先生の同窓会的
意味合いの強い会でした。
が、横浜都市文化ラボの受講生だった戸田真くんが、
横浜の会に参加できなかったからと駆けつけてくれました。
戸田くんは大学生になってすぐ、2012年度に受講した熊倉聡敬先生の
講座に衝撃を受けたという話をしてくれました。

「いちごメディテーション」というお題の一回でした。
私や椎野も運営スタッフとして面白く参加した講座でしたが、
大学一年生だった戸田くんにはとりわけ忘れられない講座だったそうです。
時に若者は、運営が思うよりもずっと大きく影響を受けます。
教えてくれた戸田くんに感謝しました。室井先生はいつもそういう
機会をつくろうとしてきたのです。喜んでいるはずです。

それから、翌9/10(日)の巨大バッタ修復&展示に備えて
ミーティングもしました。自分が『オオカミだ!』千秋楽につき
安達俊信くん・小松重之くんのコンビが名代をしてくれました。

安達・小松と@水戸芸術館_230909.jpg

結果、水戸の皆さんを二人がサポートするかたちで良い1日を過ごした
そうです。触覚は立ち上がりきらなかったので、次回に繰り越し!

こんなこともやりながら、『オオカミだ!』を終えることが
できました。欲張りな10日間でしたが、精一杯やりました。
それぞれに場所で一緒に走ってくれたみなさんに感謝!

水戸バッタ_230910.JPG

9/8(金)自分のいない本番も盛り上がっている

2023年9月 8日 Posted in 中野note
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↑ロビーのバナーの前で!
自分が横浜に戻る前に皆さんに希望して記念撮影してもらいました


『オオカミだ!』2日目。
今日はザ・スズナリ公演を組む前から決まっていた
県民ホールの催しがあって、『オオカミだ!』の本番には立ち会えません。
けれど、1日目から少しだけ改良したいところがあったし、
できるだけ座組のメンバーと一緒にいたいこともあり、
集合の16:00から17:30までは下北沢にいました。

着いてみると、今朝からの大雨の影響で、
大事な紙芝居の経師(パネルに印刷物を貼ったもの)が浮いていて、
ザ・スズナリの洗礼を浴びました。
数少ない道具はどれひとつとっても欠けてはならず、
その中でも井上リエさんによる紙芝居は私たちの生命線です。

それだけに皆でヤキモキしましたが、
楽屋の小部屋で除湿をガンガンにかけて許容範囲まで
立ち直らせました。というトラブルに見舞われながらも、
稽古をして、それから皆さんに本番を託して横浜に戻りました。

ずいぶん寂しいものだな、と思いましたが、
これから『オオカミだ!』がうまく育って方々に出かけるように
なれば、経費節約のために自分不在の方が良い局面が必ず来ます。
だから自分がいない状況もまた、『オオカミだ!』の特性と
思うようにしました。

中心にテツヤさんとケッチさんとユメさんと私の4人。
それに、受付のエミさんと鈴木さんがいて、スズナリの
野田支配人とチカさんが手厚く後方支援してくれます。
加えて、照明はチエさんとツバサさんのサポート、
井上リエさんの描いたビジュアル、平井隆史さんの音響協力。
チラシのデザインと写真撮影をしてくれる金子さん。

そんな風に広げて考えても、やっと10名強の座組です。
ですから、助け合って舞台を支えています。

開演時間の19:00になればウクレレを弾くケッチさんを想像し、
19:45を回れば三男ブタのレンガの家との対決に入った頃だと思いました。

県民ホールで立ち会っていた公演を終えてケータイに電源を入れると、
観てくれた人たちからのメッセージが入っていました。
子どもたちがたくさん入り、客席はかなり盛り上がったそうです。
ありがたいこと!

明日は朝9:00に集合して11:00から3回目の本番。
それを終えたら自分は水戸に向かいますが、
『オオカミだ!』は14:00からも本番があります。
ああ、どこでもドアがあれば!

9/7(木)『オオカミだ!』初日

2023年9月 7日 Posted in 中野note
今日は『オオカミだ!』初日でした。
本番に集中するために朝から別件を捌き、13:00に劇場入り。
最終リハーサルをして、演技について最後の改善点を詰め、
小道具の細部もさらにブラッシュアップ。

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その後、下北沢の街に出てチラシ撒きもしました。
今回は5回公演ですが、集客に関して
空いている日と混んでいるに恐るべきムラがあり、
少しでもお客さんの少ない日を埋めようと躍起になっています。

近所には子供たちの集まる広場やスイミングスクールもあり、
そこに出入りするお父さん・お母さん・子どもたちにチラシを
渡して受け取ってもらいました。

そこからの本番です。19:00開演。

始まると舞台はもうケッチさんの領分で、
この舞台は自分もたのしみながら観ることができます。
その場でのお客さんとの交流や、インスピレーションに
賭けることの多いケッチさんに、驚きながら観る。

それに、今回の黒子アシスタント役であるユメさんとの
コンビネーションが急上昇し、普段は爽やかで美しい彼女は
面白い動きをたくさんして、ケッチさんと息が合うのです。

これは実に相性で、4日前に初対面したばかりとは思えぬほどの
嬉しい成果です。前回の舞台では冗長だったところを引き締めて
1時間ぴったりで公演を終えました。

今日のお客さんは少なかったけれど、そういう状態であれば
そういう客席なりのケッチさんの渡り合い方を見ました。

舞台が終わった時、
本番中にオオカミに使われまくった観客の皆さんが
よろこんで帰っていくのがよくわかりました。

今回の『オオカミだ!』は前回の本多劇場公演とは違い、
集客に苦戦してきました。同じ下北沢で、
あまりにも短いインターバルでの再演が良くなかったとか、
キッズプログラムなのにちょうど夏休みが終わったばかりの
タイミングとか、いろいろと原因を考えています。

けれど、さまざまな場所への巡回を目指すこの公演を、
私たちはチャンスと見ればどうしても仕掛けたかったのです。

結果、5回の公演の客席は、極端にムラができています。
すごくお客さんの少ない日と集まっている日の差は人数に4倍も
差がある。だから、座組の全員で最後まで宣伝です。

それからザ・スズナリの支配人さんも大いに協力してくださり、
まるで劇場の主催事業のように力を入れて下さっている
ありがたさが身に沁みます。

そういうわけで、劇場の方にも参加してもらって初日乾杯をしました。
明日9/8(木)も19:00開演。明日は同じ平日でも子どもたちを含めた
お客さんがたくさん来る予定です。台風が心配です。

↓開演前のステージ
開演前の舞台.jpg

9/6(水)ザ・スズナリに入る

2023年9月 6日 Posted in 中野note
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↑劇場前!

今日は朝にカプカプひかりが丘に行き、
今年度の「カプカプ×新井一座によるファシリテーター育成WS」を
スタートさせました。

今年度は2年度目でもありますし、
岡山・鳥取から駆けつけたメンバーもいてトップから
スムーズに始まりました。昨年度もそうでしたが、
このWSには新井英夫さんを慕って特別な思い入れを持つ
参加者が多くいて、しかも皆さん腕に覚えのある豪華メンバー。
ここで始まったネットワークが将来への強力な布石になりそうな
ところも愉しいところです。

その後、午後には下北沢に行き、
初めてのザ・スズナリ入りを果たしました。
午前中からテツヤP率いるスタッフ陣が仕込みを終えてくれて、
シンプルなステージが完成して照明を合わせているところでした。

↓客席の様子
客席.jpg

それから場当たりをして、
その中で、今回の座組の新人であるユメさんの動きの工夫も
重ねました。何しろ、彼女はまだ稽古を始めて4日目なのです。
段取りを覚え終わり、これから「黒子」という役に工夫を凝らす
余地がいっぱいある。自然に周りも欲が出てきて、粘りました。

夕方まで場当たりをして、
それから小道具をブラッシュアップしようと買い物に
行こうとしましたが、突然の夕立で身動き取れず。
このゼミログを書き始めたのは、その買い物までの待ち時間です。

↓ロビーで作業。小道具を工夫
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30分ほどして雨の勢いが落ちると買い出しに行き、
総力戦で道具に手を入れて、手を入れた道具を扱う箇所を再度、
念入りに稽古して劇場入り初日は終了。
最後に片付けをして、客席をつくることもできました。

明日は昼に集合し、ゲネプロをして初日を迎えます。

↓ステージ奥からの眺め
ステージ奥からの眺め.jpg

9/5(火)『オオカミだ!』稽古、その他

2023年9月 5日 Posted in 中野note
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↑稽古の休憩時間にケッチさんと積もる話をします。
ケッチさんは今年もエジンバラに行かれたそうです。


ああ、頭がグルグルします。
やることが多くて、そのどれもに粘りたくて、沸騰する感じです。

9/3(日)に『オオカミだ!』の稽古を始めました。
久々にケッチさんとの再会し、本編の内容を思い出しながら、
2月の公演に自分たちがした工夫に気づいたり、
今回用に拡大するところ、割愛してコンパクトにするところなど
洗い出してブラッシュアップしています。

合い間にするケッチさんの海外戦略の話など面白く、
そのうちイギリスに斬り込もう!などと話し合っています。
前は遥か彼方の土地で想像すらできなかったけれど、
去年を経てヨーロッパが身近になり、話に付いていかれるように
なりました。効能です。

今回の黒子役の月岡ゆめさんは、
自分が2020年度に桐朋芸術短期大学に非常勤で教えに行っていた時の
生徒でもあります。3年経ってこんなかたちで再会するとは
思いませんでしたが、同時に20人ほどの学生を相手にしていた
あの時には無かった会話があって、これも面白く過ごしています。
彼女にはパフォーマーとして華やかさがあるので、
少ない稽古期間の中でもまた違った、かなり主体的な黒子をつくろうと
示し合わせています。

あとは、早朝の散歩中にレギュラーガソリンの値段が195円まで
上がったことに衝撃を受けました。
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さらに、これはかなり今更なのですが、
唐さんが『続ジョン・シルバー』の台本のト書きに書き付けていた
歌『I'll be〜』の正体を突き止めました。
これだったんだ!

ROY ORBISON

"THERE'LL BE NO TEARDROPS TONIGHT"


こういうことが一つあると、それだけでもう、
もう一度『続ジョン・シルバー』をやらなければならないような気が
してきます。

気ばかりがはやっています。
カプカプひかりが丘でのWSや県民ホールのオルガン公演、
水戸の巨大バッタなど、いろいろな本番が同時にある今週末です。

台風は大丈夫か!?

9/1(金)医者に行く頃にはたいがい少しマシになっている

2023年9月 1日 Posted in 中野note
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↑歯医者で授けられた強力マウスウォッシュ。殺菌だけでなく
傷の治りも早くする効果があるらしい!


9月になりました。
少し気温も落ちて過ごしやすくなってきています。
ハンディラボの工房スペースは冷房がありませんから、
少し稽古をするとドロドロに汗をかきます。

たまりかねて休憩を取り、事務所スペースに逃げ込んで涼をとります。
ずっと炎天下で闘うスポーツ選手や道路工事など野外で仕事をしている
人たちが偉く見えます。私たちも、9月にテントや野外公演を行うようで
あれば押して稽古をして、むしろ暑さに慣れる体づくりをしなければ
なりませんが、今回はそうではないので、素直に逃げ込んで休憩を多めに
とり、水やお茶をガブガブ飲んでいます。

暑かった8月を通じて、今年は歯の痛みに悩まされました。

いちばん痛かったので前半で、これは今まで未経験のズーンとしたもの。
左下の奥歯近辺から痛みが走ると左半身全体に痛みが貫通して
10分やそこら身動きが取れなくなる感じでした。
それでいて、かかりつけの歯医者でも、紹介されて行った
セカンドオピニオンでも、虫歯ではないと言われてかえって困りました。

どうしたものかと頭を抱えながら、しかし、よく寝るようにしたことも
あってか、お盆前には劇的に改善していきました。
セカンドオピニオンでしてもらった高さ調整が効いたのか、
痛みが徐々に引いて、数日経つとウソのように痛くなくなったのです。

これには喜んで、かぶりつき系のトンカツなんか勇んで食べました。

ところが、また8月最後の1週間に差し掛かった頃から痛くなり始め、
やっぱりダメかと思っていたら、今度は歯茎が腫れて、左頬がゴリゴリと
膨らみ始めたのです。ああ、これは歯茎にバイキンが入ったな、と
思いました。この感覚は、2016年の正月にオヤシラズ4本を手術して
抜いてもらった時によく覚えていたのです。

手術して1週間ほど経ち、傷口にバイキンが入って腫れた、
あの時と同じなのです、おそらく、痛い、痛いと歯磨き過剰、
いじくり回しているうちに傷つけたのかもしれません。

で、膨らんだ後の方が見た目には影響ありましたが、
原因がはっきりしたのでずいぶん心が楽になり、
そこから数日経つうちに腫れも半ばほど引いた状態で、
今日はかねて予約してあった近所の歯医者に行きました。

状況を説明すると、なるほど腫れているということで
麻酔を打たれて膿を吸い出され、抗生物質を
もらいました。今は治療のおかげで瞬間的に痛いけど、
これで加速度的に改善するはずです。

しかし、いつも思うのは、医者だって整体だって、
大抵コンディションが底をついている時には行かれないという
ことです。なんとか対応するために予約を入れると、
少し良くなったタイミングでやっと通院ということになる。
今回もそうでした。

抗生物質、5日前に欲しかったな・・・
うがい薬も良いのを手に入れたので、しこたまやります。

8/31(木)鷹さんの教え

2023年8月31日 Posted in 中野note
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↑机と本棚に囲まれても、実際には見た目よりスペースがあり、
激しく動き回れます。


今日もハンディラボで稽古していました。
津内口と林麻子のふたりを相手に『鐵假面』1幕から抜粋して立ち稽古。
今回の上演にふさわしい演技スタイルを探るのが目的ですが、
どうしたらせりふと動きを御して役者が自由に振る舞うことができるか、
それでいてせりふが求める世界を余すことなく表現することができるか、
演じてもらい、話をし、また演じてもらい、の繰り返しです。

特に今日は事務スペース全面を使うことができたので、
冷房のなかで稽古しました。ここ最近のようにドロドロにならずに済み、
工夫の凝らしかたも冷静です。

稽古を進めるうち、ヒロインのスイ子がわざと淫蕩ぶってみせる
せりふに行き当たりました。

「あなた、乱行はどうしてお嫌い」などというせりふを言うのです。
最初、津内口はこれをドスを効かせて言いました。
けれど、こういうせりふは悪ぶることなく、かえって穏やかに
言った方が効くものです。その後、相手役の童貞青年・タタミ屋は
自分がいかにセクシャルなものを嫌悪しているか語るわけですが、
こういう突飛でエロいせりふは、静かに言った方がその魅力が出て
相手役の拒絶感も引き出せようというものです。

・・・と、このシーンを稽古しながら、かつて学生時代、
大久保鷹さんに教わったことを思い出しました。

あれは20歳の頃の大学3年時。
立ち上がりたての唐十郎ゼミナールで
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』を上演した時、
本番を観にきた鷹さんは僕らにせりふ術を授けてくれたのです。

主人公の忠太郎が床屋の見習いを始めた場面でした。
床屋のおやじは忠太郎をいじめるべく、彼を「おい!」と
呼び出しておいて「用があったら呼ぶね」と言うのです。

これを、同級生だった石井君はドスを効かせるようにに演じました。
いかにも強面です。ところがこれを観た鷹さんは、こういうせりふは
ニコニコと、さらにクネクネと、相手を撫でまわすような優しさで
言うべしと例を示したのです。

参考にすると、奇妙ないやらしさ、悪意が出来しました。
そして、翌日の本番ではてきめんにこのせりふがウケた。
効果は絶大でした。相手の痛ぶりかたにこのような陰湿な
やり方があることを私は知り、今日はそれを津内口に伝えました。

彼女の人間としての抽出しも、これでひとつ増えたことでしょう。

8/30(水)下北沢にも行く!

2023年8月30日 Posted in 中野note
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↑言葉の心配はないよ!小さな子でもいいよ!というメッセージを
ザ・スズナリの野田支配人がアレンジしてくれた。ありがたいぜ!


昨日、昼間にハンディラボで立ち稽古を行ったところ、
ドロドロになりました。まるでサウナのなかで稽古しているかのように
うだるのです。半野外想定の稽古なので、演技は大時代的なスタイルです。
ゆえに、声を張り上げる。
ゆえに、声を張り上げるだけで汗がふきだす。

大間違いだったのはTシャツの替えを持って行き忘れたことで、
稽古後、夕方からの予定に同席した人たちは、
さぞ私が臭かったことと思います。あいすみません。

『鐵假面』稽古はそのように熱を帯びて、
自分たちが伸び伸びと大熱演できるか、その方法を探っています。

他方、9/7(木)-10(日)に迫った『オオカミだ!』公演の稽古も
週末に迫っています。前回の公演をブラッシュアップする方針をたて
各シーンにどんな工夫を加えるかを考えています。

一昨日には、テツヤPにお願いをしてザ・スズナリを下見させて
もらいました。2月の公演を観てくださった支配人の野田さんと
スタッフの方が、一日中働いた後にも関わらず温かく迎えて下さり、
舞台の設営についてお話しすることができました。
おかげで不安が払拭され、より舞台が観えてきました。

野田支配人は今回もまた、劇場近くの交番の向かいにある壁面を
ジャックして、私たちの公演のポスターで埋め尽くしてくれました。
英語のキャプションだって付いています。

そう。テツヤPとケッチさん、私の3人はいずれ海外に行こうと
考えて『オオカミだ!』をつくったのです。
背中を押されました。終わったあとはテツヤPと二人で横浜に
引き上げ、深夜のもんじゃ焼き屋で作戦を練る。
そういう日々を送っています。

8/29(火)夏稽古、追い込みの1週間

2023年8月29日 Posted in 中野note
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↑実際の上演を想像しながら立ち稽古
立ち稽古したら会場について構想する会議

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↑その間にみんなマンガのなかの記述をしらみつぶしに探す


残すところあと1週間になった唐ゼミ☆夏稽古を追い込んでいます。
新たな上演形式をハード&ソフトの両面から探るために立ち稽古。

立ち稽古をし、役者と観客のパワーをより開放するために
劇場をどう建てるか話をし、また立ち稽古に戻る。
そんな感じです。

合い間には調べ物をします。

『鐵假面』という芝居には、唐さんが小さい頃にみた紙芝居
『少年王者』が大きな影響を与えています。
ヒロインの名前が「スイ子」というところにも、それが表れている。

けれど、劇の中で『少年王者』のスイ子について
語られるせりふが原作のどこにあるのか、いまいち判然としない。
それはこんなせりふです。

昔からスイ子さんは健忘症だった。
少年王者に助けられた時だってあんたはいつも気絶していた
じゃありませんか。果たして気絶したのか、
気絶した振りをしていたのかは分りませんが、
お父さんにお前、それは夢だよと言われると、
そうかもしれないなどとすぐに大事なことを忘れてしまう。

と、主人公の青年はこんなことを喋りますが、
これがどこにあるのか気になって仕方ない。

そこで、稽古や作業の合い間に何人かでよってたかって探しました。
要するに、みんなでマンガをガーっと読む。

・・・マンガ喫茶みたいですが、激しい立ち稽古、
神妙なミーティングだけでなく、これも私たちの公演準備です。
そんなこともやってます!

8/25(金)『オオカミだ!』と巨大バッタ

2023年8月25日 Posted in 中野note
『オオカミだ!』スズナリ_チラシ表.jpg 64c8a7913143b.jpg
↑『オオカミだ!』と巨大バッタ。9月前半の取り合わせ


気づけば『オオカミだ!』公演まで2週間に迫っています。 
公演情報はコチラ→https://yorunohate.net/the-big-bad-wolf/

唐ゼミ☆夏稽古もたけなわですが、『オオカミだ!』稽古の準備もしないと。

2月の本多劇場に引き続き、
今回の公演会場であるザ・スズナリもまた演劇界の重要拠点です。
普段はテントや野外を中心に活動している自分への、
これは、プロデューサ・テツヤからの大いなるプレゼントです。
燃える!

どういう風な稽古・本番にしようか。
方針は見えています。その方針が各シーンにどう宿るのか、
ここから1週間で計画を立て、直前の稽古に入ります。

どうやってこのショーを作ったのかを一から思い出す必要もある!

去年ロンドンにいて、イギリス民話である『3びきのこぶた』を
どう体感しながら台本づくりをしたのか。
作品と自分の原動力をともに振り返るところから始めます。

これは、一人でこっそりハンディラボか、
あるいは、風呂屋ででも考えようかと思っています。
風呂屋。いいなあ。

他方、『オオカミだ!』公演を行う9/7-10の週末はイベント尽くし。
9/9(土)は水戸芸術館に再び巨大バッタを膨らませにいきます。

これは展示をするというよりも、修復の意味合いが強い1日です。
が、あのバルーンはデカすぎて、そんな作業も結局は展示になってしまう。

屋外での作業にならざるを得ないので、
せめて、猛暑が少しは秋の気配に変わっていてくれるといいなあ。

そうそう。ボランティアスタッフを募集しています。
巨大バッタに触ってみたい人はぜひ来てください。
たのしく膨らませ方を伝えます

募集ページ

8/24(木)謎の歯痛が去る

2023年8月24日 Posted in 中野note
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↑新宿中央公園で公演していた2020年秋。
公園近くのドラッグストアでこの歯ブラシセットを発見しました。
以来、気に入ってずっと買っています。ロンドンにも持って行きました


・・・まったくよくわかりません。
あんなに痛かったものがどうして克服できたのか。
痛みとは歯の痛みのことです。

まず春先から、奥歯が異様にしみるようになりました。
歯が痛いなあという兆候はロンドン滞在時からあったのですが、
帰国後には冷水どころか真水を飲んでもしみるようになったのです。

だいたい、技術が粗雑なロンドンの歯医者なぞにかかったら
かえって歯をガタガタにされると渡英前に留学経験者から脅されていた
自分は、とにかく歯磨きに必死でした。
日本に戻ってきて事なきを得たと安心していたら、
むしろ帰国後に大きく痛むようになった。

歯医者さんに相談したら「虫歯はなし」
「シュミテクトで磨いてください」とアドバイスされ、
通常の歯磨き後にシュミテクトもやるという
二段構えでしばらく過ごしました。
これは大変に煩わしく、サボったり、けれども痛いから真面目に
2度磨きをしたりの数ヶ月。

ところが、7月末から、噛むたびに異様な痛みが走るようになりました。
左の奥歯が痛く、痛すぎて下が痛いのか上が痛いのかわからないほど痛く、
なんだか顎まで痛く、時によると左手の指先まで痛みが貫通するのです。

これに耐えかねて歯医者に行くと「やはり虫歯じゃありません」と
言われ、「そんなに痛いなら」と紹介状を書いてもらった
セカンドオピニオンでも「問題なし」と言われました。

ところが、お盆手前にこのセカンドオピニオンに行った翌日から
劇的な改善をみせたのです。あれから十日あまり、痛みはすっかり
去り、しみるのすら去って現在に至ります。
理由がぜんぜんわからない。

何かのストレスで寝ながらギュウと奥歯を噛みしめていたのかも
知れないな、と思うのですが、それすら寝ているからよくわかりません。
ともかくも痛みは去り、シュミテクト併用の二度磨きからも解放され、
スッキリ爽やか、安堵感とともに日々を過ごしています。

前触れもなく痛むと、酷ければ10分くらい動きが止まった日々、
激痛とともに夜中に飛び起き、ロキソニンに手を伸ばさざるを
得なかったあの日々。あれはいったい何だっただろうか。

8/23(水)直近の稽古から

2023年8月23日 Posted in 中野note
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↑先週末まで、齋藤は日生劇場で行われた『せかいいちのねこ』公演に
関わっていましたから、家族で観に行きました


8月に入って以来、連日ハンディラボに集まってゴリゴリと作業を
進めています。折からの驟雨にやられてびしょ濡れで来たり、
倉庫内が暑さに事務スペースの冷房を特に効かせて、
日々、集まっています。

いつもはLINEでやりとりしている内容を直に共有したり、
公演準備に際して書類を作る必要があればすぐに複数人で
対応できることも、今回組んだ集中稽古の効能といえます。

昨日は、いつもの津内口、林麻子、ちろに加え、
丸山雄也、井手晋之助、齋藤亮介もやってきました。

それぞれ直前にあった本番を終えたり、逆に準備中の出演に
備えながら、こちらにも目を配っての参加です。

最近は、3月公演の寒さの中でもお客さんが集中して観られるよう
舞台の進行をスピーディにする道を探っています。
これまで4〜5人で工夫箇所を探ってきましたが、
人数が増えるとさらに複眼になり、もうひと超えコンパクトにできる、
あるいは、伏線として重要な細部が改めて見つかったりします。

人数が多い時には、ちょっと遊びもやりたいと思います。
この前は突然にウナギを食べに行きました。
あんな大技でなくて良いので、どこかで食事などできたら良いと
考えています。あるいは、昼の休憩などに近所のうどん屋に行くのも
愉しいものです。

年が明けたら即、公演体制は佳境に入り余裕が無くなります。
だからこそ準備、だからこそ遊び、そう思っています。


8/22(火)すじ鉾に首ったけ

2023年8月22日 Posted in 中野note
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↑これが「すじ鉾」。この決然としたロゴにも好感を持ちます

・・・さすがに混乱してきました。
目下、週のうち4日はハンディラボで『鐵假面』を準備しています。
土曜になれば翌日の本読みWSに備え、日曜夜は『夜叉綺想』の世界。

『鐵假面』では、姉の情夫を殺して全国を逃げまわる姉妹の
ボストンバッグから、殺された男の頭部が腐臭を上げます。
その腐臭が道しるべとなって、ステキな「森」に行けるという物語。

他方、『夜叉綺想』は、馬の死骸から取り出した内臓が出てきます。
馬のモツ料理が豪勢に振る舞われ、モツを貪り食うパーティーの
果てにロボトミー手術の罪業が問われる。そういう仕立てです。

・・・この2作品を行ったり来たりしているうち、
お互いのクセの強さが私を揺さぶり、混乱してきます。
稽古中に話が混ざるのです。『鐵假面』をやりながら
「ええと、モツが・・・」とか考えている自分に気付き、
ハッとしたりします。


ところで、すじ鉾。
私は神奈川の仕事でよく県西部にも行きます。
昨日は湯河原町。そのついでに、最近に小田原の友だちから教わった
「すじ鉾」というのを買いました。

小田原の名物といえば「かま鉾」ですが、
「すじ鉾」は「かま鉾」にならない魚の骨や皮や・・、
要するに魚のホルモンを砕いて練ってつくったものなのです。

舌触りはかま鉾のように滑らかではありませんが、
独特の歯応えがあり、味にも力強さがあって、栄養価は高く、
値段が安い。教わって食べ、私はこれが好きになりました。

稽古の合い間には「最近『すじ鉾」というのを紹介された。
これがなかなかオツで・・・」というような話をしますから、
みんなにも買って帰りました。

『鐵假面』や『夜叉綺想』はまさに「すじ鉾」の魅力です。
地元ではこれしか食べない!というファンもいるそうです。
この呪縛力。わかるなあ。

8/18(金)なぜかこの巨匠たちと

2023年8月18日 Posted in 中野note
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↑『青島広志&萩尾望都の少女マンガ音楽史!』のチラシ

神奈川県民ホールで働き始めて8ヶ月が過ぎようとしていますが、
今日は、来月に控えているこの公演について紹介します。


自分は担当なので当然、数ヶ月前からこの両巨匠とのやり取りを
行っていますが、いまだに不思議な感じがします。

青島先生はずっとテレビでお見かけし、
雑誌の連載なども読んできましたが、直に接しているとあのままの
口調、早口で少女マンガやワンちゃんへの愛情を滔々と披露し、
こちらを楽しませて尽きるところがありません。
また、こちらを気配りながらお茶やお菓子を勧めてくださる手つき
など、まさに積年の、堂に入ったる妙技といえます。

萩尾先生とはいまだ面識なく、
出版社の方を介してのみやり取りをしていますが、
9/23にはいよいよご本人がやってくるのだ!という、
まるで大きな山がこちらに向かってゆっくりと近づいてくるような
迫力を覚えます。

やはり、どうしてこのお二人とご縁を得たのか、
我ながら不思議な感じがしますが、夜遅くに青島先生のご自宅を
お訪ねして打ち合わせをしながら、ひょんなことから唐十郎門下で
あることを打ち明けると、青島先生がかつて、若い時分に
黒テントの音楽を担当しかけたことがあると教えてくれました。
そこでこちらは、最近の佐藤信さんに接している話などをして・・・

そんな具合に、他流試合に臨む日々です。
膨大にあるお二人の作品のすべてを網羅することはさすがに
できませんが、せっかくにお迎えするのだからちょっとずつ齧りながら
日々を過ごしています。

詳細ページ→
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/aoshima2023

8/17(木)これもまたイギリスの効能

2023年8月17日 Posted in 中野note
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↑これがロンドンでの高級朝食。これだけで2,500円くらいしてしまうが
さすがに美味かった!


近ごろはベーコンエッグばかり食べています。
自分があまりにいそいそと食べているので、
それを眺めていた息子のさねよしまでもが、
ベーコンエッグ、ベーコンエッグと連呼するようになりました。

ベーコンエッグの作り方は簡単です。
極弱火で時間をかけてベーコンに加熱し、水分と油分を出す。
その上に卵を落とし入れて蓋をし、さらにじくじくと火を入れます。
自分の場合はベーコンの塩分のみで食べるので、
塩も胡椒も振りません。

大事なのは白身に火を通し切る一方で黄身を液状に仕上げることで、
温かくとろりとした黄身はそのままベーコンにまぶして食べる
ソースになります。
毎日のように食べることができる、侮れないご馳走です。

ベーコンは家から2キロほどのところにある肉屋で切ってもらい、
卵は八百屋にある秋田県産の濃厚なやつです。
朝の散歩のついでにこれらを買えたら、数日楽しめます。

自分の中のベーコンエッグがこんなにも眩しくなったのは、
イギリス生活のおかげです。

どこで食べても美味しくないか、美味しいけれどひどく高価か、
そのどちらかだったイギリスにあって、ひときわ輝いていたメニューが
このベーコンエッグでした。

特にカティーサークという最寄り駅すぐそばにあった
Bill'sというカフェのイングリッシュ・ブレックファーストで
供されるベーコンエッグは格別でした。

そうだ!あの時のように紅茶も入れてみよう。
今、これを書きながらそう思い立ちました。
今日はちょっと郷愁です。

↓こんな本も読んでしまう!
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8/16(水)発見!幻の『性病部隊』! その②

2023年8月16日 Posted in 中野note
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"この国の空は私たちをきらっているのね・・・"
二人がキューバに侵入してひとこと目のせりふがこれ。
こういうところはやはり素晴らしい


やっと手に入れたマンガ『性病部隊』。
ひと言でいうと期待外れでした。

小池一夫先生(当時は"一雄"だったよう)らしく、極めて言葉が強い。

"私たちは諜報員(エージェント)でも兵士(ソルジャー)でもない・・
意志をもたない人間爆弾・・・"
"人類が開発した兵器の中でも一ばん汚ならしい性病爆弾なんだわ・・"

といった具合。
いつもの小池節に、やっぱりいいなあなどと惚れ惚れしますが、
しかし、この物語はどうかと思いました。

なにしろ、件の男女。
性病部隊に課せられた使命はものの数ページでたちどころに成功、
あっという間にキューバ全土の6割が彼らの持ち込んだ新型梅毒に
感染します。アメリカの作戦はただちにハマってしまう。

その上で、物語の主眼はその後の性病部隊に転じます。

彼らはすでに用済みとなり、
むしろ証拠隠滅を図るアメリカによって消されにかかる。

だいたいが、この二人に知らされていた自身への理解、
すなわち抗体ゆえに特殊梅毒を持っていても自分たちは大丈夫、
という情報自体が真っ赤な嘘だったと知らされ、
長くとも一年の命であることを知らされる。

他方、自分たちが貶めたキューバからは、
抗体保持者として、言わば生きた特効薬と目され、
これまた命を狙われるハメになる。

前門の虎、後門の狼の様相でアメリカとキューバに挟まれ、
しかも1年間の期限付きという条件下で、この男女はせめて
精一杯を生ききり、まるでアダムとイヴ、イザナギとイザナミの
ように孤高のひと組としてお互いを求め合う、という状況が
描かれるのです。

で、自分はこれらをひどくつまらないと思いました。
なぜかと言えば、それは単に、追い詰められた男女の心理に
過ぎないからです。それ自体は、一緒に殺人を犯したとか、
無人島で生きることになったとか、要するに一対が孤高である
心情と結局は同じになってしまうわけで、なにも『性病部隊』
という特殊設定を持ち出さずともできることなのです。

さらに言えば、特攻を命ぜられたあらゆる人間兵器には、
押し並べてこの心情や物語が当て嵌まってしまうのです。

自分はそれよりも、この性病部隊がいかに奇想天外な、
あるいは逆に、いかにも俗っぽい色仕掛けでキューバ人たちを
虜にし、業病を蔓延させるか。
そういうプロセスを描いて欲しかったと願わずにいられません。

発想の突飛さはさすが小池先生ですが、
先生はあろうことか、けっこう凡庸な正義感に駆られてしまった
のではないか。そのように思い、落胆とともに長年求めたはずの
一冊が、今は目の前にあります。

ここにお宝は無かったわけですが、
好奇心が満たされ、スッキリした思いはあります。
が、タイトルに妄想を膨らませていただけの方が良かったかも。

そういう思いで、ここ数日います。嗚呼、トゥループパリダよ!

8/15(火)発見!幻の『性病部隊』! その①

2023年8月15日 Posted in 中野note
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↑やっと手に入れた『性病部隊』。この怪しげな書影を見よ!

今日はマンガの話です。
大学生になった頃、小池一夫にハマりました。
小池先生の代表作である『子連れ狼』『首斬り朝』を
大学1年の時に読んだのがきっかけでした。

これら二つの何度も読むと、他の小池作品にも自然と手が伸びました。
『御用牙』『クライング フリーマン』『餓男 アイウエオボーイ』など。
『子連れ狼』の続編が出ると、勇んで買い求めました。

小池一夫先生ご自身には一度だけお目にかかったことがあります。

『御用牙』が紀伊國屋サザンシアターで舞台化された初日のこと。
かねて知り合いだったプロデューサーさんからこの企画について
聞かされた私は大興奮し、主席で当日パンフレットへの寄稿を懇願して
書かせてもらったのです。

結果、同じく小池一夫ファンである劇団員の齋藤と初日を観に伺い、
ホワイトのマオカラーにギラギラの貴金属、全身からオーラを
ほとばしらせた小池先生にお目にかかりました。
少しだけ言葉を交わすこともでき、齋藤と二人で興奮したものです。
まさしく僥倖でした。

そんな小池作品のなかでずっと気になってきた作品があります。
それが、タイトルに書いた『性病部隊』。
こう漢字で書いて『トゥループパリダ』と読ませます。

物語は奇想天外。
キューバ危機に対抗するため、アメリカが最強の兵器を開発します。
それは、選りすぐりの男女ひとりずつに、最高の容姿・声・フェロモンを
備えさせ、さらに新型の梅毒を搭載してキューバに送り込む、
というものです。

彼らがキューバに侵入して後、あっという間に国民の6割が
新型梅毒に感染し、フィデル・カストロ率いる国民たちは大混乱に陥る。
というストーリーです。

・・・どうです? 気になるでしょう?
物語を聞きつけて以来、これまで10年以上も気になっていた作品です。
ですが、なぜか古本屋サイトでは見かけませんでした。
それがようやく、ヤフオクで手頃な値段で見つかったのです。

・・・実際の読後感は、また明日!

8/11(金)成功!オイディプス・リベンジ

2023年8月11日 Posted in 中野note
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↑稽古中の景色

今日も丸山雄也くんがハンディラボにやってきました。
いつもの津内口・林麻子・ちろに彼を加えて、
前回はうまくいかなかった『オイディプス王』を稽古しました。

敬愛する高橋睦郎修辞を傍に置き、新しい山形治江訳でもう一度
読んでみたのです。結果、成功しました。皆、体が反応しやすく
ビビットに喋っていくことができた。

前回を経て、もともと野外劇用に書かれた距離感とか様式感、
そういうものに慣れたというのを差し引いても、
現在の私たちには大変に優れた翻訳だということがわかり。
サクサク読みながら皆で語り合いました。

途中、こんなものもあるよ、とパゾリーニの映画を紹介しました。
今回の夏稽古では、こういう時間にゆとりを持っています。
いつもの稽古だと喋って終わりの事例とか、いっぱいありますが、
今回はyoutubeを開いたり、画像を検索したり、そうやって
味わう時間があるのが贅沢なことです。

マリア・カラス主演『メディア』とか『アポロンの地獄』の
さわりを観ることで、自分がずいぶん前にこれらの映画を観た時より
凄みがわかるようになっていることにも気がつきました。

こういうのも嬉しい時間です。

以下、ちょっとしたメモです。

・劇の序盤、テイレシアスはほとんどの真相を喋ってしまっている
・面白い役は、コリントスからの使者と羊飼い。狂言の役どころみたいな
たのしさ。コメディにもなり得るから、そういう上演があっても良い
・自分の思うクライマックスをつくることができそうだった。悲劇に
見舞われるところでなく、意志を貫くところであって欲しい。

総じて、自分の人間観だと思います。40歳を過ぎて、
くだらないこと、意志を持つこと、このふたつが自分には輝いています。
オイディプス!

↓この本を読みました
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8/10(木)清水宏と唐十郎を語る

2023年8月10日 Posted in 中野note
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↑終了後に記念撮影。左から戸松貴博さん、清水宏さん、私です


今日は初めて荏原中延に行きました。
この街の商店街にあるブックカフェ「隣町珈琲」は
スタンダップコメディアンの清水宏さんのホームグラウンドの
ひとつであり、ここで清水さんがずっと行っている
「スタンダップコメディ大学」のアフタートークに呼んで頂いたのです。

テーマは「三谷幸喜VS唐十郎」。
唐十郎ファミリーの一員として清水さんがステージに
呼び込んでくださり、ふたりで語り合ってきました。

唐さんとの出会いがどんなだったか。
世間では乱暴だったり、謎めいていたりする唐さんのなかに
どんな繊細さがあって、謎で片付けずに読み解いていけば
どんな条理を発見することができるのか、
自分が接してきた唐さんのパーソナリティを紹介しながら
お話ししました。

そして、さまざまな角度から唐さんを読み解いていくなかで、
その作業をしてなお残る謎の中に面白さの真骨頂があることを
伝えました。

一方、清水さんが1984年に上演された状況劇場の
『あるタップダンサーの物語』を観て、そのなかで活躍した
四谷シモンさんに痺れた話を初めて聴きました。

2017年に出会って以来、清水さんとはハードな仕事をして
ずいぶん濃密に付き合ってきたつもりでしたが、
唐十郎という存在については初めて語り合うことができました。

ありがたい機会でした。

隣町珈琲はとても気持ちの良い知的な空間で、
清水さんの一連のシリーズにももっと立ち会いたいと思いました。

8/8(火)怒涛!狂い咲き6輪!

2023年8月 8日 Posted in 中野note
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↑上の方に4輪
                        下の方に2輪↓
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昨晩の『夜叉綺想』本読み第6回は素晴らしい読み応えでした。
2幕が特に優れたこの台本のなかで、これぞ!という箇所に
差し掛かったのです。私の予定のせいで月曜に振り替えたので、
参加できなかった人には申し訳なくなるくらいでした。
その後も興奮して深夜まで過ごすことに。

で、今朝早く起きて、さあレポート書くぞ!
と意気込んだのですが、『夜叉綺想』の後味を上回るライブの興奮が
押し寄せたので、今日もレポートは明日に回します。

何しろ、現在の自分は横浜の家でひとり暮らし。
名古屋の実家に送り込んだ家族、特に息子の宿題である
朝顔への水やりと咲いた花の数を数える作業を肩代わりする日々です。

毎日。今朝は、ハイ1輪ね。今日も、1輪・・・
そういう感じでここ5日間来ましたが、なんと!
今日は一気に6輪も咲きました。こうなるともう興奮して、
これは息子さねよしの朝顔でなく、オレのものだと言いたい!
朝からボルテージがマックス、スーパーハイテンションに。

そういうわけで、「狂い咲き」といえば、唐十郎門下として
今日は『少女仮面』に出てくるこのせりふを反芻しましょう。

春日野 

あたし、今、廊下に血をこぼしちゃったの......

まるで季節はずれのひな祭りね、ここ五年、もうなくなってたのに、

あの水のみ男にシャツをひっちゃぶかれたら、

狂い咲きのように始まったのよ。

ああ、そこいらの男の子と死ぬの生きるのってジタバタしたいなあ。

 

8/7(月)ザ・怠惰。オレの夏休み

2023年8月 7日 Posted in 中野note
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↑これを小一時間でやってしまいました

今日は先ほどまで本読みワークショップをしました。
『夜叉綺想』第6回です。いつもは日曜の夜が恒例なのですが、
昨日は県民ホールの公演に立ち会ったので、今週だけは月曜日に
したのです。そんな中でも参加して頂き、皆さんには感謝!

が、レポートは明日に回して、今日は表題のことを書きます。
オレの夏休み。

目下、家族(椎野、息子、娘)は私の実家の名古屋にいます。
従って、私は一人暮らし。昨日は20:30に帰宅しました。
これは私にしては珍しく早く、かといってWS開始時間の
19:30には間に合わなかったために、家に一人で呆然としました。

が、その後に、猛然とよろこびが湧き上がってきたのです。
それから、好きなものを簡単に料理し、食べました。
YouTubeで『Three Kingdom 三国志』を観ながら。
それから、最近に人に勧められた、ホテルニューグランドの初代料理長
サリー・ワイルの本を読みました。しかも、買っておいたアイスクリーム
パルムの箱を一本ずつやりながら。

気づけば、6本一気にいってしまいました。
しかも、さらに気づけば、風呂にも入らず歯も磨かずに寝落ちして
冷房と電気を付けっぱなしで朝4:00になっていました。

人によっては疲労が溜まりそうと言われるかも知れませんが、
それが、最近稀に見るほど爽快な目覚めでした。
おかげで今日は仕事がはかどる。

ああ、たまにはこういうことをしなければならないのだと思いました。
まことにくだらない過ごし方ですが、これがたまらなく良いのです。

思えば、去年のロンドン暮らしはしんどかった。
ダイアンは面白い人ですが、やれ風呂には早く入れ、
入浴後の水滴は拭き取れ、ドアノブは静かに閉めろ、
電気を付けっぱなしで寝るなど人手なしの所業!

という具合でした。
今日のこの快調さを実感する時、人間たまにはこういうことを
してみるもんだと思いました。家族はあと3日後に帰ってきます。
もう一回くらいだらしなく過ごそうと思います。

8/4(金)苦渋!『オイディプス』

2023年8月 5日 Posted in 中野note
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夏稽古3日目が終了し、呆然としています。
というのも、今週の水曜、そして今日と試しに唐十郎作品ではなく、
『オイディプス王』をやってみたのですが、これがどうにも不発だった。

理由をいくつか考えてみたのですが、
・最近の過密スケジュールゆえに自分がこの劇に耐える力が無いのか?
・みんなも、もっと繰り返し読んで慣れてくれば面白くなるのか?
・憧れの高橋睦郎修辞バージョンの時代がかった物言いが難しい
 これが美しさなのか、単に大時代的なだけなのか、どうしたらいい?
・この劇はそもそも、クライマックスが分散しすぎている
 ①己の正体を知るところ。②目をつぶして再登場するところ。
 ③ほうほうの体で尚、自分を国外追放を申し出て王者の責任を果たそう
 とするところ。
→ソフォクレスの執筆経緯から考えて自分は③を取りたいけれど、
 それが狙うようにはいかなかった

という具合でした。
どうしようかな。この試みには劇団「平泳ぎ本店」の丸山雄也くんが
参加してくれたので、次回に彼が参加する日に、違う翻訳で
『オイディプス』をやろうか、悩んでいます。

また、麻子の弾き語りの練習は上手くいき、手応えを感じています。
乗るとぐっと歌が上手くなるし、何より見た目におもしろい。
そういう能力をどう劇に使おうか考えています。

最後に、これは劇団とは関係ないことですが。
今、うちの家族(椎野、息子のさねよし、娘のりんこ)は
実家に帰っています。私の実家の名古屋にいる。

そこで、さねよしの夏休みの宿題のひとつである朝顔への
水やりと、咲いた花の数を数えるのを私が肩代わりしています。

思い起こせば去年。
大家さんであったダイアンは滞在途中から徐々に植物への水やりを
私の仕事としてスライドさせていきました。巨大なジョウロに2杯。
暑い盛りともなれば倍の4杯。庭中にかけて回っていたのを
思い出しました。さねよしは「お父さんは水やりできるのか?」
などとナメたことを言っていましたが、イギリス仕込みの水やりで
毎日、写メ送っています。

昨今の小学生が育てる朝顔の鉢は、私らの頃よりだいぶ進化したことに
気付かされもしました。が、風情はイマイチです。
これはただの懐かしさへの感傷なのか。どうなのか。

オイディプスのことがあるので、
朝顔の鉢までもが、新しさと古さの長短や"美"についての問いを、
自分に迫ってきます。

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8/3(木)薛珠麗さんが亡くなった

2023年8月 3日 Posted in 中野note
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↑一緒に大和のベトナム料理屋「タンハー」に行った時の写真です
左から津内口、タンハーのママ、珠麗さん、私です

演出家・劇作家・翻訳家の薛珠麗さんが亡くなりました。
7/30のことです。それから二日後の8/1に津内口がSNSでの発表に気づき、
今日がお通夜だということで、先ほど二人でお別れに行きました。

珠麗さんと知り合ったのは、ここ4年ほどのことです。
津内口が珠麗さんのワークショップに参加したのをきっかけに
紹介してもらいました。

私は高校3年の終わりから5年ほど、
ずっとベニサンピットでのTPT公演を追いかけていたので、
過去に観た公演の中で気に入った劇のパンフレットを引っ張り出し、
珠麗さんに見せたりもしました。

私が特に痺れたのは1999年12月から2000年1月にかけて上演された
ディヴィット・ルヴォー演出の『令嬢ジュリー』で、あれには5回
通いました。TPTの創作の秘密を話してもらう貴重な存在でした。

また、珠麗さんと会うようになったのは、
ちょうどラウンドシアターに来日していた『WEST SIDE STORY』
を観に行った後であり、日本側の演出としていた珠麗さんに、
あの劇場や座組を取り仕切る苦労について聞いたりもしました。

そうして珠麗さんと知り合うようになってから、
実は、神奈川ならではの劇を作れないかという話もして、
珠麗さんの出自を活かした、珠麗さんにしかできない劇を
一緒に構想してもらっていた矢先の発病でした。

それからは、容態が良くなるたびに会って話をしてきました。

最後に会ったのは自分がロンドンから戻った後で
「書きたい気持ちと、書くと自分の全てが燃え尽きてしまう気がする」
と言っていたのが、今も自分に突き刺さっています。

無念の死であったと思います。
もっともっとやりたいことが溢れて仕方ない様子が自分に
焼きついています。最後に珠麗さんのお顔を拝見して失礼しました。

明日もハンディラボに集まって稽古です。

8/2(水)『オオカミだ!』スズナリ公演と夏稽古2日目

2023年8月 2日 Posted in 中野note
『オオカミだ!』スズナリ_チラシ表.jpg

もう約1か月後に迫っている!
『オオカミだ!-「3びきのこぶた」に出てくるオレの話』を
ザ・スズナリで再演します!!
https://yorunohate.net/the-big-bad-wolf/

で、
ステージナタリーさんでケッチさんのコメントが紹介されました!
https://natalie.mu/stage/news/534474

スタッフ入れて4〜5人で上演できる舞台なので、
今後は旅にも出かけたい。そのための幸先の良い再演です。
前回の本多劇場と同じように、ザ・スズナリの舞台でも
多くの唐十郎作品が上演されてきました。
そういう意味でも燃えています。

と、燃えながら夏稽古に向かう日々。

本日は2日目。林麻子がピアノ弾き語りするところから実験を
開始しました。毎週土曜日に劇中歌ワークショップをやっている
ことからもわかるように、彼女はピアノが弾けます。
この特技をいつか舞台で使いたいので、その実験です。

これはかなり面白かったのですが、写真を撮り忘れました。

次回8/4(金)の稽古でもさらに追究するつもりなので、
今度は忘れずに撮影します。

森進一、森昌子、ASKA、桜井和寿、尾崎豊、泰葉、
槇原敬之、サンボマスター、萩原健一などの歌唱を皆で見ながら、
実験を繰り返しました。

こういうことは普段やったことが無かったのでおもしろく、
今後に生きるのかどうかよくわからないところが、
いかにも今回の夏稽古の趣旨に合っています。

今回の稽古は利便性ではない。
どこへ行くのかわからないけれど根本的。
そういう稽古なのです。

それから、春先に研究した高橋睦郎修辞の『オイディプス王』を
読みました。難しいことばを理解しながら朗唱する練習です。
序盤の3分の1を読んで、オイディプスの前に2番手として現れる
テイレシアスがその後の展開をすべてしゃべってしまったことに
愕然としました。ほんとうに、ぜんぶ喋っちゃってる。

でも、初演時の観客には問題無かったでしょう。
全員が知るエピソードだったに違いないのですから、
ストーリーを知った上でどう振る舞い、転落するかが面白いのです。

これも写真を撮ってない。明後日に撮ります。
あと、休憩時間にはお菓子を食べます。これは完全にケッチさんの
影響です。ケッチさんとの稽古では合間に煎餅を食べながら、
お喋りが2時間に及んだこともありました。
その果てにそろそろやろうか、となる。
相撲の立ち合いのように息が合うと稽古。そんな具合でした。

唐ゼミ☆はもっと実直にやっています。

8/1(火)夏の稽古を始めました

2023年8月 1日 Posted in 中野note
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↑今日の写真はヘタすぎた。ほんとうはもっと躍動感アリ!


今日からハンディラボに集まって話し合いや稽古をすることにしました。
ここから1ヶ月で20日。100時間やろうという企画です。

本番は以前に書いた通り2024年3月目標に切り替えましたが、
せっかくとってあったスケジュールを維持し、劇団員や座友で
過ごします。

今日は、津内口・林麻子・ちろに丸山雄也君も加わり、
みんなでギリシャの古代劇場の話をしたり、唐さんの『恋と蒲団』の
稽古をして、青春の下ネタが満載のこの台本を愉しみました。

過去に2度上演したこの劇のやり方にはある程度の自信を
持っていますが、今となっては詰めが甘かったと感じる箇所があり、
今回の稽古を通じて改善策も模索しました。

短時間でも、せりふの掛け合いだけでなく
立ち回りのアクション、唐さんにしか書けない独特の濡れ場もあり、
満載の演目です。いずれパッと上演できるようにしたい芝居。

明日は高橋睦郎さんの『オイディプス王』や
林麻子の弾き語りを追究してみたいと考えています。

ハンディラボは相変わらず居心地が良くて、
少人数で稽古をして、みんなを車で各駅まで送りながら帰るのも
創作の時間です。久々に劇団の良さを満喫しています!

7/28(金)清水宏さんの公演に出ます

2023年7月28日 Posted in 中野note

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↑これがチラシ!隣町珈琲という、清水さんがずっと発表の場に

してきた会場に自分も乗り込みます


今日は夕方に小田原に行きました。

たまたま今日は、パンデミック以来ストップしていた

真鶴町の貴船祭が復活する日であり、その影響が渋滞に及ぶのに

ビビった自分は、珍しく電車で行くことにしました。

ですから、帰りの電車の中でこれを書いています。


真鶴町で思い出すのは、5年前にスタンダップコメディアンの

清水宏さんとつくった「真鶴ばなし」です。

激烈で真剣な清水さんの人間性と作品創作に伴走して

我ながら熱い夏でしたが、それだけに手応えがあり、

神奈川県域でイベントを仕掛ける事業を始めたばかりの自分にとって

その後の指針となった企画でした。


町の人に生々しく食い込むことは大変だけれども、実り多い!


以来、清水さんとの共同作業はいくつもあって、

その度に大冒険をしましたが、常によく話し、よく語り合う

ヒリヒリする創作であり続けました。



そんな清水さんが、ご自身の主催するスタンダップコメディの会に

自分をゲストとして呼んでくれます。


題材が「三谷幸喜vs唐十郎」ということで、

8/10(木)19:00から荏原中延の隣町珈琲で繰り広げられる

清水さんの話芸の後に、自分も加わってアフタートークします。


詳しくはこちら


三谷さんと唐さんを並べて語られるのを聞くこと自体

初めてなので、清水さんが繰り広げる世界をよく聴き、

よく受け取って、インプロで切り返せたらいいなと思います。


果たして清水さんの切り口は?

それに自分は上手く切り返せるだろうか?

出たとこ勝負でいきます!

7/27(木)相模湖に行ってきた

2023年7月27日 Posted in 中野note
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↑8/1(土)の湖上祭(花火大会)に備え、町は臨戦体制でした

今日は打ち合わせで、朝から相模湖へ。
湖畔に行くと、天気も良く絶景。
しかし、よく聞けばこの湖、法律上は河川なんだそうで、
運用が厳しいらしい。

自分が赴くということは、何かイベントやろう、
というのが基本なのですが、こちらを駆り立てる素晴らしい景観と、
河川は厳しいというネガディブな情報を同時に得て帰ってきました。
圏央道が便利で、横浜から1時間ちょっと。

おかげで、今日は早朝から夏休みっぽい雰囲気になり、
その後も方々に出歩きましたが、暑さも前向きに捉えられました。

そうそう。相模湖交流センターの喫茶店にも寄って、
名物のダムカレーを食べたり、よく見ると、
ダムを模したカレー部分に煮干しが浮いており、
これが見事に湖を泳ぐ魚を表現している。
この芸の細かさにニヤニヤしてしまいました。

おかげでのどかな一日となり、心も穏やかです。
投稿も短め!

↓ダムカレー。確かにカレーが堰き止められています。そそりたつスイカ!
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7/26(水)夏とボールペンの罠!

2023年7月26日 Posted in 中野note
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↑自分が芯を変えながら使ってきたフリクション・ボールペン。
色はスカブルー。唐さんのブルーブラックを意識しつつ、
明るい気持ちになるようにこの色。目立って読みやすいのも良い


オンラインでの会議や打ち合わせが広まった2020年以降、
時には車の中からzoomをするようになりました。

例えば、昨日。
相手の事務所に12:00に行かなければならないのに、
会議は10:30から始まる。会議を終えてから相手先に向かったら
間に合わないので、自然と先に目的地の近くに行っておいて、
車の中からzoomに入室します。

便利といえば便利なのですが、難点もある。車の中は暑いのです。
エンジンかけてエアコンをつけっぱなしにすることもできますが、
あまりにも不経済。そこで、車を停められる日陰を見つけて、
直射日光は避け、車のドアを開けっぱなしにして参加。

車の中でワーワーやっているのが周囲に聞こえない環境
というのはなかなかないのですが、街の一角にそういうところを
めざとく見つけました。

で、1時間半。
暑いは暑いが、なんとかウエットティッシュも駆使して会議を終えた。
で、パッとみると、フロントガラスの下のスペースに
積み重ねた書類に異変が起きている!

私が津内口と作りかけて、赤を入れた書類が
フリクションボールペンで書いたために熱で消滅している!
あのボールペン、こすれば消えるということは、
要は摩擦熱で消えるということで、
せっかく手直し部分を丁寧に指摘したのに見えなくなってしまった。

悲嘆に暮れて思い出そうとしましたが、細かく書いたぶん、
徒労感が押し寄せる。落ち込んでエンジンをかけると、
おお! 今度はエアコンの風が当たってみるみる色が、文字が
復活しました。冷たくすると、また文字が浮かび上がるらしいのです。

助かりました。
が、よくよく考えたら、フリクションボールは気をつけなければならない。
消えた文字が浮かび上がる危険性があるということは、
書きつけた内容によって、これはこれで油断ができないということです。

7/21(金)曹操の詩

2023年7月21日 Posted in 中野note

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↑三曹の詩だけでなく『出師の表』も収録されたお得本です


先日、Amazon UK プライムを騙る者によって不正な引き落としを

発見しました。対策として、直ちにクレジットカードを凍結し、

新たな番号によるカードをつくることにしました。

それで、銀行に行きました。事情を説明して再発行の手続き。


その合い間に、本屋にも行きました。

銀行が横浜駅西口にあったので、地下街の有隣堂に。

今日の収穫は『曹操・曹丕・曹植の詩文選』です。


カエサルの『ガリア戦記』。

マルクス・アウレリウスの『自省録』。

二つの好きな本に並んで今回の詩集に共通するのは、

著者たちがいずれも激しく現世的な現場でそれらを書いたことです。


だから自分はこれらに痺れます。

私は毎日、朝に目を通した文章やせりふを

昼間に街中や劇場をウロウロしながら読んでいます。

人や風景に接する中に、本を読む作業もあるように思います。


今日は打ち合わせをし、書類をつくり、いくつもの連絡をし、

みなとみらいホールで中田恵子さんのオルガンを聴き、

下北沢で清水宏さんの主催するカルト宗教をテーマにした

スタンダップコメディを観ました。


帰りの電車が混んでいたので、立って曹操の詩を詠みます。

小さな声でブツブツ。武蔵小杉を過ぎたら席に座れたので、

このゼミログを書きます。

書き終わる前に横浜駅に着いてしまったので、

ホームのベンチでこれを書ききります。

帰宅してしまうと食べ物に手が伸び、食べ終わると眠くなるからです。


自分にとって悪くない日常です。

曹操の詩を詠むと、それが良い日常にも思えてきます。

7/20(木)9月にスズナリで『オオカミだ!』再演

2023年7月20日 Posted in 中野note
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9/7(木)-910(日)に『オオカミだ!』をやります。
会場はザ・スズナリで再演できることになりました。
https://yorunohate.net/the-big-bad-wolf/

プロデューサーの岡島哲也さん(テツヤ)は長く演劇界で
活躍してきた人です。9月に予定していた唐ゼミ☆公演が
流れたことで落ち込んでいた私を、新たな公演を組むことで
励ましてくれました。
ケッチさんもたまたま予定が空いていて、
それで実現することができた!

ちょっと予定が空いたから、短期集中でガッと公演する!

このスピード感は第一にテツヤさんの剛腕です。
加えて、そもそも『オオカミだ!』自体をキャスト・スタッフ含め
5人でできるよう軽くつくることを心がけたからです。

おもしろくて、料金が高くなくて、フットワーク軽く
いろいろなところに出かけられる公演にしたい。
それが企画スタートからの私たちの目標でした。

今回、ケッチさんの共演者として新たに加わってくれたのは
月岡ゆめさんで、彼女は私が2020年に桐朋学園芸術短期大学に
教えに行っていた時、クラスの中にいた一人でした。
その後、ダンサーとして活躍してきたそうです。
久々の再会に、どんな大人、パフォーマーになっているのだろうと
期待しています。


7/19(水)味の素の逆襲

2023年7月19日 Posted in 中野note

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↑これも「味の素」製品でした


最近、関内駅のそばに新たなラーメン屋を発見しました。

「水嶋」という店で、無化調を謳っています。

「無化学調味料」ということで、これは要するに化学調味料を

使っていないという宣伝文句です。


食べてみると、なるほど味がやさしい。

が、一方でメニューに目をやると「昭和のラーメン」という

ものがあって、これはどういうものかと店員さんに訊きました。


すると、「『昭和のラーメン』には化学調味料を入れます」

との回答。あまりにサッパリそれを言うので面白くなり、

後日、劇団員の津内口を誘い、自分は「昭和の〜』を頼んで

食べはじめに二つを飲み比べました。


化学調味料はなるほど、ズキリとパンチが出て後味が残ります。

要は、ずっと食べてきた中華料理のあと口。

これが化学調味料、つまり「味の素」だ!

と、ここまではっきり違いのわかるお店のシステムに

感心しました。


ところで、この「味の素」。

バブル期からグルメブームを牽引した漫画『美味しんぼ』では

徹底的に敵視されてきました。あれは、舌をビリビリさせて

ずっと日本人の味覚をバカにしてきた。と、そんな論調。


けれどもよくよく考えてみたら、

スポーツ選手やパフォーマーなんかが飲むサプリメント

「アミノバイタル」も会社「味の素」の製品なんですね。


調味料としての「味の素」と「アミノバイタル」。

両方ともアミノ酸を扱っていて、でも、そのイメージは

ずいぶん違う。自分も疲れて、アミノバイタルを

すがるように飲んだりします。


目下、取り組んでいる『鐵假面』には「味の素」社の

社員たちが大活躍します。

中には「『味の素』は泥でできている!」なんていう、

いかにも都市伝説的な、ちょっと酷すぎるせりふもあって、

本当の「味の素」社には申し訳ないですが、笑わせます。


でも、アミノバイタルの印象を思うと、ちょっとイメージが

違いますね。かたちを変えて、やはりアミノ酸を操る

「味の素」社にゾッコンなんだと思わずにはいられません。


ラーメンは次は無化調を食べるだろうけれど、

やっぱり、「味の素」には形を変えてお世話になっています。

7/18(火)ダイアンからの返事

2023年7月18日 Posted in 中野note
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↑美しい葉書や便箋を期待したら、中からデカデカとチャールズ3世王!

ダイアンとは、去年の3〜12月までロンドンで下宿させてもらった
大家さんのことです。彼女は一人暮らしなのですが、
天文台ので有名なグリニッジの高台に居を構え、
そのうちの空き室を日本人に貸してきたと言います。

渡英したばかりの頃はホテル暮らしだった私は、
ネットでこの家を知り、下宿を申し出ました。
そして、これまで暮らしたことのないファンシーな生活が
始まったのです。彼女の家は外画に溢れており、
それは見事なコーディネートがなされていました。
自分の日本での生活はそういう美に囲まれた雰囲気に縁遠く、
「あ、これはオレの一生のうちでもっとも美しい生活環境だ」
と確信したものです。あと何年、人生が続くか分かりませんが、
このことだけは決定だと確信しています。

そして、去る7月3日はダイアンの誕生日でした。
だから6月下旬に私はバースデーカードを送りました。
小田原での仕事中に郵便局に行って投函。

その返事が、今日、返ってきました。
封筒を開けると、デカデカとチャールズ3世王の姿が!

美に囲まれた暮らしの中で、かなりユーモラスだったダイアンを
思い出しました。私たちは、国境を超えてお互いのギャグセンスを
競い合う会話を朝食時にしました。
話が盛り上がると、簡単に語学学校の遅刻を覚悟したものです。

それから、私たちはよくお互いにメッセージを送り合いました。
私は家賃を入れた封筒に時々にちなんだ御礼を書き、
彼女は、私が買い物に出ると、その代金を包んだ封筒に
メッセージやイラストを描いてくれました。

彼女の字は、あまりにクネクネしていて、一緒に暮らした時から
読みずらかった。だから私はよくこう彼女に伝えたものです。
Your characters are too beautiful to read!

今回も彼女の文字は変わらずに美しすぎ、
読み解くのに数日かかりそうです。

7/14(金)あこがれのギリシャ

2023年7月14日 Posted in 中野note
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↑お馴染みのアテナ像の前で!

『夜叉綺想』にヘラという神様が出てきます。
ギリシャ語風に表現するとへーラーという女神で、
あのゼウスの妻にして、多情なゼウスにヤキモチを焼き続けたこと
でも知られています。

ヘラ、と聞いて、ああ、あの女神ね、と思えるのは、
すべて幼い頃に観た『聖闘士星矢』のおかげです。
少年ジャンプで連載していたそれを、自分はアニメで観ていました。
漫画だとずいぶん先の話をしている、と驚きながら読んだのは
小学校低学年から観はじめたアニメが、ずっと後半になってからです。

その影響で、プラネタリウムも観に行くようになりました。
名古屋で唐さんがテントをたてていたのは若宮大通公園なのですが、
自分はそこからすぐ近くにある科学館に行き、
プラネタリウムを何度も観ました。

星そのものより、星同士を結んで星座をつくり、
その星座にまつわるエピソードを想像する。
そういう物語の力に魅せられたのです。

おかげで、
唐さんの台本にへラが出てきても対応できるようになりました。
ギリシャ悲劇も置いてけぼりせずに読めるようになった。

三島由紀夫さんが憧れたギリシャの青空も、
高橋睦郎さんのギリシャ愛も、自分は理解できます。

最近、息子のサネヨシは『聖闘士星矢』に興味を持ち、
自分の12星座である天秤座(ライブラ)を背負った青年が
漫画の中でどんな闘いを繰り広げるかを知りたがります。

夜な夜な話して聞かせるので、
自分が子どもの頃に魅了されて思いもまた、蘇ってきます。

7/13(木)9月の『鐵假面』公演を2024年3月に繰り延べます

2023年7月13日 Posted in 中野note
たいへん申し訳なく、無念なご連絡です。

先日に自分のFacebookにも書いたのですが、
年賀状を発送した時から9月に公演すると発表していた
『鐵假面』公演を、2024年3月に繰り延べて行うことにしました。

原因は、
目標においていた公演会場について上手くまとまらなかったことです。
それに、延期先の3月の方がバリッと役者が揃うということも
大きな理由です。

今回の公演は、唐ゼミ☆が持っている既存の青テントや
2014-2015年に行った野外公演の資材を活用し、
新たな野外公演を組めないかという実験も行おうと考えてきました。

3月だとまだ寒いであろうということも加味して
このプランも、新たに構想し直そうと計画しています。

前回、浅草で『唐版 風の又三郎』公演があってから
今度の10月で2年が経とうとしています。
去年に行ったロンドンでの研修により何がどう変わったか、
その成果も発揮する劇団公演にしようと思っています。

『鐵假面』公演に期待して待ってくださっている皆さんには
ほんとうに申し訳ありませんが、さらに半年間、時間をください。

当初の計画では、
9月下旬の公演に向けて8月が稽古最盛期の予定でした。
それもまた繰り延べになってしまったわけですが、
せっかくなので何人かのメンバーでこの期間を利用して
ハンディラボに集まり、夏の集中創作をしようと思い立ちました。

思えば、ここ5年ほどの稽古は、無駄がなさすぎたように感じます。
公演を控えて最短距離を進む準備でなく、一回、自分たちの
立ち場を、やり方を、時にはそれぞれが何を武器として生きて
表現しようとしているのかを見つめ直し、新たに公演のためのパワー
にできるかを模索しようと思っています。

これから始まる8月の稽古や試行錯誤の様子、
何より、2024年3月公演の日程と場所についてまとまり次第、
続報していきます。どうぞよろしくお願いします。

7/11(火)まだあった!英国の罠!

2023年7月11日 Posted in 中野note
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↑ちょうど去年の今日はシェイクスピアの故郷
ストラトフォード・アポン・エイボンにいたようだ。
が、この頃にはすでに罠にかかっていたのだ!


本来ならば『夜叉綺想』本読み2回目の続きをレポートしたいところ
でしたが、昨日、思わず興奮させられる事があったので、
こちらを先に書きます。


6月はわが社の決算期です。
私と椎野でやっている小さな会社はセンターフィールドカンパニー
といい、これは「中野」の「中(センター)」と「野(フィールド)」
を合わせた名前です。

私たちの一年は6月に始まって5月に終わり、
クレジットカードの支払い記録が揃う7月が決算期。
そこで、二人で過去のレシートや支払い書を前に作業を始めました。

去年といえば、私がイギリスに居たので、
椎野にとってはちんぷんかんぷんの店の名前が支払い記録に並んで
います。そこで私が、自分が何を買ったのかを思い出しながら
Excelシートに記入する作業にかかりました。

これは面白い体験でした。
買い物の記録を通じて、自分が去年のいつ、どこで、何を食べ、
何を見聞きしたのか、思いを馳せることになりました。

歯医者に行くことができない、だから奮発して高級歯磨き粉を買った。
大家さんのダイアンのお遣いでトイレットペーパーを大量買いした。
日本にいるのと同じようにCDばかり買っていた。
定期的に一風堂で豚骨ラーメンを食べるが、
それにしても、日本に比べ値段が高すぎる!
といった具合です。

地道な作業ですが、それなりに愉しみました。
その中でオヤ!という支払いを発見したのです。

よく利用していた英国Amazonのプライムの払いが、
帰国後も続いていました。それは月額1,300〜1,500円ほどで、
日本に帰ってきた2023年1月以降も、今に至るまで続いています。

なんとか英国Amazonに掛け合って、とにかく未来の払いを
ストップしなければなりません。
できれば、一切利用していない日本に帰ってきてからの支払い分を
返してもらいたい。そう思いました。
それにしても、自分は自覚症状無しに向こうのプライムにも入っていた。
まあ、便利だったからいいや。そういう感慨でした。

こういう時、頼りになるのは英国でご近所だった日本人女子です。
彼女は長年にわたりロンドンで働いており、その経験豊富さ、
秀でた語学力でいつも自分を助けてくれました。
そこで、早速に彼女とzoomをつなぎ、
一緒にAmazon UKのカスタマーセンターに電話したのです。

いくつかの照会の後、
私はプライムに入っていなかった事がわかりました。
私の自覚症状の無さは決して間違いでは無かったのです。。
よくよく調べてみれば、私は2022.5以来、月々1,300〜1,500円ずつ、
謂れのない金額を支払わされてきたことが判りました。

とりあえず明日、クレジットカード会社に電話して
これ以上の被害を食い止めなければなりません。

前にケータイ電話料金を帰国後も引き落とされ、
返金を要求して勝ち取ったと書きましたが、
英国生活における罠はまだまだ終わっていなかったのです。
手強いぜ、イギリス!

7/7(金)今日はギャビンのお祝い!

2023年7月 7日 Posted in 中野note
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↑研修の終わりに仕上げの会議を行った時のギャビン

今日の朝は久々にカプカプひかりヶ丘に行きました。
私の会社、センターフィールドカンパニーが行う
体奏家の新井英夫さん率いる一座とカプカプメンバーを講師にした、
福祉分野で活躍したいアーティスト向けWSの受講生募集が
佳境なのです。月末にはメンバーを決定して来月から始まる
WSについて、アイスコーヒーを飲みながらゆったり話しました。

励滋さんに会うのも久しぶりなので、近況報告もして。

それから、県庁に寄りつつ県民ホールに行って地道な仕事をして、
夕方から都内に出かけました。
紀尾井ホールで川口成彦くんとバロックの弦楽アンサンブルによる
演奏会があったのです。楽曲のメジャーさよりも川口くんの
やりたいことを盛り盛りにしたプログラムのために集客に苦労した
そうですが、集まった聴衆はいずれも猛者揃い。
1800年頃に造られたフォルテピアノをしげしげと眺めて写真を
撮ったり、暗めの超弱音でスペインのまどろみを表現する川口くんに、
全員に息をひそめて喰らいついていく意気と一体感がありました。

とりわけ、5人編成のピリオド弦楽器チーム
La Musica Collanaとのコンビネーションは最高でした。
お互いの演奏と呼吸を洞察し合い、この先に来るべき音楽を
予感し合う見事な対話とセンスは、一聴して長年の友情による感じが
しましたが、果たせるかな、終演後に聴いたところでは
大学時代からのお付き合いということで、川口くんも
良いご学友に恵まれたものだと感心しました。

そして、現在。
24:00過ぎに帰ってきたうちの駐車場の車の中でこれを書いています。
なぜかといえば、今日は2022年に私の所属先だったロンドンの劇場
The AlbnayのCEO・芸術監督、Mr.ギャビン・バロウの就任20周年の
お祝いだからです。

この後にパーティーが始まると、私のお世話係だったミミが
教えてくれたので、ビデオ電話でコングラッチュレイションズを
伝えるべく、待機しています。

家の中では、ご近所さんの手前、私がうるさくしすぎるので
こうして車中にいますが、なんだか蚊がいるっぽい。
痒さに耐えながら、日付を跨ぎつつ出番を待っています。IMG_7485.jpeg


7/6(木)京都行き、普通の日帰り出張

2023年7月 6日 Posted in 中野note
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↑昔は新横浜のラーメン博物館や伊勢佐木モールに出店していたこともある
京都公演をしていた時には四条河原町のお店によく行きました

今日は早起きをして京都に行きました。日帰り出張です。
主目的は、今年度から京都に移転した文化庁を訪ねることでしたが、
おかげで、いろいろな用事をすることができました。

まず、新幹線の中で溜まっていたデスクワークを放出しました。
もうすぐ締め切りになる助成金の資料作りとか、
夏にやろうと思っている集中的な唐ゼミ☆稽古についての準備や連絡、
ずっと取り組んでいるドリームエナジープロジェクトの
ワークショップ内容について考える。県民ホールの仕事で、
ここが滞っている、あそこがまだ着手していない。
そういうことを見つめ直して整理し、やっつける2時間でした。

まあ、かなり地道です。

その後、立派な建物になりセキュリティも厳しい文化庁に着いて
打合せをし、その後は、唐ゼミ☆の齋藤もスタッフで加わっている
劇団地点の経営するカフェ&デリカ「タッパウェイ」に行ったり、
室井先生の家に行って、絵里さんとお話ししたりできました。

この前の追悼の会はタイムコントロール的にグダグダになってしまい、
慌てて片付けたために京都行きに荷物に紛れ込んでしまった私の本、
『教室を路地に』と『巨大バッタの軌跡』も回収できました。

室井先生の追悼の会の京都編は明後日7/8(土)に行われますが、
自分はそれには参加せず、同日にパシフィコ横浜で行われる
椿昇さんの講演会に行く予定です。

そうそう。
室井先生が横浜国立大学に長く勤務したことで叙勲したので、
そのために送られてきた勲章なども見せてもらいました。
生で見たのは初めての経験で、これもなかなか興味深いものでした。

帰りの新幹線の中でも油断せずにせっせと働いて、
夜10時には帰ってきました。暑かったのでさすがにくたびれましたが
だいぶいろいろいろな用事を済ませることができた。

うちへのお土産は新福菜館のラーメンセット。
子どもたちは醤油ラーメン大好きで、普段の食事の時は一口食べる度に
走り回りますが、醤油ラーメンだけは集中して食べます。

そこで、名店と誉れ高いお店のラーメンがお土産です。
少し寄り道もありましたが、いかにもスタンダード日帰り出張という
1日でした。こんな風にサラリーマンっぽい体験も、
たまにできると新鮮です。

6/30(金)明後日から『夜叉綺想』

2023年6月30日 Posted in 中野note
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↑写真だけ見てもとりわけ怪しい『夜叉綺想』のワンシーン。
2014年初夏の唐ゼミ☆公演。撮影は伏見行介さん。

気づけば6月が終わってしまいますが、最終の1週間は特にハードでした。
室井先生の会が終わるとすぐに、翌日は相模湖交流センターに行き、
若手ピアニストコンサートを聴きながら、さらにその場で
さっきまで演奏されていた音楽のハイレゾ録音を聴きながら
語り合う、という珍しいイベントに立ち会いました。

週明けには県民ホールの仕事で小田原と横浜で撮影を行い、
街中で行う屋外撮影だったので、いつも天候との闘いで、
雨が降るのを心配したり、晴れだとしてもやたらと酷暑だったり。
ままならないものでしたが、各所を歩き回ってロケを終えました。

それから、同時並行的にフランス人のオルガニストをお迎えして
リハーサルを重ね、今日6/30が本番でした。

その間にも、唐ゼミ☆WSでは『二都物語』が終演し、
これは今までに行った未上演の台本の中で、特に発見に満ちた
体験でした。参加者の皆さんのおかげで、将来に『二都物語』を
上演するとしたら、どういう姿が理想的かはっきり見えました。
そして、主人公のリーランの特殊性も。

蒸し暑さに絡みつかれるような6月末をなんとか終えて、
明後日から始まる『夜叉綺想』本読みの準備を進めています。

この作品は名作系であるよりもトンデモ系で、
それだけにコアな魅力に溢れており、実際に上演した2013年初夏の
思い出もたくさんあり、記憶と思い入れの濃い作品です。

タイトルに「綺想」とあるだけあって、それこそ奇想天外な
魅力に溢れています。冒頭から始まったら、まずは青年主人公による
3ページの長せりふ!

これを少しずつ割って読んでもらうか、
ひとりの参加者に通読してもらうか、そんなことを思案するのも楽しい。
都こんぶ、という昔なつかしいお菓子がキーアイテムになるので、
明日に買いに行ってみようと思います。

ともかくも『夜叉綺想』!
ちょっと怖くて、唐さんの仕掛けた突飛な設定の数々が
脳内に絡みつく台本です。参加はこちらから!
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html

6/29(木)許光俊先生のこと

2023年6月29日 Posted in 中野note
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↑特にクライマックスの畳み掛けがすごい。
自分で読むスピードを決められる「小説」にも関わらず、
唖然としているうちに終わってしまう、その後に、
必死さと哀しさと可笑しさが同時に押し寄せる。そういう読後感です


先日の室井先生の会の終わりに、許光俊先生とお話しすることができました。
許先生こそは、その著作が出たら一も二もなく購入する書き手の一人で、
要するに自分は先生の文章の大ファンです。

去年の8月に出版されたザッハー・マゾッホの
『毛皮を着たヴィーナス(古典新訳文庫)』など、
自分は日本に帰るのを待ちきれず、何冊かアマゾン・ジャパンから
取り寄せた本と一緒にロンドンに届けてもらい、旅行しながら
読みました。主人公たちが各地を旅する内容なので、
ちょうど良いと思ったのです。

大学生の頃に種村季弘訳で読んだ時には難しく感じたあの小説が、
男と女の切実で普遍的な、けれども端から見ればコミカルな営みで
あるのを発見して、大笑いしながら読みました。

それでいて、再び主人公二人の立場に立ってみれば、
彼らの恋愛はお互いに対して実に必死の営みで、
傷つきながらも自分の全てを賭けた男女が臨みあっていました。
そういう真剣さが哀しくもあり、
人間というのはまさにこうしたものだと納得させられる翻訳でした。

許先生の文章は柔らかく、時にふざけたようなユーモアに溢れていて
読みやすい。さらに、いつも選び抜かれた感覚と言葉で、
対象に対してぴったりくる端的な言葉や事例が充てられています。

何より、余裕のある物腰の下に隠れた、度外れな真剣さ、本気、
そういうものを感じさせながら素知らぬ風を装うところに、
先生の品格を感じます。

許先生は自ら悪評を好んで選ぶような
ところもありますが、自分にとっては、ほんとうの品の良さとは
ああしたものだと感じます。
まあ、許先生自体はそんなことを言われたら嫌がるでしょうが。

そういうわけで、先生がいくつも書いたクラシック音楽の本、
例え入門書の類であっても、新たな本が出る度に全て買って
読んできました。紹介された内容でなく、許先生の言葉が
読みたいからです。

一番優れていると思うのは『クラシックを聴け』で、
これは先生が若い頃に、時間芸術と調和について書き尽くして
しまった本だと受け取っています。

好きなのは『オレのクラシック』で、
そこには少しだけ、唐さんや室井先生のことも出てくる。
許先生が横浜国立大学で教えていた三年半に何を感じていたかも
わかる、自分には特別に面白い本です。

許先生ご本人に久しぶりに会ったことで、また一から先生の
文章に触れたくなり、ここ数日、ずっと読み返しています。
まったく、こんな文章が書けたらと思わずにはいられない内容です。

近年だと、『モーストリークラシック』という雑誌に書かれた
バッハの『ロ短調ミサ曲』に関するものが特に素晴らしく、
ああしたものもまとめて本にならないだろうか。
そう希望しています。

6/28(水)エアメイルを出す

2023年6月28日 Posted in 中野note

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↑一緒に出かけた時の写真


ダイアンの誕生日が迫っています。

彼女の誕生日は7/3。この1ヶ月、ずっと気になっていました。

そろそろカードを送らなければならないな、とか、

かといって早く着き過ぎたり、遅れて届くのもカッコ悪いな、とか。


ダイアンは、いつも自分に届く贈り物やカードを

戦利品のように陳列していました。

彼女の気に入りのリビングには暖炉型の暖房があり、

その上にそれらを並べるのです。


母の日(3月下旬)、誕生日、クリスマスとそんな具合でした。

大量のカードを並べておいてソファに寝そべり、

テレビを観ていたダイアンを思い出します。


あと1週間というところまで迫ったので、

仕事で行っていた小田原での合間に買って持っていた

カードに記入をして、やっと郵便局に持って行きました。


実は、海外にハガキを送るというのは初めての経験でした。

大昔、それこそ高校時代に手紙を出したことはあったけれど

それだけの昔のことですから全くやり方を覚えておらず、

ネットで記入方法を検索して書き込み、窓口に持って行きました。


その切手代にびっくりしました。

なんと70円なのです。安い。安すぎる。

日本国内が63円で、ロンドンが70円とは!


これまでの自分の不明を恥じています。

そうと知ってりゃ、さっさとたくさんのハガキを出したのに。

これからは、もっと送ろうと思いました。

こんなにライトなものだなんて。


それにしても、去年の誕生日には一緒にムンク展と

インド料理屋に行ったダイアンは、

果たして元気にしているのでしょうか。

6/27(火)室井さんの会は唐ゼミ☆大集合だった

2023年6月27日 Posted in 中野note
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延べ3時間のつもりだったのに、結局4時間超えで喋ってしまいました。
土曜に行った室井先生の追悼の会のことです。
唐ゼミ☆的にも歴代になんなんとするメンバーが集いました。
(以下、敬称略でいきます!)

ごく初期に、演劇志望でもなんでもないにも関わらず、
バッタから流れで一緒に芝居をつくった小松重之や橋本幸紀。
彼らのおかげで初めての『ジョン・シルバー』や
『動物園が消える日』があり、いまや世界的なアーティストに
なって室井先生を大喜びさせた猪股あきも、劇団員というのとは
違うけれど、『動物園〜』を支えてくれた一人でした。

前田裕己は劇をやめているにも関わらず以前より
キャラ立ちの良いビジュアルになっていて笑ってしまいました。
同じく堀内大助もキャラ立ちを増しています。
彼はもともとマジシャン志望で、現在はプロになっているので
あえて狙ってあのいかがわしさを出しているのでしょう。


安達俊信はよく会うので、お互いによくやっているなという感じ。
さらによく会う重村大介が久々に音響操作をやっていると、
過去にやったいくつものイベントが去来しました。

杉山雄樹と関緑のふたりが金沢から可愛らしい子どもたちを
連れてきてくれたことには、再会した瞬間から感激してしまいました。
二人はなにか、すごく大人になった感じがしました。

ことに、現役の米澤剛志と杉山雄樹が飲み会で隣り合わせていたのは
不思議な感慨を覚えました。彼らはなんというか、
初めからせりふをしゃべる感覚に特別に恵まれており、
普段の独特な雰囲気にも共通するところがあるように思うのです。

ずっと音響として自分を支えてくれて高次琴乃は
クールな感じの女性に変貌していました。
彼女がわずかに出演してくれた『恋と蒲団』や
『蛇姫様』のヤンキーを思い出すと、隔世の感がありました。

あとは、椎野がいて禿がいて津内口がいました。
齋藤は仕事により現場にはいられませんでしたが、
祭壇を作って米澤に託していってくれました。

皆とずいぶんバカなことをしてきたものだと思わずには
いられませんが、現在に七転八倒している事柄も、未来から見れば
やっぱり同じような振り返るに決まっています。

それにしても、あの中華料理屋での宴会。
ホントにコロナがあったのかというほどの狂騒、騒ぎっぷりでした。
ああ、これがやりたくて、これをしなければ、
みんなで室井さんの死を乗り越えられないと思って、
自分たちは2ヶ月でこのイベントをつくったのだと確信しました。

8年ぶりに行ってみたらかなり美味しくなっていた
杯一食堂のスタッフの皆さんに、特に爽やかで優しい店長さんに、
感謝!

↓今回のためにつくった祭壇
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6/23(木)小山くんを待ちながら、ふと訪れる学生時代

2023年6月23日 Posted in 中野note

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明日はいよいよ室井先生の横浜追悼会です。

最後の最後で、映像作家の小山祥平くんが頑張ってくれています。

資料の編集は大変な作業ですが、追い込みをかける彼を待ちながら

チェックを繰り返しています。


そして、気分が学部生時代のようになってしまった結果、

ついに唐さん関係の本を読み始めてしまいました。

『駈ける男の横顔-大庭みな子対談集(中央公論新社1984.6刊 )』です。


これは実は、ずいぶん前に買って読まずにきた本です。

何人もの著名な人たちが男女関係をテーマに平岩さんに

インタビューを受ける中で、唐さんもその一角を占めています。


冒頭で『佐川君からの手紙』に触れていますから、

1980年代半ばの初出です。前々から読もう読もうと思いながら

流されてきたものを、小山くんの作業を待ちながら

やっと通読することになりました。


唐さんとの対談部分はわずか20ページですが、侮れない本でした。

『佐川君からの手紙』以上に、これは『秘密の花園』の

創作の秘密が明かされているという点で、第一級の資料です。


そこには、

唐さんの従兄弟の名が「アキヨシ」であること(主人公そのまま!)

アキヨシさんは夫と子どものいるキャバレーの女に入れあげたこと

(子どもがいることの他は、そのまま!)

肉体関係は無いのに貢いでいたこと(そのまま!)

が明かされていました。


また、実在のアキヨシさんは、

当の子どもの子守りさえしたそうなのです。

そして、多くの親戚が彼を止めとうとしが頑として

彼女との関係を貫いたこと。それでいて、2年が経った頃に

アキヨシさんにも気持ちの変化が生じ、

芝居と同じように関西への転勤を申し出たところ、

その女性からは「あ、そう」のひと言で片付けられてしまったことが

つづられていました。(劇とは正反対!)


唐さんはそこから、

あの、トイレに行って首を吊ってしまうヒロイン・いちよを、

実際とは反対の男女関係の成り行きを構想したらしいのです。


面白いのは、本物のアキヨシさんが子守りまでしていたことで、

ここに「ねんねこ男」「いちよの夫・大貫」の要素が含まれているのを

特に面白く読みました。


嗚呼、学びの時間よ!

小山くん、もう一息だ。ガンバレ!

6/22(木)久々に杯一食堂に来た

2023年6月22日 Posted in 中野note
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6/24(土)の追悼の会に備え、準備が佳境です。
・・・と、気づけば毎日のように書いています。

やれやれ、こんなことになったのは本人が葬式を拒んだせいで、
まったく子供じみた、しようがない先生だ!と思いながら、
しかし、イベントである以上、どうしてもある程度の完成度や
盛り上がりを目指しさずにはおれません。

そんな活動の一環で、今日は久々に
馬車道ほど近くにある中華料理屋「杯一食堂」にやってきました。

今回のイベントは室井先生の好みを踏まえ、
気に入りの講演会場であった日本丸訓練センターが選ばれました。
とすれば、会が終わった後は当然、
やはり先生の好きだった中華「杯一食堂」になるわけです。

この中華料理屋は安くて、
メニューが豊富かつ美味しくて、実に先生好みの店です。
庶民的に美味く、洗練されすぎていてはいない。
美味い餃子とか美味い唐揚げがあるのが良い。
そういう感じです。

ここで、土曜日の夕方から、
追悼文集や今回の会のために尽力したメンバーを労うべく、
集まった人たちの中から特に希望のあった人たちも含めて
宴会を張ろうという計画です。

前に一度立ち寄って予約をしましたが、
店長さんがわざわざ確認の電話をくれたので、
スタートメニューのオーダーがてら、今日は乗り込んで食事しました。

久々に食べる麻婆春雨と干し豆腐のあえものが自分の変わらぬ
好みでしたが、細部に味付けや盛り付けが改善されていて、
自分が最後に来てから(確か)8年間の変化を強く感じました。
嬉しかったのは、店長さんが私たちの事を
しっかりと覚えていてくださった事です。

予約しに行った段階で「・・・あの大学の」と
年若い店長さんに切り出された時は驚きました。
それだけ室井先生がヘビーユーザーだったとも言えますが、
すごい記憶力です。

・・・と、このように一つ一つ、
コツコツと念入りに準備を進めています。
ああ、他に何か漏れがなければ良いが・・・

6/21(水)こんな写真が出てきた

2023年6月21日 Posted in 中野note
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↑唐十郎流のおもしろ発言が飛び出し、みんな笑っています。
そういう瞬間を撮影してもらったものです(撮影:平早勉さん)

室井先生の追悼の会の準備をしながら、こんな写真が出てきました。
2009年7月に三田の建築会館の中庭で行われたイベントです。

あの広場に私たちは青テントを張って、その中で『恋と蒲団』を
上演しました。田山花袋の私小説『蒲団』に唐さんがインスパイア
された、愛すべき短編です。

1976年に初演された時には、
一言もせりふを発しない聾者のヒロイン役を日本舞踊家の
女性が演じたために、途中に踊りのシーンも挿入され、
1時間半ほどのステージが渋谷にあったジャンジャンで
繰り広げられたのだそうです。

私たちのバージョンではストレートに演じて、
上演時間は40分ほど。それでいて、独自の世界観と
見応えによる量感のある良い上演ができたと自負していました。

休憩を挟んでシンポジウム、
劇場建築に関わっている建築家さんたち、
唐さんや室井さんと一緒に「劇空間の理想」というテーマで
語り合いました。

この頃、30歳に手が届きそうになった自分は、
やっと人前に出てしゃべることに慣れ始め、
徐々にテキトーになっていったように思います。
あんまりしゃっちょこばらず、相手の話を聞いて
反応できるようになってきました。

このすぐ後には開国博Y150を控え、
秋には『下谷万年町物語』をやろうと緊張して過ごしていました。
大仕事を前に、ちょっと軽めで、けれども意味深長な
『恋と蒲団』をやって、私たちはだんだん軽妙さに
開眼していったように思います。

同じ年の10月に、北仲スクールも始まろうとしていました。

6/20(火)写真の哲学のために

2023年6月20日 Posted in 中野note
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↑まだ新しく売っていた!

今週末土曜に行う室井先生追悼の会に向けて準備が佳境です。
例えば、大学院を卒業したばかりの映像作家・小山祥平くんは、
当日に投射する画像・映像資料を作っています。
その素材提供で相談しやすいのは、元唐ゼミ☆の禿さん。

唐ゼミ☆の齊藤や米澤は飾り付けのための祭壇を作り、
津内口は先生の写真や当日に配布する紙資料をせっせと作る。
椎野は飾り付けのためのお花を注文・・・
そういう具合です。

明後日には当日配布する追悼文集も届きます。
これには各執筆者に加えて、突貫で編集作業にあたった
学部の先輩・椋本さん、院の先輩・本永さん、
名古屋大学の秋葉先生の力が結集しています。

自分はといえば、
会の中で登壇してもらって、対話形式でエピソードを
披露してもらいたい人たちに電話をかけまくりました。
先生も先輩も後輩も、講師で来てくださっていた
クリエーターの皆さんもいます。

中には、依頼の電話がすでに長電話化してしまい、
本編も収集つかなくなってしまう予感がするほどに
話し込んでしまった人たちもいました。
ちゃんと時間に収めなければ!

他方、もちろん日々の仕事もしているわけで、
今日は昼過ぎに都内に行ったので、息抜きに本屋に寄りました。
すると、冒頭に挙げた本が新刊で売っている。
即座に買いました。

思えば、入学時に室井先生が最初に買うことを勧めた本は、
厳密には自著ではないこの『写真の哲学のために』でした。
ここで先生は長すぎる解説を書いており、
当時は難解に感じたこの文章が、今の自分にははるかに平易に
なったのを感じます。

もちろん、難しい本を読み慣れたこともあるでしょう。
けれども、自分の生活実感の中にあるモダンとポストモダンを
選り分けて考えられるようになったことが、
易しく感じられる理由です。

いずれにせよ、室井先生が新たな時代、
人類の新たな局面にワクワクしていることが伝わってくる文章です。

これが書かれた今から25年前、現在の自分と同い年くらいだった
先生の内面を推し量る愉しみもあります。
2022年に第7刷が出たばかりとあります。
息ながく版を重ねていることも、嬉しい発見です。

6/16(金)世の中には美味いナルトもある

2023年6月16日 Posted in 中野note
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↑これがラーメン大至の醤油ラーメンだ!

しばらく会わなかった人に会うと、
イギリス行ってたんだって? うらやましいなあ、と言われます。

去年の研修は、それは素晴らしい体験であったに違いありません。
40代すぎおっさんになってあんな大学生みたいな暮らしが
よく許されたものです。まことにありがたいことだと思わずに
いられません。

が、一方で傷も深くあって、
子どもたちが病気になっても一切の手出しができない状態とか、
明らかに劇団員たちと疎遠になっていく感じとかは、
あんまり気持ちの良いものではありませんでした。

かてて加えて、イギリスならではの見聞きできるものに
全力投球し過ぎたために、食生活ははなはだ貧しいものにならざるを
得ませんでした。物価が高いので1日1食半を旨とし、
晩御飯はフライドチキンやパンで済ませました。
それだって500円ちょっとは確実にかかり、乏しい懐を痛めました。

時にラーメンが食べたくなって
ロンドンでもブームの豚骨ラーメン屋に行くと、
それは日本円にして一杯2,000円以上もしました。

サービス料だってしっかり1割とられるのです。
こうなると、美味しさとは別の意味でスープが残せなくなり、
ラーメンが本来備えていたはずの気楽さが全く無くなってしまいました。
確かに美味しいけれど、どこか苦いのです。

また、醤油ラーメンは壊滅的でした。
醤油を放り込んだお湯にダマになった麺が沈んでいる。
そういう感じなのです。これは二度ほど失敗して、
以後はオーダーするのを一切やめました。

反動で、日本に帰ってきてから以前より醤油ラーメンをよく
食べるようになりました。特に好んでいるのが、湯島にある
ラーメン大至という店です。ここは東京ラーメンの究極を追求しており、
普通のラーメンを普通ではないレベルでつくるという意味において
突出しています。

感動的なのはナルトで、これまでノスタルジーこそあれ
決して美味しいと思ったことのなかったあのナルトが
(業者の皆さん、ごめんなさい)、ここのだけは美味いのです。

ロンドンにいた時にネットで発見し、
帰国してから劇団員と行ってみて気に入ったこの店に、
すでに4回行きました。個性に圧倒される体験も大切ですが、
研ぎ澄まされた普通の中に凄みを感じるという体験も、また感動的です。
ここのナルトには、東京ラーメンの必需品に込めたお店の人の
意地と気高さが宿っています。

6/15(木)四方田犬彦さんの新刊

2023年6月15日 Posted in 中野note
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↑目下、これをゴロゴロしながら読んでいます

ずっと四方田犬彦さんの本を読んできました。

『叙事詩の権能』という、ともすれば時代錯誤に
巨大な物語を四方田さんが語ったものが
特に好んで何度も手に取る本です。
加えて、軽く書いたエッセイも好きです。

『けだものと私』『黄犬本』『赤犬本』なんかを
笑い転げながら読み、『月島物語』の影響から初めてレバカツを食べ、
その美味しさに開眼したりもしてきました。

聞くところによれば、四方田さんはご自分ですっぽんすら
料理できるらしい。恐るべき腕前です。

最近は『人、中年に至る』の続編『いまだ人生を語らず』が
出ていることに気づき、早速に書店で求めました。

四方田さんがフリーハンドで書いたエッセイは読みやすく、
調べ物をしながら書いた情報量よりも、かえって地下水脈の
ような知を感じさせて、味わいがあります。
日々これを読み、数日後には惜しみながら読了してしまう
だろうことが読み始めてすぐに予測できる書き出しです。
先ほどあげた『人、中年に至る』と『先生とわたし』は
特にそんな風にして毎日を愉しみに読んできました。

ところで、四方田さんは我が師・唐十郎にはなかなか
辛い点をつけています。自家撞着に陥っている、という
批判の文章を読んだことがあります。
一方で、寺山修司には評価を与えています。

それ自体は残念なことですが、噂では、
『佐川君からの手紙』の取材のとき、唐さんがサンテ刑務所を
訪ねるために骨を折ったのが四方田さんだと聞いたことがあります。

だとすれば、四方田さんが唐さんを支持しないのも頷けます。
なにせ、唐さんはそういった裏の根回しをふいにして、
佐川一政さんに会わずに帰国してしまったのですから。

これは、あくまで私が人から聞いた話であり、
真偽のほどは確かではありません。

それに、四方田さんほどの人が作品や作家を評する時に
私情をまじえるとも思えません。
が、ひょっとして、万分の一でも
唐さんに実際的な迷惑をこうむったことが氏の唐十郎評価に
影響しているとしたら、それはそれで大いに人間味のある話だと、
私はかえって共感を覚えます。

まあ、私自身は唐さんからそれほどの被害に遭うどころか、
ひたすら大きな滋養を得てきましたし、
時に唐さんに振り回されたとしても面白がってお付き合いしてきました。
惚れた弱みというやつかも知れませんが。

6/14(水)あのファックスは何だったのか?

2023年6月14日 Posted in 中野note
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↑少年マガジンで連載していた『カメレオン』という漫画にも
「宮下ヒロエ」というアイドルが登場し、受験を話題にしていました
1998年度のことです


広末涼子さんが話題になっています。
スターシェフと不倫したことで無期限の謹慎に入ったらしい。
ベストマザー賞を受賞すると良き母の座からかえって転落する。
何人かの先人も振り返りながら、そんなこともニュースになっています。

広末涼子さんと私とは学年が同じで、必然、
高校三年生の時に彼女の大学受験が大いに話題になりました。
早稲田大学の受験を宣言した彼女は、確か自己推薦枠で見事に合格を
勝ち取りました。

同級の受験生たちの中には、
「推薦枠などとは卑怯だ」「どうせ退学するに決まっている」
という不満や、「彼女の学力は早大のレベルに満たないはず!」
などという妬みや悔し紛れともとれる感情が巻き起こっていたと
記憶しています。

私などは当時から、人気者だった彼女が早稲田を目標に掲げただけで
当の私立大学の声望が自然と高まるのだから、
他の誰にも真似のできない彼女の貢献に大学側が「合格」という
かたちで応じるのは当然と思っていました。

これが国公立であれば問題ですが、
私立なんだから目くじらを立てることもないでしょうに。

印象深かったのは、自分がなんとか受験を終えて
横浜国立大学に引っかかり、目標だった唐さんの研究室を初めて
訪ねた時のことです。

当時の唐十郎研究室はガランとしたものでしたが、
冷蔵庫の上に置かれたファックス付き電話に一枚の
用紙が届いていました。

見れば、そのファックス用紙は
広末涼子さんの所属事務所から送られてきたもので、
「この4月から早稲田大学に入学しましたので宜しく」
という内容のメッセージが書かれていました。

あの時、なぜ唐十郎研究室の電話番号を広末さんの事務所が
突き止めたのかはどうにも謎ですが、確かに届いていました。

当時の唐さんは何らか広末さんと交流があったのかも知れませんが、
それにしても、何故あんなものがわざわざ研究室に届いていたのか、
謎です。誰かが送った偽物の可能性もありますが・・・

広末さんが話題になると、初期の唐十郎研究室に届いていた
あのファックスを思い出します。

6/13(火)久々の日本丸

2023年6月13日 Posted in 中野note
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↑傾斜の上に青テントを建てたのが4年前。今は平らになっていた!

久々に日本丸に行きました。
ここの会議室で6/24(土)に室井先生の追悼会をやるので、
津内口と二人で下見に来たのです。
少しは飾り物も考えているので、机などの備品を測ったり、
プロジェクターとPCの相性を試したり、
させてもらいました。

2012-2015年に勤めていた横浜都市文化ラボ時代に、
ここでよく講座を行ったものです。
吉岡洋先生や熊倉聡敬先生の講義は、
とりわけ印象に残っています。

そして、2019年には、
同じ公園の中の駐車場にあたるスペースをお借りして、
唐ゼミ☆の青テント公演も行いました。
『ジョン・シルバー』シリーズ3部作を一気に上演するという
企画でした。この芝居だけはどうしても海沿い、水辺でやりたくて
相談したところ、事務局の方々にずいぶん良くして頂きました。

観光用の水陸両用車両スカイダッグが水中に降りるスロープが
テントのすぐ後ろに来るように設置して、この上ない景観のもとで
7時間に渡る初期唐十郎の海賊ものを実現できたのです。

最終日の強風はなかなかの難敵でしたが、
それでも、みんなで歌った『ジョン・シルバーの歌』の高揚を
体がよく覚えています。

6/9(金)小田原での二日間

2023年6月 9日 Posted in 中野note
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↑有名な鈴廣や籠生のほかにも蒲鉾ブランドがいっぱい。
今回買ったのは「山一」というお店

昨日と今日の二日間は小田原で過ごしました。
神奈川県民ホールの仕事で、まだ新しい三の丸ホールを中心に
ある企画が進行中のため、街の皆さんに挨拶まわりをしたのです。

車で小田原に行くには二つの方法があり、
横浜新道から西湘バイパスへと繋ぐ道、
東名に乗って小田原厚木道路を往く道がありますが、
大磯から海沿いを走ることのできる西湘バイパス方面の
朝はたいがい激混みです。

そこで小田原厚木道路を進むことになるが、
なかなかどうしてこの道も素敵です。
制限時速70キロという高速道路にしては低めの
スピード設定に加え、この道は覆面の警察車両が常に
回遊しているのだと、神奈川の仕事を開始したばかりの頃に
小田原の知り合いに教わりました。

だから、感覚的には極めて低速で直線的な道を進むが、
まず、途中にある平塚がなぜ「平塚」という名前なのかがよくわかります。
本当に、まあ平らなのです。

そして、二宮を超えて風祭トンネルを抜けた先に広がる
小田原の景色はいつも素晴らしいと思います。
一気に視界が開けて、JRや小田急の線路が結集する線路を中心に
右は緑濃い山が広がり、左手に海が見え、何より空が広い。

小田原に行く時はいつも朝の渋滞を恐れて早朝に行き、
小田原東のインターでうどんを食べるのがずっと日課になりました。
昨日も今朝もこの調子です。

コロナやイギリスを挟んだので久しぶりの感がありますが、
こうして日常的に各地に行っていると、ああ、神奈川の仕事をしている、
そういう気分と高揚感が高まってきます。


6/8(木)室井先生追悼の会の準備

2023年6月 8日 Posted in 中野note
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気づけばすでに3週間を切っているので、
室井先生追悼の会への準備について、尻に火がついてきました。

https://muroilabo.wixsite.com/2023yokohama


空間をどうつくるかは齋藤を呼び出して相談に乗ってもらい、
進行を考えて、出席してもらえる人の中からエピソードを披露して
もらえそうな人たちに電話をかけまくっています。

どうも、参加を申し込んできた卒業生の中には、
「何か喋らされるのではないか・・・」と恐れて申し込みを
躊躇した人もいると聞きましたが、さすがに私も大人です。
そんな無理強いはしませんから、安心して下さい。

というわけで、事前の丁寧な申し入れを行なっています。
ケータイ電話番号を知らない人にも、
facebookのメッセンジャー通話でかけられるから便利です。

あの、着信する時の♩ドロロロロロロ、ドロロロロロロ
という音はなんだか気持ちが悪いですが。

電話で話す人の中には、当然ながらかなり久しぶりの人が多く、
隔世の感に打たれまくっています。

あとは、腕利きのK山くんに頼んで煽り映像を作ってもらいます。
彼には、こちらがストーリーを組むのが遅くなりすぎて、
負担をかけすぎないようにしなければと思っています。

あと16日後。

申し込みにはまだ10名強の余裕があり、フォームはこちらです。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe8TFtwqQ_3CIG1PPdznwfvUqeUIhwFOWohh9WWE0DH2iDVhQ/viewform

6/7(水)ちょっと弱っているので勇気の出る一言

2023年6月 7日 Posted in 中野note
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↑前は中公文庫ビブリオでお手軽に買えました。
今は中古のみだけど・・・


なにかむずむずと調子が悪い。
特段、熱を出したり風邪をひいたりというのでは無いのですが、
舌の付け根がなんだか痛い。

これは、22歳の時に『動物園が消える日』金沢公演を
終えた後にかかった急性扁桃炎以来の症状です。

あの頃は体力も、ペース配分の知恵もなかったし、
すぐに次の予定もなかったので公演後は緊張感がなくなり、
芝居を終えるたびにガクッときてしまっていました。

そのなかでも金沢公演のあとはビッグウェーブで、
初めて舌の付け根を痛いと感じました。
あの時以来、舌の付け根は喘息と並んで自分の体の「弱い部分」
となり、危険を察知するセンサーの役割を果たしてくれるように
なった、とも言えます。(前向きに言って元気を出そう!)

致命傷ではないがちょっと調子が出ないな。
現在はそういう感じです。

こういう時に思い出すのは、皆さんも好きな
エルネスト・チェ・ゲバラのこの言葉。
「打撃は絶え間なく与えなければならない」。

これは有名な『ゲバラ日記』でなく、
それよりは読む人の少ない『ゲリラ戦争』という本の一説です。

自分はこれを、こう捉えています。
「調子の悪い時は悪い時なりに、
ほんの小さな軽石を投げるくらいでも良いから打撃を続けよ、
そうでなければ、敵が安心してしまう。安心は相手の回復を
増長を生み出してしまう。そうなれば不利だ」と。

まあ、自分の場合は創作や生活上の目標があるのみで、
「敵」というほど大げさなもんではありませんが。
それにゲバラに対して私が捧げている敬意は
偉大な革命家としてよりも、喘息持ちなのにゲリラ戦の過酷を
やってのけた人、という意味合いが圧倒的に強い。

というわけで、今日は軽めの小石としてのゼミログでした。

6/6(火)ピーターからのメッセージ

2023年6月 6日 Posted in 中野note
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↑立体駐車場での演奏会のリハーサル。曲目は惑星組曲だったらしい


イギリスのピーター・フィッシャーからメッセージが来ました。
それによると、彼の参加するフィルハーモニア管弦楽団は、
今年もペッカムというガラの悪い地域の立体駐車場での
コンサートを行ったらしい。

去年、さまざまなライブを観ましたが、
あの場所は特に気に入りの会場のひとつでした。
何せクラシックのコンサートを、屋根こそあれ半野外の、
国鉄を往き来する電車の軋みが響き渡る場所で行うのです。

日本では考えられませんが、
英国トップクラスのオケであるフィルハーモニアは嬉々として
この場所でコンサートを行っていました。

自分はひとつも見逃すまいと、去年ここで行われたすべての
ライブを聴きました。

スクリャービンの『神聖な詩』
グレツキの交響曲3番
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番

が、それぞれメイン、という具合でした。

当時、ピーターは「来年もあるかどうか分からない」
と言っていましたが、今年も同じように実施されて、
曲目はホルストの惑星組曲だったらしい。

空に近いあの場所で、遊び心のあるナイスな選曲だと思いました。
今年に入って、仕事や友人がらみ以外の演奏会に行くことは絶えて
ありませんが、フィルハーモニア管弦楽団がそのうちに来日したら
必ず駆けつけようと思っています。

ピーター、ツアーメンバーに入ってくれると良いけれど。

6/2(金)本棚のホフマン全集

2023年6月 2日 Posted in 中野note

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↑唐さんが持っていた創土社の全集。インパクト大の装丁!



昨日の夜、ホフマンについてお話しする機会がありました。

ドイツ文学における後期ロマン派の作家として活躍した、

あのE.T.A.ホフマンのことです。


自分は本当の専門家では無いのですが、

集まっている人間の中ではよく読んでいる方だったので、

10分でホフマンについて説明して欲しい、

というオーダーに応えることにしました。


18世紀の後半に起こったロマン派のムーヴメントについて、

ナポレオンやベートーヴェンや絵画の印象派や

もちろん、ドイツ文学史上の先輩であるゲーテやシラーを紹介しつつ、

ちょっと変わり者の後輩としてのホフマンを紹介しました。


私がホフマンをよく読んでいたのは20代半ばのひどく暇だった頃です。

あの頃、バルザックやドストエフスキーとともに、よく読みました。

そして、その背後には、確実に唐さんの影響がありました。


大学に入ったばかりの頃に緊張しながら唐さんの研究室を

訪ねると、そこにはまだ、後にできる小さな木組みの

ステージや暗幕はなく。タイル床とじゅうたん敷きの

スペースが半々になっていました。


壁一面の本棚に本はなく、ただそこにぽつんと、

創土社のホフマン全集のみが置かれてありました。

きっと唐さんが、室井先生にリクエストして

慣れない研究費の活用で古本屋から買ったのかも知れません。


大学1年の頃の自分に、ホフマンは未知の作家でした。

ただその装丁のサイケデリックなことと、

唐さんが好きなのだから必修課題であることだけが

インプットされました。


後から考えたら、2000年春、

唐組がホフマンの『黄金の壺』『砂男』に想を得た

『夜壺』を初演した背景には、あの全集が一役買っていたのだと

思います。あの全集は当時から貴重品で、自分は文庫本や

国書刊行会のものを掛け合わせて一作一作を読んでいきました。


皆さんの前でホフマンを語ることができたのも

そういうわけで、唐さんのおかげなのです。

6/1(木)車の6ヶ月点検と唐十郎

2023年6月 1日 Posted in 中野note
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↑私の想像する唐さんの過去車。こんな風だったのだろうか?


今日のお昼は仕事を一旦置き、車の点検に行きました。
自分がまだロンドンにいた頃、12月半ばに納車されたホンダ フリードが
半年点検を迎えたのです。

つい先日、釘3本によりパンクしたタイヤを交換してもらった
ばかりだったので、今日はオフィスにいた担当の店員さんに
慰められました。劇団をやり、劇場に出入りしていると、
どうしても釘との遭遇率は高くなる。
自分ではそんな風に自らを納得させています。。

劇団をやっていると、20代の頃は自家用車を持つことなど
思いもしませんでした。しかし、神奈川県や財団の仕事で県内を
行き来するようになり、日産ラフェスタから自分のキャリアが
スタートしました。まだ小さな子どもが病気になった時など、
車があるのが本当にありがたく感じられます。

駐車場、保険、車検、修理、固定資産税、まれに違反の罰金・・・
多分に漏れず維持費はかかるけれど、助かっています。
2代目のフリードはどこまで走ってくれるだろうかと案じながら
すでに14,000km走行。これはなかなかの数字だと言われました。
よくメンテナンスしていきます。

点検の待ち時間に唐さんと車のことを考えてみると、

『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』・・・海辺をひとっ走りの車
『続ジョン・シルバー』・・・小春の愛車ムスタング
『吸血姫』・・・人力車と救急車
『虹屋敷』・・・岸信介が乗りつけたキャデラック
『赤い靴』・・・少女の誘拐に使われたハイラックスサーフ

などが連想されます。きっとまだまだあるでしょう。

唐さんご自身は大学に来る時、辻孝彦さんの運転する
ブルーのBMWに乗ってやってきました。
私が知り合う前の唐さんは、ピンク色の車に乗っていたとも聞きます。
ちょっと想像がつきませんが、いかにもファンシーな唐さんらしい。

自分は車にこれ以上の贅沢を望みませんが、どうか長生きして欲しい。
初めて乗ったラフェスタのことも思い出しつつ、そういう気持ちを
現在のフリードに託しています。

5/30(火)読売新聞夕刊!

2023年5月30日 Posted in 中野note
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↑掲載写真は、1997年10月に初講義を終えた唐十郎教授と室井先生です


今日は昨日に引き続き本読みWSのレポートをする予定でしたが、
嬉しいことがあったので、予定を変更します。

今日、5/30付の読売新聞夕刊に、3月に亡くなった室井先生と唐さんに
関する記事が出ました。関東版のみの掲載らしいのですが、
取材を受けた私としては、勇んで夕刊を開きました。

書いてくださったのは山内則史記者です。
山内さんと言えば、ずっと前から紅テントでお目にかかり、
唐さんを特集した映像DVD『演劇曼荼羅 唐十郎の世界』や
新聞連載小説『朝顔男』を世に送り出した方でもあります。

唐十郎という存在に対して室井先生がした仕事は、
演劇界的な営みとしては評価するのが難しい営みでした。
室井先生は美術や文学や映画や、もちろん舞台の批評だってして
いましたが、こと唐さんに関する限り、同じ演目であっても
観られるだけ紅テント公演を追いかけていたからです。

そんな観劇体験をしようとする人はあまりいませんし、
それはもはや「観劇」では無かったようにも思います。

山内さんがあらわした通り、
生命体として唐十郎を追いかけている。
そういう感じでした。

ともあれ、そういった捉えどころのない室井先生の探究を
巧みに書き表してくださったことは、自分にとっても嬉しく
山内さんに感謝するばかりです。

皆さんもぜひ読んでみてください。
ちなみに、同じ紙面には野田マップに出る唐さんの息子さん、
大鶴佐助も特集されていて、なんだか痛快です。

5/26(金)おもしろいのは"使者"

2023年5月26日 Posted in 中野note
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↑高橋睦郎の修辞では「女怪」と表されるスフィンクスと私

上演する以外に年に3本は重点的に台本を研究したいと思っています。
去年はロンドンで孤独だったのでずいぶん時間があり
3本どころではなく、『腰巻おぼろ 妖鯨篇』や『下町ホフマン』も
含めて6本研究することができました。

研究とは、パソコンで書かれていることを丸写ししながら
読むことです。ひと言ひと言に気をつけながら洞察し
同時に台本をデータ化して使いやすくします。

『鐵假面』稽古が本格化する前に研究しているのは
『オイディプス王』です。最近出たギリシャ悲劇の本を読んで
いっぺんやってみようと思ったのです。

翻訳にはこだわりがあり、高橋睦郎さんが修辞したものが相手です。
これは蜷川幸雄さんが築地本願寺で上演した時に作られた台本ですが、
単行本に収めたものがかつて売っていました。

私はそれを、大学受験の前の晩に新宿紀伊國屋で買ったのです。
ずっとお店の棚にあって汚れていたけれど、紛れもなく新刊本でした。

よく読んでみると、特におもしろいと感じたのは「使者」役です。
オイディプス王が自らの出自や運命を自覚し始めたあたりで
登場する使者は、王に父親たる隣国の王が亡くなったことを知らせます。

そして、まだまだ警戒心を解かないオイディプスを慰めようとして
かえって真実を明るみに出してしまう。
真実を伝えたらご褒美ください、というようなおねだりぜりふも
あって、相当なお調子者です。そして結果的に地雷を踏んでしまう。

この様子はゾクゾクします。空気の読めないマヌケな男が
自覚なく周囲を地獄に叩き落とす。
このやらかしっぷりに自分は好感を持ちました。

『オイディプス王』でどの役をやりたいか、
どの役が面白いかと問われたら、私は「使者」と答えます。

↓大学受験の時に買った小沢書店の高橋睦郎修辞『オイディプス王』
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5/25(木)恐怖!クギ3本の罠!

2023年5月25日 Posted in 中野note
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↑空気を入れて水をかけると、穴が空いているところがブクブクいいます
ブクブクいうということは穴が空いているということです

ここ数日、暑い。
暑い時は車の窓を開けて移動します。
すると「カチッ、カチッ」という音が聞こえたような、気がしました。
が、面倒なので、気にしないようにしておきました。
それが先週木曜日のこと。

それから、日曜に藤沢に餅つきに行き、
昨日などは川崎→横須賀→大和と渡り歩きましたが、
なんだか運転しながら自分が車体が左に傾いているような気がしても、
きっと道路の傾斜だろうと思っていました。
いや、思い込むようにしたのかも知れません。

それが、今日の昼に移動しようとした際、タイヤが明らかにブヨブヨする。
足でグイグイ押してみて、こりゃいかんと観念しました。

お店に行って見てもらったら、釘が3本刺さっていました。
どこで3本も!と思いましたが、
即座にタイヤ交換。交換してもらったら速いもので、
1時間ちょっとでパンクしたタイヤ一本だけ取り替えてもらいました。

不都合な真実と向き合うのは大変で、今回も逃避を続けてしまいましたが、
大事に至らなくてホッとしています。それにしても、どこで3本も刺さったのだろう。
怖ろしいことですが、これは避けようがありません。
お金もかかったけれど、事故ったり、何かが決定的に滞ったりするよりはマシ。
と自分を慰めました。やれやれ。

5/24(水)初めての山羊

2023年5月24日 Posted in 中野note
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この前の日曜日、
本読みワークショップの前に藤沢に行きました。
ずっと参加しているドリームエナジープロジェクトの餅つき大会が
藤沢市の弁慶農園というところで行われたのです。

子どもたちも連れて行きましたが、
餅つき自体は自分の方が興奮し、ついたくさん食べました。
自分なりにソースを用意しようと、生まれて初めて、
ずんだ餡をつくった達成感も、餅へのタガを外させました。

子どもたちは餅には淡白でしたが、
同じ農園にいた山羊と馬には興奮していました。
自分は山羊は初めてで、ずいぶん神秘的な表情だと魅入られました。
『もののけ姫』のシシ神さまに通じる表情です。
角もたいそう立派でした。

が、内面は暴れん坊で、これまで幾人もの人にタックルを見舞ってきたそうです。
こんな知恵者のように面差しで、実は乱暴者だなんて。
感動とともに、今日は短め。

5/23(火)『鐵假面』研究の日々

2023年5月23日 Posted in 中野note
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まだまだ助走段階ですが、『鐵假面』の台本読みをしています。
唐ゼミ☆ではこの演目を2007年にも上演していますが、
当時を知っているのはすでに椎野と齋藤のみ。

台本の下地となる情報を伝えながら、まずは知識を入れる段階。
それを経て、台本を読める段階に進もうと、
地道な本読みをオンラインで行っています。

『少年王者』がどんな紙芝居か。
『ジロリンタン』がどんなラジオ番組だったか。
紙芝居屋とは。せんべいソースとは。『子連れ狼』とは。

そんな話をクリアして、知らないことが無くなったゾ!
という段階になれば、せりふの端々に振り回されず、
大掴みに登場人物が何を言おうとしているかが見えてきます。

2007年にこの芝居を上演した時、
自分には生活は人生に対する体験が足りませんでした。
だから、約50年前に大阪千日前で起こった火事の衝撃とか、
被害に遭った人たち、その家族たちのその後など、
いまに比べてまったく想像が及んでいなかったのだと
改めてこの台本を読みながら痛感しています。

彼らの人生が沁みるように伝わって、
そこから、唐さん一流の喜劇的な飛躍がある。
泣き笑いというか、笑いがなければやっていられないのが昂じて、
大哄笑の世界が現れる。そういう舞台を夢見ています。

津内口や林麻子、ちろ、椎野らの劇団員に加えて、
昨日は『唐版 風の又三郎』に出てくれた井手晋之介君も来てくれました。
たった一度かかわった唐十郎作品に惹かれての参加がうれしい。

この面白さを共有して、さらに体現できる人たちを
もっともっと世の中にはびこらせたいと思っています。

5/19(金)大阪の夜

2023年5月19日 Posted in 中野note
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↑関西テレビのたもとにトラック野外劇場をつくった時の写真です
2014年9月に上演した『木馬の鼻』より


現在、新大阪のホテルにいます。
今日は神戸に出張して、明日の朝の帰りを楽にするために
終電で移動してホテルに入りました。
ずいぶん以前は漫画喫茶に泊まったりして大阪の夜を過ごしたこともあり、
自分も大人になったものだと思います。
とはいえ、格安のビジネスホテルですが。

初めて唐ゼミ☆が大阪に来たのは、
まだ学生時代に上演していた『鉛の心臓』を持って、
天王寺のアベノロクソドンタという劇場に呼んでもらったのが始まりでした。
劇場経営者にして劇団KIO主宰の中立公平さんが呼んでくれた。
2003年のことでした。

それから、近畿大学が唐さんのフェスティバルを開いてくれたのが2005年。
一軒家で合宿しながら近大に通い、雪の中で『少女都市からの呼び声』を
上演しました。まだ3月だったから寒かった。

それからは、同じ関西である京都での公演が増えて
大阪にはもっぱら芝居を観に来るようになっていきました。

唐さんが近畿大学の学生たちと上演する劇も観たし、
特には唐組の春公演を一番早く観るために大阪に来ました。
『行商人ネモ』をよく覚えています。
維新派や犯罪友の会の劇も駆けつけて観ました。

2014年に上演したトラック版の『木馬の鼻』が、今のところ大阪で
上演した僕らの最後の芝居です。あの時は扇町公園で三日間やりましたが、
最後の日に台風と激突して、それでも、観客が13人集まってくれたので
強引に上演しました。翌日に踏み荒らした公園を整備したのは
大変でしたが、唐ゼミ☆のキャリアの中で面白い上演でした。

あれから10年が経とうとしているので、何かやりたい気持ちに駆られます。
青テントは設置と解体にコストがかかり過ぎるの、何か身軽な公演を持って。
明日の8:00には新幹線に乗り、横浜に帰ります。

5/18(木)『RIO BRAVO(リオ・ブラボー)』を観る!

2023年5月18日 Posted in 中野note
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↑画面ごしに撮影した痰壺。コインがまさに壺に投げ入れられようとするところ


昨日に書いた映画『RIO BRAVO(リオ・ブラボー)』のDVDが届きました。
ワークショップの常連メンバーFさんの証言によれば、
この映画の中に唐さんの『二都物語』に影響を与えた場面があるらしいのです。

勇んで観始めると、そのシーンはさっそくやってきました。
早撃ちの名人ながら失恋ののちにアル中になっているディーン・マーチンが
悪党にからかわれる場面。酒場で無一文ながら物欲しそうな視線を向ける
ディーン・マーチンに対し、悪役はコインを取り出し、それを柱のたもとに
設えられた壺の中に投げ込みます。

ディーン・マーチンが酒欲しさに仕方なくコインを取ろうとすると、
保安官役のジョン・ウェインがそんな情けないことをするなと壺を
蹴飛ばす。ここまで一切のせりふ無し、のなかなか見事な場面です。

これ。正直に言うと、今回のことが無ければ、
ほんの少しの時間で過ぎていくこの場面の壺が他ならぬ痰壺であることに
自分は気づかなかったと思います。
と言うのも、自分は実働しているリアル痰壺を見たことがないのです。

調べてみれば、2005年まで痰壺は法律でも容認されていたそうなのですが
自分が物心ついた1980年代の後半には、すでにその役割を終え、
本来は衛生環境を守るための痰壺がむしろ不衛生なものと見做される
に至っていたのではないかと推察します。
ですから、痰壺そのものに馴染みが無かった。

映画の冒頭シーンはほんの一瞬です。
Fさんの指摘のおかげで、自分は『二都物語』だけでなく、
ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』そのものもまた、
よく理解することができました。

それにしても、この一瞬の場面を覚えていて自らの芝居に盛り込み、
本来の映画以上にドギツいシーンに仕立てる唐さんは、
やはり剽窃の名人です。さまざまなディティールに鋭く反応し、
それを自分流にアレンジ仕切って見せる。唐さんの見事な手腕です。

5/17(水)『二都物語』に寄せられた情報

2023年5月17日 Posted in ワークショップ Posted in 中野WS『二都物語』 Posted in 中野note
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↑早く届け!と心待ち


いつも本読みワークショップに参加してくださっているFさんから
目下、研究している『二都物語』について情報が寄せられました。

この劇中、
有名な場面のひとつにリーランが100円をせがむシーンがあります。
彼女はすれ違う人たちに常に100円をくれるようお願いして回る。
が、これが単なる物乞いと違うのは、リーランが自らに課した過酷な
条件によります。

彼女は、お客に対して痰壺に100円を投げ込むよう頼む。
痰壺という極めて不衛生、普通だったら嫌がるものから硬貨を
拾い上げてみせると約束することで、まるで自分を見世物に
してみせる。これがリーランが自ら設定したアイディアです。
なかなか残酷で、忌まわしい仕掛けです。やはり印象的。

ワークショップでこのシーンを読んでいる時、
Fさんから、このシーンはある映画の影響だと指摘がありました。
その場では俳優ロバート・ミッチャムの出演作だという話になりましたが、
翌日にわざわざ訂正の連絡を頂きました。

どうやら正解は、ハワード・ホークス監督、
ディーン・マーチン主演の『RIO BRAVO』ということです。
1959年の映画。唐さんは西部劇が大好きなのでこれは当たりでしょうし、
ネットで調べたところ、確かに冒頭にそういうシーンがあるらしい。
唐さんは若き日にこれを観て『二都物語』に援用したに違いありません。

ずいぶん前の映画なので、格安DVDを注文しました。
ネット・レンタルも良いけれど、将来、何人かで観る可能性がある。
そこで買って持っておくことにしました。

明日には届くそうです。届いたらさっそく観てみるつもり。
Fさん、ありがとうございます!

5/16(火)みんなの2022年

2023年5月16日 Posted in 中野note

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唐ゼミ☆、ハンディラボで集合しています


ハンディラボに集まって夏の稽古日程について話し合ったり、

zoomで台本を読んでいます。

タイトルが『鐵假面』ですから、必然的に最も重要な道具は鉄仮面です。

その造形をどうするか。本読みを通じて

どうすれば効果的になるかを探っていきます。


去年、イギリスにいた時にはずいぶん鎧兜を見ました。

そういう中で参考になるものを見せたりもします。

ヨーロッパで流布していた鎧を眺めていると、

剣や槍や矢で刺されないように隙間を塞ごうと必死です。

しかし、隙間を塞ぐほどに重量は増し、可動域は減り、

これでホントに身動きが出来たのだろうかという仕上がりです。


人間の必死は、それを俯瞰で見るとコミカルに見えます。

ひとつの芝居を巡って延々と考え、話している風景も似たようなものか。


時には、2021年に『唐版 風の又三郎』に出てくれたメンバーと再会し、

旧交を温めたりもしています。


ワダ・タワー、佐藤昼寝、赤松怜音、渡辺景日、鷲見武。

みんなゴッツくなっています。

体格ではなく、存在というか、肝が太くなった感じがしました。


あれから一年半経つ間に、多くの出演を重ねたそうです。

自ら企画を手がける立場になったり、逆に所属団体がピンチになったり、

舞台以外の声優の仕事に盛んに挑んでいるという話も聞きました。

それぞれのチャレンジ、時には修羅場を潜り抜けてきた事が

伝わってきました。


自分はイギリスにいて、時間が飛んでいるような感じです。

行動が連続していないので断絶した感じ。

あの11ヶ月がどういう風に自分の行いに影響してくるのか。

公演準備が進むと見えてくるはずです。


劇団員の齋藤は私たちの集合場所であるハンディラボを活用して

仕事をしていたそうです。他の団体の舞台監督を受けてやっていた。

重点的に掃除をしたらしく、倉庫の中の空気がキレイになった感じが

しました。具体的に動いていると、皆の変化が見えてきます。

5/15(月)『二都物語』本読みWS 第2回レポート

2023年5月15日 Posted in 中野note
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↑パーカーの万年筆。元日本人たちはこの偽物を路上販売することで
生活しているという設定です。万年筆への憧れ。一定世代以上、年齢が上の
人たちは持っていると聞きます


本来は毎週日曜日に行う本読みWSですが、
昨晩は特殊な予定アリだったために振り替えて本日に行いました。
月曜にも関わらず多くの方が参加してくださり、ありがたい。

今回、『二都物語』2回目はついにヒロインのリーランが登場しました。
彼女は働き先のレストランでお客に100円をせびり、クビになったのです。
それで職安に返されてきた。ところが課長が率いる職安の部下たちには
彼女に仕事を紹介した記憶がありません。

強かな彼女は嘘を言ってこの職安に連行されたのです。
それからは100円を巡る問答。彼女がなぜ100円をもらうことに固執するのか。
それは次に起こることへの伏線です。

リーランはお母さんのお腹にいる時に朝鮮海峡をわたり、
日本にやってきました。そういう出自もせりふから明らかになります。

一方、課長率いる噂の職安連中もまた、朝鮮半島から日本に渡ってきた。
ただし、ここが重要なのですが、彼らはあくまで日本人です。
正確に言うと元日本人。

戦前戦中に日本から大陸にわたり、戦後も内地に帰らなかった人々。
それが彼らの正体です。あるいは、帰れなかったのかも知れません。
いずれにせよ、今では自分たちの戸籍が日本にあるのかわからない。
しかし、彼らは日本に帰ってきた。

そして、日本で働いて生きようにも戸籍がないので仕事が見つからない。
だから噂の職安を開いたり、夜はつぶれた工場からかっぱらってきた
万年筆を行商します。同情を引いて粗悪品をお客に捕ませる商売です。
(ここの描写がおもしろい)

昨日やったシーンの終わりでは、本物の職業安定所の役人が
刑事を連れて課長たちのニセ職安を摘発しにやってきますが、
実はその刑事もまたニセモノであり、ニセモノ勢が勝ってしまいます。

大切なのは、ニセモノ勢=元日本人だということです。
同じ「海峡を渡ってきた者」にしても、リーランは朝鮮にルーツを持つ者。
課長たちは日本で生まれ育ちながら大陸に渡り、戦後もそこで暮らした者。

同じ戸籍が無いにしても、この部分が違うことは先ほども書いた通りです。
『二都物語』というと、どうしても「朝鮮半島から日本に渡ってきた人たち」
の迫力で押されてしまって、彼らの差異は二の次な印象を受けます。

私たちのWSでは、両者の違いに丁寧に注目しながらこの先を読み進めます。
次回はリーランの過去が語られます。悲劇的な記憶に触れつつ、
その分、美しい主題歌も立ち上がる。愉しみに参加してください。

5/12(金)盛れば盛るほど

2023年5月12日 Posted in 中野note
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↑高校1年生(手前)と3年生の大豪院邪鬼(奥)では、こんなに
身体のデカさが違う(『魁!男塾』より)


話を盛りすぎること、大歓迎です。
自分だって同じ話をするたびに自然と話を盛ってしまう。
そういう性質の強い方だと自覚しています。

GWこの方、さまざまな本を読みましたが、
シュリーマンの超有名著作『古代への情熱』を初めて読み、
これを大いに愉しみました。

シュリーマンが自ら築き上げたストーリーをざっくり振り返ると、
次のようなあらましです。

幼い頃に読んだホメロスを人生の聖典とし、
商才、語学の天才を生かして一代で財を成す。
しかし、それは彼自身にとって副次的なもの、
築き上げた富を投じて遺跡調査に乗り出し、
傍の良妻に支えられて見事に伝説の宮殿を発見する。

事実は小説より奇なり、と言いたいところですが、
彼のレポート自体が書かれたものであって、必然、自らの人生が
より劇的に、自説が有利になるよう、それは盛りに盛られて
ここまでに膨れ上がった。
そういう感じがすることに好感を持ちました。

事実より、自分がこうであったらと願う誇大妄想、
こんな風にしちゃえという改ざんにこそ、より人間味があるからです。

唐さんで言えば、同じバングラデシュ行を唐さん自身が書いたものと、
状況劇場の劇団員だった山口猛さんの書いた記録との隔たりにこそ、
この二人の真骨頂があります。

『ギルガメシュ叙事詩』なんかを読むと、
古代の王は800年くらい平気で生きています。
しかし、それが一概に嘘かというとそうでもない気がします。
往時の時間感覚からすれば、1週間は悠久の時かもしれないからです。

同じ伝でいけば、ガルシア=マルケスの『族長の秋』など、
現代においてもそういう時間感覚を活かすことに成功していて
喝采します。この物語の中で独裁者は数百年を生きており
だからこそその独裁の強烈さが読者に伝わってくるのです。

そういえば、ずいぶん以前に見た深夜番組の中で
伝説の400勝投手、金田正一は「ワシの球は180キロは出ていた」
と豪語していました。「ありえない数字だ!」と芸人が詰めよると
金田さんは平然と「心の180キロだ!」と言ってのけました。
さすが金田さんは冷静さも持ち合わせている。
ホンモノを感じさせます。

子どもの頃に読んだ『魁!男塾』の大豪院邪鬼もそう。
登場した時に身長3メートルを超えて描かれた彼は、
後に、ひ弱な一年生たちの畏れによって実物より遥かに巨大に
見えていたのだと語られます。これもまた一つのリアリズム。

絵画に印象派があることからも分かるように、
人間を信ずる限りこれらはすべて真実に他なりません。

5/11(木)青梅で思い出した唐十郎作品

2023年5月11日 Posted in 中野note
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↑青梅駅構内には駅にちなんだ映画の看板
真ん中は唐さんの好きなあの名作

ゴールデンウィークの最終日に青梅に行きました。
目的は映画を観るためです。シネマネコという、
可愛らしい木造の映画館が目的地でした。

が、映画以上に、青梅駅周辺を歩きながら思い出したことがあります。
それは、唐さんがかつて上演した『紙芝居の絵の町で』という芝居
でした。初演は2006年。唐さんが一日、都内を歩いてネタを探し、
使い捨てコンタクトレンズをヒントに書いた、紙芝居作家たちの
物語でした。

あの中に、当時は丸山厚人さんの演じた
「群青疾風(ぐんじょうはやて)」という看板描きの青年が出てくる。
カッとしがちだけど腕が立つ看板絵師の彼の仕事場こそ、
この青梅駅周辺でした。

確かにあの街には、古き佳き映画の看板絵がそこここにあって、
青梅を訪れた人の関心を誘う名物になっていました。
唐さんが好きな『鉄道員』の看板もあって、
自分は唐組での『紙芝居の絵の町で』だけでなく、
『ジョン・シルバー』の冒頭に映画『鉄道員』の
テーマミュージックを使ったことも思い出しました。

唐さんのおじさんは満州から引きあげてきた後に
国鉄田町駅の助役となり、そういった連想からも
唐さんは『鉄道員』が好きなのです。
ということまでも思い出しながら街を巡りました。

2006年春公演の台本を書くための取材は
きっと2005年10〜11月頃だったはずです。

その時、唐さんもまた同じ青梅の街を巡り、
あの、長大で流麗な群青疾風の長ぜりふが描写したせりふを
構想したはずです。そういう唐さんの姿を想像しながら
青梅を歩いていると、すばしこい唐さんの、あの歩行の