12/28(火)年末の収穫①

2021年12月28日 Posted in 中野note
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年末です。
誰でもそうだと思いますが、自分にもいつも難関や心配事があります。

『唐版 風の又三郎』公演以来、いくつか頭をもたげる中で
最大の不安は、果たしてオレは予定通りイギリスに行けるのだろうか。
ということでした。

別にコロナのことを心配しているのではありません。
現在、英国は1日の感染者数が12万人超だそうですから、
もう笑ってしまうしかありません。
ええい、かかるときはかかれ! そういう感慨でいます。

私を悩ませたのはコロナでなくビザでした。
ビザって何?という状態から始まった私のビザ取得行は、
先週を以って、ひとつのカタがつきました。
あとは、年始を待つばかりです。もうジタバタしたって仕方ない。
書類の修正や再提出を求められたらそれはそれです。

一番厄介なのは、渡英した瞬間にロックアウトされることで、
部屋の中でじっとしているように強制されたら、英語も上達しないし
ロンドンにいる意味がない。けれど、まあそれだって
台本を取り出して研究できるという特権的時間に違いありません。

禿の退団のことは寂しくもありますが、
私だって海外に行くような勝手をやっています。
同級生のトクちゃんが同じように何かに挑戦したい気持ちは
分かります。

進むのも、停滞するのも、退くのも自分次第というキツさを
自分は知っているつもりですが、同時にこれは特権でもあります。
そういう道を歩き始めて、もがいて、ヒリヒリしながら
明らかに充実してきている。

昨日が年内最後の劇団集合ということで禿に会いましたが、
彼女の顔つきを見て良いなと思いました。

それからまた、昨日は新宿梁山泊の『少女仮面』を観に行きました。
東中野駅で降りて歩きながら「満天星」を訪ねること自体が
久々であることに気づきました。ここで『愛の乞食』や『吸血姫』
『風のほこり』を観たことも一緒に思い出しながら観劇しました。

ここで唐ゼミ☆も『黒いチューリップ』『続ジョン・シルバー』を
やらせてもらったのです。特に後者、あの空間を斜めに使うやり方は、
我ながらけっこう良いといまだに思います。

肝心の『少女仮面』。
乙女チックなお婆さんと貝の関係性が良く、
水嶋カンナさんが満州の病院を思い起こして長広舌をするくだり、
これからやってくる甘粕大尉に慮って床についた
生理の血を拭き取る所作がとても良いと思いました。

いつもあのシーンは、ト書きの指定によって汚物カンで床をガリガリ
やるわけですが、本当に血液を拭おうとするアクションにしては、
ガリガリだけでは説得力がありません。そのあたり、
カンナさんは実に上手くやっていました。

我らが鷹さんは、フラリと劇場にやってきてフラリと舞台に出ている、
そういう感じでした。衣装もメイクも極限まで排除、日常性の美学です。
間を操ることにかけてはやはり天才的で、ボクサーがパンチを繰り出す
ごとく、次の一手を読ませません。あれこそ麻子や米澤に見習わせたい。

アフタートークもあって、シモンさんや大久保さん、
義丹さんが披露する李さんのエピソードは、日常の行動のなかに
女ひとり大地に立つ李麗仙を感じさせました。

中でも、近童弍吉さんのお話がとても良かった。
状況劇場末期の新人時代に望んで得られなかった「腹話術師」を
執念でもぎ取ったことに痺れました。

これまで見たことの無かった李さんの秘蔵の写真を何枚も拝見して、
発見もありました。『続ジョン・シルバー』の「小春」や
『腰巻お仙 振袖火事の巻』の『お仙』の造形です。

見ていて、もういっぺんやりたくなりました。
『腰巻お仙 三部作一挙上演』・・・いつかやろうかな。
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