5/29(木)むずかしさから得るもの

2025年5月29日 Posted in 中野note
唐さんが1983年に初演した台本『住み込みの女』を研究しています。

毎朝、早起きして読み、間もなく1幕を終えるところです。
ここ数日は序盤の苦しみです。内容が入って来ず、
何度も冒頭から読み直したり、同じ箇所をグルグルして、
いつも通り台本を書き写しています。
日々、なんとか渡り合っている。そんな感じ。

が、ここに来てようやく糸口が見えてきました。
つまるところ、この物語は主人公が営む床屋が舞台です。
その店が、おそらく借金のカタにとられかかっている。
そこに現れたのが住み込みの女中さん的なヒロインで、
彼女が知恵と気働きで床屋を支えています。

現在は1幕ですから、けっこう強気です。
2幕ではいつものパターンで負けてしまうでしょうが、
これからどんな風に敗北へと至るのか、少しずつ読むことにたのしさが
芽生えています。地上げが横行したバブル景気の入り口に立つ時代性も
理解できて、そんな風に少しずつ、糸口をつかんでいます。

床屋といえば、『ジョン・シルバー』『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
『吸血姫』『蛇姫様 わが心の奈蛇』といった台本がよぎるところもあります。
特に、床屋の兄弟の設定は、『蛇姫様 わが心の奈蛇』を思わせます。
こういったリンクも嬉しい。

そして、何よりの収穫は、唐十郎作品に初めて向き合う時の難解さを
思い出したことです。自分のように慣れている者でもこうなのです。
まして、『少女仮面』に向き合っている今回の唐ゼミ☆公演の初参加
メンバーの気持ちがわかるように思いました。

丁寧に説明の時間を惜しまず、あれこれ例え話もして、できる限り
おもしろく伝えたいと思います。皆さんの生きて来られた人生とも
つながるように。



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