5/25(月)痛みの元を取る

2020年5月25日 Posted in 中野note
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唐ゼミ☆でも2005年3月に上演した『少女都市からの呼び声』から、
「養老先生」と「インターン」の場面。近畿大学での上演です。
懐かしいメンバーが活躍しています。


右手を負傷中、と一昨日のnoteに書いたところ、
何人かの方から優しくしてもらい、たいへん良い気分です。

しかし、今日も小銭を出す時、ウィンカーを上げる時、キリキリする。
あれは何でしょうね。
5キロ以上ありそうなカバンを持ち上げるときは何でもないのに。

優しくされて嬉しいけれど、やっぱり煩わしい。
そこで、またこのネタで書いてせいぜい元を取ってやろうと思い立ちました。

今日も"痛み"の話。唐さんから"痛覚"について伺った話です。
80年代に交流のあった養老孟司さんにまつわるエピソード。

『バカの壁』以降、特にメジャーになり、
テレビのバライティー番組にも出演される養老先生ですが、
80年代当時は東京大学解剖学第二講座の先生をされていました。

先生はその頃、作家の島田雅彦さんと
『中枢は末端の奴隷』というとっても刺激的なタイトルの本を出されて、
唐さんはその影響を受けたのだそうです。
1969年初演の『少女都市』を改作し、
85年に『少女都市からの呼び声』を公演します。

この劇には、その名も「養老先生」という役柄が登場し、
その相手となる「インターン」役で島田さんは実際に出演もしたそうです。
(出演時の様子は、島田さんと唐さんの共著『汗のドレス』に詳しい)

話を養老先生に戻すと、
唐さんによれば、先生は何日も解剖を行った後、
生の感覚を取り戻すため、針でチクリと自分の指を刺すのだそうです。
当然、少し血が出る。痛い。そのことによって、
自分は今まで相手にしてきた死体とは別なのだと実感する。

養老先生からその話を聴き、唐さんは感動したのだそうです。

"中心は末端の奴隷"というフレーズも良いですよね。
どんな偉丈夫も、偉い人も、手に刺さった一本の小さなトゲに
全身を支配されてしまう。それが人間のリアル。実に唐さん的です。

時に、人間ぜんぶを支配しつつ、生きている実感を与える"痛み"。
ここしばらく、右手首と親指が私のご主人様。
腹立つので、明日もこの話題で引っ張ってやろうと思っています!

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