4/26(火)ロンドンに潜む危険の数々

2022年4月26日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑川口成彦くんが勧めてくれたジャン・ロンドーを聴いた。
チェンバロによる、瞑想的な『ゴルドベルク変奏曲』。
しかし、浮かれていられないのがロンドンの帰り途なのだ。


今日はガチの話題である。
最近、ロンドンに潜む危険についてダイアンが熱弁を振るってくる。

きっかけは、最近知り合ったペーター・フィッシャー。
日曜に行ったフィルハーモニア管の演奏会に彼はエキストラで
参加していたが(様々なオケによく呼ばれるようだ)、
特にショスタコーヴィチ7番『レニングラード』は珍奇なものだった。

というのも、大編成かつ長大さがウリのこの曲において、
ほぼ9割方埋まった客席によって場内の気温はどんどん上がり、
全員で朦朧とするような演奏会だったからだ。

おまけに、曲の静かな部分で客席のケータイ電話が鳴り響き、
しばらく止むことがなかった。こうなるともう全員ヤケクソになって、
アンサンブルは乱れるがとにかく爆音で盛り上がるというエンディングに。
客席は変に興奮していた。

終演後、ホールのバーで待ち合わせて、ペーターと一緒に帰ったが、
彼は新任の主席指揮者サントゥ・マティウス・ロロヴリが好きだという。
こっちは前任サロネンのファンだから、ストラヴィンスキーや
バルトーク、ショスタコーヴィチはエサ=ペッカの方が
向いているんじゃないかと伝えたが、ペーターはそうは思わないらしい。

まあ、サロネンの指揮振りを見る限り、彼の関心は大方
パーカッションと管楽器に向けられているから、
弦のペーターとしては不満に思うんでしょう?と訊いたら、
当たりのようだった。

サントゥは優雅な感じがしたので、『シェエラザード』とか
チャイコフスキーのバレエとかが聴きたいと言ったら、同意してくれた。
それに、あなたのアンサンブルの方が遥かに面白いと伝えたら喜んでいた。
実際にそうなのだ。

で、話題を戻すと、昨日ペーターがくたびれた様子だったのは、
ある事件が起きて、前日の眠れなかったからだ。

彼はニュー・クロス・ゲイトというAlbanyの近所に住んでいるが
彼の家の目の前で、夜中に銃撃戦が起きたのだ。
16歳の女の子が5発も撃たれて、それは大きなニュースになっている。

ペーターは「テリブル!インクレディブ!」と連呼していたが、
今日は今日で、カナダ・ウォーターで同じ家に住む女性3人と男性1人が
殺されたりもしている。

さらにダイアンによれば、一昨年にグリニッジ公園脇のジャズクラブ前で
高級時計をしていた男性が殺されたり、去年も20代半ばで小学校の先生を
している女性が殺されたというのだ。

他にも、80代女性が25歳の男性にラブレターを送りまくった末、
彼の奥さんを殺してしまうという怪事件まで、去年は近所で起きたらしい。
どうりで、ダイアンの警戒心が半端ないわけだ。

とりあえず、夜道で音楽を聴きながら歩くのをやめることにした。
誰かが接近していることに気づかないと危険だからだ。
なかなかの土地だが、来てしまったものは仕方がない。やれやれ。

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