7/27(水)パーセルの職場①
2022年7月27日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
↑ようやく訪れたウェストミンスター寺院の入り口で
①ウィリアム・シェイクスピア(劇作家、俳優)
②ウィリアム・ブレイク(詩人、画家、彫版師)
③レジネルド・グッドオール(指揮者)
そして、④ヘンリー・パーセル(作曲家)である。
もともと、パーセルのことは、
横浜国大でお世話になった茂木一衛先生に教わった。
先生は私が大学入試を受けた時の面接官の一人で、
おかげで唐さんに師事できたと思っている。
だからという訳ではないが、先生の退官講義の時にはお手伝いを
させてもらった。そしてその講義についてあれこと打ち合わせする中で、
『ディドとエネアス』というオペラがあることを教えてもらった。
それから幾つものCDを聴いて、今をときめく
テオドール・クルレンツィス指揮のものを気に入った。
彼の指揮もさることながら、ヒロインのディドを演じる
シモーネ・ケルメスという歌手に惚れ込んでしまったのだ。
唐さんはよく、歌いすぎたら語れ、と言う。
せりふが流暢になってくると、ついつい歌い上げてしまう。
劇中歌もやはり、メロディに飲まれて歌いすぎてしまう。
それでは良くない。
それでは、言葉が言葉としての意味や魅力を失ってしまう。
役者の喋り方、歌い方というのはやっぱり言葉が基本だ。
優れた役者はリズムは韻律を持って聴かせるものだけれど、
心地よいだけでなく内容が観る人の胸に迫るためには、
語ることが必要なのだ。
そこへいくと、このシモーネ・ケルメスという人の在り方は
そのお手本のような感じだ。確かに歌っている。
けれども、まるで話すように、喋るように歌うのである。
メロディと詩が一体になって攻めてくる。
だから、いつか彼女の実演を聴いてみたいと思い続けている。
で、ヘンリー・パーセル。
先日、椎野からパーセルの伝記を含む荷物が届いた。
数年前に、神田の中古レコード屋で見つけて買ったものだ。
渡英前に日本でも読んだけれど、正直あまり面白くなかった。
彼が生きた17世紀後半のロンドンや教会がまったく想像できなかった。
内容が入ってこなかったのだ。
が、今はこれがめっぽう面白い。ロンドンに住んで多くの教会に行った。
コラール・イブニング(夕べの祈り)に行くと、本当に珍しい合唱や
オルガン曲が山のように聴ける。しかも、ところによっては無料。
メディア的に有名な音楽家でないにせよ、
腕達者なオルガン奏者や歌手がゴロゴロいて、しかも、
教会建築という音響装置にかかると、その魅力が何倍にも増幅される。
そうこうするうちに、本に書かれているアンセムやオードが
どういう歌で、教会のオルガニストがどういう仕事か、
体感的に想像できるようになってきた。親しみが湧くようになった。
パーセルはイギリス王室の寺院であるウェストミンスター周辺で
生まれ、暮らし、この寺院を職場とした。
長くなったから二日に分けよう。
また、明日。
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