2/1(月)不条理ではない!

2021年2月 1日 Posted in 中野note
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↑学生時代に一度は手にとるこの本の話題

今日は朝から若葉町ウォーフでの配信に参加し、
その後、劇団集合でした。
皆で『ベンガルの虎』を読んでいます。
『ベンガルの虎』といえば、
流山児事務所の公演が近々に予定されていましたが、
緊急事態宣言の影響で中止になってしまいました。

大久保(鷹)さんも出るはずだったのに。
延期公演をぜひやって欲しい。そう思います。

ところで、今日の夕方に親しい先輩演劇人から
電話があって、自然と小説の話をしました。
彼女は、芥川賞の最新作なども読んでいるらしい。

そして流れで、カミュの『異邦人』の話題に。
きょう、ママンが死んだ。で始まるアレです。

唐さんの大学時代、
サルトルとカミュの対決に痺れていた同級生たちは
何かにつけて自らの行動の理由を問われると「太陽のせい」
と答えたそうです。

私と出会った頃の唐さんはそれを、
青春独特のアホなロマンチズム、とおっしゃっていました。
これは決してバカにした言葉ではなくて
自分もそうだった、という好意や懐かしさが感じられました。

ところで、2000年を過ぎたある時、
唐さんと話していたら、やはり『異邦人』の話になりました。
唐さんは、最近になって久々に読み直したところ、
ついに主人公が犯した殺人の動機を発見したというのです。

「あれ? 太陽が眩しかったからではないのですか?」
と訊くと、唐さんはそうではないという。

小説の冒頭で、
主人公・ムルソーが住むアパートの住人の描写がある。
可愛がっていた犬が死んで、
老いた飼い主の男が一晩中泣き続けた、という。
あの泣き声をずっと聞かされ続けたのが殺人の動機である、
と唐さんはおっしゃっていました。

・・・何か、判るような気がします。
不条理じゃないね。そうもおっしゃっていました。

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