9/2(木)今日も三腐人〜おかしな2幕

2021年9月 2日 Posted in 中野note
S__16375836.jpg
↑稽古を止めては内容について話す。脱線しすぎて皆が疲れないように。

今日、稽古場に着くと、米澤が事前練習を進行していました。
米澤は口数の少ない、どこかボンヤリしたところのある青年でしたが、
佐藤信さんとの仕事や去年の『唐版 風の又三郎』の「教授」役を経て、
こうして仕切りができるようになってきました。
まだ20代半ばなので基本的に年長者の方が多いのですが、
一役者としてだけではなく、そうして稽古場を支えています。

昨日、ほとほと難役だと痛感させられた三腐人でしたが、
今日も彼らと試行錯誤をしました。
1幕の出番の完成には遠い現状ですが、全体を押し上げるために
2幕に進む。あの『ヴェニスの商人』のパロディから始まる
誠に珍妙な場面です。

しかし、シーンは一転、シリアスな様相を帯びる。
唐さんの作品にずっと取り組んでいると、例え初見であっても、
そろそろ物語の本筋に帰ってくるぞ。そういう予知能力が身に付きます。

そういう場面は、登場人物たちがふざけているときに突然やってきます。
ある一つのせりふ、ある一つの小道具。
こういったものが現れると、突如として話はメインストーリーが
渦を巻き、圧倒的に2枚目なせりふとともに、異様な求心力を帯びはじめます。

そういうシーンをやるのも観るのも体力を使いますが、
これは実に爽快な、健康的な疲れです。
唐十郎作品の醍醐味。まさにそういう感じがします。
ふざけている中に切実な思いがあり、突然に心を射抜かれます。


今日は三腐人メンバーとよく話をしながら稽古しました。
松本さん、佐野さん、昼寝さん(面白い芸名!)とは、
役柄や物語の設定についてだけでなく、出自や最近あったこと、
コロナ対策やワクチンについてなど、縦横に折り込んで稽古しました。
よく換気をするため、休憩を多めにしています。
そういう時に、日常の話をしたりする。

今日の場面、昨日の1幕よりはかなり上手くいきました。
せりふ覚えも大変そうでしたが、何度も台本に立ち返って、
内容の理解を深めるのとせりふを頭に入れるのを同時進行してもらいました。
とにかく覚える、頭に叩き込むより、この方が身体を削らずに済みます。

自衛隊の教官や先輩たるメンバーが、
高田三郎の乗り逃げをどう捉えているのか。
このあたりを重点的に話しながら、会話を成立させていきます。

あっ、今この役者は内容が腑に落ちたな!
せりふや所作が迷いなく活き活きしてきた!
無駄に力が入っていないから大声でもやりやすそうだ!

途中にこういう瞬間を探り当てると、こちらも嬉しくなって稽古場がハネます。
そこまでの紆余曲折が一気に報いられて充実します。

合間には、佐々木あかりを音響係から役者にして、幕間の場面をあたる。
せりふの言いにくそうな部分について、細部に原因を探り、
仮説を立てて実地にやってみることの繰り返しです。

何か、自分が日々とりくんでいる英語の勉強みたいだなと思います。
出来ない人の気持ちが痛いほどわかるので、自分事として粘っていきます。

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)