11/22(金)音二郎と唐十郎〜その③

2019年11月22日 Posted in 中野note
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1幕の終わり、キティ瓢田の登場(2010年11月の上演より)

唐ゼミ☆が浅草に進出するきっかけだった『下谷万年町物語』には、
まさに音二郎と唐十郎に共通するセンス溢れる設定がなされています。
劇全体の鍵を握るある小道具が、それを体現しているのです。

ここで、ちょっと『下谷万年町物語』のあらすじを説明しましょう。

1948年(昭和23年)の東京、北上野。
戦後、帰る場所を失った復員兵たちがオカマの娼婦として暮らす、
通称「下谷万年町」。
坂を登ればすぐに上野の森があり、
夜、そこは彼らが春をひさぐ場所となる。

ある日、同じ万年町に住む少年・文ちゃんは、
オカマ軍団のサブリーダー格・お春さんから、
大事な帽子を持ったまま行方をくらませた洋一の捜索を頼まる。
実は、その帽子こそ、
風紀の乱れた上野の森の視察に訪れた警視総監の制帽。
視察の際、居丈高な態度に業を煮やしたオカマのリーダー・お市さんが、
暴行の末に総監から奪い取ったものだった。
以来、もう警察はカンカン。

そこで、万年町の者たちはせめて恭順の意を示そうと、
洋一に件の帽子を託して返却のお遣いに出します。
しかし、彼はどこかに行ってしまった。
困ったオカマたちに頼まれ、
聡明な少年・文ちゃんが友人である洋一を捜すことになった

文ちゃんと洋一の再会。
そこに、瓢箪池の底から浮かび上がった自殺志願の女、
松竹歌劇団の落ちぶれ女優・キティ瓢田も加わり、
三人は新劇団「サフラン座」を結成して、
自ら世間に打って出ようとする。

劇団「軽喜座」の小道具係として燻っていた洋一は夢である演出家に、
松竹歌劇団の端役だったキティ瓢田は再起して主演女優に、
二人に影響された文ちゃんは新進の劇作家に、
それぞれ突き進もうとする。

そこで、たった三人の新劇団が武器とした戦略とは......


かなり長くなりそうなので、明日に続きます!

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