12/25(水)遅れてはならない!

2019年12月25日 Posted in 中野note
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↑第10回公演『ユニコン物語 溶ける角篇』のチラシ

今日、とある新聞記者さんと話していて、
唐さんがいかに集合時間に厳しいか、という話題になりました。

あれは2006年夏の、
私たちが『ユニコン物語 溶ける角篇』を仕込んでいた時のこと。

当時、私たちの劇団のチラシはA3見開きで、
中には必ず唐さんのインタビューを載せていました。
そこで、芝居のモチーフや執筆、初演の頃の話を伺うのです。

私は劇団員のトクちゃんとともに、
高円寺、純情商店街の中ほどにある喫茶店「琥珀」に向かったのです。
店は唐さんの指定、絶対に遅れてはならじと、
私たちは約束の時間の30分前には着いて、唐さんを待ち構えました。

しかし、なかなか来ない。
五分前になっても来ない。
唐さんは時間に厳しく、早め早めに動く方です。
この時点で私は「まさか」と思い至りました。
それで、急いで階段を上って2階の店を覗くと、
やっぱり、すでに唐さんがいるのです。

息せき切って店の中に入り、テーブルの傍に立つと唐さんは怒鳴りました。
「オレはなあ、約束の1時間も前から待っていたんだぞ!」

それから、こちらは二人でお詫びしいしい、
唐さんの案内で店の奥にある、
昼間は開いていないライブハウスのシャッターの前に歩を進めました。
見れば、図画工作室にあるような木のイスも並んでいます。

唐さんは早めに到着してお店の人に掛け合い、
インタビューに相応しいロケーションまで用意していて下さったのです。

こちらは平身低頭して謝りに謝り、
フッと唐さんの表情が緩むや否や、怒涛のインタビューに突入、
決死のリアクションで唐さんの話を盛り上げに盛り上げました。
それはもう、必死でした。

話が終わると、上気した唐さんはすぐに「飲みに行こう!」となり、
そこからはいつもの状態に。
あの時は、芯からホッとしました。

それから一週間後。
別の居酒屋で待ち合わせた時には、
反省を生かして1時間ちょっと前に到着しましたが、
その時も唐さんは先に来ていて、
今しもケータイを鳴らそうとしていたところでした。
急いで「唐さん!」と呼び掛ける私に、
唐さんはご機嫌で、
「よく分かったなあ。今、中野に電話しようとしてたところ」

危ねえ。この時はセーフでした。
ひどく緊張しているようでいて、
こういうやりとりがゲームみたいに面白い。

教授と学生の関係が終わってからも、芝居の師匠と弟子として、
二週に一回はそんな具合に会っていました。

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