7/12(月)『ガラスの少尉』〜唐ゼミ☆の2008年頃
2021年7月12日 Posted in 中野note
↑2008年唐ゼミ☆上演時のセット。ジェット機の中なので、
ドーム上の天井を客席上部にも設置。仕掛け満載でした。
いつもは1回2時間(休憩あり)の本読みで、
15ページ進むことを目標にしています。
こうすると、だいたい2つのシーンをクリアするほどのペースになる。
けれども、今回の演目に限ってはかなり急ピッチで進んでいきます。
別に急いでいるわけではなくて、自然にそうなる。
とにかく話がトントン拍子に進んで明快なのです。
物語を簡単に紹介すると。
ガラス工場で働く女の子が、シャンプーのCMに出演する
インタビュアの中年男に呼び止められる。
これが縁で二人は接近し、やがて、かつて南方戦線における
飛行機乗りだった中年男が、バリ島で少女を銃殺したことがわかると、
徐々に日本とバリにいる二人の女の子の存在が重なり、
中年男を翻弄するという物語。
主人公が絞れており、不思議さはあるものの、明快なストーリー。
一方、舞台はラジオドラマの特性を生かして目まぐるしく変わります。
飛行機の中、街の往来、ガラス工場、喫茶店、アパートの一室、
そしてバリ。こんな具合です。
この、場面の移り変わりには難渋する人もいますが、
それぞれの空間が把握できてしまえば、難しくありません。
特に前半部分は、
もともとが『ギヤマンのオルゴール』というNHKラジオドラマですから、
かなりわかりやすく書かれているようにも思います。
やっぱり、相手にする観客(視聴者)の数の違いでしょうか。
芝居は、どんなに多くても数万人というところですが、
NHKラジオともなれば、相手にする人数の桁が違います。
だから、唐さんは、持ち前の不思議さを発揮させつつも、
平易に書かれています。中には、ラジオという設定を遊ぶくだりも
入れながら、愉しんで書いたことが伝わってきます。
一方で、2008年にこの芝居を上演した時に自分には、
多くの焦りがありました。当時は27歳。
学生時代からともに物づくりしてきた仲間たちが劇団を去り、
気づけば自分は、唐さんが紅テントを発明した年齢になっている。
何事か、突破したいと考えて選んだ演目でした。
どこかの学生劇団が上演を試みたことはあるものの、
誰もやっていないものに挑むこと。これが自分にとって重要でした。
表現主義系の舞台上演の数々を研究して、美術や仕掛けに凝りました。
もう、そればっかり考えていた。ですから、この『ガラスの少尉』は
劇団の上演歴の中でも異色の作品です。
けれども、そうやって凝りに凝った上で、
芝居の魅力とはもっと違うところにあるのだと思い至りました。
ですから、ワークショップを進めながら、ちょっと苦い思い出も過ぎります。
やっぱり単純に舞台は役者のもの!
そういうことを痛感しました。熱演に勝るものなし!
次回からは後半に入ります。
すると、ここは唐さんが戯曲として書き加えた箇所ですから、
芝居らしいコクが出てくる。7月いっぱい『ガラスの少尉』と過ごして、
エンディングまで持っていくつもりです。
来月からの演目は、ただいま思案中!
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