2/14(月)『下谷万年町物語』WS 第2回レポート(中野)
2022年2月14日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『下谷万年町物語』
↑わずか8歳の少年にも容赦なしの白井。自己嫌悪ゆえの八つ当たりか?
2010年 劇団唐ゼミ☆秋公演より 撮影:伏見行介
第1回目は、初演時の執筆経緯、唐さんと蜷川さんの来し方、
唐さんに影響を与えたエピソードについて時間を割きました。
皆さんの本読みは駆け足にならざるを得ず。
そこで、昨日の第2回では、もっと稽古らしくしようと注力しました。
登場人物同士の駆け引きに注目しながら、細かく止めて、
内容を詳しく伝え、皆さんがアドバイスをどう受け止め、
表現するかを愉しみました。
主人公の一人である青年・洋一が登場するところからスタート。
彼は今、とにかく上手くいっていない。
元来が演出家志望の彼は、浅草で力を持つ劇団軽喜座の
小道具係に甘んじています。不器用で、チリ紙を使ったサフラン製作の
手もおぼつかない。それに、洋一はいま万年町から逃亡している。
警視総監暴行事件の後、
お春とともに帽子を持って下谷警察に詫びを入れにいったはずが、
自分だけ帽子を持って取り残され、トカゲの尻尾切りにされかけた。
(後に誤解だったと知れる)
だから、反射的に彼は逃げ、帽子は今も手の内にある。
ヘボ小道具係としてうなだれ、瓢箪池に映る自分と対話していると
少年・文ちゃんに声をかけられた。彼らは、最初はぎこちないものの、
経緯を説明し合うと従来の友情を取り戻す。
元6本指があったもの同士の絆。
と、そこへ、チンピラ・白井が二人の部下を引き連れて現れる。
万年町オカマ軍団の頭目・お市にヒロポン(当時は合法)を流す
売人こそ、この白井。彼は、後に登場するヒロイン・キティ瓢田の
亡くなった恋人(彼の名前も""洋一)の弟でもある。
お市の味方として、洋一・文ちゃんを遠回しに脅かす白井の手口は
さすが恫喝の本職。初演時にこの役を演じたコメディアン・内藤陳さんの
読書家ぶり・博識がこの役に生きている。
それでいて、彼は本来的にはナイーブな男。
水面に映った自分と「こんな大人になるはずではなかった」と語らいつつ
またチンピラ得意の脅しを繰り広げ、注射器をかざして文ちゃんにも
容赦ない。情けない洋一は、言葉で反抗するのがやっと。
と、ここへ、水の中をアユのように通り過ぎる人影。
(膝までの深さしかないこの池にして、明らかにおかしな現象だが)
先ほど、洋一と文ちゃんの会話中に何かがドボンと飛び込んだ音も
これだったようだ。
"姉さん!"そう呼びかけながら去る白井とともに、今回は終了。
次回は、洋一の所属する軽喜座の面々が登場するところから再開します!
今回やった洋一の登場シーンには、唐さんの劇団青年芸術劇場時代の
不遇が大きく影響しているように思われます。
ロンドンにいる私に、思うぞんぶん日本語をしゃべらせてくれる
参加者の皆さん。中にはご自身の経験から、外国での暮らし向き
についてアドバイスをくれる方もいます。感謝!
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