6/17(金)それは彼の王国だった

2022年6月17日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note

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↑わざわざスコアを持たされて撮影したのだろう。

後ろに見えるホールに行く予定。



今週末、再び遠出するつもりだ。

前回に行ったブライトンとグラインドボーン音楽祭から3週間。

次なる目的地はオールドバラ音楽祭である。


これは『戦争レクイエム』で有名なベンジャミン・ブリテンが

1948年に創立した音楽祭だ。彼は20世紀イギリスが生んだ最大の

作曲家だが、その最晩年期に自分の故郷オールドバラでの音楽祭を

立ち上げるに至った。ロンドンから電車で2時間半の土地。


その後、彼自身は1976年に亡くなってしまったが、

半世紀を越えた今も、音楽祭は健在、今年も6月に行われている。


音楽もさることながら、ホール自体も愉しみだ。

もともとウィスキー工場だったところを改装してできたというのだ。

音楽祭が開始されて程なく火事になったが、また復元されたらしい。

趣きもあって音響も良いと聞くから、期待が高まる。


ところで、先日、いつも都心に出た時に立ち寄る大型書店で、

この音楽祭に関するDVDを発見した。これは行く前に見ておきたい。

けれど15ポンド=2,500円する。一回見てしまえばおしまいなのに

高いと思い、Amazon UKを調べたら2ポンド送料無しの出物を発見、

注文した。


たった三日で届き、蓋を開けると監督のサインまで付いていた。

サインしてもらったのにとも思うが、ふとどき者のせいで恩恵に

あずかることができた。早速に本編を見たら、創立時の様子、

ブリテンの奮闘、若かりし日のエリザベス女王が祝辞を述べるところまで、

経緯が良くまとめられていた。


ホールの様子も 予習することができたが、

そのうち、気になることが出てきた。妙に少年たちがものを

食べるカットのインサートが多いのだ。

それに、ボーイソプラノのコーラスの稽古を熱心にやるブリテンにも

しつこいくらいにフォーカスしていた。


・・・要するに、そういうことなのだ。

ブリテンの盟友といえばピーター・ピアーズという男性歌手であり、

その関係が公私にわたるものであることは有名だ。

加えて、この監督は、ブリテンが音楽祭を立ち上げるに至った

モチベーションを潜ませたのではないかと思う。


少年たちを故郷の田舎に集め、熱心に指導をし鍛え上げる。

当然、都会からは遠いので合宿状態。

これは、ブリテンのモチベーションを大いに高めたに違いない。


私は、こういう仕事の仕方が心から好きだ。

個人的な動機があってこそ、仕事はただの仕事以上の迫力を帯びる。

そう考えてみると、『春の交響曲』『シンプル・シンフォニー』

『青少年のための管弦楽入門』など、ブリテンの仕事はまた違った

角度からも強く輝き始める。明日の昼過ぎ、オンラインの本読みを

終えたら出発だ。


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