2/26(木)「芝居の大学 第2期」と明日のワークショップ

2020年2月26日 Posted in 中野note
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久しぶりにお話を伺った梅山いつきさん。
すっかり大学の先生の貫禄で、
堂々たる語り口と豊富かつ貴重なデータの数々。
これからもっと活躍していく同級生です。
来月『佐藤信と「運動」の演劇--黒テントとともに歩んだ50年』
という著作が、めでたく出版になります!買って読もうぜ!!


一昨日、2/24(祝火)は
「芝居の大学 第2期」が本格始動した記念すべき日となりました。

梅山先生が大分の時間を使って黒テントと水族館劇場を例に語られた、
移動型仮設劇場と定住型仮設劇場の特性を踏まえながら、
「移動型公共劇場はいかにして可能か?」というテーマに向き合いました。

一般に、行政が運営している劇場を「公共劇場」と言います。

一方で、黒テントは、体制に飽き足りない若者や地方の人々を巻き込む
演劇活動を展開することを目指してきました。
大いに「公共性」を意識しているわけです。

他方、水族館劇場は、特に社会的な弱者に焦点を当てて、
彼らに寄り添う演劇活動を展開してきたわけですから、
これもかなり「公共性」に溢れている。

両者ともに、ある意味では単なる「公共劇場」より
理念と行動で、明確に「公共性」を目指してきたと言えるわけです。

「『移動型』を付ける前に、そもそも『公共劇場とは何か?』」
という梅山先生からの問題提起がなされて前半を終え、
後半は藤原徹平先生のリードで議論が始まりました。

そこで出てきた意見をまとめると、

(1)
私は『公共劇場とは何か?』を問いながら館長をやってきたが、
まだ正解に到達していない。
今回のテーマは公共劇場の本質に向き合うためにも必要である。

(2)
どんな空間にでも、どこにでも運んで上演できるソフト(作品)を
創れば、それは「移動型公共劇場」と言える。単にテント劇場や
トラック劇場などの設備を持つのではなく、まず「公共性」の本質を捉え、
その手段としていくつもの設備やソフトを開発することが重要だ。

(3)
「観る舞台芸術」よりも「やってみる舞台芸術」、すなわち
ワークショップなど、「参加型企画」へのニーズは高い。
各地に仮設劇場を建てて土地の人が舞台に立つ仕組みをつくれば、
人気が出るだろう。

(4)
しかし、クリエーターたちが自己の表現意欲を実現したい徳望と、
(3)の活動が折り合うのか、疑問だ。

(5)
仮設劇場が持っている、日々、目の前で劇場が出来ていく
ワクワク感は、舞台が持つ魅力の本質にかなり関わっている。
そのあたりのことは、次回、3/18(水)の本杉先生から伺おう。

というような感じでした。

当初、神奈川県全体に、どこにでも運んでいける劇場があれば面白い
と構想したことが、結果的に、
「公共劇場とは何か?」
「今後、舞台芸術が社会に必要とされるためには何が必要か?」
という問いを含むことが、あらわになりました。

この講座はあと2年強つづきますから、
多くの立場の人を巻き込みながら、この議論を沸騰させたいと思います。
そしてもちろん、5年後くらいに、
イイ感じの芝居小屋が神奈川の至るところに神出鬼没し、
中では周到に練られた仮設劇場ならではのソフトが上演され、
地元の人もステージに躍り出て盛り上がっている、
という画が実現させようと思います。

そういうわけで、次回は3/18(水)17:00-20:00。
ゲストは日大名誉教授の本杉省三先生です。
参加希望の方は申し込んでください。

また、明日は唐ゼミ☆ワークショップです。
まだ1〜2名ならば参加可能ですから、こちらもどうぞ!
『少女仮面』と『唐版 風の又三郎』の一節をやります。



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