10/28(木)カーテンコール〜佐藤昼寝・ワダ タワー

2021年10月28日 Posted in 中野note
5179C9DF-1220-4135-ACA4-F2AF6DA364A5.jpeg
今日はKAATの仕事で川崎に行ってきました。
川崎駅に行くと、H&Bシアターで稽古した時のことを思い出します。

去年9月末に『唐版 風の又三郎』を集中稽古をした時、
初めて通しで唐ゼミ☆版の上演が目の前に現れた時のこと。
今年の8月お盆明け、2021年版の座組みで初顔合わせのこと。
いずれも、この場所を通って、劇とコロナに緊張しながら通いました。

今日のカーテンコール、佐藤昼寝くんとワダ タワーさんです。

☆佐藤昼寝(さとう ひるね)
LINE_ALBUM_211022_17.jpg
どこか不敵な昼寝くんには、帝國探偵社に勤める三腐人の
食わせ者「淫腐(いんぷ)」を託しました。

昼寝くんとの出会いは、年明けに劇団員の林麻子が参加した
「中野坂上デーモンズ」の公演に依ります。
昼寝くんは松森モヘーさんが代表を務める劇団のメンバーであり、
自らのユニット「昼寝企画」を行う主宰者でもあります。

8月に稽古が始まった時、昼寝くんはまだ別の公演に出演していました。
だから、少し遅れての合流になった。
感染予防対策として少人数性を敷いた稽古場にやってきた昼寝くんは、
初め、所在なげで苦しそうでした。
それはそうです。他のメンバーはすでに多くの時間を本読みに積み上げ、
作品や役柄の内容や前段、せりふの機微に通じている。
一方、昼寝くんは無防備な状態。意味のわからないせりふや所作は
役者に負担をかけます。辛そうでした。

そこで私は、とにかく昼寝くんの参加する稽古では、
彼への説明を優先することにしました。そうした方が、
他のメンバーの確認にも、公演直前への追い上げにつながる。

役柄やせりふについて彼に説明を尽くすと、
次の稽古には必ず自分のものにしてきました。
序盤の足踏みを経て、多摩川近くの稽古場で昼寝くんは飛躍します。

特に難しい三幕。
劇の裏側で二幕のあとに教授との間に何があったかを
伝えたところ、急激に淫腐は色っぽくなり、
的確に他の二腐人や、教授さえもマウントしはじめた。
浅草入りしてからは、不思議な身体能力を発揮して、
三腐人のテーマソング『禿鷹にきいてごらん』では、
妙なジャンプやパントマイムを披露し、楽しませてくれました。

明らかに個性的な松本くんと佐野さんの間にいて、
じわじわとした面白さを漂わせる。
しかし、不敵な昼寝くんは繊細でもあり、デーモンズの松森モヘーさんが
観にこられた日の終演後には、座長の感想をずっと気にしていました。

緊張感のある相手が身近にいて、常に昼寝くんを駆り立てている
劇団というものの良さを改めて実感しました。

☆ワダ タワー
LINE_ALBUM_211022_29.jpg
唐ゼミ☆にワダ タワーが帰ってきました。
主人公の「織部」を溺愛してやまない精神科の医者「宮沢先生」役です。

ワダさんと初めて会ったのは、友人である清末浩平くんの劇団
「サーカス劇場」の公演の時でした、木場の公園で上演された
第五福竜丸をテーマにした芝居『幽霊船』には大男が3人出ていて
強烈な印象を受けました。
宮崎敏行さんと、後に仲間となる八重柏泰士くん、ワダ タワーさんです。

以来、紆余曲折がありましたが、
八重柏くんとワダさんが唐ゼミ☆に加わってくれた。
ワダさんで印象に残っているのは、『腰巻お仙 振袖火事の巻』で
客席上空から登場するために30分以上を青テントの天井裏で
緊張していた姿と、やなぎみわさんに書いてもらった『パノラマ』で
画家を演じている姿です。そう。ワダさんは武蔵野美術大学を出ていて
イラストが得意。今回も、ご支援頂いた方の名前を記載する
「御茶ノ水地図」の『唐版 風の又三郎』から4人のキャラクターを
描いてくれました。

2018年以来、久々に会ったワダさんは、演者として余裕を得ていました。
劇団をやめてから、自主企画とかミュージカルとか、色々やった経験が
生きていて、本読みの際にエンリコ・マシアスの『わかっているよ』を
口ずさんだ時は、上手くなったなと思いました。

そして、優しさの塊のようなワダさんには、ゆきすぎた愛情を持つ
宮沢先生を任せることにしました。この役の特徴は、とにかく各幕で
変装をすること。芝居の最後の方にヒロイン・エリカが「変装のまち」
というせりふを口にしますが、それを地でいくがワダさんの役でした。

1幕では風向計を使って正体がバレないよう織部と話す。
2幕では伝説の軍人に扮する。3幕でやっと、本来の宮沢先生の姿で出てくる。
しかし、ワダさんは195cm。変装を帳消しにする身長の悪目立ちが
可笑しくて仕方ありませんでした。

2幕に登場する伝説の航空兵・樫村三空曹も楽しみましたが、
一番良かったのは3幕でした。
エリカが死んだと思って意気消沈する織部を、宮沢先生が励ます。
あの励ましゆえに織部は急成長し、スリッパ片手に帝國探偵社の面々や
現役の自衛官たちとも渡り合います。照れくさがるワダさんの
実直さを前面に出し、まるで学園ドラマのようなベタを目指して稽古しました
三幕のエピローグ手前のシーンを締めるせりふの発声も正確で、
場面を引き締めつつ、ラストの二人の道行へとつなげてくれた。

テントたてを手伝いにきた重村と熊野がいて、ワダさんがいると、
まるで新宿中央公園に初めて公演した時のようでした。
ワダさん、またいつでも帰ってこい!

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)