9/13(水)大島幹雄さんより

2023年9月13日 Posted in 中野note
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大島幹雄さんをご存知でしょうか?
私はここ7年、大島さんのファンです。

大島さんはサーカスや大道芸の研究者であり、
また実際のイベントを取り仕切るプロデューサーでもあります。
その探究の深さ、著書のおもしろさ、それでいて現場を切り分ける
処し方の温かさは、あんな風でありたい、と思わせる大人ものに
して本格派の方、という印象です。

この7年と、まことにはっきりした期間であるのには理由があって、
神奈川の財団からの仕事を受けるようになってすぐにお目に
かかった方のひとりが、大島さんだったからです。

少し話を聞いてすぐに興味を持った私は、
伝説の道化師ラザレンコの著した『サーカスと革命』や
康芳夫さんと並んで私が仰ぎ見る「呼び屋」のひとりである神彰さんを
描いた『虚業成れり』を皮切りにして、大島さんの世界に入門して
いきました。

大島さんの本の中で読んだ「サーカスの熊の仕込み方」
についての一節は、現在社会では許されない残酷さに満ちていますが、
人類が行き着いた芸能のあり方として、自分の好きなエピソードです。
いったいどれだけの人に、私は大島さんから学んだ挿話をしたことか。

大島さんの本を読むと、人に喋りたくなる。
そういう魅力に満ちた本を書き、同時にプロモーターとして、
あの伝説の「段ボール箱に一万円札を蹴り込む」を経験されている
ところが大島さんの凄みです。チケット発券システムが行き届き、
果てはQRコードチケットの導入によって忘れ去られた世界の
たのしさが、大島さんのキャリアにはあります。

前段が長くなりましたが、そのように敬愛する大島幹雄さんが
『オオカミだ!』を観にきてくださり、文章を書いてくださいました。
大島幹雄さん「デラシネ」日誌

所帯の大きな演劇公演とは違い、ケッチさんのような
フィジカル・コメディやソロパフォーマンスには、演し物を育てていく
という文化があることに改めて気付かされます。

ほんとうは演劇公演だって育てたいけど、どんなに面白くとも
100回、1,000回と公演できる作品はごく一部です。
そういう意味でも、自分は留学をしているのだなと思います。
そして留学をしたからには、その力を自分のメインの演劇づくりに
活かしてもうひとつ上の芝居づくりをしようと考えています。

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