1/12(火)『セールスマンの死』と唐さん

2021年1月12日 Posted in 中野note
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↑滝沢修さん(一番左)のウィリー・ローマン

今日まで、KAAT神奈川芸術劇場では、
アーサー・ミラーの名作『セールスマンの死』が上演されていました。
長塚圭史さんによる演出作の再演です。主演は風間杜夫さん。

『セールスマンの死』は唐さんの好きな演目の一つで、
明治大学の学生だった頃にご覧になったのが初めだそうです。
よく、滝沢修さんが演じた主人公「ウィリー・ローマン」が良かったと
おっしゃていました。(ということは劇団民藝の上演)

唐さんや状況劇場、紅テントは新劇へのアンチだと思われがちですが、
若い頃の唐さんは新劇をよく観ており、滝沢修さんのことは、
「滝沢先生」と呼び、学生時代にはなんと、終演後の
当日パンフレットにサインまでもらったことがあったと伺いました。
後に"唐十郎"として台頭したあと、何かの集まりでご挨拶したら、
滝沢先生はまったく覚えていなかった、とも。

一方で、学生時代、
同じ学生演劇人として新劇団自由劇場(後の「早稲田小劇場」)が
上演した同演目にも衝撃を受けたそうです。
鈴木忠志さん演出で、ウィリー・ローマンに扮したのは小野碩さん。

若くして亡くなった小野さんですが、
その演技は青年でありながら老生しており、
ボソボソと喋るモノローグが異様な吸引力を持っていたとのこと。

大声やシャウトがイメージされがちなテント演劇ですが、
実際の唐さんはたいへんに弱音(じゃくおん)を重視します。
この価値観が育まれた理由の一つに、若き日に観た『セールスマンの死』の
小野碩さんが一役買っている事は間違いありません。

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