11/16(土)薬物の嵐

2019年11月16日 Posted in 中野note
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ニュースを見れば、薬物の話題が溢れています。
『下谷万年町物語』の舞台となる戦後すぐは断然ヒロポン、必要なのは注射器です。

でも、これだと太くて様にならないので、カッコ良いのを探して彷徨い歩きました。

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一番上くらいが、最も画になります。
ヒロイン・キティ瓢田の「六番目の指」という設定も加味して、
ちょっとシャープで、それでいて、舞台ですから遠くからも見える太さ.
こだわりどころです!

唐さんの芝居にはけっこう薬物が出てきますが、
それには、往時は合法であった「ヒロポン」が強く影響しています。
当時は薬屋で求めることができ、これから徹夜で働こうという時など、
気つけに一本!という感じだったと言います。
ヒロポン中毒、略して「ポン中」です。
「下谷万年町物語』に出てくる100人のオカマ屋さんはいずれも「ポン中」ですから、
まさにキーアイテム。

それに冒頭も、こんなシーンからスタート。

すっかり大人になった「文ちゃん」が懐かしの瓢箪池跡地のほとりに立つと、
自分の過去の姿である「子どもの文ちゃん」が現れ、
「大人の文ちゃん」から注射器で、時間という名の空気を抜くことで、
昭和23年にタイムスリップするという大技が繰り出されます。

そして、先述のように遡った先、
太平洋戦争直後の上野・浅草界隈ではヒロポンが猛威をふるい、
幼少期の唐さんも住んでいた北上野の長屋のオカマ屋さんたち、
松竹歌劇団のしがない端役であったキティ瓢田、
キティ瓢田の元恋人の弟で、彼女を姉と慕う売人・白井、
いずれもが第一の小道具として注射器を必要としますから、
『下谷万年町物語』に挑むにあたり、ずいぶん掻き集めました。

ちなみに、戦後すぐに東京藝大生だった横浜ボートシアターの遠藤啄郎さんによると、
確かに当時の上野公園周辺には、
職を失った元軍人たちが凌ぎを得るために身をやつしたオカマが跋扈し、
ヒロポンが蔓延していたそうです。
然ずとハイになりますし、加えて、彼らはもとが軍人ですから、
どうしても刃傷沙汰が尽きなかったそう。
そこらにあった私設風俗店のクリスマスの飾り付けを、
藝大生の技量を駆使してアルバイトで担当し、
大変におもしろかったそうです。
いかにも遠藤さんらしい。

唐さんと遠藤さん、どちらも脳内麻薬の自己生成タイプですから、
頭はインスピレーションに溢れ、身体は壮健というお二人です。
かくありたいものです。

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