4/8(金)マルクスの墓参り

2022年4月 8日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑さすがのド迫力。頭のお鉢がデカい。人類を代表する頭脳といえよう

ここ1週間、語学学校ではディベートが盛んだ。
元ドラマーで、日本の大学に通った経験もある新米のビリー先生は
なかなかのアイディアマンで、生徒たちが楽しく授業に臨めるよう
準備に余念がない。

「幸せはお金で買えるのか?」という問いを立てて、
賛成派と反対派に分かれて議論を行う。
「世の中は金だ!」と言い切る外科医志望の青年がいて面白い。
決して迷わず、譲らず、臆面がないところが良い。教室が湧く。

ところで、自分が好んで霊園を訪ねていることを伝えると、
決まって勧められる場所がある。Highgate Cemetery。
ロンドンのトリップアドバイザーでも高位を獲得している霊園。
ここは何といってもカール・マルクスの墓所として有名だ。
自分にとってマルクスはコミュニズムの泰斗である以上に、
「お金」について考えた人という印象が強い。

「お金とは?」「価値とは?」
ディベートしながら大学時代に読んだ本を思い出していたところ、
ミミからメッセージが入り、午後の会議が中止になったと告げられた。

自分のいるGreenwichやDeptfordからHighgateまでは少し離れている。
電車で70分ほどかかる上に、午後5時には閉園する。
今日は晴れているし、もってこいのタイミングだった。

3時に目的地に着く。
途中、手前の公園でトイレを探していたら、小さなギャラリーを発見。
受付にいたスタッフと話しこんで思ったより時間が経ってしまった。
現代美術の作品や創作ドキュメントを記録したDVDや冊子が
たくさん置いてあって、規模は小さいけれどもBANKARTを思い出した。
・・・池田さん。

話をもとに戻すと、
Highgateの入口で受付のおじさんに入園料を求められた。£4.5。
学生割引なし。説明書きをもらって進んでいくとマルクスの墓があった。
巨大な頭がついていてわかりやすい。正直言って深刻味に欠けるが。
おじさんによると、像のついたこのお墓は移転した後のもので、
霊園の真ん中あたりに元々のオリジナルがあるとのこと。
これも一応、確認した。

途中ベンチに座り、30分ほどミミとZoomしたりもして、
1時間以上のんびりした。その間、30人くらいはマルクスのお墓参りを
していた。御供物のお花がいくらもある。

しかし、マルクスのお墓が名所になって入園料をとっているとは、
本人が知ったらどう思うだろう。思わずそんなことを考えてしまう。
観光地化されすぎている感もある。
自分としては、LewishamのNunheadの方が神秘的で軍配が上がる。

最後にもう一度、受付に寄っておじさんと話した。
日本人だと言ったら「中国人はけっこう来るけど・・」と珍しがられた。
どうしてロンドンにいるのか訊かれたので、政府の派遣で約1年滞在して、
Albanyで作品づくりとコミュニティワークを学んでいると伝えた。

それから、記念にポストカードを2枚選んで買おうとしたら、
有料のパンフレットと併せて「私からプレゼントしたい」言われた。
「君のコミュニティワークのために!」とも。

・・・さすがマルクスの墓所だけある。
キャピタリズムとコミュニズムが良い具合いにブレンドされて
帰り道は得した値段以上に清々しい気持ちになった。

Gustav Mahlerの娘さん、Anna Mahlerのお墓もたまたま発見できた。
自分のスマホにはお父さんが作った曲がいくつも入っている。不思議な感慨。

↓このおじさんに会えて良かった。
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