12/7(土)「落とし物」の世界

2019年12月 7日 Posted in 中野note
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なんの変哲もない冬の商店街、きっとこの道のどこかに落としたはず!


今朝、鍵を落としました。
車の鍵です。
正確には、日産ラフェスタのスマートキー。

私には朝、街をウロウロする習慣があり、
ひと通り音楽を聴きながら走るのを終えた後、
近所のイオンで買い物を終えて駐車場に寄り、荷物を降ろそうとしました。
今日は、その後に参加するイベントのために、
車内のスペースを確保しておく必要があったのです。

ところが、ドアが反応しない。
鍵がポケットにあれば、ピピッと言ってすぐに開いてくれるのに。
......落とした!

おそらく、途中でiPodを取り出した時、
その拍子に鍵に付けていたお守りが引っ掛かって、落としたに違いない。

すぐに今日の約束の相手に電話して30分予定を繰り延べてもらい、
もう一度同じ道を、今度は自転車で回りましたが、無い。

横浜は初雪だったそうですが、雨に変わった初雪は、
ひどく身にしみて、そえはそれは冷たかった。

まあ、これだけのスピードで探して無いということは、
誰かに拾われて、きっと警察に届くはず。
ひとまず、スペアキーで過ごすことにしました。


で、「落とし物」と言えば、
最近、何度も話題にしてきた「自意識」との絡みで、
唐さんはよく夏目漱石のエピソードを披露してくださったものです。

曰く、
夏目漱石はイギリスから鬱病を輸入した初めての日本人だが、
彼はロンドン滞在中にコインを落としてしまい、
ロンドン塔の周辺をグルグル、地面ばかり見て歩き回ったらしい。

この話は、実に落とし物が「コイン」というところが肝で、

コインが象徴する貨幣経済に付いていかれず迷子になり、
日本が追いかけていた西欧文明にも迷子になり、
きっとブツブツと呟きながら、漱石は彷徨ったに違いない。
その時間こそが、後の小説をものにするための自意識を養った。

言葉は正確ではありませんが、
そういう意味のことを、唐さんは折に触れておっしゃっていました。

コインを落としてロンドン塔の周りをグルグル......、
恰好良いではありませんか。

日本・横浜とはいえ、
私も初雪というところが少しは文学的だったのですが、
失くしたのは勢いの無い商店街、もしくは近所のイオン、
しかも10年落ちの中古車のキーですからね。
しかも、ちょこざいなスマートキーというところが、さらに画にならない。

せめて四畳半のアパートの鍵なら、まだマシだったのに!

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