1/17(月)劇壇ガルバを観てきた

2022年1月18日 Posted in 中野note
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↑山崎さんといえばやはりこのCMを思い出し、"英語"が自分に刺さる

『THE PRICE』という公演を観てきました。
山崎一さんの主宰する「劇壇ガルバ」の公演です。
交流のある演出家・桐山知也さんが演出をしていて、誘って下さったのです。

初めて観聞きする台本でしたが、四人による過酷な会話劇でした。
アーサー・ミラーはジョー・ディマジオと並び
あのマリリン・モンローと夫婦だったというだけでスゲエ!
と思わざるを得ない作家ですが、学生時代にTPTの『橋からの眺め』や
有名な『セールスマンの死』を観た時、どうもピンときませんでした。

しかし今や、自分は『映像の世紀』を何度も観ている。
正確にいうとここ5年間、車をずっと運転する中で、
せっかくだから近現代史を勉強しようと車中で再生して
ひたすら音声を聴いた時期があったのです。

1920年代の終わりに起こった世界恐慌がいかに多くの人々を
失業や自殺に追いやり、続く30年代を暗黒に染めたかを知りました。
それに今の自分には家族、子どもたちがいます。
誰でもそうだと思いますが、特にいい加減な仕事をしていますから
この子たちはちゃんと大きくなれるのだろうかと思う日もある。

そういう体験を掛け合わせて、ミラーを理解できるようになりました。

舞台は、かつて一家が暮らし、
家具を処分しようという段になっている家で展開します。

父と母と兄と弟。
裕福な家庭に育った兄弟が、不況によっていかに将来や人間を歪められ、
仲違いするに至ったのか、克明に描かれるだけでなく、幻想的なところも
あって、亡くなった両親の影が、残された家具や他の登場人物たちに
よって甦ります。

先ほど書いたように、かなり過酷な、罵り合いの劇ですが、
主人公である弟の奥さん役の高田聖子さんが、朗らかで良かった。
あの方が出てくると、兄弟の激しい罵倒も何かコミカルに見える。
雰囲気が中和されて、救われるような思いがしました。

お葬式の最中も、駆け回る子どもたちがいると場がほぐれる感じ。

唐さんにとってアーサー・ミラーは、学生時代に学んだ作家です。
演目はなんと言っても『セールスマンの死』で、滝沢修さんに憧れた。
また、早稲田大学で鈴木忠志さんが演出した時、ウィリー・ローマンを
演じた小野碩さんのボソボソとした長せりふに衝撃を受けたそうです。

横浜国大での教授時代、唐さんは自分の演劇修行のやり直しとでも
いうように、近代戯曲を講義で扱ったことがあります。
ユージン・オニールの『夜への長い旅』や
ルイジ・ピランデッロの『作者を探す六人の登場人物』など。
かなり正統派かつ硬派な演目群でしたが、舞台の隅っこにある小道具に
異様に執着するところなど、さすが唐さんという内容でもありました。

これらについては、またおいおい。

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