4/28(木)夫婦の仕事

2022年4月28日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑普通、終演後に指揮者とソリストは抱き合ったりするが、今日は
それはなかった。慎みということだろうか。
ラトルはずっと、男性歌手とお喋りしながら拍手を受けていた。


消耗が激しい。完全にワクチンのせいである。
夜中にやや発熱したようであるが(体温計がないのでわからない)、
普通に早朝に起きて、パンを買いに行った。

体のふしぶしが痛くて、丘をおりて買い物し、
また登ってくるときにいつもダッシュが効かない。

風邪をひいて熱を出した時にいつも不思議に思うのだが、
どうしてあんなにパフォーマンスが落ちるのか。
近所のコンビニに行ってポカリスエットを買うだけでヘトヘト。

今日はそこまでではないが、学校でも授業中ずっとウトウトした。

それから、自分を苦しめているのは『腰巻おぼろ 妖鯨篇』である。
せっせと台本をつくりながら読んでいるが、とにかく長い。
一日の分量をいつもより多めにとり、打ち込み始めて10日になる。
半分まできたところでいつもの台本様式で150ページになってしまった。
つまりこれは300ページいくということだ。恐ろしい。

『ジョン・シルバー』は80ページ。『盲導犬』は100ページ強。
『唐版 風の又三郎』をして224ページである。

その上、登場人物が多く、
正直いって今の自分には物語の進行がよく分らない。

基本的には捕鯨船の元乗組員たちの話。
海で亡くなった破里夫、彼を慕うヒロインおぼろ、
おぼろに横恋慕する千里眼、という3人の物語。
それを、それらが済んだ後でおぼろに出会った主人公ガマの視点から
過去を解き明かし、決着を目指す物語だ。

『あれからのジョン・シルバー』に似ている。
恐れずに言えば、唐さんがせりふを書けすぎて、
溢れることばの洪水の中に物語が埋もれてしまっている印象だ。

自分が今、お話しのどこにいるのか、迷子になってしまっている。
とりあえず最後までいって、もう一度頭から読んで、
あと3週間くらい振り回されるだろう。
日本にいたらとても太刀打ちできない量感。

そんな中でも、夜はバービカンに出かけてロンドン響を聴いた。

演目はクルト・ヴァイルの『七つの大罪』。
怠け者の父や兄弟がいる一家の家計を背負った少女アンナが
アメリカの各都市を巡り、七つの大罪のエピソードになぞらえながら
時に身を持ち崩し、金を稼ぐアイロニカルな話だ。

ブレヒトが筋を書き、ヴァイルが曲をつける。
『三文オペラ』を当てた二人は、女優ロッテ・レーニャに充てて
これをつくった。彼女はヴァイルの奥さんである。
CDでも聴くことができる。

今日の上演も夫婦の仕事だった。
サイモン・ラトルが指揮して、奥さんのマグダレーナ・コジュナーが
アンナ役を歌った。初めにラトルが楽曲の説明をして、
「家族です」と言ってマグダレーナを紹介した。場内から笑い。

『腰巻おぼろ 妖鯨篇』の台本が書き上がった時、
李さんはどう思ったのだろうか。何でもない会話、
そこでやりとりされるせりふ一つ一つが過剰に長いこの台本、
読むだけでも大変、憶えるのはもっと大変だったと思うが、
強靭な李さんのことだから臆することなく立ち向かったのだろうか。

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