12/6(火)ウェールズへの旅
2022年12月 5日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
↑Srangwyn Hall
迎賓館のようなホールだった。公演だけでなくパーティーもやるらしい
実は、英国が4つの国からなることを知ったのは数年前のことだ。
今回の研修を意識するようになるまで、自分にはイギリスと英国と
グレートブリテンとイングランドとUKの違いがよく分からなかった。
さすがに研修の試験を受ける時には多くの人から教わって知識が入り、
実際にロンドンに来てからその感覚が掴めるようになった。
これまでロンドンを拠点とし、イングランドの様々な地域に行った。
スコットランドは3回。ウェールズとアイルランドは一度も行ったこと無し。
だから、というわけではないけれど、ウェールズに行った。
先週にオックスフォードで観たウェールズ国立歌劇場。
本当は本拠地カーディフで観たかったけれど、
気づけば年内の地元開催予定が終了していたので、
ソフトとハードをバラバラにしてコンプリートした。
実際にその出来は今年観てきたオペラの中でもNo.1の面白さで、
もっと早めに追いかけ始めれば良かったと思う。
カーディフの劇場では、すでに慣れ親しんだThe Sixteenの合唱を聴いて
指揮のハリー・クリストファーズさんとロビーでお話することもできた。
それから月曜にはさらに先のスワンジーという街に行った。
この街にあるBrangwyn Hallという空間で、1981年にウェールズ国立歌劇場が
『トリスタンとイゾルデ』を録音した。これは私の特別なお気に入りで、
だから当地を訪ねてみたかったのだ。
事前の申し入れが効いて、
催し物が無いこの日に特別に入れてもらうことができた。
技術スタッフのキースさんという人が丁寧に案内してくれて、写真も撮ってくれた。
一番感激したのは、私がノートパソコンから当の音楽をかけていたところ、
音響システムにPCを繋げてくれたのだ。
キースさんの心配りには心の底から感激した↑
20世紀前半にこのホールをデザインした美術家の立派なカタログまで
お土産に持たせてくれた
指揮者レジネルド・グッドオールの伝記によれば、
1981年11月末に、この音楽はここで録音された。
大ボリュームでホールいっぱいに鳴り響く、音楽の里帰りだった。
現地に行って、なぜここが選ばれたのか事情がよく分かった。
カーディフから電車で1時間。すぐそばに海が広がるこの建物の駐車場は広い。
ホール自体も、時には結婚式などの催しに使われるものだから、
備え付けの客席ではなく、録音作業向きなのだ。
広い客席部分にテーブルや椅子を並べ、
100人を超す演奏家とキャストが録音に挑み、時にくつろいだのだと思う。
録音技師たちは、この平場にたくさんの機材をひろげたことだろう。
その中心には確かに80歳の小柄なグッドオールがいて、
采配を振るったに違いない。
すぐそばに海を臨むホール。
遥かこの海の向こうには、物語の舞台であるコーンウォールが広がっている。
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