9/29(木)昨日から一人暮らし

2022年9月29日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑英国が誇るメゾソプラノDame Sarah Connolly(左)
伴奏Joseph Middleton(右)もかなりの腕利きだった


ダイアンがギリシャのイタカに旅立った。昨日から一人暮らしである。
出かける前、彼女は何度も施錠や電灯のオン・オフについて
指導していった。ロンドンは危険なのだ。だから注意深く
それを遂行しなければならない。

出かける時にはラジオをオンにする。泥棒をビビらせるためだ。
あとは庭の水やり。けっこう時間が抱えるので、雨が降ると楽になる。
ロンドンの雨の多さが、ここでは幸いする。

朝からAlbanyのボランティアスタッフの茶話会に出た。
彼らの意見を汲み取るために定期的に行なっているらしい。
きめ細やかである。実際、彼ら無しに日々の事業の継続は難しい。
だから大切に耳を傾けて、主体性を持ち続けてもらうのだ。

「The Wating Roomに来て」と言われ、劇場の受付で訪ねたら、
そんな部屋は無いと言われた。結果的に近所にある喫茶店のことだった。
紛らわしい名前だ。語学力と土地勘が揃わないと辿り着けない。

いまだに、こうしてあちこちにぶつかりながら日々を過ごしている。
辛いところでもあるが、少し遅れたっていいやと鷹揚に構えている。
分からない原因が分かりずらいので、焦っても仕方ないのだ。

午後はキッズプログラムを観て、それから都心に出かけた。
2ヶ月前、衝撃だったThree Choirs Festivalの最終夜に登場して
その技量を見せつけたDame Sarah Connollyを聴くのだ。
男性はSir、女性はDame、騎士の称号に女性版があることを
私は彼女を通じて学んだ。

英国一のメゾソプラノだそうだが、完全に納得している。
他を聴いた数が少ないので断言できないが、絶対値がすごいことが
よくわかる。ピーターと大学の同級生らしく、若い頃から抜けていた
と教えてくれた。

数年前に大病をし、手術をして、声量が衰えたということだが、
衰えてなお恐るべき歌手である。今まで持っていたCDの多くに彼女が
登場していることが分かって、彼女を目的に音源を聴きなおすのも愉しい。

彼女の力感と演じ分けの力がフルに発揮されたバラエティ豊かな
リサイタルだった。前半は英語の歌。後半はフランス語やドイツ語の歌。
後半のトップに歌ったショーソンの歌曲の悲劇性が会全体のハイライト
だったが、その後はヴァイルなどを歌ってお洒落に愉しく終った。
最後の方は、彼女の向こうに舞台となる安酒場が視えるのだ。
高級なチープさだった。

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