3/29(火)タルコフスキーが教えてくれた

2022年3月29日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
IMG_8108.jpg
↑休憩時間に話を聞いた。こんなに達者な人たちが身近にいるなんて。

3/27(日)からイギリスはサマータイムに入った。
この日だけ1日23時間にして、今後の日照時間を有効に使う工夫と
理解している。当日はすっかり忘れていて、朝起きた時はいつもより
長く寝ることができたと思った。そこから身支度をして
ワークショップのためのZoomを立ち上げると、誰もいない。

おかしいと思ってしばらく待機していると、
ミス・ダイアンが時計を1時間繰り上げてくれと頼んできた。
一気に事情が分かった。これからの日本との時差は8時間。

3/28(月)は面白いことがあった。
学校を終えた帰り、たまたま一緒になったエリザベス先生と歩きながら、
先週に彼女の住まい周辺を歩いたことを伝え、セメタリーの面白さを
話し合った。彼女も好きらしい。次はHighgateに行くべきねと教わる。
カール・マルクスのお墓で有名な墓地だ。

それから床屋に行った。英国で2回目。前回とは違うところ。
寝落ちしたら"Don't sleep!"と言われた。日本ではこちらの状態に
床屋さんが寄り添ってくれるが、ロンドンでは彼が髪を切りやすいよう
こちらが合わせるのだ。まことに厳しいが郷に従う。

さっぱりして家に向かった。
昨夜・早朝と書類を作ったので少しのんびりしようと思ったのだ。
それで坂を登って行ったが、気になって、家の直前にある教会を
初めて覗いてみた。教会は開門していればウェルカムだと聞いたけれど、
慣れないのでなかなか緊張する。

けれど、すぐに入って良かったと思った。
オルガンとヴィオラ・ダ・ガンバを弾く男性が合わせて二人、
歌手の女性が二人の合計4人で演奏会の練習をしていたのだ。

お客さんは自分だけ。
アルトの女性が歌っていたので、手の空いていたソプラノの人が
相手をしてくれた。フランスの古い歌を歌っているらしいが、
かなりレベルが高い。教会の反響によるハーモニーが抜群。

席について聞き惚れていると、アルトの人が寒さを気にし始めた。
ソプラノの人が「温かいお茶を淹れてくるね」と。
すっかり魅了されたので、思い立って坂のふもとに走り
いつものパン屋でマドレーヌを買ってプレゼントした。
今日のチケット代ということで。そこで5人で少し話ができて、
今度の演奏会の情報をメールしてくれることになった。

オルガンの人は東日本大震災前の日本に来たことがあるらしく、
当時、心を痛めたそうだ。写真を撮らせてもらって、練習再開。
イントロを聴いて驚く。
ジョバンニ・バティスト・ペルゴレージの『スターバト・マーテル』
いつか生で聴いてみたいと20年来おもい続けて来た曲だ。

アンドレイ・タルコフスキー監督作品の中でも特に好きな『鏡』の
中で使われた音楽だ。この監督は曲使いの名人で、
ヘンリー・パーセルの『インドの女王』、
バッハの『ヨハネ受難曲』や『オルガン曲BWV639』など、
大好きになった曲をいくつも教わった。

特にペルゴレージはいくつもの録音を聴いてきた。
それが突然に始まったのだ。呆然としながら練習の区切りで、
感激したこととその理由を伝えずにはいられなかった。
「excellent!」と言って向こうもよろこんでくれた。

本番は4/10(日)18時からだそうだ。必ず行く。
コンサートホールとはまた違った格別の体験だった。
たまたま入った教会で、ずっと聴きたかった曲を聴けるなんて。
音楽を進行させながら、失敗を笑って乗り越えながら工夫を重ねて
掛け合っていく姿が、本番では体験できないステキさだった。


先週末から週明けまでの動きは下記の通り。

3/25(金)
学校→本読みやWSの準備→Brackheathでギャビンやミミ、
ミミのパートナーとピザを食べ→ホールでポップスコンサート

3/26(土)
テツヤとの配信→『鐵假面』本読み→Lewisham Art Houseで
インスタレーションを観る→Southbankで『ヨハネ受難曲』

3/27(日)サマータイム始まる
『下谷万年町物語』WS→掃除・洗濯→Notting Hill GateでCD買う
→Oxford Sircusで半袖シャツ買う→WigmoreでSixteen→
帰宅後、母の日のプレゼントをミス・ダイアンに渡す

3/28(月)
学校→床屋→近所の教会でPergolesiの練習を聴く
BarbicanでMikis Theodorakisのギリシャ音楽を聴く


毎日『黒いチューリップ』に取り組んでいる。現在、二幕序盤。
まだまだこれから先が長い!

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)