10/19(月)『さすらいのジェニー』を観てきた!

2020年10月19日 Posted in 中野note
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一年ぶりの紅テントから帰ってきました。
ひと幕40分×3幕もの+10分間の休憩が2回入って、
カーテンコールが盛り上がり、21:30終演。
たっぷり観てきました。

いやあ、唐組の上演スタイルも換気力が並じゃない!

雨も降っていましたし、必ずや寒いだろうと警戒して行ったのが
功を奏しました。対策バッチリだったので、意外に寒くない。
けっこう快適に観劇して帰ってきました。

ここから先はネタバレもありますから、ご容赦を。

物語は大別して、2つの軸を持っています。

1つ目には、藤井さんが演じる鈴木和子=チクロと、
稲荷さん演じるジュースの開発者・ワタナベの再会と訣れ。
2つ目は、ポール・ギャリコの『さすらいのジェニー』に感化された
青年が物語の主人公「ピーター」転じて「ピタ郎」を名乗り、
憧れの女性「ジェニー」を捜す話。(まるで「ドン・キホーテ」!)

この2つの軸をまとめる点に、
鈴木和子=チクロがおり、彼女はピタ郎に「ジェニー」と思い込まれ、
最後には「チクロ」を卒業して「ジェニー」を引き受ける。

また、ジュース開発に必要な人工甘味料に認可を下ろす保健所員のボス
=ベロ丸=デンプシイという悪役も、2つの軸を行き来する。
これを久保井さんが演じていました。
(舌が鋭い、というだけで、こんな奴が国の認可を背負って大丈夫か!?)

特に2幕を中心に展開する和子とワタナベの男女関係は
観やすい!判りやすい!さすが長年に渡って主演を務めてきたコンビ。
観客が芝居に入っていくための巨大な求心力になっていました。

それから、ピタ郎がなぜ「ピーター」たろうとするのか、
このあたりの秘密は、一見エキセントリックな「姉」を演じた
美仁音がきっちりと描いて、見事、福本くん演じるピタ郎に内面を
与えていました。相変わらず美仁音は、シリアスとコミカルを
自在に行き来しながら演じ切る。まさに天性!かつ、知的でもある。

そして、誰あろう、この『さすらいのジェニー』全編を通じて
一番感動的な人物は、全原さん演じる「金四郎」でした。
サバイバルゲームに興じていた現在の若者がピタ郎に感化され、
やがて"物語"の世界に生きようとする。
スタート地点とゴールがもっとも離れている、
芝居の最初と最後でいちばん変化する、まさに劇的なキャラクターでした。
正直、台本を読んでいた時は、こんなに素敵な役だと思わなかった!
というものを観せてもらいました。

というわけで、すっかり元気になって帰ってきました。

もっともっと。何度も観たい。そう思わせる芝居です。
ああ。もう一遍、観たいなあ。

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