12/27(水)唐十郎流、音楽と劇作

2023年12月27日 Posted in 中野note
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↑本に掲載された楽譜を見ると『あんたが死んだら』の作曲は李礼仙さんに
なっています。編曲は山下洋輔さん


昨日にも紹介したドップラーの『田園幻想曲』という曲は、
1960年代後半から70年代前半の唐さんの創作意欲を
大いに刺激したようです。

音楽に惹かれて劇作をするというのは、
唐さんの場合、他にも例があって、例えば有名な『少女仮面』は
メリー・ホプキンの『悲しき天使』をヘビーローテーションで流しながら
たった二日で書いたというのを聞いたことがあります。

当時はレコードですし、リピート機能も無いので、
劇団の若手であった十貫寺梅軒さんがレコードに張り付いて
リピート役として延々、針を落とし続けたとも聞きました。
あれなど、音楽の世界に耽溺しながら唐さんが書いた好例です。

他にも思い浮かぶのは、ギリシャの作曲家ミキス・テオドラキスが
映画『フェードラ(邦題:死んでもいい)』のために書いたテーマで、
それを唐さんは『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』から『吸血姫』
にかけて多用し、劇中歌のメロディにも応用しました。

そして『田園幻想曲』。
この曲が『鐵假面』に鳴り響くフリュートの音楽だと私に教えて
くれたのは亡き根津甚八さんのブログによってですが、
そのメロディを初めて聴いた時、私はそれが『鐵假面』だけでなく、
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』三幕で美少年の歌う
『あんたが死んだら』の原曲であることにも気がつきました。

『あんたが死んだら』は単行本に楽譜が付いています。
初めて『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』に取り組んだときには、
だから、この劇中歌は小室等さんの手によるものだと思っていました。

ところが、『鐵假面』をきっかけに『田園幻想曲』に辿り着いて
みると、それがこのフルートの名曲を応用した歌であったことにも
わかってきたのです。他にも、イタリア人歌手ミルバの『リコルダ』
から『ジョン・シルバーの唄』を作ったり。

芝居づくりを通じて、当時の唐さんの音楽的劇作術も見えてきます。

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