11/12(金)あこがれの声
2021年11月12日 Posted in 中野note
さる方から連絡をもらいました。
唐さんと若い頃からのお仲間なのですが、
やはり筋金入りのヴィソツキイ好きらしいのです。
今や私のようなファンはCDを買い求めることができますが、
かつては秘蔵のカセットテープがファンの手から手へ。
そういう感じだったのだとも伺いました。
レコードは一枚も出せなかったけれど、誰も彼をが彼を知り、
彼の唄を知っている。発禁であることをスパイスにしてしまうパワー。
ソ連といえば、自分はミハイル・ブルガーコフも大好きで、
代表作の『巨匠とマルガリータ』はもちろん、
『運命の卵』『犬の心臓』など、何度も読んできました。
数年前に新書で出た『劇場』もニヤニヤしながら読みました。
こうして発禁ものに触れていると、
まさに「書かれた原稿は燃えない」ということを実感します。
唐さんの発禁ものといえばキングレコードから出た『愛の床屋』です。
回収となったものの、ほどなくして出た『四角いジャングルで唄う』には
ちゃっかり収められていて、特にお咎めも無し。
セットリストの一部ならOKという緩さが面白いところです。
唐さんは、あのつるりとしたお顔立ちや伸びやかなテノールが
魅力的ですが、特に若い頃のご本人には、深く刻まれた皺や
いがらっぽい声についてのあこがれがあったそうです。
ボソボソと喋っているのに、ノイズ混じりの声が多彩なニュアンスを持つ。
そういう風になりたかった、と。
唐さんにとって、韓国の親友・金芝河さんの声には
そういう魅力があったと伺いました。野太く、深く灼けた声。
私自身の声もつるりとしているので、大いに共感します。
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