6/2(金)本棚のホフマン全集

2023年6月 2日 Posted in 中野note

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↑唐さんが持っていた創土社の全集。インパクト大の装丁!



昨日の夜、ホフマンについてお話しする機会がありました。

ドイツ文学における後期ロマン派の作家として活躍した、

あのE.T.A.ホフマンのことです。


自分は本当の専門家では無いのですが、

集まっている人間の中ではよく読んでいる方だったので、

10分でホフマンについて説明して欲しい、

というオーダーに応えることにしました。


18世紀の後半に起こったロマン派のムーヴメントについて、

ナポレオンやベートーヴェンや絵画の印象派や

もちろん、ドイツ文学史上の先輩であるゲーテやシラーを紹介しつつ、

ちょっと変わり者の後輩としてのホフマンを紹介しました。


私がホフマンをよく読んでいたのは20代半ばのひどく暇だった頃です。

あの頃、バルザックやドストエフスキーとともに、よく読みました。

そして、その背後には、確実に唐さんの影響がありました。


大学に入ったばかりの頃に緊張しながら唐さんの研究室を

訪ねると、そこにはまだ、後にできる小さな木組みの

ステージや暗幕はなく。タイル床とじゅうたん敷きの

スペースが半々になっていました。


壁一面の本棚に本はなく、ただそこにぽつんと、

創土社のホフマン全集のみが置かれてありました。

きっと唐さんが、室井先生にリクエストして

慣れない研究費の活用で古本屋から買ったのかも知れません。


大学1年の頃の自分に、ホフマンは未知の作家でした。

ただその装丁のサイケデリックなことと、

唐さんが好きなのだから必修課題であることだけが

インプットされました。


後から考えたら、2000年春、

唐組がホフマンの『黄金の壺』『砂男』に想を得た

『夜壺』を初演した背景には、あの全集が一役買っていたのだと

思います。あの全集は当時から貴重品で、自分は文庫本や

国書刊行会のものを掛け合わせて一作一作を読んでいきました。


皆さんの前でホフマンを語ることができたのも

そういうわけで、唐さんのおかげなのです。


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