6/2(金)本棚のホフマン全集
↑唐さんが持っていた創土社の全集。インパクト大の装丁!
昨日の夜、ホフマンについてお話しする機会がありました。
ドイツ文学における後期ロマン派の作家として活躍した、
あのE.T.A.ホフマンのことです。
自分は本当の専門家では無いのですが、
集まっている人間の中ではよく読んでいる方だったので、
10分でホフマンについて説明して欲しい、
というオーダーに応えることにしました。
18世紀の後半に起こったロマン派のムーヴメントについて、
ナポレオンやベートーヴェンや絵画の印象派や
もちろん、ドイツ文学史上の先輩であるゲーテやシラーを紹介しつつ、
ちょっと変わり者の後輩としてのホフマンを紹介しました。
私がホフマンをよく読んでいたのは20代半ばのひどく暇だった頃です。
あの頃、バルザックやドストエフスキーとともに、よく読みました。
そして、その背後には、確実に唐さんの影響がありました。
大学に入ったばかりの頃に緊張しながら唐さんの研究室を
訪ねると、そこにはまだ、後にできる小さな木組みの
ステージや暗幕はなく。タイル床とじゅうたん敷きの
スペースが半々になっていました。
壁一面の本棚に本はなく、ただそこにぽつんと、
創土社のホフマン全集のみが置かれてありました。
きっと唐さんが、室井先生にリクエストして
慣れない研究費の活用で古本屋から買ったのかも知れません。
大学1年の頃の自分に、ホフマンは未知の作家でした。
ただその装丁のサイケデリックなことと、
唐さんが好きなのだから必修課題であることだけが
インプットされました。
後から考えたら、2000年春、
唐組がホフマンの『黄金の壺』『砂男』に想を得た
『夜壺』を初演した背景には、あの全集が一役買っていたのだと
思います。あの全集は当時から貴重品で、自分は文庫本や
国書刊行会のものを掛け合わせて一作一作を読んでいきました。
皆さんの前でホフマンを語ることができたのも
そういうわけで、唐さんのおかげなのです。
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