11/16(木)喫茶ヴェロニカ

2023年11月16日 Posted in 中野note
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↑この現代思潮社から出ていた再販版が、私たちの教科書でした


早朝に研究中の『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』が
第3幕に入りました。何とこの芝居は全4幕で構成されており、
そのようなわけで、半分を過ぎたことになります。

第1幕 その人の名は
第2幕 恋づくし
第3幕 喫茶ヴェロニカ
第4幕 月下

という構成です。これが、長いかと思いきや、
各幕がテンポ良く進んで全編で2時間以内に収まるようになっています。

とりわけ第3幕には思い入れがあって、
唐さんが得意とする長せりふの世界がいよいよ始まります。
ギャグとドタバタに溢れ、それまではずっと軽演劇風だったこの芝居が
一転、じっくりとして謎めいた会話劇となり、
主人公・忠太郎の前に立ちはだかる美少年(=腰巻お仙)による
母体論が滔々と展開します。

今から考えれば、内容をよく私たちは、
しかし、だからこそ、せりふを言ううちに身体が熱くなるのを
本能的に感じることができました。まるでブルース・リーのように、
Don't think, feel.を地でいっていたわけです。

それから20年以上経って、同じ言葉に向き合う時、
あの時より遥かに多くの意味が自然と自分に迫ってきます。
けれど、それによって失われたものがあることを、
慎重に思い返すべきだとも思うのです。

稽古中、私たちの下手くそな芝居を観ながら、
この劇が第3幕に差し掛かった時、唐さんが泣いていたのを思い出します。
そうして生まれたのが、ついこの前に唐組で観た『糸女郎』でした。
毎日、少しずつ読み進める台本の探求。
明日は、まさにその長せりふ部分を読み込みます。

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