7/7(水)唐作品のなかの七夕

2021年7月 7日 Posted in 中野note
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『海の牙 黒髪海峡篇』に出てくるチョゴリの女たち。笹を持っている。

今日は七夕ですね。
ちょっと前にワークショップで取り上げていた
『海の牙 黒髪海峡篇』には「七夕」に触れるシーンがあります。

チョゴリの女たち  命の主の旦那さま 今夜は七夕

いつかの髪をかえして下さい

恐ろしい闇につつまれて

今夜はケン牛もまいりません

いつかの髪をかえしてください

          それがあれば せめて
          黒雲を振り払ってみせましょうに

朝鮮半島で結ばれながら、日本に帰る夫に捨てられてしまった
女性たちの歌です。捨てられる時に、髪の毛まで切られてしまった
という設定が、さらに無残でした。
どっぷり闇の中にいる様子が伝わってくる歌詞。

3人の女性が七夕の笹を持って連れ立ち、
泣きながら歌って舞台に現れると、とたんに客席に暗雲がたれこみます。
かなり暗い雰囲気になる。

しかし、このすぐ後にはちょっとした仕掛けがあって。
ヒロインの瀬良皿子に強引に自分たちのチョゴリを着せてしまうと、
彼女たちは皿子の背中にぴったりとくっついて離れず、
その影でじとじとと泣き続けます。
こうなってしまうと暗さを突き抜けてかなりコミカル!

唐さんは、やはりこういう設定が圧倒的に上手い。
人生の不運は寄りで見ると悲劇、引きで見ると喜劇になる事が
よくありますが、シリアスとコミカルが相反せず、
同時にやってくることを自分に教えて下さったのは、紛れもなく唐さんです。

7月7日には、そんなことを思い出します。

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