3/12(金)4月以降のワークショップは『海の牙-黒髪海峡篇』

2021年3月12日 Posted in 中野note
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↑かつら屋の前を往くアンマの群れ

昨日は東日本大震災から10年でした。
自分はテレビを見ない生活を送っていますが、
お昼ご飯に立ち寄ったお蕎麦屋さんのテレビで特集が流れており、
あれから10年ということを強く実感しました。

あの日は、馬車道にあった横浜国大のサテライトスクールで
働いていました。揺れるのを感じて外に出ると、ランドマークタワーが
ブルンブルン動いている。それから、みるみる内に目の前の道が混み始め、
街中のあらゆる道路が夜まで渋滞し続けました。

丁度あの日も稽古していたのが、4月からのワークショップで
取り上げようとしている『海の牙 黒髪海峡篇』でした。
あの芝居には盲人たちの群れが出てきます。「アンマ」の集団。
それと、ヒロイン「瀬良皿子(せら さらこ)」の営む娼婦家業
=「パンマ」が対になっている。

ちなみに、この「瀬良皿子(せら さらこ)」という風変わりな名前は、
『アラビアンナイト 』=『千夜一夜物語』の語り部である
「シェエラザード」を文字ったもので、『白鯨』の「エイハブ船長」を
『盲導犬』の「影破里夫(えい はりお)」にしてしまう唐さんの
センスに共通するものを感じます。かなりの豪腕ぶりです。
この両作品はともに1973年に初演され、同じ角川文庫に仲良く
収録されています。

あの日、稽古が予定されていたものの、
当時の稽古場だった横浜国大の元唐十郎研究室に集まれないメンバーが
何人もいました。昼間に東京でアルバイトをしていた団員はひたすら
歩いて横浜に引き上げるしかなく、往生しており、
かろうじて集まれたメンバーは、本棚が倒れて本や書類、CDが散乱する
のを片付け続けました。

そして、ある程度整理がついた後、
かろうじて「ちょっとでも前進しよう」と言い合い、劇中歌をさらって
その日の稽古としました。

♪いたずら男が「ダン」とやりゃ

   尻をモジモジ彼女が「トン」

   「ダン」と「トン」の調子が合って

   眉にシワよせ 目元ほんのり ダダダンダン

   舌を鳴らしてトンタンタン


ウブな男女がモジモジまさぐり合うと、
「ダン」と「トン」というアクションの音が合体し、
フランス革命の闘士であるかの「ジョルジュ・ダントン」が
現れるという、ずいぶんふざけた歌詞の歌でした。

あの日、いい知れぬ不安を払拭するためにも、
こんなおふざけソングを大声で合唱しながら空元気を出して
それぞれの家路についたのを、まざまざと思い出します。

4〜6月のワークショップのお題は『海の牙-黒髪海峡篇』。
そのようなわけで、私がまともにこの作品に向き合うのも約10年ぶりです。

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