4/19(火)『腰巻おぼろ-妖鯨篇』〜超大作に挑む
2022年4月20日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
↑自分がクジラに最も接近したのはこの時。2016年8月。
語学学校もAlbanyもお休みなので、買い物しながら近所を巡ったり、
床屋に行ったり、教会を訪ねたりした。
日曜に行った教会がまた面白くて、見た目は古風なのだけれど、
新進の宗派によるもので、ずいぶん砕けたセレモニーだった。
スタッフも若いし、アコースティックコンサートのような集会。
親しみやすい楽曲を皆で合唱したり、踊ったり、
ずっと旗を振っている人もいた。
近所にある教会では、スタンダードなカトリックの素朴な儀式にも
参加できたし、セントラルにあるセント・バーソロミューでは、
ひときわ壮麗で厳粛な内観も体験できた。
そこに、昨日の経験も加わった。
一口に教会行事といっても多くのバリエーションがあるようだ。
考えてみれば、日本の仏教にもさまざまな宗派があり、
二十世紀以降に新たに誕生した分派もある。それらと同じだと感じた。
と、このようにのんびりして英気を養い、
昨日から『腰巻おぼろ-妖鯨篇』に着手することにした。
渡英前に作品集をコピーして持ってきたのだけれど、130ページもある。
あの『唐版 風の又三郎』でさえ100ページほどなのだから、相当に長さだ。
ノーカットだと4時間30分くらいかかるのではないだろうか。
作者である唐さん自身、『腰巻おぼろ-妖鯨篇』が一番長いと言っていた。
初演の稽古の時、劇団員たちは台本を「電話帳」とあだ名したそうな。
悪役に扮した唐さんが「油揚げ」300枚をつなぎ合わせた背広?を
着て登場したことでも知られる。クジラを扱う台本だから鯨油に
引っ掛けての「油揚げ」だと聴いた。
これが登場すると、紅テントの中にすえた油揚げの匂いが立ち込め、
雰囲気があったという。
こういう大作に落ち着いて挑めるのも、英国研修の効能だ。
日本にいると日々の仕事に追われて、一つの作品への集中を
維持し続けるのが難しくなる。だから、まとまった仕事の合間に
台本づくりを押し込む。一度、ちゃんと読んで、頭に入れてしまえば、
それについて考え続けることは難しくなくなる。
昨日から、1日あたり6ペーずつダイピングしながら読むのを始めた。
初めは全然進まない感があるのだけれど、日々の目標のことだけを考えて
とにかくクリアしていくと、気づけば中程になり、終盤になり、
幕を閉じる段になっている。いつもそういう感覚だ。
終盤は睡眠不足で目が霞んだり背中が痛む。
けれど、一本を踏破する快感がある。
こうしてゼミログに書くと、途中でやめられなくなる。
明日もその次の日も、自分に課したノルマを確実にクリアするようになる。
これもゼミログの効能。皆さん、いつも読んでくれてありがとうございます。
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