5/11(木)青梅で思い出した唐十郎作品

2023年5月11日 Posted in 中野note
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↑青梅駅構内には駅にちなんだ映画の看板
真ん中は唐さんの好きなあの名作

ゴールデンウィークの最終日に青梅に行きました。
目的は映画を観るためです。シネマネコという、
可愛らしい木造の映画館が目的地でした。

が、映画以上に、青梅駅周辺を歩きながら思い出したことがあります。
それは、唐さんがかつて上演した『紙芝居の絵の町で』という芝居
でした。初演は2006年。唐さんが一日、都内を歩いてネタを探し、
使い捨てコンタクトレンズをヒントに書いた、紙芝居作家たちの
物語でした。

あの中に、当時は丸山厚人さんの演じた
「群青疾風(ぐんじょうはやて)」という看板描きの青年が出てくる。
カッとしがちだけど腕が立つ看板絵師の彼の仕事場こそ、
この青梅駅周辺でした。

確かにあの街には、古き佳き映画の看板絵がそこここにあって、
青梅を訪れた人の関心を誘う名物になっていました。
唐さんが好きな『鉄道員』の看板もあって、
自分は唐組での『紙芝居の絵の町で』だけでなく、
『ジョン・シルバー』の冒頭に映画『鉄道員』の
テーマミュージックを使ったことも思い出しました。

唐さんのおじさんは満州から引きあげてきた後に
国鉄田町駅の助役となり、そういった連想からも
唐さんは『鉄道員』が好きなのです。
ということまでも思い出しながら街を巡りました。

2006年春公演の台本を書くための取材は
きっと2005年10〜11月頃だったはずです。

その時、唐さんもまた同じ青梅の街を巡り、
あの、長大で流麗な群青疾風の長ぜりふが描写したせりふを
構想したはずです。そういう唐さんの姿を想像しながら
青梅を歩いていると、すばしこい唐さんの、あの歩行の
緩急が見えるようで、雨の青梅がずいぶん愉しいものになりました。
遠かったけれど、またひとつ唐さんの足跡を追うことができました。

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