10/30(土)カーテンコール〜鳳恵弥・丸山正吾

2021年10月31日 Posted in 中野note
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今日も川崎に行きました。
世界的太鼓演奏家集団「鼓童」の創立40周年記念演奏会です。
オーケストラと和太鼓を融合させた交響曲『いのち』の世界初演でした。

100人超の奏者による初演は、
まさに多くの方々の人生のハイライトを実感させます。
3年以上前から仕込まれてきたプロジェクトが結実し、今、多くの生が
火花を散らして結集している。そういう場に立ち会いました。

鼓童さんとはKAATの仕事で知り合い、本境地である佐渡にも伺いました。
来月に渋谷のオーチャードホールで行われる創立40周年記念公演には
唐ゼミ☆の齋藤がスタッフで参加します。
たった4日間の間に、『巴』『鼓』『童』の3演目もある。
果たして齋藤は大丈夫なのか!?

11/25(木)-28(日)@渋谷オーチャードホール。
齋藤の大劇場での仕事を、観に行ってやってください。


さて、今日のカーテンコールは鳳恵弥さんと丸山正吾くん。
去年から『唐版 風の又三郎』に出演し、ずっと一緒に走ってくれた二人です。

☆鳳恵弥(おおとり えみ)
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鳳さんにお願いしたスケバン姉妹の姉「桃子」は、
過去に私が観てきた『唐版 風の又三郎』を受けて、必ず変革したいと
思ってきた役でした。別に奇抜なことをしようというのでなく、
台本を読んでいけば、自然と複雑で魅力的なキャラクターになる。
そういう理想形を思い描iいてきました。

他にも、帝國探偵社の「三腐人」がそうでしたが、
私は、自分が台本に役に立てると思うと、その演目を上演したくなります。
逆に、誰かの上演を観て「あ、完璧だ!」と思ったら、自分は必要ない。
この「桃子」には期するものがあって、鳳さんはそこを一緒に闘ってくれました。

鳳さんと初めて会ったのは、確か浅草花やしき裏だったと思います。
今回も大いに協力してくれた友人、公演場所世話役の関口忠相くんの停めた
車から鳳さんが降りてきた姿を、覚えている。
あれは2011年初夏。唐ゼミ☆は『海の牙 黒神海峡篇』に取り組んでいました。

スラリとした容姿にして、鳳さんは下町の女性です。
東京都北区、大衆演劇のメッカである篠原演芸場の近くで生まれ育ち、
北区つかこうへい劇団で役者修行をしたと、その時に聞きました。

そうです。「俳優修行」でなく「役者修行」なのです。
鳳さんの心はいつも演技と集団作業に熱く、「役者」や「劇団」という響きが
似合います。今や絶滅危惧種とも言えるこういうノリで、私たちと鳳さんは
つながってきました。

「桃子」を、もっと物語のメインストリートに置きたい。
『唐版 風の又三郎』立ち上げからで鳳さんと共有した目標は、
すでに去年の段階で達成されていました。

前半、賑やかし役にも見えたこの役は、二幕後半から飛躍する。
間違って傷つけてしまった主人公の青年・織部に対し
過剰な義侠心を発揮した結果(このあたりが鳳さんの真骨頂!)、
織部を真ん中に置いて、ヒロイン・エリカと三角関係を描き出します。

また、林麻子が演じた妹分の「梅子」との別れは、人間の孤独をあぶり出す。
叶姉妹とか阿佐ヶ谷姉妹のように、この二人もまた架空の姉妹。
だからこそ、結びつきと強さ、孤独、そういうものを表現してきました。

今回、またひとつ上手くいったと思ったのは、特に前半部分です。
鳳さんは何事もガチンコでやる。それが彼女の面白さですが、
もっと余裕を持って、ともすれば「ごっこ」で見せた方が、
お客さんに楽しく、伝わりやすいことがある。

吉本や松竹の喜劇を観ていて思うのですが、
時には必死でやりすぎない方が良い時がある。
登場したて。注射にまつわる絡みや、三幕冒頭の追いかけっこがそうでした。
余裕を持ってフワリとやる。一瞬のちのシリアスなせりふは
いきなりド直球のリアリズムでやる。そのメリハリと強度。

3幕エピローグ前を締めるのも鳳さんの役割。
鳳さん、麻子、ワダさんの波状攻撃を、いつも安心して観ていました。

6〜8月にかけて一緒に『シーボルト父子伝』をやり、
そのあと一旦わかれて別々の舞台。さらに合流して『唐版 風の又三郎』。

自分は少し落ち着いて、渡英などに備えているけれど、
その後の鳳さんはすでに別の舞台に取り組んでいます。
ずっとトライアスロン!

恐るべき体力と真剣さですが、時々フワリとしてください!!!

☆丸山正吾(まるやま しょうご)
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今回も丸山正吾は評判を取りました。
ヒロイン「エリカ」への想いあふれる「夜の男」に扮し、
持ち前の運動能力と、自ら"鋼鉄の喉"を自認する発声を以って活躍しました。

正吾くんと初めて会ったのは、今から10年以上も前、
望月六郎さんが主催する劇団ドガドガプラスの舞台ででした。
それが2008年『舞姫』だったか、2009年『肉体だもん』や『人形の家』
だったかは定かでありませんが、いずれにせよ、彼は「武富士ダンサーズ」
の真ん中で踊り狂っていました。当時の芸名は「丸山蛍(まるやま けい)」。

終演後の飲み屋で最初に彼と話した時には、
自分はまさか、将来の唐ゼミ☆で彼とともに舞台をつくることになるとは
想像もできなかった。

彼の話はパッションに溢れて、熱心に演技を考えていたけれど、
自身がどうして向上したら良いか、出口を見出せていない感じがしました。
例えば、彼は腕を磨くために、有名な危険スポット、朽ち果てた吊り橋を
役者の先輩と訪ねた話をしてくれた。そういうところを渡り切る体験が
演技開眼に必要だと思ったらしい。

ところが、数年経つうち彼はこう言い出した。
「やっぱり腕を上げるためには、台本を読み、発声と身体を鍛えることですね」
自分もやはり、技術・体力→精神性で物事を考えますから、
この頃から、正吾くんとはともに語り合う仲間になった。

唐さんに書き下ろしてもらった『木馬の鼻』に始まり、
そのトラック演劇巡業、『青頭巾』『君の罠』『あれからのジョン・シルバー』
『ジョン・シルバー三部作』、そして『唐版 風の又三郎』と
彼は唐ゼミ☆の大きな支えになっていった。

同時に、いつからか大手のサンミュージックプロダクションに所属して
活躍の場を拡げた彼は、年間に驚異の公演数をこなすようにもなった。
根が実直な正吾くんのこと、そのどれもに全力以上で臨んでいるはずです。

それが証拠に、彼は幾多の現場で得たものを、唐ゼミ☆に活かすようになった。
例えば、2018年1月にやった『あれからのジョン・シルバー』冒頭、
「花形」役の足の引きずり方。所作のかたち良く、地面との摩擦音も印象的、
観る者の心を掴みつつ、キャラクターを一発で説明してしまう。
こちらが伝えた本読みに裏付けられ、経験に基づいた、彼独特のアイディア。

今回も、「エリカ」へのストーキングにおいて、
「高田三郎」や「織部」への嫉妬において、かつて良い仲だった「教授」への
カミングアウトにおいて、彼が見せた過剰な表現は、大いに私を愉しませてくれた。
時折り、変態になりすぎてしまった時に、「夜の男」が常識人である要素を
盛り込むチャンスを伝えると、たちどころにそれを差し込んでくる。その的確さ。

今となれば、台本を読み、一つ一つの所作について考え抜き、
道具の捌きも工夫した後に必要なのは、危険な吊り橋に彼を向かわせた
愚直さと破天荒さなのだとも思います。それが最後の一押しとなり、
人の心を掴む。

読売巨人軍V9の監督であり、現役時代は打撃の神様と言われた
川上哲治さんは、打撃を極めるために出征を志願したと云います。
文字通り刃の下をくぐる緊張感が、奥義開眼へと道だと信じた。
結果的に従軍体験が戦後のバッティングに与えた影響は無かったそうですが、
しかし、その切迫感に真実が宿るとも思う。

丸ちゃんには、技術を考え、身体能力を向上させ、また冒険(探検?)もして欲しい。
自分もロンドンに行って、必ず腕を上げて帰ってきます。

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