6/14(火)苦みばしったフォー
↑単にタダ飯を食べたのではないが、それにしても美味かった。
ロンドンにもようやく夏の気配が感じられる。
日差しも強いし、昼間にひなたを歩いていると汗ばむ。
日本と違ってじめじめしていないので、夜になると冷え込む。
いつも朝8:30過ぎに家を出、方々巡り歩いて帰るのは23:00頃だから
どうしても寒い状態に衣類を合わせる。昼間は余計に暑い。
先週の土曜はかなりユニークなイベントに参加した。
Albanyの一角に事務所を構えるレジデントカンパニーのひとつ
New Earth Theatreによるイベント"Sonic Pho"だ。
Pho=フォーとは、あのベトナム料理屋で出てくる麺類のこと。
ルイシャム地区にはベトナム人コミュニティがあり、
食を絡めた面白い劇場プログラムをつくり、
同時に相互交流を図ろうという狙いだ。
受付を済ませると、スタジオに行き、
そこで、フォーづくり、主にスープづくりのデモンストレーションを見る。
ハーブや香味野菜について説明を受けながら匂いを嗅ぎ、
出汁の取り方も目の前で料理してもらいながら、見る。
普通はチキンだが、ベジタリアン用には昆布を使う。
昆布だしなんて、4ヶ月半ぶりだった。
試飲させてもらったが、さすがにしみる。
アジア人が大好きな、これがグルタミン酸ナトリウム。
昔、唐さんが飲み会で上等の生ハムを食べながら
「これはアジアじゃ無理だ!」と絶賛していたのを思い出した。
ああ、オレも慎ましきアジア人の一人。
同時に、ベトナム人女優さんが、簡単にベトナムの現代史、
特にベトナム戦争の影響で世界中にベトナム人コミュニティができた
エピソードを紹介してくれた。
そして、移動。
近所のベトナム料理に皆で移動して、席についた。
そこでは、配られたヘッドホンをして、供されるフォーに向かう。
メインの具は好みによって指定でき、私はビーフにした。
本格的なフォーだ。
別皿にミント、もやし、コリヤンダー、唐辛子の輪切りが大量に盛られ
レモンも付いている。明らかに移民の人による店。
英国人は麺をすする音を嫌うから気を付けて食べ始めると、
すぐにヘッドホンから音楽が、続いて、ベトナム戦争を含めた現代史を
誦じる詩。要するに『ミス・サイゴン』的に国を追われた人たちが
この本格的なフォーをロンドンに持ち込んだのだ。
私はヒヤリング能力の貧弱さゆえにけっこう美味しく一杯を食べたが、
周囲の参加者にとって、けっこう苦い味だったのではないかと思う。
戦争の話題とフォーの味・・・。
はっきり言って今はあまり上手くいっているとは言えない
実験段階の企画だったけれど、その心意気が素晴らしい。
味覚をきっかけに地域のコミュニティにアプローチしたいという
着想が面白い。こちらも一所懸命アンケートを書き、連絡先を交換した。
近く、事務所に行くつもりだ。
劇団スペヤタイヤ、エンテレキー・アーツに続いて、
知り合った三つ目の団体ニュー・アース・シアター。
今回行ったベトナム料理屋にも、
これからアジアの味を求めて通うことになるだろう。
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