12/13(金)得は三文どころではない
2019年12月13日 Posted in 中野note
↑AM5:30頃、帷子川の上空、西の空に沈む月。
↑ややアップ
↑さらにアップ。
唐さんは超朝方の作家です。
執筆の時期になるとお酒を控え、早朝5時台には起き、執筆する、
お昼前までが仕事の時間だとおっしゃっていました。
その時、使う万年筆の色は、ブルーブラック。
執筆の時期、だいたい11月頃は、なんとなしにボンヤリされたり、
また逆にギラギラした目つきになりますから、
自然とこちらも口数も少なくなります。
唐さんが口を開くときのみ、応える。
余計なことは、言わない。
そういう緊張感が漂います。
唐さんの御子息である大鶴義丹さんの著書『昭和ギタン』にも、
同じような様子を描写した一節を読んだ記憶があります。
義丹さんも、
父と一緒にいる時、ここは黙っているべきだという雰囲気が漂う時がある、
という意味のことを書いていらっしゃいました。
「ここは黙っているべきだ」というのは実に卓抜な意見で、
唐さんのそばにいた経験がある人ならば、誰しも納得するはずです。
あの、少し宙空を眺めて、煙草の煙でも弄ぶように、妄想をくゆらせる時間。
そういう時、うっすらと笑みもこぼれていたりする。
すると、こちらは自然とそれを邪魔してはいけないと、厳粛な気持ちになる。
ちょっと脱線しましたが、
もともと朝が全く苦手でない私は、
学生時代以来、唐さんを真似て朝方生活になりました。
これは子どもが生まれてから、彼らに一人の時間を邪魔されてはならじと、
さらに拍車がかかって現在に至ります。
いつも買う100円のボールペンも、かつては真似してブルーブラックでした。
唐さんも、若い頃は土方巽さんの真似をしたと言います。
話し方から酒の飲み方まで似ていたと、どなたかの本で読んだ覚えがあります。
やっぱり憧れていると、人はその人に寄っていきますよね。
今日の写真は、西の空に沈む名残りの月です。
夜明けが遅い冬には、これを愉しむことができます。
普段、景色に目を留めることのないガサツな自分にも、
これには訴えるものがありました。
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