12/24(火)小屋番列伝③『木馬の鼻』足柄公演

2019年12月24日 Posted in 中野note
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現在は神奈川県の施設「未病バレー〈ビオトピア〉」になっています。

メリークリスマス!
今夜も聖夜とはぜんぜん関係ないテント番の話です。

劇団史上、最も本拠地から近い場所で行った旅公演は、
神奈川県大井町の旧大井第一生命ビルの敷地で行った『木馬の鼻』でした。
当時すでに、コーヒーのメーカー・ブルックスの持ち物となっていた場所です。

ここは「足柄」と言われる地区ですから、
いかにも足柄山の上にテントを建てた、という感じがしたものです。
晴れた日には、ちょうど富士山と睨み合うような眺望の場所で、
神奈川県が主催する「足柄アートフェスティバル」の一環として、
県に招聘してもらっての公演でした。

旅公演に行くと、私は極力テント番をすることにしています。
その理由としては、

まず第一に、団体行動が苦手。
すごく早朝に起き出して作業したりするので、つい迷惑をかけがちです。
第二に、喘息持ちなので布団がたくさんある環境に極端に弱い。
最後に、劇団員の体力温存。

これらの事情から、旅公演は小屋番にまっしぐらです。

ただ、ここはちょっと不気味なところでした。
なにせ往時は、第一生命の社員3,000人がこの社屋で働き、
押し寄せる来客が、広大な駐車場を埋め尽くしていたといいます。

2011年にこの場所から第一生命が引き揚げ、
私たちが公演したのは2012年9月でしたから、
何となしに人いきれがするというか、
ここにいた人たちの熱が残っているように感じられるのです。

特に夜中にテントから出てトイレに立つと、
山の強い風の音に混じってビル全体が唸り、
ここを賑わした大勢の人たちの活況が聞こえてくるようでした。

おかげで、翌年の上演を狙っていた『夜叉綺想』の準備がやたら進んだのを、
よく覚えています。


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