1/4(火)助走の一日
2022年1月 4日 Posted in 中野note
『鉄仮面』原作を読むならば、これ。
ボアゴベの翻訳そのものだと長すぎる!
昨日のラッシュからも実感した通り、
今年は三が日明けてすでに世間が始動している感があります。
自分はいまだ名古屋にいますが、今日から徐々に仕事を始めました。メールや電話で必要な連絡を回したところ、返事もすぐに返ってきた。
初め、他の人が休日だった場合が憚られましたが、実感として
周囲も仕事解禁という一日でした。
明日からワークショップも再開します。
準備のために『吸血姫』二幕終盤を読むと、関東大震災や満州国に賭けた
国粋主義者たちの夢が渦巻いて、こちらを幻惑します。
でも、結局、愛染病院の面々がヒロイン・さと子に何をしようと
しているのか。それら幻惑をより分け、曇りない目で見ていくことが
肝心です。一度、単純に考えてみる。明日はそういうワークショップ。
http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html
一方、『鐡假面』の台本づくりが一幕終盤の盛り上がりに
差し掛かっています。2007年の上演時とは明らかに別モノに感じる。
まるで初めての出会いのようで、めっぽう面白く読めます。
1972年・・・春『二都物語』と秋『鐡假面』
1973年・・・春『ベンガルの虎』と秋『海の牙 黒髪海峡篇』
1974年・・・春『唐版 風の又三郎』と秋『夜叉綺想』
秋公演の演目はまるでレコードのB面のように人々の記憶にも薄く、
口の端に上ることも多くありませんが、絶好調時の唐さんの
才気が駆け巡っています。
『鐡假面』そのものの物語は、ホステスとして働きながら
義兄弟ならぬ義姉妹の関係を結んだ二人の女の逃亡の物語です。
ろくでなしのヒモである姉の情夫を殺してしまい、姉妹はこの首を
"鉄仮面"と呼んでボストン・バッグに入れ、全国各地を逃げ回っている。
行き着いた東京上野の不忍池で、乞食の群れや公演課職員、
自殺寸前の中年男、紙芝居屋、タタミ屋の青年、復員兵など、
さまざま男たちとの出会いの中で二人の罪が露見していき、
犯罪者であるがゆえに反社会勢力のエースとして台頭していく物語です。
今朝、熟読した『鐡假面』第一幕中盤過ぎには笑いました。
次々と現れる男たちが誰も彼も魅力的です。
今日、新たに登場した「公園課職員」は特にユーモラス。
唐作品の中では私たちの想像しやすい職業の男、
登場時は平々凡々たるキャラクーに見える彼は、
公衆トイレの屋根の上に登った女二人を注意する役回りで
ありながら、すぐに尾崎紅葉の『金色夜叉』について異様な
熱弁を振るい、貫一お宮の心情についてああでもないこうでもないと
モノローグを繰り広げます。その脱線、その強引、
現在ならば客席の笑いを鷲掴みにできるであろうこの場面、
2007年当時はこちらの力量不足からシーンとしていたことが
悔やまれます。
・・・という具合に、
出番の少ないキャラクターがやたらと立っている。
またヒロインが姉妹で構成されているところも愉しめます。
状況劇場時代の作品は、圧倒的プリマとして李さんが屹立していた
ことから、女性ワントップが圧倒的に多い。
けれど『鐡假面』については姉妹がふたりで躍動します。
これは、他に例を見ない魅力です。
あまりに面白いので、これは近々、劇団でも本読みの題材にし、
いずれワークショップでも取り上げること必定です。
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