12/21(土)小屋番列伝②『黒いチューリップ』の続き

2019年12月21日 Posted in 中野note
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先日、KAATの仕事で久々に横浜国大の校舎に入った。
私たちがテントを建てて定期的に根絶やしにしていた雑草が、完全復活。
これは教育8号館の2階の教室から撮影。


昨日書いた『黒いチューリップ』の公演場所の一つが、
横浜駅から10分ほど歩いたところにある、沢渡中央公園でした。
横浜市民防災センターが併設されている公園で、
ここに青テントが建っていました。

11月の深夜というのは、それはそれは寒い。
あの公園で公演した時には発電機を借りていましたから、
夜には完全消灯です。
そうすると、地面も、テントの幕も鉄骨も、木で作られたセットも、
異様に冷たくなるんですね。やたらひっそりとして、生気が無くなる。

しかし、私はセットの「ケイコちゃんの部屋」でぬくぬく過ごしていました。
二畳のスペースに石油ストーブ、熱を反射する銀シートを床に敷いて、
それはそれは暖かでした。

時々、そこへ来客がやってきます。
興味本位で覗く人、だいたいヤンキーやヤカラの人たちなんですが、
彼らが周りでザワザワ言っていると、緊張します。
間も無く入ってくるんじゃないかと、ドキドキする。
まあ、喧嘩になったら多勢に無勢なんじゃないかと、身構えもする。

でも、中へ入ってこようとした瞬間、
「おおい!」って声を掛けると、たいがい逃げますね。
あとは丁寧に「すみません」と言われか、どちらか。

途中から気付いたんですが、
そりゃあ、見慣れた不気味なテントが建っていて、
誰もいない、何だろうと思って覗いてみたら、暗い中から声がしたら、
怖いですよね。時に、強力な懐中電灯も浴びせられるし。

『黒いチューリップ』の時、終電を失ったスーツのおじさんが入ってきて、
「寒いから入ってしまいました」と言われた時には、ちょっと悩んで、
やっぱりお引き取り願いました。

知らないおじさんと二畳じゃ、ちょっとねえ。


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