3/18(水)甦える『忘却篇』②
2020年3月19日 Posted in 中野note
昨日の続きです。
学生たちと2013年につくった『腰巻お仙 忘却篇』の話。
この芝居はまだまだネタ数が豊富で、
上のように本火を使うなどまだまだ序の口。
実際に、バリカンで学生の後頭部に星型のハゲをつくってみたり、
(千秋楽後にはハードな丸坊主に)
リヤカーをくくりつけた自転車を全速力でこいで、
転がり落ちるように坂道を突進して登場してみたり、
会場全体の地面に200本を超えるセットの卒塔婆をぶっ刺してみたり、
(本物のカラスが集まって、それはそれは不気味だった)
他にも、これは残念ながら写真が残っていませんが、
地上7階の建物の屋上から人形を降らせてみたり、と
とにかく色々やりました。
あと、これは初演時の様子を大久保鷹さんから伺ったのですが、
1965年の上演の時は、自転車のライトを舞台照明に上演を行ったそうです。
つまり、誰かがずっと、
上演の続く限りヘトヘトになりながら自転車を漕ぎ続けていた!
これをどうしてもやりたかったので、
本番中にわざと停電騒ぎを起こし、
中道具の自転車のこぎまくって明かりの点いたライトの周りに皆が集まり、
自転車の薄暗い明かりに顔面を寄せ合いながらせりふを喋っていました。
あと、戸山ハイツで行った初演時は、
近隣住民が呼びつけた警察に怒られて上演を中断させられたらしいので、
私たちも大学の警備員を装った男に芝居を中断させるなど、
キメ細やかなネタを連発しながら、小一時間の芝居に仕立てました。
相当な下さなさと初演のハプニングを再現する度はずれの真剣さにより、
かなり評価されたこの公演は、早速2ヶ月後に再演することになり、
噂を聞きつけて5月に観にきてくださった唐さんには、
野外におよそ似つかわしくないふっかふかのソファセットでご覧頂き、
この公演のモットーである台本に向き合う生真面目さ、
繰り出し続けたネタの下らなさを大いに評価して、
「こんなの、よくやったねえ」と褒められました。
「唐ゼミ」という名前は、
唐十郎が教授のゼミナールであると同時に、
唐十郎を追究し尽くすゼミナールでもありますので、
我ながらその面目躍如と言えるものだったと、いまだに自信になっています。
興行的にはなかなか成立しませんが、
時々ああいう公演もあった方が良いはずだと、私は真面目に考えています。
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